JP2004181489A - プレス成形方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プレス成形方法は、ブランク材を絞り成形するときに絞り成形用金型のパンチ肩部およびダイ肩部に沿って伸びる位置に予め所定の凹凸22を凹凸金型42で成形する凹凸成形工程と、凹凸を成形したブランク材を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形する絞り成形工程と、からなる。また、凹凸成形は、ブランキングプレスにてブランク材の切断と同時に実施する
【効果】凹凸成形工程でブランク材に凹凸を成形すると、次工程でのブランク材の伸びを所望の範囲内とすることができる。ブランキング工程と凹凸成形工程を同時に完了させることができる。絞り成形工程では、パンチ肩部およびダイ肩部でのブランク材の局部的な伸びを小さくすることができる。成形品のコーナー部に生じるコーナー部壁割れおよびパンチ肩破断を防止することができる。
【選択図】 図5
【効果】凹凸成形工程でブランク材に凹凸を成形すると、次工程でのブランク材の伸びを所望の範囲内とすることができる。ブランキング工程と凹凸成形工程を同時に完了させることができる。絞り成形工程では、パンチ肩部およびダイ肩部でのブランク材の局部的な伸びを小さくすることができる。成形品のコーナー部に生じるコーナー部壁割れおよびパンチ肩破断を防止することができる。
【選択図】 図5
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は絞り成形用金型を用いて薄板を絞り成形する場合のプレス成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のプレス成形方法では、成形素材の端部を金型に移動可能に固定し、金型の圧下中に端部の固定を解除するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
また、成形素材の端部を移動可能に固定し、成形素材の移動に追従させて端部が移動しつつプレス成形できるようにしているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、成形素材の端部(フランジ部)を移動しないようにしわ押え(絞りビードを設けたもの)で固定して、ポンチの押込みで2軸引張り変形を主体とした張り出し成形方法もある(例えば、JIS G 0202参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−263715号公報 (第3−4頁、図1)
【特許文献2】
特開2000−288642公報 (第5−6頁、図5)
【0004】
上記特許文献1、2を、図面を参照の上、詳しく説明する。
図13は従来のプレス成形方法の説明図で、このプレス成形方法に用いるブランクホルダの斜視図である(特許文献1の図1を写したもの。)。
従来のプレス成形方法は、ブランクホルダ15に設けた2個のワーククランプ機構20を開いて待機状態とし、四隅に設けたワーク保持アーム18の保持アーム23にワークWを載せると同時に、2個のワークガイド部材19に嵌め、ワーククランプ機構20のクランプアーム43でワークWの外周部をクランプする。引き続き、上型でワークWを押し下げ、下型パンチ11とでワークWを成形することで、成形は完了する。この成形方法では、上型の押し下げ終了時にワークWの外周部が内側に移動すると、外周部はクランプアーム43から抜けるため、高精度に加工することができる。
【0005】
図14(a),(b)は従来の成形法の説明図で、底付円筒容器の成形法に用いる成形装置の断面図である(特許文献2の図5を写したもの。)。
(a):テーパパンチ150の傾斜面154およびブランクホルダ130に円形ブランク120を載せ、その次に、ブランクホルダ130と押圧部材160とで円形ブランク120の外周部を押さえ付け、第1パンチ140およびブランクホルダ130(押圧部材160と一体的に)をそれぞれ異なる下降速度で下降させる。
【0006】
(b):第1パンチ140およびブランクホルダ130の内周面で円形ブランク120を絞り込み成形し、成形は完了する。
この成形法では、円形ブランク120を絞り込むときに、ブランクホルダ130と押圧部材160と間で円形ブランク120の移動が促進され、しわの発生を防ぐことができるとともに、底付円筒容器の各部の厚みの正確な制御が容易となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記図13で説明した従来のプレス成形方法では、ワークWを位置決めするために、4個のワーク保持アーム18およびワーククランプ機構20(エアシリンダ46の制御を含む)が必要で、金型の構成が複雑になり、生産コストが嵩む。
また、ワークW全体が流入するため、パンチ肩部以外では、余分にワークWが流入し、しわの原因となる。
【0008】
上記図14の成形法では、ブランクホルダ130と押圧部材160とで円形ブランク120の外周部を適度に押さえ付ける操作が必要で、押さえ付ける際の制御装置の構成が複雑になり、生産コストが嵩む。
【0009】
上記2軸引張り変形を主体とした張り出し成形方法では、ポンチの底からポンチの肩が当接した成形品のコーナ部の肉厚は極端に薄くなりやすい。
【0010】
そこで、本発明の目的は、成形品の局部的な肉厚の減少を抑制するとともに割れを防止し、生産コストの削減を図り、しわ押えに絞りビードを用いた張り出し成形でも局部的な肉厚の減少を抑制するプレス成形方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、薄板を絞り成形するときに金型の肩部に沿って伸びる位置に予め所定の凹凸を型で成形する凹凸成形工程と、凹凸を成形した薄板を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形する絞り成形工程と、からなることを特徴とする。
【0012】
凹凸成形工程では、薄板に予め凹凸を成形することで、次工程での薄板の伸びを所望の範囲内とすることができる。
【0013】
絞り成形工程では、凹凸を成形した薄板を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形するので、金型のパンチ肩部およびダイ肩部に生じる局部的な伸びは凹凸の展開によって小さくなる。その結果、成形品のコーナー部に生じるコーナー部壁割れの防止を図れるとともに、コーナー部の角に生じるパンチ肩破断の防止を図れる。
