JP4198448B2 - 金属箔及び触媒担体用のハニカム構造体並びに排気ガス浄化用のメタル触媒担体 - Google Patents

金属箔及び触媒担体用のハニカム構造体並びに排気ガス浄化用のメタル触媒担体 Download PDF

Info

Publication number
JP4198448B2
JP4198448B2 JP2002336053A JP2002336053A JP4198448B2 JP 4198448 B2 JP4198448 B2 JP 4198448B2 JP 2002336053 A JP2002336053 A JP 2002336053A JP 2002336053 A JP2002336053 A JP 2002336053A JP 4198448 B2 JP4198448 B2 JP 4198448B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
foil
metal foil
catalyst carrier
metal
honeycomb structure
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2002336053A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2004169114A (ja
Inventor
徹 稲熊
省吾 紺谷
元紀 田村
広明 坂本
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Original Assignee
Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd filed Critical Nippon Steel Chemical and Materials Co Ltd
Priority to JP2002336053A priority Critical patent/JP4198448B2/ja
Priority to PCT/JP2003/014832 priority patent/WO2004046406A1/ja
Priority to EP03774096.6A priority patent/EP1580288B1/en
Priority to US10/535,602 priority patent/US7601672B2/en
Priority to EP09150743A priority patent/EP2048258A1/en
Publication of JP2004169114A publication Critical patent/JP2004169114A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4198448B2 publication Critical patent/JP4198448B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、耐熱性、耐酸化性に優れた金属箔、及び該金属箔を用いてなるハニカム構造体に関し、特に高温耐久性に優れた触媒担体用の金属箔及びハニカム構造体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の排気ガスを浄化する目的で、排気ガス経路に触媒を担持した触媒コンバータが配置される。また、メタノール等の炭化水素化合物を水蒸気改質して水素リッチなガスを生成するメタノール改質装置やCOをCO2に改質して除去するCO除去装置、あるいはH2をH2Oに燃焼して除去するH2燃焼装置においても、同様に触媒を担持した担体が用いられる。これら触媒担体は、ガスが通過する多数のセルを有し、各セルの壁面には触媒がコーティングされ、通過するガスと触媒とが広い接触面積で接触することが可能になっている。
【0003】
これらの目的で用いられる触媒担体としては、セラミックス触媒担体とメタル触媒担体とがある。メタル触媒担体は、耐熱合金を用いた厚み数十μmの平箔と波箔とを交互に巻き回し、あるいは積層することによって円筒形のメタルハニカム体とし、このメタルハニカム体を円筒形の金属製の外筒に装入してメタル担体とする。このメタル担体のガス通路となるハニカム体のセルの金属箔の表面に触媒をしみ込ませた触媒担持層を形成し、触媒担体とする。平箔と波箔とを巻き回し積層したハニカム体の該平箔と波箔との接触部は、ろう付け等の手段によって接合し、ハニカム体を強度のある構造体とする。
【0004】
排気ガス浄化用の触媒担体を用いるに際し、触媒担体が着火温度以上の温度になると触媒反応が進行する。エンジン開始時においては、触媒担体の温度が低温度であるため、通過する排気ガスの温度によって触媒担体が昇温し、着火温度以上の温度となってはじめて触媒反応が開始される。エンジン始動から触媒反応開始までの時間がかかると、この間に排出される排気ガスは触媒による浄化が行われないままに排出されることとなるので好ましくない。従って、エンジン始動時の触媒担体温度の昇温速度を上げ、始動直後の浄化性能を向上させることが重要である。
