JP2004183019A - 非水電解質電池用電極材料及び非水電解質電池 - Google Patents

非水電解質電池用電極材料及び非水電解質電池 Download PDF

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Abstract

【課題】放電容量と充放電サイクル寿命の双方に優れる非水電解質電池を実現することが可能な非水電解質電池用電極材料を提供することを目的とする。
【解決手段】下記(1)式で表される組成を有する金属間化合物を含むことを特徴とする。
(Co1− M1M2)Sn (1)
但し、前記M1は、Al、Fe、Ni、Cr、Cu及びVよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、前記M2は、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo及びWよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、x、y、aは、それぞれ、0<x≦0.4、0≦y≦0.1、1<a<2を示す。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非水電解質電池用電極材料と、この電極材料を備えた非水電解質電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
リチウム金属、リチウム合金、リチウム化合物、炭素材料などを負極活物質に用いた非水電解質二次電池は、高エネルギー密度電池として期待され、盛んに研究開発が進められている。これまでに、正極活物質としては、LiCoO、LiMnなどを用い、負極活物質としてはリチウムを吸蔵・放出する炭素材料を用いたリチウムイオン電池が広く実用化されている。
【0003】
一方、リチウム金属、リチウム合金、リチウム化合物を負極に用いた二次電池は、未だ実用化されていない。この主な理由は、リチウム金属を用いた場合、非水電解質とリチウム金属との反応によるリチウムの劣化と、充放電の繰り返しによるデンドライト状(樹枝状)のリチウムの発生による脱離が起きるため、内部短絡やサイクル寿命が短いという問題点を有しているからである。
【0004】
このような問題点を解決するため、リチウム合金やリチウム化合物を負極に用いる研究がなされている。例えば、特開2001−93524号公開公報の段落[0010]、[0027]には、CoSn相からなるA相と、CoSn相及びCoSn相からなるB相とを有する負極活物質を用いることにより、負極活物質の膨張及び収縮に伴う微粉化を抑制し、電池の高容量化と長寿命とを両立させることが記載されている。
【0005】
しかしながら、CoSnとCoSnとCoSnは、それぞれ、容量が大きく異なることから、前述したA相とB相を有する負極活物質によると、充放電サイクル時の放電電圧曲線に3つのプラトーが存在し、充放電サイクル時に電圧が多段階に亘って変動するため、十分な充放電サイクル寿命を得られないという問題点がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−93524号公報(段落[0010]、段落[0027])
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、放電容量と充放電サイクル寿命の双方に優れる非水電解質電池を実現することが可能な非水電解質電池用電極材料と、この電極材料を備えた非水電解質電池を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1の非水電解質電池用電極材料は、CoSn型の結晶相を含むと共に下記(1)式で表される組成を有する金属間化合物を含むことを特徴とするものである。
【0009】
(Co1− M1M2)Sn (1)
但し、前記M1は、Al、Fe、Ni、Cr、Cu及びVよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、前記M2は、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo及びWよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、x、y、aは、それぞれ、0<x≦0.4、0≦y≦0.1、1<a<2を示す。
【0010】
本発明に係る第2の非水電解質電池用電極材料は、Coを53モル%以下と、Snを47モル%以上、55モル%以下と、Cr、Mo、Mn、Fe、Cu、Al、Ni及びSiよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Tを35モル%以下とを含む第1の相と、
Coを70モル%以下と、Snを30モル%以上、45モル%以下と、Cr、Mo、Mn、Fe、Cu、Al、Ni及びSiよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Tを15モル%以下とを含む第2の相と、
Coを40モル%以下と、Snを60モル%以上、80モル%以下と、Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Rb、Sc、In、Tl、Pb、Sb、Bi、Te、ZrおよびHfよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Xを20モル%以下とを含む第3の相と
