JP2004176086A - 耐酸化性に優れた金属製ハニカム構造体及びその製造方法 - Google Patents

耐酸化性に優れた金属製ハニカム構造体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】極薄箔状態でも耐酸化性が良好な金属製ハニカム構造体を提供する。
【解決手段】耐熱合金製の平箔と波箔あるいは波箔同士を積層または巻きまわしてハニカム構造を形成した金属製ハニカム構造体であって、該ハニカム構造体表面に金属Al粉末を付着させた後に耐熱合金箔中にAlが拡散する温度以上に加熱処理してなる耐酸化性に優れた金属製ハニカム構造体及びその製造方法である。Al粉末の形状が、粒径/厚さ比が10以上のフレーク状である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐酸化性に優れた、触媒担体に供される金属製ハニカム構造体及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車等の内燃機関の排ガス浄化用触媒担体として、耐熱合金製の外筒に同合金製のハニカム構造体を嵌入したメタル担体が、近年多用されるようになってきた。ハニカム構造体は、厚さ50μm程度の平箔と、該平箔をコルゲート加工した波箔とを、交互に積層して形成され、平箔と波箔を交互に積層したものや、帯状の平箔と波箔を重ねて渦巻状に巻き回したもの等が使用されている。
【0003】
従来のセラミック製担体では、排ガスの有害成分(HC、NO、CO等)の大半が、触媒が加熱されず活性化されていないエンジン始動初期に放出されていた。これに対し、メタル担体は、従来のセラミック製担体と比較して熱容量が小さいので、排ガスそれ自体が持つ熱エネルギーによって、触媒が作用する温度に早く加熱され、エンジン始動初期の排ガス浄化能力が優れている等、多くの利点を有する。近年、自動車排ガス規制が、米国、欧州、日本において、さらに厳しくなる傾向にあり、触媒をさらに早期に活性化する要求が高まってきている。この背景から、さらにメタル担体の熱容量を低下する必要性があり、箔厚を従来の50μmよりもさらに薄くした箔素材が求められてきている。
【0004】
箔素材としては、高温耐酸化性に優れたFe−20質量%Cr−5質量%Al等、Fe−Cr−Al系の合金が多く採用されている。この合金は、高温酸化雰囲気に曝されたときに表面に緻密なAlが形成され、このAl皮膜が形成されると酸化進行の速度が遅くなり、耐酸化性の点で極めて有利である。
【0005】
しかしながら、触媒担体の熱容量低減のため、最近では、従来用いられてきた50μmでは熱容量が高すぎ、30μm以下の薄箔でハニカムを構成することが求められている。一方、箔の厚さが薄いと、耐酸化性を維持するCrとAlの絶対保有量が少なくなるため、箔の耐酸化性は、同一化学組成の箔ではその厚さに比例する。したがって、一般に薄箔の耐酸化性は低下し、特に、30μm以下の薄箔では、従来の箔にも増して耐酸化性が最高になるように合金設計しなければならない。30μm以下の薄箔では、Al量としては6質量%以上であることが好ましい。
【0006】
このような高Alの薄箔を通常の製鋼、熱延、冷延というプロセスで箔素材を量産する場合、Fe−Cr−Al系合金に添加できるAl量は、圧延性の問題等により制限され、通常プロセスにおけるAlの単なる増量による耐酸化性の向上手段をとることは、圧延コスト等の増大を招く。
【0007】
特許文献1には、ハニカム構造を構成する平箔と波箔の内、一方がFe−Cr−Al系合金であり、他方がFe−Cr系合金とAlを含有する層との層状構成であり、拡散処理する方法が開示されている。しかしながら、本方法においては、Alを含有する層が存在しないFe−Cr−Al系合金に対してはAl富化がなされず、全体として7質量%以上のAl濃度を得ることが難しい。
【0008】
