JP2004184849A - レンズ付きフイルムユニット - Google Patents
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Abstract
【課題】前カバーを取り外して行われる写真フイルムの詰め替え作業の能率を低下させる。
【解決手段】撮影レンズ2が嵌め込まれる鏡筒部15には、その内面に階段部35が設けられている。撮影レンズ2は鏡筒部15に嵌め込まれる際に脚部36が階段部35の同じ高さの面に係合して位置決めされる。前カバー14には、レンズ押さえ39、引っ掛け爪40が設けられている。前カバー14が取り付けられる際、撮影レンズの2の前面がレンズ押さえ39によって押さえられ、引っ掛け爪40が切欠き41から撮影レンズ2の背後に入り込む。前カバー14を取り外すと撮影レンズ2が鏡筒部15から脱落し、前カバーを取り外してフイルム詰め替え作業を行う第三者に対し、撮影レンズ2を付け直す手間をかけさせることができる。
【選択図】 図3
【解決手段】撮影レンズ2が嵌め込まれる鏡筒部15には、その内面に階段部35が設けられている。撮影レンズ2は鏡筒部15に嵌め込まれる際に脚部36が階段部35の同じ高さの面に係合して位置決めされる。前カバー14には、レンズ押さえ39、引っ掛け爪40が設けられている。前カバー14が取り付けられる際、撮影レンズの2の前面がレンズ押さえ39によって押さえられ、引っ掛け爪40が切欠き41から撮影レンズ2の背後に入り込む。前カバー14を取り外すと撮影レンズ2が鏡筒部15から脱落し、前カバーを取り外してフイルム詰め替え作業を行う第三者に対し、撮影レンズ2を付け直す手間をかけさせることができる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光軸方向に撮影レンズの組み込み位置が変わるレンズ付きフイルムユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
予め未露光の写真フイルムが装填され、購入したその場で写真撮影が可能な1回使い切りタイプのレンズ付きフイルユニットが知られている。レンズ付きフイルムユニットは、製造コストが抑えられるとともに、持ち運びに便利な軽量さが得られるように、その大部分がプラスチックの成形品で構成されている。レンズ付きフイルムユニットは、写真フイルムを全て使い切った後、現像所などにそのまま持ち込めばフイルムの現像とプリントを依頼することができる。ユーザーには、ネガフイルムとプリント写真のみが渡され、写真フイルムの取り出された使用済みのレンズ付きフイルムユニットは現像所で引き取られる。
【0003】
引き取られた使用済みのレンズ付きフイルムユニットは、製造元のメーカーに回収され、分解された後に検査や修理等が行われる。分解作業では、外装の前カバーから取り外され、次に露光機構が設けられた本体から、裏蓋、レンズ、ストロボ装置などが取り外される。プラスチックのみで構成される前カバーや裏蓋は、ペレット化されて成形し直される。他の部品は、検査工程や修理工程を経て、性能に問題のないものが新規製品の一部として再使用されている。
【0004】
近年、製造元と異なる業者により、使用済みのレンズ付きフイルムユニットが回収され、未使用の写真フイルムを再装填したフイルム詰め替え品が販売されている。このフイルム詰め替え品は、レンズ付きフイルムユニットの裏蓋をこじ開けて、新たに写真フイルムを装填しただけのものであり、製造元から供給される新規製品の流通価格よりも極端に低い価格で販売されるため、新規製品の流通が妨げられている。
【0005】