【0005】
ハニカム構造体を構成する金属箔の厚みを薄くすれば、ハニカム構造体の熱容量を小さくすることができ、エンジン始動時の昇温速度を向上することが可能になる。箔厚を薄くすると耐酸化性が低下することが知られており、ハニカム構造体を構成する金属箔中のAl濃度を増大する方法が提案されている。しかしながら、薄箔化することにより、耐酸化性もさることながら、ハニカム構造体が、使用中の高温・高圧の排ガスによってちぎれ飛んだり、熱応力によってつぶれたり、破断したりするトラブルに対する対応を講じることも重要である。
【0006】
特許文献1においては、Fe−Cr−Al合金に、安価なYミッシュを添加して耐酸化性を確保し、さらにNb、Ta、Mo、Wのうち少なくとも一種以上を添加して高温耐力を向上させるものであって、900〜1000℃の排ガスによる冷熱耐久試験に耐えられるものを開示している。
【0007】
特許文献2においては、600℃と700℃での高温耐力が、それぞれ22kgf/mm2以上、11kgf/mm2以上のステンレス鋼箔材のハニカムから構成されたメタル担体であり、900〜1000℃の排ガスによる冷熱試験に耐えうる耐久性を有するものが開示されている。
【0008】
特許文献3には、ハニカム体を構成する平箔と波箔との全接合点を接合し、半径方向の弾性率が200kg/mm2以下にした耐久性に優れたハニカム体が開示されている。
【0009】
特許文献4には、箔厚が17μm以上40μm以下、700℃における耐力が350/t(kgf/mm2)以上であって、かつAlおよびCr含有量と箔厚tの関係を限定したものが記載されいてる。
【0010】
【特許文献1】
特開平5−27737号公報
【特許文献2】
特開平6−389号公報
【特許文献3】
特開平8−168679号公報
【特許文献4】
特開平8−168680号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
前記の従来技術は、いずれもハニカム体の高温耐久性の向上を狙ったものであるが、いずれも高温での耐力を増加させたり、ハニカム体内における部分的な弾性率を減少させて目的を達成しようとするものである。耐力を向上させる方法では、素材の加工性が低下することは免れなく、圧延等の加工コストが増えてしまう。また、ハニカム体の弾性率を局部的に減少させる方法では箔温度が1000℃を超える場合には効果は十分ではない。
【0012】
本発明は、箔素材の温度が1000℃を超えるような過酷な条件下で使用できる優れた高温耐久性を有する金属箔、およびハニカム構造体を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
排気ガス浄化処理中の触媒担体においては、半径方向の中心の温度が高く周辺の温度が低いという温度勾配を有している。また、軸方向では排気ガス入側端部の温度が高く、出側に行くほど温度が低くなるという温度勾配も有している。触媒担体の熱膨張は、このような温度勾配に起因して熱膨張差が生じ、その結果として触媒担体の内部には熱応力が働くこととなる。即ち、使用する金属箔の熱膨張係数が大きくなるほど、処理中における触媒担体中の熱応力も増大することとなる。
【0014】
本発明は上記の点に着目してなされたものであり、金属箔が具備すべき耐力の条件を、金属箔の箔厚と熱膨張係数との関係において特定した点に特徴がある。これにより、金属箔の実際の熱膨張係数毎に、最も好ましい耐力範囲を特定することができ、1000℃を超えるような過酷な条件においても優れた高温耐久性を有する金属箔、ハニカム構造体を製造することが可能になった。
【0015】
即ち、本発明の要旨とするところは以下の通りである。
(1)Fe−Cr−Al系ステンレス鋼箔からなる金属箔であって、
該Fe−Cr−Al系ステンレス鋼箔は、箔厚みtが10μm以上40μm以下、20℃から1000℃までの熱膨張係数αが15μm/m/℃以上23μm/m/℃以下、900℃で測定した0.2%耐力σ(N/mm2)と箔厚みt(μm)と熱膨張係数α(μm/m/℃)の関係が下記(1)式を満足し
且つ、成分が質量% で、Si:0.1%以上1.0%以下、Al:6%以上10%以下、Cr:15%以上25%以下、Ti:0.02%以上0.1%以下とNb:0.02%以上0.3%以下の一方又は両方、La:0.01%以上0.1%以下、Ce:0.01%以上0.1%以下、残部Fe及び不可避不純物からなることを特徴とする金属箔。
σ ≧ (−9.0875×α2+4.2913×102×α−3.82415×103)/t ( 1 )
)上記(1)に記載の金属箔を用いてなることを特徴とする触媒担体用のハニカム構造体。
