JP2004237540A - ラミネートフィルムおよびラミネート方法およびこれを用いたラミネート記録物 - Google Patents
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Abstract
【課題】印画物にサーマルヘッド等の与えられる熱量の小さい熱転写方式によるラミネートによっても画質を損なうことなく半光沢調風合いを付与とすることができるラミネートフィルムを提供すること。同時に印画物に耐光性を付与すること。
【解決手段】基材上に、少なくとも表面層と接着層を有する保護層を積層したラミネートフィルムにおいて、基材の厚さが1.5μm以上10.0μm以下であり、基材の保護層に接する側の表面の、カットオフ値250μmで測定した凹凸の平均間隔(Sm)が10μm以上で、算術平均粗さ(Ra)が0.3μm以上のラミネートフィルムとする。また、保護層に紫外線吸収剤あるいは紫外線吸収基を分子鎖中に有するポリマーを含むラミネートフィルムとする。
【選択図】 図1
【解決手段】基材上に、少なくとも表面層と接着層を有する保護層を積層したラミネートフィルムにおいて、基材の厚さが1.5μm以上10.0μm以下であり、基材の保護層に接する側の表面の、カットオフ値250μmで測定した凹凸の平均間隔(Sm)が10μm以上で、算術平均粗さ(Ra)が0.3μm以上のラミネートフィルムとする。また、保護層に紫外線吸収剤あるいは紫外線吸収基を分子鎖中に有するポリマーを含むラミネートフィルムとする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材上に形成した保護層を印画物の画像面に熱圧着し、画像面上から基材を剥離して画像面上に保護層を形成させることで、印画物に半光沢調印画紙風の風合いを付与する方法に好適なラミネートフィルム、ラミネート方法、およびこれを用いた記録物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
写真画像としては、光沢印画紙に相当する風合いの画像とともに、最近は、半光沢印画紙に相当する風合いの画像の需要がある。インクジェット記録法で用いる記録シートにおいては、インク吸収体自体の光沢性が低く塗布表面の凹凸が大きい非光沢記録シート、あるいは、インク吸収体自体の表面平滑性を高めるあるいは表面をキャスト処理することによって光沢を出した光沢記録シートが一般に提供されている。しかしながら、半光沢記録シートについては、記録シートのインク受容層が微粒子からなるポーラスな層であるため、ミクロには平滑でありながらマクロには凹凸感があるような均一な半光沢面を形成することが難しかった。特許文献1には、マットスーパーロール処理により半光沢調記録シート提供する方法が示されている。しかし、インク吸収性、乾燥性、インクマイグレーション等の性質を適切に有した状態になるように吸収層の材料を調整することは難しかった。
【0003】
一方、電子写真やインクジェットの出力画像に、基材の上に保護層として透明樹脂層を有するラミネートフィルムを熱圧着した後、基材を剥離して、もしくは剥離せずそのまま完成物を得る方法はこれまで広く用いられてきた。
【0004】
最終的に基材を剥離する形態のラミネートフィルムの場合、基材表面の凹凸は、ラミネート後保護層表面に転写される。保護層表面の凹凸が大きくなると、画像の光沢感が失われる。光沢画像では、凹凸による表面粗さを抑えることにより光沢感のある画像を提供している。一方、半光沢調画像を得るためには、逆に画像表面に凹凸がある程度存在することが必要である。しかしながら、凹凸間隔が短い凹凸、特に可視光波長程度以下の間隔の凹凸が多くなると、光が散乱され画像の白濁を招く。また、それより若干間隔の長い凹凸が多い場合では依然散乱が大きいため半光沢ではなくマット調(つや消し調)画像になってしまう。また、逆に間隔の長い凹凸のみが多い場合には、保護層の膜厚が薄いため逆に凹凸感が得られず、光沢画像になってしまう。例えば、特許文献2には、感熱転写用フィルムの支持体表面を粗面化することによってマット調(つや消し調)転写像を得る方法が開示されている。
【0005】
上記のラミネート方法のなかでの加熱方法としてサーマルヘッドを用いる方法は、比較的装置を小型に設計できるという利点があるが、一般にサーマルヘッドから与えられる熱量は、ハロゲンヒーター等を使用した加熱ローラーに比べて小さい。そのため、サーマルヘッドを用いて基材上の保護層を高速で熱圧着し、基材を剥離してもしくは剥離せずそのまま完成印画を得る場合、必要な熱量を減らす目的で基材の厚みを薄くすることが好ましい。
【0006】
しかしながら、上記小型化された装置で半光沢調の画像を得るためのラミネートフィルムについて検討を行ったところ、基材の厚みが大きい場合には半光沢画像になる基材表面の表面粗さであっても、基材の厚みが薄くなると半光沢とならない場合があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−351272号公報
【特許文献2】
特開平5−139063号公報
【特許文献3】
特開平6−073368号公報
【特許文献4】
特開平7−126536号公報
【特許文献5】
特開平9−118720号公報
【特許文献6】
特開平11−348199号公報
【特許文献7】
特開2000−044901号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明で解決しようとする課題は、前述のような問題に鑑み、記録物の画像濃度等の画質を損なうことなく、半光沢調風合いを付与できる薄い基材を有するラミネートフィルムを提供することである。同時に印画物に耐光性を付与することである。また、そのラミネート方法を提供することである。また、記録物の画像濃度等の画質を損なうことなく、半光沢調風合いを付与されたラミネート記録物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下のような手段によって達成可能である。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1]基材上に、少なくとも表面層と接着層を有する保護層を積層したラミネートフィルムにおいて、前記基材の厚さが1.5μm以上10.0μm以下であり、前記基材の保護層に接する側の表面の、カットオフ値250μmで測定した凹凸の平均間隔(Sm)が10μm以上であって、算術平均粗さ(Ra)が0.3μm以上であることを特徴とするラミネートフィルム。
[2]前記基材の保護層に接する側の表面に微粒子を含む層が形成されていることを特徴とする[1]記載のラミネートフィルム。
[3]前記基材の保護層に接する側の表面の算術平均粗さ(Ra)より、前記表面層の厚みの方が大きいことを特徴とする[1]または[2]に記載のラミネートフィルム。
である。さらに、本発明は、
[4]記録物の画像面上に保護層をラミネートするラミネート方法において、[1]〜[3]のいずれかに記載のラミネートフィルムの接着層側から前記記録物の画像面に加熱下で接触させることにより該ラミネートフィルムの保護層と該画像面とを接着する工程と、該画像面に接着した保護層から前記ラミネートフィルムの基材を剥離する工程と、を有することを特徴とするラミネート方法。
[5]前記加熱がサーマルヘッドによる加熱である[4]に記載のラミネート方法。
[6]前記記録物がインクジェット記録法により形成されたものである[4]または[5]に記載のラミネート方法。
である。さらに、本発明は、
[7]ラミネートフィルムを記録物に接着したラミネート記録物において、前記ラミネートフィルムが[1]〜[3]のいずれかに記載のラミネートフィルムであることを特徴とするラミネート記録物。
[8]画像面の75度鏡面光沢度(JIS Z8741)が20〜60%であることを特徴とする[7]記載のラミネート記録物。
である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる、記録部材に保護層をラミネートする方法について説明する。
【0012】
