JP2004175969A - 変性エチレン系重合体 - Google Patents

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Abstract

【目的】エチレン系重合体を、エチレン性不飽和化合物及びラジカル発生剤の存在下にグラフト反応条件に付して得られた変性エチレン系重合体であって、フィッシュアイの発生が抑制された変性エチレン系重合体を提供する。
【構成】エチレン系重合体を、エチレン性不飽和化合物及びラジカル発生剤の存在下に、ラジカル発生剤に対して分解型の熱可塑性重合体をエチレン系重合体との合計量に対して3〜50重量%となる量で加えてグラフト反応条件に付して得られたものである変性エチレン系重合体。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、エチレン性不飽和化合物で変性された変性エチレン系重合体に関し、更に詳しくは、エチレン系重合体を、エチレン性不飽和化合物及びラジカル発生剤の存在下にグラフト反応条件に付して得られた変性エチレン系重合体であって、フィッシュアイの発生が抑制された変性エチレン系重合体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、エチレン系重合体やプロピレン系重合体等のオレフィン系重合体は、その優れた成形加工性、機械的特性、水蒸気バリア性、耐薬品性、熱封着性等を生かして各種の包装・容器用資材等として多用されているが、酸素ガスや炭酸ガス等のガスバリア性や、フレーバー性や保香性等の内容物保護性等が劣り、又、印刷性や塗装性等にも劣るという欠点がある。
【0003】
そして、オレフィン系重合体におけるこれらの欠点を改良する方法として、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂等の各種熱可塑性樹脂や、アルミニウム等の金属箔等を被着材とした積層体の形態が採られており、その際、オレフィン系重合体がこれらの被着材との接着性に劣ることから、オレフィン系重合体は、不飽和カルボン酸若しくはその無水物等のエチレン性不飽和化合物を付加し変性した変性オレフィン系重合体として用いられている。
【0004】
又、オレフィン系重合体の有する前記特性と他の熱可塑性樹脂の有する特性とを併せ活かすべく、両者を混合して用いることもしばしば行われ、その際、オレフィン系重合体に他の熱可塑性樹脂との相溶性を付与するために、オレフィン系重合体は、例えばスチレン等のエチレン性不飽和化合物を付加し変性した変性オレフィン系重合体として用いられている。
【0005】
それら変性オレフィン系重合体の製造方法としては、オレフィン系重合体を溶融状態、溶液状態、或いは水性懸濁状態として、エチレン性不飽和化合物と共に、ラジカル発生剤の存在下にグラフト反応条件に付すことにより製造する方法が知られているが、いずれの方法によって得られる変性オレフィン系重合体も、エチレン性不飽和化合物の付加量が低く、一方、エチレン性不飽和化合物の使用量やラジカル発生剤の使用量を多くすることにより、付加量はある程度上げ得るものの、オレフィン系重合体のゲル化等に起因するフィッシュアイが多量に発生することとなり、更に、フィルター等で濾過することによりフィッシュアイを低減化する方法も知られてはいるが、フィルターが目詰まりする等により生産性を低下させる等の問題を伴うものであった。
【0006】
このフィッシュアイの発生は、例えば、フィルム成形時、特に延伸フィルム成形時にフィルムの破断を引き起こすとか、フィルム、シート、各種容器等の製品としての表面外観を損なうとか、印刷インクが飛んで均一な印刷面が得られない等の問題に繋がることとなり、このフィッシュアイの発生の問題は、特に、オレフィン系重合体を溶融状態として、溶剤等を用いずに押出機等で混練することにより変性を簡便に実施することができる前記溶融混練法において、又、特に、オレフィン系重合体の中で、ラジカル発生剤に対して分解型であって平均分子量の低下を伴うプロピレン系重合体より、架橋型であって平均分子量の上昇を伴うエチレン系重合体において、顕著であった。
【0007】
一方、接着力と表面外観等に優れた変性オレフィン系重合体を製造する方法として、前記溶融混練法において、例えば、無水マレイン酸等の官能性モノマー及びラジカル発生剤を含む溶融状態のオレフィン系重合体に抗酸化剤を添加する方法(例えば、特許文献1参照。)、溶融状態のオレフィン系重合体に、溶剤に溶解させた不飽和カルボン酸及びラジカル発生剤の溶液を供給する方法(例えば、特許文献2参照。)等も提案されているが、本発明者等の検討によると、いずれの方法も、ある程度の改良は認められるものの、変性量とフィッシュアイの発生において更に改良の余地を残すものであった。
【0008】
