JP2004177587A - 低熱膨張ミラーおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】反射率が十分大きく、熱膨張係数が低く、かつ、剛性も十分であり、セラミックスのミラー形成面にポアが残存しない低熱膨張ミラーおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】β−ユークリプタイト50〜95質量%と炭化珪素5〜50質量%からなる低熱膨張セラミックス板に反射膜を形成した低熱膨張ミラーであって、前記セラミックス板の上部に溶融体が形成され、その溶融体の上面が表面粗さ(Ra)が10nm以下となるように研磨加工され、その研磨加工した面に反射膜が形成されているミラー。
【選択図】 図1
【解決手段】β−ユークリプタイト50〜95質量%と炭化珪素5〜50質量%からなる低熱膨張セラミックス板に反射膜を形成した低熱膨張ミラーであって、前記セラミックス板の上部に溶融体が形成され、その溶融体の上面が表面粗さ(Ra)が10nm以下となるように研磨加工され、その研磨加工した面に反射膜が形成されているミラー。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低熱膨張ミラーおよびその製造方法に関するもので、さらに詳しくは、半導体製造装置等に用いられる低熱膨張ミラーおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、半導体回路は益々精細化する傾向にあり、例えば、半導体露光装置におけるウェハーの位置決めには、極めて高精度な位置決めが要求されるため、各部材の構成に種々の工夫が鋭意検討されている。(たとえば、特許文献1参照)
【0003】
このような状況下で、周囲の温度変化による熱膨張によるわずかな変形でも製品歩留まりの低下を招くことから、半導体製造装置の構成部材としてコージエライトを主成分とする低熱膨張材料が用いられるようになってきた。(たとえば、特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平5−315221号公報
【特許文献2】
特開平11−209171号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の低熱膨張材料は剛性があまり大きくないため、半導体露光装置を高速で移動したときに歪んで、精細な描画が困難となるという欠点を抱えている。
さらには、セラミックスのミラー形成面にポアが残存していると十分な反射率が得られないという課題もある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、熱膨張係数が低く、かつ、剛性も十分であり、セラミックスのミラー形成面にポアが残存しない低熱膨張ミラーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した本発明の目的は、以下の(1)〜(4)によって達成される。
(1)低熱膨張セラミックス板と、該セラミックス板の上部に形成された溶融体と、該溶融体の上部に形成された反射膜とを具備することを特徴とする低熱膨張ミラー。
(2)上記(1)において、前記セラミックス板および溶融体の20〜30℃における平均の熱膨張係数が−1×10−6〜1×10−6/℃であり、かつ、ヤング率が120GPa以上であることを特徴とする低熱膨張ミラー。
(3)上記(1)、(2)において、前記セラミックス板および溶融体を構成する複合材料が、リチウムアルミノシリケート、コーディエライト、リン酸ジルコニウムカリウムから選ばれる1種以上の材料と、炭化珪素、窒化珪素、炭化ホウ素、サイアロン、アルミナ、ジルコニア、ムライト、ジルコン、窒化アルミニウム、ケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上の材料とからなることを特徴とする低熱膨張ミラー。
(4)前記低熱膨張セラミックス板の上部に溶融体を形成する工程と、溶融体の上面が表面粗さ(Ra)が10nm以下となるように研磨加工する工程と、研磨加工した面に反射膜を形成する工程とを含むことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の低熱膨張ミラーの製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る低熱膨張ミラーは、低熱膨張セラミックス板と、該セラミックス板の上部に形成された溶融体と、該溶融体の上部に形成された反射膜とを具備することを特徴とする。