を含む合金を備えることを特徴とするものである。
【0011】
本発明に係る非水電解質電池は、前述した第1の非水電解質電池用電極材料及び第2の非水電解質電池用電極材料において少なくとも一方を含む負極と、正極と、非水電解質とを具備することを特徴とするものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明に係る第1の非水電解質電池用電極材料について説明する。
【0013】
本発明に係る第1の非水電解質電池用電極材料は、CoSn型の結晶相を含むと共に下記(1)式で表される組成を有する金属間化合物を含むことを特徴とするものである。
【0014】
(Co1− M1M2)Sn (1)
但し、前記M1は、Al、Fe、Ni、Cr、Cu及びVよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、前記M2は、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo及びWよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、x、y、aは、それぞれ、0<x≦0.4、0≦y≦0.1、1<a<2を示す。
【0015】
この電極材料によれば、充放電サイクル寿命が向上された非水電解質電池を実現することができる。また、負極のサイクル特性に複数のプラトーが存在しないため、容易な電池設計が可能となる。
【0016】
すなわち、一般式A(但し、XはSn、Ge、SbなどのLiを吸蔵する元素、AはV、Cu、Ti、NiなどのLiを吸蔵しない元素)で表される金属間化合物は、Li吸蔵・脱離時に下記化1の(A)、(B)に示す反応が生じるといわれている。
【0017】
【化1】
Figure 2004183019
【0018】
(A)の反応は、充放電サイクルの初期段階で生じ、また、不可逆的な反応である。(A)の反応と(B)の反応が生じることによって、初めて充放電サイクルが可能となる。この金属間化合物では、Li−X合金の内部にLiを吸蔵しない元素Aをナノスケールで分散させることにより、Li吸蔵時に発生する応力を緩和して活物質の体積膨張を緩和し、サイクル特性の改善を試みている。
【0019】
また、Liと活性な金属間化合物Aを主相とし、Liと不活性な金属間化合物を第2相とし、活物質の体積膨張をさらに緩和させようという試みもなされている。しかしながら、上述した金属間化合物では、いずれも、十分なサイクル特性が得られていない。
【0020】
本発明者らは、対極として金属リチウムを用いた試験セルにて、CoSn系を活物質として含む電極のリチウム充放電メカニズムを詳細に検討した結果、同様なAタイプの金属間化合物間で前述した(A)に示すLi吸蔵反応の反応速度が異なることを見出した。
【0021】
充放電サイクルを繰り返したあとの電極状態をX線回折で確認したところ、単位重量あたりの容量が250mAh/gであるCoSnは5サイクル目においても母体の結晶構造が維持されており、100サイクル経過後も十分な容量を維持していた。
【0022】
これらは結晶構造およびCoとSnの結合力の差に依存するものである。すなわち、CoSnの第一原理を用いた電子密度を計算すると、あきらかにフェルミレベルの差異が観測される。フェルミレベルが低いほど、言い換えるとCoとSnの結合力が強いほど、LiとSnとの合金化反応が起こりにくい。
【0023】
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、CoSn型の結晶相を含むと共に前述した(1)式で表される組成を有する金属間化合物を負極活物質として備えた非水電解質二次電池は、負極活物質の不活性化の進行を遅らせることができると共に、充放電サイクル時の放電電圧曲線の平坦性を高くすることができるため、放電容量と充放電サイクル寿命を向上できることを見出した。
【0024】
以下、この金属間化合物の組成について説明する。
【0025】
前述した特開2001−68112号公報等に記載されているCoSnの無置換系においては、単位重量当りの容量が700mAh/g程度になるものの、サイクル特性が十分ではない。これは、CoSnはそのフェルミレベルが高く、Liとの交換反応が起こりやすいことにより,容易に合金が分解するからである。
【0026】
Al、Fe、Ni、Cr、Cu及びVよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素M1は、xが0.4以下の範囲内において、CoSn相に十分に固溶可能である。なお、固溶可能であるか否かは、粉末X線回折におけるCoSn単相のピーク位置と元素M1を添加した時のCoSn相のピーク位置との比較により確認することができる。一方、xが0.4を超えると、CoSn型構造を維持できなくなるため、放電容量もしくは充放電サイクル寿命が低下する。xのより好ましい範囲は、0.05≦x≦3である。
【0027】
Coサイトを置換した(Co1−xM1)Snについての第一原理を用いた電子密度計算は、現状の技術では困難であるために正しい考察はできないが、フェルミレベルは無置換系に比べ低い状態にあるため、サイクル特性を改善することができる。
【0028】
仕込み組成が非化学量論組成、具体的には一般式(Co1−xM1)Snにおける1<a<2の領域において前述と同様なことが起こる。この場合、CoSn型構造の結晶相が主に得られる。CoSn型構造をもつ合金相は、Li吸蔵時に発生したLi−Sn合金の体積膨張を緩和させることができ、サイクル特性を改善することができる。従って、CoSn型構造を有する結晶相が好ましく、1.3≦a≦1.8の範囲内であれば、高い容量を維持しつつ、優れたサイクル特性を実現することができる。なお、元素M1の中でも、Fe,Ni,Crが好ましい。
【0029】
また、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo及びWよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素M2は、二次電池の充放電サイクル特性改善に有効である。金属間化合物中の元素M2の含有量yは、0.1以下の範囲内にすることが好ましい。これは、含有量yが0.1を超えると、容量及びサイクル特性が低下するからである。含有量yのより好ましい範囲は、0.01≦y≦0.07である。なお、元素M2の中でも、Ti,Zr,Nbが好ましい。
【0030】
金属間化合物中におけるCoSn型結晶相の存在比率は、50%〜100%の範囲内にすることが望ましい。これは、存在比率を50%未満にすると、他の相が主相となるため、合金の分解反応により優れたサイクル特性を得られない恐れがあるからである。存在比率のより好ましい範囲は、60%〜100%である。
【0031】
金属間化合物は、CuKα線を用いるX線回折において、CoSn型結晶相に基づくピークのうち主ピーク(主ピークは、2θが43.5°〜46.5°の範囲内に現れる)の半価幅が0.01°〜0.5°の範囲内であることが望ましい。これは、半価幅が0.5°を超えるものは、結晶性が低いため、リチウムの吸蔵特性,特に高率での充放電特性が著しく低下する恐れがあるからである。半価幅のより好ましい範囲は、0.1°〜0.45°である。
【0032】
前述した(1)式で表される金属間化合物には、酸化物やMgが不純物として存在していてもよい。この際、金属間化合物中の酸化物含有量は1000ppm以下にすることが好ましく、一方、金属間化合物中のMg含有量は500ppm以下にすることが望ましい。
【0033】
前述した(1)式で表される金属間化合物は、例えば、高周波溶解法、アーク溶解法、焼結法、超急冷法、ストリップキャスト法、アトマイズ法、めっき法、CVD法、スパッタ法、メカニカル処理法、圧延法、あるいはゾル・ゲル法などにより作製される。中でも、好ましい製造法は、超急冷法、ストリップキャスト法、高周波溶解法、焼結法である。
【0034】
超急冷法、ストリップキャスト法、高周波溶解法、焼結法では、予め量りとった各素材を不活性雰囲気中にてるつぼ内で溶解する過程までは共通で、その後の冷却過程がそれぞれ異なる。すなわち、超急冷法では、高速回転する冷却体上に合金溶湯を射出することによって、板厚10〜50μmのフレーク状試料を得る。条件によっては超急冷法で100μmまでの板厚のものも得ることができる。
ストリップキャスト法では、冷却体への単位時間あたりの溶湯供給量を超急冷法に比べて増やして、板厚100〜500μmのフレーク状試料を得る。また、高周波溶解法では、回転する冷却板上に溶湯を流し込むことにより鋳造を行い、合金を得る。溶湯の冷却速度は、堆積する厚さ、溶湯供給量及び冷却板の移動速度を調整することにより制御することができる。得られたこれらの試料に対し、適宜、熱処理により組織、組成の均質化も可能である。焼結法ではArの不活性雰囲気化において1〜5気圧の加圧下において加熱することにより塊状の金属間化合物を得ることができる。
【0035】
次いで、本発明に係る第2の非水電解質電池用電極材料について説明する。この第2の非水電解質電池用電極材料は、Coを53モル%以下と、Snを47モル%以上、55モル%以下と、Cr、Mo、Mn、Fe、Cu、Al、Ni及びSiよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Tを35モル%以下とを含む第1の相と、
Coを70モル%以下と、Snを30モル%以上、45モル%以下と、Cr、Mo、Mn、Fe、Cu、Al、Ni及びSiよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Tを15モル%以下とを含む第2の相と、
Coを40モル%以下と、Snを60モル%以上、80モル%以下と、Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Rb、Sc、In、Tl、Pb、Sb、Bi、Te、ZrおよびHfよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Xを20モル%以下とを含む第3の相と
を含む合金を備えることを特徴とするものである。
【0036】
この電極材料を負極活物質として備えた非水電解質二次電池は、リチウム吸蔵特性を向上することができるため、放電容量と充放電サイクル寿命を向上することができる。
【0037】
以下、各相(第1相〜第3相)について説明する。
【0038】
1)第1の相
この第1の相は、リチウム吸蔵・放出の母体として機能することができる。この相においては、Co含有量、Sn含有量あるいは元素Tの含有量が前記範囲を外れると、合金のリチウム吸蔵量が減少し、リチウム吸蔵特性が低下する。第1相の中でも、(Co1−x)Sn(但し、xは0≦x<1)を主成分として含む相が好ましい。このような組成の第1相を含む合金は、リチウム吸蔵量を更に向上することができる。特に、第1相は、Co含有量を45モル%以上、52モル%以下にし、Sn含有量を48モル%以上、54モル%以下にし、かつ元素Tの含有量を1モル%以上、10モル%以下にすることが好ましい。Co含有量、Sn含有量及び元素Tの含有量をこのような範囲にすると、(Co1−x)Snを主成分する組成の相が得られやすくなるため、二次電池の充放電サイクル寿命をさらに向上することができる。また、元素Tの中でも、Fe,Ni,Cr,Mnが好ましい。
【0039】
第1の相は、例えば(Co1−x)Sn相からなる単相でもよいが、例えば、(Co1−x)Sn相の結晶粒界に他の相が析出しているような複相であっても良い。
【0040】
2)第2の相
第2の相は、吸蔵したリチウムの放出反応を促進させる作用をなすものである。また、この第2の相は、第1相と第3相のリチウム吸蔵・放出に伴う膨張・収縮を吸収することができるため、合金のリチウム吸蔵・放出時の歪を緩和することができる。Co含有量、Sn含有量あるいは元素Tの含有量が前記範囲を外れると、合金でのリチウム放出特性が低下する。第2相の中でも、(Co1−xSn(但し、xは0≦x<1)を主成分として含む相が好ましい。このような組成の第2相を含む合金は、リチウム放出特性を更に向上することができる。特に、第2相は、Co含有量を55モル%以上、65モル%以下にし、Sn含有量を35モル%以上、43モル%以下にし、かつ元素Tの含有量を1モル%以上、10モル%以下にすることが好ましい。Co含有量、Sn含有量及び元素Tの含有量をこのような範囲にすると、前述した(Co1−xSnを主成分する組成の相が得られやすくなるため、二次電池の充放電サイクル寿命をさらに向上することができる。また、元素Tの中でも、Fe,Ni,Cr,Mnが好ましい。
【0041】
第2の相は、例えば(Co1−xSn相からなる単相でもよいが、例えば、(Co1−xSn相の結晶粒界に他の相が析出しているような複相であっても良い。
【0042】
3)第3の相
第3相は、合金のリチウム吸蔵量を増加させる作用をなすものと推測される。
Co含有量、Sn含有量あるいは元素Xの含有量が前記範囲を外れると、合金のリチウム吸蔵量が減少する。第3相の中でも、(Co1−y)Sn(但し、yは0≦y<1)を主成分として含む相を挙げることができる。特に、第3相は、Co含有量を20モル%以上、38モル%以下にし、かつSn含有量を63モル%以上、75モル%以下にし、かつ元素Xの含有量を1モル%以上、17モル%以下にすることが好ましい。Co含有量、Sn含有量及び元素Xの含有量をこのような範囲にすると、前述した(Co1−y)Snを主成分する組成の相が得られやすくなるため、二次電池の充放電サイクル寿命をさらに向上することができる。また、元素Xの中でも、In,Pb,Sb,Biが好ましい。
【0043】
第3の相は、例えば(Co1−y)Sn相からなる単相でもよいが、例えば、(Co1−y)Sn相の結晶粒界に他の相が析出しているような複相であっても良い。
【0044】
前述した第1〜第3の相を含む合金は、さらに第4の相を含むことが望ましい。この第4の相は、Snを85モル%以上と、Ti、V、Nb、Ta、Mg、Ga、Zn、Ge、N、O、P、S、As、Se及びFよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Mを25モル%未満とを含むものである。このような構成にすることによって、二次電池の充放電サイクル寿命をさらに向上することができる。
【0045】
この第4相は、リチウム吸蔵時に触媒として作用するものと推測される。Sn含有量または元素Mの含有量が前記範囲を外れると、合金のサイクル特性が低下する恐れがある。第4相の中でも、Snの単体金属を主成分として含む相が好ましい。特に、Sn含有量を80モル%以上、95モル%以下にし、かつ元素Mの含有量を1モル%以上、20モル%以下にするのは、サイクル特性をより高めることができるため、好ましい。また、元素Mの中でも、Nb,Mg,Zn,Tiが好ましい。
【0046】
第4の相は、例えばSn相からなる単相でもよいが、例えば、Sn相の結晶粒界に他の相が析出しているような複相であっても良い。
【0047】
第1〜第4の相の組成は、それぞれ、電子探針X線微小域分析法(EPMA)、エネルギー分散式X線分光法(EDX)、オージェ電子分光法(AES)等を用いて分析することができる。
【0048】
合金中の第1相の含有量は、50〜99モル%の範囲内にすることが望ましい。第1相の含有量を50モル%未満にすると、合金のリチウム吸蔵量が低下する恐れがある。一方、第1相の含有量が99モル%を超えると、二次電池のサイクル特性を十分に改善することが困難になる。第1相の含有量のさらに好ましい範囲は、70〜95モル%である。
【0049】
合金中の第2、第3相の含有量は、1〜50モル%の範囲内にすることが望ましい。第2、第3相の含有量を1モル%未満にすると、リチウム吸蔵合金の常温付近でのサイクル特性を十分に高めることが困難になる。一方、第2、第3相の含有量が50モル%を越えると、合金のリチウム吸蔵量が低下する恐れがある。
第2、第3相の含有量のさらに好ましい範囲は、5〜30モル%である。
【0050】
前述した第1〜第3の相を含む合金の作製法としては、例えば、高周波溶解法、アーク溶解法、焼結法、超急冷法、ストリップキャスト法、アトマイズ法、めっき法、CVD法、スパッタ法、メカニカル処理法、圧延法、あるいはゾル・ゲル法などが挙げられる。特に好ましいのは、超急冷法、ストリップキャスト法、高周波溶解法である。
【0051】
これらの方法は、予め量りとった各素材を不活性雰囲気中にてるつぼ内で溶解する過程までは共通で、その後の冷却過程が互いに異なる。すなわち、超急冷法では、高速回転する冷却体上に合金溶湯を射出し、板厚10〜50μmのフレーク状試料を得る。ストリップキャスト法では、冷却体への単位時間あたりの溶湯供給量を超急冷法に比べて増やして、板厚100〜500μmのフレーク状試料を得る。条件によっては超急冷法で100μmまでの板厚のものも得ることができる。また、高周波溶解法では、鋳造する際に回転する冷却板上に溶湯を流し込めばよく、堆積する厚さと溶湯供給量と冷却板の移動速度とにより溶湯の冷却速度を制御することができる。また、特にストリップキャスト法で得られた試料では柱状晶組織が得られやすく、寿命の観点からこの組織は好ましい。
【0052】
超急冷法、ストリップキャスト法あるいは高周波溶解法により得られた合金に熱処理を施すことによって、合金の金属組織の制御を行うことができ、目的とする多相合金を得ることができる。熱処理条件は、合金組成に応じて変動させることが望ましい。
【0053】
なお、得られた試料には、酸素が濃度1000ppm以下の範囲内で含まれていても良い。また、Mgが500ppm以下の範囲内で含有されていてもよい。
【0054】
次いで、本発明に係る第1、第2の電極材料を備えた非水電解質電池について説明する。
【0055】
この非水電解質電池は、第1の非水電解質電池用電極材料及び第2の非水電解質電池用電極材料において少なくとも一方を負極活物質として含む負極と、正極と、非水電解質とを具備する。
【0056】
次に、正極、負極及び非水電解質について詳しく説明する。
【0057】
1) 正極
正極は、例えば、正極活物質、導電剤および結着剤を適当な溶媒に懸濁させ、この懸濁物をアルミニウム箔などの集電体に塗布し、乾燥し、プレスして帯状電極にすることにより作製される。
【0058】
前記正極活物質は、種々の酸化物、硫化物が挙げられる。例えば、二酸化マンガン(MnO)、リチウムマンガン複合酸化物(例えばLiMnまたはLiMnO)、リチウムニッケル複合酸化物(例えばLiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(例えばLiNi1−xCo)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(例えばLiMnCo1−x)、バナジウム酸化物(例えばV) などが挙げられる。また、導電性ポリマー材料、ジスルフィド系ポリマー材料などの有機材料も挙げられる。中でも、リチウムマンガン複合酸化物(LiMn)、リチウムニッケル複合酸化物(LiNiO)、リチウムコバルト複合酸化物(LiCoO)、リチウムニッケルコバルト複合酸化物(LiNi0.8Co0.2)、リチウムマンガンコバルト複合酸化物(LiMnCo1−x)などが、高電圧が得られるため、好ましい。
【0059】
導電剤としては、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック、黒鉛等を挙げることができる。
【0060】
前記結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴムなどが挙げられる。
【0061】
正極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、正極活物質80〜95重量%、導電剤3〜20重量%、結着剤2〜7重量%の範囲にすることが好ましい。
【0062】
2) 負極
負極は、例えば、第1の非水電解質電池用電極材料及び第2の非水電解質電池用電極材料において少なくとも一方からなる負極活物質、導電剤及び結着剤からなる負極合剤を適当な溶媒に懸濁させて混合し、塗液としたものを集電体の片面もしくは両面に塗布し、乾燥することにより作製される。
【0063】
また、負極活物質として、アルカリ金属の吸蔵能の高い炭素材料を添加し、前述した合金と、この炭素材料との混合物とすることで、リチウムのようなアルカリ金属の吸蔵量を向上させることができる。このような負極活物質に用いる炭素材料としては黒鉛系の炭素材料が好ましく、より具体的にはメソフェーズピッチカーボンファイバー(MCF)などが好ましい。
【0064】
さらに、負極には使用される導電剤としては、通常炭素材料が使用される。前述した負極活物質に用いる炭素材料として、アルカリ金属の吸蔵性と導電性との両特性の高いものがあれば、負極活物質として用いる前述の炭素材料を導電剤と兼用させることが可能であるが、例示したメソフェーズピッチカーボンファイバーなどのアルカリ金属吸蔵性の高い黒鉛のみでは導電性が低くなるため、例えばアセチレンブラック、カーボンブラック等の炭素材料を導電剤として併用することが好ましい。
【0065】
結着剤としては、例えばポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、フッ素系ゴム、エチレン−ブタジエンゴム(SBR)、カルボキシメチルセルロース(CMC)などが挙げられる。
【0066】
前記負極活物質、導電剤及び結着剤の配合比は、負極活物質70〜95重量%、導電剤0〜25重量%、結着剤2〜10重量%の範囲にすることが好ましい。
【0067】
3) セパレータ
上述した正極と負極の間にセパレータを配置することが望ましい。セパレータは、正極および負極が接触するのを防止するためのものであり、絶縁性材料で構成される。さらに、正極および負極の間を電解質が移動可能な形状のものが使用される。具体的には、例えば合成樹脂製不織布、ポリエチレン多孔質フィルム、ポリプロピレン多孔質フィルムなどを挙げることができる。
【0068】
4) 非水電解質
前記非水電解質は、非水溶媒に電解質を溶解することにより調製される液体状電解質または、高分子材料に前記非水溶媒と前記電解質を含有した高分子ゲル状電解質、前記電解質を含有し、かつ前記非水溶媒が無添加の高分子固体電解質、リチウムイオン伝導性を有する無機固体電解質が挙げられる。
【0069】
液状電解質としては、リチウム電池の非水溶媒に電解質としてリチウム塩を溶解したもので公知の非水溶媒を用いることができ、エチレンカーボネート(EC)やプロピレンカーボネート(PC)などの環状カーボネートや、環状カーボネートと環状カーボネートより低粘度の非水溶媒(以下第2の溶媒)との混合溶媒を主体とする非水溶媒を用いることが好ましい。
【0070】
第2の溶媒としては、例えばジメチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、ジエチルカーボネートなどの鎖状カーボネート、γ−ブチロラクトン、アセトニトリル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、環状エーテルとしてテトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランなど、鎖状エーテルとしてジメトキシエタン、ジエトキシエタンなどが挙げられる。
【0071】
電解質としては、アルカリ塩が挙げられるが、とくにリチウム塩が挙げられる。リチウム塩として、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)、六フッ化ヒ素リチウム(LiAsF)、過塩素酸リチウム(LiClO)、トリフルオロメタスルホン酸リチウム(LiCFSO)などが挙げられる。とくに、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)、ホウフッ化リチウム(LiBF)が好ましい。前記電解質の前記非水溶媒に対する溶解量は、0.5〜2モル/Lとすることが好ましい。
【0072】
ゲル状電解質は、前記溶媒と前記電解質を高分子材料に溶解しゲル状にしたもので、高分子材料としてはポリアクリロニトリル、ポリアクリレート、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキシド(PECO)などの単量体の重合体または他の単量体との共重合体が挙げられる。
【0073】
固体電解質は、前記電解質を高分子材料に溶解し、固体化したものである。高分子材料としてはポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)、ポリエチレンオキシド(PEO)などの単量体の重合体または他の単量体との共重合体が挙げられる。また、無機固体電解質として、リチウムを含有したセラミック材料が挙げられる。なかでもLiN、LiPO−LiS−SiSガラスなどが挙げられる。
【0074】
以下、本発明に係わる非水電解質電池の一例である円筒形非水電解質二次電池を図1を参照して詳細に説明する。
【0075】
例えば、ステンレスからなる有底円筒状の容器1内の底部には、絶縁体2が配置されている。電極群3は、前記容器1内に収納されている。前記電極群3は、正極4と負極6をその間にセパレータ5を介在して渦巻き状に捲回することにより作製される。
【0076】
前記容器1内には、非水電解液が収容されている。中央部が開口された絶縁紙7は、前記容器1内の前記電極群3の上方に配置されている。絶縁封口板8は、前記容器1の上部開口部にかしめ加工により固定されている。正極端子9は、前記絶縁封口板8の中央に嵌合されている。正極リード10の一端は、前記正極4に、他端は前記正極端子9にそれぞれ接続されている。前記負極6は、図示しない負極リードを介して負極端子である前記容器1に接続されている。
【0077】
なお、前述した図1では、円筒形非水電解質二次電池に適用した例を説明したが、本発明は、角形非水電解質二次電池、薄型非水電解質二次電池にも同様に適用できる。また、前記電池の容器内に収納される電極群は、渦巻形に限らず、偏平形状や、正極、セパレータ及び負極をこの順序で複数積層した形態にしてもよい。さらに、電極群が収納される容器には、前述した図1に示すような金属缶の代わりに、ラミネートフィルム製の容器を用いることができる。
【0078】
【実施例】
以下、本発明の実施例を前述した図1を参照して詳細に説明する。
【0079】
(実施例1〜12及び比較例1〜2)
<正極の作製>
正極活物質であるリチウムコバルト酸化物(LiCoO)粉末を91重量%と、アセチレンブラックを2.5重量%と、グラファイトを3重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3.5重量%と、N−メチルピロリドン(NMP)溶液とを加えて混合し、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の集電体に塗布し、乾燥後、プレスすることにより電極密度3.0g/cmの正極を作製した。
