JP2004179540A - 無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】狭ピッチ化された回路形成を可能とし、かつかつ絶縁フィルムと導体回路の密着性と密着耐熱性を向上させた無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】ベース基材の両面にそれぞれシードコートを形成し、このシードコートにそれぞれレジストを被覆して非回路形成部をマスキングした後、電解銅めっきすることによって、ベース基材の両面に銅回路を形成する工程と、前記ベース基材の両面に形成された銅回路の表面を粗化して粗面を形成する工程と、絶縁フィルムの表面に溶融状態の熱可塑性樹脂層を設けた絶縁樹脂シートを2枚用意し、この絶縁樹脂シートの熱可塑性樹脂層を、前記粗面に向かい合わせてラミネートする工程と、さらに前記ベース基材を除去して第1積層体と第2積層体とに分割するとともに、前記第1および第2積層体からシードコートを除去し、さらにレジストを剥離することによって、絶縁樹脂シート表面に銅回路が形成された第1および第2無接着剤フレキシブル金属積層体を取得する工程からなる。
【選択図】 図3
【解決手段】ベース基材の両面にそれぞれシードコートを形成し、このシードコートにそれぞれレジストを被覆して非回路形成部をマスキングした後、電解銅めっきすることによって、ベース基材の両面に銅回路を形成する工程と、前記ベース基材の両面に形成された銅回路の表面を粗化して粗面を形成する工程と、絶縁フィルムの表面に溶融状態の熱可塑性樹脂層を設けた絶縁樹脂シートを2枚用意し、この絶縁樹脂シートの熱可塑性樹脂層を、前記粗面に向かい合わせてラミネートする工程と、さらに前記ベース基材を除去して第1積層体と第2積層体とに分割するとともに、前記第1および第2積層体からシードコートを除去し、さらにレジストを剥離することによって、絶縁樹脂シート表面に銅回路が形成された第1および第2無接着剤フレキシブル金属積層体を取得する工程からなる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、狭ピッチ回路形成を可能とし、かつ絶縁フィルムと導体回路の密着性と密着耐熱性を向上させた無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
絶縁フィルム上に銅箔を設けた銅張積層板において、接着剤を使用して絶縁フィルムと銅箔を接着した、絶縁フィルム/接着剤/銅箔の3層銅張積層板では耐熱性に問題があった。すなわち接着剤を使用した3層銅張積層板では、接着剤の溶融温度(Tg)が100℃以下であるために、ハンダ付けなどの工程で接着剤が溶融し、絶縁フィルムと銅箔とがずれる虞があった。
従って、最近では、接着剤を使用しない無接着剤フレキシブル金属積層体が使用されている。そして、この無接着剤フレキシブル金属積層体として、キャスティング法やラミネート法によって絶縁フィルムの表面に金属層を設けてなる無接着剤フレキシブル金属積層体や(例えば、特許文献1を参照)、メタライズ法によって絶縁フィルムの表面に金属層を設けてなる無接着剤フレキシブル金属積層体(例えば、特許文献2を参照)がある。
【0003】
キャスティング法やラミネート法による無接着剤フレキシブル金属積層体では、例えば、銅板の上に溶融状態の熱可塑性ポリイミド樹脂を流し込み、ポリイミドフィルムと銅層の2層銅張積層板を形成する。
そしてサブトラクト法によって、前記2層銅張積層板の金属(銅)層の導体回路となる部分(以下、回路形成部という)を残し、他の部分(以下、非回路形成部という)をエッチングによって選択的に溶解除去することで、ポリイミドフィルム上に導体回路を形成する。
これによって、密着性と密着耐熱性が優れた無接着剤フレキシブル金属積層体を取得することができる。
【0004】
一方、メタライズ法による無接着剤フレキシブル金属積層体では、ポリイミドフィルム上の導体回路を必要とするところに選択的に金属導体を析出させて回路形成するものであって、狭ピッチ回路が形成された無接着剤フレキシブル金属積層体を取得することができる。
図4は、セミアディティブ法によって回路形成部に選択的に金属導体を析出させて導体回路(銅回路)2を形成した無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法を示すものであって、ポリイミドフィルム(絶縁フィルム)100の表面全体に蒸着やスパッタリングによってシードコート21を形成した後、前記シートコート21の上にドライフィルムレジスト31を貼り付け(ロールラミネート)、このドライフィルムレジスト31に回路設計図を露光・現像し、回路形成部のレジストを除去することによって、非回路形成部のみをレジスト3でマスキングし、続いて、電解銅めっきによって、前記レジスト3が形成されていないところ(即ち、シードコート露出部)に銅を析出させて銅回路2を形成する。
その後、前記レジスト3を剥離し、非回路形成部のシードコート21をエッチングして除去することによって、必要とするところのみに銅回路(導体回路)2が形成され、かつ接着剤を使用することなく絶縁フィルム100の上に銅回路(導体回路)2が形成された無接着剤フレキシブル金属積層体110を製造する。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−281866号公報
【特許文献2】