【0009】
ここで、低熱膨張セラミックスからなる板の上部に溶融体を形成する理由は、セラミックスの表面はできるだけ注意して焼結してもポアが残存するため十分な反射率を得られないからである。そこで、セラミックス板の上部に溶融体を形成し、その溶融体の表面を研磨すれば、ポアを無くすことができるとの着想による。
【0010】
次に、本発明において、前記セラミックス板および溶融体の20〜30℃における平均の熱膨張係数が−1×10−6〜1×10−6/℃であり、かつ、ヤング率が120GPa以上であることを特徴とする低熱膨張ミラーを提案している。その理由は、この範囲であれば、半導体製造装置部材として用いられた場合に、半導体回路の精細化に適合可能であり、また、高速移動に際しても歪みの発生の問題がなくなるからである。
また、セラミックス板と溶融体との間の、20〜30℃における平均の熱膨張係数の差が±0.1×10−6/℃以内であることが好ましい。熱膨張係数の差がこの範囲を超えると溶融処理後、冷却過程で内部応力がたまり、強度低下を招くおそれがある。
【0011】
前記板および前記溶融体を構成する複合材料としては、リチウムアルミノシリケート、コーディエライト、リン酸ジルコニウムカリウムから選ばれる1種以上の第1の材料と、炭化珪素、窒化珪素、炭化ホウ素、サイアロン、アルミナ、ジルコニア、ムライト、ジルコン、窒化アルミニウム、ケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上の第2の材料とからなるものが好適である。これら構成材料のうち第1の材料は熱膨張が極めて小さく、第2の材料は熱膨張係数は第1の材料よりも大きいがヤング率が高く、これらを複合化することにより、所望の低熱膨張および高剛性を兼備した材料とすることができる。
【0012】
上記第1の材料としては、リチウムアルミノシリケートであるβ−ユークリプタイトやスポジューメンが好ましい。また、その中でもβ−ユークリプタイトはマイナスの熱膨張を示すので、プラスの熱膨張を示す第2の材料と組み合わせることにより、極めて低い熱膨張係数を得ることが可能であるし、また、配合を調節することにより熱膨張係数をマイナスからプラスの広い範囲で調節することが可能となる。なお、β−ユークリプタイトやスポジューメンに代表されるリチウムアルミノシリケートは、Ca、Mg、Fe、K、Ti、Zn等の他の成分と固溶体を形成するが、本発明ではこのような固溶体も適用可能である。
【0013】
一方、溶融体における第2の材料の選択は、溶融体の溶融温度がセラミックス板の溶融温度よりも低くなるように上記材料の中から適宜選択される。
【0014】
なお、溶融体およびセラミックス板を構成する複合材料において、実質的な化学的反応が生じなければ、第1の材料として複数の材料を組み合わせて用いることも可能である。また、第2の材料も同様に、実質的な化学的反応が生じなければ、複数の材料を組み合わせて用いることも可能である。
【0015】
ここで、セラミックス板を構成する複合材料の構成材料のうち1種以上が、溶融体を構成する複合材料の構成材料と共通であることが好ましい。これにより、共通の構成材料が拡散しやすく互いに強固に接合することができる。
【0016】
この場合に、セラミックス板の組成としてはβ−ユークリプタイト50〜95質量%と炭化珪素5〜50質量%であり、溶融体の組成としてはβ−ユークリプタイト40〜85質量%と窒化珪素15〜60質量%であることが好ましい。
【0017】
次に、本発明の低熱膨張ミラーの製造方法について説明する。
本発明では、前記低熱膨張セラミックス板の上部に溶融体を形成する工程と、溶融体の上面が表面粗さ(Ra)が10nm以下となるように研磨加工する工程と、研磨加工した面に反射膜を形成する工程とを含むことを特徴とする低熱膨張ミラーの製造方法を提案している。
【0018】
ここで、前記低熱膨張セラミックス板の上部に溶融体を形成する工程とは、より具体的には、低熱膨張セラミックス板の上部に、該セラミックス板よりも溶融温度の低い複合材料を塗布し、セラミックス板は溶融しないが該複合材料は溶融する温度で熱処理することにより、溶融体を形成する。
【0019】
次に、溶融体の上面が表面粗さ(Ra)が10nm以下となるように研磨加工する工程とは、より具体的には、例えば2μm以下のダイヤモンド砥粒で研磨することによる。ここで、6nm以下に研磨加工することが反射率を高めるためにはより好ましい。
