JP2005099638A - ガルバノミラー及びこれを用いた映像プロジェクタ装置 - Google Patents

ガルバノミラー及びこれを用いた映像プロジェクタ装置 Download PDF

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Abstract

【課題】
高速回転により反射面に歪みの生じることがない、比剛性が高く、反射面が平滑な面精度を有して、広い範囲の可視光領域において均一に高い反射率を有し、結露の発生することのないガルバノミラーおよび映像プロジェクタ装置を提供する。
【解決手段】
表面ボイド率が0.1%以下の多結晶セラミックス体を有する基材の表面に、順次、銀もしくは金からなる反射層と、フッ化物もしくは酸化物からなる透明保護層を積層してなり、全体の厚みが1mm以下であることをガルバノミラーとする。
そして、上記基材が、多結晶セラミックス体からなる基材の表面に、ガラス転移点が600℃以下である低融点ガラスのグレーズ層を形成してなることが好ましい。
【選択図】図1

Description

本発明は、カメラ、レーザー、映像プロジェクタ装置等の精密光学機器に使用されるガルバノミラー、及びこれを用いた映像プロジェクタ装置に関するものである。
近年、投影型ディスプレイの高品位化を図るために、マイクロリボンアレイを用いて大型映像を投影するプロジェクタ装置の開発と実用化が進んでいる。このような装置として、米国シリコンライトマシンズ社が開発した「Grating Light Valve」(以下GLVと呼称)と呼ばれる映像プロジェクタ装置がある。
図5の模式図を用いてGLV方式映像プロジェクタ装置20の動作原理を簡単に説明する。光源22より照射レンズ23を用いてRGBレーザー光をそれぞれに対応したGLVデバイス24にスリット状に照射し、GLVデバイス24に形成されたリボン状の光回折素子(図示なし)を電気信号により動作量を微細に制御することで光回折量を変化させて一次元画像の明暗を作り出し、その1次元画像をガルバノミラー21の振幅角10°程の高速回転(60Hz程度)により水平方向に走査させ、2次元画像をスクリーン26に映像化するようになっている。
そして、GLV方式の大型映像プロジェクタ装置20として用いるためには、ガルバノミラー21による投影像に歪みのないことが望まれており、そのためには、ガルバノミラー21の反射面の平面度が0.5μm以下に抑えることが重要である。また、GLV方式の映像プロジェクタ装置20に具備するガルバノミラー21は、振幅角10°程で高速回転させてスクリーン26に画像を映像化する役割を持っているので、高速回転にて変形しないように高ヤング率を有すると同時に、慣性が小さいことが重要である。
また、ガルバノミラー21としては、スクリーン26に映像化する画像を高鮮明・高輝度とするために反射面37の反射率が可能な限り高いことが望まれる。また、投影する画像のカラーバランスをよくするために、可視光領域(波長350〜750nm)で均等な反射特性が要求され、具体的には、色の3原色である青色(波長400〜480nmの光)と緑色(波長500〜580nmの光)と赤色(波長600〜670nmの光)の反射率のそれぞれが高く安定していることが望まれる。
従来、このような映像プロジェクタ装置に用いるガルバノミラー21としては、図6に示すように、アルミニウムやベリリウムなどの比重の軽い金属をガルバノミラー21の基材32とし、その表面34に銀からなる反射層35と、フッ化マグネシウムからなる透明保護層36を積層したものが用いられていた。しかしながら、従来のアルミニウムやベリリウムなどの比重の軽い金属を用いたガルバノミラー21では、基材32のヤング率が低く、延性材料であるので、薄肉化が困難で、その反射面37の平面度を0.5μm以下に保持することが困難であった。しかも、ベリリウムは毒劇物扱いされる材料で、現在は、環境使用上の使用用途が制限されるようになってきていた。
このため、ガルバノミラー21の基材32に比重が軽く、ヤング率も高い材料として、従来から提案されているセラミックス体を用いたセラミックスミラーを使用することが提案された。ただし、セラミックス体が用いられた基材を利用する場合、一般的には基材の表面にはボイドと呼ばれる開気孔が存在するために、このボイドが多く存在する場合には充分な平面度が得られず、これにより充分な反射率が得られないということもあった。
