JP2004175001A - プリント物の画像保護用熱転写型ラミネートフィルム - Google Patents

プリント物の画像保護用熱転写型ラミネートフィルム Download PDF

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Abstract

【課題】本発明の目的は傷の防止、光やガス等の環境劣化の防止といったラミネートフィルム本来の機能に併せ、プリント物との貼り合せによる画像濃度、光沢感といった画像品位の向上とラミに伴うプラテンローラへのラミネートフィルム接着剤のオフセット問題を両立させた画像保護用熱転写型ラミネートフィルムを提供することにある。
【解決手段】上記目的を達成する本発明の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムは、基材上に少なくとも表面層、接着層からなる表面保護膜を基材界面で剥離可能に順次積層した構成を有し、当該の接着層にMwが20000〜150000、Mw/Mnを4以上、好ましくは4〜25とした樹脂を主成分として含むことを特徴としている。この接着剤樹脂を用いた画像保護用熱転写型ラミネートフィルムはインクジェット、電子写真、昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式、写真、等の各種方法で形成されたプリント物に適用される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はインクジェット、電子写真、昇華型熱転写、溶融型熱転写、写真、印刷等の各種方法で形成された画像を記録した媒体表面を保護するためのプリント物の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムに関する。より詳細には基材上に少なくとも表面層、接着層からなる表面保護膜を基材界面から剥離可能に順次積層したプリント物の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムに関する。更には画像保護用熱転写型ラミネートフィルムを用いた表面保護膜で被覆したプリント物の作成方法及び表面保護膜で被覆したプリント物に関わる。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット、電子写真、昇華型熱転写、溶融型熱転写、写真、印刷等の各種方法で形成されたプリント物表面の汚れや傷を防止したり、光や環境ガスによる画像の劣化を防止する目的でプリント物の画像保護用熱定着ラミネートフィルムが用いられている。
【0003】
このようなラミネートフィルムとしては、従来から透明なプラスチックフィルムの上に接着層を設けてプリント物の画像表面に熱定着できるようにした画像保護用非転写型熱定着ラミネートフィルムが用いられている。これとは別タイプのラミネートフィルムとしてフィルムの厚さに起因する画像の質感低下を改良する狙いで基材上に表面層、接着層からなる極薄い表面保護膜を基材界面から剥離可能に順次積層した画像保護用熱転写型ラミネートフィルムが提案されている(特開昭62−130873、特開平11−170422、特開平09−315097)。
【0004】
画像保護用熱定着ラミネートフィルムと画像を記録した媒体を貼り合わせて画像の物理的、化学的劣化防止と同時に光沢感を高めたり、画像濃度の向上をはかるには接着層が画像を記録した媒体表面と良く密着し且つ気泡が入り込まないようにすることが必要である。その為に貼り合せ時には熱と圧力をかけることが有効である。このプロセス条件に対し支配的な影響力を持つのは画像保護用熱転写型ラミネートフィルムの接着層材料である。
【0005】
従来の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムの接着層には各種接着剤樹脂が提案されている。接着層材料として分子量の小さな樹脂を用いた熱転写型ラミネートフィルムをマットコート受像層を有するインクジェット紙のように表面に微細な凹凸のあるプリント物に適用してもラミ後は表面の光散乱が抑制され画像濃度が向上しやすくなる。ところが接着剤樹脂は分子量が小さいと熱定着ローラに対向したプラテンローラにオフセットしやすくローラ表面に凹凸の発生を招く。そのような状況になると熱転写時の圧力が不均一となり保護皮膜とプリント物表面間に気泡が入る等の転写不良が発生する。又、分子量を大きくするとラミ後の画像濃度の向上が無くなったり、定着速度が低下するといった問題を抱えていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来画像保護用熱転写型ラミネートフィルムの商業的な利用に際してはラミによる画質の向上とラミに伴うプラテンロールへのラミネートフィルム接着剤のオフセット問題を両立させることが特に重要な課題であった。
【0007】
本発明の目的は傷の防止、光やガス等の環境劣化の防止といったラミネートフィルム本来の機能に併せ、プリント物との貼り合せによる画像濃度、光沢感といった画像品位の向上とラミに伴うプラテンローラへのラミネートフィルム接着剤のオフセット問題を両立させた画像保護用熱転写型ラミネートフィルムを提供することにある。
【0008】
更に本願の目的は画像保護用熱転写型ラミネートフィルムを用いた表面保護膜被覆プリント物を作成する方法とその方法による表面保護膜被覆プリント物を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムは、基材上に少なくとも表面層、接着層からなる表面保護膜を基材界面から剥離可能に順次積層した構成を有し、当該の接着層にMwが20000〜150000、Mw/Mnを4以上、好ましくは4〜25とした樹脂を主成分として含むことを特徴としている。
【0010】