特公平2−55943号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サブトラクト法によって絶縁フィルムの表面に導体回路を形成した場合、絶縁フィルムと導体回路の優れた密着性および密着耐熱性は得られるものの、非回路形成部をエッチングによって除去するときに、エッチングの進行に伴って回路部分も侵食されるため、回路の狭ピッチ化に限界があった。
また、セミアディティブ法によって絶縁フィルムの表面に導体回路を形成する場合、電解銅めっきにて必要とする部分に銅を析出させて導体回路を形成するため、L/S=40μm以下の狭ピッチの回路を形成することができるものの、キャスティング法やラミネート法による無接着剤フレキシブル金属積層体に比べて、密着性や密着耐熱性が劣るものであった。
【0007】
従って、狭ピッチ化された回路形成を可能とし、かつ樹脂フィルムと銅回路の密着性と密着耐熱性を向上せしめた無接着剤フレキシブル金属積層体を製造することが望まれ、またその生産性の向上が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明によれば、絶縁フィルムの導体回路を必要とするところに選択的に金属導体を析出させて回路形成するとともに、接着剤を使用することなく絶縁フィルムと導体回路の密着性を確保した無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法において、ベース基材の両面にそれぞれシードコートを形成し、このシードコートにそれぞれレジストを被覆して非回路形成部をマスキングした後、電解銅めっきすることによって、ベース基材の両面に銅回路を形成する工程と、前記ベース基材の両面に形成された銅回路の表面を粗化して粗面を形成する工程と、絶縁フィルムの表面に溶融状態の熱可塑性樹脂層を設けた絶縁樹脂シートを2枚用意し、この絶縁樹脂シートの熱可塑性樹脂層を、前記粗面に向かい合わせてラミネートする工程と、さらに前記ベース基材を除去して第1積層体と第2積層体とに分割するとともに、前記第1および第2積層体からシードコートを除去し、さらにレジストを剥離することによって、絶縁樹脂シート表面に銅回路が形成された第1および第2無接着剤フレキシブル金属積層体を取得する工程とからなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の好適な実施例について、図1から図3を参照して説明する。
【0010】
この発明は、ベース基材上に選択的に金属導体を析出させて任意の回路(導体回路)を形成するとともに、溶融状態の熱可塑性樹脂層を設けた絶縁樹脂シートを前記回路の上から貼り付け、その後ベース基材を剥離することによって、絶縁樹脂シート上に任意の回路が密着した無接着剤フレキシブル金属積層体を取得するものであって、狭ピッチ化された回路形成を可能とするとともに、ラミネート法やキャスティング法と同等な密着性および密着耐熱性を確保した無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法である。
【0011】
この発明の実施例による無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法は、図1に示すように、まずベース基材4の両面(表裏)の表面全体に銅(Cu)を蒸着またはスパッタリングし、前記ベース基材4の表側に第1シードコート21aを形成するとともに裏側に第2シードコート21bを形成する(図1(b)参照)。
そして前記第1シードコート21aの上から第1ドライフィルムレジスト31aをラミネート(またはロールラミネート)するとともに、第2シードコート21bの上から第2ドライフィルムレジスト31bをラミネート(またはロールラミネート)し(図1(c)参照)、その後、前記第1および第2ドライフィルレジスト31a,31bにそれぞれ回路設計図を露光・現像し、回路形成部(任意)のレジストを除去して回路形成部ではシードコート表面を露出させ、非回路形成部を第1レジスト3aまたは第2レジスト3bでマスキングする(図1(d)参照)。
【0012】
なお、第1および第2シードコート21a,21bの上から液状レジストを塗布して、ベース基材4の両面(表裏)にそれぞれ第1,第2レジスト層31´a,31´bを形成した後、前記第1および第2レジスト層31´a,31´bにそれぞれ回路設計図を露光・現像し、回路形成部(任意)のレジスト層を除去して回路形成部ではシードコート表面を露出させ、非回路形成部を第1レジスト3aまたは第2レジスト3bでマスキングするようにしてもよい。
【0013】
そして非回路形成部が第1レジスト3aまたは第2レジスト3bでマスキングされている状態で電解銅めっき処理することによって、ベース基材4の表側の第1シードコート2aが露出している部分に銅(Cu)を析出させて第1銅回路(導体回路)2aを形成するとともに、ベース基材4の裏側の第2シードコート2bが露出している部分に第2銅回路(導体回路)2bを形成する(図1(e)参照)。
つまりメタライズ法にてベース基材4の表側に第1回路2aを形成するとともに、ベース基材4の裏側に第2回路3bを形成する。
【0014】
その後、ベース基材4の表側に形成した第1銅回路2aの表面をブラスト処理によって粗化して第1粗面22aを形成するとともに、ベース基材4の裏側に形成した第2銅回路2bの表面もプラスト処理によって粗化して第2粗面22bを形成する(図1(f)参照)。
【0015】