特許文献2には、Al含有量が1質量%以下の鋼の箔から構成されるハニカム体のセル壁面にAl粉末を塗布し、熱処理する方法が開示されている。しかしながら、本方法は、出発原料がAl含有量1質量%の合金鋼であるため、Al粉末を塗布した際に、塗布ムラが生じた場合に、当該部分には異常酸化が発生しやすいという欠点を有する。
【0009】
【特許文献1】
特表平11−514929号公報
【特許文献2】
米国特許4602001号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の問題点解決のためになされたものであって、極薄箔で構成されるハニカム構造体であっても、十分に耐酸化性に優れ、しかも構造耐久性に優れた低熱容量の金属製ハニカム構造体及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明は、耐熱合金製の平箔と波箔あるいは波箔同士を積層又は巻きまわし、必要に応じて箔同士の接触部を接合することにより、ハニカム構造を形成する金属製ハニカム構造体の製造方法において、形成したハニカム構造体のセル壁面に金属Al粉末を付着させた後に、加熱処理することを特徴とする耐酸化性に優れた金属製ハニカム構造体の製造方法である。
【0012】
また、前記金属Al粉末の付着方法が、金属Al粉末をスラリー化したペイントを前記ハニカム構造体に塗布する方法である金属製ハニカム構造体の製造方法である。
【0013】
また、前記金属Al粉末の付着方法が、バインダを前記ハニカム構造体に塗布した後、金属Al粉末を前記バインダ表面に付着させる方法である金属製ハニカム構造体の製造方法である。
【0014】
また、前記ペイント又は前記バインダの余剰分を、ハニカム構造体のセル長手方向へのエアーブロー及び/又は遠心力印加で除去するの金属製ハニカム構造体の製造方法である。
【0015】
また、前記Al粉末の形状が、フレーク状である金属製ハニカム構造体の製造方法である。
【0016】
また、前記Al粉末の形状が、粒径/厚さ比が10以上のフレーク状である金属製ハニカム構造体の製造方法である。
【0017】
また、前記Al粉末の粒径が、1μm以上箔厚以下である金属製ハニカム構造体の製造方法である。
【0018】
また、前記耐熱合金の平箔及び波箔の厚みが30μm以下である金属製ハニカム構造体の製造方法である。
【0019】
また、前記耐熱合金がFe−Cr−Al系合金であり、Alの含有量が2質量%以上8質量%以下である金属製ハニカム構造体の製造方法である。
【0020】
また、前記各方法により得られるハニカム構造体であって、ハニカムを構成する箔中Al平均含有量が6質量%以上15質量%以下であることを特徴とする耐酸化性に優れた金属製ハニカム構造体である。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明は、第1図に示すように、金属Al粉末を、ハニカム構造体を構成するFe−Cr−Al系合金箔の表面に付着させ、該Alを加熱過程において母材成分と合金化せしめ、母材中へ拡散させて母材のAl濃度を高める方法である。本発明の重要な点は、少なくとも金属箔の平箔と波箔、あるいは波箔同士からハニカム構造体を構成した後に、ハニカム構造体に対して金属Alを付着させるものである。
【0022】
通常ハニカム構造体に対しては、平箔と波箔の接合のための熱処理が施されるが、金属Alの付着は、接合のための熱処理の前あるいは後に施される。接合方法がロウ付けである場合、接合のための熱処理の後にAl付着を行う場合は、第2図に示すようにロウ付け部に対しても同等に金属Alを付着させてもよい。また、接合のための熱処理前に行う場合は、ロウ材をロウ付け部に配置後、金属Alを付着させてもよい。
【0023】
本発明の金属製ハニカム構造体の製造方法は、バインダ塗布工程、粉末付着工程、乾燥工程、焼成工程に大別できる。その内、バインダ塗布工程と粉末付着工程は、Al粉末のペイントを塗布する工程を採用することにより、一工程化できる。また、乾燥工程と焼成工程も、焼成工程中に乾燥工程を含めることにより、一工程化できる。
