JP3305565B2 - 耐食性とプレス加工性に優れた溶接可能型有機複合めっき鋼板 - Google Patents
耐食性とプレス加工性に優れた溶接可能型有機複合めっき鋼板Info
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Description
食性、加工性を有し、自動車用防錆鋼板として好適な溶
接可能型有機複合めっき鋼板に関する。
性及び加工性を損なわず量産化できる表面処理鋼板とし
て電気Znめっき鋼板が汎用されていることは周知であ
る。また、近年では寒冷地帯における冬期の道路凍結防
止用の散布岩塩に対する自動車の防錆対策としてZnめ
っき鋼板の使用が試みられ、過酷な腐食環境での耐食性
の要求が増加する傾向にある。
対してZnめっき量(付着量)による耐食性の向上が知
られているが、めっき量の増加以外の方法としてZn自
身の溶解を抑制するための合金めっきが数多く提案され
ている。これらの多くは、Fe,Ni,Coといった鉄
族元素を合金成分として含有するものである。これらの
Zn−鉄族系電気めっき鋼板は未塗装あるいは塗装後の
耐食性が優れる特徴があり、工業的に生産、実用化され
ているが、耐食性をさらに向上させることが望まれてい
る。
n系めっき鋼板にクロメート処理を行い、その上層に有
機被膜を被覆する有機複合めっき鋼板が開発されてき
た。一方、家電業界を中心に組立工程省略ニーズが高ま
り、ポストコートのプレコート化が進められている。自
動車外板用途でも、自動車用鋼板のプレコート化による
電着塗装省略型あるいは電着塗装、中塗り塗装省略型鋼
板のニーズが高まってきている。自助車用途にプレコー
ト鋼板を用いるとき、その溶接性が課題となるが、特開
昭62−73938号公報や特開昭63−270131
号公報に導電顔料を含有させることにより、導電性を付
与した有機複合めっき鋼板が既に開示されている。
機複合めっき鋼板は自動車製造工程において、電着塗装
があることを前提としており、電着塗装あるいは電着塗
装、中塗り塗装を省略した場合には、鉄面がむき出しに
なる切断面の耐食性は考慮されておらず、切断面の耐食
性については十分な性能を有していなかった。本来、有
機複合鋼板は一般面の耐食性を高めることを目的として
おり、有機被膜中に防錆顔料などを含有させるなど、主
として最上層の有機被膜を形成する塗料組成物の改良が
進められてきた。しかし、切断面の耐食性については有
機被膜の防食性能よりもめっき層の犠牲防食能力に負う
ところが大きくめっき層についての十分な検討が必要と
なった。
鋼板は、めっき層が柔らかいためにプレス時に有機被膜
のカジリや剥離の問題が生じることが多く、有機被膜の
潤滑性を高める技術が必要となった。本発明は上記問題
点を解決し、耐食性、特に切断面の耐食性を向上させ、
さらにプレス加工性を向上させた有機複合めっき鋼板を
提供する。
したときに優れた犠牲防食能力を有する電気Znめっき
層、あるいは溶融Znめっき層を下地めっき層とし、ク
ロメート皮膜、有機被膜を適当量上層に形成することに
より、耐食性とプレス加工性が飛躍的に向上した有機複
合めっき鋼板を提供する。本発明の要旨は、 (1) 鋼板の片面あるいは両面に鋼板側から順に、め
っき付着量[g/m2]/鋼板の板厚[mm]=30〜
130に相当する付着量であるZnめっき層、総Cr付
着量10〜150mg/m2のクロメート皮膜、膜厚1
〜20μmの有機被膜が形成されており、該有機被膜が
含む導電性無機顔料比率が1〜40vol%、クロム系
防錆顔料比率が5〜40vol%、潤滑剤が1〜4vo
l%、それら合計が7〜65vol%であることを特徴
とする溶接可能型有機複合めっき鋼板。 (2) Znめっき層が、電気Znめっきあるいは溶融
Znめっきである前記(1)に記載の溶接可能型有機複
合めっき鋼板。 (3) クロメート皮膜が水可溶分30%以下の難溶性
クロメート皮膜である前記(1)に記載の溶接可能型有
機複合めっき鋼板にある。
る。切断部の耐食性を高めるには電気Znめっき、また
は溶融Znめっきが有効である。一般面の耐食性につい
ては、各種Zn系合金めっきが開発されているが、この
ようなZn系合金めっきでは腐食時にZnの優先溶解が
起こり、切断面のように鉄面が露出しているような場合
には犠牲防食作用が弱い。その点、電気Znめっきや溶
融Znめっきでは、Zn単相であるために鋼に対する犠
牲防食能力が高く有利である。また、溶融Znめっきで
は、微量のAl、Pb、Cd、Sb、Ti、Mgなどを
含有させても良い。Znめっきの付着量は、めっき付着
量[g/m2]/鋼板の板厚[mm]=30〜130を
満足する範囲とする。30未満では十分な切断面の耐食
性が得られない。また、130を超えてもその効果は飽
和するので経済性を考慮して、上限を130とする。
有機被膜との密着性を確保する効果がある。Znめっき
層はCr6+およびまたはCr3+からなる酸性処理液との
反応性がよいので従来から公知の塗布型クロメート処