【特許文献1】
特開平7−216032号公報。
【特許文献2】
特開平9−202846号公報。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前述の従来技術に鑑みてなされたもので、従って、本発明は、エチレン系重合体を、エチレン性不飽和化合物及びラジカル発生剤の存在下にグラフト反応条件に付して得られた変性エチレン系重合体であって、フィッシュアイの発生が抑制された変性エチレン系重合体を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、前記課題を解決すべく鋭意検討した結果、エチレン系重合体にプロピレン系重合体等の分解型熱可塑性重合体を加えて変性することにより、前記目的を達成できることを見出し本発明に到達したもので、即ち、本発明は、エチレン系重合体を、エチレン性不飽和化合物及びラジカル発生剤の存在下に、ラジカル発生剤に対して分解型の熱可塑性重合体をエチレン系重合体との合計量に対して3〜50重量%となる量で加えてグラフト反応条件に付して得られたものである変性エチレン系重合体、を要旨とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の変性エチレン系重合体におけるエチレン系重合体としては、例えば、エチレンの単独重合体、エチレンと、プロピレン、1−ブテン、3−メチル−1−ブテン、1−ペンテン、4−メチル−1−ペンテン、4,4−ジメチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、4−メチル−1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−デセン、1−オクタデセン等の炭素数3〜20程度の他のα−オレフィンや、酢酸ビニル、(メタ)アクリル酸〔尚、ここで、「(メタ)アクリル」とは、「アクリル」又は/及び「メタクリル」を意味するものとする。〕、(メタ)アクリル酸エステル等との共重合体等が挙げられ、具体的には、例えば、分岐状低密度ポリエチレン、直鎖状高密度ポリエチレン等のエチレン単独重合体、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、エチレン−プロピレン−1−ブテン共重合体、エチレン−4−メチル−1−ペンテン共重合体、エチレン−1−ヘキセン共重合体、エチレン−1−ヘプテン共重合体、エチレン−1−オクテン共重合体等の直鎖状低・中・高密度エチレン−α−オレフィン共重合体、及び、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸メチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エチル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系樹脂、並びに、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−1−ブテン共重合体、それら共重合体に、1,4−ヘキサジエン、ジシクロペンタジエン、5−エチリデン−2−ノルボルネン等の非共役ジエンを更に共重合させた、エチレン−プロピレン−非共役ジエン共重合体、エチレン−1−ブテン−非共役ジエン共重合体等のエチレン系ゴム等が挙げられる。中で、本発明においては、分岐状低密度エチレン単独重合体、及び直鎖状低密度エチレン−α−オレフィン共重合体等が好ましい。
【0012】
又、本発明におけるエチレン系重合体としては、変性エチレン系重合体としての被着材に対する接着性等の面から、密度が0.850〜0.935g/cmであるのが好ましく、0.870〜0.930g/cmであるのが特に好ましい。又、変性エチレン系重合体としての成形性等の面から、JIS K7210に準拠して190℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレートが0.1〜200g/10分であるのが好ましく、0.5〜100g/10分であるのが特に好ましい。
【0013】
又、変性剤としてのエチレン性不飽和化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、テトラヒドロフタル酸等の不飽和カルボン酸、及び、その無水物、エステル、酸ハライド、アミド、イミド等の誘導体、並びに、スチレン、α−メチルスチレン、2−メチルスチレン、3−メチルスチレン、4−メチルスチレン、ジメチルスチレン、クロロスチレン等の芳香族ビニル化合物等が挙げられ、これらは2種以上が併用されてもよい。これらの中で、不飽和ジカルボン酸又はその無水物が好ましく、マレイン酸無水物が特に好ましい。
【0014】