図1に、サーマルヘッドを加熱手段として本発明のラミネートフィルムを用いる記録部材に保護層をラミネートする方法の概略を図示する。図1において、1は、保護層を外側にして巻かれたラミネートフィルム2のロールの巻出しリールである。3はサーマルヘッドである。5は、ラミネートフィルム2をサーマルヘッドに押し付ける加圧ロールであり、その軸上に該ロールの回転量を検知するロータリエンコーダ4を持つ。6は、サーマルヘッド3、加圧ロール5で熱圧着された保護層と印画物Pを冷却する冷却ファンであり、7a、7bは、後端剥離部の固定ガイドであって、軸中心に回動可能に構成されている。7cは、同じく後端剥離部の可動剥離軸であり、ラミネートフィルム2に保護層を介して熱圧着された印画物Pの後端を急速に押し出すことでラミネートフィルム2上の基材上から印画物Pの後端部を保護層が接着した状態で剥離する機能を有する。8は、先端剥離部のガイドでこの間をラミネートフィルム2に保護層を介して圧着された印画物Pが通過する事により、印画物先端がラミネートフィルム2との剛性の違いによりラミネートフィルムの基材に対して剥離する。10は、使用済みラミネートフィルムの巻き取りリールでる。11は、印画物Pのガイド、12は、第1の紙通過センサを構成するフォトインタラプタ、13は第2の紙通過センサを構成するフォトインタラプタである。
【0013】
印画物Pがガイド11に挿入され、第1の紙通過センサ12が紙の「有り」信号を発生するとサーマルヘッド3に加圧ロール5が圧接する。印画物Pはサーマルヘッド3、加圧ロール5により保護層を介してラミネートフィルム2に対して熱圧着する。印画物Pの先端がサーマルヘッドを通過し、更に先端剥離部ガイド8に達すると、急速に折り曲げられたパスにおいて、印画物Pは剛性が高いために折り曲げられずに先端剥離部ガイド8を通過するが、ラミネートフィルム2の基材は折り曲げられたパスに沿って移動する。これによって印画物の先端部がラミネートフィルム2の基材から保護層とともに剥離する。
【0014】
また、印画物後端部が第2の紙通過センサ13を通過後に、所定の長さフィルムが送られたことがロータリエンコーダ4で検知されると、後端剥離部の可動剥離軸7cにより後端剥離を行う。
【0015】
以上によって、後端部が先端剥離部ガイド8を通過するときには、後端部も剥離されているため、印画紙Pの保護層はラミネートフィルムに接着していた印画物周囲の保護層を切断から切断され、保護層が画像面にラミネートされた印画物は排紙トレイ14に排出される。
【0016】
以上、サーマルヘッドを用いたラミネート方法について説明したが、サーマルヘッド3の位置に熱転写ロールを配置したラミネート装置についても、ほぼ同様の方法によってラミネートすることができる。
【0017】
続いて本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図2は本発明にかかるラミネートフィルムの断面図である。本発明のラミネートフィルム2の構成は、基材2a上に保護層2pが積層された構成を有する。保護層2pは、表面層2b、接着層2cが順次積層された構成を有する。このような構成のラミネートフィルムは次のように形成することができる。
【0019】
(基材)
基材としては、印画物の画像面に保護層をラミネートする際における熱圧着条件下で、さらに加熱加圧条件下で形状を安定して維持でき、かつ印画物の画像面上に保護層を形成した段階で、保護層から剥離が容易なものであればよい。このような特性を有する基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと表すことがある)、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートコポリマー、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、アクリル樹脂、ポリエーテルスルフォンなどの材料からなるフィルムやシートなどを用いることができる。
【0020】
その厚みについてはサーマルヘッドで加熱する場合の熱量を減らすことを考慮して1.5μm〜10μmの範囲から選択することができる。厚みの下限は基材の価格とハンドリングのしやすさから規定するのが好ましい。
【0021】
本発明では、ラミネートフィルムの基材の保護層側表面に適切な凹凸を設けることにより、ラミネート処理後の印画物の印画濃度を低下させることなく、半光沢印画紙風の風合いの画像を提供することができる。与えられる熱量の低い転写システムにおいて、転写可能な薄いラミネートフィルムおよび薄い保護層によって半光沢長画像を達成する場合には、特に適切な周期の凹凸が多いことが必要である。これは、具体的には基材の保護層側の表面粗さをカットオフ値250μm程度で測定した場合の凹凸の平均間隔(Sm)が10μm以上であり、この場合凹凸の平均間隔の最大値は、カットオフ値の250μmである。より好ましくは、20μm以上100μm以下である。そして、同時に、基材の保護層側の算術平均粗さ(Ra)が0.3μm以上である。この場合の算術平均粗さの最大値は、表面層の厚さである。そしてより好ましくは、0.4μm以上1.5μm以下の場合である。このような表面粗さを有することによって、画像濃度の低下がない半光沢調画像が得られる。なお、これらの値は、例えば、干渉式3次元形状測定装置、ヘテロダイン干渉式粗さ測定装置、レーザー顕微鏡、触針式形状測定装置、走査型プローブ顕微鏡の手法で測定することができる。但し、被測定物の凹凸を適切に評価できる条件、本発明ではカットオフ値250μmとなる測定条件で測定できることが肝要である。
【0022】
ラミネートフィルムの基材に凹凸をつける方法としては、基材製造中あるいは製造後にエンボスロール等を用いて行う方法、製造後にサンドブラスト法、エッチング法を用いて行う方法等がある。また、基材自体が微粒子を含みその微粒子によって凹凸を形成する方法、また表面に微粒子等を含んだマット層を形成しその後保護層を塗工する方法等もある。
【0023】
本発明では、基材表面の凹凸の平均間隔に比較して算術平均粗さが小さいことが好ましい。このような凹凸を形成する方法としては、エンボスロール法、エッチング法等が好適に用いられる。また、微粒子を含む基材あるいはマット層を用いる場合には、微粒子の形状を適切に選ぶ、あるいは凝集性等を利用することによって、適切な凹凸を形成することができる。基材中に混合する、あるいはマット層に用いる微粒子としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、フェノール樹脂等の高分子樹脂、酸化ケイ素、炭化珪素、アルミナ等が使用可能である。粒径1μm〜5μm程度のものが好適に用いられる。更に、粒径が細かいものを数個以上凝集させて上記粒径となるようにして、使用することも可能である。
【0024】
さらに、セミグロス調の画像面を持つ記録物を得る場合には、光沢度に応じて凹凸の大きさを調節する必要がある。したがって、光沢感の少ない画質を得る場合には、基材剛性等を考え合わせると光沢画像の場合よりも厚い基材を用いることが好ましい場合もある。その場合にはヘッド熱量と考え合わせて決定する必要がある。
【0025】
本発明のラミネートフィルムを印画物に貼り合せた後、基材を剥離すると半光沢調の保護層を有する記録物が得られる。
【0026】
(表面層)
本発明のラミネートフィルムの表面層2bを構成する樹脂材料(ポリマー材料)としては、画像上にラミネートされた状態で保護層としての機能を有し、かつ画像の鑑賞に必要な光透過性などの特性を有する層が形成できるものが用いられる。このような材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の高分子物質を含有する樹脂材料を用いることができる。
【0027】
アクリル系樹脂としては、たとえば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体あるいはこれと共重合可能な他の単量体との共重合体(以下、(メタ)アクリル酸エステル系重合体と表すことがある)が好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」のような表現とは、アクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルを表す。
【0028】
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造に使用することのできる(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは単独で、あるいはこれらと共重合可能な他の単量体と組み合わせて前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造に用いることができる。
【0029】