【0014】
なお、ここで説明した凹凸を展開しつつ所定の形状に成形するとは、予め成形された所定の形状(例えば、凹凸)を最終的に求める所定の形状(例えば、絞り成形品のコーナー部)に再び成形することである。
【0015】
また、絞り成形工程では、凹凸を成形した薄板を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形するので、従来の絞り成形金型と同様の絞り成形金型であってもコーナー部の肉厚の減少を抑制することができ、金型製作費の削減を図れる。
【0016】
請求項2は、凹凸成形工程での凹凸成形は、ブランキングプレスにて薄板の切断と同時に実施することを特徴とする。
凹凸成形と薄板の切断とを金型の1回の閉じ動作で行う。その結果、従来のブランキングプレスと同等の作業時間で凹凸成形工程との2工程を同時に完了させることができ、手間がかからない。
【0017】
また、凹凸成形は、ブランキングプレスにて薄板の切断と同時に実施するので、ブランキングプレス用の金型に凹凸成形用の金型を追加するだけでよく、金型製作費の削減を図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るプレス成形方法で成形した成形品の斜視図である。
成形品10は、例えば、車両の部品であり、第1コーナー部11と、第2コーナー部12と、第3コーナー部13と、第4コーナー部14と、第2コーナー部壁15と、第3コーナー部壁16と、を有し、第2コーナー部12の肉厚および第3コーナー部13の肉厚の減少を抑えたことを特徴とするものである。
ここで、図右上方の軸は、座標軸であり、Xは例えば車両の前後方向を示す軸、YはXに直交する方向を示す軸である。
【0019】
このような成形品10を成形する方法を次に説明する。
成形品10のプレス成形方法は、凹凸成形工程と、絞り成形工程と、からなる。これらの凹凸成形工程および絞り成形工程を順に説明する。
【0020】
図2(a)〜(c)は本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第1説明図である。
(a):まず、薄板としてのブランク材21を形成する。具体的には、ブランク材21は、凹凸22を形成したもので、凹凸22は、第1凹凸部26と第2凹凸部27とからなる。第1凹凸部26の位置は、成形品の第2コーナー部12(図1参照)の位置に対応し、第2凹凸部27の位置は、第3コーナー部13(図1参照)の位置に対応する。
【0021】
(b)は(a)のb−b線断面図であり、第2凹凸部27を表裏に成形したことを示す。
(c)は(a)のc−c線断面図であり、第1凹凸部26および第2凹凸部27を成形したことを示すとともに、次行程で絞り成形するときに絞り成形用金型61(図7参照)に沿って伸びる位置に予め凹凸22を成形したことを示す。
【0022】
図3は図2の3部詳細図であり、凹凸の斜視図である。
凹凸22は、具体的には、凹部31・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)と凸部32・・・とからなるとともに、凹部31の隣に所定ピッチP,Pだけ離して凸部32,32を連続して成形した部位である。
【0023】
凸部32の高さはHであり、高さHは、例えば、0.7mmに設定した。
凹部31の高さもH(図2(c)参照)である。より詳しくは、高さHを0.7、円弧の長さをLa、凹部31・・・と凸部32・・・の一列の合計数をN、第1凹凸部26の距離をL1(L1=N×La)、第2コーナー部12の長さをL2とし、第2コーナー部12の伸びを5%に設定したときに、第2コーナー部12の長さL2は、L2=L1+0.05×L1になる。
【0024】
図4は本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第2説明図である。
凹凸成形工程で予め凹凸22を成形する。ここでは、凹凸成形工程を通常のブランキングプレス(ブランキング工程でブランク材を得るプレス作業)にて行う。
【0025】
凹凸成形工程並びにブランキングプレスでは素材形成用金型33を用いる。具体的には、素材形成用金型33は、上金型36と、この上金型36に対向する下金型37と、からなるとともに、上・下金型36,37に切断手段41と、凹凸22(図3参照)を成形する型であるところの凹凸金型42と、を設けたものである。43は第1コロ、44は第2コロ、46は図に示していないコイルから送り出した帯板を示す。
【0026】
切断手段41は、帯板46を搬入する側に押さえ手段47を設け、押さえ手段47の隣に刃部48を設けたものである。
押さえ手段47は、押さえパッド51と、押さえパッド51に対応する受けブロック52とからなる。
刃部48は、直刃である。
【0027】
凹凸金型42は、上型54に第1型面55を形成し、下型56に第2型面57を第1型面55に対応するように形成した型である。凹凸金型42の材質は、任意である。
このように構成した素材形成用金型33を開いた状態にして、図に示していないループ装置により帯板46を矢印▲1▼の如く所定速度で送り、二点鎖線で示した帯板46の位置で送りを一旦止める。引き続き、上金型36をプレス機58で下降させる。
【0028】
図5(a),(b)は本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第3説明図である。
(a):上金型36を下降し、帯板46の切断を開始する。詳しくは、上金型36を所定型閉じ量S1だけ閉じると、帯板46に切断手段41の押さえパッド51が矢印▲2▼の如く当たると同時に、受けブロック52に帯板46を押し付けることで帯板46を固定する。
【0029】
(b):連続して、上金型36の下降を続け、帯板46を所定長さに切断するとともに凹凸22を成形する。具体的には、上金型36を所定型閉じ量S2だけ閉じると、刃部48は帯板46を矢印▲3▼の如く切断して、ブランク材21を形成し、続けて、上金型36を下降限まで下降することで素材形成用金型33および凹凸金型42を閉じ、第1・第2型面55(図4参照),57(図4参照)でブランク材21に凹凸22を成形する。なお、帯板46の切断と凹凸22の成形を同時に実施したが、切断後に連続して成形することも可能である。
【0030】
