JP2004223901A - 熱転写保護フィルム - Google Patents

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【課題】熱転写保護フィルムの接着層が、アクリル系樹脂を主成分とした場合においても、高速転写性と耐ブロッキング性を両立した熱転写フィルムを提供する。
【解決手段】耐熱性基材上に剥離可能に保護膜層が形成された熱転写保護フィルムにおいて、熱転写保護フィルムは耐熱性基材側から表面層と接着層を有する層構成となっており、接着層はアクリル系樹脂を主成分とし、アクリル系樹脂としてn≧6のアクリル酸アルキルモノマー及びメタクリル酸アルキルモノマーから選ばれた(メタ)アクリル酸アルキルモノマーの少なくとも1つを重合した樹脂を用いる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インクジェット法により画像形成された印字画像物の画像面上に保護膜層を熱転写形成するための熱転写保護フィルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、インクジェットプリンターは高精細化、高速化が一段と進んでおり、デジタルカメラの普及ととともに写真出力等に多く使用されている。しかし、インクジェットプリンターの多くは染料系のインクが使用されており、紫外線や空気中の活性ガスにより退色するときがあり、この場合、画像の長期保存性の面で問題がある。また、画像の光沢感などを含めた画像品位においては、銀塩写真などと比べると十分でない。さらに、用いられる受像紙の表面はポーラスで脆い樹脂層で形成されるため、耐摩擦性の面でも改善が必要である。
【0003】
以上の問題を改善するために、プリントアウトされた印画物の画像表面に対して後処理により保護膜層を形成する検討がなされている。後処理方法としては、熱ローラなどにより印画物の画像表面に対して保護膜層を熱圧着により転写形成する熱転写方法などがある。
【0004】
上記の熱転写方法においては、PETフィルム(ポリエチレンテレフタレートフィルム)などの耐熱性基材上に保護膜層を剥離可能に設け、耐熱性基材の反対面から加熱圧着により印画物表面へ保護膜層を熱転写する。
基材上に設けられた保護膜層は、高強度の樹脂層からなる表面層と、加熱時に軟化溶融して接着する接着層を、基材上に積層する場合が一般的である。ここで、耐熱性基材側から表面層、接着層の順に形成される。
【0005】
近年のインクジェットプリンターの印字速度は高速化しており、上記の後処理をインラインで行う場合には同様に転写処理の高速化が求められる。熱転写処理の高速化のためには瞬間的な接着性の発現が必要になるため、接着層の熱軟化応答性の良好な材料が用いられる。そこで、接着層には熱溶融特性の極めて良好なワックスを主成分とした材料が用いられる。ワックスとは、一般的に低分子量のオレフィン系樹脂を示す。
【0006】
接着層としてワックス系の材料を主成分として形成する利点は、前記に挙げた熱転写性の向上だけでなく、熱転写フィルムの耐ブロッキング性を高められる点にもある。
画像の耐光性向上のために紫外線吸収基を分子鎖中に有するアクリル酸アルキルモノマー及びメタクリル酸アルキルモノマーを共重合することもできる。紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質は、揮発やブリードによる性能劣化が起こりにくくなる。このような紫外線吸収基を分子鎖中に有するアクリル酸アルキルモノマー及びメタクリル酸アルキルモノマーについては、知られている(特許文献1〜5)。
【0007】
【特許文献1】
特開平06−073368号公報
【特許文献2】
特開平07−126536号公報
【特許文献3】
特開平09−118720号公報
【特許文献4】
特開平11−348199号公報
【特許文献5】
特開2000−044901号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ロール状態で熱転写フィルムが用いられる場合には、基材の反対面と接着層が密着することとなり、巻き芯に向かうほどフィルム同士が高い圧力で押し付けられる。したがって、保管状態で接着層の粘着性が高いとフィルム同士が張り付いてしまう、いわゆる「ブロッキング」が発生してしまう可能性が高くなる。通常、熱転写フィルムをロールで用いる場合は、保管環境を勘案して温度60℃、湿度50%などの高温、高湿環境下においてもブロッキングを発生しない特性が求められる。
【0009】
ワックスを主体とした接着層を用いることで熱転写処理性能を向上することができる。ワックス系の材料は低分子量のオレフィン系の材料であり結晶性が高いため、融点以下では粘着性が全く無く、融点を超えると溶融し接着性が急峻に発生する。従って、保存時に最高温度と熱転写時の加熱温度との間にワックスの融点を合わせることにより、軟化性と耐ブロッキング特性の良好な接着層を得ることが可能となる。その一方で、ワックス系の材料は、画質の面では問題がある。プリントアウトされた画像の鮮明さを保つためには、保護膜層の透明性が重要である。しかし、ワックスを主成分とした接着層は透明性が低く、熱転写処理後に画像が若干白み掛かる場合がある。
【0010】
接着層の透明性を高めるためには、ワックスの含有量を低減し、透明性の高い樹脂成分を主体とすることが必要である。しかし、従来の技術においては、熱可塑性の樹脂を主成分として接着層を構成した場合にはおいては、高速転写性、耐ブロッキング性及び透明性をすることは困難であった。