前記(メタ)アクリル酸エステルと更に共重合可能な他の単量体の具体例としては(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルブチル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基を有する単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有する単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基を有する単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の芳香環を有する単量体;(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を有する単量体;N−アルコキシ基を有する単量体やN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル基を有する単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミド等の、N−アルキロール基を有する単量体;フッ化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体;塩化アリル、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロメチルスチレン等のハロゲン原子が結合した基を有する単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン系単量体などを挙げることができる。
【0030】
前記の反応性の官能基を有する単量体成分を含有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、これらの官能基を利用して部分架橋して用いることも可能である。
【0031】
本発明のラミネートフィルムの表面層2bを構成するのに使用することのできるスチレン系樹脂としては、日信化学工業(株)製ビニブラン2730(商品名)等を挙げることができる。
【0032】
本発明のラミネートフィルムの表面層2bの形成には、たとえば、乳化重合によって製造した前記高分子物質のエマルジョン、前記高分子物質を予め合成しこれを懸濁もしくは乳化して水もしくは水性媒体中に分散した水性分散体(エマルジョンもこの範疇に含まれる)等を用いて調製した樹脂材料の水性分散体を塗工液として用いることができる。また、溶媒に上記樹脂材料を溶解した系の塗工液であっても表面保護の機能を満たせば実用に供することができる。これらのなかでは、前記高分子物質のエマルジョンを用いて調製した樹脂材料の水性分散体を塗工液として用いるのが好ましい。
【0033】
本発明のラミネートフィルムの表面層2bの形成に使用することのできる、前記エマルジョンを用いて調製した樹脂材料の水性分散体は一般的に良く知られた公知の技術により製造することができる。勿論市販の材料を使うことも可能である。
【0034】
本発明のラミネートフィルムの表面層2bの形成は、前記塗工液を、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法、スロットダイコーティング法などにより基材の上に塗工し、乾燥させることにより行うことができる。
【0035】
以上のように形成された表面層2bの上に更に接着層2cを形成することにより、表面層2bおよび接着層2cを有する、本発明のラミネートフィルムの保護層2pを形成することができる。表面層2bの厚みについては、それ自身の内部応力によりクラックが入るのを防止できる膜厚が必要である一方、厚すぎる場合に印画周囲に沿った剥離の性能が阻害されることを考慮して0.5μm〜8μm、より好ましくは1.0μm〜5μmの範囲から選択することができる。また、前述のように光沢感の少ない画像では基材の凹凸を大きくする必要があるが、凹凸の大きい基材に表面層を塗工した場合には、基材の凹凸に比べて表面層の膜厚が薄いと塗工欠陥の原因となり得る。これは表面層物質の粘性、表面張力、表面層物質と基材のぬれ性によって影響をうけるが、概ね基材の凹凸の平均算術粗さよりも膜厚が厚いことが好ましい。
【0036】
(接着層)
本発明のラミネートフィルムの接着層2cも高分子物質のエマルジョンを含有する塗工液を塗布乾燥する事によって形成することができるが、熱圧着時に十分軟化し、あるいは流動性を有し、印画物表面になじむものが好ましい。
【0037】
本発明のラミネートフィルムの接着層2cを構成する接着性樹脂材料として使用することのできる高分子物質としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の高分子物質を挙げることができる。
【0038】
たとえば、アクリル系樹脂の製造に使用することのできるアクリル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、ノニルアクリレートなどのアルキルエステルモノマー、また2−エトキシエチルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレートなどを挙げることができる。
【0039】
前記アクリル系樹脂等の高分子物質を含有する接着性樹脂材料のエマルジョンは一般的に良く知られた公知の技術により製造することができる。
【0040】
本発明のラミネートフィルムの接着層2cの凝集力を調整する上で、メタクリレート系単量体、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドを共重合成分として適宜用いることができる。接着層2cの凝集力を調整する別の手段としては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸のようなカルボキシル基含有単量体を重合体中に導入しこの活性水素を利用してイソシアネート、ブロックイソシアネート、エポキシ等と部分架橋させる方法がある。
【0041】
本発明のラミネートフィルムの接着層2cは、印画物の画像面、例えばインクジェット用の記録媒体における画像が形成されたインク受容層に充分に密着し、かつ接着層2cと画像面との界面に気泡が存在しないように接着するのに必要な層厚を持つのが好ましい。接着層2cの層厚としては1〜8μmが好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。さらにRaが1.0μm以下の光沢面からなる画像面に対するラミネート処理では、接着層2cの層厚は1.0〜3.0μmの範囲から選択することが好ましい。層厚の上限は保護層2pを透過して観察される画像等のシャープさやコストを勘案して定めることができる。また、印画画像表面の凹凸が大きい場合には、接着層の厚さを厚くすることによって充分な密着性を確保できることがある。
【0042】
接着層2cは、ラミネート処理後の画像濃度を上げるための上記のポリマー材料を主材料として、場合によってはカルナバワックスやパラフィンワックス等を配合してもよい。
【0043】
更に、高耐光性のラミネートフィルムについて述べる。本件発明のラミネートフィルムの表面層2b、接着層2cの少なくとも一つの層に対し、適当量の紫外線吸収剤を含ませることによって高耐光性を得ることができる。
【0044】
本発明に使用することのできる紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシフェニル]−s−トリアジン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物を用いることができる。また上記化合物の基本骨格のベンゼン環水素はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基等の置換基によって置換されていても良い。
【0045】
また、紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質を前記紫外線吸収剤に代えて、もしくはこれらと組み合わせて用いることができる。紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質は、揮発やブリードによる性能劣化が起こりにくく好ましい。
【0046】
紫外線吸収基を高分子物質の分子鎖中に導入するには、上記紫外線吸収剤の基本骨格中のベンゼン核に反応性の基を導入した化合物を単量体として用いるのが好ましい。反応性の基の代表的なものとしては、下記式(1)で表される基を挙げることができる。
【0047】
−X−OOCC(−H又は−CH3)=CH2 :(1)
式(1)中のXは炭素数1〜12のアルキレン基、オキシアルキレン基、又は−CH2C(OH)CH2−の2価の基を示す。
【0048】