このように、凹凸成形工程では、凹凸成形は、ブランキングプレスにてブランク材(薄板)の切断、すなわち帯板46の切断と同時に実施するので、従来のブランキングプレス(ブランキング工程)と同等の作業時間でブランキング工程と凹凸成形工程を同時に完了させることができ、生産効率を確保することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【0031】
また、凹凸成形工程では、凹凸成形は、ブランキングプレスにて帯板46の切断と同時に実施するので、ブランキングプレス用の金型に凹凸成形用の凹凸金型42を追加するだけでよく、金型の製作費を削減することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【0032】
図6は本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第4説明図である。
素材形成用金型33からブランク材21を取り出す。具体的には上金型36を上昇させて、素材形成用金型33を開き、コンベヤ59を駆動し、ブランク材21を矢印▲4▼の如く取り出す。ここまでの作業で凹凸成形工程は完了する。引き続き、ブランク材21を絞り成形工程へ流す。なお、凹凸成形工程では、続けて、同様に2サイクル目を実施する。
このように凹凸成形工程でブランク材に凹凸22を成形すると、次工程の絞り成形工程でのブランク材21の伸びを所望の範囲内とすることができる。
【0033】
図7(a),(b)は本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第1説明図である。
(a):凹凸22を成形した薄板としてのブランク材21を絞り成形用金型61にセットする。具体的には、絞り成形用金型61は、上方に設けたパンチ62と、下方に設けたダイ63と、からなる下向き絞り型である。
【0034】
パンチ62は、ブランクホルダ66,66と、ブランクホルダ66,66に所定の押圧力を付与するクッション手段67,67と、パンチ肩部68,68と、を有する。パンチ肩部68のアール(面取り)の値は任意である。
ブランクホルダ66は、絞りビード61aを有する。
【0035】
ダイ63は、押さえ面71と、ダイ肩部72,72と、を有する。ダイ肩部72のアール(面取り)の値は任意である。ダイ63とパンチ62の隙間(クリアランス)は任意である。
【0036】
絞りビード61aは、ブランクホルダ66に形成した丸凹部66aと、押さえ面71に形成するととも丸凹部66aに対応する丸ビード部71aと、からなる。なお、絞りビード61aの形状は、丸形状以外に多角形を採用してもよく、また長さは、任意である。
【0037】
このように構成した絞り成形用金型61のパンチ62を図に示すように待機位置まで上昇させ、ブランク材21を搬入するとともに、図に示していない位置決め手段および予め設定した位置決め情報を用いて二点鎖線で示すようにブランク材21をセットする。引き続き、パンチ62を下降させる。
【0038】
(b):パンチ62を下降させて、ブランクホルダ66,66でダイ63の押さえ面71にブランク材21の周囲を矢印▲5▼,▲5▼の如く押し付けることで、ブランク材21を固定し、更にパンチ62の下降を続ける。
【0039】
図8(a),(b)は本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第2説明図である。
(a):パンチ62の下降を続け、ダイ63との間でブランク材21を塑性変形させる。その際、ブランク材21に成形した凹凸22はパンチ肩部68,68およびパンチ肩部68,68の近傍に位置するとともに、ダイ肩部72,72およびダイ肩部72,72の近傍に位置するので、パンチ62でブランク材21を矢印▲6▼,▲6▼の如く引き込むと、引き込まれる部分の伸びは、凹凸22の伸びおよび展開によって局部的な伸びとならずに、通常の伸びに較べて小さくなる。つまり、パンチ肩部68およびダイ肩部72でのブランク材21の伸びを小さくすることができる。
【0040】
また、ブランク材21を絞りビード61aで固定し、パンチ62のパンチ肩部68,68でブランク材21をX軸(図1参照)方向に引き伸ばすと同時にY軸(図1参照)方向に引き伸ばすと、凹凸22の伸びおよび展開によって局部的な伸びとならずに、通常の2軸引張り変形を主体とした張り出し成形の伸びに較べて伸びは小さくなる。つまり、絞りビードを用いた張り出し成形を採用してブランクホルダ66,66で押える部分(フランジ部)のしわを抑制することができると同時に、コーナー部の局部的な肉厚の減少をも抑制することができる。
【0041】
(b):パンチ62を下限まで下降させる。パンチ62の下降に伴い、凹凸22((a)参照)はより伸び且つ、パンチ62とダイ63の押圧によって凹凸22は変形(展開)して凹凸の高さH(図3参照)はほぼ「ゼロ」(目視で凹凸を確認できない程度)になり、凹凸はなくなるとともに、成形品10の形状となる。
【0042】
ここでは、前述したように、凹凸22の展開に相当する量は距離L1であり、凹凸22の伸びを5%に設定したので、伸びは「0.05×L1」である。
このように、本発明に係る絞り成形工程では、伸びを所定量(%)に設定することで、伸びを設定しないものと比べて、成形品のスプリングバックを小さくすることができる。
【0043】
なお、伸びの値は任意であり、伸びを設定しないで成形してもよい。伸びを設定しないで成形すると、凹凸の展開のみでコーナ部を形成するので、コーナ部のブランク材には新たな伸びは発生せず、コーナ部の肉厚の減少をさらに抑制することができる。
【0044】
成形品10では、凹凸22をなくしたが、凹凸22を跡が確認できない程度まで消すか、凹凸22の跡を残すかは任意であり、成形品を適用する部位や成形条件により選択してよい。
【0045】
図9は本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第3説明図である。
絞り成形用金型61から成形品10を取り出す。具体的には、パンチ62を上昇させ、ダイ63に設けた図に示していない突出し機構でダイ63から成形品10を離し、成形品10を取り出す。ここまでの作業で絞り成形工程は完了する。引き続き、同様に絞り成形工程の2サイクル目を実施する。
なお、成形品10に形成された絞りビード61aの跡はトリミングで取り除く。絞りビード61aの跡を取り除いた状態を図1に示した。
【0046】