【0020】
次に、本発明の研磨加工した面に反射膜を形成する工程とは、より具体的には、真空中で、Al、Ag、Ptなどの金属膜を下地として蒸着した後、SiO2、TiO2等の誘電体薄膜を前記の金属膜と交互に蒸着し、数オングストロームオーダーの多層構造の反射膜を形成することによる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、β−ユークリプタイト粉末と炭化珪素粉末とを表1に示す割合でポットミル混合して乾燥させ、セラミックス板の原料混合粉末を作製した。この混合粉末を一軸加圧成形して32mm×35mm×500mmの板状成形体を作製し、150MPaでCIP処理した。窒素雰囲気において表1に示す温度で焼成して低熱膨張セラミックス板を得た。
ここで、同様に焼成して得られたセラミックス板から試験片を切り出し、レーザー干渉式熱膨張測定装置(アルバック理工社製 LIX−1)を用いて熱膨張係数を求めた。また、共振法にてこれら板材のヤング率を測定した。これらの結果を表1にまとめて示した。
【0022】
【表1】
【0023】
次に、β−ユークリプタイトと窒化珪素を表2に示す割合でポットミル混合して乾燥させ、溶融体形成用の混合粉末を作製した。この混合粉末を無機分が30vol%となるようにエチルセルロースの15%α−テルピネオール溶液と混合し、三本ロールを用いてペースト状にした。なお、この混合粉末について同じ組成の焼結体を作製してセラミックス板と同様にして熱膨張係数を求めた。その結果についても表2にまとめて示した。その結果、セラミックス板と溶融体との間の、20〜30℃における平均の熱膨張係数の差が±0.1×10−6/℃以内であることを確認した。
上記セラミックス板の上部に、上記ペーストを、スクリーンマスクを用いて厚さ50μmに印刷した。これを500℃で脱脂した後、窒素雰囲気中で表2に示す温度で溶融処理して溶融体を形成した。
【0024】
【表2】
【0025】
次に、溶融処理した面を表面粗さ(Ra)が6nmとなるように、1μmのダイイヤモンド砥粒により研磨加工した。得られた研磨面を高倍率の顕微鏡で
観察した結果、反射膜を形成する面にはポアが皆無であった。
【0026】
次に、研磨加工した面に、真空中でAlを下地として蒸着した後にTiO2系の誘電体薄膜を形成して反射膜とした。このようにして得られたミラーに対して、レーザー光をミラー面に垂直に照射して、反射光強度を測定することで反射率を求めた。その結果、反射率86%と十分な反射率が得られた。
【0027】
以上のようにして得られた本発明による低熱膨張ミラーの模式的な(a)斜視図と(b)断面図を図1に示した。
ここで、1は、低熱膨張セラミックス板であり、2は、溶融体であり、3は溶融体を研磨加工した面に反射膜形成することで得られたミラー面である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、溶融体を低熱膨張セラミックス板よりも溶融温度の低い複合材料で構成したので、溶融体の溶融温度よりも高く、セラミックス板の溶融温度よりも低い温度で加熱することにより、低い熱膨張係数を維持しつつ、ヤング率が120GPa以上と通常のセラミックスと同程度の剛性を有し、反射膜を形成する面にポアがないため十分な反射率を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を模式的に示した(a)斜視図と(b)断面図である。
【符号の説明】
1 低熱膨張セラミックス板
2 溶融体
3 ミラー面
【発明の属する技術分野】
本発明は、低熱膨張ミラーおよびその製造方法に関するもので、さらに詳しくは、半導体製造装置等に用いられる低熱膨張ミラーおよびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
近年、半導体回路は益々精細化する傾向にあり、例えば、半導体露光装置におけるウェハーの位置決めには、極めて高精度な位置決めが要求されるため、各部材の構成に種々の工夫が鋭意検討されている。(たとえば、特許文献1参照)
【0003】
このような状況下で、周囲の温度変化による熱膨張によるわずかな変形でも製品歩留まりの低下を招くことから、半導体製造装置の構成部材としてコージエライトを主成分とする低熱膨張材料が用いられるようになってきた。(たとえば、特許文献2参照)