好ましくは、第1または第2レジスト3a,3bの層厚と同等になるように銅を析出させて第1または第2銅回路2a,2bを形成し、これら第1レジスト3aと第1銅回路2bの表面、および第2レジストと第2銅回路の表面についてそれぞれブラスト処理することによって、ベース基材4の表側の回路表面に第1粗面22aを形成するとともに、ベース基材4の裏側の回路表面に粗面22bを形成する。
【0016】
続いて、図2に示すように、絶縁フィルム11a(または11b)の表面に溶融状態の熱可塑性樹脂層12a(または12b)を設けた絶縁樹脂シートを2枚用意し(第1および第2絶縁樹脂シート1a,1b)、図2(a)に示すように前記2枚の絶縁樹脂シート1a,1bでベース基材4を挟み込み、ベース基材4の表側の第1銅回路2aおよび第1レジストの上から第1絶縁樹脂シートを貼り付けるとともに、ベース基材4の裏側の第2銅回路2bおよび第2レジストの上から第2絶縁樹脂シート1bを貼り付け、溶融状態の熱可塑性樹脂層12aおよび12bを熱硬化することによって、銅回路と絶縁フィルムとを密着させる(図2(b)参照)。
【0017】
なお第1または第2絶縁樹脂シートを貼り合わせるとき、粗面22a(または22a)と溶融状態の熱可塑性樹脂層12a(または12b)とを向かい合わせてラミネートし、溶融状態の熱可塑性樹脂層12aによって絶縁フィルム11aを銅回路2aの表面に密着させる。これによってラミネート法やキャスティング法によって接着するの同等な密着性および密着耐熱性を確保する。
【0018】
その後、図3に示すように、前記ベース基材4を剥離して除去して第1積層板10´aと第2積層板10´bとに分割するとともに(図3(b)参照)、前記第1積層板10´aと第2積層板10´bをそれぞれエッチング処理することによって第1および第2シードコート21a,21bを除去する(図3(c)参照)。
なおベース基材4と、第1および第2シードコート21a,21bを同時、若しくは順次剥離し、ベース基材4と第1および第2シードコート21a,21bを除去するようにしてもよい。
【0019】
ベース基材4を剥離した後、第1および第2シードコート21a,21bをエッチングによって除去する場合、サブトラクト法によるエッチングによる回路形成と異なり、非常に薄膜状に形成されたシードコートを溶解除去すればよく、処理時間も短いため、エッチング処理によって回路部分を侵食する虞はなく、狭ピッチ化された回路形成が可能である。
【0020】
その後、それぞれの積層板の非回路形成部に形成されているレジスト(第1および第2レジスト3a,3b)を除去し、第1絶縁樹脂シート1aの表面に第1銅回路2aが形成された第1無接着剤フレキシブル金属積層体10aと、第2絶縁樹脂シート1bの表面に第2銅回路2bが形成された第2無接着剤フレキシブル金属積層体10bとを取得する(図3(d)参照)。
【0021】
なお図3に示す実施例では、レジスト剥離後にポリイミド系カバーコートを張り合わせたり、液状ポリイミド系カバー材を塗布することによって、銅回路2a,2bの表面をそれぞれ絶縁樹脂カバー材5a,5bで被覆し、無接着剤フレキシブル金属積層体における回路保護を図った(図3(f)参照)。
【0022】
すなわち、この発明による無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法では、セミアディティブ法と同様に、導体回路を必要とするところに金属導体を析出して回路を形成するため、狭ピッチ化された回路形成が可能であり、かつ溶融状態の熱可塑性樹脂によって絶縁フィルムと銅回路(導体回路)とを密着せしめたものであるため、キャスティング法やラミネート法と同等の優れた密着性と密着耐熱性を確保することができ、かつ同時に2枚の無接着剤フレキシブル金属積層体を取得することができ、生産性を向上することができる。
【0023】
この実施例による無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法では、ベース基材4としてポリイミドフィルムであるカプトンEN(東レデュポン製)を使用した。そして、このベース基材4をスパッタチャンバにセットし、プラズマガスにアルゴンを用い、7×10−3Torrの真空下でスパッタリングにより2000Åの銅(Cu)層を形成し、ベース基材4の両面(表裏)の表面全体に、銅(Cu)からなるシードコート(第1および第2シードコート21a,21b)を形成した。
【0024】
続いて、スパッタチャンバから、両面にシードコートを形成したベース基材4を取り出し、さらに前記シードコート21a,21bの上にそれぞれドライフィルムレジスト31a,31b(日立化成製)をラミネートし、このドライフィルムレジスト31a,31bにそれぞれ回路設計図を露光・現像することによって、回路形成部のドライフィルムレジストを除去してシードコート表面を露出させ、非回路形成部のみをレジスト3a,3bでマスキングするようにした。
【0025】
その後、電解銅めっきによって、前記レジスト3a,3bが形成されていないところ(シードコート露出部)に銅(Cu)を析出させて、ベース基材4の表裏に銅回路2a,2bをそれそれ形成した。
なお電解銅めっきには下記の硫酸銅めっき浴を用い、この硫酸銅めっき浴中に浸したベース基材4についてシードコート21a,21bに電気を流し、レジスト3a,3bが被覆されていない部分に銅を析出させて、銅回路2a,2bを形成した。
〔硫酸銅めっき浴〕
硫酸銅5水塩 ………………………………………… 75g/l
硫酸 …………………………………………………… 190g/l