このように、絞り成形工程では、凹凸22を成形したブランク材21を絞り成形用金型61にセットし、絞り成形用金型61を閉じることで、所定の成形品10に成形するので、凹凸22の展開によってパンチ肩部68およびダイ肩部72に生じる局部の伸びを抑制することができる。その結果、成形品10の第2コーナー部12の第2コーナー部壁15並びに第3コーナー部13の第3コーナー部壁16に生じるコーナー部壁割れを防止することができるとともに、第2コーナー部12の角73並びに第3コーナー部13の角74に生じるパンチ肩破断を防止することができる。
【0047】
また、絞り成形工程では、凹凸22を成形したブランク材21を絞り成形用金型61にセットし、絞り成形用金型61を閉じることで、所定の成形品10に成形するので、従来の絞り成形金型と同様の絞り成形金型61であっても第2コーナー部12および第3コーナー部13の肉厚の減少を抑制することができ、金型の製作費を削減することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【0048】
次に、本発明に係るプレス成形方法の別実施の形態を示す。
図10(a),(b)は第1別実施の形態図(その1)であり、上記図7に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0049】
(a):第1別実施の形態は、上向き絞りで成形であることを特徴とする。具体的には、絞り成形用金型81は、上方に設けたダイ63と、下方に設けたパンチ62と、からなる上向き絞り型である。まず、ブランクホルダ66,66上の所定位置に凹凸22を成形したブランク材21をセットする。
(b):その次に、ダイ63を下降し、ブランク材21を固定する。
【0050】
図11(a),(b)は第1別実施の形態図(その2)である。
(a):さらに、ダイ63の下降を続け、パンチ62との間でブランク材21を塑性変形させる。
(b):ダイ63を下限まで下降させると、、成形品10の形状となる。
【0051】
このように、第1別実施の形態では、図7および図8の絞り成形工程と同様の効果を発揮することができる。
【0052】
図12(a),(b)は第2別実施の形態図であり、上記図2に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
(a):第2別実施の形態は、波状の凹凸84を形成したことを特徴とする。詳しくは、ブランク材83は、波状の凹凸84,84を形成したもので、凹凸84,84のそれぞれ位置は、成形品の第2コーナー部12(図1参照)、第3コーナー部13(図1参照)の位置に対応する。
【0053】
(b)は(a)のb部詳細図であり、凹凸84の斜視図である。
凹凸84は、ピッチをP、高さをHに設定した。
第2別実施の形態では、図2の第1凹凸部26と第2凹凸部27と同様の効果を発揮することができる。
【0054】
尚、本発明の実施の形態に示した成形品10の形状は一例である。
凹凸22を成形する型(素材形成用金型33)および絞り成形用金型61の構成は任意である。
ブランクホルダ66は、絞りビード61aを有する構成であるが、絞りビード61aの有無は任意である。
薄板(ブランク材)を搬送する搬送方法は任意である。
【0055】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、薄板を絞り成形するときに金型の肩部に沿って伸びる位置に予め所定の凹凸を型で成形する凹凸成形工程と、凹凸を成形した薄板を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形する絞り成形工程と、からなる。
凹凸成形工程では、薄板に予め凹凸を成形することで、次工程での薄板の伸びを所望の範囲内とすることができる。
【0056】
絞り成形工程では、凹凸を成形した薄板を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形するので、成形の際に、凹凸の伸びおよび展開によって絞り成形用金型のパンチ肩部およびダイ肩部に生じる局部の伸びを抑制することができる。その結果、成形品のコーナー部に生じるコーナー部壁割れを防止することができるとともに、コーナー部の角に生じるパンチ肩破断を防止することができる。
【0057】
また、絞り成形工程では、従来の絞り成形金型と同様の絞り成形金型であってもコーナー部の肉厚の減少を抑制することができ、金型の製作費を削減することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【0058】
さらに、、凹凸の展開によってパンチ肩部およびダイ肩部に生じる局部の伸びを抑制するので、2軸引張り変形を主体とした張り出し成形であっても、コーナー部の局部的な肉厚の減少抑制に対応することができる。
【0059】
請求項2では、凹凸成形工程での凹凸成形は、ブランキングプレスにて薄板の切断と同時に実施するので、従来のブランキングプレスと同等の作業時間でブランキング工程と凹凸成形工程を同時に完了させることができ、生産効率を確保することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【0060】
また、凹凸成形工程では、凹凸成形は、ブランキングプレスにて薄板の切断と同時に実施するので、ブランキングプレス用の金型に凹凸成形用の金型を追加するだけでよく、金型の製作費を削減することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプレス成形方法で成形した成形品の斜視図
【図2】本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第1説明図
【図3】図2の3部詳細図
【図4】本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第2説明図
【図5】本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第3説明図
【図6】本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第4説明図
【図7】本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第1説明図
【図8】本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第2説明図