そこで、フイルム詰め替え品の流通対策として、フイルム詰め替え時にこじ開けられる裏蓋を、超音波溶着などにより強固に接合する工夫がなされている。溶着を行うことで裏蓋を安易にこじ開けようとすると裏蓋が部分的に変形したり破損しやすくなる。これにより、フイルム詰め替え業者に慎重な作業を強いることができ、フイルム詰め替え品の製造能率を低下させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年におけるフイルム詰め替え品の製造過程では、裏蓋が直接こじ開けられることは少なくなり、製造元で行われる分解作業と同様に、最初に前カバーの取り外しを行っている。前カバーは裏蓋に比べて溶着部分が少なく、比較的容易に取り外すことができ、前カバーを取り外した後に本体部分と裏蓋との接合部分を内側から削り取ることで裏蓋を開放させている。このため、裏蓋を溶着する効果が薄れて、裏蓋を直接こじ開けるよりも破損や変形が少なく、能率をそれほど落とすことなくフイルム詰め替え品が製造されているという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を考慮してなされたもので、前カバーの取り外しを伴うフイルム詰め替え品の製造能率を低下させることができるレンズ付きフイルムユニットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のレンズ付きフイルムユニットは、撮影レンズが取り付けられる鏡筒部を有するユニット本体と、ユニット本体の背面に装着される裏蓋とによって写真フイルムが光密に収納され、撮影レンズを露呈させるレンズ開口を有するとともにユニット本体を前面から覆う前カバーを備えている。前カバーの内面には、撮影レンズの背後に入り込み、前カバーの取り外し時に撮影レンズを鏡筒部から脱落させる係合部材を一体形成する。前記鏡筒部の内面もしくは撮影レンズの外面のいずれか一方に、光軸方向の高さが異なり、光軸を中心とする円周方向に段差が形成された階段部を少なくとも3組設けるとともに、他方には階段部とそれぞれ係合する突起部を設けている。階段部によって撮影レンズを後方から少なくとも3点で支え、前カバーによって前方から撮影レンズの前面を押さえることで鏡筒部に撮影レンズを保持させ、前カバーの取り外しと同時に撮影レンズの押さえを取り去るものである。
【0009】
請求項2記載のレンズ付きフイルムユニットは、階段部上で撮影レンズが光軸を中心とする円周方向に不用意に動かないようにし、撮影レンズが段差面から滑り落ちることを防ぐものである。請求項3記載のレンズ付きフイルムユニットでは、レンズ開口の付近など前カバーに外力が加わったとき、撮影レンズが係合部材と接触することによって位置ズレなどが起きないようにしている。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1において、レンズ付きフイルムユニット1は、その前面に撮影レンズ2が露呈されており、ファインダ3、ストロボ発光部4が設けられている。上面には、シャッタボタン5、カウンタ窓6が設けられている。スライドつまみ7はストロボ撮影を行う際に操作される。
【0011】
図2において、レンズ付きフイルムユニット1は、ユニット本体10と、写真フイルム11、裏蓋12、ストロボ装置13、前カバー14とから構成されている。ユニット本体10には、その中央に撮影レンズ2を保持する鏡筒部15が設けられている。また、図示はしないが、鏡筒部15の背後にシャッタ羽根と暗箱部が設けられている。ユニット本体10の両側には、カートリッジ室16とフイルム室17がそれぞれ設けられている。
【0012】
カートリッジ室16にはフイルムカートリッジ18が収納され、フイルム室17にはフイルムカートリッジ18から引き出された写真フイルム11がロール形態で収納される。フイルムカートリッジ18には、写真フイルム11の一端が係止されたスプール19が設けられている。スプール19は、巻上げノブ20の下端と係合し、巻上げノブ20の回転操作に伴って写真フイルム11をフイルムカートリッジ18内に巻き取る。
【0013】
裏蓋12は、ユニット本体10の背面に装着される。裏蓋12に設けられた底蓋部12a,12bは、カートリッジ室16とフイルム室17の底部を覆う。底蓋部12aは、フイルムカートリッジ18の取り出し時に開放される。写真フイルム11は、ユニット本体10と裏蓋12とによって光密に収納される。
【0014】