このようなセラミックス体としては、従来から、特許文献1に単結晶アルミナなどの透光性セラミックス体からなる基材の裏面に反射層を被着したセラミックスミラーが提案されており、これにより、厚みを0.5mm程度に薄くしても割れにくく、軽量なミラーができることが開示されている。
また、セラミックスを用いたミラーとして、特許文献2には炭化珪素系セラミックスからなる基材上に、SiC膜を形成し、さらに、SiC膜上にAl膜を積層した光学反射ミラーが提案されていた。この光学反射ミラーによれば、ヤング率が高く、また、熱伝導率が高い炭化珪素系セラミックスおよびSiC膜を用いることで、SiC膜の平面度は0.1μm以下で、表面粗さRaは0.001μm以下の高精度な反射ミラーとすることができるものであった。これにより、He−Neレーザー光の波長633nmに対して85%以上の反射率を実現できるので、He−Neレーザー用の光学反射ミラーとして好適に使用できるものである。
なお、セラミックス体の基材の表面にあるボイドを少なくして、セラミックス体の基材の表面を高密度化させる技術も特許文献3に開示されている。即ち、多結晶体からなるセラミック体を基材とし、厚み35μm以下のグレーズ層を50%以上のSiOを含有するケイ酸塩ガラスで形成した磁気ディスク用基板が提案されている。この磁気ディスク用基板によれば、研磨したアルミナセラミックスからなる基材の両面にガラス粉末を被覆し、温度1350℃でガラス溶融してグレーズ層を形成した後、このグレーズ層の表面を研磨することで、基材の表面が高密度化して表面粗さRa0.01μmの磁気ディスク基板を形成することができるというものである。
特開昭62−257102号公報 特開2003−57419号公報 特開昭60−138730号公報
しかしながら、特許文献1に示す透光性セラミックスをガルバノミラー21に用いた場合では、基材32に結晶方位がある単結晶アルミナが用いられているために、基材32の焼成する際の結晶成長時に微量な結晶方位のズレによる残留応力が発生するという問題点があった。そのため、ガルバノミラー21の基材32を薄肉化すると残留応力が悪影響し、高いヤング率を備えながら反射面の平面度を0.5μm以下の面精度を保持することが困難であり、反射面の平面度が0.5μmを超えると、ガルバノミラー21からスクリーン26へ投影した画像に歪みが生じ、映像品質が劣化する問題があった。
また、特許文献2に示す炭化珪素系セラミックスからなる基材上に、SiC膜を形成し、さらにSiC膜上にAl膜を積層した光学反射ミラーは、比重も軽く、ヤング率が高く、熱膨張係数も小さいので光学反射ミラーとして好適な要素があると一見、考えられるが、熱伝導率が高いため、周辺雰囲気の急速な温度低下に反応し易く、ミラーの反射面に結露が発生するという問題があった。
この結露の問題は温度の低い環境下で使用が見込まれる映像プロジェクタ装置にとっては重要な問題であり、結露が生じると一時的に反射率が低下し、ガルバノミラー21からスクリーン26へ投影した画像が不鮮明になる問題があった。
一方、特許文献3のように、基材に用いるセラミック体は一般的に耐熱が高い材料であるが、基材の表面にグレーズ層を形成する製造工程において、温度800℃以上の環境では熱変形が生じることと、セラミック基板とケイ酸塩ガラスの熱膨張係数の差は、ガラス溶融温度が高くなるにつれて、より大きくなって熱変形となることにより、結果的に平面度を0.5μm以下とすることが困難であった。
本発明は上述の問題点に鑑みて案出されたものであり、本発明の主たる課題は、高速回転により反射面に歪みの生じることがなく、比剛性が高く、反射面が平滑な面精度を有して、広い範囲の可視光領域において均一に高い反射率を有し、しかも、温度の低い環境下においても結露の発生することのないガルバノミラーを提供することにある。
そこで、上記の課題に鑑みて本発明のガルバノミラーは、表面ボイド率が0.1%以下の多結晶セラミックス体を有する基材表面に、銀もしくは金からなる反射層と、該反射層表面にフッ化物もしくは酸化物からなる透明保護層を積層してなり、全体の厚みが1mm以下であることを特徴とするものである。
そして、上記基材が、多結晶セラミックス体からなる基材の表面に、ガラス転移点が600℃以下である低融点ガラスのグレーズ層を形成してなることが好ましい。
また、前記多結晶セラミックス体は、比剛性(E/ρ)5.0×10mm以上であることが好ましい。
また、前記多結晶セラミックス体は、熱伝導率40W/m・K以下であることが好ましい。