【0004】
【特許文献1】
特開平5−315221号公報
【特許文献2】
特開平11−209171号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の低熱膨張材料は剛性があまり大きくないため、半導体露光装置を高速で移動したときに歪んで、精細な描画が困難となるという欠点を抱えている。
さらには、セラミックスのミラー形成面にポアが残存していると十分な反射率が得られないという課題もある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、熱膨張係数が低く、かつ、剛性も十分であり、セラミックスのミラー形成面にポアが残存しない低熱膨張ミラーおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記した本発明の目的は、以下の(1)〜(4)によって達成される。
(1)低熱膨張セラミックス板と、該セラミックス板の上部に形成された溶融体と、該溶融体の上部に形成された反射膜とを具備することを特徴とする低熱膨張ミラー。
(2)上記(1)において、前記セラミックス板および溶融体の20〜30℃における平均の熱膨張係数が−1×10−6〜1×10−6/℃であり、かつ、ヤング率が120GPa以上であることを特徴とする低熱膨張ミラー。
(3)上記(1)、(2)において、前記セラミックス板および溶融体を構成する複合材料が、リチウムアルミノシリケート、コーディエライト、リン酸ジルコニウムカリウムから選ばれる1種以上の材料と、炭化珪素、窒化珪素、炭化ホウ素、サイアロン、アルミナ、ジルコニア、ムライト、ジルコン、窒化アルミニウム、ケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上の材料とからなることを特徴とする低熱膨張ミラー。
(4)前記低熱膨張セラミックス板の上部に溶融体を形成する工程と、溶融体の上面が表面粗さ(Ra)が10nm以下となるように研磨加工する工程と、研磨加工した面に反射膜を形成する工程とを含むことを特徴とする上記(1)から(3)のいずれかに記載の低熱膨張ミラーの製造方法。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明に係る低熱膨張ミラーは、低熱膨張セラミックス板と、該セラミックス板の上部に形成された溶融体と、該溶融体の上部に形成された反射膜とを具備することを特徴とする。
【0009】
ここで、低熱膨張セラミックスからなる板の上部に溶融体を形成する理由は、セラミックスの表面はできるだけ注意して焼結してもポアが残存するため十分な反射率を得られないからである。そこで、セラミックス板の上部に溶融体を形成し、その溶融体の表面を研磨すれば、ポアを無くすことができるとの着想による。
【0010】
次に、本発明において、前記セラミックス板および溶融体の20〜30℃における平均の熱膨張係数が−1×10−6〜1×10−6/℃であり、かつ、ヤング率が120GPa以上であることを特徴とする低熱膨張ミラーを提案している。その理由は、この範囲であれば、半導体製造装置部材として用いられた場合に、半導体回路の精細化に適合可能であり、また、高速移動に際しても歪みの発生の問題がなくなるからである。
また、セラミックス板と溶融体との間の、20〜30℃における平均の熱膨張係数の差が±0.1×10−6/℃以内であることが好ましい。熱膨張係数の差がこの範囲を超えると溶融処理後、冷却過程で内部応力がたまり、強度低下を招くおそれがある。
【0011】
前記板および前記溶融体を構成する複合材料としては、リチウムアルミノシリケート、コーディエライト、リン酸ジルコニウムカリウムから選ばれる1種以上の第1の材料と、炭化珪素、窒化珪素、炭化ホウ素、サイアロン、アルミナ、ジルコニア、ムライト、ジルコン、窒化アルミニウム、ケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上の第2の材料とからなるものが好適である。これら構成材料のうち第1の材料は熱膨張が極めて小さく、第2の材料は熱膨張係数は第1の材料よりも大きいがヤング率が高く、これらを複合化することにより、所望の低熱膨張および高剛性を兼備した材料とすることができる。
【0012】