ストロボ装置13は、ユニット本体10に保持されるストロボ基板22上に、ストロボ回路を構成する各種回路部品が取り付けられている。充電スイッチ23は、スライドつまみ7の操作によってオンされる。充電スイッチ23がオンすると、メインコンデンサ24に高圧充電が行われる。充電が完了した後にシャッタボタン6を操作すると、シャッタ羽根の開放に同期してシンクロスイッチ25がオンして、ストロボ発光部4からストロボ光が照射される。
【0015】
前カバー14は、ユニット本体10と、ユニット本体10に保持されたストロボ基板22を前面側から覆う。前カバー14には、撮影レンズ2が露呈されるレンズ開口26が形成されている。また、ファインダ3やストロボ発光部4が露呈される開口が形成されている。
【0016】
図3において、鏡筒部15は円筒形状をしており、円形の撮影レンズ2が嵌め込まれる。鏡筒部15は、その内部に絞り開口30が形成された台座面31を有する。台座面31上には、低段面32,中段面33,高段面34をそれぞれ有する3組の階段部35が一体に設けられている。階段部35は、絞り開口30と同心の円周上で120度ごとに均等に設けられている。低段面32,中段面33、高段面34は、撮影レンズ2の光軸A1と平行な方向にそれぞれの高さが異なり、各段差が光軸A1を中心とする円周方向に沿って形成されている。
【0017】
撮影レンズ2には、後方に突出した脚部36が設けられている。脚部36は階段部35と同じピッチで3個設けられており、脚部36の先端が階段部35の同じ高さの段面に当接する。脚部36の長さは底面である台座面31から頂面である高段部34までの高低差と等しくなるように形成されている。
【0018】
撮影レンズ2の前面は曲面部37と、曲面部37の周囲に鍔状に形成された平面部38とからなる。平面部38には前カバー14に形成されたレンズ押さえ39が当接する。レンズ押さえ39はレンズ開口26の周囲から後方に突出しており、平面部38を押さえて撮影レンズ2を鏡筒部15に保持させる。また、前カバー14には引っ掛け爪40が形成され、鏡筒部15に形成された切欠き41から、爪先端部40aが撮影レンズ2の背後に入り込む。
【0019】
図4において、低段面32,中段面33,高段面34上には、光軸A1に対する放射方向に三角溝42がそれぞれ形成されている。脚部36の先端には、三角溝42に嵌合する三角リブ43が形成されている。三角溝42と三角リブ43を嵌合させることで、撮影レンズ2が光軸A1を中心とする回転力を受けても不用意に動かず、脚部36が低い方の段面に落下することがない。
【0020】
図5において、レンズ付きフイルムユニット1の製造時には、撮影レンズ2を鏡筒部15に嵌め込んだ後、ユニット本体10に前カバー14が装着される。撮影レンズ2を鏡筒部15に嵌め込む際には、脚部36を階段部35の所定の段面の上に乗せて位置決めし、三角溝42に三角リブ43を嵌め込む。
【0021】
脚部36が位置決めされる段面は、撮影レンズ2の焦点距離に対する絞り開口30の径の大きさ(F値)や、撮影レンズ2からフイルム面までの距離など、光学設計上の都合によって予め決められている。例えば、脚部36を低段面32上に取り付けて適正な撮影性能が得られるように設計されている場合、脚部36を台座面31や中段面33、高段面34上に取り付けるとピントが合わず、鮮明な撮影画像を得ることができなくなる。
【0022】
鏡筒部15に撮影レンズ2を嵌め込んだ後は、ユニット本体10に前カバー14が装着される。このとき、引っ掛け爪40は、爪先端部40aが撮影レンズ2の縁に当たって変形しながら撮影レンズ2の背後に回りこむ。レンズ押さえ39が平面部38に達すると、撮影レンズ2の背面と爪先端部40aとの間には隙間ができる。撮影レンズ2は階段部35によって後方から3点で支持された状態で、レンズ押さえ39によって前方から押さえられ、鏡筒部15内に保持される。ユニット本体10と前カバー14とによって鏡筒部15内に保持された撮影レンズ2は、階段部35の段差に応じて台座面31から一定の高さの位置で固定される。
【0023】