この接着剤樹脂を用いた画像保護用熱転写型ラミネートフィルムの接着層とインクジェット、電子写真、昇華型熱転写、溶融型熱転写、写真、印刷等の各種方法で形成されたプリント物の画像記録面とを熱圧着して貼り合わすことによりプリント物の受ける物理的な傷の防止、光やガス等による環境劣化の防止を図ることができる。又、画像濃度や光沢度といった画像品位の向上に著しい効果を示すと同時に、ラミネートフィルムとプリント物との貼り合せ時に発生するプラテンローラへのラミネートフィルム接着剤のオフセット問題を両立させることが可能となった。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムについて具体的に説明する。
【0012】
本発明のラミネートフィルムは少なくとも基材1の上に表面保護膜を構成する表面層2、接着層3を順次積層したものでありその構成を図1に示す。
【0013】
ラミネートフィルムをプリント物と貼り合せる際には熱及び圧力をかける必要があり基材1は耐熱性のフィルムを用いることが望ましい。基材1の素材としてはポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートコポリマー、ポリブチレンフタレート等のポリエステル、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド゛樹脂、トリアセテートセルロース、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン・塩化ビニル共重合樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルスルフォン等の材料からなるフィルムやシートなどを用いることができる。その厚みについては特に制限を受けるものではないが、強度と耐熱性が適当になるように材料に応じて適宜選択することができる。通常は1μから100μ程度のものが選択される。
【0014】
基材1をベースフィルムとしてそのまま用い画像保護用熱転写型ラミネートフィルムとした場合、一般にはフィルムが平滑面を有しているのでその後プリント物と貼り合せて表面保護膜で被覆すると光沢感のある風合いが得られる。一方基材1に表面層を形成する前に、エンボス加工やサンドブラスト加工のような物理的な手法による粗面化処理したり顔料を分散した樹脂層塗工による凹凸面形成等の手段でフィルム表面を粗面化することができる。基材1表面の粗面化処理の程度をコントロールすることにより表面保護膜で被覆されたプリント物の風合いをマット調のものやセミマット調とする事ができる。
【0015】
表面層2は画像保護用熱転写型ラミネートフィルムの表面保護膜の一部を構成しプリント物の画像面と貼り合せた後の表層を形成する層である。この層に用いられる樹脂には透明性、硬度、耐擦過性、耐薬品性などの性質が求められる。表面層2にはアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂あるいはそれらの共重合体樹脂等が用いられる。
【0016】
本発明に用いられるアクリル系樹脂としては(メタ)アクリル酸エステル単独あるいはこれに共重合可能な他のモノマー成分が用いられる。
【0017】
(メタ)アクリル酸エステルの具体的な例としては(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。
【0018】
これらの(メタ)アクリル酸エステルは単独、あるいは組あわせて用いることができる。
【0019】
これらの(メタ)アクリル酸エステルと更に共重合可能なモノマーとしては(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルブチル等の水酸基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基を有するモノマー;(メタ)アクリル酸グリシヂル、アリルグリシヂルエーテル等のグリシジル基を有するモノマー;(メタ)アクリロニトリル基を有するモノマー;スチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸バンジル等の芳香環を有するモノマー;(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有するモノマー;N−アルコキシ基を有するモノマーやN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル基を有するモノマー;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミド等の、N−アルキロール基を有するモノマー;ビニルクロライド、ビニルブロマイド、アリルクロライド、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロメチルスチレン、弗化ビニル等のハロゲン原子が結合した基を有するモノマー;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン系モノマーなどを挙げることができる。以上示した反応性の基を利用して部分架橋することも可能である。
【0020】
本発明に用いられる樹脂は溶剤型あるいはエマルジョン型のいずれでもよく一般的に良く知られた公知の技術により合成できるものであり、勿論市販の樹脂を使うことも可能である。
【0021】
表面層2には更に必要に応じて、レベリング剤、消泡剤、UV吸収剤、光安定剤、蛍光増白剤、離型剤等の添加物を加えても良い。耐光性を向上させる目的に対しては特に適当量の紫外線吸収剤を含ませることによって達成することができる。紫外線吸収剤としては以下に示すような化合物を用いることができる。
【0022】
1)2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系化合物