以上のような状況に鑑み、本発明においては、熱転写保護フィルムの接着層を透明性の高いアクリル系樹脂を主成分として形成した場合においても、高速転写性と耐ブロッキング性を両立した熱転写保護フィルムを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、本発明における熱転写保護フィルムは、以下に示す構成を有する。
すなわち、本発明は少なくとも耐熱性基材上に剥離可能な保護膜層が形成された記録材の画像保護用の熱転写保護フィルムにおいて、該保護膜層は表面層と接着層からなり、該表面層と接着層は、耐熱性基材側から表面層と接着層の順に配置され、該接着層はアクリル系樹脂を主成分とし、
該アクリル系樹脂が下記一般式(I)で表される構成単位からなるn≧6のアクリル酸アルキルモノマー及び下記一般式(II)で表される構成単位からなるn≧6のメタクリル酸アルキルモノマーから選ばれた(メタ)アクリル酸アルキルモノマーの少なくとも1つを含む重合体であることを特徴とする熱転写保護フィルムに関するものである。
【0012】
【化3】
Figure 2004223901
【0013】
【化4】
Figure 2004223901
【0014】
【発明の実施の形態】
かかる課題を解決するための本発明に実施の形態について、以下に更に詳しく説明する。
本発明における熱転写保護フィルムは、一例として図1に示す断面模式図のように耐熱性基材1a上に表面層1b及び接着層1cからなる保護膜層1pが積層された構成を有する。なお、熱転写保護フィルムは、図1に記載のように耐熱性基材、表面層、接着層の順に配置されている必要がある。このように配置されていないと、印画物の画像面に接着層を介して表面層を接着することができないからである。
【0015】
(耐熱性基材)
耐熱性基材としては、印画物の画像面に保護膜層を熱転写する際における熱圧着条件下で、さらに加熱加圧条件下で形状を安定して維持でき、かつ印画物の画像面上に保護膜層を形成した段階で、保護膜層から剥離が容易なものが好ましい。このような特性を有する耐熱性基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートコポリマー、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース、塩化ビニル樹脂、塩化ビニリデン樹脂・塩化ビニルコポリマー、アクリル樹脂、ポリエーテルスルフォンなどの材料からなるフィルムを用いることができる。
【0016】
耐熱性基材の厚さは、サーマルヘッドで加熱する場合の熱容量を軽減させることを考慮して、好ましくは1.5〜16μm、より好ましくは1.5〜10μm、更に好ましくは3〜8μmの範囲から選択することができる。
【0017】
熱転写処理後の印画物の光沢性を高めるためには、より平滑な基材を使用することが重要である。耐熱性基材の厚さが16μm以下であり、JISB0601で定められた表面粗さを表すパラメータである算術平均粗さ(Ra:基準長さ:1mm)が50nm以下であり、かつ十点平均粗さ(Rz:基準長さ:1mm)が2000nm以下である基材を用いる(ここでのRa、Rzは、基材の保護膜層が形成されている面の表面粗さを表す)ことで、銀塩写真と同レベルの高光沢の印画物を得ることが可能となる。
【0018】
ただし、記録装置の中でのフィルムの良好な搬送性を確保するため、Rzとしては好ましくは1200nm以上、より好ましくは1600nm以上の粗面性を有するのが良く、フィルムの良好な搬送性を確保するため、Raは好ましくは20nm以上であり、より好ましくは30nm以上であるのが良い(ここでのRa、Rzは、基材の保護膜層が形成されている面と反対側の面の表面粗さを表す)。
【0019】
更に、本発明で用いる耐熱性基材には、基材の耐熱性やすべり性、帯電防止性などを考慮して、保護膜層が形成される面の反対面に背面層を設けてもよい。背面層としては例えば、メラミン系樹脂、アルキッド系樹脂及びシリコーン系樹脂等を用いることができる。また、耐熱性基材と保護膜層との界面に、保護膜層との密着性を制御するために、剥離層を設けても良い。剥離層としては例えば、シリコーン系樹脂及びワックス系樹脂等を用いることができる。
【0020】
(表面層)
本発明の熱転写保護フィルムの表面層1bは、印画物上に熱転写後、印画物の表面を構成し、画像を保護するものである。表面層を構成する樹脂材料(ポリマー材料)としては、保護膜としての観点から耐摩擦性、耐水性の優れた材料が用いられる。画像性の点からは、透明性の高い材料が用いられる。また、前記の特性がより長期間保持される材料が好ましい。このような材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の高分子物質を含有する樹脂材料が挙げられる。また、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−酢酸ビニル共重合体系樹脂など共重合体であっても良い。
【0021】