【図9】本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第3説明図
【図10】第1別実施の形態図(その1)
【図11】第1別実施の形態図(その2)
【図12】第2別実施の形態図
【図13】従来のプレス成形方法の説明図
【図14】従来の成形法の説明図
【符号の説明】
21…薄板(ブランク材)、22…凹凸、33…素材形成用金型、42…型(凹凸金型)、61…絞り成形用金型、68…パンチ肩部、72…ダイ肩部。
【発明の属する技術分野】
本発明は絞り成形用金型を用いて薄板を絞り成形する場合のプレス成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のプレス成形方法では、成形素材の端部を金型に移動可能に固定し、金型の圧下中に端部の固定を解除するようにしている(例えば、特許文献1参照。)。
また、成形素材の端部を移動可能に固定し、成形素材の移動に追従させて端部が移動しつつプレス成形できるようにしているものもある(例えば、特許文献2参照。)。
さらに、成形素材の端部(フランジ部)を移動しないようにしわ押え(絞りビードを設けたもの)で固定して、ポンチの押込みで2軸引張り変形を主体とした張り出し成形方法もある(例えば、JIS G 0202参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平10−263715号公報 (第3−4頁、図1)
【特許文献2】
特開2000−288642公報 (第5−6頁、図5)
【0004】
上記特許文献1、2を、図面を参照の上、詳しく説明する。
図13は従来のプレス成形方法の説明図で、このプレス成形方法に用いるブランクホルダの斜視図である(特許文献1の図1を写したもの。)。
従来のプレス成形方法は、ブランクホルダ15に設けた2個のワーククランプ機構20を開いて待機状態とし、四隅に設けたワーク保持アーム18の保持アーム23にワークWを載せると同時に、2個のワークガイド部材19に嵌め、ワーククランプ機構20のクランプアーム43でワークWの外周部をクランプする。引き続き、上型でワークWを押し下げ、下型パンチ11とでワークWを成形することで、成形は完了する。この成形方法では、上型の押し下げ終了時にワークWの外周部が内側に移動すると、外周部はクランプアーム43から抜けるため、高精度に加工することができる。
【0005】
図14(a),(b)は従来の成形法の説明図で、底付円筒容器の成形法に用いる成形装置の断面図である(特許文献2の図5を写したもの。)。
(a):テーパパンチ150の傾斜面154およびブランクホルダ130に円形ブランク120を載せ、その次に、ブランクホルダ130と押圧部材160とで円形ブランク120の外周部を押さえ付け、第1パンチ140およびブランクホルダ130(押圧部材160と一体的に)をそれぞれ異なる下降速度で下降させる。
【0006】
(b):第1パンチ140およびブランクホルダ130の内周面で円形ブランク120を絞り込み成形し、成形は完了する。
この成形法では、円形ブランク120を絞り込むときに、ブランクホルダ130と押圧部材160と間で円形ブランク120の移動が促進され、しわの発生を防ぐことができるとともに、底付円筒容器の各部の厚みの正確な制御が容易となる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記図13で説明した従来のプレス成形方法では、ワークWを位置決めするために、4個のワーク保持アーム18およびワーククランプ機構20(エアシリンダ46の制御を含む)が必要で、金型の構成が複雑になり、生産コストが嵩む。
また、ワークW全体が流入するため、パンチ肩部以外では、余分にワークWが流入し、しわの原因となる。
【0008】
上記図14の成形法では、ブランクホルダ130と押圧部材160とで円形ブランク120の外周部を適度に押さえ付ける操作が必要で、押さえ付ける際の制御装置の構成が複雑になり、生産コストが嵩む。
【0009】
上記2軸引張り変形を主体とした張り出し成形方法では、ポンチの底からポンチの肩が当接した成形品のコーナ部の肉厚は極端に薄くなりやすい。
【0010】
そこで、本発明の目的は、成形品の局部的な肉厚の減少を抑制するとともに割れを防止し、生産コストの削減を図り、しわ押えに絞りビードを用いた張り出し成形でも局部的な肉厚の減少を抑制するプレス成形方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、薄板を絞り成形するときに金型の肩部に沿って伸びる位置に予め所定の凹凸を型で成形する凹凸成形工程と、凹凸を成形した薄板を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形する絞り成形工程と、からなることを特徴とする。
【0012】
凹凸成形工程では、薄板に予め凹凸を成形することで、次工程での薄板の伸びを所望の範囲内とすることができる。
【0013】
絞り成形工程では、凹凸を成形した薄板を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形するので、金型のパンチ肩部およびダイ肩部に生じる局部的な伸びは凹凸の展開によって小さくなる。その結果、成形品のコーナー部に生じるコーナー部壁割れの防止を図れるとともに、コーナー部の角に生じるパンチ肩破断の防止を図れる。
【0014】
なお、ここで説明した凹凸を展開しつつ所定の形状に成形するとは、予め成形された所定の形状(例えば、凹凸)を最終的に求める所定の形状(例えば、絞り成形品のコーナー部)に再び成形することである。
【0015】
また、絞り成形工程では、凹凸を成形した薄板を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形するので、従来の絞り成形金型と同様の絞り成形金型であってもコーナー部の肉厚の減少を抑制することができ、金型製作費の削減を図れる。
【0016】
請求項2は、凹凸成形工程での凹凸成形は、ブランキングプレスにて薄板の切断と同時に実施することを特徴とする。
凹凸成形と薄板の切断とを金型の1回の閉じ動作で行う。その結果、従来のブランキングプレスと同等の作業時間で凹凸成形工程との2工程を同時に完了させることができ、手間がかからない。
【0017】