【0024】
(1) バインダ塗布工程(第3図)
ハニカム構造体にAl粉末を付着せしめるためのバインダを塗布する工程である。バインダは、PVA、アクリル酸系ポリマー等の水溶液や、エチルセルロースを有機溶媒に溶解した有機系バインダ等、溶剤が蒸発した後で粉末を固着せしめることのできるバインダ成分を含有しているバインダ液を用いることができる。
【0025】
塗布方法の一例として、例えば、PVA水溶液にハニカムを浸漬せしめ、ハニカムセル壁面にバインダが付着した後、セル内の余剰バインダ液は除去する必要がある。除去の方法は、第4図に示すように、ハニカム構造体のセル長手方向に対して高速ガス流を流し、余剰バインダ液をエアーブローする方法、あるいは、第5図に示すように、ハニカムのセルの長手方向に遠心力を付与して余剰バインダ液を飛ばす方法が好ましい。
【0026】
(2) Al粉末散布工程
バインダ液が塗布されたハニカム構造体のセル壁面に粉末を付着せしめる工程である。第6図に一例を示すように、粉末をハニカムの少なくとも一方の端面から散布する。粉末の形状として、特に、Al粉末の形状が、粒径/厚さ比が10以上で、球体換算したときに1μm以上の粒径になるフレーク状の粉末を用いると、粉末の凝集が生じにくく、従って粉末の流動性がよく、また、塗布面を均一に被覆できるので、好ましい結果が得られる。球体換算したときに50μmを超える粒径では、流動性はよいが、箔厚と比較して粉末が大きすぎ、ハニカム構造体の熱容量が大きくなってしまう。できれば、球体換算で箔厚以下の粒径にするのが、さらに好ましい。
【0027】
(3) Al粉末ペイント塗布工程
前記(1)、(2)の工程を同時に行うプロセスであり、工程を短縮できるメリットがある。すなわち、Al粉末を、溶媒中に分散せしめてペイント状にし、第4図〜第6図に示す前記(1)の工程と同様に、ハニカムをペイント中に浸漬せしめ、セル内の余剰スラリーを、除去する方法等によって具現化される。Alペイントは、一般的には、Al粉末、樹脂(エチルセルロール、アクリル、フェノール等)、溶剤から構成される。Alペイントの粘度は、10〜5000mPa・sの間に保っておくと、よい結果が得られる。また、粒径/厚さ比が10以上のフレーク状のAl粉末からなる塗料を用いると、ハニカム構造体のセル壁面をAl粉末でムラなく均一に被覆することができ、好ましい結果が得られる。また、Alの粒径は、球体換算で1μm以上にしておくとより好ましい。また、前記理由と同様、上限は50μm以下、好ましくは箔厚以下にするのがよい。
【0028】
余剰ペイント除去の方法は、エアーブロー、あるいはハニカムのセルの長手方向に遠心力を付与して余剰バインダ液を飛ばす方法が好ましい。
【0029】
(4) 乾燥工程、焼成工程
前記(1)、(2)の組み合わせ、あるいは(3)の方法を用いて、Al粉末がセル壁面に堆積されたハニカム構造体を乾燥、焼成する工程である。乾燥工程は、バインダ又はスラリーの溶媒成分及びバインダ成分を蒸発又は熱分解する工程であり、これは焼成工程の中に含めることもできる。焼成工程は、ハニカム体を構成する箔素材の内部にAlを拡散せしめ、箔素材のAl濃度を高める工程である。
【0030】
熱処理の過程で、第7図に示すように、Alの富化は以下のように進行する。まず、セル壁面に付着したAlが溶融する。次に、溶融したAl中に母材中の成分が溶出し、溶融Al中のFe、Cr濃度が高まる。液相Al中へ溶出できるFeやCrの量には自ずと限りがあり、限界まで溶出した後は、液相と母材との界面において金属間化合物が形成され、その領域は徐々に広がっていき、金属間化合物は、最終的に元々Al粉末が存在していた領域まで広がる。
【0031】
最終的に、Al富化後のハニカム構造体を構成する箔中に含まれるAl含有量は、平均で6質量%以上15質量%以下であることが好ましい。6質量%未満では、30μm未満の箔素材で、十分な耐酸化性が得られない。
【0032】