また、印画物を長期に保存した際に発生する画像の紫外線劣化を押さえる目的で、前記樹脂中に紫外線吸収剤を添加、或いは紫外線吸収性官能基を有する単量体を共重合した紫外線吸収性ポリマーを使用しても良い。紫外線吸収性ポリマーとしては、共重合可能なベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリシレート系紫外線吸収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤等を挙げることができる。共重合して用いる場合の実施形態については、接着層で用いるものと同様のものを使用することができる。これらの紫外線吸収剤の表面層中の含量は、画像の紫外線劣化を防止できる程度であれば特に限定されない。
【0022】
本発明における熱転写保護フィルムの表面層1bの形成は、たとえば、有機溶媒に上記樹脂材料を溶解した塗工液や、乳化重合によって製造した前記高分子物質のエマルジョン樹脂溶液などを用いて、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法、スロットダイコーティング法などにより耐熱性基材上に塗工し、乾燥させることにより形成することができる。
【0023】
また、表面層を構成する材料には、塗膜形成時の成膜性、ロール加工時の巻取り性、更には接着層や耐熱性基材との密着性の制御の観点から、表面張力調整剤や消泡剤、増粘剤、成膜助剤、更には粒子状のフィラー成分などを含有してもよい。
表面層1bの厚さについては、保護膜性能と熱転写性能を考慮して好ましくは1.0〜5μm、より好ましくは1.2〜2μmの範囲から選択することができる。
【0024】
表面層及び接着層を印画物上に熱転写した後、熱転写保護フィルムからの表面層及び接着層の剥離は例えば、図2の先端剥離部ガイド部8を用いた場合のように、熱圧着後の印画物及び熱転写保護フィルムの進行方向を急激に変化させ、印画物と熱転写保護フィルム基材との剛性の違いを利用することによって行なうことができる。
【0025】
(接着層)
接着層1cは、加熱圧着時に十分に軟化、流動し接着性が発現する材料が用いられる。サーマルヘッドなどを用いた高速転写処理を行う場合には、加熱時の軟化速度のより早い材料を用いることが重要である。また、熱転写保護フィルムはロール状態で使用されるため、ブロッキングの発生しづらい材料を接着層に用いることも重要となる。「ブロッキング」とは、高温高湿度下の保存状態において接着層が軟化し、ロール巻き出し時に基材反対面に保護膜層が剥れて移行してしまう現象である。
【0026】
接着層としては透明性が高く、加熱時の軟化適性と耐ブロッキング性を有するアクリル系樹脂を主成分として用いる必要がある。ここで、「主成分」とするとは、接着層が良好な透明性、加熱時の適度な軟化適性及び耐ブロッキング性を有する程度にアクリル系樹脂が含まれていれば良い。透明性向上の観点から、アクリル系樹脂が接着層中に、好ましくは60質量%以上、より好ましくは70質量%以上、更に好ましくは80質量%以上、含まれているのが良い。
【0027】
接着層中のアクリル系樹脂中に、一般式(I)で表されるアクリル酸アルキルモノマー及び一般式(II)で表されるメタクリル酸アルキルモノマーを合計で、30質量%以上含有することで高速転写適性と耐ブロッキング性の両立が可能となる。一般式(I)及び(II)で表されるモノマーは、より好ましくはアクリル系樹脂中に45質量%以上、含まれているのが良い。
【0028】
一般式(I)及び(II)で表されるモノマーのnは6以上であることが必要である。nが6以上であることによって、分子内に疎水性の高いアルキル基を有し、共重合した樹脂は高い離型性を示すために耐ブロッキング性が良好になる。好ましくは、nは8以上であるのが良い。
【0029】
このような、アクリル酸アルキルモノマーとしては、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸アルキルモノマーとしては、メタクリル酸n−ヘキシル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ラウリル、nが6以上のメタクリル酸アルキル、メタクリル酸トリデシル、メタクリル酸ステアリルなどがある。アクリル系樹脂は、これらのモノマーを1種類だけ重合させても、あるいは2種類以上を共重合させても得ることができる。上記のモノマーを2種類以上組み合わせて使用する場合は、合計量がアクリル系樹脂中に30質量%以上であるのが好ましい。また、アクリル酸アルキルモノマーとメタクリル酸アルキルモノマーを併用して用いても良く、この場合のアクリル酸アルキルモノマーとメタクリル酸アルキルモノマーの使用比は、本願発明の目的を達成できる範囲内であれば良く、特に限定されない。
【0030】
これらのアクリル酸アルキルモノマーは、分子内に疎水性の特に高いアルキル基を有し、重合した樹脂は高い離型性を示すために耐ブロッキング性が良好になると考えられる。また、側鎖に分子振動の自由度の高いアルキル基があるため、熱転写時の加熱に対して優れた軟化接着特性を示すと予想される。
【0031】
上記の(メタ)アクリル酸アルキルモノマーと共重合可能な、他のモノマーとしてはn≦5のアクリル酸アルキルモノマー及びメタクリル酸アルキルモノマーを用いることができる。アクリル酸アルキルモノマーの一例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸−n−ブチル等を挙げることができる。また、メタクリル酸アルキルモノマーの一例としては、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸−n−ブチル等を挙げることができる。