2)2−ヒドロキシベンゾフェノン系化合物
3)2.4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシフェニル]−s−トリアジント系化合物
4)サリシレート系化合物
5)アノアクリレート系化合物
また上記基本骨格のベンゼン環水素はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基等の置換基により置換されていても良い。このような低分子の紫外線吸収材料はそれを含む層からのブリードにより耐光性が劣化したり、高分子皮膜の強度がもろくなったりする場合があるので、紫外線吸収基を含む高分子材料として用いることがより望ましい。
【0023】
高分子化するためには、上記紫外線吸収性の基本骨格中のベンゼン核に反応性の基を導入する必要がある。その代表的なものとしては
Figure 2004175001
で示されるような基を導入した反応性のモノマーを単独で重合するかあるいは本明細書の表面層2の樹脂中で述べたような共重合体に利用可能な他のモノマーとの共重合体を用いることができる。なお、(1)式中のXは炭素数1〜12のアルキレン基又はオキシアルキレン基、又は−CHC(OH)CH−等の2価の基を示す。
【0024】
このような紫外線吸収基を持つ樹脂については特開平6−73368、特開平7−126536、特開平9−118720、特開平11−348199、特開2000−44901等に開示されているが、とりわけベンゾトリアゾール系の材料がより長波長の紫外線領域に吸収を持ち耐光性に優れた効果をもつ。
【0025】
このような紫外線吸収材料の利用に際しては溶剤型、ないしはエマルジョン型のいずれであっても差し支えはなく、表面層2の塗布方式に応じて適宜選択される。
【0026】
耐光性を良くする別の手段としては光安定剤の添加がある。代表的な材料としてはヒンダードアミン系の低分子材料ないしは高分子材料がある。高分子型の材料としては、例えば特開平11−348199に開示されているようなピペリジン系の反応性光安定剤を単独重合するか、あるいは反応性の紫外線吸収剤、他の共重合可能なモノマーと共重合して用いることもできる。
【0027】
表面層に耐擦過性を付与するのにワックスを用い手も良い。用いられるワックスには各種低分子ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、マイクロクリスタリンワックス、カルナウバワックス、セラックワックス、キャンデリラワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、木ロウ、ミツロウ、鯨ロウ、イボタロウ、羊毛ワックス、ペトロラクタム、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド等がある。
【0028】
表面層2の樹脂100重量部に対するワックスの添加量は耐擦過性と皮膜の透明性を考慮して、およそ10重量部以下の範囲で適宜選択することが望ましい。
【0029】
表面層2には樹脂100重量部に対し、実質的に透明な無機ないしは有機の微粒子を10重量部以下の量を適宜含有させて画像保護用熱転写型ラミネートフィルムの転写時における表面保護膜4の膜切れを向上させることができる。更に表面層2の耐擦過性の向上や表面光沢を抑制するのにも役立つ。添加量が多くなりすぎると透明性の欠如や表面層2の強度低下を引き起こす。表面層2に添加する微粒子の具体例としてはナイロンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー等の樹脂の微粒子、シリカ等の無機微粒子があげられる。
【0030】
表面層2の塗工方法としてはグラビアコート、ブレードコート、ロールコート、エアーナイフコート、バーコート、ロッドブレードコート、カーテンコート等の各種方法を適宜用いることが出きる。
【0031】
表面層2の膜厚は転写時における表面保護膜4の膜切れの観点からすればできるだけ薄い方が好ましく、一方薄すぎると表面層2の強度が乏しくなるので膜厚は0.5〜20μ、好ましくは1〜10μの範囲で用いられる。
【0032】
以上のように形成された表面層2の上に更に接着層3を形成することで表面保護膜4全体が完成する。接着層に用いられる樹脂としては熱圧着時に溶融し、貼り合わせるプリント物の画像面になじむ樹脂であることが要求される。
【0033】
この接着層3に用いられる樹脂としてはアクリル系樹脂、酢ビ樹脂、塩ビ樹脂、エチレンン/酢ビ共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等が挙げられる。樹脂は水系、有機溶剤系のいずれでも良い。各種接着剤樹脂の中ではプリント物の画像面へのなじみや塗膜の透明性からアクリル系樹脂接着剤が特に好ましい。
【0034】
アクリル系接着剤に用いられるアクリルモノマーとしてはメチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ノニルアクリレートト等のアルキルエステルモノマー、また2−エトキシアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレート等のアルコキシアルキルアクリレートなどが用いられる。
【0035】
接着層の接着力、凝集力、ガラス転移点(Tg)等を調整する為にメタクリレート系モノマー、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等を共重合成分として適宜用いることができる。
【0036】
分子量と分子量分布を制御する手段としては重合開始剤、連鎖移動材、重合溶媒、重合系のモノマー濃度、温度条件等公知公用の溶液重合、乳化重合等の手段を用いることができる。又、市販の樹脂から適当な材料を選択して使うことも可能である。
【0037】
