JP2004186256A - 半導体ウエハー固定用粘着テープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】基材フィルム(1)と粘着剤層(2)とからなる粘着テープであって、該基材フィルムのゲル分率が60〜75%である半導体ウェハー固定用粘着テープ。半導体ウェハーの固定前は、粘着剤層(2)の上面にセパレーター(3)を仮粘着しても良い。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種半導体を製造する工程において使用する粘着テープに関する。さらに詳しくは、例えば、パターンを形成した半導体ウェハーを一つ一つのパターン毎に切断し、素子として分割する際、半導体ウエハーを固定するのに使用する半導体ウェハー固定用粘着テープに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、シリコン、ガリウムヒ素などの半導体ウェハーは、大径の状態で製造され、素子小片に切断分離(ダイシング)された後に次の工程であるピックアップ工程に移されている。これら一連の工程の1例を図2に示す。この際、半導体ウェハー4は予じめ粘着テープ5に貼着された状態(a)で、ダイシングにより素子小片7に分割される(b)。なおここでは、粘着テープ5の両端に、ホルダー6が取り付けられている。次いで、エキスパンダー8により矢印B及びB’方向に粘着シート5を押し上げ、破線矢印A及びA’方向にエキスパンドする(c)。ここで、9は引落量である。このエキスパンドされた状態で全ての素子小片(以下チップともいう)のピックアップもしくは一部チップのピックアップを行う(d)。ここで、粘着シート5上の破線は、ピックアップされた素子小片の位置を示すものである。一部チップのピックアップが行われた場合、一度エキスパンドを解く(e)。ここで、10はたるみ量である。エキスパンドを溶かれた粘着テープ5は、後日ピックアップを行うためにカセットに収容しておく。
【0003】
半導体ウェハーのダイシング工程からピックアップ工程に至る工程では、基材フィルム上に粘着剤を塗布した粘着テープ5が用いられる。基材フィルムは、ポリオレフィン系フィルムもしくは塩化ビニール等が用いられている。
通常,ダイシングではウェハーとともに粘着剤層を貫通し,基材フィルムの一部まで切断する。このとき、図3に示すように、基材フィルム1からダイシング屑11が発生し、素子小片7を汚染することがあった。ダイシング屑は糸状であり、そしてこの糸状の屑には粘着剤が付着している。このような糸状の屑がダイシングされたチップに付着すると容易には除去できないため、チップの歩留り率が低下してしまう。
【0004】
そこで、従来は10〜800kGyの範囲の電子線もしくはγ線照射を行い、ダイシング屑を抑制していた(例えば、特許文献1参照)。
ここで電子線とは、自由電子束すなわち陰極線を指す。基材フィルムに電子線を照射するには、具体的には、電子線加速器(高エネルギー、低エネルギー、さらにはスキャニング等の何れのタイプも含む)を用いて、その発生電子線下を所定の条件で、フィルムを通過させることにより行なう。
またγ(ガンマ)線とは、通常定義されているように、放射性元素の崩壊の際に放出される電磁波の一種を指す。基材フィルムにγ線を照射するには、具体的には、コバルト60(60Co)を線源として有する照射室にフィルムを設置し、所定量のγ線をフィルムに照射して行なう。この場合、フィルムはロール状のままで処理できるため、作業上は有利である。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−211234公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、ウェハーの厚みは200〜500μm程度が主流であった。電子線もしくはγ線を10〜800kGy照射すればダイシング屑が200μm以上にならず、ウェハー表面に残留することはない。従って、実質上ダイシング屑によるトラブルを回避することができた。
しかしながら、近年における集積度アップに伴ない、ウェハーの薄層化が進行し、100μm以下の厚みが主流になりつつある。従って、10〜800kGyの照射線量領域では、100μm以下の薄膜ウェハーではダイシング屑がウェハー上に発生することもある。最近では、さらに薄い50μm、30μmの厚みのウェハーを用いることもある。このような極薄のウェハーにおいては、いかに短いダイシング屑であっても基材フィルム上に発生するだけで飛散によりチップ表面に付着することがあり、チップの歩留り率を極度に低下させてしまう。