【0032】
その他の共重合可能なモノマーとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルブチル等の水酸基を有する単量体;
(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチル等のアルコキシ基を有する単量体;
(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有する単量体;
(メタ)アクリロニトリル等のニトリル基を有する単量体;
スチレン、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の芳香環を有する単量体;
(メタ)アクリルアミド等のアミド基を有する単量体;
N−アルコキシ基を有する単量体やN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル基を有する単量体;
N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミド等の、N−アルキロール基を有する単量体;
ビニルクロライド、ビニルブロマイド、アリルクロライド、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロメチルスチレン、フッ化ビニル等のハロゲン原子が結合した基を有する単量体;
等を挙げることができる。これらのモノマーを用いることによって、接着層と表面層の密着性を向上させることができる。
【0033】
画像の耐光性向上のために紫外線吸収基を分子鎖中に有するアクリル酸アルキルモノマー及びメタクリル酸アルキルモノマーから選ばれた(メタ)アクリル酸アルキルモノマーの少なくとも1つを共重合することもできる。紫外線吸収基を分子鎖中に有するアクリル酸アルキルモノマー及びメタクリル酸アルキルモノマーの少なくとも一つを共重合することによって、揮発やブリードによる印画物の性能劣化を起こりにくくすることができる。このような紫外線吸収基を分子鎖中に有するアクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマーについては、特許文献1〜5に開示されている。
【0034】
特許文献1には、2−ヒドロキシベンゾフェノン残基または2−ヒドロキシベンゾトリアゾール残基が結合した重合性ビニル化合物等の紫外線吸収性モノマーと、これと共重合可能な(メタ)アクリル酸エステルのビニル化合物モノマー及び架橋性モノマーの乳化共重合物からなる水性エマルジョン型高分子紫外線吸収剤が開示されている。特許文献2には、2−ヒドロキシベンゾフェノンの(メタ)アクリル酸エステル誘導体または2−ヒドロキシベンゾトリアゾールの(メタ)アクリル酸エステル誘導体の紫外線吸収性モノマーと、重合性ビニル化合物とを乳化重合して得た水性エマルション型紫外線吸収剤を含有する耐光性ラテックス組成物が開示されている。
【0035】
特許文献3には、ベンゾトリアゾールの(メタ)アクリル酸エステル誘導体を重合した紫外線吸収性重合体組成物が開示されている。特許文献4には、ベンゾトリアゾールを(メタ)アクリル酸エステルで置換したベンゾトリアゾールの(メタ)アクリル酸エステル誘導体からなる重合体を含有する紫外線吸収性複合フィルムが開示されている。特許文献5にはベンゾトリアゾールの(メタ)アクリル酸エステル誘導体、ベンゾフェノンの(メタ)アクリル酸エステル誘導体及びトリアジンの(メタ)アクリル酸エステル誘導体からなる群から選ばれる少なくとも1種と、不飽和単量体とを共重合させて得た紫外線吸収性ポリマーを含有する転写箔が開示されている。これらの紫外線吸収剤の接着層中の含量は、印画物の画像品位、画像の保存性能、耐ブロッキング特性が優れ、紫外線劣化を防止できる範囲内であれば特に限定されない。
【0036】
接着層に用いるアクリル系樹脂の重量平均分子量は20000以上が好ましい。また、100000以下が好ましく、70000以下がより好ましい。重量平均分子量が20000以上であると、耐ブロッキング性の低下が起こらず、重量平均分子量が100000以下であると熱転写時の加熱軟化特性の面で不具合が生じない。
【0037】
アクリル系樹脂の合成方法としては、公知のラジカル重合により作製することができる。溶液重合によるラジカル重合の場合には、有機溶剤としてトルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤などを使用する。重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾビス系化合物が使用される。
【0038】
乳化重合によりラジカル重合を行い、水系のエマルジョン化した樹脂として使用する場合には、ベース樹脂は種粒子となってシェル部を構成し、アクリル系樹脂はコア部を形成するコアシェル構造のエマルジョン樹脂が好ましい。このコアシェル構造のエマルジョン樹脂では、エマルジョン重合した樹脂がベース樹脂に内包されるようにしてコア部を形成している。
【0039】
一般的な乳化重合法を使用した場合、界面活性剤がアクリル樹脂中に取り込まれ、耐ブロッキング性が低下する傾向があるが、このようにコアシェル構造のアクリル樹脂では、界面活性剤の取り込みが起こらないため、耐ブロッキング性の低下が起こらない。
【0040】