レンズ付きフイルムユニット1から前カバー14を取り外す際には、レンズ押さえ39が平面部38から離れると同時に、階段部35の上に乗っていた撮影レンズ2が背後から引っ掛け爪40によって押し出され、撮影レンズ2は鏡筒部15から脱落する。前カバー14の取り外しが製造元と異なるフイルム詰め替え業者によって行われた場合、脱落した撮影レンズ2を元に戻す必要が生じ、写真フイルムの詰め替え作業に本来必要のない工程が増えることになる。また、製造元と異なる業者は、脚部36を階段部35のどの段面に係合させるかを知らないため、適正な撮影性能が得られる段面を調べる必要が生じることになる。
【0024】
このように、鏡筒部15内の階段部35を介して撮影レンズ2を位置決めし、撮影レンズ2を前カバー14によって押さえているので、前カバー14を取り外すと、そのときの振動で撮影レンズ2が階段部35から外れたり、引っ掛け爪40によって鏡筒部15から脱落する。これにより、フイルム詰め替え品の製造工程中に撮影レンズ2の付け直す手間を課すことができ、フイルム詰め替え製品の製造時の負担を増やして製造能率を低下させることができる。
【0025】
なお、本発明のレンズ付きフイルムユニットは上記実施形態に限られるものではなく、製品の種類ごとに段差の数や形状を変え、フイルム詰め替え作業をさらに煩雑にすることもできる。また、上記実施形態では、階段部の同じ高さの段面に突起を係合させているが、これに限られず、突起の高さを階段部の段差単位で異なる高さに形成し、各突起を高さの異なる段面に係合させるようにしてもよい。また、鏡筒部の内壁面上から突出した階段部を形成することに限られず、鏡筒部の内壁面に対して窪んだ階段部を設けてもよい。あるいは、階段部を撮影レンズに設け、階段部に係合する突起を鏡筒部に設けてもよい。
【0026】
また、レンズ付きフイルムユニットでは、ピント調節の不要な固定焦点式の撮影レンズが用いられるが、各段差を例えば0.1mm程度の大きさにすることで、撮影レンズや鏡筒部の成形精度などに起因するピントズレを製造時に修正することもできる。F値を小さくして撮影レンズの明るさを向上させるには高度なピント精度が求められるので、この階段部を利用したピント修正が有効になる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明のレンズ付きフイルムユニットによれば、鏡筒部もしくは撮影レンズのいずれか一方に設けた階段部と、他方に設けた突起部とによって撮影レンズを光軸方向に位置決めし、撮影レンズの前面を前カバーによって押さえるようにしたので、前カバーの取り外しを伴うフイルム詰め替え作業において、撮影レンズを脱落させるとともに、脱落したレンズを再度組み付ける際に撮影レンズの組み込み位置がわからなくなる。すなわち、撮影レンズを取り付け直す手間を増やして作業能率を悪化させ、フイルム詰め替え品の製造、流通を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レンズ付きフイルムユニットの外観斜視図である。
【図2】レンズ付きフイルムユニットの分解斜視図である。
【図3】鏡筒部の斜視図である。
【図4】階段部の拡大図である。
【図5】鏡筒部の断面図である。
【符号の説明】
1 レンズ付きフイルムユニット
2 撮影レンズ
10 ユニット本体
11 写真フイルム
12 裏蓋
14 前カバー
15 鏡筒部
26 レンズ開口
35 階段部
36 脚部
39 レンズ押さえ
40 引っ掛け爪
41 切欠き
【発明の属する技術分野】
本発明は、光軸方向に撮影レンズの組み込み位置が変わるレンズ付きフイルムユニットに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
予め未露光の写真フイルムが装填され、購入したその場で写真撮影が可能な1回使い切りタイプのレンズ付きフイルユニットが知られている。レンズ付きフイルムユニットは、製造コストが抑えられるとともに、持ち運びに便利な軽量さが得られるように、その大部分がプラスチックの成形品で構成されている。レンズ付きフイルムユニットは、写真フイルムを全て使い切った後、現像所などにそのまま持ち込めばフイルムの現像とプリントを依頼することができる。ユーザーには、ネガフイルムとプリント写真のみが渡され、写真フイルムの取り出された使用済みのレンズ付きフイルムユニットは現像所で引き取られる。