(3)上記(1)に記載の触媒担体用のハニカム構造体で構成したことを特徴とする排気ガス浄化用のメタル触媒担体。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の金属箔は、箔厚みtが10μm以上40μm以下、20℃から1000℃までの熱膨張係数αが15μm/m/℃以上23μm/m/℃以下、900℃で測定した0.2%耐力σ(N/mm2)と箔厚みt(μm)と熱膨張係数α(μm/m/℃)の関係が下記(1)式を満足していることを特徴とする。
σ≧(−9.0875×α2+4.2913×102×α−3.82415×103)/t (1)
【0017】
以上のように、箔素材の厚み、熱膨張率、高温における耐力を独自の関係式で制御することによって、ハニカム構造体の冷熱耐久性(高温と低温の雰囲気を繰り返す環境においた場合における耐久性)を向上させ、箔素材温度が1000℃を超える使用範囲で優れた高温耐久性を有するハニカム構造体を提供することが可能になった。上記(1)式は、数多くの実験データを元にして導出したものであり、その限定理由は以下に述べるとおりである。
【0018】
箔厚みtは、10μm未満では座屈やつぶれが生じやすいので、下限を10μmとした。また40μmを超えるとハニカム構造体の背圧が高くなり、ハニカム構造体を通過するガスの抵抗が増大しすぎるので、上限を40μmとした。
【0019】
熱膨張係数αは、15μm/m/℃未満では冷熱特性は耐力のみに依存するため本発明の関係式は適用できないので、下限を15μm/m/℃とした。熱膨張係数αの下限は、好ましくは16μm/m/℃である。また、23μm/m/℃を超えると熱応力が大きくなりすぎ、本発明の関係式で求められる耐力を有していても十分な耐久性が得られないため、上限を23μm/m/℃とした。
【0020】
耐力σについては、(1)式の右辺の値未満であると、高温と低温の雰囲気を繰り返す環境においた場合において箔切れや箔つぶれが頻発し、十分な耐久性が得られないことが明らかになったので、(1)式の範囲とした。金属箔の熱膨張係数が大きくなるほど、触媒担体を使用したときのハニカム構造体にかかる熱応力が大きくなり、必要な耐力の下限値も大きな値となっている。
【0021】
本発明の金属箔及びハニカム体を構成する金属箔としては、箔の成分が質量%で、Si:0.1%以上1.0%以下、Mn:0.5%以下、Al:6%以上10%以下、Cr:15%以上25%以下、残部Fe及び不可避不純物からなる金属箔を用いると、耐力σの値が前記(1)式を満たすと同時に、耐酸化性が向上し好ましい。
【0022】
Mnを0.5%以下とするのは、これによって金属箔の耐酸化性を確保するためである。
【0023】
Siについては、Siを0.1%以上含有させることにより、金属箔の耐酸化性を向上させることができるので、下限を0.1%とする。またSi含有量が1.0%を超えると金属箔の脆化が進むので、上限を1.0%とする。
【0024】
Alを6%以上含有することにより、金属箔の耐酸化性を向上させることができる。ただし、Al含有量が10%を超えると金属箔の脆化が進むので、上限を10%とする。
【0025】
Crを15%以上含有することにより、金属箔の耐酸化性を向上させることができる。ただし、Cr含有量が25%を超えると金属箔の脆化が進むので、上限を25%とする。
【0026】
本発明の金属箔及びハニカム体を構成する金属箔は、さらに、Ti:0.02%以上0.1%以下とNb:0.02%以上0.3%以下の一方又は両方、La:0.01%以上0.1%以下、Ce:0.01%以上0.1%以下、P:0.01%以上0.05%以下を含むこととすると好ましい。
【0027】
Ti:0.02%以上、Nb:0.02%以上の一方又は両方を含有することにより、金属箔の靭性を改善することができる。ただし、Tiが0.1%、Nbが0.3%を超えると金属箔の耐酸化性に悪影響を及ぼすので、これらの値を上限とした。
【0028】
La:0.01%以上、Ce:0.01%以上を含有することにより、金属箔の耐酸化性を向上することができる。ただし、Laが0.1%、Ceが0.1%を超えると熱延割れの原因となるので、これらの値を上限とした。
【0029】
Pを0.01%以上含有すると、La、Ce含有時の熱延割れ発生を防止する効果がある。ただし、P含有量が0.05%を超えると耐酸化性の劣化を招くので、この値を上限とした。
【0030】
上記本発明の金属箔は、高温耐久性に優れたメタル触媒担体用の箔として好適である。
【0031】
上記本発明の金属箔を用いて構成したハニカム構造体は、ハニカムのセル表面に触媒を担持させて触媒担体としたとき、1000℃を超えるような過酷な条件下で使用できる優れた高温耐久性を有する触媒担体を得ることができる。
【0032】
次に、本発明の金属箔及びハニカム構造体の製造方法について説明する。
【0033】
Fe−Cr−Al系ステンレス鋼箔の製造において、鋼板圧延前のAl含有量が6.5%を超えると、熱間圧延が困難となることが知られている。本発明の金属箔の好ましい成分範囲において、Al含有量は6〜10%であるが、このような高いAl濃度を有する金属箔を、当該成分を有する鋳片から直接熱間圧延を経て製造することは困難である。