また、コアシェル構造を有するエマルジョン樹脂の場合には、シェル(殻)の部分とコア(芯)の部分の特性を適宜調節できるため好適である。
本発明においては、前記のモノマー組成と合わせて検討した結果、シェル(殻)部を構成するベース粒子のガラス転移温度(Tg)を60℃以上にすることで、耐ブロッキング性をより向上できることが明らかとなった。このように粒子内で機能分離されたエマルジョン樹脂溶液を用いて塗膜を形成した場合、高Tgのシェル(殻)部分が低Tgの芯の部分を若干包んだ状態で膜が形成されている。また、通常の界面活性剤を使用したエマルジョン樹脂の粒子径に比べて、コアシェル型のエマルジョン樹脂溶液の平均粒子径は小さく100nm以下であるため、塗膜形成の乾燥時にかかる熱風によりエマルジョン粒子が完全に溶けない状態においても造膜できる場合が多い。
【0041】
そのため、低Tgの成分の動きは、高Tgのシェル(殻)によって抑制され、保存時の耐ブロッキング性が向上したと考えられる。通常の保存環境において予想される最高温度としては、60℃付近と推定されるので、シェル(殻)部のガラス転移温度(Tg)を60℃以上に調整することが好ましい。また、熱転写処理時の適度な軟化特性を得るために80℃以下とすることが好ましい。シェル部分は、ベース樹脂に相当するため、ガラス転移温度が70℃以上のベース樹脂を用いて乳化重合を行うことで、コアシェル構造のアクリル系エマルジョン樹脂を作製することがより好ましい。
【0042】
他の成分としては、軟化特性と耐ブロッキング特性の更なる向上のために、ワックス系の材料を含有することができる。しかし、上述のように透明性低下の点から、ワックス系材料の含有量は特性を満たす範囲で最低限に抑えることが望まれる。接着層中のワックス系材料の含量は、好ましくは、30質量%以下、より好ましくは15質量%以下であるのが良い。ワックス系の材料としては、カルナバワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラワックス、フィッシャートロプッシュワックス、合成ポリエチレンワックスなど、融点が60℃以上の材料が好ましい。
【0043】
また、接着層を構成する材料には、塗膜形成時の成膜性、ロール加工時の巻取り性、更には接着層制御の観点から、表面張力調整剤や消泡剤、増粘剤、成膜助剤、耐ブロッキング防止剤、ヒートシール性向上助剤などを含有してもよい。
【0044】
接着層1cの厚さについては、接着性能と熱転写性能を勘案して好ましくは1.0〜5μm、より好ましくは1.5〜3μmの範囲から選択することができる。
【0045】
熱転写保護フィルムにおける接着層1cの形成は、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法、スロットダイコーティング法などにより表面層上に塗工し、乾燥させることにより形成することができる。
【0046】
(熱転写方法)
好ましくは、本発明の熱転写保護フィルムは、表面層のフィルムからの剥離性および接着層の接着性の面から、インクジェット記録法により形成された印字画像物の画像保護用に使用するのが良い。本発明におけるインクジェット記録法により印画した印画物に対する保護膜層の熱転写方法について説明する。図2に、サーマルヘッドを加熱手段とした場合の熱転写方法を模式的に示してあるが、加熱手段を熱ロールとしても同様の方法で使用することが可能である。
【0047】
図2において1は、保護膜層を外側にして巻かれた熱転写保護フィルムのロール状の巻出しリールであり、熱転写保護フィルムにバックテンション(図では反時計回り(以後CCWと表す)方向のトルクによる)を与えている。3はサーマルヘッドである。5は、熱転写保護フィルムをサーマルヘッドに押し付ける加圧ロールであり、その軸上に該ロールの回転量を検知するロータリエンコーダ4を持つ。この加圧ロールでの加圧条件としては、線圧0.5〜3N/cm、特に1.5〜3N/cmが好ましい。6は、サーマルヘッド3、加圧ロール5で熱圧着された保護膜層と印画物Pを冷却する冷却ファンであり、7a、7bは、後端剥離部の固定ガイドであって、軸中心に回動可能に構成されている。
【0048】
7cは、同じく後端剥離部の可動剥離軸であり、熱転写保護フィルムに保護膜層を介して熱圧着された印画物Pの後端を急速に押し出すことで熱転写保護フィルム上の基材上から印画物Pの後端部を保護膜層が接着した状態で剥離する機能を有する。8は、先端剥離部のガイドであり、この間を熱転写保護フィルムに保護膜層を介して圧着された印画物Pが通過する際、印画物先端が熱転写保護フィルムとの剛性の違いにより熱転写保護フィルムの基材に対して剥離する。10は、使用済み熱転写保護フィルムの巻き取りリールであり、巻き取り方向テンション(図中CCW)を与えている。11は、印画物Pのガイド、12は、第1の紙通過センサを構成するフォトインタラプタ、13は第2の紙通過センサを構成するフォトインタラプタである。
【0049】
印画物Pがガイド11に挿入され、第1の紙通過センサ12が紙の「有り」信号を発生するとサーマルヘッド3に加圧ロール5が圧接する。熱転写保護フィルムの線速度は、10mm/sから150mm/s程度の範囲から選択可能であるが、30mm/sから100mm/sの範囲が好ましい。印画物Pはサーマルヘッド3、加圧ロール5により保護膜層を介して熱転写保護フィルムに対して熱圧着する。
【0050】