式(1)で示されるような反応性の基を導入した化合物を単独で重合しまたはこれと共重合可能な他の単量体とを組み合わせて共重合することにより、紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質を得ることができる。
【0049】
このような紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質については、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7等に開示されている。
【0050】
(記録画像)
インクジェット記録法用の印画紙としては光沢紙からマット紙まで、種種の粗さの紙が市販されている。しかしながら、本発明のラミネート法では、ヘッド熱量にあわせて表面層、接着層ともに薄いため、粗さの大きい紙にラミネートすると、接着層と紙表面との間に気泡が入ったり、表面層に亀裂が入ったりするなどして画質を低下させる原因となる。このため、比較的表面の平坦な印画像上にラミネートすることが肝要である。少なくとも、ラミネート基材と同じ方法で表面粗さを測定した場合にその算術平均粗さが、接着層の膜厚と表面層の膜厚の合計よりも小さいことが好ましい。
【0051】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0052】
【実施例】
(実施例1)
《ラミネートフィルム》
塗工液1:JSR(株)製アクリルエマルジョンT371(商品名)(Tg=85℃、固形分含有率40質量%)を塗工液とした。
【0053】
塗工液2:日信化学工業(株)製アクリルエマルジョン2706(商品名)(Tg=21℃、固形分含有率50質量%)を蒸留水に溶解し固形分含有率を40%に調整し塗工液とした。
【0054】
基材1:帝人DuPontフィルム(株)製G2(商品名)PETフィルムを厚み4.5μmにキャスティング/圧延した試作品を準備し耐熱基材とした。そのPETフィルム表面を表面粗さ金属エンボスロール上に熱圧着し凹凸を形成した。レーザー顕微鏡を用いて、測定領域230×300μmで基材PET表面を観察し、カットオフ値250μmで表面粗さを測定した結果を表1に示した。なお、以下の各実施例及び比較例で用いた基材の表面粗さも同様の方法で計測した。
【0055】
基材1の凹凸処理面に、塗工液1を乾燥膜厚1.2μmとなるようにスロットダイコーティング法により塗工し乾燥して表面層を形成した後、塗工液2を乾燥膜厚2μmとなるように塗工し乾燥して接着層を形成し、ラミネートフィルムを得た。
《印画物の作成》
コニカ製インクジェットペーパーPhotolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタBJ−F870(商品名)で印字した。画像はRGBデータとして、(R,G,B)=(0,0,0)を与え、打ち込み可能な最大濃度のブラックの画像を形成した。また耐光性評価用にイエロー、マゼンタ、シアンの単色パッチを形成した。印画画像表面の粗さは、ラミネート基材と同様にレーザー顕微鏡で測定領域230×300μmで表面を観察し、カットオフ値250μmで表面粗さを測定した結果、0.3μmだった。
《印画物のラミネート処理》
インクジェットプリント印画物に対し、図1に図示のラミネーターにてラミネート処理を行った。
《画質評価―光沢度》
保護層が画像面にラミネートされた印画物の画像面の75度光沢度を、JIS−Z8741規格の日本電色社製Glossmeter VG2000(商品名)を用いて測定した。
評価基準
○:75度光沢度が20〜60%である。
×:75度光沢度が上記以外である。
【0056】
(実施例2)
《ラミネートフィルム》
基材2:帝人DuPontフィルム(株)製G2(商品名)PETフィルムを厚み4.5μmにキャスティング/圧延した試作品を準備し耐熱基材とした。PETフィルム表面にシリカ微粒子を含む大日精化製セイカビームEXY−10(2N−NS)(商品名)と微粒子を含まないセイカビームEXY−10(NS)(商品名)を1:1で混合し、平均膜厚2μmとなるように塗工した。
【0057】
基材2に実施例1と同様に保護層および接着層を形成した。
《印画物およびそのラミネート処理および評価》
実施例1と同様にコニカ製インクジェットペーパー Photolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタBJ−F870(商品名)で印字した後に、図1のラミネーターでラミネートし、光沢度を測定した。
【0058】
(比較例1)
《ラミネートフィルム》
基材3:帝人DuPontフィルム(株)製G2(商品名)PETフィルムを厚み4.5μmにキャスティング/圧延した試作品を耐熱基材とし、この基材に実施例1と同様に保護層および接着層を形成した。
《印画物およびそのラミネート処理および評価》
実施例1と同様にコニカ製インクジェットペーパー Photolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタBJ−F870(商品名)で印字した後に、図1のラミネーターでラミネートし、光沢度を測定した。
【0059】
(比較例2)
《ラミネートフィルム》
基材4:帝人DuPontフィルム(株)製G2(商品名)PETフィルムを厚み7.5μmにキャスティング/圧延した試作品を耐熱基材とし、その片面をサンドブラスト法により凹凸を形成した。
【0060】
基材4に実施例1と同様に保護層および接着層を形成した。
《印画物およびそのラミネート処理および評価》
実施例1と同様にコニカ製インクジェットペーパー Photolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタBJ−F870(商品名)で印字した後に、図1のラミネーターでラミネートし、光沢度を測定した。
【0061】
(実施例3)
《ラミネートフィルム》
塗工液3:大塚化学(株)製高分子紫外線吸収材PUVA 30M(商品名)(Tg=90℃)をトルエンに溶解し固形分含有率を25%に調整し塗工液3とした。前記耐熱基材1にまず塗工液3を乾燥膜厚1.2μmとなるようにスロットダイコーティング法により塗工し乾燥して表面層を形成後、塗工液2を乾燥膜厚2μmとなるように塗工し乾燥して接着層を形成し、ラミネートフィルムを得た。
《印画物およびそのラミネート処理および評価》
実施例1と同様にコニカ製インクジェットペーパー Photolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタBJ−F870(商品名)で印字した後に、図1のラミネーターでラミネートし、光沢度を測定した。
【0062】
実施例1〜3及び比較例1〜2で用いた基材のSm、Raの値を表1にまとめた。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたラミネートされた記録画像の光沢度の値を表2にまとめた。
【0065】
【表2】
【0066】
このように、本発明に基づく実施例1〜3においては光沢度が20〜60%となっており、目的とする半光沢調印画像を発現できた。
【0067】
実施例3で作製した印画像の耐光性評価として、アトラスフェードメータ(キセノンアーク)を用い100時間暴露後の残存濃度を測定したところ、すべての単色パッチのインク色で70%以上保持されており耐光性が保持されていた。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、基材上に保護層を形成した本発明のラミネートフィルムはラミネート処理後に記録像の濃度の低下、白濁等の画質の劣化を起すことなく、半光沢調の印画像を発現できる。特に、写真等の画像において半光沢調印画紙風の風合いを好適に付与することが出来る。また、そのラミネート方法を提供できる。更に、このラミネートフィルムの保護層を形成する表面層、接着層の少なくとも一層の構成材料中に紫外線吸収剤または紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質を配合することにより十分な耐光性を持つラミネートフィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラミネートフィルムを用いて、印画物にラミネートフィルムの保護層をラミネートする装置の模式的概略図である。
【図2】本発明のラミネートフィルムの模式的断面図である。
【符号の説明】
1 巻出しリール
2 ラミネートフィルム
2a 基材
2b 表面層
2c 接着層
2p 保護層
3 サーマルヘッド
4 ロータリエンコーダ
5 加圧ロール
6 冷却ファン
7a、7b 後端剥離部の固定ガイド