本発明の変性エチレン系重合体は、前記エチレン系重合体を、前記エチレン性不飽和化合物及びラジカル発生剤の存在下にグラフト反応条件に付して得られたものであるが、そのラジカル発生剤としては、有機過酸化物が好ましく、具体的には、例えば、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、1,4−ビス(t−ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、n−ブチル−4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレエート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン等のジアルキルパーオキサイド類、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシピバレート、t−ブチルパーオキシラウレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシイソプロピルカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイックアシッド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3、2,5−ジメチル−2,5−ジ(トルイルパーオキシ)ヘキサン等のパーオキシエステル類、3,5,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド等のジアシルパーオキサイド類、t−ブチルヒドロパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンヒドロパーオキサイド、p−メンタンヒドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ヒドロパーオキシ)ヘキサン等のヒドロパーオキサイド類、メチルエチルケトンパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド等のケトンパーオキサイド類等が挙げられ、これらは2種以上が併用されてもよい。これらの中で、ジ−t−ブチルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド類、又は、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキシン−3等のパーオキシエステル類が特に好ましい。
【0015】
そして、本発明の変性エチレン系重合体は、前記エチレン系重合体を、前記エチレン性不飽和化合物及び前記ラジカル発生剤の存在下に、ラジカル発生剤に対して分解型の熱可塑性重合体をエチレン系重合体に加えてグラフト反応条件に付して得られたものであることを特徴とする。
【0016】
ここで、分解型熱可塑性重合体とは、ラジカル発生剤の存在下に該ラジカル発生剤の分解温度以上で溶融混練したときに平均分子量の低下を生じる重合体を言い、JIS K7210に準拠して230℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレートについて下記式(I)で示される関係を有するものであるのが好ましく、下記式(II)で示される関係を有するものであるのが特に好ましい。又、その融点は250℃以下であるものが好ましい。
【0017】
MFR/MFR>1 (I)
MFR/MFR>1.5 (II)
〔式(I)中、MFRは、重合体100重量部に対して2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.01重量部を添加して、一軸押出機にて250℃で溶融混練処理した後の重合体のメルトフローレート、MFRは、該処理前のメルトフローレートである。〕
【0018】
このような分解型熱可塑性重合体としては、具体的には、例えば、プロピレンの単独重合体、プロピレンと、エチレン、1−ブテン等の他のα−オレフィンとのランダム又はブロック共重合体等のプロピレン系重合体が好適である。
【0019】
更に、好適な分解型熱可塑性重合体として、ポリエステル系熱可塑性エラストマーが挙げられる。ポリエステル系熱可塑性エラストマーは、(1) ハードセグメントが芳香族ポリエステルブロック(a) で、ソフトセグメントが脂肪族ポリエーテルブロック(b) で構成されるポリエステルポリエーテルブロック共重合体、(2) ハードセグメントが芳香族ポリエステルブロック(a) で、ソフトセグメントが非芳香族ポリエステルブロック(C) で構成されるポリエステルポリエステルブロック共重合体等があり、中で、前記(1) のポリエステルポリエーテルブロック共重合体が好ましく、そのポリエステルブロックがポリブチレンテレフタレートからなるポリエステルポリエーテルブロック共重合体が特に好ましい。