また、前記多結晶セラミックス体は、吸水率5%以上の多孔質体であることが好ましい。
更に、本発明の映像プロジェクタ装置は、前記のガルバノミラーを具備したことを特徴とするものである。
本発明のガルバノミラーに用いる基材に高ヤング率で比重の軽い多結晶セラミックス体を用いることにより、比剛性が高く、応力に対する変形が少ないので、全体の厚みが1mm以下のガルバノミラーにおいても、高速回転による反射面の歪みが生じること無く、且つ、その平面度を平滑に仕上げることができる。
この多結晶セラミックス体の比剛性(E/ρ)が5.0×10mm以上であると、ガルバノミラーの厚みを薄型化することができ、走査回転数の高速化することで投影映像の高画質・高鮮明にすることができとともに、消費電力を低減することが可能になる。
特に、表面ボイド率を0.1%以下としたセラミックス体からなる基材の表面に、順次、銀もしくは金からなる反射層と、フッ化物もしくは酸化物からなる透明保護層を積層することで、反射面の表面に表面ボイドによる凹凸の影響を無くした非常に平滑な面精度を保つことができ、これにより、反射率の高いガルバノミラーとすることができる。
また、本発明のガルバノミラーは、多結晶セラミックス体からなる表面にガラス転移点が600℃以下である低融点ガラスのグレーズ層を形成してなる基材を用いたことにより、多結晶セラミックス体の表面のボイド率が0.1%を超える場合においても、表面上に形成したグレーズ層が効果的にボイドを埋めることができるので、基材表面の表面ボイド率を0.1%以下にした平滑な面精度を保つことができる。
しかも、ガラス転移点が600℃以下である低融点ガラスを用いることにより、ガラス溶融時の温度が800℃より低く、温度変化を小さくすることができるので、多結晶セラミックス体を有する基材が熱変形することなく、多結晶セラミックス体とガラスとの熱膨張係数の差の影響も極力少なくすることができる。
また、多結晶セラミックス体と比べ、グレーズ層に用いる低融点ガラスはヤング率が小さいので加工しやすく、基材の表面を研磨する加工抵抗が少なくすることができる。ヤング率の高い多結晶セラミックス体は応力に対する変形が少ないので、基材表面のグレーズ層のみ研磨加工することで、基材表面の面精度を更に高め、平面度0.5μm以下とすることができる。
さらに、多結晶セラミックス体が吸水率5%以上の多孔質体である表面は、ボイド率が0.1%をはるかに超える表面となっているが、低融点ガラスのグレーズ層を形成して、グレーズ層が多結晶セラミックス体の表面ボイドを埋めることで、基材表面の表面ボイド率を0.1%以下にした平滑な面精度を保つことができる。そして、多孔質体の内部空孔による軽量化によりガルバノミラーの慣性を小さくすることができる。
ここで、多結晶セラミックス体の表面に低融点ガラスのグレーズ層を形成したことにより、反射層に用いた銀もしくは金に対して熱伝導率の低いグレーズ層は基材表面の温度変化を緩やかにするので、ガルバノミラー反射面の周辺雰囲気温度が急速に低下したとしても基材が保熱材の役割を果たし、透明保護層および反射層の温度低下を緩やかにすることができる。同様に、多結晶セラミックス体の熱伝導率が40W/m・K以下である基材を用いることにより、周辺雰囲気の急速な温度低下に対する透明保護層および反射層の温度低下を緩やかにすることができる。この結果、反射面に結露が発生する問題を回避することができ、いつもスクリーンへ鮮明な画像を投影することこができる。
更に、本発明の映像プロジェクタ装置は、前記のガルバノミラーを具備したことで、広い範囲の可視光領域において均一で高い反射率を有するという効果を持ち、これにより、高品位な映像が得られるという効果がある。
以下、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本発明に係るガルバノミラーの実施形態を示す斜視図であり、図2は、図1のガルバノミラー1の厚み断面構造を示したものである。
本発明のガルバノミラー1は、回転軸8を備えた基材2の表面4に、順次、反射層5と透明保護層6を積層して表面が反射面7を形成してなり、その基材2はサイズ40mm×40mm程度の直方体で、全体の厚みが1mm以下のものが用いられる。回転軸8は基材2と一体化した形式もしくは別部品を組み合わせた形式のいずれでも良い。また、基材2の全体の厚みは、ガルバノミラー1の軽量化のためには薄い方が好ましいが、高速回転による変形を防止する関係上、0.3〜0.8mmとするのが好ましい。