【0007】
また、電子線もしくはγ線照射による架橋度は、材質によってが異なり、照射線量によっては十分な架橋度を得られない材質もあった。
一方、電子線もしくはγ線を照射してダイシング屑の発生を防止しようとすると、基材フィルムは弾性を失ってしまう。そのため、図2(e)に示すように粘着テープ5はたるみ量10が増加する。そして、図4に示したカセット12の2段目に収容した場合のように、3段目に破線で示すような別の粘着テープ上のウェハーと接触するため、粘着テープを収納できなくなることがあった。したがって、チップの有効活用ができなく、コストアップを招くことがしばしば発生した。
【0008】
本発明は、上記の問題点を解決し、ダイシング屑を発生せず、かつ、エキスパンドの後カセットに収納するのが可能な程度の復元性を保つ半導体ウェハー固定用粘着テープを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、
(1)基材フィルムと粘着剤層とからなる粘着テープであって、該基材フィルムのゲル分率が60〜75%であることを特徴とする半導体ウエハー固定用粘着テープ
を提供するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係るウェハ貼着用粘着シートは、基材フィルムと粘着剤層とからなるウェハ貼着用粘着シートにおいて、ゲル分率60〜75%の基材フィルムを用いることを特徴とする。基材フィルムのゲル分率は65〜75%であることがさらに好ましい。ゲル分率が高すぎると、エキスパンド後の復元性が悪くなり、また、低すぎるとダイシング屑が発生してしまう。
【0011】
本発明に係る半導体ウェハー固定用粘着テープは、たとえば図1(a)に示すような基材フィルム1上に粘着剤層2を形成したテープとすることができる。粘着テープの使用前にはこの粘着剤層を保護するため、図1(b)に示すように粘着剤層2の上面にセパレーター3を仮粘着しておくことが好ましい。セパレーターとしては、従来知られた粘着テープ用セパレーターを適宜用いることができる。
【0012】
基材フィルムにおいて、架橋の度合いを示すゲル分率を60%以上とすれば、通常のダイシング工程において、倍率100倍程度の顕微鏡観察レベルでダイシング屑は全く発生しない。一方、ゲル分率が60%未満では、多少のダイシング屑が発生する。ゲル分率は65%以上であることがより好ましい。
ここで、架橋は電子線照射架橋、化学架橋等により行うことができる。
【0013】
一方、架橋が進み、ゲル分率が高くなりすぎると、エキスパンド後の復元性が悪くなる(図2(e)参照)。エキスパンド後、再びカセットに収納する際ある程度のたるみ量までは対応できるが、それ以上のたるみ量を持つとカセットに収納した際に他のウェハーと接触してしまうため、半導体の製造工程において用いられる、ウェハー固定用粘着テープ収容用の通常のカセットに収納できなくなる(図4参照)。ここで、ゲル分率は75%以下ならば、多少のたるみは生じるものの、通常のカセットに収納することが可能となる。
したがって、ゲル分率が75%以下ならば、エキスパンドの後通常のカセットに収納し、後日再度チップをピックアップできチップの効率活用及びコストダウンが可能となる。
【0014】
また、ゲル分率が高すぎると、エキスパンドの際、フィルムが破断することがある。しかし、ゲル分率が75%以下ならば、フィルムの弾性、強度等も保つことができ、通常のエキスパンドでは、フィルムが破断することはない。
ゲル分率は75%以下であることが好ましい。
【0015】
本発明に用いられる基材フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−メチル(メタ)アクリル酸エステル、エチレン−エチル(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−アイオノマー共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリブテン、エラストマー等の樹脂が挙げられる。
これらの樹脂は1種単独で用いてもよく、また2種以上をブレンドして用いてもよい。さらに基材フィルムは、上記のような樹脂フィルム単層からなっていてもよく、また2層以上のフィルムの積層体であってもよい。