塩酸イオン …………………………………………… 50mg/l
カッパーグリーム CLX−A(メルテックス製)…… 5mm/l
カッパーグリーム CLX−C(メルテックス製)…… 5mm/l
【0026】
電解銅めっきによって、ベース基材4の表裏にそれぞれ銅回路2a,2bを形成した後、銅回路とレジストの表面をブラスト処理することによって粗化し、この粗面22a,22bにそれぞれ絶縁樹脂シート1a,1bを貼り合わせた(ラミネート)。
【0027】
前記絶縁樹脂シート1a,1bは、ポリイミドフィルム(カプトンEN(東レデュポン製))からなる絶縁フィルム11a(または11b)の一方の表面に、溶融状態の熱可塑性ポリイミド層12a(または12b)を施したものであって、この溶融状態の熱可塑性ポリイミド層12a(または12b)を粗面22a(または22b)にそれぞれ対向させ、2枚の絶縁樹脂シートによってベース基材4を挟み込むようにラミネートし、各絶縁樹脂シート(1aまたは1b)を銅回路の表面に貼り合わせた。
【0028】
ベース基材4の両面に形成されている銅回路の上からそれぞれ絶縁樹脂シート(1aまたは1b)をラミネートし、溶融状態の熱可塑性ポリイミド12a(または12b)を熱硬化することによって、絶縁フィルム11a(または11b)と銅回路2a(または2b)を密着させた。
なお銅回路2a(2b)の表面をブラスト処理によって粗化し、粗面22a(22b)を形成しておくことによって、溶融状態の熱可塑性ポリイミド12a(12b)に粗面22a(22b)が埋まり込んで、第1銅回路2aと第1絶縁樹脂シート1aの密着性、および第2銅回路2bと第2絶縁樹脂シート1bの密着性を向上することができる。
【0029】
その後、前記ベース基材4を剥離して第1積層板10´aと第2積層板10´bとに分割した。
【0030】
続いて、前記第1および第2積層板10´a,10´bについて一般的な銅エッチャント(例えば、塩化鉄)を用いてエッチング処理し、それぞれの積層板10´a,10´bからシードコート21a,21bを除去した。
【0031】
そして、3%水酸化ナトリウム水溶液を用いて前記第1および第2積層板10´a,10´bからレジスト3a,3bをそれぞれ剥離することによって、絶縁樹脂シート表面に銅回路(導体回路)が形成された(絶縁フィルムに銅回路が密着した)第1および第2無接着剤フレキシブル金属積層体10a,10bを取得した。
【0032】
上述した実施例によって製造した無接着剤フレキシブル金属積層体の剥離強度について、IPC−TM−650に準拠して測定した結果、17N/cmであった。また、この無接着剤フレキシブル金属積層体を180℃で2時間熱処理した後(熱処理後)の剥離強度は、16N/cmであった。
【0033】
これに対し、図4に示す従来技術(セミアディティブ法)によって製造された無接着剤フレキシブル金属積層体の密着性および密着耐熱性は、蒸着やスパッタリングによって形成されたシードコート21と絶縁フィルム1の密着性および密着耐熱性によるものであるため、その剥離強度は12N/cmであり、180℃で2時間熱処理した後(熱処理後)の剥離強度は、7N/cmであった。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ベース基材の両面にそれぞれシードコートを形成し、このシードコートにそれぞれレジストを被覆して非回路形成部をマスキングした後、電解銅めっきすることによって、ベース基材の両面に銅回路を形成する工程と、前記ベース基材の両面に形成された銅回路の表面を粗化して粗面を形成する工程と、絶縁フィルムの表面に溶融状態の熱可塑性樹脂層を設けた絶縁樹脂シートを2枚用意し、この絶縁樹脂シートの熱可塑性樹脂層を、前記粗面に向かい合わせてラミネートする工程と、さらに前記ベース基材を除去して第1積層体と第2積層体とに分割するとともに、前記第1および第2積層体からシードコートを除去し、さらにレジストを剥離することによって、無接着剤フレキシブル金属積層体を製造することによって、狭ピッチ化された回路形成を可能とし、かつ絶縁フィルムと銅回路(導体回路)の密着性と密着耐熱性を向上させた無接着剤フレキシブル金属積層体を取得することができ、かつその生産性を向上することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例による回路形成方法を説明する図。
【図2】この発明の実施例による絶縁フィルムと回路との接着方法を説明する図。
【図3】この発明の実施例による第1および第2無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法を説明する図。
【図4】従来の無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法を説明する図。
【符号の説明】
1a,1b 第1,第2絶縁樹脂シート
11a,11b 第1,第2絶縁フィルム
12a,12b 第1,第2熱可塑性ポリイミド(溶融状態)
2a,2b 第1,第2銅回路
21a,21b 第1,第2シードコート
3a,3b 第1,第2レジスト
31a,31b 第1,第2ドライフィルムレジスト
4 ベース基材
5a,5b 絶縁樹脂カバー材
10´a,10´b 第1,第2積層体
10a,10b 第1,第2無接着剤フレキシブル金属積層体
【発明の属する技術分野】
この発明は、狭ピッチ回路形成を可能とし、かつ絶縁フィルムと導体回路の密着性と密着耐熱性を向上させた無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