【0034】
本発明においては、Al含有量が6.5%未満の金属箔又は冷延鋼板(以下「ベース素材」という。)あるいはこの金属箔を用いたハニカム構造体を形成し、このベース素材金属箔又は冷延鋼板あるいはハニカム構造体の箔表面にAlを付着させ、Al付着後に拡散熱処理を施すことによって金属箔中のAl含有量が増大するので、本発明が必要とするAlを含有するFe−Cr−Al系ステンレス鋼とすることができる。Al付着は、箔圧延前の冷延板段階において行い、その段階で拡散を行っても、あるいはその後Alを付着した冷延板を箔圧延することとしても良い。Al付着前の冷延板または金属箔はAl含有量が6.5%未満であるので、熱間圧延を良好に行うことができる。Al付着厚みとベース素材厚みとの関係は、ベース素材中のAl量と熱拡散後の目標Al量との差に基づき、このAl量差と拡散によって富化されるAl量が一致するように定めればよい。
【0035】
金属箔を用い、触媒担体として使用されるハニカム構造体を製造するにあたっては、金属箔の平箔と波箔とを交互に巻き回し、あるいは積層してハニカム形状とし、このハニカム体の平箔と波箔との接触部をろう付けすることにより、強固なハニカム構造体を形成する。使用する箔素材の厚みをt(μm)とすると、本発明においてはハニカム体のろう付け部の接合強度は接合線1cm当りで5t(N/cm)以上であることが望ましい。また、接合方法はろう付け方法に加えて、拡散接合方法を用いることができる。
【0036】
一方、ベース素材のステンレス鋼箔の表面にAlを付着させ、このような多層構造の金属箔製平箔と波箔とを巻きまわし、あるいは積層してハニカム構造体の形状とし、その後平箔と波箔との接触部を接合しようとすると、ろう接合のための高温熱処理時にステンレス鋼箔表面のAlとろう材とが反応し、高融点の金属間化合物を生成し、ろう接合部の接合性が劣化することがある。
【0037】
本発明においては、ハニカム体の製造方法として以下のような3つの方法から選択することにより、ろう付け部の接合強度に優れたハニカム構造体を製造することが可能である。
【0038】
第1の方法においては、まずAl含有量の少ないベース素材を用いた金属箔を準備し、この金属箔を用いてハニカム体を形成し、ハニカム体の箔と箔との接触部のろう付けまでを行う。その後にこのハニカム体を構成する金属箔の表面にAl粉末を付着させ、ハニカム体全体を高温熱処理することにより、Alを箔の内部に拡散する。金属箔を用いてハニカム体を形成する際には、金属箔の表面にはAl膜が存在せず、ろう付け段階において箔と箔との接触部は良好な接触状態を保っているので、健全なろう付けを行うことができる。その後に金属箔の表面にAl粉末を付着させ、拡散熱処理を行うので、ハニカム構造体を構成する金属箔は、本発明に適したAl含有量を有することとなる。Al粉末を付着させる方法としては、Al粉末と溶剤とを含むペイント中にハニカム構造体を浸漬させる方法、あるいはハニカム構造体のセル表面に接着剤を塗布し、その後このハニカム構造体にAl粉末を振りかけることによって、セル表面の接着剤塗布部分にAl粉末を被着させることとしても良い。
【0039】
第2の方法においては、Al含有量の少ないベース素材を用いて冷間圧延までを完了し、冷間圧延後の冷延板表面にAl膜を形成し、この冷延板を高温雰囲気で熱処理することによってAlをベース素材中に拡散し、その後箔圧延を行い、この金属箔を用いてハニカム体を形成し、ハニカム体の箔と箔との接触部をろう接合する方法を採用することができる。冷間圧延までは鋼板中のAl含有量が少ないので、熱間圧延を良好に完了することができる。冷間圧延後に鋼板表面にAl膜を形成して拡散処理を行うので、金属箔中には本発明として好適なAl含有量を確保することができる。ハニカム体形成時には箔表面にAl膜が存在しないので、その後に行うろう付けで健全な接合部を形成することができる。冷延鋼板の表面にAl膜を形成する方法としては、ベース素材の表面にAlを溶融めっき、電解めっき、粉末塗布、ドライプロセス(蒸着など)などによって行うことができる。
【0040】
第3の方法おいては、Al含有量の少ないベース素材を用いて箔圧延までを完了し、ベース素材の箔表面にAl膜を形成し、さらにその外側にろう材とAlに比べて高温で反応し、ろう付け可能な金属膜、例えばFeの膜を形成する。このように多層構造とした金属箔を用いてハニカム体を形成し、その後箔と箔との接触部をろう付け接合する。Al膜の外側にFe膜を被覆させることによってAl膜を表面に露出させないので、接合部のろう材が直接Al膜と接触することがなく、ろう材とAlとの反応を抑制することが可能になる。
【0041】
【実施例】
下記に示す各実施例毎に、ステンレス鋼箔製平箔と、ステンレス鋼箔にコルゲート処理を施した波箔とを準備し、この平箔と波箔とをスパイラル状に交互に巻き回してメタルハニカム体とし、同じくステンレス鋼製外筒に挿入してメタル担体とした。メタル担体の直径は100mm、長さは110mm、波箔の波高さは1.25mm、波ピッチは2mmとした。ハニカム体形成後にろう材を塗布し、ハニカム体を高温熱処理することによって、メタルハニカム体の平箔と波箔との接触部のろう付けを行った。