接着剤3用樹脂の分子量は大きくなりすぎると画像保護用熱転写型ラミネートフィルムとプリント物を貼り合わせる際の接着剤樹脂の溶融粘度が高くなりすぎる為に定着温度を高くしたり、定着速度を低く設定せざるを得ないといった弊害をもたらす。又熱転写時における表面保護膜4の膜切れが悪くなったり、画像濃度が低く光沢感が乏しいといった問題も発生する。一方、接着剤樹脂の分子量を低くしすぎると接着層の被膜強度が弱くなり、熱定着ロ−ラと対向したプラテンローラヘの接着剤樹脂のオフセットをひきおこし、この接着剤のオフセットによりローラ表面の凹凸が熱転写時の圧力の不均一を招き表面保護膜4とプリント物間に気泡を生じたり、極端な場合表面保護膜が部分的に転写しないといった弊害をもたらす。
【0038】
本発明者等はこうした問題の解決に鋭意注力した結果、熱転写型ラミネートフィルムの接着層3にMwを20,000〜150,000、Mw/Mnを4以上とした樹脂を主成分として含むことが接着力に優れ、表面保護膜4の熱転写時の膜切れ性がよく、高速定着性に優れ且つラミ後の画像濃度の向上とプラテンローラへの接着剤のオフセットによる弊害の無い画像保護用熱転写型ラミネートフィルムを提供するうえで極めて有用な手段となることを見出した。接着剤樹脂の分子量を大きくした場合の問題をMw/Mnを大きくすることにより、特にラミ後の画像濃度の向上と接着剤樹脂のプラテンローラへのオフセット問題解決の両立を図ったものである。Mw/Mnのおおきい樹脂で安定的に作りやすい領域は25付近までであり、Mw/Mnの好ましい領域は4〜25である。
【0039】
本発明の分子量はGPC法によりテトラヒドロフラン溶媒を用いた樹脂溶液を展開する方法によって測定される。接着層3用の樹脂に溶剤不溶の樹脂が混在すると接着層3全体の樹脂の溶融粘度が高くなるので溶剤不溶樹脂は全接着剤樹脂の30重量%を超えない範囲が望ましい。
【0040】
接着層3には表面層2の場合同様に、必要に応じて消泡剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、光安定剤、蛍光増白剤、離型剤、透明性微粒子粉体等を添加しても良い。又使われる材料は表面層2に使われたものと同様のものを選択することができる。接着層3の塗工方法は表面保護層の場合とまったく同様である。
【0041】
接着層3の膜厚は0.1μから25μが適しており、特に好ましい範囲は0.5μから15μである。塗膜が薄過ぎると接着力が不足したり、画像を記録した媒体表面の凹凸をカバーするのに支障をきたす。塗膜が厚すぎると画像のシャープさの低下や熱転写時に表面保護膜4の膜切れ性低下等の支障をきたす。
【0042】
なお本発明の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムは必要に応じて図2に示したように紙やフィルムに離型剤を塗布した剥離材5を接着層の上に設けた構成とし、画像保護用熱転写型ラミネートフィルムの適用されるプリント物と貼り合せる際に離型材5を剥離して使用することができる。
【0043】
また、図3に示したように基材1の背面に背面層6を設けた構成とすることもできる。
【0044】
背面層6は熱転写時に基材1に当接される熱定着ローラ、サーマルヘッドとフィルムとの摺動性を良くしたり、熱融着を防止したり、基材1と接着層3のブロッキングを防止する目的で設けられる。
【0045】
この背面層に用いられる樹脂としてはセルロース系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、アクリル系樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂等が単独ないしは混合して用いられる。背面層の耐熱性をより高める為に、使用する樹脂の反応性基を利用して架橋する方法も有効な手段となる。
【0046】
更に走行性やブロッキング防止の観点から離型剤、または滑剤を添加しても良い。そのような材料としては各種ワックス類、各種界面活性剤、高級脂肪族アルコール、有機カルボン酸とその誘導体、フッ素系樹脂、シリコンオイル、シリコーン系樹脂、有機、無機の微粒子等を用いることができる。背面層の膜厚は0.1〜10μ程度、好ましくは0.5〜5μ程度として用いられる。
【0047】
本発明に用いられる熱転写型ラミネートフィルムを構成する各層の膜厚は前記した範囲で示されるが、サーマルヘッドによる熱転写系に適用する場合には熱効率を考えてサーマルヘッドによる熱転写系に適用する場合には熱効率を考えてベースフィルムは2〜7μ、表面層は0.5〜5μ、接着層は0.5〜5μ、背面層は0.5〜5μ程度と各層の膜厚を総じて薄めに設定して用いるのが特に好ましい。
【0048】
本発明の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムの適用される対象としてはインクジェット、電子写真、昇華型熱転写方式、溶融型熱転写方式、写真、印刷等の各種方法で記録したプリント物があり、媒体としては紙、フィルム、プラスチック板、金属板、金属箔、木板等が利用できる。本発明のラミネートフィルムの応用領域に関しては媒体への記録方法や媒体の素材、形状にこだわるものではない。
【0049】
本発明の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムはマットコート紙のように表面に凹凸のあるインクジェット受像紙を用いたプリント画像等に適用されるとラミ後の画像濃度の向上に特に有効であるが、光沢紙に用いた場合も画像濃度の向上幅は小さくなるものの一層の光沢感を保持し、プラテンローラヘの接着剤樹脂のオフセットの弊害も無く使用できる利点を有する。
【0050】
本発明の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムをプリント物の画像面と貼り合せるに際しては、プリント物に皺が入らない様に熱及び圧力をかけて貼り合せる。