本発明のガルバノミラー1は、多結晶セラミックス体を有する基材2を用いる。この多結晶セラミックス体は、表面のボイド率が0.1%以下の緻密質の多結晶セラミックス体(図1)からなる基材2を用いることもでき、また、0.1%以上であっても、表面にグレーズ層13(図3)を形成した基材2を用いることもできるが、詳細は後述する。
この多結晶セラミックス体は、ヤング率120GPa以上で、比重5以下であることが重要であり、比剛性(E/ρ)は5.0×10mm以上であることが好ましい。ヤング率が高く比重の軽いセラミックス体は比剛性が高く、応力に対する変形が少ないので、全体の厚みが1mm以下、特に0.3〜0.8mmのガルバノミラー1においても、高速回転による反射面7の歪みが生じること無く、且つ、その平面度を平滑に仕上げることができる。
この多結晶セラミックス体の比剛性(E/ρ)は5.0×10mm以上であると、ガルバノミラー1の全体厚みを薄型化することができ、走査回転数の高速化することで投影映像を高画質・高鮮明にすることができるとともに、消費電力を低減することが可能になる。
また、ガルバノミラー1の反射面7の反射率を高めるためには、反射面7の面精度を平滑に仕上げる必要があり、そのためには、基材2の表面4の表面ボイド率を0.1%以下、平均ボイド径を0.5μm以下とすることが重要である。この場合の平均ボイド径はニレコ製LUZEX−FS画像解析装置を用いて、顕微鏡倍率100倍、測定ポイント10ヶ所にて画像解析して測定した値である。
そして、この基材2の表面4に、銀もしくは金からなる反射層5と、反射層5上にフッ化物もしくは酸化物からなる透明保護層6を積層することで、反射面7の表面に表面ボイドによる凹凸の影響を無くした非常に平滑な面精度を保つことができ、これにより、波長400〜670nmの広い波長帯域の反射率が95%以上の高いガルバノミラー1を形成することができる。
ここで、反射層5は厚さ50〜150nmであることが好ましい。反射層5の厚さが70nm未満では、光が透過し易くなり反射率が低くなる。反射層5の厚さが150nmを超えても反射率は向上することなく、銀または金の材料コストが多くなる。
透明保護層6は、フッ化マグネシウム(MgF)、酸化イットリウム(Y)などに代表されるフッ化物もしくは酸化物からなり、透明保護層6は厚さ20〜150μmであることが好ましい。透明保護層6の厚さが20nm未満では、保護膜としての機能が不十分であり、透明保護層6の厚さが150nmを超えると遮光による反射率が低下する。
多結晶セラミックス体には結晶粒界や材料欠陥によるボイドが存在するが、表面のボイド率が0.1%以下の緻密な多結晶セラミックス体を形成するのには、多結晶セラミックス焼結体を熱間静水圧プレス(HIP)処理によりボイドの発生を抑えると、表面ボイド率を0.1%以下とすることが可能になる。このような多結晶セラミックス体材料としては、アルミナ、コージライト、アルティックを用いることが好ましい。
アルミナは、Alを90wt%以上含み、残部がSiO、MgO、CaOなどからなる焼結体であり、比剛性(E/ρ)9.8×10mm、熱伝導率32W/m・Kとなる。なお、アルミナは、Alを調整することにより、熱伝導率を30W/m・K以下とすることも可能である。
コージライトは、2MgO・2Al・5SiO主成分とする焼結体であり、比剛性(E/ρ)5.3×10mm、熱伝導率1W/m・Kとなる。
アルティックは、20〜80wt%のAlと、80〜20wt%のTiCを主成分とする焼結体であり、比剛性(E/ρ)10×10mm、熱伝導率23W/m・Kとなる。
図3は、本発明に係るガルバノミラーの別の実施形態を示す斜視図であり、図4は、図3のガルバノミラー11の厚み断面を示したものである。
ガルバノミラー11は、基材が、表面のボイド率が0.1%以上の多結晶セラミックス体を有するものであり、その多結晶セラミックス体の表面にガラス転移点が600℃以下である低融点ガラスのグレーズ層13を形成してなる基材12を用いたことにより、多結晶セラミックス体の表面ボイド率が0.1%を超える表面においても、表面上に形成したグレーズ層13がボイドを埋めることができ、結果として基材表面14の表面ボイド率を0.1%以下にした平滑な面精度を保つことができる。