理、反応型クロメート処理および電解型クロメート処理
などはいずれも適用できる。クロメート皮膜の付着量は
総Cr量として10〜150mg/m2とする。10m
g/m2では有機被膜の密着性が不十分であり、耐食性
が劣化する。150mg/m2を超えると溶接性、プレ
ス加工性が悪化し、実用上好ましくない。より好ましい
範囲は総Cr量として20〜100mg/m2である。
以下、好ましくは20%以下が良い。水可溶分が30%
を超えると、可溶性のCr6+が多く含まれるため、耐ク
ロム溶出性あるいは耐水膨潤性が低下し、上層塗膜の二
次密着性低下、あるいは有機複合めっき鋼板としての高
い耐食性能は得られにくい。このクロメート皮膜の上層
には有機被膜を施す。有機被膜の厚みは0.5〜20μ
mとする。0.5μm以下では耐食性が十分ではなく、
20μmを超えるとプレス加工性が劣化することがあ
り、上限を20μmとする。好ましくは2〜10μmが
良い。
く、例えばエポキシ樹脂、アルキド樹脂、オイルフリー
ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリルエチレン樹
脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポ
リカーボネート樹脂などが使用できる。必要応じて硬化
剤、着色顔料の各種添加剤を加えても良い。被覆方法
は、ロールコート、スプレーコート、カーテンフローコ
ートなどの公知のいずれの方法であっても良い。
を目的としており、SUS粉末、フェロシリコン、燐化
鉄、Zn粉末、Ni粉末、導電性カーボンのうち1種あ
るいは2種以上の組み合わせで使用が可能である。ま
た、その平均粒径は1〜15μm、好ましくは4〜12
μmが良い。平均粒径が1μm未満では塗料中で二次凝
集し、粗粒化して粒発生の原因となり、また塗膜として
の加工強度の低下を招くため好ましくない。その平均粒
径が15μmを超えると塗膜外観がざらつきのある粗面
と化し、型カジリやプレス品の加工部と非加工部とで外
観ムラを生じやすく、品質上好ましくない。
である。本発明における配合比は1〜40vol%が良
い。配合比が1vol%未満では塗膜の接触抵抗が高く
導電機能が十分ではないため、適正電流範囲が狭く、ま
た電極への有機塗膜燃焼残渣付着による連続打点性不良
などスポット溶接性に難点がある。40vol%を超え
ては樹脂のバインダーとしての機能を超えるため、ロー
ル塗装などの均一塗装技術に支障をきたし、塗膜として
固化したとしても密着性に難があり、耐食性が劣化す
る。
付与することができ、めっき層あるいは鋼板の腐食を抑
制するのに有幼である。その効果は一般面(平板部)で
特に大きく、電着塗装を省略する場合、中塗り塗装、上
塗り塗装が施されない裏面側の耐食性保持に特に有効で
ある。クロム系防錆顔料には、クロム酸ストロンチウ
ム、クロム酸カルシウム、クロム酸亜鉛、クロム酸バリ
ウム、クロム酸アンモニウム、重クロム酸アンモニウム
などを採用することができる。有機塗膜中の含有量は5
〜40vol%とする。5vol%未満では防錆効果が
薄く、40vol%を超えては樹脂のバインダーとして
の機能を超えるため、ロール塗装などの均一塗装技術に
支障をきたし、塗膜として固化したとしても密着性に難
があり、商品化は離しい。
とを目的としており、ポリオレフィン系化合物、カルボ
ン酸エステルの使用が可能である。配合比は1〜40v
ol%が良い。配合比が1vol%未満では塗膜の摺動
抵抗が高く、プレス成形時にカジリや塗膜剥離を生じ
る。40vol%を超えては樹脂のバインダーとしての
機能を超えるため、ロール塗装などの均一塗装技術に支
障をきたし、塗膜として固化したとしても密着性に難が
あり、商品化は難しい。また、導電性顔料、クロム系防
錆顔料と潤滑剤の合計含有率は、有機樹脂のバインダー
力を確保する必要から65vol%以下とする。したが
って、導電性顔料とクロム系防錆顔料の合計を7〜65
vol%と規定する。
す。板厚0.8mmの低炭素鋼板にセンジマー式溶融め
っきあるいは電気めっき法でZnめっきを施し、表1〜
表3に示すクロメート層、有機被膜層を順次施した。切
断部耐食性の評価は以下の方法で実施した。 塩水噴霧(JIS Z2371)1時間→乾燥(60
℃)3.5時間→湿潤(50℃、RH95%)3.5時
間 上記サイクルを1サイクルとし、20サイクル後の端面
赤錆発生有無で評面した。
す(1番〜108番)が、本発明品が優れた切断面耐食
性を示すことがわかる。これに対し、表3の比較例中の
109、110、112番はめっき付着量、クロメート
付着量あるいは有機被膜厚みが不十分であるために、切
断面の耐食性が不足している。115番は有機被膜中の
導電性顔料が多すぎるために、有機被膜としてのバイン
ダー力が不足するために切断面の耐食性が劣化する例で
ある。119番は有機被膜中の潤滑剤が多すぎたため
に、切断面の耐食性が劣化する例である。121、12
2番は導電性顔料、防錆顔料と潤滑剤の合計が多すぎる