また、凹凸成形は、ブランキングプレスにて薄板の切断と同時に実施するので、ブランキングプレス用の金型に凹凸成形用の金型を追加するだけでよく、金型製作費の削減を図れる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係るプレス成形方法で成形した成形品の斜視図である。
成形品10は、例えば、車両の部品であり、第1コーナー部11と、第2コーナー部12と、第3コーナー部13と、第4コーナー部14と、第2コーナー部壁15と、第3コーナー部壁16と、を有し、第2コーナー部12の肉厚および第3コーナー部13の肉厚の減少を抑えたことを特徴とするものである。
ここで、図右上方の軸は、座標軸であり、Xは例えば車両の前後方向を示す軸、YはXに直交する方向を示す軸である。
【0019】
このような成形品10を成形する方法を次に説明する。
成形品10のプレス成形方法は、凹凸成形工程と、絞り成形工程と、からなる。これらの凹凸成形工程および絞り成形工程を順に説明する。
【0020】
図2(a)〜(c)は本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第1説明図である。
(a):まず、薄板としてのブランク材21を形成する。具体的には、ブランク材21は、凹凸22を形成したもので、凹凸22は、第1凹凸部26と第2凹凸部27とからなる。第1凹凸部26の位置は、成形品の第2コーナー部12(図1参照)の位置に対応し、第2凹凸部27の位置は、第3コーナー部13(図1参照)の位置に対応する。
【0021】
(b)は(a)のb−b線断面図であり、第2凹凸部27を表裏に成形したことを示す。
(c)は(a)のc−c線断面図であり、第1凹凸部26および第2凹凸部27を成形したことを示すとともに、次行程で絞り成形するときに絞り成形用金型61(図7参照)に沿って伸びる位置に予め凹凸22を成形したことを示す。
【0022】
図3は図2の3部詳細図であり、凹凸の斜視図である。
凹凸22は、具体的には、凹部31・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)と凸部32・・・とからなるとともに、凹部31の隣に所定ピッチP,Pだけ離して凸部32,32を連続して成形した部位である。
【0023】
凸部32の高さはHであり、高さHは、例えば、0.7mmに設定した。
凹部31の高さもH(図2(c)参照)である。より詳しくは、高さHを0.7、円弧の長さをLa、凹部31・・・と凸部32・・・の一列の合計数をN、第1凹凸部26の距離をL1(L1=N×La)、第2コーナー部12の長さをL2とし、第2コーナー部12の伸びを5%に設定したときに、第2コーナー部12の長さL2は、L2=L1+0.05×L1になる。
【0024】
図4は本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第2説明図である。
凹凸成形工程で予め凹凸22を成形する。ここでは、凹凸成形工程を通常のブランキングプレス(ブランキング工程でブランク材を得るプレス作業)にて行う。
【0025】
凹凸成形工程並びにブランキングプレスでは素材形成用金型33を用いる。具体的には、素材形成用金型33は、上金型36と、この上金型36に対向する下金型37と、からなるとともに、上・下金型36,37に切断手段41と、凹凸22(図3参照)を成形する型であるところの凹凸金型42と、を設けたものである。43は第1コロ、44は第2コロ、46は図に示していないコイルから送り出した帯板を示す。
【0026】
切断手段41は、帯板46を搬入する側に押さえ手段47を設け、押さえ手段47の隣に刃部48を設けたものである。
押さえ手段47は、押さえパッド51と、押さえパッド51に対応する受けブロック52とからなる。
刃部48は、直刃である。
【0027】
凹凸金型42は、上型54に第1型面55を形成し、下型56に第2型面57を第1型面55に対応するように形成した型である。凹凸金型42の材質は、任意である。
このように構成した素材形成用金型33を開いた状態にして、図に示していないループ装置により帯板46を矢印▲1▼の如く所定速度で送り、二点鎖線で示した帯板46の位置で送りを一旦止める。引き続き、上金型36をプレス機58で下降させる。
【0028】
図5(a),(b)は本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第3説明図である。
(a):上金型36を下降し、帯板46の切断を開始する。詳しくは、上金型36を所定型閉じ量S1だけ閉じると、帯板46に切断手段41の押さえパッド51が矢印▲2▼の如く当たると同時に、受けブロック52に帯板46を押し付けることで帯板46を固定する。
【0029】
(b):連続して、上金型36の下降を続け、帯板46を所定長さに切断するとともに凹凸22を成形する。具体的には、上金型36を所定型閉じ量S2だけ閉じると、刃部48は帯板46を矢印▲3▼の如く切断して、ブランク材21を形成し、続けて、上金型36を下降限まで下降することで素材形成用金型33および凹凸金型42を閉じ、第1・第2型面55(図4参照),57(図4参照)でブランク材21に凹凸22を成形する。なお、帯板46の切断と凹凸22の成形を同時に実施したが、切断後に連続して成形することも可能である。
【0030】
このように、凹凸成形工程では、凹凸成形は、ブランキングプレスにてブランク材(薄板)の切断、すなわち帯板46の切断と同時に実施するので、従来のブランキングプレス(ブランキング工程)と同等の作業時間でブランキング工程と凹凸成形工程を同時に完了させることができ、生産効率を確保することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【0031】
また、凹凸成形工程では、凹凸成形は、ブランキングプレスにて帯板46の切断と同時に実施するので、ブランキングプレス用の金型に凹凸成形用の凹凸金型42を追加するだけでよく、金型の製作費を削減することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【0032】
図6は本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第4説明図である。