【0051】
一例として図4にロール状ラミネートフィルムを用いたラミネート機の側面図を示す。7は表面層、接着層からなる表面保護膜を内側に巻いた表面保護膜形成用ラミネートフィルムの巻き出しロールであり、8は巻き出されたラミネートフィルム、9は加熱ローラ、10はプラテンローラ(加圧ローラで加熱/非加熱のローラとすることができる)、11はプリント物の送りだしガイド、12,13はテンションローラ、14はプリント物、15は表面保護膜で被覆されたプリント物を示す。巻き出しロール7からのラミネートフィルム8とプリント物14を重ね合わせた後、ローラ対9,10を通す。この際に画像保護用熱転写型ラミネートフィルムの接着層材料が溶融しプリント物の画像面に密着する。ラミネート機から排出されたラミネートされたプリント物の周囲を必要に応じ裁断し、その表面からラミネートフィルムの基材1を剥離することにより表面保護膜4で被覆したプリント物が形成される。
【0052】
ラミネート機の別の構成例を図5に示した。図5において16は接着層を外側に巻かれたラミネートフィルムの巻きだしロールでバックテンションをフィルム17に与えている。18は加熱ローラでその軸上に当該ローラの回転量を検知するロータリーエンコーダ(図示せず)を持つ。19はフィルム17を加熱ローラに押し付けるプラテンローラでこのローラは加熱/非加熱のいずれであっても良い。ローラ対18,19でプリント物とラミネートフィルムが熱圧着される。20a、20bは後端剥離機構の固定ガイドで軸中心に回転可能に構成されている。20cは同じく後端剥離機構の可動剥離軸でラミネートフィルム17に熱圧着されたプリント物の後端を急速に押し出すことでラミネートフィルム17から表面保護膜4を剥離する。21は先端剥離機構のガイドで、ここをラミネートフィルム17に接着層3を介して熱圧着されたプリント物が通過することにより、プリント物との剛性の違いにより表面保護膜4を剥離する。22はラミネートフィルム17の巻き取りロールで巻き取り方向のテンションを与えている。23はプリント物のガイド、24は第一のプリント物通過センサ、25は第二のプリント物通過センサである。
【0053】
プリント物がガイド23に挿入され第一のプリント物通過センサがプリント物の「あり」信号を発生すると加熱ローラ18にプラテンローラ19が圧接すると共に加熱ローラ18が回転し始める。プリント物の画像面がローラ対18,19によりラミネートフィルム17の接着層3に接着する。
【0054】
プリント物は先端剥離機構を通過した際に急速に折り曲げられたパスにおいて、剛性の高いプリント物と接着した表面保護層4が残りのラミネートフィルムと同じパスを通過できずに剥離される。この先端剥離に続いてプリント物の側面の表面保護膜4が切断されるのでプリント物のサイズに合わせて表面保護膜4が膜切れして転写が進行する。
【0055】
次に第二のプリント物通過センサ25がプリント物の「あり」から「なし」への変化を検知した時の加熱ローラ18の角度位置から、プリント物後端が後端剥離機構に位置するまでの加熱ローラ18の角度位置を加熱ローラ18のロータリーエンコーダ(図時せず)が監視し、当該角度において後端剥離機構の可動剥離軸20cにより後端剥離を行う。これによりプリント物は表面保護膜4と共にラミネートフィルム17の基材から完全に剥離される。その後第二のプリント物通過センサ25が媒体の「なし」を検知した後にプリント物の排出完了に要する長さ分だけラミネートフィルムが送られる。これもロータリーエンコーダ(図示せず)がプリント物後端の第二センサ通過後排出完了までの距離分の加熱ローラ18の回転を監視することで行われる。ラミネート機における加熱デバイスとしては加熱ローラのほかにサーマルヘッド等のデバイスを用いることができる。
【0056】
以上述べてきた様に本発明の画像保護用熱定着ラミネートフィルムをラミネート機に通し、プリント物の画像面を表面保護膜4で被覆する事により物理強度、耐水性、耐光性、耐環境ガス性が著しく向上する。被覆前はプリント物表面の凹凸が原因で光散乱により光沢感の乏しかったプリント物も被覆後は光沢感があり、画像濃度も向上する。又、プラテンローラへのラミネートフィルム接着層の接着剤のオフセットによる弊害も無い。
【0057】
以下に本発明の実施例をあげて説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
[1]ラミネートフィルムの作成
(1)表面層塗工液(塗工液S1)
大塚化学(株)製PVU30M(ベンゾトリアゾール系紫外線吸収基を有する単量体を含むアクリル系樹脂)のトルエン30%溶液を表面層塗工液(塗工液S1)として用いた。この樹脂には紫外線吸収基を有する単量体はが全体の15%含まれる。
【0059】
(2)接着層塗工液(塗工液As1)
a)接着剤樹脂Ar1の合成
ガラス製反応容器1に攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素カガス導入管を備えつけた後、メチルメタクリレート48g、ブチルアクリレート40g、メタアクリル酸12g、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)3g、四塩化炭素0.2gをイソプロピルアルコール(IPA)567gに加え還流温度で4時間反応した。その後反応溶媒のIPAを留去し、次に水389gと28%アンモニア水11.4mlを加え攪拌して樹脂固形分20%のアンモニア水溶液を得た。GPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは20300、Mw/Mnは4.1であった。またDSCによる樹脂のガラス転移温度(Tg)は26℃であった。
【0060】
b)接着層塗工液の調整(塗工液As1)
前記接着剤樹脂溶液をそのまま塗工液として使用した。
【0061】
(3)ラミネートフィルムの作成