【0003】
引き取られた使用済みのレンズ付きフイルムユニットは、製造元のメーカーに回収され、分解された後に検査や修理等が行われる。分解作業では、外装の前カバーから取り外され、次に露光機構が設けられた本体から、裏蓋、レンズ、ストロボ装置などが取り外される。プラスチックのみで構成される前カバーや裏蓋は、ペレット化されて成形し直される。他の部品は、検査工程や修理工程を経て、性能に問題のないものが新規製品の一部として再使用されている。
【0004】
近年、製造元と異なる業者により、使用済みのレンズ付きフイルムユニットが回収され、未使用の写真フイルムを再装填したフイルム詰め替え品が販売されている。このフイルム詰め替え品は、レンズ付きフイルムユニットの裏蓋をこじ開けて、新たに写真フイルムを装填しただけのものであり、製造元から供給される新規製品の流通価格よりも極端に低い価格で販売されるため、新規製品の流通が妨げられている。
【0005】
そこで、フイルム詰め替え品の流通対策として、フイルム詰め替え時にこじ開けられる裏蓋を、超音波溶着などにより強固に接合する工夫がなされている。溶着を行うことで裏蓋を安易にこじ開けようとすると裏蓋が部分的に変形したり破損しやすくなる。これにより、フイルム詰め替え業者に慎重な作業を強いることができ、フイルム詰め替え品の製造能率を低下させることができる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、近年におけるフイルム詰め替え品の製造過程では、裏蓋が直接こじ開けられることは少なくなり、製造元で行われる分解作業と同様に、最初に前カバーの取り外しを行っている。前カバーは裏蓋に比べて溶着部分が少なく、比較的容易に取り外すことができ、前カバーを取り外した後に本体部分と裏蓋との接合部分を内側から削り取ることで裏蓋を開放させている。このため、裏蓋を溶着する効果が薄れて、裏蓋を直接こじ開けるよりも破損や変形が少なく、能率をそれほど落とすことなくフイルム詰め替え品が製造されているという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題点を考慮してなされたもので、前カバーの取り外しを伴うフイルム詰め替え品の製造能率を低下させることができるレンズ付きフイルムユニットを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明のレンズ付きフイルムユニットは、撮影レンズが取り付けられる鏡筒部を有するユニット本体と、ユニット本体の背面に装着される裏蓋とによって写真フイルムが光密に収納され、撮影レンズを露呈させるレンズ開口を有するとともにユニット本体を前面から覆う前カバーを備えている。前カバーの内面には、撮影レンズの背後に入り込み、前カバーの取り外し時に撮影レンズを鏡筒部から脱落させる係合部材を一体形成する。前記鏡筒部の内面もしくは撮影レンズの外面のいずれか一方に、光軸方向の高さが異なり、光軸を中心とする円周方向に段差が形成された階段部を少なくとも3組設けるとともに、他方には階段部とそれぞれ係合する突起部を設けている。階段部によって撮影レンズを後方から少なくとも3点で支え、前カバーによって前方から撮影レンズの前面を押さえることで鏡筒部に撮影レンズを保持させ、前カバーの取り外しと同時に撮影レンズの押さえを取り去るものである。
【0009】
請求項2記載のレンズ付きフイルムユニットは、階段部上で撮影レンズが光軸を中心とする円周方向に不用意に動かないようにし、撮影レンズが段差面から滑り落ちることを防ぐものである。請求項3記載のレンズ付きフイルムユニットでは、レンズ開口の付近など前カバーに外力が加わったとき、撮影レンズが係合部材と接触することによって位置ズレなどが起きないようにしている。
【0010】
【発明の実施の形態】