ために有機被膜としてのバインダー力が不足するために
耐食性が劣化する例である。
を実施したときに、同じZnめっき付着量のZnめっき
鋼板に、リン酸塩処理(PB3020/日本パーカライ
ジング製)後、カチオン電着塗装パワートップU−10
0(日本ペイント製)20μmを施した試料よりも、平
板部の白錆発生が速かったものを×、同等以上のものを
○として評価した。その結果を表1〜表3に示すが、本
発明例が(1番〜108番)が優れた一般面耐食性を示
すことがわかる。これに対して表3の比較例112番は
有機被膜厚みが不足しているために、116番はクロム
系防錆顔料比率が少ないために、一般面の耐食性が不十
分である。また、115、117、120、121番
は、導電性顔料、クロム系防錆顔料、潤滑剤のそれぞれ
あるいはそれらの合計が多すぎるため有機被膜として機
能せず耐食性が劣化した例である。
験で評価した。適正溶接電流範囲を求め、その結果から
得られる所定溶接電流値における限界連続溶接打点数を
求めた。適正電流範囲は、以下の手順で求めた。 板組:実施例に示す表面処理鋼板の同種2枚組 溶接電極:オバラ株式会社T−16D(材質記号DH
OM) 電極間圧力:200kgf 溶接パターン:加圧開始→0.5秒保持→所定電流を
印加(0.2秒)→加圧解放 適正電流範囲測定:のパターンで溶接したときに、
ナゲット径4mm以上を確保できる最低電流値を下限電
流値、試験片と電極との間に強い溶着を生じる最低電流
値を上限電流値として、上下限電流値を測定。
を確保できる連続溶接打点数の上限のことであり、以下
の手順で求めた。 板組:実施例に示す表面処理鋼板の同種2枚組 溶接電極:オバラ株式会社T−16D(材質記号DH
OM) 電極間圧力:200kgf 溶接パターン:加圧開始→0.5秒保持→所定電流を
印加(0.2秒)→加圧解放 溶接電流値:先に求めた適正溶接電流範囲の中間値
(下限電流値+上限電流値)/2 限界連続溶接打点数:〜の溶接条件で、打点速度
を1点/3秒とし、試験片に形成されるナゲットの直径
が4mm未満とならない最大連続打点数を測定。
には○、500点未満では×として溶接性の評価とし
た。評価結果を表1〜表3(1番〜108番)に示す
が、本発明品が優れた溶接性を示すことがわかる。これ
に対し、比較例111、113番はクロメート付着量、
有機被膜厚みが多すぎるために、また114番は有機被
膜中の導電性顔料が少なすぎるために溶接性を十分に確
保することができない。
レス成形のビードを模した金型で鋼板を挟み、荷重を掛
けつつ一定速度で引き抜き、塗膜の損傷状態を調査し
た。 ・サンプル引き抜き巾:30mm ・金型 :片側がφ4mm円筒、反対例が
平板 ・押しつけ荷重 :1000kg ・引き抜き速度 :200mm/min ・塗油 :低粘度油塗布 評価は、○:カジリ、塗膜剥離無し、×:カジリあるい
は塗膜剥離有り、で実施した。評価結果を表1〜表3
(1番〜108番)に示すが、本発明品が優れたプレス
加工性を有することがわかる。これに対し、表3の比較
例118番は潤滑剤が不足しているためにプレス成形性
が悪い。
めっき鋼板は耐食性、プレス加工性に優れており、自動
車用鋼板として使用可能である。
Claims (3)
- 【請求項1】 鋼板の片面あるいは両面に鋼板側から順
に、めっき付着量[g/m2]/鋼板の板厚[mm]=
30〜130に相当する付着量であるZnめっき層、総
Cr付着量10〜150mg/m2のクロメート皮膜、
膜厚1〜20μmの有機被膜が形成されており、該有機
被膜が含む導電性無機顔料比率が1〜40vol%、ク
ロム系防錆顔料比率が5〜40vol%、潤滑剤が1〜
4vol%、それら合計が7〜65vol%であること
を特徴とする溶接可能型有機複合めっき鋼板。 - 【請求項2】 Znめっき層が、電気Znめっきあるい
は溶融Znめっきである請求項1記載の溶接可能型有機
複合めっき鋼板。 - 【請求項3】 クロメート皮膜が水可溶分30%以下の
難溶性クメート皮膜である請求項1記載の溶接可能型有
機複合めっき鋼板。
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JP09578996A JP3305565B2 (ja) | 1996-04-18 | 1996-04-18 | 耐食性とプレス加工性に優れた溶接可能型有機複合めっき鋼板 |
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JPH09276787A JPH09276787A (ja) | 1997-10-28 |
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- 1996-04-18 JP JP09578996A patent/JP3305565B2/ja not_active Expired - Fee Related
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