【0020】
ここで、前記(1) のポリエステルポリエーテルブロック共重合体、及び、前記(2) のポリエステルポリエステルブロック共重合体における芳香族ポリエステルブロック(a) は、芳香族ジカルボン酸或いはそのアルキルエステル等と、脂肪族ジオール、脂環式ジオール、又は芳香族ジオールとを主成分とする重縮合体からなり、又、前記(1) のポリエステルポリエーテルブロック共重合体における脂肪族ポリエーテルブロック(b) は、平均分子量が好ましくは400〜6,000、更に好ましくは500〜4,000、特に好ましくは600〜3,000の、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンエーテルグリコール、ポリトリメチレンエーテルグリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ポリヘキサメチレンエーテルグリコール、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドのブロック又はランダム共重合体、エチレンオキサイドとテトラヒドロフランのブロック又はランダム共重合体等のポリアルキレンエーテルグリコール、好ましくはポリテトラメチレンエーテルグリコールからなるものが挙げられる。そして、この脂肪族ポリエーテルブロック(b) がブロック共重合体(1) 全体の5〜95重量%、更には10〜85重量%、特には20〜80重量%を占めるものが好ましい。
【0021】
又、前記(2) のポリエステルポリエステルブロック共重合体における非芳香族ポリエステルブロック(c) は、脂肪族ジカルボン酸又は脂環式ジカルボン酸と、脂肪族ジオール又は脂環式ジオールとを主成分とする重縮合体からなるもの、又は、ε−カプロラクトン等のラクトン、又はω−オキシカプロン酸等の脂肪族モノオールカルボン酸を主成分とする重合体からなるものが挙げられる。
【0022】
本発明におけるこれらのポリエステル系熱可塑性エラストマーは、JIS K7203に規定される曲げ弾性率が1,000MPa以下、更には600MPa以下、特には300MPa以下であるのが好ましく、又、示差走査熱量計による融解ピーク温度が100〜230℃、更には160〜220℃、特には170〜215℃であるのが好ましい。
【0023】
本発明において、前記分解型熱可塑性重合体の添加量は、前記エチレン系重合体との合計量に対して3〜50重量%とすることが必須であり、3〜30重量%とするのが好ましい。分解型熱可塑性重合体の添加量が前記範囲未満では、変性エチレン系重合体中のフィッシュアイの発生を抑制することが困難となり、一方、前記範囲超過では、変性エチレン系重合体の強度が低下することとなり、例えば被着材との接着において接着強度の低下をもたらすこととなる。
【0024】
尚、前記エチレン系重合体に前記分解型熱可塑性重合体を加え、前記エチレン性不飽和化合物及び前記ラジカル発生剤の存在下にグラフト反応条件に付すにおいて、前記エチレン性不飽和化合物及び前記ラジカル発生剤の使用量は、変性エチレン系重合体としての変性量とフィッシュアイを両立させる点から、前記エチレン性不飽和化合物としては、前記エチレン系重合体と前記分解型熱可塑性重合体との合計量100重量部に対して0.1〜10重量部とするのが好ましく、0.5〜5重量部とするのが特に好ましい。又、前記ラジカル発生剤としては、同100重量部に対して0.01〜10重量部とするのが好ましく、0.03〜1重量部とするのが特に好ましい。
【0025】
又、本発明の変性エチレン系重合体において、グラフト反応条件に付すには溶融混練法によるのが好ましく、前記エチレン系重合体、前記分解型熱可塑性重合体、前記エチレン性不飽和化合物、及び前記ラジカル発生剤を、本発明の効果を損なわない範囲で必要に応じて用いられる、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、造核剤、帯電防止剤、滑剤、ブロッキング防止剤、流動性改良剤、可塑剤、離型剤、難燃剤、着色剤、分散剤、充填材等と共に、通常、タンブラーブレンダー、リボンブレンダー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー等により均一に混合した後、一軸又は二軸押出機等の混練機で、好ましくは150〜300℃、特に好ましくは180〜260℃の温度、好ましくは0.3〜30分、特に好ましくは1〜10分の時間で、溶融混練する方法が採られる。
【0026】
本発明の変性エチレン系重合体は、通常、従来公知の方法により、被着材上にアンカーコート剤を介して又は介さずして、逐次押出ラミネート、サンドイッチ押出ラミネート、共押出ラミネートする方法、或いは、被着材樹脂と共に共押出する方法、並びに、予めフィルム状として被着材樹脂に熱圧着する方法等により積層体とされるに好適に用いられる。