図1において、レンズ付きフイルムユニット1は、その前面に撮影レンズ2が露呈されており、ファインダ3、ストロボ発光部4が設けられている。上面には、シャッタボタン5、カウンタ窓6が設けられている。スライドつまみ7はストロボ撮影を行う際に操作される。
【0011】
図2において、レンズ付きフイルムユニット1は、ユニット本体10と、写真フイルム11、裏蓋12、ストロボ装置13、前カバー14とから構成されている。ユニット本体10には、その中央に撮影レンズ2を保持する鏡筒部15が設けられている。また、図示はしないが、鏡筒部15の背後にシャッタ羽根と暗箱部が設けられている。ユニット本体10の両側には、カートリッジ室16とフイルム室17がそれぞれ設けられている。
【0012】
カートリッジ室16にはフイルムカートリッジ18が収納され、フイルム室17にはフイルムカートリッジ18から引き出された写真フイルム11がロール形態で収納される。フイルムカートリッジ18には、写真フイルム11の一端が係止されたスプール19が設けられている。スプール19は、巻上げノブ20の下端と係合し、巻上げノブ20の回転操作に伴って写真フイルム11をフイルムカートリッジ18内に巻き取る。
【0013】
裏蓋12は、ユニット本体10の背面に装着される。裏蓋12に設けられた底蓋部12a,12bは、カートリッジ室16とフイルム室17の底部を覆う。底蓋部12aは、フイルムカートリッジ18の取り出し時に開放される。写真フイルム11は、ユニット本体10と裏蓋12とによって光密に収納される。
【0014】
ストロボ装置13は、ユニット本体10に保持されるストロボ基板22上に、ストロボ回路を構成する各種回路部品が取り付けられている。充電スイッチ23は、スライドつまみ7の操作によってオンされる。充電スイッチ23がオンすると、メインコンデンサ24に高圧充電が行われる。充電が完了した後にシャッタボタン6を操作すると、シャッタ羽根の開放に同期してシンクロスイッチ25がオンして、ストロボ発光部4からストロボ光が照射される。
【0015】
前カバー14は、ユニット本体10と、ユニット本体10に保持されたストロボ基板22を前面側から覆う。前カバー14には、撮影レンズ2が露呈されるレンズ開口26が形成されている。また、ファインダ3やストロボ発光部4が露呈される開口が形成されている。
【0016】
図3において、鏡筒部15は円筒形状をしており、円形の撮影レンズ2が嵌め込まれる。鏡筒部15は、その内部に絞り開口30が形成された台座面31を有する。台座面31上には、低段面32,中段面33,高段面34をそれぞれ有する3組の階段部35が一体に設けられている。階段部35は、絞り開口30と同心の円周上で120度ごとに均等に設けられている。低段面32,中段面33、高段面34は、撮影レンズ2の光軸A1と平行な方向にそれぞれの高さが異なり、各段差が光軸A1を中心とする円周方向に沿って形成されている。
【0017】
撮影レンズ2には、後方に突出した脚部36が設けられている。脚部36は階段部35と同じピッチで3個設けられており、脚部36の先端が階段部35の同じ高さの段面に当接する。脚部36の長さは底面である台座面31から頂面である高段部34までの高低差と等しくなるように形成されている。
【0018】
撮影レンズ2の前面は曲面部37と、曲面部37の周囲に鍔状に形成された平面部38とからなる。平面部38には前カバー14に形成されたレンズ押さえ39が当接する。レンズ押さえ39はレンズ開口26の周囲から後方に突出しており、平面部38を押さえて撮影レンズ2を鏡筒部15に保持させる。また、前カバー14には引っ掛け爪40が形成され、鏡筒部15に形成された切欠き41から、爪先端部40aが撮影レンズ2の背後に入り込む。
【0019】
図4において、低段面32,中段面33,高段面34上には、光軸A1に対する放射方向に三角溝42がそれぞれ形成されている。脚部36の先端には、三角溝42に嵌合する三角リブ43が形成されている。三角溝42と三角リブ43を嵌合させることで、撮影レンズ2が光軸A1を中心とする回転力を受けても不用意に動かず、脚部36が低い方の段面に落下することがない。
【0020】