第2の紙通過センサ13が紙の「有り」から「無し」への変化を検知した時点の加圧ロール5の角度位置(加圧ロールのロール面の特定位置と基準点と、加圧ロールの中心とが形成する角度により特定される位置)に基づいて印画物後端が後端剥離部に位置する時点までの加圧ロール5の角度位置をロータリエンコーダ4が監視し、印画物後端が後端剥離部への到達を示す角度位置がロータリエンコーダ4により検知された時点で、後端剥離部の可動剥離軸7cにより後端剥離を行なう。これにより印画物は保護膜層と共に後端部が熱転写保護フィルムの基材部分から剥離される。
【0051】
その後、排紙完了に要する長さ分だけ熱転写保護フィルムが送られる。この排紙完了操作は、第2の紙通過センサ13を通過した時点から排紙完了に要する熱転写保護フィルムの長さ分に相当する加圧ロール5の回転を監視することで行なわれる。その際、後端剥離部のガイド8に沿って通過する経路の急速に折り曲げられたパスにおいて、印画物Pは剛性が高いために折り曲げられずにガイド8を通過するが、熱転写保護フィルムの基材は折り曲げられたパスに沿って移動する。そして、このパスにおいて印画物の先端部が熱転写保護フィルムの基材から保護膜層とともに剥離する。この印画物先端における剥離過程では、印画物と接着した保護膜層部分と熱転写保護フィルムに接着した保護膜層部分との境界領域が切断される。印画物の後端は既に熱転写保護フィルムの基材に対して剥離済みであるから、熱転写保護フィルムに接着していた印画物周囲の保護膜層を切断できずに、印画物周囲に保護膜層が鰭状に繋がって剥離することがない。保護膜層が画像面に熱転写された印画物は排紙トレイ14に排出される。
【0052】
この印画物先端からの剥離操作と排紙操作の完了時においてサーマルヘッド3の位置から先端剥離部までの間に送り込まれた部分に位置する保護膜層はサーマルヘッド3、加圧ロール5にニップされていた部分についても加熱のみの処理がなされた状態にあり再利用できる。この未使用部分を再び加熱ロール位置に巻き戻す為に、その長さに該当した角度だけ加圧ロール5を時計周り方向に回転させた後、停止する。停止後、可動の加圧ロール5は再び非圧着位置に退避する。
【0053】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
(実施例1)
(1)接着層用アクリル系樹脂の作製
攪拌装置、還流冷却器、温度計、窒素吹き込み管の付いた重合容器にトルエンを200質量部仕込んだ。80℃に昇温後、メタクリル酸メチル(MMA)50質量部、アクリル酸2−エチルヘキシル(2EHA)50質量部、及び重合開始剤からなる混合溶液を2時間かけて滴下した。重合開始剤としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリルを使用した。滴下終了後、90℃に昇温し3時間反応させて、アクリル樹脂Aのトルエン溶液を得た。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、32000であった。
【0054】
(2)熱転写保護フィルムの作製
PETフィルム(東洋紡績(株)製:45KM15(商品名);厚さ4.5μm)を耐熱性基材として用いた。該耐熱性基材に対して、塗工液1−1を用いてグラビアコーティングにより約1.5μmの膜厚で表面層を形成した。次に、表面層の上層に塗工液1−2を用いて表面層と同様の方式により約2.0μmの膜厚に接着層を形成した。更に、該PETフィルムの耐熱性及びすべり性を付与する目的で、塗工液1−3を用いて表面層と同様の方式により保護膜層が形成されたPETフィルム基材の反対面に約0.5μmの膜厚で背面層を形成した。更に、背面層の硬化のために45℃で72時間エージングを行った。
【0055】
(塗工液1−1の配合)
約70℃に過熱攪拌しながら下記成分−1をトルエンに溶解し、固形分20質量%に調整した。
成分−1:アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製:ダイヤナール BR−113(商品名);ガラス転移温度=約75℃、重量平均分子量=約30000)。
【0056】
(塗工液1−2の配合)
下記成分−1と成分−2が塗膜乾燥時の残存固形質量比で、以下のようになるように混合し、トルエン、メチルエチルケトンの混合溶液(1:1)を用いて固形分20質量%に調整した。
固形分の質量比:
成分−1:アクリル樹脂A(MMA50質量%と2EHA50質量%の共重合体(上記実施例1の(1)接着層用アクリル系樹脂記載の方法により作製)):90質量部
成分−2:カルナバワックス分散品(エレメンティス・ジャパン(株)製:SL508(商品名)):10質量部
成分−3:シリコーン系レベリング剤(ビックケミー(株)製:BYK−333(商品名)):1質量部。
【0057】
(塗工液1−3の配合)
下記成分−1と成分−2が塗膜乾燥時の残存固形質量比で、以下のようになるように混合し、トルエンにより固形分5質量%に調整した。
固形分の質量比:
成分−1:シリコーン変性アクリル樹脂(東亜合成(株)製:サイマック US−270(商品名)):95質量部
成分−2:ポリイソシアネート架橋剤(日本ポリウレタン工業(株):コロネート HX(商品名)):5質量部。
【0058】
(実施例2)
(1)接着層用アクリル系樹脂の作製
実施例1における樹脂作製と同様の手順により、メタクリル酸メチル(MMA)60質量部、メタクリル酸ラウリル(LMA)40質量部を共重合したアクリル系樹脂Bを得た。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、35000であった。