そして、グレーズ層13がボイドを埋めることで、基材表面14の表面ボイド率を0.1%以下とすることができるので、多結晶セラミックス体が吸水率5%以上の多孔質体であっても良い。なお、この多結晶セラミックス体として、好ましくは吸水率5〜20%の多孔質体でることが好ましい。そして、この多孔質セラミックス体の内部空孔による軽量化によりガルバノミラー11の慣性をより小さくすることができる。
また、グレーズ層13のガラス転移点が600℃以下である低融点ガラスを用いることにより、ガラス溶融時の温度が低いので、多結晶セラミックス体を有する基材2が熱変形することがない。またガラス溶融時から常温まで冷却する温度変化を小さくすることができるので、多結晶セラミックス体とガラスとの熱膨張係数の差による熱変形の影響も極力少なくすることができる。
ここでグレーズ層13に用いられる低融点ガラスとしては、リン酸塩ガラスやホウ酸塩ガラス、ケイ酸塩ガラス、ホウケイ酸塩ガラスを中心とした多成分系酸化物ガラスを挙げることができ、ガラス転移点が600℃以下のものを用いる。ただし、環境を配慮し無鉛ガラスを使用することが望ましい。
グレーズ層13の厚さは25〜100μmの範囲であると良く、特に好ましくは、厚さ35〜100μmであると良い。グレーズ層13の厚さが25μm未満であると、グレーズ層13による多結晶セラミックのボイド穴埋め効果が少なく、基材12の表面14に凹凸が生じる。グレーズ層13の厚さが100μmより大きいと、低融点ガラスは多結晶セラミックス体に比べてヤング率が小さいので、全体の厚みが1mm以下のガルバノミラー11においては、高速回転による反射面17の歪みが発生し易くなる。
また、グレーズ層13は、平面度0.5μm以下の平滑に仕上げた多結晶セラミックス体の表面に、低融点ガラス粉末とセルロース系バインダーを混練したペースト状を定量塗布装置を用いて塗布し、乾燥させた後、600℃以下でガラス溶融して、50〜150μmの厚さにグレーズする。このグレーズ層の仕上げはケミカルポリッシュ(CMP)研磨することで、グレーズ層12の厚さを25〜100μm、基板12の表面14の表面ボイド率0.0.1%以下、平面度0.15μm以下、表面粗さRa0.003μm以下とすることができる。
ここで、多結晶セラミックス体の表面に低融点ガラスのグレーズ層13を設けたことにより、熱伝導率の低いグレーズ層13は基材表面の温度変化を緩やかにするので、ガルバノミラー反射面17の周辺雰囲気の急速な温度低下に対する温度低下を緩やかにすることができる。同様に、多結晶セラミックス体の熱伝導率が40W/m・K以下である基材を用いることにより、周辺雰囲気の急速な温度低下に対する反応を緩やかにすることができる。特に、熱伝導率が30W/m・K以下であると周辺雰囲気の急速な温度低下に対する反応を鈍くすることが出来る。
そのため、反射面7に結露が発生する問題を効果的に回避することができ、温度の低い環境下でも、いつもスクリーンへ鮮明な画像を投影することこができる。結露は、レーザー光の連続した照射によりガルバノミラー1の周辺雰囲気は加温され、高温で水分飽和率の高い空気が、映像の切り替え時などに急冷却された反射面に接触することで瞬時的に温度が下がり、水分量が一気に飽和して、それが反射面に付着することで発生する。しかも、ガルバノミラーの反射面は表面粗さRa0.01μm以下の平滑な面状態にあるので、特に結露しやすい環境下にある。
図5は、本発明の映像プロジェクタ装置を示す模式図である。
本発明の映像プロジェクタ装置20は、光源22より照射レンズ23を用いてRGBレーザー光をそれぞれに対応したGLVデバイス24にスリット状に照射し、GLVデバイス24に形成されたリボン状の光回折素子を電気信号により微細に動作量を制御することで光回折量を変化させて画像の明暗を作り出し、その1次元画像をガルバノミラー21の振幅角10°程の高速回転(60Hz程度)により水平方向に走査させ、2次元画像をスクリーン26に映像化するようになっており、上述のような特徴を持つガルバノミラー21を具備したことで、広い範囲の可視光領域において均一で高い反射率を有するという効果を持ち、その結果、高品位な映像が得られる。
以下に本発明の実施例を説明する。
図1および図3に示すガルバノミラーを製作した。
(実施例1〜6)
多結晶セラミックス体は純度99.5%アルミナ、コージライト、アルティックを用い、実施例4〜6は、ガラス転移温度450℃の低融点ガラスを用いてグレーズ層を形成した。
次ぎに、基材の表面を研磨仕上し、基材表面の表面ボイド率を測定した後、厚さ75nmの銀反射膜と、厚さ50nmのフッ化マグネシウムからなる透明保護層を積層し、サイズ40mm×40mmで全体厚みが0.8mmとなるようにガルバノミラーを製作した。