【0042】
このメタル担体をウォッシュコート液中に浸漬し、次いで乾燥することによりセル内部にウォッシュコート層を形成した。このウォッシュコート層中に貴金属からなる触媒をしみ込ませてメタル触媒担体を完成した。
【0043】
メタル触媒担体の冷熱耐久性試験を行った。試作した触媒担体を排気量3000ccのガソリンエンジンのエキゾーストマニホールド直下に装着し、エンジン試験は5000rpmフルスロットル5分、エンジン停止・冷却10分の冷熱工程を1200回繰り返すエンジンベンチテストを行って、50〜100回毎に触媒担体を点検し、ハニカム体のずれや異常酸化の有無を評価することによって行った。
【0044】
(実施例1)
金属箔の箔厚は20μm、ハニカム構造体における金属箔の成分、熱膨張率α、耐力σ、(1)式の右辺の値は表1に示すとおりである。
【0045】
まずAl含有量が5%以下の各種Fe−Cr−Al成分系合金を溶製、その後、熱延・冷延によってベース素材となる厚み0.4mm冷延鋼板を製造した。660℃の温度に溶融させた90質量%Al−10質量%Siめっき浴中へ上記鋼板を通板させて、表面にAl−Si合金を付着させた。ここでワイピング流量を変えてめっき厚みを調整し、ベース素材中のAl含有量と熱拡散後の目標Al量の差に基づくめっき厚みにした。Alの鋼中への拡散は真空中における熱処理で実施し、その後に冷間圧延を行って厚み20μmの箔素材を得た。得られた箔素材の一部から高温引張試験片(13号B)と熱膨張係数測定試験片を切り出し、900℃における0.2%耐力、および20℃から1000℃へ昇温させる際の熱膨張係数を求めた。ここで、引張試験における歪み速度は0.3%/min一定であり、また、熱膨張係数測定の昇温速度は10℃/min一定であった。
【0046】
なお、本発明例No.1〜6、および、比較例No.7、9の箔素材については上記の溶融めっきを用いた方法で製造し、比較例No.8の箔素材についてはFe−Cr−Al成分系合金を溶製、熱延・冷延によって箔素材を製造した。
【0047】
上記の箔素材にコルゲート加工を施した波箔と平箔を組み合わせて部分的にろう付け接合を施してハニカム構造体を作製した。このときのろう付け部の1cm当りの接合強度はいずれも100N以上であり、ろう付けが良好であることを確認できた。
【0048】
【表1】
Figure 0004198448
【0049】
冷熱耐久試験結果を表1に示す。
【0050】
本発明例No.1〜6については、熱膨張率α、耐力σがいずれも本発明範囲内にあり、冷熱耐久試験結果は良好であった。
【0051】
比較例No.7は、耐力が(1)式を満足せず、冷熱耐久試験1100回でハニカム体にずれが生じた。耐力が(1)式を満足しなかったのは、箔素材の成分系のうちCr含有量が12%と低かったためである。
【0052】
比較例No.8は、熱膨張係数が本発明範囲の下限未満であり、冷熱耐久試験50回で異常酸化が起こった。熱膨張係数が低かった原因、及び異常酸化が起こった原因は、いずれも金属箔中のAl含有量が2%と低かったためである。
【0053】
比較例No.9は、熱膨張係数が本発明範囲の上限を超えており、熱応力が大きすぎるために1000回でハニカム体のずれが生じた。熱膨張率が高かった原因はAl含有量が12.6%と高かったためである。
【0054】
(実施例2)
金属箔の箔厚は30μm、ハニカム構造体における金属箔の成分、熱膨張率α、耐力σ、(1)式の右辺の値は表2に示すとおりである。
【0055】
実施例1と同様の製造方法で厚み30μmの箔素材を製造し、この箔素材を用いてハニカム構造体を製造した。このときのハニカム体のろう付け部の1cm当りの接合強度はいずれも150N以上であり、ろう付けが良好であることを確認できた。
【0056】
【表2】
Figure 0004198448
冷熱耐久試験結果を表2に示す。
【0057】
本発明例No.1〜4については、熱膨張率α、耐力σがいずれも本発明範囲内にあり、冷熱耐久試験結果は良好であった。
【0058】
比較例No.5は、熱膨張係数が本発明範囲の下限未満であり、冷熱耐久試験300回で異常酸化が起こった。熱膨張係数が低かった原因、及び異常酸化が起こった原因は、いずれも金属箔中のAl含有量が2.3%と低かったためである。
【0059】
比較例No.6は、熱膨張係数が本発明範囲の上限を超えており、熱応力が大きすぎるために4000回でハニカム体のずれが生じた。熱膨張率が高かった原因はAl含有量が13.0%と高かったためである。
【0060】
【発明の効果】
本発明は、金属箔が具備すべき耐力の条件を、金属箔の箔厚と熱膨張係数との関係において特定し、さらに熱膨張率の好適範囲を特定することにより、温度が1000℃を超えるような過酷な条件下で使用できる優れた高温耐久性を有する金属箔、およびハニカム構造体を製造することが可能になる。