【0027】
尚、その被着材としては、例えば、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル系樹脂、及びポリオレフィン系樹脂等の各種熱可塑性樹脂、アルミニウム、銅、ステンレス等の金属の箔・板、及び、紙等が挙げられる。
【0028】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。尚、各実施例及び比較例において用いた分解型熱可塑性重合体を以下に示すが、そこでの「MFR/MFR」は、以下の方法により求めた値である。
【0029】
<分解型熱可塑性重合体>
(1)プロピレン−エチレン共重合体(日本ポリケム社製「ウインテックWFX6」);MFR=2.01g/10分、MFR=5.64g/10分、MFR/MFR=2.3
(2)プロピレン−エチレン共重合体(日本ポリケム社製「ノバテックPP FG4」);MFR=6.96g/10分、MFR=17.2g/10分、MFR/MFR=2.5
(3)プロピレン単独重合体(日本ポリケム社製「ノバテックPP MA3Q」);MFR=17.3g/10分、MFR=66.4g/10分、MFR/MFR=3.8
(4)ポリブチレンテレフタレートブロックをハードセクメント(35重量%)とし、平均分子量が2,000のポリテトラメチレンエーテルグリコールブロックをソフトセグメント(65重量%)とするポリエステルポリエーテルブロック共重合体からなるポリエステル系熱可塑性エラストマー(融解ピーク温度185℃);MFR=23.5g/10分、MFR=94.1g/10分、MFR/MFR=4.0
(5)(比較例用)エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ社製「エバールEPF101A」);MFR=7.08g/10分、MFR=5.14g/10分、MFR/MFR=0.73
【0030】
<MFR/MFR
JIS K7210に準拠して、230℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレートを「MFR(g/10分)」とし、一方、重合体100重量部に対して2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.01重量部を添加し、一軸押出機(径40mm、L/D28、圧縮比3.5)により、混練温度250℃、スクリュー回転数70rpm、吐出量8kg/時間の条件で溶融混練して押出した重合体について、同上の条件で測定したメルトフローレートを「MFR(g/10分)」とし、前者値に対する後者値の比を求めた。
【0031】
実施例1〜8、比較例1〜4
エチレン系重合体として直鎖状エチレン−1−ブテン共重合体(密度0.920g/cm、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート2.0g/10分)を、分解型熱可塑性重合体として表1に示す重合体をそれぞれ用い、その合計量100重量部に対して、エチレン性不飽和化合物としてマレイン酸無水物を1.0重量部、ラジカル発生剤としてt−ブチルパーオキシベンゾエート(日本油脂社製「パーブチルD」)0.05重量部、及び、酸化防止剤として、テトラキス〔メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン(チバスペシャルティケミカルズ社製「Irganox 1010」)を表1に示す量添加し、スーパーミキサーで1分間混合した後、一軸押出機(径40mm、L/D28、圧縮比3.5)により、混練温度230℃、スクリュー回転数70rpm、吐出量8kg/時間の条件で溶融混練して押出し、冷却させた後、ペレット化することにより、変性エチレン系重合体を製造した。
【0032】
得られた各変性エチレン系重合体について、190℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート、並びに、以下に示す方法で測定した、マレイン酸無水物単位の付加量、及びフィツシュアイの量を表1に示した。
【0033】
<マレイン酸無水物単位付加量>
変性重合体ペレット試料から熱プレスにより厚み約100μmのフィルムを作製し、該フィルムを、アセトン溶媒で1時間ソックスレー抽出して未反応マレイン酸無水物を抽出し、更に、真空乾燥機で3時間減圧乾燥させた。そのフィルムにおける赤外線吸収スペクトルの1780cm−1のピークにより、マレイン酸無水物量を検量した。
【0034】
<フィツシュアイ量>