絶縁フィルム上に銅箔を設けた銅張積層板において、接着剤を使用して絶縁フィルムと銅箔を接着した、絶縁フィルム/接着剤/銅箔の3層銅張積層板では耐熱性に問題があった。すなわち接着剤を使用した3層銅張積層板では、接着剤の溶融温度(Tg)が100℃以下であるために、ハンダ付けなどの工程で接着剤が溶融し、絶縁フィルムと銅箔とがずれる虞があった。
従って、最近では、接着剤を使用しない無接着剤フレキシブル金属積層体が使用されている。そして、この無接着剤フレキシブル金属積層体として、キャスティング法やラミネート法によって絶縁フィルムの表面に金属層を設けてなる無接着剤フレキシブル金属積層体や(例えば、特許文献1を参照)、メタライズ法によって絶縁フィルムの表面に金属層を設けてなる無接着剤フレキシブル金属積層体(例えば、特許文献2を参照)がある。
【0003】
キャスティング法やラミネート法による無接着剤フレキシブル金属積層体では、例えば、銅板の上に溶融状態の熱可塑性ポリイミド樹脂を流し込み、ポリイミドフィルムと銅層の2層銅張積層板を形成する。
そしてサブトラクト法によって、前記2層銅張積層板の金属(銅)層の導体回路となる部分(以下、回路形成部という)を残し、他の部分(以下、非回路形成部という)をエッチングによって選択的に溶解除去することで、ポリイミドフィルム上に導体回路を形成する。
これによって、密着性と密着耐熱性が優れた無接着剤フレキシブル金属積層体を取得することができる。
【0004】
一方、メタライズ法による無接着剤フレキシブル金属積層体では、ポリイミドフィルム上の導体回路を必要とするところに選択的に金属導体を析出させて回路形成するものであって、狭ピッチ回路が形成された無接着剤フレキシブル金属積層体を取得することができる。
図4は、セミアディティブ法によって回路形成部に選択的に金属導体を析出させて導体回路(銅回路)2を形成した無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法を示すものであって、ポリイミドフィルム(絶縁フィルム)100の表面全体に蒸着やスパッタリングによってシードコート21を形成した後、前記シートコート21の上にドライフィルムレジスト31を貼り付け(ロールラミネート)、このドライフィルムレジスト31に回路設計図を露光・現像し、回路形成部のレジストを除去することによって、非回路形成部のみをレジスト3でマスキングし、続いて、電解銅めっきによって、前記レジスト3が形成されていないところ(即ち、シードコート露出部)に銅を析出させて銅回路2を形成する。
その後、前記レジスト3を剥離し、非回路形成部のシードコート21をエッチングして除去することによって、必要とするところのみに銅回路(導体回路)2が形成され、かつ接着剤を使用することなく絶縁フィルム100の上に銅回路(導体回路)2が形成された無接着剤フレキシブル金属積層体110を製造する。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−281866号公報
【特許文献2】
特公平2−55943号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、サブトラクト法によって絶縁フィルムの表面に導体回路を形成した場合、絶縁フィルムと導体回路の優れた密着性および密着耐熱性は得られるものの、非回路形成部をエッチングによって除去するときに、エッチングの進行に伴って回路部分も侵食されるため、回路の狭ピッチ化に限界があった。
また、セミアディティブ法によって絶縁フィルムの表面に導体回路を形成する場合、電解銅めっきにて必要とする部分に銅を析出させて導体回路を形成するため、L/S=40μm以下の狭ピッチの回路を形成することができるものの、キャスティング法やラミネート法による無接着剤フレキシブル金属積層体に比べて、密着性や密着耐熱性が劣るものであった。
【0007】
従って、狭ピッチ化された回路形成を可能とし、かつ樹脂フィルムと銅回路の密着性と密着耐熱性を向上せしめた無接着剤フレキシブル金属積層体を製造することが望まれ、またその生産性の向上が望まれていた。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで、この発明によれば、絶縁フィルムの導体回路を必要とするところに選択的に金属導体を析出させて回路形成するとともに、接着剤を使用することなく絶縁フィルムと導体回路の密着性を確保した無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法において、ベース基材の両面にそれぞれシードコートを形成し、このシードコートにそれぞれレジストを被覆して非回路形成部をマスキングした後、電解銅めっきすることによって、ベース基材の両面に銅回路を形成する工程と、前記ベース基材の両面に形成された銅回路の表面を粗化して粗面を形成する工程と、絶縁フィルムの表面に溶融状態の熱可塑性樹脂層を設けた絶縁樹脂シートを2枚用意し、この絶縁樹脂シートの熱可塑性樹脂層を、前記粗面に向かい合わせてラミネートする工程と、さらに前記ベース基材を除去して第1積層体と第2積層体とに分割するとともに、前記第1および第2積層体からシードコートを除去し、さらにレジストを剥離することによって、絶縁樹脂シート表面に銅回路が形成された第1および第2無接着剤フレキシブル金属積層体を取得する工程とからなる。
【0009】
【発明の実施の形態】