Claims (3)

  1. Fe−Cr−Al系ステンレス鋼箔からなる金属箔であって、
    該Fe−Cr−Al系ステンレス鋼箔は、箔厚みtが10μm以上40μm以下、20℃から1000℃までの熱膨張係数αが15μm/m/℃以上23μm/m/℃以下、900℃で測定した0.2%耐力σ(N/mm2)と箔厚みt(μm)と熱膨張係数α(μm/m/℃)の関係が下記(1)式を満足し
    且つ、成分が質量% で、Si:0.1%以上1.0%以下、Al:6%以上10%以下、Cr:15%以上25%以下、Ti:0.02%以上0.1%以下とNb:0.02%以上0.3%以下の一方又は両方、La:0.01%以上0.1%以下、Ce:0.01%以上0.1%以下、残部Fe及び不可避不純物からなることを特徴とする金属箔。
    σ ≧ (−9.0875×α2+4.2913×102×α−3.82415×103)/t ( 1 )
  2. 請求項1に記載の金属箔を用いてなることを特徴とする触媒担体用のハニカム構造体。
  3. 請求項2に記載の触媒担体用のハニカム構造体で構成したことを特徴とする排気ガス浄化用のメタル触媒担体。
JP2002336053A 2002-11-20 2002-11-20 金属箔及び触媒担体用のハニカム構造体並びに排気ガス浄化用のメタル触媒担体 Expired - Fee Related JP4198448B2 (ja)