すなわち、付着されるべきAl粉末の量は、以下の式で規定される。
0.06≦{(ハニカム体の質量)×(母材のAl質量%)/100+(塗布されたAlの質量)}/{(ハニカム体の質量)+(塗布されたAlの質量)}≦0.15
【0033】
母材中のAl濃度を制限するためには、付着Al量を十分コントロールしないとならない。そのために、前述したようなエアーブローによる風量や遠心力、及び、Alペイント又はバインダの粘度の管理を行い、Al量を制御するのである。
【0034】
付着Al量を制御するもう一つの目的としては、Alが溶融した際に、接合されていない部分が接合してしまうのを防止することである。通常、自動車用排ガス浄化触媒として用いられる金属製ハニカム構造体は、内部に熱勾配が生じた際の内部の変形を制御するために、必要な箔同士の接点のみを接合し、その他の領域は接合しない構造としている。しかしながら、箔同士の接点近傍に過剰なAlを供給すると、特許文献2に開示されているように、箔同士が接合する。平均Al含有量15質量%を超えると、本来接合されるべきでない箔同士の接点が接合してしまうことが多くなり、本来変形制御のために設計された接合構造が反映されず好ましくない。
【0035】
設計上非接合領域としている部分が接合してしまうのを防止するもう一つの手段は、粒径/厚さ比が10以上のフレーク状のAl粉末を用いることである。特に、Alペイントを使用してAl粉末を付着させる方法の場合、ペイントが箔同士の接点付近に溜まりやすく、接点付近のAl付着量が多くなる。フレーク状のAl粉末を用いると、Alがセル壁面に均一に付着し、箔同士の接点にAlが多く付着するのを軽減することができ、結果として接合させたくない部分まで接合してしまうという欠点を解消できる。そのため、平均Al含有量15質量%を超えることも可能である。
【0036】
Al富化前の母材中に含まれているAl含有量は、2質量%以上であることが好ましい。2質量%未満だと、Al粉末に塗布ムラがあった場合、Alが母材まで十分に拡散せず、該領域ではAl濃度が低いという場合が生じ、従って該領域においては、アルミナ皮膜を形成できず、部分的に耐酸化性が悪いという問題があるが、Al富化前の母材中に2質量%以上Alが含有されていれば、該領域においても高温下での使用初期においては、表面に強固なアルミナ皮膜を形成する。アルミナ皮膜が形成された場合の酸化の進行は非常に遅い。もちろん、当該領域では、酸化の進行にしたがってAlが消費されていくが、それよりも速く、使用中にAl濃度が高い領域からAlが拡散し、当該領域で消費されたAlを補填するため、塗布ムラがあっても、耐酸化性を保つことができる。逆に、Al富化前の母材中のAl含有量が8質量%を超えた場合は、母材の製造コストが増大するため、上限を8質量%とした。
【0037】
本方法は、特に、厚さが30μm以下のFe−Cr−Al系合金箔から構成されるハニカム体に適用されることが有効である。30μmを超える箔から形成されるハニカム体に対しては、通常は従来技術から製造されるAl含有量の箔を用いるだけで特段の処理をしなくても、対処できる場合が多い。しかしながら、特に厳しいエンジン直下における酸化条件で使用される場合はやはり、30μmを超える厚さの箔を用いても、従来技術によるAl含有量では不十分で、本発明が非常に有効になる。箔厚5μmを下回ると、箔の剛性が小さくなり、ハニカム構造体を量産することが難しくなることから、箔厚の下限値は5μmとすることが好ましい。
【0038】
また、本発明は、Al粉末を、ハニカム体を構成する箔素材表面に堆積せしめ、合金化する方法であるが、本方法でハニカム体を構成する箔素材のAl富化を行った場合、表面に第8図に示すように、Al粉末の形状が反映された突起が形成される。通常の圧延で形成された箔素材は平坦であるが、本方法を用いた場合は表面に突起が形成され、該突起部分は、ウォッシュコート(γアルミナ)の密着性を向上させる効果やハニカム体セル壁面の表面積を増加させることにより、触媒を有効に利用できる等のメリットがある。フレーク状のAl粉末を用いた場合も、焼成工程においてAl粉末が溶融する際、その表面張力によって球状に変化するため、同様に突起が形成される。該突起は、金属製ハニカム構造体に触媒を担持する際のγアルミナの剥離を防止する上で、有効である。