【0059】
(2)熱転写保護フィルムの作製
接着層として塗工液2−2を用いて作製した以外は、実施例1と同様にして熱転写保護フィルムを得た。
【0060】
(塗工液2−2の配合)
下記成分−1と成分−2が塗膜乾燥時の残存固形質量比で、以下のようになるように混合し、トルエンにより固形分20質量%に調整した。
固形分の質量比:
成分−1:アクリル樹脂B(MMA60質量%とLMA40質量%の共重合体(上記実施例2の(1)接着層用アクリル系樹脂記載の方法により作製)):80質量部
成分−2:カルナバワックス分散品(エレメンティス・ジャパン(株)製:SL508(商品名)):20質量部。
【0061】
(実施例3)
表面層として下記に示す塗工液3−1、接着層として塗工液3−2を用いて作製した以外は、実施例1と同様にして熱転写保護フィルムを得た。
【0062】
(塗工液3−1の配合)
下記成分−1と成分−2が塗膜乾燥時の残存固形質量比で、以下のようになるように混合し、トルエンにより固形分15質量%に調整した。
成分−1:アクリル樹脂(三菱レイヨン(株)製:ダイヤナール LR−186(商品名);ガラス転移温度=約77℃、重量平均分子量=約60000):50質量部
成分−2:紫外線吸収性アクリル樹脂(大塚化学(株)製:PUVA−30M−30T(商品名);紫外線吸収成分:30質量%、重量平均分子量=約10000):50質量部。
【0063】
(塗工液3−2の配合)
下記成分−1と成分−2が塗膜乾燥時の残存固形質量比で、以下のようになるように混合し、トルエンにより固形分20質量%に調整した。
固形分の質量比:
成分−1:コアシェル構造アクリルエマルジョン樹脂(星光化学工業(株)製:ハイロス−X・CT−2058(商品名);アクリル酸2−エチルヘキシルを32質量%含有、シェル部のガラス転移温度=約65℃、重量平均分子量約55000):90質量部
成分−2:カルナバワックス分散品(エレメンティス・ジャパン(株)製:SL535E(商品名)):5質量部
成分−3:高融点ワックス(日華化学(株):NKオイル CS−11(商品名)):5質量部。
【0064】
(実施例4)
接着層として塗工液4−2を用いて作製した以外は、実施例1と同様にして熱転写保護フィルムを得た。
【0065】
(塗工液4−2の配合)
固形分の質量比:
成分−1:コアシェル構造アクリルエマルジョン樹脂(星光化学工業(株)製:ハイロス−X・CT−2079(商品名);アクリル酸2−エチルヘキシルを53質量%含有、シェル部のガラス転移温度=約72℃、重量平均分子量約2700):95質量部
成分−2:高融点ワックス(日華化学(株):NKオイル CS−11(商品名):5質量部。
【0066】
(比較例1)
(1)接着層用アクリル系樹脂の作製
実施例1における樹脂作製と同様の手順により、メタクリル酸メチル(MMA)40質量部、メタクリル酸エチル(EA)60質量部を共重合したアクリル系樹脂Cを得た。得られた重合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、28000であった。
接着層を形成するために塗工液5−2を用いて形成した以外は、実施例1と全く同様にして熱転写保護フィルムを得た。
【0067】
(塗工液5−2の配合)
下記成分−1と成分−2が塗膜乾燥時の残存固形質量比で、以下のようになるように混合し、トルエン、メチルエチルケトンの混合溶液(1:1質量部)を用いて固形分20質量%に調整した。
固形分の質量比:
成分−1:アクリル樹脂C(MMA40質量%とEA60質量%の共重合体(上記比較例1の(1)接着層用アクリル系樹脂記載の方法により作製)):80質量部
成分−2:ソフトポリメリックワックス(エレメンティス・ジャパン(株)製:SL92(商品名)):20質量部。
【0068】
(比較例2)
接着層を形成するために塗工液6−2を用いて形成した以外は、実施例1と全く同様にして熱転写保護フィルムを得た。
【0069】
(塗工液6−2の配合)
下記成分−1と成分−2が塗膜乾燥時の残存固形質量比で、以下のようになるように混合し、純水により固形分20質量%に調整した。
固形分の質量比:
成分−1:コアシェル構造アクリルエマルジョン樹脂(星光化学工業(株)製:ハイロス−X・CT−2029(商品名);アクリル酸ブチルを43質量%含有し、主成分とする。シェル部のガラス転移温度=約63℃、重量平均分子量約70000):80質量部
成分−2:カルナバワックス分散品(エレメンティス・ジャパン(株)製:SL535E):20質量部。
【0070】
(比較例3)
接着層を形成するために塗工液7−2を用いて形成した以外は、実施例1と全く同様にして熱転写保護フィルムを得た。
【0071】
(塗工液7−2の配合)
下記成分−1と成分−2が塗膜乾燥時の残存固形質量比で、以下のようになるように混合し、純水により固形分20質量%に調整した。
固形分の質量比:
成分−1:エチレン酢酸ビニル共重合樹脂(住友化学工業(株)製:スミカフレックス S−400(商品名)):50質量部
成分−2:カルナバワックス分散品(エレメンティス・ジャパン(株)製:SL635E(商品名)):50質量部。
【0072】
(比較例4)
接着層を形成するために塗工液8−2を用いて形成した以外は、実施例1と全く同様にして熱転写保護フィルムを得た。
【0073】
(塗工液8−2の配合)