図5において、レンズ付きフイルムユニット1の製造時には、撮影レンズ2を鏡筒部15に嵌め込んだ後、ユニット本体10に前カバー14が装着される。撮影レンズ2を鏡筒部15に嵌め込む際には、脚部36を階段部35の所定の段面の上に乗せて位置決めし、三角溝42に三角リブ43を嵌め込む。
【0021】
脚部36が位置決めされる段面は、撮影レンズ2の焦点距離に対する絞り開口30の径の大きさ(F値)や、撮影レンズ2からフイルム面までの距離など、光学設計上の都合によって予め決められている。例えば、脚部36を低段面32上に取り付けて適正な撮影性能が得られるように設計されている場合、脚部36を台座面31や中段面33、高段面34上に取り付けるとピントが合わず、鮮明な撮影画像を得ることができなくなる。
【0022】
鏡筒部15に撮影レンズ2を嵌め込んだ後は、ユニット本体10に前カバー14が装着される。このとき、引っ掛け爪40は、爪先端部40aが撮影レンズ2の縁に当たって変形しながら撮影レンズ2の背後に回りこむ。レンズ押さえ39が平面部38に達すると、撮影レンズ2の背面と爪先端部40aとの間には隙間ができる。撮影レンズ2は階段部35によって後方から3点で支持された状態で、レンズ押さえ39によって前方から押さえられ、鏡筒部15内に保持される。ユニット本体10と前カバー14とによって鏡筒部15内に保持された撮影レンズ2は、階段部35の段差に応じて台座面31から一定の高さの位置で固定される。
【0023】
レンズ付きフイルムユニット1から前カバー14を取り外す際には、レンズ押さえ39が平面部38から離れると同時に、階段部35の上に乗っていた撮影レンズ2が背後から引っ掛け爪40によって押し出され、撮影レンズ2は鏡筒部15から脱落する。前カバー14の取り外しが製造元と異なるフイルム詰め替え業者によって行われた場合、脱落した撮影レンズ2を元に戻す必要が生じ、写真フイルムの詰め替え作業に本来必要のない工程が増えることになる。また、製造元と異なる業者は、脚部36を階段部35のどの段面に係合させるかを知らないため、適正な撮影性能が得られる段面を調べる必要が生じることになる。
【0024】
このように、鏡筒部15内の階段部35を介して撮影レンズ2を位置決めし、撮影レンズ2を前カバー14によって押さえているので、前カバー14を取り外すと、そのときの振動で撮影レンズ2が階段部35から外れたり、引っ掛け爪40によって鏡筒部15から脱落する。これにより、フイルム詰め替え品の製造工程中に撮影レンズ2の付け直す手間を課すことができ、フイルム詰め替え製品の製造時の負担を増やして製造能率を低下させることができる。
【0025】
なお、本発明のレンズ付きフイルムユニットは上記実施形態に限られるものではなく、製品の種類ごとに段差の数や形状を変え、フイルム詰め替え作業をさらに煩雑にすることもできる。また、上記実施形態では、階段部の同じ高さの段面に突起を係合させているが、これに限られず、突起の高さを階段部の段差単位で異なる高さに形成し、各突起を高さの異なる段面に係合させるようにしてもよい。また、鏡筒部の内壁面上から突出した階段部を形成することに限られず、鏡筒部の内壁面に対して窪んだ階段部を設けてもよい。あるいは、階段部を撮影レンズに設け、階段部に係合する突起を鏡筒部に設けてもよい。
【0026】
また、レンズ付きフイルムユニットでは、ピント調節の不要な固定焦点式の撮影レンズが用いられるが、各段差を例えば0.1mm程度の大きさにすることで、撮影レンズや鏡筒部の成形精度などに起因するピントズレを製造時に修正することもできる。F値を小さくして撮影レンズの明るさを向上させるには高度なピント精度が求められるので、この階段部を利用したピント修正が有効になる。
【0027】
【発明の効果】
以上のように、本発明のレンズ付きフイルムユニットによれば、鏡筒部もしくは撮影レンズのいずれか一方に設けた階段部と、他方に設けた突起部とによって撮影レンズを光軸方向に位置決めし、撮影レンズの前面を前カバーによって押さえるようにしたので、前カバーの取り外しを伴うフイルム詰め替え作業において、撮影レンズを脱落させるとともに、脱落したレンズを再度組み付ける際に撮影レンズの組み込み位置がわからなくなる。すなわち、撮影レンズを取り付け直す手間を増やして作業能率を悪化させ、フイルム詰め替え品の製造、流通を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】レンズ付きフイルムユニットの外観斜視図である。