【0039】
【実施例】
厚さ20μmのFe−Cr−Al系合金(Cr20質量%、Alの質量%は各表中に示される。残部は、Fe及び不可避的不純物)の平箔と波付け加工した箔(波ピッチ2mm、波高さ1mm)を巻きまわして、径80mm、長さ100mmのハニカム構造体を形成し、該ハニカム体を厚さ1.5mmのFe−20Cr−5Al系合金からなる外筒材に装入して、メタル担体を構成した。該ハニカムにおいては、排ガス入側20mmのみが、平箔と波箔の接点においてロウ付けされている。
【0040】
(実施例1)
箔素材中のCr及びAlの質量%がそれぞれ20質量%及び5質量%であるメタル担体に対して、20%PVA水溶液をバインダとして、バインダ液中にメタル担体をドブ漬けして、ハニカム構造体のセル壁面にバインダ成分を付着せしめた後、90m/sの遠心力を付与して、余剰バインダを除去せしめ、その後、粒径が平均9μmで厚みが平均0.2μmのフレーク状のAl粉末(球体換算粒径が2.9μm)をメタル担体の端面から散布し、Al粉末をハニカムセル壁面に付着させた。その後バインダ中の水分を200℃で1時間乾燥後、真空雰囲気中1100℃で1時間焼成した。焼成後の箔素材を分析した結果、平均Al濃度は10質量%に達していた。
【0041】
(実施例2)
箔素材中のCr及びAlの質量%がそれぞれ20質量%及び5質量%であるメタル担体に対して、Al粉末50質量部とフェノール樹脂50質量部に溶剤(キシレン)を添加、混合/攪拌、粘度500mPa・sに調整したAlペイント中にメタル担体をトブ漬けし、メタル担体の長手方向に98m/sの遠心力を付与して余剰のAlペイントを除去し、200℃で1時間乾燥した後、真空中1100℃で1時間焼成した。焼成後の箔素材を分析した結果、平均Al濃度は10質量%に達していた。
【0042】
(実施例3)
Al粉末とフェノール樹脂と溶剤(キシレン)を混合/攪拌して作製したAlペイント中にメタル担体をトブ漬けし、メタル担体の長手方向に98m/sの遠心力を付与して余剰のAlペイントを除去し、200℃で1時間乾燥したのち、真空中1100℃で1時間焼成した。ペイントの粘度は、狙いのAl含有量になるように適宜調整した。
【0043】
メタル担体を耐酸化性試験に供した。下表の記号1〜5のメタル担体を大気中1050℃の雰囲気下に25時間放置し、箔素材中の異常酸化(FeCrの形成)の有無を調査した。
【0044】
【表1】
Figure 2004176086
【0045】
この結果、母材中のAl質量%が2%以上であれば、異常酸化しないことがわかった。
【0046】
次に、Alペイントを構成するAl粉末の形状、及び、Al粉末が、ハニカム構造体の非接合部に及ぼす影響について調査した(表2、表3)。接合の度合いとしては、非接合部を切り出して、平箔と波箔を分解し、平箔/波箔間で剥がれる場合は、接合していないとして合格、接合部から剥がれず、箔が破壊した場合は、当該部分が接合してしまっているので、不合格とした。また、同様の担体を1100℃において200時間、大気中に放置し、異常酸化の有無を調査した。
【0047】
【表2】
Figure 2004176086
【0048】
【表3】
Figure 2004176086
【0049】
球状のAl粉末を用いた場合、Al平均質量%が15%以下であれば、被接合部分が接合する問題はなかった。フレーク状Al粉末を用いた場合は、15%を超えても非接合部分が接合していなかった。
【0050】
【発明の効果】