7c 後端剥離部の可動剥離軸
8 先端剥離部のガイド
10 ラミネートフィルム2の巻き取りリール
11 印画物Pのガイド
12 第1の紙通過センサを構成するフォトインタラプタ
13 第2の紙通過センサを構成するフォトインタラプタ
14 排紙トレイ
P 印画物
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材上に形成した保護層を印画物の画像面に熱圧着し、画像面上から基材を剥離して画像面上に保護層を形成させることで、印画物に半光沢調印画紙風の風合いを付与する方法に好適なラミネートフィルム、ラミネート方法、およびこれを用いた記録物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
写真画像としては、光沢印画紙に相当する風合いの画像とともに、最近は、半光沢印画紙に相当する風合いの画像の需要がある。インクジェット記録法で用いる記録シートにおいては、インク吸収体自体の光沢性が低く塗布表面の凹凸が大きい非光沢記録シート、あるいは、インク吸収体自体の表面平滑性を高めるあるいは表面をキャスト処理することによって光沢を出した光沢記録シートが一般に提供されている。しかしながら、半光沢記録シートについては、記録シートのインク受容層が微粒子からなるポーラスな層であるため、ミクロには平滑でありながらマクロには凹凸感があるような均一な半光沢面を形成することが難しかった。特許文献1には、マットスーパーロール処理により半光沢調記録シート提供する方法が示されている。しかし、インク吸収性、乾燥性、インクマイグレーション等の性質を適切に有した状態になるように吸収層の材料を調整することは難しかった。
【0003】
一方、電子写真やインクジェットの出力画像に、基材の上に保護層として透明樹脂層を有するラミネートフィルムを熱圧着した後、基材を剥離して、もしくは剥離せずそのまま完成物を得る方法はこれまで広く用いられてきた。
【0004】
最終的に基材を剥離する形態のラミネートフィルムの場合、基材表面の凹凸は、ラミネート後保護層表面に転写される。保護層表面の凹凸が大きくなると、画像の光沢感が失われる。光沢画像では、凹凸による表面粗さを抑えることにより光沢感のある画像を提供している。一方、半光沢調画像を得るためには、逆に画像表面に凹凸がある程度存在することが必要である。しかしながら、凹凸間隔が短い凹凸、特に可視光波長程度以下の間隔の凹凸が多くなると、光が散乱され画像の白濁を招く。また、それより若干間隔の長い凹凸が多い場合では依然散乱が大きいため半光沢ではなくマット調(つや消し調)画像になってしまう。また、逆に間隔の長い凹凸のみが多い場合には、保護層の膜厚が薄いため逆に凹凸感が得られず、光沢画像になってしまう。例えば、特許文献2には、感熱転写用フィルムの支持体表面を粗面化することによってマット調(つや消し調)転写像を得る方法が開示されている。
【0005】
上記のラミネート方法のなかでの加熱方法としてサーマルヘッドを用いる方法は、比較的装置を小型に設計できるという利点があるが、一般にサーマルヘッドから与えられる熱量は、ハロゲンヒーター等を使用した加熱ローラーに比べて小さい。そのため、サーマルヘッドを用いて基材上の保護層を高速で熱圧着し、基材を剥離してもしくは剥離せずそのまま完成印画を得る場合、必要な熱量を減らす目的で基材の厚みを薄くすることが好ましい。
【0006】
しかしながら、上記小型化された装置で半光沢調の画像を得るためのラミネートフィルムについて検討を行ったところ、基材の厚みが大きい場合には半光沢画像になる基材表面の表面粗さであっても、基材の厚みが薄くなると半光沢とならない場合があった。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−351272号公報
【特許文献2】
特開平5−139063号公報
【特許文献3】
特開平6−073368号公報
【特許文献4】
特開平7−126536号公報
【特許文献5】
特開平9−118720号公報
【特許文献6】
特開平11−348199号公報
【特許文献7】
特開2000−044901号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明で解決しようとする課題は、前述のような問題に鑑み、記録物の画像濃度等の画質を損なうことなく、半光沢調風合いを付与できる薄い基材を有するラミネートフィルムを提供することである。同時に印画物に耐光性を付与することである。また、そのラミネート方法を提供することである。また、記録物の画像濃度等の画質を損なうことなく、半光沢調風合いを付与されたラミネート記録物を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下のような手段によって達成可能である。
【0010】
すなわち、本発明は、
[1]基材上に、少なくとも表面層と接着層を有する保護層を積層したラミネートフィルムにおいて、前記基材の厚さが1.5μm以上10.0μm以下であり、前記基材の保護層に接する側の表面の、カットオフ値250μmで測定した凹凸の平均間隔(Sm)が10μm以上であって、算術平均粗さ(Ra)が0.3μm以上であることを特徴とするラミネートフィルム。
[2]前記基材の保護層に接する側の表面に微粒子を含む層が形成されていることを特徴とする[1]記載のラミネートフィルム。
[3]前記基材の保護層に接する側の表面の算術平均粗さ(Ra)より、前記表面層の厚みの方が大きいことを特徴とする[1]または[2]に記載のラミネートフィルム。
である。さらに、本発明は、
[4]記録物の画像面上に保護層をラミネートするラミネート方法において、[1]〜[3]のいずれかに記載のラミネートフィルムの接着層側から前記記録物の画像面に加熱下で接触させることにより該ラミネートフィルムの保護層と該画像面とを接着する工程と、該画像面に接着した保護層から前記ラミネートフィルムの基材を剥離する工程と、を有することを特徴とするラミネート方法。
[5]前記加熱がサーマルヘッドによる加熱である[4]に記載のラミネート方法。
[6]前記記録物がインクジェット記録法により形成されたものである[4]または[5]に記載のラミネート方法。
である。さらに、本発明は、
[7]ラミネートフィルムを記録物に接着したラミネート記録物において、前記ラミネートフィルムが[1]〜[3]のいずれかに記載のラミネートフィルムであることを特徴とするラミネート記録物。
[8]画像面の75度鏡面光沢度(JIS Z8741)が20〜60%であることを特徴とする[7]記載のラミネート記録物。
である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明に係わる、記録部材に保護層をラミネートする方法について説明する。
【0012】
図1に、サーマルヘッドを加熱手段として本発明のラミネートフィルムを用いる記録部材に保護層をラミネートする方法の概略を図示する。図1において、1は、保護層を外側にして巻かれたラミネートフィルム2のロールの巻出しリールである。3はサーマルヘッドである。5は、ラミネートフィルム2をサーマルヘッドに押し付ける加圧ロールであり、その軸上に該ロールの回転量を検知するロータリエンコーダ4を持つ。6は、サーマルヘッド3、加圧ロール5で熱圧着された保護層と印画物Pを冷却する冷却ファンであり、7a、7bは、後端剥離部の固定ガイドであって、軸中心に回動可能に構成されている。7cは、同じく後端剥離部の可動剥離軸であり、ラミネートフィルム2に保護層を介して熱圧着された印画物Pの後端を急速に押し出すことでラミネートフィルム2上の基材上から印画物Pの後端部を保護層が接着した状態で剥離する機能を有する。8は、先端剥離部のガイドでこの間をラミネートフィルム2に保護層を介して圧着された印画物Pが通過する事により、印画物先端がラミネートフィルム2との剛性の違いによりラミネートフィルムの基材に対して剥離する。10は、使用済みラミネートフィルムの巻き取りリールでる。11は、印画物Pのガイド、12は、第1の紙通過センサを構成するフォトインタラプタ、13は第2の紙通過センサを構成するフォトインタラプタである。
【0013】
印画物Pがガイド11に挿入され、第1の紙通過センサ12が紙の「有り」信号を発生するとサーマルヘッド3に加圧ロール5が圧接する。印画物Pはサーマルヘッド3、加圧ロール5により保護層を介してラミネートフィルム2に対して熱圧着する。印画物Pの先端がサーマルヘッドを通過し、更に先端剥離部ガイド8に達すると、急速に折り曲げられたパスにおいて、印画物Pは剛性が高いために折り曲げられずに先端剥離部ガイド8を通過するが、ラミネートフィルム2の基材は折り曲げられたパスに沿って移動する。これによって印画物の先端部がラミネートフィルム2の基材から保護層とともに剥離する。