この発明の好適な実施例について、図1から図3を参照して説明する。
【0010】
この発明は、ベース基材上に選択的に金属導体を析出させて任意の回路(導体回路)を形成するとともに、溶融状態の熱可塑性樹脂層を設けた絶縁樹脂シートを前記回路の上から貼り付け、その後ベース基材を剥離することによって、絶縁樹脂シート上に任意の回路が密着した無接着剤フレキシブル金属積層体を取得するものであって、狭ピッチ化された回路形成を可能とするとともに、ラミネート法やキャスティング法と同等な密着性および密着耐熱性を確保した無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法である。
【0011】
この発明の実施例による無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法は、図1に示すように、まずベース基材4の両面(表裏)の表面全体に銅(Cu)を蒸着またはスパッタリングし、前記ベース基材4の表側に第1シードコート21aを形成するとともに裏側に第2シードコート21bを形成する(図1(b)参照)。
そして前記第1シードコート21aの上から第1ドライフィルムレジスト31aをラミネート(またはロールラミネート)するとともに、第2シードコート21bの上から第2ドライフィルムレジスト31bをラミネート(またはロールラミネート)し(図1(c)参照)、その後、前記第1および第2ドライフィルレジスト31a,31bにそれぞれ回路設計図を露光・現像し、回路形成部(任意)のレジストを除去して回路形成部ではシードコート表面を露出させ、非回路形成部を第1レジスト3aまたは第2レジスト3bでマスキングする(図1(d)参照)。
【0012】
なお、第1および第2シードコート21a,21bの上から液状レジストを塗布して、ベース基材4の両面(表裏)にそれぞれ第1,第2レジスト層31´a,31´bを形成した後、前記第1および第2レジスト層31´a,31´bにそれぞれ回路設計図を露光・現像し、回路形成部(任意)のレジスト層を除去して回路形成部ではシードコート表面を露出させ、非回路形成部を第1レジスト3aまたは第2レジスト3bでマスキングするようにしてもよい。
【0013】
そして非回路形成部が第1レジスト3aまたは第2レジスト3bでマスキングされている状態で電解銅めっき処理することによって、ベース基材4の表側の第1シードコート2aが露出している部分に銅(Cu)を析出させて第1銅回路(導体回路)2aを形成するとともに、ベース基材4の裏側の第2シードコート2bが露出している部分に第2銅回路(導体回路)2bを形成する(図1(e)参照)。
つまりメタライズ法にてベース基材4の表側に第1回路2aを形成するとともに、ベース基材4の裏側に第2回路3bを形成する。
【0014】
その後、ベース基材4の表側に形成した第1銅回路2aの表面をブラスト処理によって粗化して第1粗面22aを形成するとともに、ベース基材4の裏側に形成した第2銅回路2bの表面もプラスト処理によって粗化して第2粗面22bを形成する(図1(f)参照)。
【0015】
好ましくは、第1または第2レジスト3a,3bの層厚と同等になるように銅を析出させて第1または第2銅回路2a,2bを形成し、これら第1レジスト3aと第1銅回路2bの表面、および第2レジストと第2銅回路の表面についてそれぞれブラスト処理することによって、ベース基材4の表側の回路表面に第1粗面22aを形成するとともに、ベース基材4の裏側の回路表面に粗面22bを形成する。
【0016】
続いて、図2に示すように、絶縁フィルム11a(または11b)の表面に溶融状態の熱可塑性樹脂層12a(または12b)を設けた絶縁樹脂シートを2枚用意し(第1および第2絶縁樹脂シート1a,1b)、図2(a)に示すように前記2枚の絶縁樹脂シート1a,1bでベース基材4を挟み込み、ベース基材4の表側の第1銅回路2aおよび第1レジストの上から第1絶縁樹脂シートを貼り付けるとともに、ベース基材4の裏側の第2銅回路2bおよび第2レジストの上から第2絶縁樹脂シート1bを貼り付け、溶融状態の熱可塑性樹脂層12aおよび12bを熱硬化することによって、銅回路と絶縁フィルムとを密着させる(図2(b)参照)。
【0017】
なお第1または第2絶縁樹脂シートを貼り合わせるとき、粗面22a(または22a)と溶融状態の熱可塑性樹脂層12a(または12b)とを向かい合わせてラミネートし、溶融状態の熱可塑性樹脂層12aによって絶縁フィルム11aを銅回路2aの表面に密着させる。これによってラミネート法やキャスティング法によって接着するの同等な密着性および密着耐熱性を確保する。
【0018】
その後、図3に示すように、前記ベース基材4を剥離して除去して第1積層板10´aと第2積層板10´bとに分割するとともに(図3(b)参照)、前記第1積層板10´aと第2積層板10´bをそれぞれエッチング処理することによって第1および第2シードコート21a,21bを除去する(図3(c)参照)。
なおベース基材4と、第1および第2シードコート21a,21bを同時、若しくは順次剥離し、ベース基材4と第1および第2シードコート21a,21bを除去するようにしてもよい。
【0019】
ベース基材4を剥離した後、第1および第2シードコート21a,21bをエッチングによって除去する場合、サブトラクト法によるエッチングによる回路形成と異なり、非常に薄膜状に形成されたシードコートを溶解除去すればよく、処理時間も短いため、エッチング処理によって回路部分を侵食する虞はなく、狭ピッチ化された回路形成が可能である。