【0080】
<負極の作製>
下記表1に示す組成比率で所定量の元素を混合し、高周波溶解にて水冷円盤鋳型上に厚さ約15mmで一度鋳造後、さらに高周波溶解を行い、得られた溶湯を25m/sの速度で回転する冷却ロール上に射出することにより、板厚30〜60μmのフレークを作製し、負極活物質を得た。
【0081】
次いで、得られた金属間化合物の粉末85重量%に導電剤としてのグラファイト5重量%、同じく導電剤としてのアセチレンブラック3重量%、PVdF7重量%とNMP溶液とを加えて混合し、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ11μmの銅箔からなる集電体に塗布し、乾燥し、プレスすることにより負極を作製した。
【0082】
<電極群の作製>
前記正極、ポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータ、前記負極、及び前記セパレータをそれぞれこの順序で積層した後、前記負極が最外周に位置するように渦巻き状に捲回して電極群を作製した。
【0083】
<非水電解液の調製>
さらに、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒に(混合体積比率1:2)に、六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/L溶解して非水電解液を調製した。
【0084】
前記電極群及び前記電解液をステンレス製の有底円筒状容器内にそれぞれ収納して前述した図1に示す円筒形非水電解質二次電池を組み立てた。
【0085】
得られた二次電池について、以下に説明する方法でCoSn型の結晶相の確認と、初期容量および充放電サイクル特性の測定を行い、その結果を下記表1に示す。
【0086】
<CoSn型の結晶相の確認>
まず、CuKα線の粉末X線回折により、CoSn型の結晶相に基づくピークを確認した。次いで、CoSn型の結晶相の存在比率を測定した。すなわち、合金のTEM像を撮影し、その視野領域においてCoSn型結晶相が占める面積の割合を評価した.合計で3視野測定後、その平均値をCoSn型結晶相の存在比率とした。
【0087】
また、得られたX線回折チャートにおいて、2θが43.5°〜46.5°の範囲内に現れる主ピークの半価幅を測定した。なお、半価幅は、2θ軸で表記した回折模様の測定値からバックグラウンドを引き、回折ピーク強度(h)の半分の高さ(h/2)のピーク幅とした。
【0088】
<初期容量および充放電サイクル特性>
環境温度を45℃と設定し、充電電流1Cで4.2Vまで3時間充電後、3.0Vまで1Cで放電する試験において、単位重量当たりの負極初期容量(mAh/g)、およびこの充放電を500回繰り返した時の容量維持率(1回目の容量を1とした時の500サイクル目の容量)を測定した。
【0089】
(比較例3)
メカニカルアロイ法により、回折角2θが43.2°のピーク半価幅が1.4°である非晶質なSn60.4Co30.4Cu9.2合金を得た。得られた合金を負極活物質として用いること以外は、前述した実施例1で説明したのと同様にして非水電解質二次電池を製造した。
【0090】
【表1】
Figure 2004183019
【0091】
表1から明らかなように、CoSn型結晶相を含むと共に前述した(1)式で表される金属間化合物を備えた実施例1〜12の二次電池は、負極の初期容量(単位重量当り)と500サイクル時の容量維持率の双方に優れていることがわかる。
【0092】
これに対し、CoSnを負極活物質として用いる比較例1の二次電池は、500サイクル時の容量維持率が高いものの、負極の初期容量(単位重量当り)が低かった。一方、CoSnを負極活物質として用いる比較例2の二次電池は、負極の初期容量(単位重量当り)が高いものの、500サイクル時の容量維持率が低かった。また、非晶質なスズ合金を用いる比較例3の二次電池は、負極の初期容量(単位重量当り)と500サイクル時の容量維持率の双方が低かった。
【0093】
(実施例13〜18及び比較例4,5)
<正極の作製>
正極活物質であるリチウムコバルト酸化物(LiCoO)粉末を91重量%と、アセチレンブラックを2.5重量%と、グラファイトを3重量%と、ポリフッ化ビニリデン(PVdF)を3.5重量%と、N−メチルピロリドン(NMP)溶液とを加えて混合し、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ15μmのアルミニウム箔の集電体に塗布し、乾燥後、プレスすることにより電極密度3.0g/cmの正極を作製した。
【0094】
<負極の作製>
下記表2〜表3に示す組成比率で所定量の元素を混合し、高周波溶解にて水冷円盤鋳型上に厚さ約15mmで一旦鋳造後、さらに高周波溶解を行い、40m/sの速度で回転する冷却ロール上に射出することにより、板厚30〜60μmのフレークを作製した。得られたフレーク状の合金に下記表2〜表3に示す条件で熱処理を施すことにより、負極活物質を得た。
【0095】
得られた合金の粉末85重量%に導電剤としてのグラファイト5重量%、同じく導電剤としてのアセチレンブラック3重量%、PVdF7重量%とNMP溶液とを加えて混合し、スラリーを調製した。得られたスラリーを厚さ11μmの銅箔からなる集電体に塗布し、乾燥し、プレスすることにより負極を作製した。