【0014】
また、印画物後端部が第2の紙通過センサ13を通過後に、所定の長さフィルムが送られたことがロータリエンコーダ4で検知されると、後端剥離部の可動剥離軸7cにより後端剥離を行う。
【0015】
以上によって、後端部が先端剥離部ガイド8を通過するときには、後端部も剥離されているため、印画紙Pの保護層はラミネートフィルムに接着していた印画物周囲の保護層を切断から切断され、保護層が画像面にラミネートされた印画物は排紙トレイ14に排出される。
【0016】
以上、サーマルヘッドを用いたラミネート方法について説明したが、サーマルヘッド3の位置に熱転写ロールを配置したラミネート装置についても、ほぼ同様の方法によってラミネートすることができる。
【0017】
続いて本発明の実施形態を説明する。
【0018】
図2は本発明にかかるラミネートフィルムの断面図である。本発明のラミネートフィルム2の構成は、基材2a上に保護層2pが積層された構成を有する。保護層2pは、表面層2b、接着層2cが順次積層された構成を有する。このような構成のラミネートフィルムは次のように形成することができる。
【0019】
(基材)
基材としては、印画物の画像面に保護層をラミネートする際における熱圧着条件下で、さらに加熱加圧条件下で形状を安定して維持でき、かつ印画物の画像面上に保護層を形成した段階で、保護層から剥離が容易なものであればよい。このような特性を有する基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと表すことがある)、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレートコポリマー、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリイミド、トリアセチルセルロース、ポリ塩化ビニル、塩化ビニリデン・塩化ビニルコポリマー、アクリル樹脂、ポリエーテルスルフォンなどの材料からなるフィルムやシートなどを用いることができる。
【0020】
その厚みについてはサーマルヘッドで加熱する場合の熱量を減らすことを考慮して1.5μm〜10μmの範囲から選択することができる。厚みの下限は基材の価格とハンドリングのしやすさから規定するのが好ましい。
【0021】
本発明では、ラミネートフィルムの基材の保護層側表面に適切な凹凸を設けることにより、ラミネート処理後の印画物の印画濃度を低下させることなく、半光沢印画紙風の風合いの画像を提供することができる。与えられる熱量の低い転写システムにおいて、転写可能な薄いラミネートフィルムおよび薄い保護層によって半光沢長画像を達成する場合には、特に適切な周期の凹凸が多いことが必要である。これは、具体的には基材の保護層側の表面粗さをカットオフ値250μm程度で測定した場合の凹凸の平均間隔(Sm)が10μm以上であり、この場合凹凸の平均間隔の最大値は、カットオフ値の250μmである。より好ましくは、20μm以上100μm以下である。そして、同時に、基材の保護層側の算術平均粗さ(Ra)が0.3μm以上である。この場合の算術平均粗さの最大値は、表面層の厚さである。そしてより好ましくは、0.4μm以上1.5μm以下の場合である。このような表面粗さを有することによって、画像濃度の低下がない半光沢調画像が得られる。なお、これらの値は、例えば、干渉式3次元形状測定装置、ヘテロダイン干渉式粗さ測定装置、レーザー顕微鏡、触針式形状測定装置、走査型プローブ顕微鏡の手法で測定することができる。但し、被測定物の凹凸を適切に評価できる条件、本発明ではカットオフ値250μmとなる測定条件で測定できることが肝要である。
【0022】
ラミネートフィルムの基材に凹凸をつける方法としては、基材製造中あるいは製造後にエンボスロール等を用いて行う方法、製造後にサンドブラスト法、エッチング法を用いて行う方法等がある。また、基材自体が微粒子を含みその微粒子によって凹凸を形成する方法、また表面に微粒子等を含んだマット層を形成しその後保護層を塗工する方法等もある。
【0023】
本発明では、基材表面の凹凸の平均間隔に比較して算術平均粗さが小さいことが好ましい。このような凹凸を形成する方法としては、エンボスロール法、エッチング法等が好適に用いられる。また、微粒子を含む基材あるいはマット層を用いる場合には、微粒子の形状を適切に選ぶ、あるいは凝集性等を利用することによって、適切な凹凸を形成することができる。基材中に混合する、あるいはマット層に用いる微粒子としては、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリアミド、フェノール樹脂等の高分子樹脂、酸化ケイ素、炭化珪素、アルミナ等が使用可能である。粒径1μm〜5μm程度のものが好適に用いられる。更に、粒径が細かいものを数個以上凝集させて上記粒径となるようにして、使用することも可能である。
【0024】
さらに、セミグロス調の画像面を持つ記録物を得る場合には、光沢度に応じて凹凸の大きさを調節する必要がある。したがって、光沢感の少ない画質を得る場合には、基材剛性等を考え合わせると光沢画像の場合よりも厚い基材を用いることが好ましい場合もある。その場合にはヘッド熱量と考え合わせて決定する必要がある。
【0025】
本発明のラミネートフィルムを印画物に貼り合せた後、基材を剥離すると半光沢調の保護層を有する記録物が得られる。
【0026】
(表面層)
本発明のラミネートフィルムの表面層2bを構成する樹脂材料(ポリマー材料)としては、画像上にラミネートされた状態で保護層としての機能を有し、かつ画像の鑑賞に必要な光透過性などの特性を有する層が形成できるものが用いられる。このような材料としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、塩化ビニル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂等の高分子物質を含有する樹脂材料を用いることができる。
【0027】
アクリル系樹脂としては、たとえば、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体あるいはこれと共重合可能な他の単量体との共重合体(以下、(メタ)アクリル酸エステル系重合体と表すことがある)が好ましい。なお、「(メタ)アクリル酸エステル」のような表現とは、アクリル酸エステルまたはメタアクリル酸エステルを表す。
【0028】
前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造に使用することのできる(メタ)アクリル酸エステルの具体例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸−n−オクチル、(メタ)アクリル酸−2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸ラウリル等を挙げることができる。これらの(メタ)アクリル酸エステルは単独で、あるいはこれらと共重合可能な他の単量体と組み合わせて前記(メタ)アクリル酸エステル系重合体の製造に用いることができる。
【0029】
前記(メタ)アクリル酸エステルと更に共重合可能な他の単量体の具体例としては(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等の不飽和カルボン酸;(メタ)アクリル酸ヒドロキシルエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルプロピル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシルブチル等の水酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸メトキシエチル、(メタ)アクリル酸エトキシエチルなどのアルコキシ基を有する単量体;(メタ)アクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基を有する単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアノ基を有する単量体;スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系単量体;(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ベンジル等の芳香環を有する単量体;(メタ)アクリルアミドなどのアミド基を有する単量体;N−アルコキシ基を有する単量体やN−メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN−アルコキシアルキル基を有する単量体;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ブチロール(メタ)アクリルアミド等の、N−アルキロール基を有する単量体;フッ化ビニル、塩化ビニル、臭化ビニル等のハロゲン化ビニル系単量体;塩化アリル、2−クロロエチル(メタ)アクリレート、クロロメチルスチレン等のハロゲン原子が結合した基を有する単量体;エチレン、プロピレン、ブタジエン等のオレフィン系単量体などを挙げることができる。