【0020】
その後、それぞれの積層板の非回路形成部に形成されているレジスト(第1および第2レジスト3a,3b)を除去し、第1絶縁樹脂シート1aの表面に第1銅回路2aが形成された第1無接着剤フレキシブル金属積層体10aと、第2絶縁樹脂シート1bの表面に第2銅回路2bが形成された第2無接着剤フレキシブル金属積層体10bとを取得する(図3(d)参照)。
【0021】
なお図3に示す実施例では、レジスト剥離後にポリイミド系カバーコートを張り合わせたり、液状ポリイミド系カバー材を塗布することによって、銅回路2a,2bの表面をそれぞれ絶縁樹脂カバー材5a,5bで被覆し、無接着剤フレキシブル金属積層体における回路保護を図った(図3(f)参照)。
【0022】
すなわち、この発明による無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法では、セミアディティブ法と同様に、導体回路を必要とするところに金属導体を析出して回路を形成するため、狭ピッチ化された回路形成が可能であり、かつ溶融状態の熱可塑性樹脂によって絶縁フィルムと銅回路(導体回路)とを密着せしめたものであるため、キャスティング法やラミネート法と同等の優れた密着性と密着耐熱性を確保することができ、かつ同時に2枚の無接着剤フレキシブル金属積層体を取得することができ、生産性を向上することができる。
【0023】
この実施例による無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法では、ベース基材4としてポリイミドフィルムであるカプトンEN(東レデュポン製)を使用した。そして、このベース基材4をスパッタチャンバにセットし、プラズマガスにアルゴンを用い、7×10−3Torrの真空下でスパッタリングにより2000Åの銅(Cu)層を形成し、ベース基材4の両面(表裏)の表面全体に、銅(Cu)からなるシードコート(第1および第2シードコート21a,21b)を形成した。
【0024】
続いて、スパッタチャンバから、両面にシードコートを形成したベース基材4を取り出し、さらに前記シードコート21a,21bの上にそれぞれドライフィルムレジスト31a,31b(日立化成製)をラミネートし、このドライフィルムレジスト31a,31bにそれぞれ回路設計図を露光・現像することによって、回路形成部のドライフィルムレジストを除去してシードコート表面を露出させ、非回路形成部のみをレジスト3a,3bでマスキングするようにした。
【0025】
その後、電解銅めっきによって、前記レジスト3a,3bが形成されていないところ(シードコート露出部)に銅(Cu)を析出させて、ベース基材4の表裏に銅回路2a,2bをそれそれ形成した。
なお電解銅めっきには下記の硫酸銅めっき浴を用い、この硫酸銅めっき浴中に浸したベース基材4についてシードコート21a,21bに電気を流し、レジスト3a,3bが被覆されていない部分に銅を析出させて、銅回路2a,2bを形成した。
〔硫酸銅めっき浴〕
硫酸銅5水塩 ………………………………………… 75g/l
硫酸 …………………………………………………… 190g/l
塩酸イオン …………………………………………… 50mg/l
カッパーグリーム CLX−A(メルテックス製)…… 5mm/l
カッパーグリーム CLX−C(メルテックス製)…… 5mm/l
【0026】
電解銅めっきによって、ベース基材4の表裏にそれぞれ銅回路2a,2bを形成した後、銅回路とレジストの表面をブラスト処理することによって粗化し、この粗面22a,22bにそれぞれ絶縁樹脂シート1a,1bを貼り合わせた(ラミネート)。
【0027】
前記絶縁樹脂シート1a,1bは、ポリイミドフィルム(カプトンEN(東レデュポン製))からなる絶縁フィルム11a(または11b)の一方の表面に、溶融状態の熱可塑性ポリイミド層12a(または12b)を施したものであって、この溶融状態の熱可塑性ポリイミド層12a(または12b)を粗面22a(または22b)にそれぞれ対向させ、2枚の絶縁樹脂シートによってベース基材4を挟み込むようにラミネートし、各絶縁樹脂シート(1aまたは1b)を銅回路の表面に貼り合わせた。
【0028】
ベース基材4の両面に形成されている銅回路の上からそれぞれ絶縁樹脂シート(1aまたは1b)をラミネートし、溶融状態の熱可塑性ポリイミド12a(または12b)を熱硬化することによって、絶縁フィルム11a(または11b)と銅回路2a(または2b)を密着させた。
なお銅回路2a(2b)の表面をブラスト処理によって粗化し、粗面22a(22b)を形成しておくことによって、溶融状態の熱可塑性ポリイミド12a(12b)に粗面22a(22b)が埋まり込んで、第1銅回路2aと第1絶縁樹脂シート1aの密着性、および第2銅回路2bと第2絶縁樹脂シート1bの密着性を向上することができる。
【0029】
その後、前記ベース基材4を剥離して第1積層板10´aと第2積層板10´bとに分割した。
【0030】
続いて、前記第1および第2積層板10´a,10´bについて一般的な銅エッチャント(例えば、塩化鉄)を用いてエッチング処理し、それぞれの積層板10´a,10´bからシードコート21a,21bを除去した。
【0031】
そして、3%水酸化ナトリウム水溶液を用いて前記第1および第2積層板10´a,10´bからレジスト3a,3bをそれぞれ剥離することによって、絶縁樹脂シート表面に銅回路(導体回路)が形成された(絶縁フィルムに銅回路が密着した)第1および第2無接着剤フレキシブル金属積層体10a,10bを取得した。