素材形成用金型33からブランク材21を取り出す。具体的には上金型36を上昇させて、素材形成用金型33を開き、コンベヤ59を駆動し、ブランク材21を矢印▲4▼の如く取り出す。ここまでの作業で凹凸成形工程は完了する。引き続き、ブランク材21を絞り成形工程へ流す。なお、凹凸成形工程では、続けて、同様に2サイクル目を実施する。
このように凹凸成形工程でブランク材に凹凸22を成形すると、次工程の絞り成形工程でのブランク材21の伸びを所望の範囲内とすることができる。
【0033】
図7(a),(b)は本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第1説明図である。
(a):凹凸22を成形した薄板としてのブランク材21を絞り成形用金型61にセットする。具体的には、絞り成形用金型61は、上方に設けたパンチ62と、下方に設けたダイ63と、からなる下向き絞り型である。
【0034】
パンチ62は、ブランクホルダ66,66と、ブランクホルダ66,66に所定の押圧力を付与するクッション手段67,67と、パンチ肩部68,68と、を有する。パンチ肩部68のアール(面取り)の値は任意である。
ブランクホルダ66は、絞りビード61aを有する。
【0035】
ダイ63は、押さえ面71と、ダイ肩部72,72と、を有する。ダイ肩部72のアール(面取り)の値は任意である。ダイ63とパンチ62の隙間(クリアランス)は任意である。
【0036】
絞りビード61aは、ブランクホルダ66に形成した丸凹部66aと、押さえ面71に形成するととも丸凹部66aに対応する丸ビード部71aと、からなる。なお、絞りビード61aの形状は、丸形状以外に多角形を採用してもよく、また長さは、任意である。
【0037】
このように構成した絞り成形用金型61のパンチ62を図に示すように待機位置まで上昇させ、ブランク材21を搬入するとともに、図に示していない位置決め手段および予め設定した位置決め情報を用いて二点鎖線で示すようにブランク材21をセットする。引き続き、パンチ62を下降させる。
【0038】
(b):パンチ62を下降させて、ブランクホルダ66,66でダイ63の押さえ面71にブランク材21の周囲を矢印▲5▼,▲5▼の如く押し付けることで、ブランク材21を固定し、更にパンチ62の下降を続ける。
【0039】
図8(a),(b)は本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第2説明図である。
(a):パンチ62の下降を続け、ダイ63との間でブランク材21を塑性変形させる。その際、ブランク材21に成形した凹凸22はパンチ肩部68,68およびパンチ肩部68,68の近傍に位置するとともに、ダイ肩部72,72およびダイ肩部72,72の近傍に位置するので、パンチ62でブランク材21を矢印▲6▼,▲6▼の如く引き込むと、引き込まれる部分の伸びは、凹凸22の伸びおよび展開によって局部的な伸びとならずに、通常の伸びに較べて小さくなる。つまり、パンチ肩部68およびダイ肩部72でのブランク材21の伸びを小さくすることができる。
【0040】
また、ブランク材21を絞りビード61aで固定し、パンチ62のパンチ肩部68,68でブランク材21をX軸(図1参照)方向に引き伸ばすと同時にY軸(図1参照)方向に引き伸ばすと、凹凸22の伸びおよび展開によって局部的な伸びとならずに、通常の2軸引張り変形を主体とした張り出し成形の伸びに較べて伸びは小さくなる。つまり、絞りビードを用いた張り出し成形を採用してブランクホルダ66,66で押える部分(フランジ部)のしわを抑制することができると同時に、コーナー部の局部的な肉厚の減少をも抑制することができる。
【0041】
(b):パンチ62を下限まで下降させる。パンチ62の下降に伴い、凹凸22((a)参照)はより伸び且つ、パンチ62とダイ63の押圧によって凹凸22は変形(展開)して凹凸の高さH(図3参照)はほぼ「ゼロ」(目視で凹凸を確認できない程度)になり、凹凸はなくなるとともに、成形品10の形状となる。
【0042】
ここでは、前述したように、凹凸22の展開に相当する量は距離L1であり、凹凸22の伸びを5%に設定したので、伸びは「0.05×L1」である。
このように、本発明に係る絞り成形工程では、伸びを所定量(%)に設定することで、伸びを設定しないものと比べて、成形品のスプリングバックを小さくすることができる。
【0043】
なお、伸びの値は任意であり、伸びを設定しないで成形してもよい。伸びを設定しないで成形すると、凹凸の展開のみでコーナ部を形成するので、コーナ部のブランク材には新たな伸びは発生せず、コーナ部の肉厚の減少をさらに抑制することができる。
【0044】
成形品10では、凹凸22をなくしたが、凹凸22を跡が確認できない程度まで消すか、凹凸22の跡を残すかは任意であり、成形品を適用する部位や成形条件により選択してよい。
【0045】
図9は本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第3説明図である。
絞り成形用金型61から成形品10を取り出す。具体的には、パンチ62を上昇させ、ダイ63に設けた図に示していない突出し機構でダイ63から成形品10を離し、成形品10を取り出す。ここまでの作業で絞り成形工程は完了する。引き続き、同様に絞り成形工程の2サイクル目を実施する。
なお、成形品10に形成された絞りビード61aの跡はトリミングで取り除く。絞りビード61aの跡を取り除いた状態を図1に示した。
【0046】
このように、絞り成形工程では、凹凸22を成形したブランク材21を絞り成形用金型61にセットし、絞り成形用金型61を閉じることで、所定の成形品10に成形するので、凹凸22の展開によってパンチ肩部68およびダイ肩部72に生じる局部の伸びを抑制することができる。その結果、成形品10の第2コーナー部12の第2コーナー部壁15並びに第3コーナー部13の第3コーナー部壁16に生じるコーナー部壁割れを防止することができるとともに、第2コーナー部12の角73並びに第3コーナー部13の角74に生じるパンチ肩破断を防止することができる。
【0047】
また、絞り成形工程では、凹凸22を成形したブランク材21を絞り成形用金型61にセットし、絞り成形用金型61を閉じることで、所定の成形品10に成形するので、従来の絞り成形金型と同様の絞り成形金型61であっても第2コーナー部12および第3コーナー部13の肉厚の減少を抑制することができ、金型の製作費を削減することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【0048】