【0030】
前記の反応性の官能基を有する単量体成分を含有する(メタ)アクリル酸エステル系重合体は、これらの官能基を利用して部分架橋して用いることも可能である。
【0031】
本発明のラミネートフィルムの表面層2bを構成するのに使用することのできるスチレン系樹脂としては、日信化学工業(株)製ビニブラン2730(商品名)等を挙げることができる。
【0032】
本発明のラミネートフィルムの表面層2bの形成には、たとえば、乳化重合によって製造した前記高分子物質のエマルジョン、前記高分子物質を予め合成しこれを懸濁もしくは乳化して水もしくは水性媒体中に分散した水性分散体(エマルジョンもこの範疇に含まれる)等を用いて調製した樹脂材料の水性分散体を塗工液として用いることができる。また、溶媒に上記樹脂材料を溶解した系の塗工液であっても表面保護の機能を満たせば実用に供することができる。これらのなかでは、前記高分子物質のエマルジョンを用いて調製した樹脂材料の水性分散体を塗工液として用いるのが好ましい。
【0033】
本発明のラミネートフィルムの表面層2bの形成に使用することのできる、前記エマルジョンを用いて調製した樹脂材料の水性分散体は一般的に良く知られた公知の技術により製造することができる。勿論市販の材料を使うことも可能である。
【0034】
本発明のラミネートフィルムの表面層2bの形成は、前記塗工液を、ロールコーティング法、ロッドバーコーティング法、スプレーコーティング法、エアナイフコーティング法、スロットダイコーティング法などにより基材の上に塗工し、乾燥させることにより行うことができる。
【0035】
以上のように形成された表面層2bの上に更に接着層2cを形成することにより、表面層2bおよび接着層2cを有する、本発明のラミネートフィルムの保護層2pを形成することができる。表面層2bの厚みについては、それ自身の内部応力によりクラックが入るのを防止できる膜厚が必要である一方、厚すぎる場合に印画周囲に沿った剥離の性能が阻害されることを考慮して0.5μm〜8μm、より好ましくは1.0μm〜5μmの範囲から選択することができる。また、前述のように光沢感の少ない画像では基材の凹凸を大きくする必要があるが、凹凸の大きい基材に表面層を塗工した場合には、基材の凹凸に比べて表面層の膜厚が薄いと塗工欠陥の原因となり得る。これは表面層物質の粘性、表面張力、表面層物質と基材のぬれ性によって影響をうけるが、概ね基材の凹凸の平均算術粗さよりも膜厚が厚いことが好ましい。
【0036】
(接着層)
本発明のラミネートフィルムの接着層2cも高分子物質のエマルジョンを含有する塗工液を塗布乾燥する事によって形成することができるが、熱圧着時に十分軟化し、あるいは流動性を有し、印画物表面になじむものが好ましい。
【0037】
本発明のラミネートフィルムの接着層2cを構成する接着性樹脂材料として使用することのできる高分子物質としては、アクリル系樹脂、酢酸ビニル系樹脂、塩化ビニル系樹脂、エチレン/酢酸ビニル共重合樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂等の高分子物質を挙げることができる。
【0038】
たとえば、アクリル系樹脂の製造に使用することのできるアクリル系単量体としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、2−エチルへキシルアクリレート、ノニルアクリレートなどのアルキルエステルモノマー、また2−エトキシエチルアクリレート、3−エトキシプロピルアクリレートなどのアルコキシアルキルアクリレートなどを挙げることができる。
【0039】
前記アクリル系樹脂等の高分子物質を含有する接着性樹脂材料のエマルジョンは一般的に良く知られた公知の技術により製造することができる。
【0040】
本発明のラミネートフィルムの接着層2cの凝集力を調整する上で、メタクリレート系単量体、酢酸ビニル、スチレン、アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミドを共重合成分として適宜用いることができる。接着層2cの凝集力を調整する別の手段としては2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有単量体、(メタ)アクリル酸のようなカルボキシル基含有単量体を重合体中に導入しこの活性水素を利用してイソシアネート、ブロックイソシアネート、エポキシ等と部分架橋させる方法がある。
【0041】
本発明のラミネートフィルムの接着層2cは、印画物の画像面、例えばインクジェット用の記録媒体における画像が形成されたインク受容層に充分に密着し、かつ接着層2cと画像面との界面に気泡が存在しないように接着するのに必要な層厚を持つのが好ましい。接着層2cの層厚としては1〜8μmが好ましく、1〜5μmがさらに好ましい。さらにRaが1.0μm以下の光沢面からなる画像面に対するラミネート処理では、接着層2cの層厚は1.0〜3.0μmの範囲から選択することが好ましい。層厚の上限は保護層2pを透過して観察される画像等のシャープさやコストを勘案して定めることができる。また、印画画像表面の凹凸が大きい場合には、接着層の厚さを厚くすることによって充分な密着性を確保できることがある。
【0042】
接着層2cは、ラミネート処理後の画像濃度を上げるための上記のポリマー材料を主材料として、場合によってはカルナバワックスやパラフィンワックス等を配合してもよい。
【0043】
更に、高耐光性のラミネートフィルムについて述べる。本件発明のラミネートフィルムの表面層2b、接着層2cの少なくとも一つの層に対し、適当量の紫外線吸収剤を含ませることによって高耐光性を得ることができる。
【0044】
本発明に使用することのできる紫外線吸収剤としては、2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール系化合物、2−ヒドロキシベンゾフェノン系化合物、2,4−ジフェニル−6−[2−ヒドロキシフェニル]−s−トリアジン系化合物、サリシレート系化合物、シアノアクリレート系化合物を用いることができる。また上記化合物の基本骨格のベンゼン環水素はハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、水酸基等の置換基によって置換されていても良い。
【0045】
また、紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質を前記紫外線吸収剤に代えて、もしくはこれらと組み合わせて用いることができる。紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質は、揮発やブリードによる性能劣化が起こりにくく好ましい。
【0046】
紫外線吸収基を高分子物質の分子鎖中に導入するには、上記紫外線吸収剤の基本骨格中のベンゼン核に反応性の基を導入した化合物を単量体として用いるのが好ましい。反応性の基の代表的なものとしては、下記式(1)で表される基を挙げることができる。
【0047】
−X−OOCC(−H又は−CH3)=CH2 :(1)
式(1)中のXは炭素数1〜12のアルキレン基、オキシアルキレン基、又は−CH2C(OH)CH2−の2価の基を示す。
【0048】
式(1)で示されるような反応性の基を導入した化合物を単独で重合しまたはこれと共重合可能な他の単量体とを組み合わせて共重合することにより、紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質を得ることができる。
【0049】
このような紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質については、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7等に開示されている。
