JP2004183054A - 自動車用高強度塗装鋼板 - Google Patents
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Abstract
【課題】自動車用鋼板において、引張強さTSが490MPa以上を確保でき、既存のりん酸亜鉛処理を行わなくても十分、塗装後の耐食性が確保できる高強度塗装鋼板を提供することを目的としてなされたものである。
【解決手段】C:0.05〜0.2質量%を必須で含み、Si:0.3〜2.5質量%、Mn:1.2〜2.8質量%、Cr:0.1〜6.0質量%、Al:0.005〜3.0質量%のうち、1種以上を含有する高張力鋼板の表面の全面または一部に、中間層として総Cr付着量10〜150mg/m2のクロメート皮膜を形成し、上層として塗料全固形分に対して5〜30質量%の防錆顔料、10〜70質量%の導電性材料、および、10〜85質量%の熱硬化性樹脂および架橋材からなる有機樹脂を必須成分とする塗膜を付着量1〜80g/m2の厚みで形成することを特徴とする自動車用高強度塗装鋼板。
【選択図】 なし
【解決手段】C:0.05〜0.2質量%を必須で含み、Si:0.3〜2.5質量%、Mn:1.2〜2.8質量%、Cr:0.1〜6.0質量%、Al:0.005〜3.0質量%のうち、1種以上を含有する高張力鋼板の表面の全面または一部に、中間層として総Cr付着量10〜150mg/m2のクロメート皮膜を形成し、上層として塗料全固形分に対して5〜30質量%の防錆顔料、10〜70質量%の導電性材料、および、10〜85質量%の熱硬化性樹脂および架橋材からなる有機樹脂を必須成分とする塗膜を付着量1〜80g/m2の厚みで形成することを特徴とする自動車用高強度塗装鋼板。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度鋼板に係わり、更に詳しくは優れた溶接性と耐食性を有し、自動車用高強度鋼板として好適な高強度塗装鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車分野においては衝突時に乗員を保護するような機能の確保と共に燃費向上を目的とした軽量化を両立させるために、めっき鋼板の高強度化が必要とされてきている。
【0003】
加工性を悪化させずに鋼板を高強度化するためには、Si、Mn、Cr、Alといった元素を添加することが有効であるが、これらの元素の添加は一般にりん酸亜鉛の反応性を低下させ、塗装後の耐食性を劣化させる。このため、こうした高強度鋼板を自動車に使用していくためには、既存のりん酸亜鉛処理を行わなくても十分、塗装後の耐食性が確保できる高強度鋼板が必要となる。
【0004】
自動車の製造工程における塗装工程を省略するためには、予め塗装された鋼板を使用する方法が考えられるが、この場合、自動車用鋼板は一般に通電抵抗溶接にて溶接されるためこの溶接性が重要となる。
【0005】
溶接が可能で自動車の塗装工程が省略できる鋼板として、従来から種々の塗装鋼板が開発されてきた。例えば、導電性樹脂被覆層を鋼板表面に形成した鋼板が知られており、その一般的な構成は、めっき鋼板に下地処理層を介して導電性顔料や防錆顔料を含有した有機皮膜を塗布したものである。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−270131号公報
【特許文献2】
特開平9−23480号公報
【特許文献3】
特開平10−128906号公報
【特許文献4】
特開平11−5269号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記及びその他これまで開示された塗装鋼板は、すでに自動車用途に使用されているりん酸亜鉛処理性の良い冷延鋼板やめっき鋼板に下地処理層を介して導電性顔料や防錆顔料を含有した有機皮膜を塗布したものであり、りん酸亜鉛処理性の劣る高強度鋼板について十分検討されていない。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決して、既存の自動車製造ラインで組み立て溶接が可能で、引張強さTSが490MPa以上を確保でき、既存のりん酸亜鉛処理を行わなくても十分、塗装後の耐食性が確保できる高強度塗装鋼板を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、溶接が可能で塗装後の耐食性が確保できる高強度鋼板の開発について鋭意研究を重ねた結果、高強度鋼板にクロメート処理層を介して導電性材料や防錆顔料を最適量含有した有機皮膜を塗布することにより、溶接性を確保したまま耐食性を向上させることができるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の趣旨とするところは、以下のとおりである。
【0010】
(1) C:0.05〜0.2質量%、
Si:0.3〜2.5質量%、
Mn:1.2〜2.8質量%、
Cr:0.1〜6.0質量%、
Al:0.005〜3.0質量%
のうち、一種以上を含有する高張力鋼板の表面の全面又は一部に、中間層として総Cr付着量10〜150mg/m2のクロメート皮膜を形成し、上層として塗料全固形分に対して5〜30質量%の防錆顔料、10〜70質量%の導電性材料、及び、10〜85質量%の熱硬化性樹脂及び架橋材からなる有機樹脂を必須成分とする塗膜を付着量1〜80g/m2の厚みで形成することを特徴とする自動車用高強度塗装鋼板。
【0011】
(2) 前記有機皮膜中の導電性材料の一種が、50質量%以上のSiを含有する合金又は化合物、もしくはそれらの複合体であることを特徴とする前記(1)に記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0012】
(3) 前記有機皮膜中の導電性材料の一種が、70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンであることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0013】
(4) 前記有機皮膜中の導電性材料の一種が、リン化鉄であることを特徴とする前記(1)に記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0014】
(5) 前記有機皮膜中の防錆顔料がケイ酸イオン、リン酸イオン、バナジン酸イオンのうち一種類以上を放出するものであることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0015】
(6) 前記有機皮膜中に、更に粒状潤滑機能付与剤を2〜15質量%含有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0016】
(7) 粒状潤滑機能付与剤:2〜15質量%を含有する厚さ0.5〜5μmのアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜を両面又は片面の表面に有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
(8) 前記アルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜が、シリカ粒子:1〜30質量%を更に含有することを特徴とする前記(7)に記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0017】
(9) 前記粒状潤滑機能付与剤が、ポリオレフィン系ワックス、フッ素系ワックス、パラフィン系ワックス、ステアリン酸系ワックスのうちの一種又は2種以上からなることを特徴とする前記(6)乃至(8)のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明において、塗装鋼板とは、高強度鋼板上にクロメート皮膜、及び有機皮膜からなる層を順次付与したものである。本発明の下地鋼板としては、熱延鋼板、冷延鋼板共に使用できる。
【0020】
本発明の高強度鋼板は、加工性を悪化させずに鋼板を高強度化するために、低炭素鋼にSi、Mn、Cr、Alといった元素を添加した鋼板である。
【0021】
Cはマルテンサイトや残留オーステナイトによる組織強化で鋼板を高強度化しようとする場合に必須の元素である。Cの含有量を0.05%以上とする理由は、Cが0.05%未満では必要とする引張強さの確保が困難であるためである。一方、Cの含有量を0.2%以下とする理由は、Cが0.2%を超えると、スポット溶接で健全な溶接部を形成することが困難となると同時にCの偏析が顕著となり加工性が劣化するためである。
【0022】
Siは鋼板の加工性、特に伸びを大きく損なうことなく強度を増す元素として0.3〜2.5%添加する。Siの含有量を0.3%以上とする理由は、Siが0.3%未満では必要とする引張強さの確保が困難であるためであり、Siの含有量を2.5%以下とする理由は、Siが2.5%を超えると強度を増す効果が飽和すると共に延性の低下が起こるためである。
【0023】
MnはCと共にオーステナイトの自由エネルギーを下げるため、めっき浴に鋼帯を浸漬するまでの間にオーステナイトを安定化する目的で1.2%以上添加する。しかし添加量が過大になるとスラブに割れが生じやすく、またスポット溶接性も劣化するため、2.8%を上限とする。
【0024】
Crは0.1%以上で強化を増す効果が現れるため、0.1%以上添加する。ただし、6.0%を超えて添加しても強化を増す効果が飽和し、強度向上が見られなくなるため、含有量は6.0%以下とする。
【0025】
Alは鋼の脱酸元素として、またAlNによる熱延素材の細粒化、及び一連の熱処理工程における結晶粒の粗大化を抑制し材質を改善するために0.005%以上添加する必要がある。また、0.1%を超えると強度を増す効果も得られる。ただし、3.0%を超えて添加しても強度を増す効果が飽和し、強度向上が見られなくなるため、含有量は3.0%以下とする。好ましい範囲は0.1〜3.0%である。
【0026】
次に、クロメート皮膜の付着量は総Cr量として10〜150mg/m2とする。10mg/m2では有機被膜の密着性が不十分であり、耐食性が劣化する。150mg/m2を超えると溶接性、プレス加工性が悪化し、実用上好ましくない。より好ましい範囲は総Cr量として20〜100mg/m2である。なお、クロメート皮膜の水可溶分は30%以下、好ましくは20%以下が良い。水可溶分が30%を超えると、可溶性のCr6+が多く含まれるため、耐クロム溶出性あるいは耐水膨潤性が低下し、上層塗膜の二次密着性低下、あるいは有機複合めっき鋼板としての高い耐食性能は得られにくい。また、必要に応じて微粒シリカやシランカップリング剤などを添加したものが使用できる。クロメートの塗布方法としては、電解クロメート処理、ロールコート、スプレー塗布など公知の方法のうち任意の手段で形成して良い。
【0027】
上層の有機塗膜は、塗膜中の防錆顔料の作用により鋼板の耐食性を増加させつつ、抵抗溶接を実現するために必要な導電性を有する。塗膜の膜厚は、片面あたり1〜80g/m2が望ましい。膜厚1g/m2未満では耐食性に劣り、膜厚80g/m2を超えると、有機塗膜層の電気抵抗が増加して溶接性が低下する。鋼板の溶接性を重視する場合は、塗膜の膜厚は1〜20g/m2、耐食性を重視する場合は、塗膜の膜厚は20〜80g/m2の範囲が望ましい。
【0028】
塗膜中の防錆顔料は、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、クロム酸アンモニウム、及び、重クロム酸アンモニウムなど公知の防錆顔料を用いることができる。いずれもクロム酸塩なので、前述のクロメート被膜と同様に、クロム含有成分が金属の表面を不働態化することで、特に鋼板の切断端面の耐食性を向上させる。