厚さ38μのPETフィルムに表面層塗工液S1を乾燥膜厚5μになるようにマイクログラビア法により塗工乾燥した。その上に接着層塗工液As1を乾燥膜厚8μになるように塗工乾燥しラミネートフィルムを作成した。
【0062】
[2]インクジェット受像紙とプリント物の作成
(株)クラレ製のポリビニルアルコール(商品名:424H)100gを水1706gに溶解し、昭和高分子(株)製カチオン性樹脂溶液(商品名:ポリフィックスIJ−100S、固形分60%水溶液)10.8gを加え攪拌した。次にトクヤマ(株)製の合成シリカ(商品名:ファインシールX60)160gを加えプロペラ攪拌機にて混合分散し、固形分15%の分散液を得た。この塗工液を186g/mの上質紙に乾燥後の塗工膜厚が40μに成るようにスロットダイコーターで塗工乾燥させた。このようにして作成したA4サイズのインクジェット受像紙にキヤノン(株)製インクジェットプリンタBJ F870を用いて画像を形成した。ラミネート前の印字ジューティ230%のベタ黒部の画像濃度は1.93であった。
【0063】
[3]プリント物のラミネート処理と特性評価
図5に示したラミネート装置Bを用い前記A4サイズのインクジェットプリント物を縦方向に通紙し、ψ80mmのスチール製加熱ローラ(ローラ幅230mm)でラミネートフィルムの基材背面側から140℃加熱し、受像紙側のψ50mmのシリコンゴム製プラテンローラは非加熱とした。ニップ加重は196N、送り速度は25mm/secで加熱圧着し、ラミネートフィルムの表面保護膜のプリント物前後端及び側端部での切断とプリント物全面での基材からの剥離を行った。この際の剥離性は良好であった。
【0064】
ラミネート後の印字ジューティ230%のベタ黒部の画像濃度を表2に示した評価基準に従い評価しその結果を表1に示した。画像濃度の上昇はラミネートフィルムがインクジェット受像紙の受像層表面とよく密着し、光散乱が抑制されていることを示している。本実施例は良好な特性を示した。
【0065】
次にA4のプリント物を縦方向に連続して通紙しラミネートを行った。プリント物とプリント物の間隔は7mmとした。その際にラミネートフィルムの接着剤の材質によってはプリント物の紙間やプリント物の外側に相当する熱転写フィルムの接着剤がシリコンローラに付着堆積し、転写時の圧力の不均一化を引き起こして定着不良となり表面保護膜とプリント物表面間に気泡が入るなどの定着不良となりラミしたプリント物の見栄えを悪くする。このシリコンゴムローラ汚染物は溶剤でふき取ることが可能であるがそのインターバルが短いとメンテナンスが煩雑となり商品性を著しく損なう。
【0066】
この試験での結果を表3に示した評価基準に従って評価し、その結果を表1に示した。
【0067】
本実施例は良好な特性を示し、ラミ後の画像濃度の向上とプラテンローラの耐オフセット性の両立という本発明の目的を達することができた。
【0068】
【表1】
Figure 2004175001
【0069】
【表2】
Figure 2004175001
【0070】
【表3】
Figure 2004175001
【0071】
(実施例2〜5)
[1]ラミネートフィルムの作成
(1)表面層塗工液
実施例2〜5のいずれも実施例1の塗工液S1を用いた。
【0072】
(2)接着層塗工液(塗工液As2〜As5:実施例2〜5にそれぞれ対応)
a)接着剤樹脂Ar2〜Ar5の合成 (Ar2〜Ar5:塗工液As2〜As5にそれぞれ対応)
<接着剤樹脂Ar2の合成>
ガラス製反応容器1に攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素カガス導入管を備えつけた後、メチルメタクリレート48g、ブチルアクリレート40g、メタアクリル酸12g、AIBN2.5g、四塩化炭素o.5gをIPA567gに加え還流温度で4時間反応し前段の重合を行った。その後反応溶媒のIPAを留去し、次に水389gと28%アンモニア水11.4mlを加え攪拌して樹脂固形分20%のアンモニア水溶液を得た。
【0073】
次に別のガラス製反応容器2に攪拌機、還流冷却管、温度計、窒素ガス導入管を備えつけた後、前記樹脂アンモニア水溶液250gを加え攪拌した。
次に別の反応容器3にメチルメタクリレート24g、ブチルアクリレート20g、メタアクリル酸6g、四塩化炭素3gの混合単量体溶液を調製し15分間窒素置換を行った。
【0074】
次いで前記の反応容器2を内温50℃に加熱し、10%過酸化水素水1gと10%L−アスコルビン酸1gを添加し、先に用意した混合単量体溶液の5gを添加して初期重合を行い、ついで残りの単量体溶液を約3時間にわたって滴下した。その間に10%過酸化水素水1.5gと10%L−アスコルビン酸水溶液1.5gを混合単量体溶液の滴下中および滴下終了後に分割して添加した。滴下終了後、さらに1時間内温を50〜60℃に保って攪拌を継続し後段の重合を行った。そのご冷却し、固形分濃度32%のエマルジョン樹脂を得た。GPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは30500、Mw/Mnは22.8であった。またDSCによるTgは25℃であった。
【0075】
<接着剤樹脂Ar3の合成>
実施例2の接着剤樹脂Ar2と同様にして接着剤樹脂の合成を行った。ただし接着剤樹脂Ar3は実施例2のAr2の前段の重合は同様に行い、後段の反重合における四塩化炭素3gを1.5gに変更し、混合単量体溶液滴下時及びその後の加温を60〜70℃に変更した。GPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは52000、Mw/Mnは10.2であった。DSCによるTgは26℃であった。
【0076】
<接着剤樹脂Ar4の合成>