次に、本発明に係るプレス成形方法の別実施の形態を示す。
図10(a),(b)は第1別実施の形態図(その1)であり、上記図7に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
【0049】
(a):第1別実施の形態は、上向き絞りで成形であることを特徴とする。具体的には、絞り成形用金型81は、上方に設けたダイ63と、下方に設けたパンチ62と、からなる上向き絞り型である。まず、ブランクホルダ66,66上の所定位置に凹凸22を成形したブランク材21をセットする。
(b):その次に、ダイ63を下降し、ブランク材21を固定する。
【0050】
図11(a),(b)は第1別実施の形態図(その2)である。
(a):さらに、ダイ63の下降を続け、パンチ62との間でブランク材21を塑性変形させる。
(b):ダイ63を下限まで下降させると、、成形品10の形状となる。
【0051】
このように、第1別実施の形態では、図7および図8の絞り成形工程と同様の効果を発揮することができる。
【0052】
図12(a),(b)は第2別実施の形態図であり、上記図2に示す実施の形態と同様の構成については、同一符号を付し説明を省略する。
(a):第2別実施の形態は、波状の凹凸84を形成したことを特徴とする。詳しくは、ブランク材83は、波状の凹凸84,84を形成したもので、凹凸84,84のそれぞれ位置は、成形品の第2コーナー部12(図1参照)、第3コーナー部13(図1参照)の位置に対応する。
【0053】
(b)は(a)のb部詳細図であり、凹凸84の斜視図である。
凹凸84は、ピッチをP、高さをHに設定した。
第2別実施の形態では、図2の第1凹凸部26と第2凹凸部27と同様の効果を発揮することができる。
【0054】
尚、本発明の実施の形態に示した成形品10の形状は一例である。
凹凸22を成形する型(素材形成用金型33)および絞り成形用金型61の構成は任意である。
ブランクホルダ66は、絞りビード61aを有する構成であるが、絞りビード61aの有無は任意である。
薄板(ブランク材)を搬送する搬送方法は任意である。
【0055】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、薄板を絞り成形するときに金型の肩部に沿って伸びる位置に予め所定の凹凸を型で成形する凹凸成形工程と、凹凸を成形した薄板を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形する絞り成形工程と、からなる。
凹凸成形工程では、薄板に予め凹凸を成形することで、次工程での薄板の伸びを所望の範囲内とすることができる。
【0056】
絞り成形工程では、凹凸を成形した薄板を絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、凹凸を展開しつつ所定の形状に成形するので、成形の際に、凹凸の伸びおよび展開によって絞り成形用金型のパンチ肩部およびダイ肩部に生じる局部の伸びを抑制することができる。その結果、成形品のコーナー部に生じるコーナー部壁割れを防止することができるとともに、コーナー部の角に生じるパンチ肩破断を防止することができる。
【0057】
また、絞り成形工程では、従来の絞り成形金型と同様の絞り成形金型であってもコーナー部の肉厚の減少を抑制することができ、金型の製作費を削減することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【0058】
さらに、、凹凸の展開によってパンチ肩部およびダイ肩部に生じる局部の伸びを抑制するので、2軸引張り変形を主体とした張り出し成形であっても、コーナー部の局部的な肉厚の減少抑制に対応することができる。
【0059】
請求項2では、凹凸成形工程での凹凸成形は、ブランキングプレスにて薄板の切断と同時に実施するので、従来のブランキングプレスと同等の作業時間でブランキング工程と凹凸成形工程を同時に完了させることができ、生産効率を確保することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【0060】
また、凹凸成形工程では、凹凸成形は、ブランキングプレスにて薄板の切断と同時に実施するので、ブランキングプレス用の金型に凹凸成形用の金型を追加するだけでよく、金型の製作費を削減することができる。従って、生産コストの削減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプレス成形方法で成形した成形品の斜視図
【図2】本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第1説明図
【図3】図2の3部詳細図
【図4】本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第2説明図
【図5】本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第3説明図
【図6】本発明に係るプレス成形方法の凹凸成形工程の第4説明図
【図7】本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第1説明図
【図8】本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第2説明図
【図9】本発明に係るプレス成形方法の絞り成形工程の第3説明図
【図10】第1別実施の形態図(その1)
【図11】第1別実施の形態図(その2)
【図12】第2別実施の形態図
【図13】従来のプレス成形方法の説明図
【図14】従来の成形法の説明図
【符号の説明】
21…薄板(ブランク材)、22…凹凸、33…素材形成用金型、42…型(凹凸金型)、61…絞り成形用金型、68…パンチ肩部、72…ダイ肩部。
Claims (2)
- 薄板を絞り成形するときに金型の肩部に沿って伸びる位置に予め所定の凹凸を型で成形する凹凸成形工程と、
前記凹凸を成形した薄板を前記絞り成形用金型にセットし、金型を閉じることで、前記凹凸を展開しつつ所定の形状に成形する絞り成形工程と、からなることを特徴とするプレス成形方法。 - 前記凹凸成形工程での凹凸成形は、ブランキングプレスにて薄板の切断と同時に実施することを特徴とする請求項1記載のプレス成形方法。
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