下記成分−1と成分−2が塗膜乾燥時の残存固形質量比で、以下のようになるように混合し、純水により固形分20質量%に調整した。
固形分の質量比:
成分−1:水系ポリエステル樹脂(日本合成化学工業(株)製:ニチゴウーポリエスターWR−961(商品名);ガラス転移温度=67℃:97質量部
成分−2:シリコーン系レベリング剤(ビックケミー(株)製:BYK−333(商品名)):3質量部。
【0074】
(熱転写処理)
キヤノン(株)製インクジェットペーパーフォト光沢紙GP−301(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタ(商品名:BJ−F870)で印字した。画像はRGBデータとして、(R,G,B)=(0,0,0)を与え、打ち込み可能な最大濃度のブラックの画像を形成する。インクジェットプリント物に対して、以下の条件で熱転写処理を行った。
印画物の搬送速度:50mm/sec
サーマルヘッド印加電圧:16V〜20V(印加周期3msec、デューティ80%)
ニップ加重:40N(200mm幅;2N/cm)。
【0075】
(評価)
(1)熱転写性評価
上記の熱転写処理における印加電圧を16V〜20Vまで1V間隔で変化させ、保護膜の熱転写性について以下のように評価した。
○:80%以上の印加電圧に対して熱転写できる
△:60%以上80%未満の印加電圧に対して熱転写できる
×:60%未満の印加電圧に対して熱転写できる。
【0076】
(2)熱転写処理インクジェット印画物の画像鮮明性の評価
実施例及び比較例で得られた熱転写保護フィルムを用いて、熱転写処理を行った印画物のブラック画像部の色度値を分光側色計により測定した。L*a*b表色系における明度L値の熱転写処理前と処理後の差ΔLにより画像の鮮明性を以下の通り評価した。熱転写処理後のL値の増加は主に、保護膜層の透明性の低下によると考えられる。L*a*bの測定は正反射除去方式で行った。側色計は、ミノルタ(株)製 CM−3610dを使用した。
○:ΔL=0.5未満
△:ΔL=0.5以上、1未満
×:ΔL=1以上。
【0077】
(3)熱転写保護フィルムロールの耐ブロッキング性テスト評価
実施例及び比較例で得られた熱転写保護フィルムロールを温度60℃、湿度50%、保存時間48時間で静置した後、保護膜層の耐ブロッキング性を以下の通り評価した。ここでブロッキングとは、フィルムを剥がした時に保護膜層と背面層が接着してしまい、基材から剥離してしまう状態である。
○:保護膜の剥れなし
×:保護膜の剥れ発生。
【0078】
(評価結果)
上記の実施例及び比較例に対する上記(1)〜(3)の評価結果を表1に示す。
【0079】
【表1】
Figure 2004223901
【0080】
−:測定不能
【0081】
【発明の効果】
本発明における熱転写保護フィルムを用いてインクジェット記録法により形成した画像面上に保護膜層を熱転写形成することで、画像品位、画像の保存性能が特に優れた印画物を得ることが出来る。また、熱転写保護フィルムの耐ブロッキング特性も良好であるため、幅広い環境に対応して使用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における熱転写保護フィルムの層構成の一例を示した概略図である。
【図2】本発明における熱転写保護フィルムを用いて、印画物に保護膜層を熱転写する方法の概略を示す図である。
【符号の説明】
1a 耐熱性基材
1b 表面層
1c 接着層
1p 保護膜層
1 巻出しリール
3 サーマルヘッド
4 ロータリエンコーダ
5 加圧ロール
6 冷却ファン
7a、7b 後端剥離部の固定ガイド
7c 後端剥離部の可動剥離軸
8 先端剥離部のガイド
10 熱転写保護フィルムの巻き取りリール
11 印画物Pのガイド
12 第1の紙通過センサを構成するフォトインタラプタ
13 第2の紙通過センサを構成するフォトインタラプタ
14 排紙トレイ
P 印画物

Claims (1)

  1. 少なくとも耐熱性基材上に剥離可能な保護膜層が形成された記録材の画像保護用の熱転写保護フィルムにおいて、
    該保護膜層は表面層と接着層からなり、
    該表面層と接着層は、耐熱性基材側から表面層と接着層の順に配置され、
    該接着層はアクリル系樹脂を主成分とし、
    該アクリル系樹脂が下記一般式(I)で表される構成単位からなるn≧6のアクリル酸アルキルモノマー及び
    下記一般式(II)で表される構成単位からなるn≧6のメタクリル酸アルキルモノマー
    から選ばれた(メタ)アクリル酸アルキルモノマーの少なくとも1つを含む重合体であることを特徴とする熱転写保護フィルム。
    Figure 2004223901
    Figure 2004223901
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2008018645A (ja) * 2006-07-14 2008-01-31 Fujicopian Co Ltd 保護層転写シート
KR101829714B1 (ko) * 2016-08-26 2018-02-19 최종대 표면보호용 열전사필름 및 그 제조방법
CN109677146A (zh) * 2017-10-18 2019-04-26 王铭贤 热转印膜制造方法及热转印膜

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