【0016】
このような基材フィルムの厚さは、通常30〜300μm、より好ましくは50〜200μmである。基材フィルム上には粘着剤層が形成されているが、粘着剤層の形成前に基材フィルムを予め電子線またはγ線を照射等により、ゲル分率が60〜75%となるように処理する。
【0017】
ここで、ゲル分率の測定は以下の手順で行うことができる。
▲1▼重量を測定した基材フィルムをステンレス製メッシュ(400番、日本金網商工製、重量測定済み)に包み、120℃のキシレン溶液に24時間浸漬する。
▲2▼2時間、風通しの良い箇所に室温で放置する。
▲3▼16時間80℃にて、10Pa(7.5×10−2torr)以下で真空乾燥を行った後、残った基材フィルムと金網の合計重量を測定する。
次式にて算出した値をゲル分率と定める。
ゲル分率(%)={(キシレン浸漬後の基材フィルムと金網の合計重量)−(金網の重量)}÷(キシレン浸漬前の基材フィルムの重量)×100
【0018】
次に、本発明において粘着剤層に用いられる粘着剤としては、特に制限はないが、アクリル系粘着剤を用いることが好ましい。また、粘着剤層に放射線反応性を付与することで、ウエハーを切断後、粘着力を低下させることができる。このため、必要に応じ、アクリル系粘着剤中に炭素−炭素2重結合を持ったモノマー、オリゴマー、ポリマーや光反応開始剤等の添加剤を処方し用いることもできる。このような粘着剤自体は公知のものを用いることができ、例えば特開平1−249877号公報、特開平7−29860号公報、特開昭63−17980号公報に記載の粘着剤を用いることができる。
【0019】
粘着剤層固化のための粘着テープへの放射線照射は、基材フィルムの粘着剤層が設けられていない面から行なうことが好ましい。したがって、放射線としてUVを用いる場合には基材フィルムは光透過性であることが必要であるが、放射線として電子線を用いる場合には基材フィルムは必ずしも光透過性である必要はない。
【0020】
本発明の半導体ウェハー固定用粘着テープは、上記のようにゲル分率が60〜75%である基材フィルム上に粘着剤層が形成されており、ウェハーのダイシング用として好ましいものである。
【0021】
【実施例】
実施例1
基材フィルムとして、肉厚100μmのエチレン−メタクリル酸共重合体(三井デュポン製、ニュクレルN1207C(商品名))を用いた。まず基材フィルムに100kGyの電子線を照射した。基材フィルムのゲル分率は65%であった。基材の表面に粘着剤の粘着性向上のためコロナ処理を施した後、粘着剤を樹脂層の表面に乾燥後10μmの厚さになるよう塗工し、図1(a)と同様の粘着テープを作成した。ここで用いた粘着剤は、アクリル系粘着剤(2−エチルヘキシルアクリレート、メチルアクリレート、2−ヒドロキシルエチルアクリレートからなる共重合体、重量平均分子量20万、ガラス転移点=−35℃)100質量部にポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、商品名コロネートL)3質量部、光重合性炭素−炭素二重結合を有する化合物としてテトラメチロールメタンテトラアクリレート110質量部、光重合開始剤としてα−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン1質量部を添加し、混合して得たものである。
【0022】
実施例2〜3及び比較例1〜5
電子線照射量を表1のそれぞれに記載の照射量に変更し、ゲル分率を表1のそれぞれに記載の値に変更した以外は実施例1と同様に粘着テープを作成した。
【0023】
実施例4
基材フィルムとして、肉厚100μmのZn架橋エチレンアイオノマー共重合体(三井デュポン製、ハイミラン1706(商品名))を用いた。まず基材フィルムに50kGyの電子線を照射した。基材フィルムのゲル分率は60%であった。以下実施例1と同様にコロナ処理後、粘着剤を塗工し、粘着テープを作成した。
【0024】
実施例6及び比較例6〜10
電子線照射量を表2のそれぞれに記載の照射量に変更し、ゲル分率を表2のそれぞれに記載の値に変更した以外は実施例4と同様に粘着テープを作成した。
【0025】
実施例7
基材フィルムとして、肉厚100μmのEVA(東ソー製、ウルトラセン540(商品名))を用いた。まず基材フィルムに100kGyの電子線を照射した。基材フィルムのゲル分率は64%であった。以下実施例1と同様にコロナ処理後、粘着剤を塗工し、粘着テープを作成した。