【0032】
上述した実施例によって製造した無接着剤フレキシブル金属積層体の剥離強度について、IPC−TM−650に準拠して測定した結果、17N/cmであった。また、この無接着剤フレキシブル金属積層体を180℃で2時間熱処理した後(熱処理後)の剥離強度は、16N/cmであった。
【0033】
これに対し、図4に示す従来技術(セミアディティブ法)によって製造された無接着剤フレキシブル金属積層体の密着性および密着耐熱性は、蒸着やスパッタリングによって形成されたシードコート21と絶縁フィルム1の密着性および密着耐熱性によるものであるため、その剥離強度は12N/cmであり、180℃で2時間熱処理した後(熱処理後)の剥離強度は、7N/cmであった。
【0034】
【発明の効果】
以上説明したように、この発明によれば、ベース基材の両面にそれぞれシードコートを形成し、このシードコートにそれぞれレジストを被覆して非回路形成部をマスキングした後、電解銅めっきすることによって、ベース基材の両面に銅回路を形成する工程と、前記ベース基材の両面に形成された銅回路の表面を粗化して粗面を形成する工程と、絶縁フィルムの表面に溶融状態の熱可塑性樹脂層を設けた絶縁樹脂シートを2枚用意し、この絶縁樹脂シートの熱可塑性樹脂層を、前記粗面に向かい合わせてラミネートする工程と、さらに前記ベース基材を除去して第1積層体と第2積層体とに分割するとともに、前記第1および第2積層体からシードコートを除去し、さらにレジストを剥離することによって、無接着剤フレキシブル金属積層体を製造することによって、狭ピッチ化された回路形成を可能とし、かつ絶縁フィルムと銅回路(導体回路)の密着性と密着耐熱性を向上させた無接着剤フレキシブル金属積層体を取得することができ、かつその生産性を向上することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例による回路形成方法を説明する図。
【図2】この発明の実施例による絶縁フィルムと回路との接着方法を説明する図。
【図3】この発明の実施例による第1および第2無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法を説明する図。
【図4】従来の無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法を説明する図。
【符号の説明】
1a,1b 第1,第2絶縁樹脂シート
11a,11b 第1,第2絶縁フィルム
12a,12b 第1,第2熱可塑性ポリイミド(溶融状態)
2a,2b 第1,第2銅回路
21a,21b 第1,第2シードコート
3a,3b 第1,第2レジスト
31a,31b 第1,第2ドライフィルムレジスト
4 ベース基材
5a,5b 絶縁樹脂カバー材
10´a,10´b 第1,第2積層体
10a,10b 第1,第2無接着剤フレキシブル金属積層体
Claims (4)
- 絶縁フィルムの導体回路を必要とするところに選択的に金属導体を析出させて回路形成するとともに、接着剤を使用することなく絶縁フィルムと導体回路の密着性を確保した無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法において、
ベース基材(4)の両面にそれぞれシードコート(21a,21b)を形成し、このシードコート(21a,21b)にそれぞれレジスト(3a,3b)を被覆して非回路形成部をマスキングした後、電解銅めっきすることによって、ベース基材(4)の両面に銅回路(2a,2b)を形成する工程と、
前記ベース基材(4)の両面に形成された銅回路(2a,2b)の表面を粗化し、粗面(22a,22b)を形成する工程と、
絶縁フィルム(11a,11b)の表面に溶融状態の熱可塑性樹脂層(12a,12b)を設けた絶縁樹脂シート(1a,1b)を2枚用意し、この絶縁樹脂シート(1a,1b)の熱可塑性樹脂層(12a,12b)を、前記粗面(22a,22b)に向かい合わせてラミネートする工程と、
さらに前記ベース基材(4)を除去して第1積層体(10´a)と第2積層体(10´b)とに分割するとともに、前記第1および第2積層体(10´a,10´b)からシードコート(21a,22b)を除去し、さらにレジスト(3a,3b)を剥離することによって、第1および第2無接着剤フレキシブル金属積層体(10a,10b)を取得する工程とからなることを特徴とする無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法。 - 第1,第2積層体からレジスト(3a,3b)を剥離した後、絶縁樹脂カバー材(5a,5b)を被覆することを特徴とする請求項1に記載の無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法。
- ポリイミドフィルムの表面に溶融状態の熱可塑性ポリイミド層を設けた絶縁樹脂シート(1a,1b)をラミネートすることを特徴とする請求項1または2に記載の無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法。
- シードコート(21a,21b)が、銅であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の無接着剤フレキシブル金属積層体の製造方法。
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