上記第1の材料としては、リチウムアルミノシリケートであるβ−ユークリプタイトやスポジューメンが好ましい。また、その中でもβ−ユークリプタイトはマイナスの熱膨張を示すので、プラスの熱膨張を示す第2の材料と組み合わせることにより、極めて低い熱膨張係数を得ることが可能であるし、また、配合を調節することにより熱膨張係数をマイナスからプラスの広い範囲で調節することが可能となる。なお、β−ユークリプタイトやスポジューメンに代表されるリチウムアルミノシリケートは、Ca、Mg、Fe、K、Ti、Zn等の他の成分と固溶体を形成するが、本発明ではこのような固溶体も適用可能である。
【0013】
一方、溶融体における第2の材料の選択は、溶融体の溶融温度がセラミックス板の溶融温度よりも低くなるように上記材料の中から適宜選択される。
【0014】
なお、溶融体およびセラミックス板を構成する複合材料において、実質的な化学的反応が生じなければ、第1の材料として複数の材料を組み合わせて用いることも可能である。また、第2の材料も同様に、実質的な化学的反応が生じなければ、複数の材料を組み合わせて用いることも可能である。
【0015】
ここで、セラミックス板を構成する複合材料の構成材料のうち1種以上が、溶融体を構成する複合材料の構成材料と共通であることが好ましい。これにより、共通の構成材料が拡散しやすく互いに強固に接合することができる。
【0016】
この場合に、セラミックス板の組成としてはβ−ユークリプタイト50〜95質量%と炭化珪素5〜50質量%であり、溶融体の組成としてはβ−ユークリプタイト40〜85質量%と窒化珪素15〜60質量%であることが好ましい。
【0017】
次に、本発明の低熱膨張ミラーの製造方法について説明する。
本発明では、前記低熱膨張セラミックス板の上部に溶融体を形成する工程と、溶融体の上面が表面粗さ(Ra)が10nm以下となるように研磨加工する工程と、研磨加工した面に反射膜を形成する工程とを含むことを特徴とする低熱膨張ミラーの製造方法を提案している。
【0018】
ここで、前記低熱膨張セラミックス板の上部に溶融体を形成する工程とは、より具体的には、低熱膨張セラミックス板の上部に、該セラミックス板よりも溶融温度の低い複合材料を塗布し、セラミックス板は溶融しないが該複合材料は溶融する温度で熱処理することにより、溶融体を形成する。
【0019】
次に、溶融体の上面が表面粗さ(Ra)が10nm以下となるように研磨加工する工程とは、より具体的には、例えば2μm以下のダイヤモンド砥粒で研磨することによる。ここで、6nm以下に研磨加工することが反射率を高めるためにはより好ましい。
【0020】
次に、本発明の研磨加工した面に反射膜を形成する工程とは、より具体的には、真空中で、Al、Ag、Ptなどの金属膜を下地として蒸着した後、SiO2、TiO2等の誘電体薄膜を前記の金属膜と交互に蒸着し、数オングストロームオーダーの多層構造の反射膜を形成することによる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例について説明する。
まず、β−ユークリプタイト粉末と炭化珪素粉末とを表1に示す割合でポットミル混合して乾燥させ、セラミックス板の原料混合粉末を作製した。この混合粉末を一軸加圧成形して32mm×35mm×500mmの板状成形体を作製し、150MPaでCIP処理した。窒素雰囲気において表1に示す温度で焼成して低熱膨張セラミックス板を得た。
ここで、同様に焼成して得られたセラミックス板から試験片を切り出し、レーザー干渉式熱膨張測定装置(アルバック理工社製 LIX−1)を用いて熱膨張係数を求めた。また、共振法にてこれら板材のヤング率を測定した。これらの結果を表1にまとめて示した。
【0022】
【表1】
【0023】
次に、β−ユークリプタイトと窒化珪素を表2に示す割合でポットミル混合して乾燥させ、溶融体形成用の混合粉末を作製した。この混合粉末を無機分が30vol%となるようにエチルセルロースの15%α−テルピネオール溶液と混合し、三本ロールを用いてペースト状にした。なお、この混合粉末について同じ組成の焼結体を作製してセラミックス板と同様にして熱膨張係数を求めた。その結果についても表2にまとめて示した。その結果、セラミックス板と溶融体との間の、20〜30℃における平均の熱膨張係数の差が±0.1×10−6/℃以内であることを確認した。
上記セラミックス板の上部に、上記ペーストを、スクリーンマスクを用いて厚さ50μmに印刷した。これを500℃で脱脂した後、窒素雰囲気中で表2に示す温度で溶融処理して溶融体を形成した。
【0024】
【表2】
【0025】