【0026】
実施例8及び比較例11〜16
電子線照射量を表3のそれぞれに記載の照射量に変更し、ゲル分率を表3のそれぞれに記載の値に変更した以外は実施例7と同様に粘着テープを作成した。
【0027】
実施例9
基材フィルムとして、肉厚200μmの低密度ポリエチレン(LDPE、東ソー製、ペトロセン205(商品名))を用いた。まず基材フィルムに100kGyの電子線を照射した。基材フィルムのゲル分率は60%であった。以下実施例1と同様にコロナ処理後、粘着剤を塗工し、粘着テープを作成した。
【0028】
実施例10〜11及び比較例17〜21
電子線照射量を表4のように変更し、ゲル分率を表4のように変更した以外は実施例9と同様に粘着テープを作成した。
【0029】
(ダイシング)
5インチベアウェハー(肉厚100μm)を実施例1〜11、及び、比較例1〜17の粘着テープに貼合し、以下のダイシング条件にてダイシングを行った。
【0030】
(ダイシング条件)
ダイシング装置:DISCO社製 DAD−340(商品名)
回転丸刃:DISCO社製 NBC−ZH2050−27HEDD(商品名)
回転丸刃回転数:30,000rpm
切削速度:100mm/s
切削水流量:20ml/s
ダイシングサイズ:5mm角
粘着テープにおける回転丸刃の切り込み深さ:30μm
【0031】
(評価試験)
ダイシング後の実施例1〜11、及び、比較例1〜21の粘着テープにおいて、以下の評価(I〜IV)を行った。その結果を表1〜4に合わせて示した。
(I)ウェハー(100μm厚)上のダイシング屑数:ダイシング後(図2(b)の状態で)、ウェハー上の異物を顕微鏡(100倍)で観察し、異物(ダイシング屑)の個数をカウントした。
(II)基材上のダイシング屑数:すべてのチップをピックアップ後、基材フィルム上の異物を顕微鏡(100倍)で観察し、異物(ダイシング屑)の個数をカウントした。
(III)たるみ量(復元性):図2(c)において、粘着テープ5として実施例及び比較例の粘着テープを用い、表1〜4の注2に示す引落量の10mmもしくは6mmで引落を行った後、カセット(Kulicke & Softa(Japan) Ltd.製、フィルムフレームカセット(6インチ用)(商品名))に収納の可否を評価した。
(IV)破断伸び:幅25mm、長さ150mmに加工し、伸長部分が50mmとなるように両端を保持し、引張速度300mm/minにてMD方向に伸び試験を行い、破断した長さを測定した。
【0032】
【表1】
【0033】
【表2】
【0034】
【表3】
【0035】
【表4】
【0036】
表1〜4で示されるように、基材フィルムの材質がいずれの場合であっても、基材フィルムのゲル分率が60〜75%の範囲内にある実施例1〜11の粘着テープでは、ダイシング屑が、ウェハー上においても、基材上においても発生しなかった。また、いずれの実施例の粘着テープもエキスパンド後カセットへの収納が可能であった。
一方、ゲル分率が実施例よりも低い比較例の粘着テープでは、ダイシング屑が発生した。また、ゲル分率が実施例よりも高い比較例の粘着テープでは、エキスパンド後カセットへの収納ができなかった。
【0037】
【発明の効果】
本発明の粘着テープは、ダイシング工程において、ダイシング屑の発生を防止することができ、エキスパンドした後もカセットに収容し、後日再度エキスパンドしてピックアップを行うことが可能である。また、ポリオレフィン系フィルムの弾性、強度等も保つことができ、エキスパンディングを容易に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着テープの一例の断面図である。
【図2】半導体ウェハーの製造工程を示す断面図である。
【図3】ダイシング屑の発生を模式的に示す断面図である。
【図4】カセットに収納された状態の粘着シートを示す断面図である。
【符号の説明】
1 基材フィルム
2 粘着剤層
3 セパレーター
4 半導体ウェハー
5 粘着テープ
6 ホルダー
7 素子小片
8 エキスパンダー
9 引落量
10 たるみ量
11 ダイシング屑
12 カセット
Claims (1)
- 基材フィルムと粘着剤層とからなる粘着テープであって、該基材フィルムのゲル分率が60〜75%であることを特徴とする半導体ウエハー固定用粘着テープ。
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