実施例1の接着剤樹脂Ar1と同様にして接着剤樹脂の合成を行った。ただしAr4は実施例1の接着剤樹脂Ar1の重合におけるAIBN3gに変えて1.3gを使用し、IPA使用量567gに変えて400gをもちい、還流温度での反応時間は5時間とした。樹脂をアンモニア水に溶解する工程では水389gに換えて水129gとメタノール120g、ジアセトンアルコール120gの混合液を用いた。GPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは149700、Mw/Mnは4.0であった。DSCによるTgは24℃であった。
【0077】
<接着剤樹脂Ar5の合成>
実施例2の接着剤樹脂Ar2と同様にして接着剤樹脂の合成を行った。ただし接着剤樹脂Ar5は前段の重合を実施例2の接着剤樹脂Ar2の場合と全く同様に行ったが、後段の重合は変更点を次ぎのようにして行った。前段の重合で得られた樹脂のアンモニア水溶液の半量に実施例2における混合単量体5gに変えてメチルメタクリレート12g、ブチルアクリレート10g、メタアクリル酸3g、四塩化炭素0.1gの混合単量体溶液を初期重合した。次に残りの樹脂アンモニア水溶液を加え、メチルメタクリレート12g、ブチルアクリレート10g、メタアクリル酸3g、四塩化炭素3gの混合単量体溶液を1.5時間で滴下し滴下終了後2時間反応した。混合単量体溶液滴下時及びその後の加温は68〜75℃で行った。GPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは149700、Mw/Mnは24.9であった。DSCによるTgは27℃であった。
【0078】
b)接着層塗工液の調整(塗工液As2〜As5)
前記接着剤樹脂Ar2、Ar3、Ar5のそれぞれに水を加え、攪拌して固形分30%の塗工液As2、As3、As5を調整した。Ar4に関しては原液をそのまま使用しAs4とした。
【0079】
(2)ラミネートフィルムの作成
実施例1と全く同様にして作成した塗工液S1を塗布したフィルムの上に、塗工液As2〜As5を乾燥膜厚8μになるようにそれぞれ塗布乾燥し、実施例2〜5に対応するラミネートフィルムを作成した。
【0080】
[2]受像紙とプリント物の作成
実施例1と全く同様にして作成したインクジェット受像紙、プリント物を実施例2〜5にも用いた。
【0081】
[3]プリント物のラミネート処理と特性評価
実施例1と全く同様に実施例2〜5対応のラミネート処理と特性評価を行った。その結果を表1に示した。実施例2〜5は接着剤樹脂が本発明で規定したMw,Mw/Mnの領域にあり、いずれも本発明の効果を満足するものであった。
【0082】
(比較例1〜5)
[1]ラミネートフィルムの作成
(1)表面層塗工液
比較例1〜5のいずれも実施例1の塗工液S1を用いた。
【0083】
(2)接着層塗工液(塗工液Asc1〜Asc5)
a)接着剤樹脂の合成(Arc1〜Arc5)
<接着剤樹脂Arc1の合成>
実施例1の接着剤樹脂Ar1と同様にして接着剤樹脂の合成を行った。ただし樹脂Arc1は実施例1の樹脂Ar1の重合におけるAIBN3gを4.5gに変更し、四塩化炭素は不使用とした。GPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは10300、Mw/Mnは3.1であった。DSCによるTgは26℃であった。
【0084】
<接着剤樹脂Arc2の合成>
実施例1の接着剤樹脂Ar1と同様にして接着剤樹脂の合成を行った。ただし樹脂Arc2は実施例1の樹脂Ar1の重合におけるAIBN3gを3.3gに変更し、四塩化炭素0.2gを0.8gに変更した。GPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは16000、Mw/Mnは10.0であった。DSCによるTgは25℃であった。
【0085】
<接着剤樹脂Arc3の合成>
実施例1の接着剤樹脂Ar1と同様にして接着剤樹脂の合成を行った。ただし樹脂Arc3は実施例1の樹脂Ar1の重合におけるAIBN3gを1.3gに変更し、四塩化炭素は不使用とした。又、生成した樹脂のアンモニア水の溶解には水389gに換え水129g、メタノール120g及びジアセトンアルコール120gを用いたGPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは81300、Mw/Mnは2.9であった。DSCによるTgは26℃であった。
【0086】
<接着剤樹脂Arc4の合成>
実施例4の接着剤樹脂Ar4と同様にして接着剤樹脂の合成を行った。ただし樹脂Arc4は実施例4の樹脂Ar4の重合におけるAIBN1.3gを1.5gに変更し、四塩化炭素の量0.2gを0.1gに変更した。GPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは152300、Mw/Mnは3.1あった。DSCによるTgは24℃であった。
【0087】
<接着剤樹脂Arc5>
実施例4の接着剤樹脂Ar4と同様にして接着剤樹脂の合成を行った。ただし樹脂Arc3は実施例4の樹脂Ar4の重合におけるAIBNの量1.3gを1.0gに変更した。GPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは187000、Mw/Mnは4.4あった。DSCによるTgは25℃であった。
【0088】
b)接着層塗工液の調整(塗工液Asc1、Asc5)
前記接着剤樹脂Arc1〜Arc5の原液をそのまま使用し塗工液Asc1〜Asc5とした。
【0089】
(2)ラミネートフィルムの作成
実施例1と全く同様にして作成した塗工液S1を塗布したフィルムの上に塗工液Asc1〜Asc5を乾燥膜厚8μになるようにそれぞれ塗布、乾燥し比較例1〜5に対応するラミネートフィルムを作成した。
【0090】
[2]インクジェット受像紙とプリント物の作成
実施例1と全く同様にして作成したインクジェット受像紙、プリント物を比較例1〜5にも用いた。