【0096】
<電極群の作製>
前記正極、ポリエチレン製多孔質フィルムからなるセパレータ、前記負極、及び前記セパレータをそれぞれこの順序で積層した後、前記負極が最外周に位置するように渦巻き状に捲回して電極群を作製した。
【0097】
<非水電解液の調製>
さらに、エチレンカーボネート(EC)とメチルエチルカーボネート(MEC)の混合溶媒に(混合体積比率1:2)に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1モル/L溶解して非水電解液を調製した。
【0098】
前記電極群及び前記電解液をステンレス製の有底円筒状容器内にそれぞれ収納して前述した図1に示す円筒形非水電解質二次電池を組み立てた。
【0099】
得られた実施例13〜18及び比較例4,5の二次電池について、以下に説明する方法で各相の組成、各相の存在比及び500サイクル時の容量維持率を測定し、その結果を下記表2〜表3に示す。
【0100】
<相の組成>
各相の組成についてはEDXによる元素分析から算出した.合計3点測定を行い、その平均値を相の組成とした。なお、表2〜表3では、原子比で表記される組成については、各相(第1相〜第4相)のうちの主たる相の組成を表記している。
【0101】
<相の存在比>
相の存在比については合金のTEM像を撮影し,その視野領域において各相が占める面積の割合を評価した.同様にして合計で3視野測定し,その平均値を相の存在比とした。
【0102】
<500サイクル時の容量維持率>
測定環境温度を35℃と設定し、充電電流1Cで4.2Vまで3時間充電後、3.0Vまで1Cで放電する試験において、単位体積当たりの初期容量(mAh/cc)、およびこの充放電を500回繰り返した時の容量維持率(初期容量を1とした時の500サイクル目の容量)を測定した。その結果を表3に示す。
【0103】
【表2】
Figure 2004183019
【0104】
【表3】
Figure 2004183019
【0105】
表2、表3から明らかなように、第1〜第3の相を含む合金を備えた実施例13〜18の二次電池は、CoSn相とCoSn相とCoSn相とを含む合金を備えた比較例4,5の二次電池に比較して、500サイクル時の容量維持率が高いことが理解できる。
【0106】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、放電容量と充放電サイクル寿命の双方に優れる非水電解質電池用電極材料及び非水電解質電池を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる非水電解質電池の一例である円筒形非水電解質二次電池を示す部分断面図。
【符号の説明】
1…容器
3…電極群
4…正極
5…セパレータ
6…負極
8…封口板。

Claims (5)

  1. CoSn型の結晶相を含むと共に下記(1)式で表される組成を有する金属間化合物を含むことを特徴とする非水電解質電池用電極材料。
    (Co1− M1M2)Sn (1)
    但し、前記M1は、Al、Fe、Ni、Cr、Cu及びVよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、前記M2は、Ti、Zr、Nb、Ta、Mo及びWよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素であり、x、y、aは、それぞれ、0<x≦0.4、0≦y≦0.1、1<a<2を示す。
  2. 前記金属間化合物中の前記結晶相の存在比率は、50%〜100%の範囲内であることを特徴とする請求項1記載の非水電解質電池用電極材料。
  3. Coを53モル%以下と、Snを47モル%以上、55モル%以下と、Cr、Mo、Mn、Fe、Cu、Al、Ni及びSiよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Tを35モル%以下とを含む第1の相と、
    Coを70モル%以下と、Snを30モル%以上、45モル%以下と、Cr、Mo、Mn、Fe、Cu、Al、Ni及びSiよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Tを15モル%以下とを含む第2の相と、
    Coを40モル%以下と、Snを60モル%以上、80モル%以下と、Li、Na、K、Ca、Sr、Ba、Rb、Sc、In、Tl、Pb、Sb、Bi、Te、ZrおよびHfよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Xを20モル%以下とを含む第3の相と
    を含む合金を備えることを特徴とする非水電解質電池用電極材料。
  4. 前記合金は、Snを85モル%以上と、Ti、V、Nb、Ta、Mg、Ga、Zn、Ge、N、O、P、S、As、Se及びFよりなる群から選択される少なくとも1種類の元素Mを25モル%未満とを含む第4の相をさらに備えることを特徴とする請求項3記載の非水電解質電池用電極材料。
  5. 請求項1または請求項3記載の非水電解質電池用電極材料を含む負極と、正極と、非水電解質とを具備することを特徴とする非水電解質電池。
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