本発明は、ハニカム構造体を構成する箔厚30μm以下の箔素材のAl濃度を向上させる方法であり、本方法で製造されたハニカム構造体は、部分的にも異常酸化を生じず優れた耐酸化性を示し、しかも、接合構造において、非接合部分が接合してしまうという問題点も生じなかった。したがって、排ガス浄化用の触媒コンバータにおいて、今まで使用できなかったエンジン直下位置での厳しい条件においても使用でき、触媒担体の熱容量が非常に小さくなるため、触媒が早期活性化することにより、厳しい排ガス規制に応えることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】ハニカム構造体のセル壁面にAl粉末が堆積された状態を示す断面図
【図2】ハニカム構造体のセル壁面およびロウ付け部にAl粉末が堆積された状態を示す断面図
【図3】ハニカム構造体をバインダ液又はAl粉末スラリーに浸漬する工程の一例を示す斜視図
【図4】余剰バインダ又はAl粉末スラリーをエアーブローで除去する工程の一例を示す模式図
【図5】余剰バインダ又はAl粉末スラリーを遠心力を印加して除去する工程の一例を示す模式図
【図6】ハニカム構造体にAl粉末を散布する工程の一例を示す模式図
【図7】焼成工程においてAlが母材中に拡散していく状況を示す断面模式図
【図8】ハニカム構造体のセル壁面に形成された突起を示す断面図および斜視図

Claims (10)

  1. 耐熱合金製の平箔と波箔あるいは波箔同士を積層又は巻きまわし、必要に応じて箔同士の接触部を接合することにより、ハニカム構造を形成する金属製ハニカム構造体の製造方法において、形成したハニカム構造体のセル壁面に金属Al粉末を付着させた後に、加熱処理することを特徴とする耐酸化性に優れた金属製ハニカム構造体の製造方法。
  2. 前記金属Al粉末の付着方法が、金属Al粉末をスラリー化したペイントを前記ハニカム構造体に塗布する方法である請求項1に記載の金属製ハニカム構造体の製造方法。
  3. 前記金属Al粉末の付着方法が、バインダを前記ハニカム構造体に塗布した後、金属Al粉末を前記バインダ表面に付着させる方法である請求項1に記載の金属製ハニカム構造体の製造方法。
  4. 前記ペイント又は前記バインダの余剰分を、ハニカム構造体のセル長手方向へのエアーブロー及び/又は遠心力印加で除去する請求項1〜3の何れかに記載の金属製ハニカム構造体の製造方法。
  5. 前記Al粉末の形状が、フレーク状である請求項1〜4の何れかに記載の金属製ハニカム構造体の製造方法。
  6. 前記Al粉末の形状が、粒径/厚さ比が10以上のフレーク状である請求項5に記載の金属製ハニカム構造体の製造方法。
  7. 前記Al粉末の粒径が、1μm以上箔厚以下である請求項5又は6に記載の金属製ハニカム構造体の製造方法。
  8. 前記耐熱合金の平箔及び波箔の厚みが30μm以下である請求項1〜7の何れかに記載の金属製ハニカム構造体の製造方法。
  9. 前記耐熱合金がFe−Cr−Al系合金であり、Alの含有量が2質量%以上8質量%以下である請求項1〜8のいずれかに記載の金属製ハニカム構造体の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の方法により得られるハニカム構造体であって、ハニカムを構成する箔中のAl平均含有量が6質量%以上15質量%以下であることを特徴とする耐酸化性に優れた金属製ハニカム構造体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2008090662A1 (ja) * 2007-01-26 2008-07-31 Ltt Bio-Pharma Co., Ltd. 金属の表面処理方法
JP2012007236A (ja) * 2010-06-03 2012-01-12 General Electric Co <Ge> 耐酸化性部品及び関連する方法
JP6440340B1 (ja) * 2018-03-19 2018-12-19 株式会社ディ・ビー・シー・システム研究所 処理機器およびその製造方法ならびに構造体およびその製造方法

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