Priority Applications (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002336053A JP4198448B2 (ja) 2002-11-20 2002-11-20 金属箔及び触媒担体用のハニカム構造体並びに排気ガス浄化用のメタル触媒担体
PCT/JP2003/014832 WO2004046406A1 (ja) 2002-11-20 2003-11-20 高Al含有ステンレス鋼板及び複層板、およびそれらの製造方法並びに、それらを用いてなるハニカム体及びその製造方法
EP03774096.6A EP1580288B1 (en) 2002-11-20 2003-11-20 High al stainless steel sheet, honeycomb bodies employing the steel sheet and use of the steel sheet for a honeycomb body
US10/535,602 US7601672B2 (en) 2002-11-20 2003-11-20 High Al stainless steel sheet and honeycomb bodies employing them
EP09150743A EP2048258A1 (en) 2002-11-20 2003-11-20 Honeycomb bodies employing high Al stainless steel sheet and process for production thereof

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002336053A JP4198448B2 (ja) 2002-11-20 2002-11-20 金属箔及び触媒担体用のハニカム構造体並びに排気ガス浄化用のメタル触媒担体

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004169114A JP2004169114A (ja) 2004-06-17
JP4198448B2 true JP4198448B2 (ja) 2008-12-17

Family

ID=32700001

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002336053A Expired - Fee Related JP4198448B2 (ja) 2002-11-20 2002-11-20 金属箔及び触媒担体用のハニカム構造体並びに排気ガス浄化用のメタル触媒担体

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4198448B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5062985B2 (ja) 2004-10-21 2012-10-31 新日鉄マテリアルズ株式会社 加工性に優れた高Al含有鋼板及びその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2004169114A (ja) 2004-06-17

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1580288B1 (en) High al stainless steel sheet, honeycomb bodies employing the steel sheet and use of the steel sheet for a honeycomb body
EP0243702A1 (en) Method for producing a base of a catalyst carrier for automobile exhaust gas-purification
WO2013114833A1 (ja) フェライト系ステンレス箔
JP5019753B2 (ja) 排気ガス浄化用触媒コンバータ
JP4198446B2 (ja) ステンレス鋼板及びそれを用いてなるハニカム構造体
JP3953944B2 (ja) 金属箔及びハニカム構造体
JP4198448B2 (ja) 金属箔及び触媒担体用のハニカム構造体並びに排気ガス浄化用のメタル触媒担体
JP3816974B2 (ja) 強固な接合強度を有する拡散接合された触媒用メタル担体およびその製造方法
JPH0334980B2 (ja)
EP3360612B1 (en) Base for supporting catalyst and catalyst support
JP3238561B2 (ja) 触媒用メタルハニカム
JPH07100390A (ja) 排ガス浄化触媒用メタル担体
US20040247494A1 (en) In-situ diffusion alloying and pre-oxidation annealing in air of FeCrAI alloy catalytic converter material
JP3333288B2 (ja) メタル担体
JP2523701B2 (ja) 自動車排ガス浄化装置用ハニカム基体の製造方法
US6589670B2 (en) Composite of metal foils with a soldering material
JPH0226643A (ja) 触媒担体
JP4364710B2 (ja) Fe−Cr−Al系金属箔及びその製造方法
JP2007014831A (ja) 優れた高温耐酸化性を有する排気ガス浄化用触媒コンバータ
JP4198447B2 (ja) 箔及びハニカム構造体
JPH09279311A (ja) 拡散接合性に優れた耐熱・耐酸化性Fe−Cr−Al系合金
JPH09279310A (ja) 拡散接合性の優れたステンレス箔およびそれを用いたメタル担体
JP4963034B2 (ja) 耐冷熱耐久性に優れた触媒担持用メタル基材
JPH0838912A (ja) メタル担体の製造方法
JPH02180644A (ja) 触媒及びその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20040902

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A712

Effective date: 20061019

RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20070124

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080507

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080701

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20080701

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080930

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20081001

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20111010

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4198448

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20121010

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131010

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313111

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees