JP2004182006A - 車両の走行安全装置、プログラム - Google Patents

車両の走行安全装置、プログラム Download PDF

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理 片山
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隆志 田口
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Tadao Ooka
忠雄 大岡
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Abstract

【課題】トンネル内への進入直後またはトンネル内からの脱出直後における運転者自身の不安を小さくすることができ運転者自身が安全に運転することが可能となる車両の走行安全装置を提供する。
【解決手段】通常の走行時には透過度可変窓ガラスの透過度は最大値に制御する(この値を100%とする。)。トンネルまでの所要時間が所定の時間に達したA点から透過度をトンネルまでの距離に応じて図に示すように徐々に下げていきトンネルまでの距離が0になる時点で透過度が約50%になるように制御する。そしてトンネルに進入したことを検知した時(図のB点)、透過度を100%に戻す制御を行う。一方トンネルから車両が脱出する際にはこれとは逆の透過度制御を行う。すなわち制御回路はトンネルからの脱出を検知した場合、透過度可変窓ガラスの透過度を約50%まで下げ、徐々に100%まで戻すようにする。
【選択図】図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
車両の走行安全装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両がトンネルに進入した直後やトンネル内から脱出した直後は、運転者の視野環境の変化が大きく、運転者は明るさの変化に視覚が追従できずに心理的に不安な状況に陥りやすかった。
【0003】
そこで、トンネル内への進入直後またはトンネル内からの脱出直後から所定時間の間、危険回避処置を他のときよりも早期に取るようにするなど、制御ロジックを安全サイドに変更することで、走行安全性を高める車両の走行安全装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、これとは別に、車両のフロントウィンドウに配設され、光透過率を変化させることが可能な液晶バイザが知られている(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−44499号公報
【特許文献2】
特開2002−67690号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の車両の走行安全装置は、単に、走行安全装置自体の制御ロジックを、トンネル内への進入直後またはトンネル内からの脱出直後から所定時間の間、その他の場合よりも安全サイドに変更するだけである。そのため、トンネル内での車両自体の走行安全性を高めることはできるものの、運転者自身はトンネル内への進入直後またはトンネル内からの脱出直後に視覚変化を感じるままである。そのため、トンネル内への進入直後またはトンネル内からの脱出直後の明るさ変化に追従することができずに、心理的に不安な状況に陥りやすいままであった。
【0007】
また、液晶バイザは、単に太陽光等の強い入射光を遮ることにより眩しさを低減するためのサンバイザの代替品として用いられるものであり、トンネルへの進入、脱出に対して視覚的な順応を図ることはできない。
本発明は、上述した問題点に鑑み、トンネル内への進入直後またはトンネル内からの脱出直後における運転者自身の不安を小さくすることができ、運転者自身が安全に運転することが可能となる車両の走行安全装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上述した問題点を解決するためになされた請求項1に記載の車両の走行安全装置は、検出されたトンネルへの車両の進入またはトンネルからの前記車両の脱出に応じて、運転者の視界の明度を変化させる。したがって、明度を適切に変化させることで運転者の視覚の順応を促すことができ、運転者自身の不安を小さくすることができる。よって、運転者の安全に運転に寄与する。
【0009】
例えば、請求項2に示すように、車両の走行道路上のトンネルを検出し、検出したトンネルからの車両の脱出時に視界の明度を低減し、脱出後に徐々に視界の明度を増すように運転者の視界の明度を変化させるとよい。このようにすれば、トンネルを脱出するときに、運転者の急激に視界が明るくなることによって、視覚が順応できずに不安に陥ることを防止でき、トンネル脱出後の安全運転に寄与する。
【0010】
また、請求項3に示すように、トンネルへ車両が進入するまでの所要時間を予測し、予測した所要時間が、所定の時間に達した時点から徐々に前記視界の明度を低減していき、トンネルへの進入時には明度を増すように前記運転者の視界の明度を変化させるとよい。このようにすれば、トンネルに入る所定時間前から徐々にトンネル内の明るさに視覚を順応させることができる。したがって、トンネル進入時に急激に視界が暗くなって、運転者の視覚が順応できないといった事態を防止でき、トンネル進入後の安全運転に寄与する。
【0011】
なお、車両の走行道路上のトンネルを検出するトンネル検出手段がトンネルを検出する構成としては種々の構成を採ることができる。例えば、トンネル検出手段は、車両の外部の光量を検出し、その光量が急激に大きくなった場合に、トンネルからの脱出であると検出するようにしてもよい。また、トンネル内で用いられる照明の特性を持つ光を検知した場合や、トンネル内あるいはトンネル内とその前後の路上で放送される電波(例えば所定のラジオ放送など)を受信した場合にトンネルであると検知するようにしてもよい。また、トンネルの入口や出口の所定距離手前の路上等にトンネルへの進入やトンネルからの脱出を箇所がこの先にあることを示す信号を走行中の車両に対して送信する送信機を設け、トンネル検出手段は、この信号を受信した場合に、トンネルへの進入箇所やトンネルからの脱出が為されることや、トンネルへの進入までの所要時間やトンネルからの脱出までの所要時間を検知してもよい。また例えばトンネルの位置をいわゆるカーナビゲーション装置の機能によって検知してもよい。
【0012】
例えば、請求項4に示すように、検出した車両の現在位置と、検出した車両の車速と、トンネルの開始位置情報を含む地図情報とに基づいて、トンネルまでの所要時間を算出するようにしてもよい。例えば、車両の現在位置をGPS、地図情報をDVDやハードディスク、車速(車両の走行速度)を車速センサから取得して用いることで、ナビゲーション処理等を利用して、トンネル位置、自車位置を把握するように構成するとよい。例えば、運転者が順応までに必要な時間と車速より、透過率の制御を始める時点を決定することができ、正確に透過率の変化時間や変化量を制御することが可能である。
【0013】
また、車両の運転者の視界における明度を制御する明度制御手段も、種々の構成を採りうる。
例えば、請求項5に示すように、車両の窓ガラス覆う透明度が可変のシートを備え、運転者の視界の明度を、このシートの透明度(透過度)を制御することによって変化させるようにするとよい。このようにすれば、窓ガラスは従来のままで、シートを覆わせることで対応できるため、従来車を大幅に変更することなく、運転者の視界の明度を制御することが可能である。
【0014】
また、請求項6に示すようにして、窓ガラス自体を透明度(透過度)が可変な窓ガラスとし、運転者の視界の明度を、この窓ガラスの透明度を制御することによって変化させるようにしてもよい。このようにすれば、正確に運転者の視界の明度を制御できる。
【0015】
また例えば、請求項7に示すように、レンズ部の透明度(透過度)を制御可能な眼鏡型の装置を備え、運転者の視界の明度を、運転者が装着するこの眼鏡型の装置のレンズ部の透明度を制御することによって変化させるようにしてもよい。眼鏡型装置のレンズ部の透明度を制御することで、低コストで、運転者の視界における明度制御を実現することができる。
【0016】
なお、請求項5〜7に記載の明度制御手段の構成を組み合わせて明度制御手段を構成してもよい。このようにして、透明度を制御することによって、運転者の視界の明度を変化させることができる。
こうした透明度の制御は、予め定められた制御パターンに従って行うようにしてもよい。
【0017】
また、例えば、請求項8に示すように、運転者の視界の明度を予測し、予測した運転者の視界の明度に基づいて、透明度を変化させるようにしてもよい。また、請求項9に示すように、明度の制御を開始する時間を、この予測した運転者の視界の明度に基づいて変化させるようにしてもよい。なお、予測する運転者の視界の明度は、明度制御手段が制御を行わない場合の運転者の視界の明度を予測するようにしてもよいし、明度制御手段が制御を行った場合の運転者の視界の明度を予測するようにしてもよい。こうした運転者の視界の明度の予測は、種々の信号や情報に基づいて行うことができる。例えば請求項10に示すように、ヘッドライト信号、ワイパー駆動信号、配信された気象情報データの少なくともいずれか1つに基づいて、運転者の視界の明度を予測(推定)するとよい。こうした車のセンサやスイッチからの情報や、通信等によって外部から取得した情報等を用いることで、視野環境の明度を予測することにより、明度の変化量や、変化の開始時間の設定等を、視野環境の明度に沿った透明度の制御を低コストで実現することが可能である。