【0091】
[3]プリント物のラミネート処理と特性評価
実施例1と全く同様に比較例1〜5対応のラミネート処理と特性評価を行いその結果を表1に示した。比較例1〜5は接着剤樹脂が本発明で規定したMw,Mw/Mnの領域を外れており、いずれも本発明の効果は得られなかった。
【0092】
(実施例6)
[1]ラミネートフィルムの作成
(1)表面層塗工液(塗工液S2)
メチルメタクリレート79g、エチルアクリレート16g、メタクリル酸5g、AIBN0.8g、IPA400gを還流温度で4時間重合して得られたアクリル樹脂溶液を塗工液S2とする。
【0093】
(2)接着層塗工液(塗工液As6)
a)接着剤樹脂Ar6の合成
実施例1の接着剤樹脂Ar1と同様にして接着剤樹脂の合成を行った。ただしAr6は実施例1の接着剤樹脂Ar1の重合におけるAIBN3gに変えて1.1g、四塩化炭素0.2gに変えて0.3g,IPA使用量567gに変えて400gをもちい、還流温度での反応時間は5時間とした。樹脂をアンモニア水に溶解する工程では水389gに換えて水129gとメタノール120g、ジアセトンアルコール120gの混合液を用いた。GPCを用いたTHF溶媒での樹脂のMwは800300、Mw/Mnは4.9であった。DSCによるTgは29℃であった。
【0094】
b)接着層塗工液の調整(塗工液As6)
前記接着剤樹脂溶液をそのまま塗工液として使用した。
【0095】
(3)ラミネートフィルムの作成
ベースフィルムに厚さ4.5μのPETフィルムを用い実施例1と同様にして表面層塗工液S2を乾燥膜厚1.5μになるようにマイクログラビア法により塗布、乾燥した。その上に接着層塗工液As6を乾燥膜厚1.5μになるように塗布、乾燥しラミネートフィルムを作成した。
【0096】
[2]インクジェット受像紙とプリント物の作成
インクジェット受像紙としてキヤノン(株)製の光沢A4サイズ紙PR101を用い、キヤノン(株)製インクジェットプリンタBJ F870を用いて画像を形成した。
【0097】
[3]プリント物のラミネート処理と特性評価
実施例1のラミネート装置の加熱ローラに変えてサーマルヘッドを用い、φ50mmのプラテンローラに変えてφ30mmのローラを用いた。ニップ加重は98N、送り速度は50mm/secで加熱圧着し実施例1と同様にプリント物にラミネート処理を行った。ラミ後も良好な光沢感を保持し、耐オフセット性も表3の基準で◎の特性を示した。
【0098】
【発明の効果】
本発明の画像保護用熱定着ラミネートフィルムを用いることにより、インクジェット、電子写真、昇華型熱転写、溶融型熱転写、写真、印刷等の各種方法で形成された画像を記録した媒体との熱圧着とその後の基材の剥離により、プラテンローラへの接着剤樹脂のオフセットによる定着不良といった弊害なしに被覆前の画像に乏しかった光沢感や画像濃度が顕著に向上する。又、本発明による画像保護用熱定着ラミネートフィルムを用いることにより、傷の防止、光やガス等の環境劣化の防止にも著しい効果を示す。
【図面の簡単な説明】
【図1】表面保護膜形成用ラミネートフィルムの基本構成。
【図2】剥離材を有する表面保護膜形成用ラミネートフィルム。
【図3】基材背面に離型層を有する表面保護膜形成用ラミネートフィルム。
【図4】ラミネート装置A。
【図5】ラミネート装置B。
【符号の説明】
1 基材
2 表面層
3 接着層
4 表面保護膜
5 剥離材
6 背面層
7 ラミネートフィルムの巻きだしロール
8 ラミネートフィルム
9 加熱ローラ
10 加圧ローラ
11 テンションローラ
12 テンションローラ
13 プリント物の送り出しガイド
14 プリント物
15 表面保護膜で被覆されたプリント物
16 ラミネートフィルムの巻きだしロール
17 ラミネートフィルム
18 加熱ローラ
19 加圧ローラ
20 テンションローラ
21 テンションローラ
22 ラミネートフィルムの巻き取りロール
23 プリント物の送り出しガイド
24 第一のプリント物通過フォトセンサ
25 第二のプリント物通過フォトセンサ

Claims (8)

  1. 基材上に少なくとも表面層、接着層からなる表面保護膜を基材界面から剥離可能に順次積層した構成を有し、当該接着層に重量平均分子量(Mw)が20000〜150000、Mwと数平均分子量(Mn)の比Mw/Mnを4以上とした樹脂を主成分として含むことを特徴とするプリント物の画像保護用熱転写型ラミネートフィルム。
  2. 接着層のMwが20000〜150000、Mw/Mnが4〜25である樹脂を主成分として含む請求項1記載のプリント物の画像保護用熱転写型ラミネートフィルム。
  3. 接着層樹脂がアクリル系の接着剤である請求項1,2記載のプリント物の画像保護用熱定着ラミネートフィルム。
  4. 表面層、接着層の少なくともいずれか一方の樹脂がその構成成分として紫外線吸収性のアクリルモノマーを含むことを特徴とする請求項1〜3記載のプリント物の画像保護用熱転写型ラミネートフィルム。
  5. 紫外線吸収性のアクリルモノマーがベンゾトリアゾール骨格を有する紫外線吸収性のアクリルモノマーである請求項1〜4記載のプリント物の画像保護用熱転写型ラミネートフィルム。
  6. 基材背面に背面層を有する請求項1〜5記載のプリント物の画像保護用熱転写型ラミネートフィルム。
  7. 請求項1〜6記載の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムの接着層とプリント物の画像記録面を重ね合わせ加熱、圧着した後にラミネートフィルムの基材を剥離することを特徴とする表面保護膜で被覆したプリント物作成方法。
  8. 請求項1〜6記載の画像保護用熱転写型ラミネートフィルムと画像を記録した媒体を用いて請求項7の方法により得られる表面保護膜で被覆したプリント物。
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