【図2】レンズ付きフイルムユニットの分解斜視図である。
【図3】鏡筒部の斜視図である。
【図4】階段部の拡大図である。
【図5】鏡筒部の断面図である。
【符号の説明】
1 レンズ付きフイルムユニット
2 撮影レンズ
10 ユニット本体
11 写真フイルム
12 裏蓋
14 前カバー
15 鏡筒部
26 レンズ開口
35 階段部
36 脚部
39 レンズ押さえ
40 引っ掛け爪
41 切欠き
Claims (3)
- 撮影レンズが取り付けられる鏡筒部を有するユニット本体と、ユニット本体の背面に装着される裏蓋とによって写真フイルムが光密に収納され、撮影レンズを露呈させるレンズ開口を有するとともにユニット本体を前面から覆う前カバーを備え、
前記前カバーの内面に、撮影レンズの背後に入り込み、前カバーの取り外し時に撮影レンズを鏡筒部から脱落させる係合部材を一体形成し、
前記鏡筒部の内面もしくは撮影レンズの外面のいずれか一方には、光軸方向の高さが異なり、光軸を中心とする円周方向に段差が形成された階段部を少なくとも3組設けるとともに、他方には前記階段部に係合する突起部を設け、
前記撮影レンズは、階段部を介して少なくとも3点で後方から支えられるとともにレンズ開口の周囲で前方から押さえられることで鏡筒部内に保持されていることを特徴とするレンズ付きフイルムユニット。 - 前記撮影レンズは、前記階段部上で光軸を中心とする円周方向の動きが規制されることを特徴とする請求項1記載のレンズ付きフイルムユニット。
- 前記ユニット本体に前カバーが組み付けられた状態では、前記係合部材が撮影レンズ背面から隙間をつくる位置にあることを特徴とする請求項1又は2記載のレンズ付きフイルムユニット。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002353888A JP2004184849A (ja) | 2002-12-05 | 2002-12-05 | レンズ付きフイルムユニット |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002353888A JP2004184849A (ja) | 2002-12-05 | 2002-12-05 | レンズ付きフイルムユニット |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004184849A true JP2004184849A (ja) | 2004-07-02 |
Family
ID=32755071
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002353888A Pending JP2004184849A (ja) | 2002-12-05 | 2002-12-05 | レンズ付きフイルムユニット |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004184849A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100399096C (zh) * | 2005-10-20 | 2008-07-02 | 索尼株式会社 | 镜筒 |
-
2002
- 2002-12-05 JP JP2002353888A patent/JP2004184849A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN100399096C (zh) * | 2005-10-20 | 2008-07-02 | 索尼株式会社 | 镜筒 |
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