【0018】
また、請求項11に示すように、運転者の視野環境の輝度を算出し、算出した視野環境の輝度に応じて、透明度を変化させるようにしてもよい。請求項12に示すように、明度の制御を開始する時間を、算出した視野環境の輝度に応じて変化させるようにしてもよい。そして視野環境の輝度は、例えば、請求項13に示すように、車載カメラからの信号に基づいて算出するとよい。例えば、ブラインドコーナー用の車載カメラなど、既成のカメラを流用すれば、低コストで明度の制御が可能である。このように、運転者の視野環境の輝度を算出し、算出した視野環境の輝度に応じて、透明度を変化させるようにすることで、例えば、晴天時のみならず、曇天時や雨の日でも、順応に最適な明度になるように透過度の制御を正確に行うことが可能である。
【0019】
そして、前記明度制御手段と前記トンネル検出手段との通信は、例えば、有線の車内LANなど、有線で行うようにしてもよいが、請求項14に示すようにワイヤレスで行うとよい。このようにすれば、配線の煩わしさがなくなる。例えば、眼鏡型装置を用いる場合にワイヤレスとすれば、車両へのコードが不要となり、装着の煩わしさを低減することが可能である。
【0020】
なお、請求項15に示すように、請求項1〜14のいずれかに記載の車両の走行安全装置としての機能をコンピュータシステムにて実現する場合、例えば、コンピュータシステム側で起動するプログラムとして備えることができる。このようなプログラムの場合、例えば、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、ハードディスク、ROM、RAM等のコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、必要に応じてコンピュータシステムにロードして起動することにより用いることができ、また、ネットワークを介してロードして起動することにより用いることもできる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の車両の走行安全装置1の構成を示すブロック図である。車両の走行安全装置1は、車載カメラ11と、車速センサ13と、透過度可変窓ガラス15と、車両の現在位置を検出する位置検出器21と、ユーザーからの各種指示を入力するための操作スイッチ群22と、操作スイッチ群22と同様に各種指示を入力可能なリモートコントロール端末(以下、リモコンと称す。)23aと、リモコン23aからの信号を入力するリモコンセンサ23bと、外部情報入出力装置24と、地図データや各種の情報を記録した外部記憶媒体から地図データ等を入力する地図データ入力器25と、地図表示画面やTV画面等の各種表示を行うための表示装置26と、各種のガイド音声等を出力するための音声出力装置27と、各種のデータを記憶するための外部メモリ28と、上述した車載カメラ11,車速センサ13,位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコン23a,外部情報入出力装置24,地図データ入力器25,外部メモリ28からの入力に応じて各種処理を実行し、車載カメラ11,車速センサ13,透過度可変窓ガラス15,位置検出器21,操作スイッチ群22,リモコンセンサ23b,外部情報入出力装置24,地図データ入力器25,表示装置26,音声出力装置27,外部メモリ28を制御する制御回路29とを備えている。
【0022】
車載カメラ11は、例えば、ブラインドコーナー用のカメラであり、操作スイッチ群22から車載カメラ映像の表示指示が入力された場合などに、車載カメラ11で捉えた映像を表示装置26に表示する。また、制御回路29は、車載カメラ11から得られた画像の平均輝度を算出し、外界の明るさ情報を得る輝度算出処理を行う。
【0023】
透過度可変窓ガラス15は、車両に設置された窓ガラス(例えばフロントガラスのみでもよいし、フロントとサイドの窓ガラスのみでもよい。また全ての窓ガラスでもよい。)であり、例えば、液晶やEL(エレクトロルスミネッセンス)などの素材を用いることで透過度を変えることができる。例えば、2枚の透明基板の間に挟み込んだ液晶層またはEL層の光学特性を制御回路29の制御により電気的に変化させることにより光透過率を変化させることが可能な窓ガラスを用いる。
【0024】