そして、ガルバノミラー反射面の表面粗さ、平面度、反射率について測定した。
一方、比較例1〜4のサンプルを比較例として製作した。
なお、表面ボイド率は、ニレコ製LUZEX−FS画像解析装置を用いて、顕微鏡倍率100倍、測定ポイント10ヶ所、測定面積9.0×10-2mm条件にて画像解析して測定した。
比重および吸水率は、アルキメデス法も用いて測定し、ヤング率は、JIS R1602−1995に準拠した超音波パルス法を用いて測定した後、比剛性(E/ρ)を算出した。
表面粗さは、反射面の表面状態を原子間力顕微鏡(AFM デジタル・インスツルメンツ社製 Nano Scope II)を用いて観察し、表面の凹凸をナノメーターオーダーで画像化したものから平均粗さ(Ra)を調べた。
平面度は、反射面をトロペル社製Tropel FM40により観察して平面度を調べた。
反射率は、可視光領域(波長:400〜700nm)での反射率を光度計(日立製作所製の分光光度計U−4000)にて測定した。
測定結果を以下の表1に示す。
Figure 2005099638
表1に示すように、比較例1の単結晶サファイアを用いたガルバノミラーは、単結晶材料の引き上げ時の歪による残留応力の影響が大きく、反射面の平面度を0.5μm以下にすることができなかった。また、比較例2の、純度99.5%アルミナからなり、HIP処理によりボイドの緻密化を行わない材料を用いたガルバノミラーは、基材表面の表面ボイド率が0.1%を遥かに超えているため、反射率が大きく低下していた。さらに、比較例3の、純度99.5%アルミナからなり、ガラス転移点が1100℃のガラス粉末を用いてグレーズ層を形成したガルバノミラーは、基材の熱変形が影響して、反射面の平面度を0.5μm以下にすることが困難であった。また、比較例3の、アルミニウム金属からなるガルバノミラーは、基材の比剛性が小さいため、平面度が大幅に崩れ、また、反射率も低かった。
これに対して実施例1〜6では、反射面の平面度が0.5μm以下で、且つ、反射率が90%のガルバノミラーを得ることができた。
また、これらの実施例1〜6と比較例1〜4のガルバノミラーを、温度40℃・湿度60%の条件にて容器内に密封した後、温度20℃の環境下で開封し、10秒後の表面状態を観察する実験をしたところ、比較例1および比較例4では結露が発生し、その他のガルバノミラーをみると結露は生じていなかった。
本発明に係るガルバノミラーの実施形態を示す斜視図である。 図1のガルバノミラーの厚み断面構造を示す図である。 本発明に係るガルバノミラーの別の実施形態を示す斜視図である。 図3のガルバノミラーの厚み断面構造を示す図である。 本発明の映像プロジェクタ装置を示す模式図である。 従来のガルバノミラーを示す斜視図である。
符号の説明
1:ガルバノミラー
2:基材
3:グレーズ層
4:基材の表面
5:反射層
6:透明保護層
7:反射面
8:回転軸
20:映像プロジェクタ装置

Claims (6)

  1. 表面ボイド率が0.1%以下の多結晶セラミックス体を有する基材表面に、銀もしくは金からなる反射層と、該反射層表面にフッ化物もしくは酸化物からなる透明保護層を積層してなり、全体の厚みが1mm以下であることを特徴とするガルバノミラー。
  2. 上記基材は、多結晶セラミックス体からなる基材の表面に、ガラス転移点が600℃以下である低融点ガラスのグレーズ層を形成してなることを特徴とする請求項1記載のガルバノミラー。
  3. 前記多結晶セラミックス体は、比剛性(E/ρ)5.0×10mm以上であることを特徴とする請求項1又は2に記載のガルバノミラー。
  4. 前記多結晶セラミックス体は、熱伝導率40W/m・K以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガルバノミラー。
  5. 前記多結晶セラミックス体は、吸水率5%以上の多孔質体であることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載のガルバノミラー。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載のガルバノミラーを具備したことを特徴とする映像プロジェクタ装置。
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