次に、溶融処理した面を表面粗さ(Ra)が6nmとなるように、1μmのダイイヤモンド砥粒により研磨加工した。得られた研磨面を高倍率の顕微鏡で
観察した結果、反射膜を形成する面にはポアが皆無であった。
【0026】
次に、研磨加工した面に、真空中でAlを下地として蒸着した後にTiO2系の誘電体薄膜を形成して反射膜とした。このようにして得られたミラーに対して、レーザー光をミラー面に垂直に照射して、反射光強度を測定することで反射率を求めた。その結果、反射率86%と十分な反射率が得られた。
【0027】
以上のようにして得られた本発明による低熱膨張ミラーの模式的な(a)斜視図と(b)断面図を図1に示した。
ここで、1は、低熱膨張セラミックス板であり、2は、溶融体であり、3は溶融体を研磨加工した面に反射膜形成することで得られたミラー面である。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、溶融体を低熱膨張セラミックス板よりも溶融温度の低い複合材料で構成したので、溶融体の溶融温度よりも高く、セラミックス板の溶融温度よりも低い温度で加熱することにより、低い熱膨張係数を維持しつつ、ヤング率が120GPa以上と通常のセラミックスと同程度の剛性を有し、反射膜を形成する面にポアがないため十分な反射率を得ることができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を模式的に示した(a)斜視図と(b)断面図である。
【符号の説明】
1 低熱膨張セラミックス板
2 溶融体
3 ミラー面
Claims (4)
- 低熱膨張セラミックス板と、該セラミックス板の上部に形成された溶融体と、該溶融体の上部に形成された反射膜とを具備することを特徴とする低熱膨張ミラー。
- 前記セラミックス板および溶融体の20〜30℃における平均の熱膨張係数が−1×10−6〜1×10−6/℃であり、かつ、ヤング率が120GPa以上であることを特徴とする請求項1に記載の低熱膨張ミラー。
- 前記セラミックス板および溶融体を構成する複合材料が、リチウムアルミノシリケート、コーディエライト、リン酸ジルコニウムカリウムから選ばれる1種以上の材料と、炭化珪素、窒化珪素、炭化ホウ素、サイアロン、アルミナ、ジルコニア、ムライト、ジルコン、窒化アルミニウム、ケイ酸カルシウムから選ばれる1種以上の材料とからなることを特徴とする請求項1または2に記載の低熱膨張ミラー。
- 前記低熱膨張セラミックス板の上部に溶融体を形成する工程と、溶融体の上面が表面粗さ(Ra)が10nm以下となるように研磨加工する工程と、研磨加工した面に反射膜を形成する工程とを含むことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の低熱膨張ミラーの製造方法。
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JP2002342455A JP2004177587A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 低熱膨張ミラーおよびその製造方法 |
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JP2002342455A JP2004177587A (ja) | 2002-11-26 | 2002-11-26 | 低熱膨張ミラーおよびその製造方法 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2016531319A (ja) * | 2013-08-07 | 2016-10-06 | カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー | 特にマイクロリソグラフィ投影露光装置のミラー |
CN116332627A (zh) * | 2023-02-14 | 2023-06-27 | 西安航科创星电子科技有限公司 | 一种低热膨胀系数高温共烧陶瓷(htcc)材料及其制备方法 |
-
2002
- 2002-11-26 JP JP2002342455A patent/JP2004177587A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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