位置検出器21は、GPS(Global Positioning System)用の人工衛星からの送信電波をGPSアンテナを介して受信し、車両の位置,方位,速度等を検出するGPS受信機21aと、車両に加えられる回転運動の大きさを検出するジャイロスコープ21bと、車両の前後方向の加速度等から走行した距離を検出するための距離センサ21cと、地磁気から進行方位を検出するための地磁気センサ21dとを備えている。そして、これら各センサ等21a〜21dは、各々が性質の異なる誤差を有しているため、互いに補完しながら使用するように構成されている。なお、精度によっては、上述したうちの一部のセンサで構成してもよく、またステアリングの回転センサや各転動輪の車輪センサ等を用いてもよい。
【0025】
操作スイッチ群22としては、表示装置26と一体に構成され、表示画面上に設置されるタッチパネル及び表示装置26の周囲に設けられたメカニカルなキースイッチ等が用いられる。なおタッチパネルと表示装置26とは積層一体化されており、タッチパネルには、感圧方式,電磁誘導方式,静電容量方式,あるいはこれらを組み合わせた方式など各種の方式があるが、そのいずれを用いてもよい。
【0026】
外部情報入出力装置24は、図示しないラジオアンテナを介してFM放送信号を受信したり、道路近傍に配置されたVICS(Vehicle Information and Communication System:道路交通情報システム)サービス用の固定局から、電波ビーコン信号及び光ビーコン信号を受信する。この受信した情報は制御回路29へ送られて処理される。また、図示しない携帯電話と接続され、情報センターから情報を取得したり、インターネットに接続しインターネット上のサーバから情報を取得する機能を備える。
【0027】
地図データ入力器25は、位置特定の精度向上のためのいわゆるマップマッチング用データ、地図データ、マークデータを含む各種データを入力するための装置である。これらのデータの記録媒体としては、CD−ROMやDVD、ハードディスク、メモリカード等を用いるとよい。
【0028】
地図データ中の道路データ(道路情報に相当する)は、交差点等の複数のノード間をリンクにより接続して地図を構成したものであって、それぞれのリンクに対し、リンクを特定する固有番号(リンクID)、リンクの長さを示すリンク長、リンクの始端と終端とのx,y座標、リンクの道路幅、および道路種別(有料道路等の道路情報を示すもの)、道路を特定するための道路ID(例えば国道○号線のような道路を特定する情報)のデータからなるリンク情報を備える。また地図データ中には、地名情報、交通情報、施設情報がその座標(x,y座標)とともに記憶されている。また、リンク上に存在するトンネル位置座標(トンネルの両端の座標)が記憶されている。
【0029】
表示装置26は、カラー表示装置であり、液晶ディスプレイ,プラズマディスプレイ,CRTなどがあるが、そのいずれを用いてもよい。表示装置26の表示画面には、位置検出器21にて検出した車両の現在位置と地図データ入力器25より入力された地図データとから特定した現在地を示すマーク、目的地までの誘導経路、名称、目印、各種施設のマーク等の付加データとを重ねて表示することができる。また、施設のガイド等も表示できる。そして、音声出力装置27は、地図データ入力器25より入力した施設のガイドや各種案内の音声や、外部情報入出力装置24を介して取得した情報の読み上げ音声を出力することができる。
【0030】
制御回路29は、CPU,ROM,RAM,I/O及びこれらの構成を接続するバスラインなどからなる周知のマイクロコンピュータを中心に構成されており、ROM及びRAMに記憶されたプログラムに基づいて、位置検出器21からの各検出信号に基づき座標及び進行方向の組として車両の現在位置を算出する現在位置算出処理(図5のS310)、地図データ入力器25を介して読み込んだ現在位置付近の地図等を表示装置26に表示する地図表示処理、地図データ入力器25に格納された地点データに基づき、操作スイッチ群22やリモコン23a等の操作に従って目的地となる施設を選択し、現在位置算出処理によって算出された現在位置から目的地までの最適な経路を自動的に求める経路計算処理、経路計算処理によって計算された経路を通るために交差点等で経路方向へ誘導する指示を出力したり、経路上の座標の地名情報、交通情報、施設情報を表示装置26や音声出力装置27から出力する経路案内処理を行う。このように自動的に最適な経路を設定する手法は、ダイクストラ法等の手法が知られている。
【0031】
制御回路29は、図5のS320に示すように、経路計算処理の結果として得られた現在位置から目的地までの経路上に存在するトンネルの開始位置と終了位置に至るまでのそれぞれの所要時間と距離を、地図データに記録されたトンネル位置座標と、現在位置検出処理によって求めた現在位置と、車速センサ13から検出された車速とに基づいて算出する。例えば、目的地に到着するまでの所要時間や距離を計算する従来から行われている処理を流用して、トンネルに至るまでの所要時間や距離を求めるようにしてもよい。
【0032】
そして、制御回路29は、算出したトンネル開始位置に至るまでの所要時間(予測されたトンネル進入までの所要時間)と距離、算出したトンネル終了位置に至るまでの所要時間(予測されたトンネル脱出までの所要時間)と距離に基づいて透過度可変窓ガラス15の透過度(透明度)を変化させる制御を行う。
【0033】
例えば、トンネルまでの所要時間が、所定の時間(図5のS500で求める進入所定時間)(例えば10分前)に達した時点から、トンネルまでの距離が小さくなればなる程、トンネル内の明るさに近くなるように、透過度可変窓ガラス15の透過度を徐々に低下させる。すなわち、透過度可変窓ガラス15は遮光幕で覆ったように徐々に暗くなっていく。そして、トンネルに進入したことを検知した時、透過度を向上させる。トンネルに進入したことは、例えば、トンネルまでの所要時間が0となったこと、現在位置算出処理によって算出した現在位置が地図データに記憶されたトンネル開始位置とが所定の範囲内となったこと(例えば一致した場合)、輝度算出処理によって算出された車載カメラ11から得られた画像の平均輝度が急激に低下したことなどのいずれか、またはこれらの組み合わせによって検知することができる。
【0034】
この制御回路29による透過度可変窓ガラス15の透過度制御の制御量の例を図2に示す。図2は縦軸に透過度可変窓ガラス15の透過度、横軸に距離を示したものである。通常の走行時には、透過度可変窓ガラス15の透過度は最大値に制御する(この値を100%とする。)。そして、トンネルまでの所要時間が所定の時間(図5のS500で求める脱出所定時間)(例えば5分)に達したA点から透過度をトンネルまでの距離に応じて図2に示すように徐々に下げていき、トンネルまでの距離が0になる時点で透過度が約50%になるように制御する。そして、トンネルに進入したことを検知した時(図2のB点)、透過度を100%に戻す制御を行う。
【0035】
このように、透過度可変窓ガラス15の透過度を、トンネルへの車両の進入まで徐々に下げることにより、運転者の視界の明度を下げて、運転者の視覚をトンネル内の暗さに予め順応させておくことができる。また、トンネルに進入した際には、透過度を100%とすることで、トンネル内での視界の明度を良好に保つことができる。
【0036】
一方、トンネルから車両が脱出する際には、これとは逆の透過度制御を行う。すなわち、制御回路29は、トンネルからの脱出を検知した場合、透過度可変窓ガラス15の透過度を下げ、徐々に透過度を上げていく。なお、トンネルからの脱出は、例えば、トンネルの終了点までの所要時間が0となったこと、現在位置算出処理によって算出した現在位置が地図データに記憶されたトンネル終了位置とが所定の範囲内となったこと(例えば一致した場合)、輝度算出処理によって算出された車載カメラ11から得られた画像の平均輝度が上昇したことのいずれか、またはこれらの組み合わせによって検知することができる。
【0037】
例えば図2のC点でトンネルからの脱出を検知し、透過度を約50%まで下げる。そして、脱出したトンネルから遠ざかるにつれて図2に示すように透過度を徐々に上げていき、最終的に透過度を100%に戻す制御を行う。
このように、透過度可変窓ガラス15の透過度を、トンネルからの車両の脱出時に下げることにより、トンネルからの脱出時に運転者の視界の明度が急激に上がることを防止することができる。また、その後、徐々に透明度を100%に近づけていくことで、運転者を徐々にトンネル外の明るさに順応させることができる。
【0038】
なお、制御回路29は、経路上にトンネルが連続して存在する場合には、連続性を加味して透過度可変窓ガラス15の透過度(透明度)の調整を行う。すなわち、トンネル脱出後所定時間内であり、且つ、所定時間内にトンネルに進入する場合は、透過度調整処理を行う。例えば、透過度調整処理では、図3に示すようなトンネル脱出後の透過率向上曲線(例えば図3中のトンネル1の脱出用透過率)と、トンネル進入用の透過率低減曲線(例えば図3中のトンネル2の進入用透過率)から、透過度を算出する。例えば図3に示すトンネルが連続する場合の透過率曲線のように、透過率向上曲線と透過率低減曲線の透過度の小さい方の透過度を算出する。
【0039】
図4は、上述した図2、図3に示した透過率の制御を行う透過度制御処理の一例をフローチャートに示したものである。この処理は繰り返し実行される。
図4のS110では、トンネル内か否かを判定する。トンネル内であれば(S110:YES)、S150へ移行して、トンネル脱出時か否かを判定する。トンネル脱出時であれば(S150:YES)、S160へ移行して、透過率を設定値(例えば50%)にする。一方、トンネル脱出時でなければ(S150:NO)、S170へ移行して、透過率を100%に設定する。
【0040】
トンネル内でなければ(S110:YES)、S120へ移行して、トンネル脱出後所定時間内、かつ、所定時間内でトンネルに進入するかを判定する。トンネル脱出後所定時間内、かつ、所定時間内でトンネルに進入する場合(S120:YES)(すなわちトンネルが連続する場合)、S180へ移行して、上述した透過度調整処理を行う。一方、トンネル脱出後所定時間内でない、あるいは、所定時間内でトンネルに進入する状態でない場合には(S120:NO)、S130へ移行する。
【0041】
S130では、トンネル脱出後、所定時間内か否かを判定する。トンネル脱出後所定時間内であれば(S130:YES)、S190へ移行し、透過率を増加させる。一方、トンネル脱出後所定時間内でなければ(S130:NO)、S140へ移行する。
【0042】
S140では、所定時間内でトンネルに進入するか否かを判定する。所定時間内でトンネルに進入する場合には(S140:YES)、S200へ移行して、透過率を低減させる。一方、所定時間内でトンネルに進入する状態でない場合には(S140:NO)、この処理を抜ける。
【0043】
このようにして、トンネル進入前所定時間内では透過率を低減させ(S200)、トンネル中では透過率を100%とし(S170)、トンネル脱出時には透過率を50%とし(S160)、トンネルが連続する場合には透過率を調整し(S180)、トンネルから脱出後所定時間内は透過率を増加させる(S190)。
【0044】
したがって、トンネル内への進入直後またはトンネル内からの脱出直後における視覚の順応を図ることができ、運転者自身の不安を小さくすることができる。その結果、運転者自身が安全に運転することが可能となる。
なお、一般に暗いところから明るいところへの変化、すなわち、トンネルからの脱出は、数分で順応するのに対し、明るい所から暗いところへの変化、すなわち、トンネルへの進入は、数十分程度必要であると言われている。そこで、明順応と暗順応で必要な所定の時間を変えてもよい。
【0045】
なお、透過度可変窓ガラス15中で、透過度を可変させる部分は、透過度可変窓ガラス15の一部でもよいし、全部でもよい。
また、本実施例では、透過度可変窓ガラス15を制御することによって、運転者の視界の明度を変化させることとしたが、通常の窓ガラスを覆う透明度が可変のシートを備え、運転者の視界の明度を、このシートの透明度を制御することによって変化させるようにしてもよい。このようにすれば、窓ガラスは従来のままで、シートを覆わせることで対応できるため、従来車を大幅に変更することなく、運転者の視界の明度を制御することができる。
【0046】
また例えば、運転者が装着する、レンズ部の透明度が制御可能な眼鏡型の装置を備え、制御回路29は、運転者の視界の明度を、運転者が装着するこの眼鏡型の装置のレンズ部の透明度を制御することによって変化させるようにしてもよい。眼鏡型装置のレンズ部の透明度を制御することで、低コストで、運転者の視界における明度制御を実現することができる。
【0047】
そして、車両の走行道路上のトンネルを検出する構成としては、上述したナビゲーション機能を利用する方法以外にも種々の構成を採ることができる。例えば、車載カメラ11からの信号に基づき車両の外部の光量を検出し、その光量が急激に大きくなった場合に、トンネルからの脱出であると検出するようにしてもよい。また、トンネル内で用いられる照明の特性を持つ光を検知した場合や、トンネル内あるいはトンネル内とその前後の路上で放送される電波(例えば所定のラジオ放送など)を受信した場合にトンネルであると検知するようにしてもよい。また、トンネルの入口や出口の所定距離手前の路上等にトンネルへの進入やトンネルからの脱出を箇所がこの先にあることを示す信号を走行中の車両に対して送信する送信機を設け、この信号を外部情報入出力装置24が受信した場合に、トンネルへの進入箇所やトンネルからの脱出が為されることを検知したり、トンネルへの進入までの所要時間やトンネルからの脱出までの所要時間を検知するようにしてもよい。
【0048】
また、図2、図3の説明では、トンネル進入直前及びトンネル脱出時に透過度を約50%まで低減させることとしたが、この透過度は、運転者の視野環境の輝度に応じて変更してもよい。また、透過度の低減・増加の割合も外部環境の輝度に応じて変更するようにしてもよい。また、図5の進入所定時間や脱出所定時間を、算出した視野環境の輝度に応じて変化させるようにしてもよい。
【0049】