変性重合体ペレットから、成形温度200℃、ブロー比1.4の条件で、厚み30μmのフィルムを空冷インフレーション成形した後、このフィルムにおける長径が0.1mm以上のフィツシュアイの個数を目視で数え、その個数を単位重量g当たりの個数に換算した。
【0035】
更に、得られた各変性エチレン系重合体を用いて、変性重合体20重量%、直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(190℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート2.0g/10分、日本ポリケム社製「UF240」)60重量%、及びエチレン−プロピレン共重合体ゴム(230℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート0.7g/10分、ジェイエスアール社製「EP07Y」)20重量%を、一軸押出機(径65mm、L/D24、圧縮比3.5)により210℃で溶融混練して変性重合体組成物となし、該変性重合体組成物と、エチレン−ビニルアルコール共重合体(クラレ社製「エバールEPF101A」)、及び直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体(190℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレート2.0g/10分、日本ポリケム社製「SF8402」)を、それぞれ多層インフレーション成形機に供給し、成形温度210℃、ブロー比0.7、フロスト高さ300mm、成形速度30m/分の条件で水冷インフレーション成形することにより、エチレン−ビニルアルコール共重合体外層(厚み24μm)/変性重合体組成物中間層(厚み12μm)/直鎖状エチレン−α−オレフィン共重合体内層(厚み48μm)の3層積層フィルムを成形した。
【0036】
得られた各積層フィルムについて、以下に示す方法で、被着材に対する接着強度を測定し、結果を表1に示した。
<被着材に対する接着強度>
積層フィルムから幅15mm、長さ100mmの試験片を切り出し、予めエチレン−ビニルアルコール共重合体外層と変性重合体組成物中間層間を剥離し、その間の接着強度を、テンシロン引張試験機にて、JIS K6854に準拠して剥離速度300mm/分でT形剥離することにより測定した。
【0037】
又、得られた各積層フィルムについて、フィルムの外観を目視観察し、以下に示す基準で判定し、結果を表1に示した。
○;フィツシュアイは殆ど透視されない。
△;フィツシュアイが透視される。
×;かなりのフィツシュアイが透視される。
【0038】
【表1】
Figure 2004175969
【0039】
【発明の効果】
本発明によれば、エチレン系重合体を、エチレン性不飽和化合物及びラジカル発生剤の存在下にグラフト反応条件に付して得られた変性エチレン系重合体であって、フィッシュアイの発生が抑制された変性エチレン系重合体を提供することができる。

Claims (6)

  1. エチレン系重合体を、エチレン性不飽和化合物及びラジカル発生剤の存在下に、ラジカル発生剤に対して分解型の熱可塑性重合体をエチレン系重合体との合計量に対して3〜50重量%となる量で加えてグラフト反応条件に付して得られたものであることを特徴とする変性エチレン系重合体。
  2. 分解型熱可塑性重合体が、JIS K7210に準拠して230℃、荷重21.18Nで測定したメルトフローレートについて下記式(I)で示される関係を有するものである請求項1に記載の変性エチレン系重合体。
    MFR/MFR>1 (I)
    〔式(I)中、MFRは、重合体100重量部に対して2,5−ジメチル−2,5−ジ−(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン0.01重量部を添加して、一軸押出機にて250℃で溶融混練処理した後の重合体のメルトフローレート、MFRは、該処理前のメルトフローレートである。〕
  3. 分解型熱可塑性重合体が、プロピレン系重合体である請求項1又は2に記載の変性エチレン系重合体。
  4. エチレン系重合体が、密度0.850〜0.935g/cmのものである請求項1乃至3のいずれかに記載の変性エチレン系重合体。
  5. エチレン性不飽和化合物がマレイン酸無水物である請求項1乃至4のいずれかに記載の変性エチレン系重合体。
  6. エチレン性不飽和化合物の使用量が、エチレン系重合体と分解型熱可塑性重合体との合計量100重量部に対して0.1〜10重量部であり、ラジカル発生剤の使用量が、同100重量部に対して0.01〜10重量部である請求項1乃至5のいずれかに記載の変性エチレン系重合体。
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