【0029】
また、防錆顔料として6価クロム化合物の使用を回避したい場合は、水及び酸素の存在する環境下で、ケイ酸イオン、リン酸イオン、バナジン酸イオンのうち一種類以上を放出するものなどを用いることができる。これらのイオンはオキシダイザー機能により防錆性を発揮する。
【0030】
有機皮膜の防錆力を発揮させるためには、有機皮膜層中にケイ酸イオン、リン酸イオン、バナジン酸イオンのうち一種類以上が存在すれば良く、ケイ酸イオン、リン酸イオン及びバナジン酸イオンがそのまま存在しても、水及び酸素の存在する環境下でケイ酸イオン、リン酸イオン及びバナジン酸イオンを放出する物質を含んでも良い。
【0031】
ケイ酸イオンを放出する防錆顔料に用いられるケイ素化合物としては、種々の金属とケイ素の化合物、ケイ素の酸化物や種々の金属のケイ酸塩などが挙げられる。
【0032】
リン酸イオンを放出する防錆顔料に用いられるリン化物としては、オルトリン酸、縮合リン、種々の金属のオルトリン酸塩又は縮合リン酸塩、五酸化リン、リン酸塩鉱物、市販の複合リン酸塩顔料、又はこれらの混合物が挙げられる。
バナジン酸イオンを放出する防錆顔料に用いるバナジウム化合物は、バナジウムの原子価が0、2、3、4又は5のいずれか又は2種以上を有する化合物であり、これらの酸化物、水酸化物、種々の金属の酸素酸塩、バナジル化合物、ハロゲン化物、硫酸塩、金属粉などが挙げられる。
【0033】
これら防錆顔料は、塗膜中の含有量が5質量%未満では防錆効果が薄く、30質量%を超えると、通電経路を阻害し、溶接性を低下させる。溶接性を重視する場合は、防錆顔料の含有量が5〜15質量%、耐食性を重視する場合は15〜30質量%が望ましい。ただし、後述する導電性材料に防錆顔料としての効果を持たせたものはこの限りではない。
【0034】
塗膜中の導電性材料は、スポット溶接の際に塗膜中で相互に接触することで、溶接電流の経路となる。詳しくは、スポット溶接の際に鋼板が溶接電極により加圧される時、導電性材料が塗膜を一部破壊して相互に接触することで、溶接電極からめっき面に至る通電経路が確保されることになる。
【0035】
導電性材料としては、金属、金属元素の合金又は金属間化合物の粒子、SUS粉末、導電性カーボンのうち一種あるいは2種以上の組み合わせで使用が可能である。また、その平均粒径は1〜30μm、が良い。平均粒径が1μm未満では塗料中で二次凝集し、粗粒化して粒発生の原因となり、また塗膜としての加工強度の低下を招くため好ましくない。平均粒径が30μmを超えると塗膜外観がざらつきのある粗面と化し、型カジリやプレス品の加工部と非加工部とで外観ムラを生じやすく、品質上好ましくない。
【0036】
導電性材料として使用される金属、金属元素の合金又は金属間化合物の粒子としては、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、コバルト、マンガン、クロム、鉄、ニッケル、亜鉛、モリブデン、タングステン、錫、銅、鉛、亜鉛−アルミニウム合金、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金、亜鉛−鉄合金、亜鉛−クロム合金、亜鉛−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金、鉄−クロム合金、リン化鉄、フェロマンガン、フェロシリコン、フェロタングステン、フェロモリブデン、フェロバナジウム、フェロチタン、フェロニッケル、フェロボロン、フェロニオブ等を使用することができる。
【0037】
特にシリコンを含有する合金又は金属間化合物の粒子は、前述したように耐食性を向上させる効果も兼ね備えているため好ましい。本発明において、導電性材料に防錆顔料としての機能も持たせるためには、粒子中のシリコンの含有量を50質量%以上とする。
【0038】
本発明においては、特にシリコン70質量%以上のフェロシリコンを用いることが好ましい。具体的にはJIS G 2302(1986)のフェロシリコン2号、3号及び6号に相当するSi/Fe合金(Si含有量:80質量%以下)などを導電性粒子として用いることで導電性を確保できると同時に飛躍的に耐食性が向上する。
【0039】
導電性材料の塗膜中の含有量は10質量%以上70質量%以下が望ましい。これは導電性材料の塗膜中の含有量が10質量%未満では、塗膜の接触抵抗が高く導電機能が十分ではないため、適正電流範囲が狭く、また電極への有機塗膜燃焼残渣付着による連続打点性低下などをおこし、溶接性向上効果が低いためである。また、70質量%を超えると樹脂のバインダーとして機能を超えるため、ロール塗装などの均一塗装技術に支障をきたし、塗膜として固化したとしても密着性に難があり、耐食性が劣化するためである。
【0040】
有機塗膜の基剤となる有機樹脂は熱硬化性樹脂と架橋剤からなる。熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、エポキシ−ウレタン樹脂、変性エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリル−エポキシ樹脂、アクリル−フェノール樹脂、アクリル−フェノール−エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、イソシアネート硬化型アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、酸無水物変性ポリプロピレン樹脂等が挙げられ、一種又は2種以上を組み合わせて使用する。エポキシ樹脂の場合には各種のアミン、ポリアミド、酸及び酸無水物等の硬化剤を添加しても良い。
【0041】
架橋剤としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂やブロックイソシアネート化合物等を用いるのが好ましい。熱硬化性樹脂/架橋剤の重量比は50:50〜95:5の範囲に設定するのが好ましい。
【0042】
上記熱硬化性樹脂及び架橋剤からなる有機樹脂の塗料に占める含有量は、塗料固形分を基準にして10〜85質量%とする。有機樹脂の含有量が10質量%未満であると樹脂のバインダーとして機能が低下するため、ロール塗装などの均一塗装技術に支障をきたし、塗膜として固化したとしても密着性に難があり、耐食性が劣化する。また、85質量%を超えると導電性材料、防錆顔料の含有量が十分でないため溶接性、耐食性の一方又は両方が低下する。
【0043】
有機塗膜は溶剤型、水溶性型いずれでも良く、例えばエポキシ樹脂、アルキド樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルエチレン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂などのうち、一種類又は2種類以上の混合物が使用できる。必要に応じて硬化剤、着色顔料、あるいはその他添加材を加えても良い。被覆方法は、ロールコート、スプレーコート、カーテンフローコートなどの公知のいずれの方法であっても良い。
【0044】
鋼板が、特に厳しい成形加工を施される場合、粒状潤滑機能付与剤を塗膜中に含有することで、塗膜の摩擦抵抗値を低下させ、成形時の型かじりを軽減することが可能である。粒状潤滑機能付与剤の添加量は、質量%で2%未満では要求される潤滑効果が得られず、15%を超えると皮膜強度が低下したり、潤滑付与剤の剥離が発生するなどの問題があるため、2〜15質量%が好ましい。
【0045】
これら粒状潤滑機能付与剤は表面の摩擦係数を低減することにより更に潤滑性を付与し、かじり等を防止してプレス加工性、しごき加工性を向上する作用を有している。潤滑機能付与剤としては、得られる皮膜に潤滑性能を付与するものであれば良いが、ポレオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、フッ素系(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等)、パラフィン系、ステアリン酸系ワックスのうちの一種又は2種以上からなるものが好ましい。
【0046】
また、塗膜中に粒状潤滑機能付与剤を添加することが困難な場合には、導電性顔料を添加した塗膜の上に更に粒状潤滑機能付与剤2〜15質量%を含有する厚さ0.5〜5μmのアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜を塗装して使用することも可能である。アルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜は、アルカリ脱脂液等で簡単に脱膜可能であるため、潤滑の必要なプレスが終了した後にアルカリ脱脂を行うことで、その後の製造工程に影響を与えず使用可能となる。
【0047】
アルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜に添加する粒状潤滑機能付与剤の添加量は、質量%で2%未満では要求される潤滑効果が得られず、15%を超えると皮膜強度が低下したり、潤滑付与剤の剥離が発生するなどの問題があるため、2〜15質量%が好ましい。
【0048】
また、粒状潤滑機能付与剤としては、ポレオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、フッ素系(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等)、パラフィン系、ステアリン酸系ワックスのうちの一種又は2種以上からなるものが好ましい。
【0049】
アルカリ可溶型樹脂皮膜には、ポリエチレングリコール系、ポリプロピレングリコール系、ポリビニルアルコール系、アクリル系、ポリエステル系などがあるが、アルカリ溶解可能とするために、樹脂水分散体又は水溶性樹脂でなければならない。ポリエチレングリコール系では、皮膜形成性の観点から、平均分子量3000以上のポリエチレングリコール及び変性ポリエチレングリコールが挙げられる。変性ポリエチレングリコールとしては、イソシアネート変性ポリエチレングリコール、エポキシ変性ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0050】
ポリプロピレングリコール系では、皮膜形成性の観点から、平均分子量3000以上のポリプロピレングリコール及び変性ポリプロピレングリコールが挙げられる。変性ポリプロピレングリコールとしては、イソシアネート変性ポリプロピレングリコール、エポキシ変性ポリプロピレングリコール等が挙げられる。ポリビニルアルコール系では、完全ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。変性ポリビニルアルコールとしては、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、スルホン酸ポリビニルアルコール、アセトアセチル基ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0051】
アクリル系としては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸、イタコン酸の共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸2ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどがある。共重合体としては、スチレン、アクリルアミド、酢酸ビニル、アクリルニトリル、などが挙げられる。
【0052】
ポリエステル系については、ポリエステルを構成する多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3ブチレングリコール、1、6ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングルコールなどが挙げられ、多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0053】
本発明の高強度塗装鋼板に被覆される潤滑樹脂皮膜の厚さは、0.5μm未満であるとプレス加工時の押圧による、型かじりや傷の発生を防止できず、かつ摺動が加わるために要求される加工性を得ることができない。この効果は、厚さが5μmまでで顕著であるが、これを超えても効果は変わらない。従って、潤滑樹脂被膜の厚さは0.5〜5μmの範囲とする。また、本発明の潤滑樹脂皮膜は目的に応じて板の両面又は片面に被覆される。
【0054】
本発明のアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜には必要に応じてシリカ粒子を添加することができる。シリカ粒子は、水分散性コロイダルシリカ、粉砕シリカ、気相法シリカなどいずれのシリカ粒子であっても良い。皮膜の加工性、耐食性発現を考慮すると、1次粒子径は2〜30nmで、二次凝集粒子径は100nm以下が好ましい。シリカの添加量としては1〜30質量%が好ましい。1質量%未満では、下層との密着性向上効果が得られない。30質量%を超えると皮膜の伸びが減少するため加工性が低下し、型かじりが発生しやすくなる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0056】
(実施例1)
まず、厚さ0.8mmの冷延鋼板を用意し、クロメート処理を施した後、エポキシ樹脂をベースとした塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けた。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。使用した冷延鋼板の組成を表1に示す。引張強さと伸びは、JIS5号試験片を切り出し、常温での引張試験を行うことにより求めた。また、クロメート処理付着量及び塗膜の詳細は表2に示す。防錆顔料にはクロム酸ストロンチウムを使用し、導電性材料には平均粒径3〜30μmのリン化鉄(Fe2P)を使用した。
【0057】
得られた塗装鋼板は、下記に示す評価試験により溶接性と耐食性を評価した。
【0058】
(1)溶接性試験
スポット溶接による、試験板の連続溶接性を調査した。試験方法として、まず、適正溶接電流範囲を求め、しかる後に、限界連続溶接打点数を求めた。適正溶接範囲は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表2の塗装を両面に施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:下記の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルに設定
{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼適正溶接電流範囲:▲4▼の溶接パターンに従い、溶接電流値を0.2kAずつ変化させ、ナゲット径3.6mm以上を確保できる最低電流値を下限電流値、試験板と電極との間に強い溶着を生じる最低電流値を上限電流値と定義。適正溶接電流範囲は下限電流値と上限電流値の間。
【0059】
限界連続溶接打点数は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表2の塗装を施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:次の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルとする。{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼溶接電流値:先に求めた適正溶接電流範囲の中間値=(下限電流値+上限電流値)/2
▲6▼限界連続溶接打点:▲1▼〜▲5▼の条件で2枚組の試験片を連続溶接。打点速度は1点/3秒。
【0060】
試験片間に形成されるナゲットの直径が3.6mm未満とならない最大連続打点数を限界連続打点数とし、以下に示す評点づけで判定した。評点は3以上を合格とした。
1:連続打点数100点未満
2:連続打点数100点以上500点未満
3:連続打点数500点以上1000点未満
4:連続打点数1000点以上
【0061】
(2) 端面耐食性試験
端面耐食性は、表2の塗装後150×70mmに切断した試験片の切断端面における赤錆の発生面積率を調査した。試験は上下の端面をシールした試験片を鉛直線に対し20°の角度で設置し、5%、35℃の塩水を1000時間噴霧した後、切断ままの左右の端面の赤錆発生面積率を以下に示す評点づけで判定した。評点は2以上を合格とした。
1:端面の赤錆面積率50%以上
2:赤錆面積率5%以上50%未満
3:赤錆面積率5%未満
【0062】
(3) 塗装後耐食性試験
塗装後耐食性では、表2の塗装後150×70mmに切断した試験片に電着塗装5μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装していない比較用の鋼板は、標準条件でリン酸亜鉛処理を行った後、電着塗装20μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装後耐食性は、カッターにより素地に達するクロスカットを付与し、CCT150サイクル後のカット部からの塗膜膨れ幅を以下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は2以上を合格とした。
1:片面最大錆幅5mm以上
2:片面最大錆幅2mm以上5mm未満
3:片面最大錆幅2mm未満
【0063】
評価結果を表2に示す。番号1〜13のクロメート処理及び塗装を行っていない高強度鋼板は、リン酸亜鉛被膜が十分析出しないため塗装密着性が悪く、塗装後耐食性が不合格となった。番号14、43はクロメート被膜の付着量が本発明外のため端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号18、47はクロメート被膜の付着量が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号19、48は塗膜付着量が本発明外のため端面耐食性が不合格となった。番号23、52は塗膜付着量が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号24、53は防錆顔料の含有率が本発明外のため端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号27、56は防錆顔料の含有率が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号28、57は導電性材料の含有率が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号31、60は導電性材料の含有率が本発明外のため塗装密着性が悪く、端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号32、61は有機樹脂の含有率が本発明外のため塗装密着性が悪く、端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な溶接性、端面耐食性、塗装後耐食性を示した。
【0064】
(実施例2)
まず、厚さ0.8mmの表1に示す冷延鋼板を用意し、クロメート処理を施した後、エポキシ樹脂をベースとした塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けた。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。また、クロメート処理付着量及び塗膜の詳細は表3に示す。防錆顔料には第2リン酸マグネシウムを使用し、導電性材料には平均粒径3〜30μmのフェロシリコン(Fe:20%、Si:80%)を使用した。
【0065】
得られた塗装鋼板は、下記に示す評価試験により溶接性と耐食性を評価した。
【0066】
(1) 溶接性試験
スポット溶接による、試験板の連続溶接性を調査した。試験方法として、まず、適正溶接電流範囲を求め、しかる後に、限界連続溶接打点数を求めた。適正溶接範囲は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表3の塗装を施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:下記の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルに設定
{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼適正溶接電流範囲:▲4▼の溶接パターンに従い、溶接電流値を0.2kAずつ変化させ、ナゲット径3.6mm以上を確保できる最低電流値を下限電流値、試験板と電極との間に強い溶着を生じる最低電流値を上限電流値と定義。適正溶接電流範囲は下限電流値と上限電流値の間。
【0067】
限界連続溶接打点数は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表3の塗装を両面に施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:次の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルとする。{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼溶接電流値:先に求めた適正溶接電流範囲の中間値=(下限電流値+上限電流値)/2
▲6▼限界連続溶接打点:▲1▼〜▲5▼の条件で2枚組の試験片を連続溶接。打点速度は1点/3秒。
【0068】
試験片間に形成されるナゲットの直径が3.6mm未満とならない最大連続打点数を限界連続打点数とし、以下に示す評点づけで判定した。評点は2以上を合格とした。
1:連続打点数100点未満
2:連続打点数100点以上500点未満
3:連続打点数500点以上1000点未満
4:連続打点数1000点以上
【0069】
(2) 端面耐食性試験
端面耐食性は、表3の塗装後150×70mmに切断した試験片の切断端面における赤錆の発生面積率を調査した。試験は上下の端面をシールした試験片を鉛直線に対し20°の角度で設置し、5%、35℃の塩水を1000時間噴霧した後、切断ままの左右の端面の赤錆発生面積率を以下に示す評点づけで判定した。評点は2以上を合格とした。
1:端面の赤錆面積率50%以上
2:赤錆面積率5%以上50%未満
3:赤錆面積率5%未満
【0070】
(3) 塗装後耐食性試験
塗装後耐食性では、表3の塗装後150×70mmに切断した試験片に電着塗装5μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装していない比較用の鋼板は、標準条件でリン酸亜鉛処理を行った後、電着塗装20μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装後耐食性は、カッターにより素地に達するクロスカットを付与し、CCT150サイクル後のカット部からの塗膜膨れ幅を以下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は2以上を合格とした。
1:片面最大錆幅5mm以上
2:片面最大錆幅2mm以上5mm未満
3:片面最大錆幅2mm未満
【0071】
評価結果を表3に示す。番号1〜13のクロメート処理及び塗装を行っていない高強度鋼板は、リン酸亜鉛被膜が十分析出しないため塗装密着性が悪く、塗装後耐食性が不合格となった。番号14、43はクロメート被膜の付着量が本発明外のため端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号18、47はクロメート被膜の付着量が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号19、48は塗膜付着量が本発明外のため端面耐食性が不合格となった。番号23、52は塗膜付着量が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号27、56は防錆顔料の含有率が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号28、57は導電性材料の含有率が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号31、60は導電性材料の含有率が本発明外のため塗装密着性が悪く、端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号32、61は有機樹脂の含有率が本発明外のため塗装密着性が悪く、端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な溶接性、端面耐食性、塗装後耐食性を示した。番号24、53は防錆顔料の含有率が本発明外であるが、導電性材料として使用しているフェロシリコンが防錆顔料としての効果も持つため、良好な端面耐食性と塗装後耐食性を示した。これら以外はいずれも良好な溶接性、端面耐食性、塗装後耐食性を示した。
【0072】
(実施例3)
まず、厚さ0.8mmの表1に示す冷延鋼板を用意し、クロメート処理を付着量70mg/m2施した後、エポキシ樹脂をベースとした塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けた。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。防錆顔料には表4に示す粒子を使用し、導電性材料には表4に示す物質を使用した。
【0073】
得られた塗装鋼板は、下記に示す評価試験により溶接性と耐食性を評価した。
【0074】
(1) 溶接性試験
スポット溶接による、試験板の連続溶接性を調査した。試験方法として、まず、適正溶接電流範囲を求め、しかる後に、限界連続溶接打点数を求めた。適正溶接範囲は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表4の塗装を施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:下記の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルに設定
{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼適正溶接電流範囲:▲4▼の溶接パターンに従い、溶接電流値を0.2kAずつ変化させ、ナゲット径3.6mm以上を確保できる最低電流値を下限電流値、試験板と電極との間に強い溶着を生じる最低電流値を上限電流値と定義。適正溶接電流範囲は下限電流値と上限電流値の間。
【0075】
限界連続溶接打点数は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表4の塗装を両面に施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:次の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルとする。{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼溶接電流値:先に求めた適正溶接電流範囲の中間値=(下限電流値+上限電流値)/2
▲6▼限界連続溶接打点:▲1▼〜▲5▼の条件で2枚組の試験片を連続溶接。打点速度は1点/3秒。
【0076】
試験片間に形成されるナゲットの直径が3.6mm未満とならない最大連続打点数を限界連続打点数とし、以下に示す評点づけで判定した。評点は2以上を合格とした。
1:連続打点数100点未満
2:連続打点数100点以上500点未満
3:連続打点数500点以上1000点未満
4:連続打点数1000点以上
【0077】
(2) 端面耐食性試験
端面耐食性は、表4の塗装後150×70mmに切断した試験片の切断端面における赤錆の発生面積率を調査した。試験は上下の端面をシールした試験片を鉛直線に対し20°の角度で設置し、5%、35℃の塩水を1000時間噴霧した後、切断ままの左右の端面の赤錆発生面積率を以下に示す評点づけで判定した。評点は2以上を合格とした。
1:端面の赤錆面積率50%以上
2:赤錆面積率5%以上50%未満
3:赤錆面積率5%未満
【0078】
(3) 塗装後耐食性試験
塗装後耐食性では、表4の塗装後150×70mmに切断した試験片に電着塗装5μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装していない比較用の鋼板は、標準条件でリン酸亜鉛処理を行った後、電着塗装20μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装後耐食性は、カッターにより素地に達するクロスカットを付与し、CCT150サイクル後のカット部からの塗膜膨れ幅を以下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は2以上を合格とした。
1:片面最大錆幅5mm以上
2:片面最大錆幅2mm以上5mm未満
3:片面最大錆幅2mm未満
【0079】
評価結果を表4に示す。番号19、39、59は防錆顔料の含有率が本発明外のため端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号20、40、60は防錆顔料の含有率が本発明外であるが、導電性材料として使用しているフェロシリコンのシリコン含有量が50%以上あるため防錆顔料としての効果も合わせ持ち、良好な端面耐食性と塗装後耐食性を示した。これら以外はいずれも良好な溶接性、端面耐食性、塗装後耐食性を示した。
【0080】
(実施例4)
まず、厚さ0.8mmの表1に示す冷延鋼板を用意し、クロメート処理を付着量70mg/m2施した後、エポキシ樹脂をベースとした塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けた。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。また、得られた塗膜中の防錆顔料、導電性材料、個体潤滑剤の種類と含有率を表5に示す。
【0081】
成形性は、円筒深絞り試験をポンチ直径5mm、ポンチ肩半径5mm、無塗油の条件で実施し、しわ押さえ荷重5kN、ブランク径100mmで絞り抜けたものを合格、途中で破断し、絞り抜けなかったものを不合格とした。また、深絞り試験後の樹脂カス発生状況を評価し、樹脂カスが発生していないかわずかに発生したものを合格、樹脂カスが明らかに発生しているものを不合格とした。
【0082】
評価結果を表5に示す。番号38、40は個体潤滑剤の含有率が本発明外のため成形性が不合格となった。番号39は個体潤滑剤の含有率が本発明外のため深絞り試験後に樹脂カスが発生し不合格となった。これら以外はいずれも良好な成形性を示し、樹脂カスの発生も見られなかった。
【0083】
(実施例5)
まず、厚さ0.8mmの表1に示す冷延鋼板を用意し、クロメート処理を付着量70mg/m2施した後、エポキシ樹脂をベースとした塗料を付着量20g/m2バーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けた。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。塗膜は、防錆顔料にクロム酸ストロンチウムを10mass%使用し、導電性材料に平均粒径5μmのリン化鉄(Fe2P)を50mass%使用した塗膜Xと、防錆顔料に第2リン酸マグネシウムを10mass%使用し、導電性材料に平均粒径5μmのフェロシリコン(Fe:20%、Si:80%)を50mass%使用した塗膜Yを使用した。
【0084】
次に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリル樹脂の水溶液又は水分散体に、ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、合成パラフィンワックス、ステアリン酸カルシウムワックス、及びコロイダルシリカを表6に示す組成、膜厚で混合し、バーコーターで塗装後、熱風乾燥炉で焼き付けた。
【0085】
成形性は、円筒深絞り試験をポンチ直径5mm、ポンチ肩半径5mm、無塗油の条件で実施し、しわ押さえ荷重5kN、ブランク径100mmで絞り抜けたものを合格、途中で破断し、絞り抜けなかったものを不合格とした。また、深絞り試験後の樹脂カス発生状況を評価し、樹脂カスが発生していないかわずかに発生したものを合格、樹脂カスが明らかに発生しているものを不合格とした。
【0086】
脱膜性は、試験片に市販のアルカリ脱脂液(70℃)を30秒間スプレーし、水洗、乾燥後、赤外分光分析を使用して被膜残存率を測定した。評価は被膜残存が5%未満であったものを合格、被膜残存が5%以上であったものを不合格とした。
【0087】
評価結果を表6に示す。番号20、23、43、46は脱膜潤滑樹脂の膜厚が本発明外のため成形性が不合格となった。番号21、44は個体潤滑剤の含有率が本発明外のため成形性が不合格となった。番号22、45は個体潤滑剤の含有率が本発明外のため深絞り試験後に樹脂カスが発生し不合格となった。これら以外はいずれも良好な成形性を示し、樹脂カスの発生も見られず、潤滑被膜はアルカリ脱脂液で脱膜可能であった。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
【表6】
【0094】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明により、りん酸亜鉛処理を行わなくても塗装後の耐食性が確保できる高強度鋼板を製造することが可能となり、工業上極めて優れた効果を奏することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度鋼板に係わり、更に詳しくは優れた溶接性と耐食性を有し、自動車用高強度鋼板として好適な高強度塗装鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車分野においては衝突時に乗員を保護するような機能の確保と共に燃費向上を目的とした軽量化を両立させるために、めっき鋼板の高強度化が必要とされてきている。
【0003】
加工性を悪化させずに鋼板を高強度化するためには、Si、Mn、Cr、Alといった元素を添加することが有効であるが、これらの元素の添加は一般にりん酸亜鉛の反応性を低下させ、塗装後の耐食性を劣化させる。このため、こうした高強度鋼板を自動車に使用していくためには、既存のりん酸亜鉛処理を行わなくても十分、塗装後の耐食性が確保できる高強度鋼板が必要となる。
【0004】
自動車の製造工程における塗装工程を省略するためには、予め塗装された鋼板を使用する方法が考えられるが、この場合、自動車用鋼板は一般に通電抵抗溶接にて溶接されるためこの溶接性が重要となる。
【0005】
溶接が可能で自動車の塗装工程が省略できる鋼板として、従来から種々の塗装鋼板が開発されてきた。例えば、導電性樹脂被覆層を鋼板表面に形成した鋼板が知られており、その一般的な構成は、めっき鋼板に下地処理層を介して導電性顔料や防錆顔料を含有した有機皮膜を塗布したものである。
【0006】
【特許文献1】
特開昭63−270131号公報
【特許文献2】
特開平9−23480号公報
【特許文献3】
特開平10−128906号公報
【特許文献4】
特開平11−5269号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記及びその他これまで開示された塗装鋼板は、すでに自動車用途に使用されているりん酸亜鉛処理性の良い冷延鋼板やめっき鋼板に下地処理層を介して導電性顔料や防錆顔料を含有した有機皮膜を塗布したものであり、りん酸亜鉛処理性の劣る高強度鋼板について十分検討されていない。
【0008】
そこで、本発明は、上記問題点を解決して、既存の自動車製造ラインで組み立て溶接が可能で、引張強さTSが490MPa以上を確保でき、既存のりん酸亜鉛処理を行わなくても十分、塗装後の耐食性が確保できる高強度塗装鋼板を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、溶接が可能で塗装後の耐食性が確保できる高強度鋼板の開発について鋭意研究を重ねた結果、高強度鋼板にクロメート処理層を介して導電性材料や防錆顔料を最適量含有した有機皮膜を塗布することにより、溶接性を確保したまま耐食性を向上させることができるという新たな知見を見出し、本発明を完成するに至ったものである。
すなわち、本発明の趣旨とするところは、以下のとおりである。
【0010】
(1) C:0.05〜0.2質量%、
Si:0.3〜2.5質量%、
Mn:1.2〜2.8質量%、
Cr:0.1〜6.0質量%、
Al:0.005〜3.0質量%
のうち、一種以上を含有する高張力鋼板の表面の全面又は一部に、中間層として総Cr付着量10〜150mg/m2のクロメート皮膜を形成し、上層として塗料全固形分に対して5〜30質量%の防錆顔料、10〜70質量%の導電性材料、及び、10〜85質量%の熱硬化性樹脂及び架橋材からなる有機樹脂を必須成分とする塗膜を付着量1〜80g/m2の厚みで形成することを特徴とする自動車用高強度塗装鋼板。
【0011】
(2) 前記有機皮膜中の導電性材料の一種が、50質量%以上のSiを含有する合金又は化合物、もしくはそれらの複合体であることを特徴とする前記(1)に記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0012】
(3) 前記有機皮膜中の導電性材料の一種が、70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンであることを特徴とする前記(1)又は(2)記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0013】
(4) 前記有機皮膜中の導電性材料の一種が、リン化鉄であることを特徴とする前記(1)に記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0014】
(5) 前記有機皮膜中の防錆顔料がケイ酸イオン、リン酸イオン、バナジン酸イオンのうち一種類以上を放出するものであることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0015】
(6) 前記有機皮膜中に、更に粒状潤滑機能付与剤を2〜15質量%含有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0016】
(7) 粒状潤滑機能付与剤:2〜15質量%を含有する厚さ0.5〜5μmのアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜を両面又は片面の表面に有することを特徴とする前記(1)乃至(5)のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
(8) 前記アルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜が、シリカ粒子:1〜30質量%を更に含有することを特徴とする前記(7)に記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0017】
(9) 前記粒状潤滑機能付与剤が、ポリオレフィン系ワックス、フッ素系ワックス、パラフィン系ワックス、ステアリン酸系ワックスのうちの一種又は2種以上からなることを特徴とする前記(6)乃至(8)のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0019】
本発明において、塗装鋼板とは、高強度鋼板上にクロメート皮膜、及び有機皮膜からなる層を順次付与したものである。本発明の下地鋼板としては、熱延鋼板、冷延鋼板共に使用できる。
【0020】
本発明の高強度鋼板は、加工性を悪化させずに鋼板を高強度化するために、低炭素鋼にSi、Mn、Cr、Alといった元素を添加した鋼板である。
【0021】
Cはマルテンサイトや残留オーステナイトによる組織強化で鋼板を高強度化しようとする場合に必須の元素である。Cの含有量を0.05%以上とする理由は、Cが0.05%未満では必要とする引張強さの確保が困難であるためである。一方、Cの含有量を0.2%以下とする理由は、Cが0.2%を超えると、スポット溶接で健全な溶接部を形成することが困難となると同時にCの偏析が顕著となり加工性が劣化するためである。
【0022】
Siは鋼板の加工性、特に伸びを大きく損なうことなく強度を増す元素として0.3〜2.5%添加する。Siの含有量を0.3%以上とする理由は、Siが0.3%未満では必要とする引張強さの確保が困難であるためであり、Siの含有量を2.5%以下とする理由は、Siが2.5%を超えると強度を増す効果が飽和すると共に延性の低下が起こるためである。
【0023】
MnはCと共にオーステナイトの自由エネルギーを下げるため、めっき浴に鋼帯を浸漬するまでの間にオーステナイトを安定化する目的で1.2%以上添加する。しかし添加量が過大になるとスラブに割れが生じやすく、またスポット溶接性も劣化するため、2.8%を上限とする。
【0024】
Crは0.1%以上で強化を増す効果が現れるため、0.1%以上添加する。ただし、6.0%を超えて添加しても強化を増す効果が飽和し、強度向上が見られなくなるため、含有量は6.0%以下とする。
【0025】
Alは鋼の脱酸元素として、またAlNによる熱延素材の細粒化、及び一連の熱処理工程における結晶粒の粗大化を抑制し材質を改善するために0.005%以上添加する必要がある。また、0.1%を超えると強度を増す効果も得られる。ただし、3.0%を超えて添加しても強度を増す効果が飽和し、強度向上が見られなくなるため、含有量は3.0%以下とする。好ましい範囲は0.1〜3.0%である。
【0026】
次に、クロメート皮膜の付着量は総Cr量として10〜150mg/m2とする。10mg/m2では有機被膜の密着性が不十分であり、耐食性が劣化する。150mg/m2を超えると溶接性、プレス加工性が悪化し、実用上好ましくない。より好ましい範囲は総Cr量として20〜100mg/m2である。なお、クロメート皮膜の水可溶分は30%以下、好ましくは20%以下が良い。水可溶分が30%を超えると、可溶性のCr6+が多く含まれるため、耐クロム溶出性あるいは耐水膨潤性が低下し、上層塗膜の二次密着性低下、あるいは有機複合めっき鋼板としての高い耐食性能は得られにくい。また、必要に応じて微粒シリカやシランカップリング剤などを添加したものが使用できる。クロメートの塗布方法としては、電解クロメート処理、ロールコート、スプレー塗布など公知の方法のうち任意の手段で形成して良い。
【0027】
上層の有機塗膜は、塗膜中の防錆顔料の作用により鋼板の耐食性を増加させつつ、抵抗溶接を実現するために必要な導電性を有する。塗膜の膜厚は、片面あたり1〜80g/m2が望ましい。膜厚1g/m2未満では耐食性に劣り、膜厚80g/m2を超えると、有機塗膜層の電気抵抗が増加して溶接性が低下する。鋼板の溶接性を重視する場合は、塗膜の膜厚は1〜20g/m2、耐食性を重視する場合は、塗膜の膜厚は20〜80g/m2の範囲が望ましい。
【0028】
塗膜中の防錆顔料は、クロム酸ストロンチウム、クロム酸カルシウム、クロム酸亜鉛、クロム酸バリウム、クロム酸アンモニウム、及び、重クロム酸アンモニウムなど公知の防錆顔料を用いることができる。いずれもクロム酸塩なので、前述のクロメート被膜と同様に、クロム含有成分が金属の表面を不働態化することで、特に鋼板の切断端面の耐食性を向上させる。
【0029】
また、防錆顔料として6価クロム化合物の使用を回避したい場合は、水及び酸素の存在する環境下で、ケイ酸イオン、リン酸イオン、バナジン酸イオンのうち一種類以上を放出するものなどを用いることができる。これらのイオンはオキシダイザー機能により防錆性を発揮する。
【0030】
有機皮膜の防錆力を発揮させるためには、有機皮膜層中にケイ酸イオン、リン酸イオン、バナジン酸イオンのうち一種類以上が存在すれば良く、ケイ酸イオン、リン酸イオン及びバナジン酸イオンがそのまま存在しても、水及び酸素の存在する環境下でケイ酸イオン、リン酸イオン及びバナジン酸イオンを放出する物質を含んでも良い。
【0031】
ケイ酸イオンを放出する防錆顔料に用いられるケイ素化合物としては、種々の金属とケイ素の化合物、ケイ素の酸化物や種々の金属のケイ酸塩などが挙げられる。
【0032】
リン酸イオンを放出する防錆顔料に用いられるリン化物としては、オルトリン酸、縮合リン、種々の金属のオルトリン酸塩又は縮合リン酸塩、五酸化リン、リン酸塩鉱物、市販の複合リン酸塩顔料、又はこれらの混合物が挙げられる。
バナジン酸イオンを放出する防錆顔料に用いるバナジウム化合物は、バナジウムの原子価が0、2、3、4又は5のいずれか又は2種以上を有する化合物であり、これらの酸化物、水酸化物、種々の金属の酸素酸塩、バナジル化合物、ハロゲン化物、硫酸塩、金属粉などが挙げられる。
【0033】
これら防錆顔料は、塗膜中の含有量が5質量%未満では防錆効果が薄く、30質量%を超えると、通電経路を阻害し、溶接性を低下させる。溶接性を重視する場合は、防錆顔料の含有量が5〜15質量%、耐食性を重視する場合は15〜30質量%が望ましい。ただし、後述する導電性材料に防錆顔料としての効果を持たせたものはこの限りではない。
【0034】
塗膜中の導電性材料は、スポット溶接の際に塗膜中で相互に接触することで、溶接電流の経路となる。詳しくは、スポット溶接の際に鋼板が溶接電極により加圧される時、導電性材料が塗膜を一部破壊して相互に接触することで、溶接電極からめっき面に至る通電経路が確保されることになる。
【0035】
導電性材料としては、金属、金属元素の合金又は金属間化合物の粒子、SUS粉末、導電性カーボンのうち一種あるいは2種以上の組み合わせで使用が可能である。また、その平均粒径は1〜30μm、が良い。平均粒径が1μm未満では塗料中で二次凝集し、粗粒化して粒発生の原因となり、また塗膜としての加工強度の低下を招くため好ましくない。平均粒径が30μmを超えると塗膜外観がざらつきのある粗面と化し、型カジリやプレス品の加工部と非加工部とで外観ムラを生じやすく、品質上好ましくない。
【0036】
導電性材料として使用される金属、金属元素の合金又は金属間化合物の粒子としては、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、コバルト、マンガン、クロム、鉄、ニッケル、亜鉛、モリブデン、タングステン、錫、銅、鉛、亜鉛−アルミニウム合金、亜鉛−アルミニウム−マグネシウム合金、亜鉛−鉄合金、亜鉛−クロム合金、亜鉛−ニッケル合金、鉄−ニッケル合金、鉄−クロム合金、リン化鉄、フェロマンガン、フェロシリコン、フェロタングステン、フェロモリブデン、フェロバナジウム、フェロチタン、フェロニッケル、フェロボロン、フェロニオブ等を使用することができる。
【0037】
特にシリコンを含有する合金又は金属間化合物の粒子は、前述したように耐食性を向上させる効果も兼ね備えているため好ましい。本発明において、導電性材料に防錆顔料としての機能も持たせるためには、粒子中のシリコンの含有量を50質量%以上とする。
【0038】
本発明においては、特にシリコン70質量%以上のフェロシリコンを用いることが好ましい。具体的にはJIS G 2302(1986)のフェロシリコン2号、3号及び6号に相当するSi/Fe合金(Si含有量:80質量%以下)などを導電性粒子として用いることで導電性を確保できると同時に飛躍的に耐食性が向上する。
【0039】
導電性材料の塗膜中の含有量は10質量%以上70質量%以下が望ましい。これは導電性材料の塗膜中の含有量が10質量%未満では、塗膜の接触抵抗が高く導電機能が十分ではないため、適正電流範囲が狭く、また電極への有機塗膜燃焼残渣付着による連続打点性低下などをおこし、溶接性向上効果が低いためである。また、70質量%を超えると樹脂のバインダーとして機能を超えるため、ロール塗装などの均一塗装技術に支障をきたし、塗膜として固化したとしても密着性に難があり、耐食性が劣化するためである。
【0040】
有機塗膜の基剤となる有機樹脂は熱硬化性樹脂と架橋剤からなる。熱硬化性樹脂としては、例えばエポキシ樹脂、エポキシ−ウレタン樹脂、変性エポキシ樹脂、フェノキシ樹脂、アクリル樹脂、アクリル−エポキシ樹脂、アクリル−フェノール樹脂、アクリル−フェノール−エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、変性ポリエステル樹脂、アルキッド樹脂、イソシアネート硬化型アクリル樹脂、ウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、酸無水物変性ポリプロピレン樹脂等が挙げられ、一種又は2種以上を組み合わせて使用する。エポキシ樹脂の場合には各種のアミン、ポリアミド、酸及び酸無水物等の硬化剤を添加しても良い。
【0041】
架橋剤としては、フェノール樹脂、メラミン樹脂やブロックイソシアネート化合物等を用いるのが好ましい。熱硬化性樹脂/架橋剤の重量比は50:50〜95:5の範囲に設定するのが好ましい。
【0042】
上記熱硬化性樹脂及び架橋剤からなる有機樹脂の塗料に占める含有量は、塗料固形分を基準にして10〜85質量%とする。有機樹脂の含有量が10質量%未満であると樹脂のバインダーとして機能が低下するため、ロール塗装などの均一塗装技術に支障をきたし、塗膜として固化したとしても密着性に難があり、耐食性が劣化する。また、85質量%を超えると導電性材料、防錆顔料の含有量が十分でないため溶接性、耐食性の一方又は両方が低下する。
【0043】
有機塗膜は溶剤型、水溶性型いずれでも良く、例えばエポキシ樹脂、アルキド樹脂、オイルフリーポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルエチレン樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂などのうち、一種類又は2種類以上の混合物が使用できる。必要に応じて硬化剤、着色顔料、あるいはその他添加材を加えても良い。被覆方法は、ロールコート、スプレーコート、カーテンフローコートなどの公知のいずれの方法であっても良い。
【0044】
鋼板が、特に厳しい成形加工を施される場合、粒状潤滑機能付与剤を塗膜中に含有することで、塗膜の摩擦抵抗値を低下させ、成形時の型かじりを軽減することが可能である。粒状潤滑機能付与剤の添加量は、質量%で2%未満では要求される潤滑効果が得られず、15%を超えると皮膜強度が低下したり、潤滑付与剤の剥離が発生するなどの問題があるため、2〜15質量%が好ましい。
【0045】
これら粒状潤滑機能付与剤は表面の摩擦係数を低減することにより更に潤滑性を付与し、かじり等を防止してプレス加工性、しごき加工性を向上する作用を有している。潤滑機能付与剤としては、得られる皮膜に潤滑性能を付与するものであれば良いが、ポレオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、フッ素系(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等)、パラフィン系、ステアリン酸系ワックスのうちの一種又は2種以上からなるものが好ましい。
【0046】
また、塗膜中に粒状潤滑機能付与剤を添加することが困難な場合には、導電性顔料を添加した塗膜の上に更に粒状潤滑機能付与剤2〜15質量%を含有する厚さ0.5〜5μmのアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜を塗装して使用することも可能である。アルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜は、アルカリ脱脂液等で簡単に脱膜可能であるため、潤滑の必要なプレスが終了した後にアルカリ脱脂を行うことで、その後の製造工程に影響を与えず使用可能となる。
【0047】
アルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜に添加する粒状潤滑機能付与剤の添加量は、質量%で2%未満では要求される潤滑効果が得られず、15%を超えると皮膜強度が低下したり、潤滑付与剤の剥離が発生するなどの問題があるため、2〜15質量%が好ましい。
【0048】
また、粒状潤滑機能付与剤としては、ポレオレフィン系(ポリエチレン、ポリプロピレン等)、フッ素系(ポリテトラフルオロエチレン、ポリクロロトリフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリフッ化ビニル等)、パラフィン系、ステアリン酸系ワックスのうちの一種又は2種以上からなるものが好ましい。
【0049】
アルカリ可溶型樹脂皮膜には、ポリエチレングリコール系、ポリプロピレングリコール系、ポリビニルアルコール系、アクリル系、ポリエステル系などがあるが、アルカリ溶解可能とするために、樹脂水分散体又は水溶性樹脂でなければならない。ポリエチレングリコール系では、皮膜形成性の観点から、平均分子量3000以上のポリエチレングリコール及び変性ポリエチレングリコールが挙げられる。変性ポリエチレングリコールとしては、イソシアネート変性ポリエチレングリコール、エポキシ変性ポリエチレングリコール等が挙げられる。
【0050】
ポリプロピレングリコール系では、皮膜形成性の観点から、平均分子量3000以上のポリプロピレングリコール及び変性ポリプロピレングリコールが挙げられる。変性ポリプロピレングリコールとしては、イソシアネート変性ポリプロピレングリコール、エポキシ変性ポリプロピレングリコール等が挙げられる。ポリビニルアルコール系では、完全ケン化型ポリビニルアルコール、部分ケン化型ポリビニルアルコール、変性ポリビニルアルコール等が挙げられる。変性ポリビニルアルコールとしては、カルボキシル基変性ポリビニルアルコール、スルホン酸ポリビニルアルコール、アセトアセチル基ポリビニルアルコール等が挙げられる。
【0051】
アクリル系としては、アクリル酸、メタアクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイン酸、イタコン酸の共重合体が挙げられる。アクリル酸エステルとしては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸2エチルヘキシル、アクリル酸2ヒドロキシエチル、アクリル酸ヒドロキシプロピル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸nブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸nヘキシル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸2ヒドロキシエチル、メタクリル酸ヒドロキシプロピルなどがある。共重合体としては、スチレン、アクリルアミド、酢酸ビニル、アクリルニトリル、などが挙げられる。
【0052】
ポリエステル系については、ポリエステルを構成する多価アルコールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3ブチレングリコール、1、6ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングルコールなどが挙げられ、多塩基酸としては、無水フタル酸、イソフタル酸テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、イタコン酸、無水マレイン酸などが挙げられる。
【0053】
本発明の高強度塗装鋼板に被覆される潤滑樹脂皮膜の厚さは、0.5μm未満であるとプレス加工時の押圧による、型かじりや傷の発生を防止できず、かつ摺動が加わるために要求される加工性を得ることができない。この効果は、厚さが5μmまでで顕著であるが、これを超えても効果は変わらない。従って、潤滑樹脂被膜の厚さは0.5〜5μmの範囲とする。また、本発明の潤滑樹脂皮膜は目的に応じて板の両面又は片面に被覆される。
【0054】
本発明のアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜には必要に応じてシリカ粒子を添加することができる。シリカ粒子は、水分散性コロイダルシリカ、粉砕シリカ、気相法シリカなどいずれのシリカ粒子であっても良い。皮膜の加工性、耐食性発現を考慮すると、1次粒子径は2〜30nmで、二次凝集粒子径は100nm以下が好ましい。シリカの添加量としては1〜30質量%が好ましい。1質量%未満では、下層との密着性向上効果が得られない。30質量%を超えると皮膜の伸びが減少するため加工性が低下し、型かじりが発生しやすくなる。
【0055】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0056】
(実施例1)
まず、厚さ0.8mmの冷延鋼板を用意し、クロメート処理を施した後、エポキシ樹脂をベースとした塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けた。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。使用した冷延鋼板の組成を表1に示す。引張強さと伸びは、JIS5号試験片を切り出し、常温での引張試験を行うことにより求めた。また、クロメート処理付着量及び塗膜の詳細は表2に示す。防錆顔料にはクロム酸ストロンチウムを使用し、導電性材料には平均粒径3〜30μmのリン化鉄(Fe2P)を使用した。
【0057】
得られた塗装鋼板は、下記に示す評価試験により溶接性と耐食性を評価した。
【0058】
(1)溶接性試験
スポット溶接による、試験板の連続溶接性を調査した。試験方法として、まず、適正溶接電流範囲を求め、しかる後に、限界連続溶接打点数を求めた。適正溶接範囲は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表2の塗装を両面に施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:下記の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルに設定
{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼適正溶接電流範囲:▲4▼の溶接パターンに従い、溶接電流値を0.2kAずつ変化させ、ナゲット径3.6mm以上を確保できる最低電流値を下限電流値、試験板と電極との間に強い溶着を生じる最低電流値を上限電流値と定義。適正溶接電流範囲は下限電流値と上限電流値の間。
【0059】
限界連続溶接打点数は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表2の塗装を施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:次の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルとする。{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼溶接電流値:先に求めた適正溶接電流範囲の中間値=(下限電流値+上限電流値)/2
▲6▼限界連続溶接打点:▲1▼〜▲5▼の条件で2枚組の試験片を連続溶接。打点速度は1点/3秒。
【0060】
試験片間に形成されるナゲットの直径が3.6mm未満とならない最大連続打点数を限界連続打点数とし、以下に示す評点づけで判定した。評点は3以上を合格とした。
1:連続打点数100点未満
2:連続打点数100点以上500点未満
3:連続打点数500点以上1000点未満
4:連続打点数1000点以上
【0061】
(2) 端面耐食性試験
端面耐食性は、表2の塗装後150×70mmに切断した試験片の切断端面における赤錆の発生面積率を調査した。試験は上下の端面をシールした試験片を鉛直線に対し20°の角度で設置し、5%、35℃の塩水を1000時間噴霧した後、切断ままの左右の端面の赤錆発生面積率を以下に示す評点づけで判定した。評点は2以上を合格とした。
1:端面の赤錆面積率50%以上
2:赤錆面積率5%以上50%未満
3:赤錆面積率5%未満
【0062】
(3) 塗装後耐食性試験
塗装後耐食性では、表2の塗装後150×70mmに切断した試験片に電着塗装5μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装していない比較用の鋼板は、標準条件でリン酸亜鉛処理を行った後、電着塗装20μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装後耐食性は、カッターにより素地に達するクロスカットを付与し、CCT150サイクル後のカット部からの塗膜膨れ幅を以下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は2以上を合格とした。
1:片面最大錆幅5mm以上
2:片面最大錆幅2mm以上5mm未満
3:片面最大錆幅2mm未満
【0063】
評価結果を表2に示す。番号1〜13のクロメート処理及び塗装を行っていない高強度鋼板は、リン酸亜鉛被膜が十分析出しないため塗装密着性が悪く、塗装後耐食性が不合格となった。番号14、43はクロメート被膜の付着量が本発明外のため端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号18、47はクロメート被膜の付着量が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号19、48は塗膜付着量が本発明外のため端面耐食性が不合格となった。番号23、52は塗膜付着量が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号24、53は防錆顔料の含有率が本発明外のため端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号27、56は防錆顔料の含有率が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号28、57は導電性材料の含有率が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号31、60は導電性材料の含有率が本発明外のため塗装密着性が悪く、端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号32、61は有機樹脂の含有率が本発明外のため塗装密着性が悪く、端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な溶接性、端面耐食性、塗装後耐食性を示した。
【0064】
(実施例2)
まず、厚さ0.8mmの表1に示す冷延鋼板を用意し、クロメート処理を施した後、エポキシ樹脂をベースとした塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けた。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。また、クロメート処理付着量及び塗膜の詳細は表3に示す。防錆顔料には第2リン酸マグネシウムを使用し、導電性材料には平均粒径3〜30μmのフェロシリコン(Fe:20%、Si:80%)を使用した。
【0065】
得られた塗装鋼板は、下記に示す評価試験により溶接性と耐食性を評価した。
【0066】
(1) 溶接性試験
スポット溶接による、試験板の連続溶接性を調査した。試験方法として、まず、適正溶接電流範囲を求め、しかる後に、限界連続溶接打点数を求めた。適正溶接範囲は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表3の塗装を施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:下記の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルに設定
{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼適正溶接電流範囲:▲4▼の溶接パターンに従い、溶接電流値を0.2kAずつ変化させ、ナゲット径3.6mm以上を確保できる最低電流値を下限電流値、試験板と電極との間に強い溶着を生じる最低電流値を上限電流値と定義。適正溶接電流範囲は下限電流値と上限電流値の間。
【0067】
限界連続溶接打点数は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表3の塗装を両面に施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:次の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルとする。{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼溶接電流値:先に求めた適正溶接電流範囲の中間値=(下限電流値+上限電流値)/2
▲6▼限界連続溶接打点:▲1▼〜▲5▼の条件で2枚組の試験片を連続溶接。打点速度は1点/3秒。
【0068】
試験片間に形成されるナゲットの直径が3.6mm未満とならない最大連続打点数を限界連続打点数とし、以下に示す評点づけで判定した。評点は2以上を合格とした。
1:連続打点数100点未満
2:連続打点数100点以上500点未満
3:連続打点数500点以上1000点未満
4:連続打点数1000点以上
【0069】
(2) 端面耐食性試験
端面耐食性は、表3の塗装後150×70mmに切断した試験片の切断端面における赤錆の発生面積率を調査した。試験は上下の端面をシールした試験片を鉛直線に対し20°の角度で設置し、5%、35℃の塩水を1000時間噴霧した後、切断ままの左右の端面の赤錆発生面積率を以下に示す評点づけで判定した。評点は2以上を合格とした。
1:端面の赤錆面積率50%以上
2:赤錆面積率5%以上50%未満
3:赤錆面積率5%未満
【0070】
(3) 塗装後耐食性試験
塗装後耐食性では、表3の塗装後150×70mmに切断した試験片に電着塗装5μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装していない比較用の鋼板は、標準条件でリン酸亜鉛処理を行った後、電着塗装20μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装後耐食性は、カッターにより素地に達するクロスカットを付与し、CCT150サイクル後のカット部からの塗膜膨れ幅を以下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は2以上を合格とした。
1:片面最大錆幅5mm以上
2:片面最大錆幅2mm以上5mm未満
3:片面最大錆幅2mm未満
【0071】
評価結果を表3に示す。番号1〜13のクロメート処理及び塗装を行っていない高強度鋼板は、リン酸亜鉛被膜が十分析出しないため塗装密着性が悪く、塗装後耐食性が不合格となった。番号14、43はクロメート被膜の付着量が本発明外のため端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号18、47はクロメート被膜の付着量が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号19、48は塗膜付着量が本発明外のため端面耐食性が不合格となった。番号23、52は塗膜付着量が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号27、56は防錆顔料の含有率が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号28、57は導電性材料の含有率が本発明外のため溶接性が不合格となった。番号31、60は導電性材料の含有率が本発明外のため塗装密着性が悪く、端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号32、61は有機樹脂の含有率が本発明外のため塗装密着性が悪く、端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。これら以外はいずれも良好な溶接性、端面耐食性、塗装後耐食性を示した。番号24、53は防錆顔料の含有率が本発明外であるが、導電性材料として使用しているフェロシリコンが防錆顔料としての効果も持つため、良好な端面耐食性と塗装後耐食性を示した。これら以外はいずれも良好な溶接性、端面耐食性、塗装後耐食性を示した。
【0072】
(実施例3)