この視野環境の輝度は、例えば、図5のS400に示すように、車載カメラ11からの信号に基づいて算出するとよい。例えば外部環境の輝度は、車載カメラ11の画面の平均輝度を用いて算出する。例えば視野環境の輝度が予め設定した標準値より高い場合には、その度合いに応じて透過率を低くし、視野環境の輝度が予め設定した標準値より低い場合には、その度合いに応じて透過率を高くする。このように、視野環境の輝度に応じて透過度を変化させるようにすることで、例えば、晴天時のみならず、曇天時や雨の日でも、順応に最適な明度になるように透過度の制御を正確に行うことが可能である。
【0050】
また、運転者の視界の明度を予測し、予測した運転者の視界の明度に基づいて、透明度を変化させるようにしてもよい。例えば、透過度の制御を開始する時間を、この予測した運転者の視界の明度に基づいて変化させるようにしてもよい。こうした運転者の視界の明度の予測は、種々の信号や情報に基づいて行うことができる。例えば、図5のS400に示すように、ヘッドライト信号、ワイパー駆動信号、外部情報入出力装置24を介して受信した気象情報データに基づいて、運転者の視界の明度を予測するとよい。また、例えば、ヘッドライトが点灯していれば外界は暗い、ワイパーが動いていれば、雨のため外界は暗いなどと推測することができる。例えば、ヘッドライト信号が点灯を示す場合やワイパー駆動信号がワイパー動作を示す場合、気象データが曇りや雨の場合には、透過度を上げるようにする。また、図5の進入所定時間や脱出所定時間を、この予測した視界の明度に基づいて変更するようにしてもよい。このようにすることで、視野環境の明度に沿った透過度の制御を低コストで実現することが可能である。
【0051】
さらに、運転者の年齢や視覚特性など種々の属性を含む個人データを予め制御回路29のRAM等に記憶しておき、この属性に対応する特性を記憶しておき、運転者に応じた透明度制御の開始時間や透明度の制御量を用いて制御を行うとよい。
【0052】
なお、車載カメラ11、車速センサ13、透過度可変窓ガラス15等と、制御回路29との通信は、例えば、車内LANなどの有線で行うようにしてもよいが、ワイヤレスで行うとよい。このようにすれば、配線の煩わしさがなくなる。特に透過度可変窓ガラス15に代えて、または、透過度可変窓ガラス15とともに上述した眼鏡型装置を用いる場合に、ワイヤレスとするとよい。このようにすれば、車両へのコードが不要となり、装着の煩わしさを低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す車両の走行安全装置のブロック図である。
【図2】実施形態の透過度可変窓ガラスの透過率制御の例を示す説明図である。
【図3】実施形態のトンネルが連続する場合の透過度可変窓ガラスの透過率制御の例を示す説明図である。
【図4】実施形態の走行安全装置における処理の流れを示すフローチャート。
【図5】透過度算出処理の別例を示す説明図である。
【符号の説明】
1…走行安全装置
11…車載カメラ
13…車速センサ
15…透過度可変窓ガラス
21…位置検出器
21a…GPS受信機
21b…ジャイロスコープ
21c…距離センサ
21d…地磁気センサ
22…操作スイッチ群
23a…リモコン
23b…リモコンセンサ
24…外部情報入出力装置
25…地図データ入力器
26…表示装置
27…音声出力装置
28…外部メモリ
29…制御回路

Claims (15)

  1. 車両の運転者の視界における明度を制御する明度制御手段と、
    前記車両の走行道路上のトンネルを検出するトンネル検出手段と
    を備え、
    前記明度制御手段は、前記トンネル検出手段によって検出されたトンネルへの前記車両の進入またはトンネルからの前記車両の脱出に応じて、前記運転者の視界の明度を変化させること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  2. 請求項1に記載の車両の走行安全装置において、
    前記明度制御手段は、前記トンネル検出手段によって検出されたトンネルからの前記車両の脱出時に視界の明度を低減し、脱出後に徐々に視界の明度を増すように前記運転者の視界の明度を変化させること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  3. 請求項1または2に記載の車両の走行安全装置において、
    前記トンネル検出手段は、トンネルへ前記車両が進入するまでの所要時間を予測するトンネル進入所要時間予測手段を備え、