【0050】
(記録画像)
インクジェット記録法用の印画紙としては光沢紙からマット紙まで、種種の粗さの紙が市販されている。しかしながら、本発明のラミネート法では、ヘッド熱量にあわせて表面層、接着層ともに薄いため、粗さの大きい紙にラミネートすると、接着層と紙表面との間に気泡が入ったり、表面層に亀裂が入ったりするなどして画質を低下させる原因となる。このため、比較的表面の平坦な印画像上にラミネートすることが肝要である。少なくとも、ラミネート基材と同じ方法で表面粗さを測定した場合にその算術平均粗さが、接着層の膜厚と表面層の膜厚の合計よりも小さいことが好ましい。
【0051】
以下に、実施例及び比較例を挙げて、本発明を具体的に説明する。
【0052】
【実施例】
(実施例1)
《ラミネートフィルム》
塗工液1:JSR(株)製アクリルエマルジョンT371(商品名)(Tg=85℃、固形分含有率40質量%)を塗工液とした。
【0053】
塗工液2:日信化学工業(株)製アクリルエマルジョン2706(商品名)(Tg=21℃、固形分含有率50質量%)を蒸留水に溶解し固形分含有率を40%に調整し塗工液とした。
【0054】
基材1:帝人DuPontフィルム(株)製G2(商品名)PETフィルムを厚み4.5μmにキャスティング/圧延した試作品を準備し耐熱基材とした。そのPETフィルム表面を表面粗さ金属エンボスロール上に熱圧着し凹凸を形成した。レーザー顕微鏡を用いて、測定領域230×300μmで基材PET表面を観察し、カットオフ値250μmで表面粗さを測定した結果を表1に示した。なお、以下の各実施例及び比較例で用いた基材の表面粗さも同様の方法で計測した。
【0055】
基材1の凹凸処理面に、塗工液1を乾燥膜厚1.2μmとなるようにスロットダイコーティング法により塗工し乾燥して表面層を形成した後、塗工液2を乾燥膜厚2μmとなるように塗工し乾燥して接着層を形成し、ラミネートフィルムを得た。
《印画物の作成》
コニカ製インクジェットペーパーPhotolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタBJ−F870(商品名)で印字した。画像はRGBデータとして、(R,G,B)=(0,0,0)を与え、打ち込み可能な最大濃度のブラックの画像を形成した。また耐光性評価用にイエロー、マゼンタ、シアンの単色パッチを形成した。印画画像表面の粗さは、ラミネート基材と同様にレーザー顕微鏡で測定領域230×300μmで表面を観察し、カットオフ値250μmで表面粗さを測定した結果、0.3μmだった。
《印画物のラミネート処理》
インクジェットプリント印画物に対し、図1に図示のラミネーターにてラミネート処理を行った。
《画質評価―光沢度》
保護層が画像面にラミネートされた印画物の画像面の75度光沢度を、JIS−Z8741規格の日本電色社製Glossmeter VG2000(商品名)を用いて測定した。
評価基準
○:75度光沢度が20〜60%である。
×:75度光沢度が上記以外である。
【0056】
(実施例2)
《ラミネートフィルム》
基材2:帝人DuPontフィルム(株)製G2(商品名)PETフィルムを厚み4.5μmにキャスティング/圧延した試作品を準備し耐熱基材とした。PETフィルム表面にシリカ微粒子を含む大日精化製セイカビームEXY−10(2N−NS)(商品名)と微粒子を含まないセイカビームEXY−10(NS)(商品名)を1:1で混合し、平均膜厚2μmとなるように塗工した。
【0057】
基材2に実施例1と同様に保護層および接着層を形成した。
《印画物およびそのラミネート処理および評価》
実施例1と同様にコニカ製インクジェットペーパー Photolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタBJ−F870(商品名)で印字した後に、図1のラミネーターでラミネートし、光沢度を測定した。
【0058】
(比較例1)
《ラミネートフィルム》
基材3:帝人DuPontフィルム(株)製G2(商品名)PETフィルムを厚み4.5μmにキャスティング/圧延した試作品を耐熱基材とし、この基材に実施例1と同様に保護層および接着層を形成した。
《印画物およびそのラミネート処理および評価》
実施例1と同様にコニカ製インクジェットペーパー Photolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタBJ−F870(商品名)で印字した後に、図1のラミネーターでラミネートし、光沢度を測定した。
【0059】
(比較例2)
《ラミネートフィルム》
基材4:帝人DuPontフィルム(株)製G2(商品名)PETフィルムを厚み7.5μmにキャスティング/圧延した試作品を耐熱基材とし、その片面をサンドブラスト法により凹凸を形成した。
【0060】
基材4に実施例1と同様に保護層および接着層を形成した。
《印画物およびそのラミネート処理および評価》
実施例1と同様にコニカ製インクジェットペーパー Photolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタBJ−F870(商品名)で印字した後に、図1のラミネーターでラミネートし、光沢度を測定した。
【0061】
(実施例3)
《ラミネートフィルム》
塗工液3:大塚化学(株)製高分子紫外線吸収材PUVA 30M(商品名)(Tg=90℃)をトルエンに溶解し固形分含有率を25%に調整し塗工液3とした。前記耐熱基材1にまず塗工液3を乾燥膜厚1.2μmとなるようにスロットダイコーティング法により塗工し乾燥して表面層を形成後、塗工液2を乾燥膜厚2μmとなるように塗工し乾燥して接着層を形成し、ラミネートフィルムを得た。
《印画物およびそのラミネート処理および評価》
実施例1と同様にコニカ製インクジェットペーパー Photolike QP(商品名)にキヤノン製インクジェットプリンタBJ−F870(商品名)で印字した後に、図1のラミネーターでラミネートし、光沢度を測定した。
【0062】
実施例1〜3及び比較例1〜2で用いた基材のSm、Raの値を表1にまとめた。
【0063】
【表1】
【0064】
実施例1〜3及び比較例1〜2で得られたラミネートされた記録画像の光沢度の値を表2にまとめた。
【0065】
【表2】
【0066】
このように、本発明に基づく実施例1〜3においては光沢度が20〜60%となっており、目的とする半光沢調印画像を発現できた。
【0067】
実施例3で作製した印画像の耐光性評価として、アトラスフェードメータ(キセノンアーク)を用い100時間暴露後の残存濃度を測定したところ、すべての単色パッチのインク色で70%以上保持されており耐光性が保持されていた。
【0068】
【発明の効果】
本発明によれば、基材上に保護層を形成した本発明のラミネートフィルムはラミネート処理後に記録像の濃度の低下、白濁等の画質の劣化を起すことなく、半光沢調の印画像を発現できる。特に、写真等の画像において半光沢調印画紙風の風合いを好適に付与することが出来る。また、そのラミネート方法を提供できる。更に、このラミネートフィルムの保護層を形成する表面層、接着層の少なくとも一層の構成材料中に紫外線吸収剤または紫外線吸収基を分子鎖中に有する高分子物質を配合することにより十分な耐光性を持つラミネートフィルムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のラミネートフィルムを用いて、印画物にラミネートフィルムの保護層をラミネートする装置の模式的概略図である。
【図2】本発明のラミネートフィルムの模式的断面図である。
【符号の説明】
1 巻出しリール
2 ラミネートフィルム
2a 基材
2b 表面層
2c 接着層
2p 保護層
3 サーマルヘッド
4 ロータリエンコーダ
5 加圧ロール
6 冷却ファン
7a、7b 後端剥離部の固定ガイド
7c 後端剥離部の可動剥離軸
8 先端剥離部のガイド
10 ラミネートフィルム2の巻き取りリール
11 印画物Pのガイド
12 第1の紙通過センサを構成するフォトインタラプタ
13 第2の紙通過センサを構成するフォトインタラプタ
14 排紙トレイ
P 印画物
Claims (1)
- 基材上に、少なくとも表面層と接着層を有する保護層を積層したラミネートフィルムにおいて、前記基材の厚さが1.5μm以上10.0μm以下であり、前記基材の保護層に接する側の表面の、カットオフ値250μmで測定した凹凸の平均間隔(Sm)が10μm以上であって、算術平均粗さ(Ra)が0.3μm以上であることを特徴とするラミネートフィルム。
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