まず、厚さ0.8mmの表1に示す冷延鋼板を用意し、クロメート処理を付着量70mg/m2施した後、エポキシ樹脂をベースとした塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けた。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。防錆顔料には表4に示す粒子を使用し、導電性材料には表4に示す物質を使用した。
【0073】
得られた塗装鋼板は、下記に示す評価試験により溶接性と耐食性を評価した。
【0074】
(1) 溶接性試験
スポット溶接による、試験板の連続溶接性を調査した。試験方法として、まず、適正溶接電流範囲を求め、しかる後に、限界連続溶接打点数を求めた。適正溶接範囲は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表4の塗装を施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:下記の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルに設定
{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼適正溶接電流範囲:▲4▼の溶接パターンに従い、溶接電流値を0.2kAずつ変化させ、ナゲット径3.6mm以上を確保できる最低電流値を下限電流値、試験板と電極との間に強い溶着を生じる最低電流値を上限電流値と定義。適正溶接電流範囲は下限電流値と上限電流値の間。
【0075】
限界連続溶接打点数は、以下の手順で求めた。
▲1▼原板:板厚0.8mmの試験材に表4の塗装を両面に施し、2枚一組で使用
▲2▼電極:先端径6mmφのドーム型電極(材質記号DHOM)を使用
▲3▼電極間加圧力:200kgf
▲4▼溶接パターン:次の{ }内の加圧・通電パターンをスポット溶接の1サイクルとする。{加圧開始→(0.5秒間)→所定電流値の電流値を印加(0.2秒間)→加圧力解放}
▲5▼溶接電流値:先に求めた適正溶接電流範囲の中間値=(下限電流値+上限電流値)/2
▲6▼限界連続溶接打点:▲1▼〜▲5▼の条件で2枚組の試験片を連続溶接。打点速度は1点/3秒。
【0076】
試験片間に形成されるナゲットの直径が3.6mm未満とならない最大連続打点数を限界連続打点数とし、以下に示す評点づけで判定した。評点は2以上を合格とした。
1:連続打点数100点未満
2:連続打点数100点以上500点未満
3:連続打点数500点以上1000点未満
4:連続打点数1000点以上
【0077】
(2) 端面耐食性試験
端面耐食性は、表4の塗装後150×70mmに切断した試験片の切断端面における赤錆の発生面積率を調査した。試験は上下の端面をシールした試験片を鉛直線に対し20°の角度で設置し、5%、35℃の塩水を1000時間噴霧した後、切断ままの左右の端面の赤錆発生面積率を以下に示す評点づけで判定した。評点は2以上を合格とした。
1:端面の赤錆面積率50%以上
2:赤錆面積率5%以上50%未満
3:赤錆面積率5%未満
【0078】
(3) 塗装後耐食性試験
塗装後耐食性では、表4の塗装後150×70mmに切断した試験片に電着塗装5μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装していない比較用の鋼板は、標準条件でリン酸亜鉛処理を行った後、電着塗装20μm、自動車用中塗り35μm、自動車用上塗り35μmを行い評価用試験片とした。塗装後耐食性は、カッターにより素地に達するクロスカットを付与し、CCT150サイクル後のカット部からの塗膜膨れ幅を以下に示す評点づけで判定した。CCTは、SST2hr→乾燥4hr→湿潤2hrを1サイクルとした。評点は2以上を合格とした。
1:片面最大錆幅5mm以上
2:片面最大錆幅2mm以上5mm未満
3:片面最大錆幅2mm未満
【0079】
評価結果を表4に示す。番号19、39、59は防錆顔料の含有率が本発明外のため端面耐食性と塗装後耐食性が不合格となった。番号20、40、60は防錆顔料の含有率が本発明外であるが、導電性材料として使用しているフェロシリコンのシリコン含有量が50%以上あるため防錆顔料としての効果も合わせ持ち、良好な端面耐食性と塗装後耐食性を示した。これら以外はいずれも良好な溶接性、端面耐食性、塗装後耐食性を示した。
【0080】
(実施例4)
まず、厚さ0.8mmの表1に示す冷延鋼板を用意し、クロメート処理を付着量70mg/m2施した後、エポキシ樹脂をベースとした塗料をバーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けた。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。また、得られた塗膜中の防錆顔料、導電性材料、個体潤滑剤の種類と含有率を表5に示す。
【0081】
成形性は、円筒深絞り試験をポンチ直径5mm、ポンチ肩半径5mm、無塗油の条件で実施し、しわ押さえ荷重5kN、ブランク径100mmで絞り抜けたものを合格、途中で破断し、絞り抜けなかったものを不合格とした。また、深絞り試験後の樹脂カス発生状況を評価し、樹脂カスが発生していないかわずかに発生したものを合格、樹脂カスが明らかに発生しているものを不合格とした。
【0082】
評価結果を表5に示す。番号38、40は個体潤滑剤の含有率が本発明外のため成形性が不合格となった。番号39は個体潤滑剤の含有率が本発明外のため深絞り試験後に樹脂カスが発生し不合格となった。これら以外はいずれも良好な成形性を示し、樹脂カスの発生も見られなかった。
【0083】
(実施例5)
まず、厚さ0.8mmの表1に示す冷延鋼板を用意し、クロメート処理を付着量70mg/m2施した後、エポキシ樹脂をベースとした塗料を付着量20g/m2バーコーターで塗装し、熱風乾燥炉で焼き付けた。クロメート処理は塗布型のクロメート処理液に浸漬した。塗膜は、防錆顔料にクロム酸ストロンチウムを10mass%使用し、導電性材料に平均粒径5μmのリン化鉄(Fe2P)を50mass%使用した塗膜Xと、防錆顔料に第2リン酸マグネシウムを10mass%使用し、導電性材料に平均粒径5μmのフェロシリコン(Fe:20%、Si:80%)を50mass%使用した塗膜Yを使用した。
【0084】
次に、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アクリル樹脂の水溶液又は水分散体に、ポリエチレンワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス、合成パラフィンワックス、ステアリン酸カルシウムワックス、及びコロイダルシリカを表6に示す組成、膜厚で混合し、バーコーターで塗装後、熱風乾燥炉で焼き付けた。
【0085】
成形性は、円筒深絞り試験をポンチ直径5mm、ポンチ肩半径5mm、無塗油の条件で実施し、しわ押さえ荷重5kN、ブランク径100mmで絞り抜けたものを合格、途中で破断し、絞り抜けなかったものを不合格とした。また、深絞り試験後の樹脂カス発生状況を評価し、樹脂カスが発生していないかわずかに発生したものを合格、樹脂カスが明らかに発生しているものを不合格とした。
【0086】
脱膜性は、試験片に市販のアルカリ脱脂液(70℃)を30秒間スプレーし、水洗、乾燥後、赤外分光分析を使用して被膜残存率を測定した。評価は被膜残存が5%未満であったものを合格、被膜残存が5%以上であったものを不合格とした。
【0087】
評価結果を表6に示す。番号20、23、43、46は脱膜潤滑樹脂の膜厚が本発明外のため成形性が不合格となった。番号21、44は個体潤滑剤の含有率が本発明外のため成形性が不合格となった。番号22、45は個体潤滑剤の含有率が本発明外のため深絞り試験後に樹脂カスが発生し不合格となった。これら以外はいずれも良好な成形性を示し、樹脂カスの発生も見られず、潤滑被膜はアルカリ脱脂液で脱膜可能であった。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
【表3】
【0091】
【表4】
【0092】
【表5】
【0093】
【表6】
【0094】
【発明の効果】
以上述べてきたように、本発明により、りん酸亜鉛処理を行わなくても塗装後の耐食性が確保できる高強度鋼板を製造することが可能となり、工業上極めて優れた効果を奏することができる。
Claims (9)
- C:0.05〜0.2質量%を必須で含み、
Si:0.3〜2.5質量%、
Mn:1.2〜2.8質量%、
Cr:0.1〜6.0質量%、
Al:0.005〜3.0質量%
のうち、一種以上を含有する高張力鋼板の表面の全面又は一部に、中間層として総Cr付着量10〜150mg/m2のクロメート皮膜を形成し、上層として塗料全固形分に対して5〜30質量%の防錆顔料、10〜70質量%の導電性材料、及び、10〜85質量%の熱硬化性樹脂及び架橋材からなる有機樹脂を必須成分とする塗膜を付着量1〜80g/m2の厚みで形成することを特徴とする自動車用高強度塗装鋼板。 - 前記有機皮膜中の導電性材料の一種が、50質量%以上のSiを含有する合金又は化合物、もしくはそれらの複合体であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用高強度塗装鋼板。
- 前記有機皮膜中の導電性材料の一種が、70質量%以上のSiを含有するフェロシリコンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の自動車用高強度塗装鋼板。
- 前記有機皮膜中の導電性材料の一種が、リン化鉄であることを特徴とする請求項1に記載の自動車用高強度塗装鋼板。
- 前記有機皮膜中の防錆顔料がケイ酸イオン、リン酸イオン、バナジン酸イオンのうち一種類以上を放出するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
- 前記有機皮膜中に、更に粒状潤滑機能付与剤を2〜15質量%含有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
- 粒状潤滑機能付与剤:2〜15質量%を含有する厚さ0.5〜5μmのアルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜を両面又は片面の表面に有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
- 前記アルカリ可溶型潤滑樹脂皮膜が、シリカ粒子:1〜30質量%を更に含有することを特徴とする請求項7に記載の自動車用高強度塗装鋼板。
- 前記粒状潤滑機能付与剤が、ポリオレフィン系ワックス、フッ素系ワックス、パラフィン系ワックス、ステアリン酸系ワックスのうちの一種又は2種以上からなることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載の自動車用高強度塗装鋼板。
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JP2010075859A (ja) * | 2008-09-26 | 2010-04-08 | Nippon Steel Corp | 自動車部材 |
JP2018044240A (ja) * | 2016-09-08 | 2018-03-22 | Jfeスチール株式会社 | 耐遅れ破壊特性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 |
-
2002
- 2002-12-04 JP JP2002352018A patent/JP2004183054A/ja active Pending
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