    前記明度制御手段は、前記トンネル進入所要時間予測手段によって予測されたトンネルへ前記車両が進入するまでの所要時間が、所定の時間に達した時点から徐々に前記視界の明度を低減していき、前記トンネルへの進入時には明度を増すように前記運転者の視界の明度を変化させること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  4. 請求項3に記載の車両の走行安全装置において、
    前記トンネル進入所要時間予測手段は、
    前記車両の現在位置を検出する現在位置検出手段と、
    前記車両の車速を検出する車速検出手段と、
    前記トンネルの開始位置情報を含む地図情報を記憶した地図情報記憶手段とを備え、
    前記現在位置検出手段によって検出された現在位置と、前記車速検出手段によって検出された車速と、前記地図情報記憶手段に記憶された地図情報に基づき前記トンネルまでの所要時間を算出すること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  5. 請求項1〜4のいずれかに記載の車両の走行安全装置において、
    前記明度制御手段は、前記車両の窓ガラス覆う透明度が可変のシートを備え、前記運転者の視界の明度を、当該シートの透明度を制御することによって変化させること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の車両の走行安全装置において、
    前記明度制御手段は、前記車両に搭載された透明度が可変な窓ガラスを備え、前記運転者の視界の明度を、当該窓ガラスの透明度を制御することによって変化させること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の車両の走行安全装置において、
    前記明度制御手段は、レンズ部の透明度を制御可能な眼鏡型の装置を備え、前記運転者の視界の明度を、当該運転者が装着する前記眼鏡型の装置のレンズ部の透明度を制御することによって変化させること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の車両の走行安全装置において、
    前記明度制御手段は、前記運転者の視界の明度を予測する明度予測手段を備え、前記明度予測手段によって予測された運転者の視界の明度に基づいて、前記透明度を変化させること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  9. 請求項3または4に記載の車両の走行安全装置において、
    前記明度制御手段は、前記運転者の視界の明度を予測する明度予測手段を備え、前記明度予測手段によって予測された運転者の視界の明度に基づいて、前記所定の時間を変化させること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  10. 請求項8または9に記載の車両の走行安全装置において、
    前記明度予測手段は、ヘッドライト信号、ワイパー駆動信号、配信された気象情報データの少なくともいずれか1つに基づいて、前記運転者の視界の明度を予測すること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  11. 請求項1〜10のいずれかに記載の車両の走行安全装置において、
    前記明度制御手段は、運転者の視野環境の輝度を算出する輝度算出手段を備え、前記輝度算出手段によって算出された視野環境の輝度に応じて、前記透明度を変化させること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  12. 請求項3または4に記載の車両の走行安全装置において、
    前記明度制御手段は、運転者の視野環境の輝度を算出する輝度算出手段を備え、前記輝度算出手段によって算出された視野環境の輝度に応じて、前記所定の時間を変化させること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  13. 請求項11または12に記載の車両の走行安全装置において、
    前記輝度算出手段は、車載カメラを備え、前記車載カメラからの信号に基づいて前記輝度を算出すること
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  14. 請求項1〜13のいずれかに記載の車両の走行安全装置において、
    前記明度制御手段と前記トンネル検出手段との通信は、ワイヤレスで行うこと
    を特徴とする車両の走行安全装置。
  15. 請求項1〜14のいずれかに記載の車両の走行安全装置における各手段をコンピュータに実現させるためのプログラム。
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