JP2004173808A - 衣類整形装置 - Google Patents

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Koji Motoki
孝治 元木
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Abstract

【課題】衣類整形装置において、各腕部材が人型本体から水平姿勢でしか突出しないものでは、ガウンのように袖を広げた状態で袖上辺部がやや下方傾斜する形態の衣類を、自然な状態(袖がやや下方傾斜する状態)で整形できない。
【解決手段】人型本体3に、左右の各腕部材6,6と腕部材出し入れ装置7とをそれぞれ設けて人型2を構成し、該人型2を人型昇降装置8で昇降させ得るようにした衣類整形装置において、人型本体3に、各腕部材6,6を外方に突出させたときに、各腕部材6,6を水平姿勢と該水平姿勢より僅かに下方傾斜させた下方傾斜姿勢とに変化させ得る腕部材姿勢変更装置20を備え、整形すべき衣類の種類によって、袖の姿勢(水平姿勢と下方傾斜姿勢)を選択して整形し得るようにしている。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、例えばクリーニング工場において、洗濯後(脱水後)の浴衣やガウンなどの衣類をきれいに整形した状態(両袖を広げた展張状態)で後工程(プレス工程や折畳み工程)へ供給し得るようにした衣類整形装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
クリーニング工場において浴衣やガウン(バスローブも含む)などの衣類は、洗濯後(脱水後)にプレス機にかけて成形するが、プレス機側へは該衣類をきれいに整形した状態で送り込む必要がある。尚、洗濯後、乾燥済みの衣類は、種類によってプレス機にかけないで直接折畳み機側に送り込むこともあるが、その場合でも、衣類はきれいに整形させておく必要がある。
【0003】
洗濯後の衣類をきれいに整形するための衣類整形装置として、従来から図13及び図14(特開2001−799号公報)に示すようなものが知られている(特許文献1)。この公知の衣類整形装置は、整形すべき衣類Aを着せ掛け得る人型2を、昇降装置(エアシリンダ)8により衣類着せ掛け位置となる下動位置(図13の状態)と人型2に着せ掛けた衣類Aを上方位置にある衣類保持装置12に受け渡す上動位置(図14の状態)との間で昇降せしめ得るようになっている。尚、衣類保持装置12は、図14に示すように、両袖B,Bを左右に広げた展張状態の衣類Aを受け取った後、該展張衣類Aを後工程側(例えばプレス機側)に移送する搬送コンベア上に供給するようになっている。
【0004】
人型2は、衣類着せ掛け用の人型本体3に、該人型本体の上部寄り左右各側部からそれぞれ人型本体の内外に出没可能に設置された左右の各腕部材6,6と、該各腕部材6,6を出没操作する腕部材出し入れ装置(エアシリンダ)7,7とを有している。人型本体3の上部位置には、衣類Aの肩部Cを掛けるための肩掛材4が取付けられている。そして、各腕部材出し入れ装置(エアシリンダ)7,7の縮小状態では、図13に示すように各腕部材6,6が人型本体3内に没入して、人型2に衣類Aを着せ掛けるのに邪魔にならないようする一方、該各腕部材出し入れ装置(エアシリンダ)7,7が伸長すると、各腕部材6,6が肩掛材4と同高さにおいて水平姿勢状態で人型本体3から突出するようになっている(図14の状態)。尚、図14は、図13の状態で両腕部材6,6を外方に突出させた後(両袖B,Bが水平姿勢で支持される)、人型昇降装置8により人型本体3を上動させた状態を示している。
【0005】
ところで、この種の衣類整形装置では、浴衣のような薄手のものの外に、ガウンやバスローブのような比較的厚手のものも整形させることがある。そして、浴衣のような薄手のものは、図15(A)に示すように両袖B,Bを広げた自然状態で該各袖B,Bの上辺部Ba,Baが水平に向く状態で整形するが、ガウンのような厚手のものは、図15(B)に示すように両袖B,Bを広げた自然状態で該各袖B,Bの上辺部Ba,Baが水平姿勢から僅かに下方傾斜する状態で整形するのが好ましい。尚、図15の(B)の衣類Aでは、展張させた袖Bの上辺部Baの下方傾斜角度aが水平線Lから約4°となっている。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−799号公報(図1、図6等)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記した公知(図13、図14)の衣類整形装置では、各腕部材6,6が外方に突出する姿勢(例えば図14の状態)では、該各腕部材6,6が正確に水平姿勢に維持されるので、図15(A)に示す浴衣のような薄手の衣類Aには問題がないが、図15(B)に示すガウンやバスローブのような厚手の衣類Aのように、自然状態で各袖B,Bの上辺部Ba,Baが水平姿勢から僅かに下方傾斜するものでは、次のような問題が生じる。即ち、図15(B)の衣類Aのように、自然状態で各袖B,Bの上辺部Ba,Baが僅かに下方傾斜するものでは、水平に突出する各腕部材6,6に両袖を着せ掛けると、自然状態で下方傾斜している各袖の上辺部Ba,Baが無理に水平姿勢に変形されて支持され、このとき袖の下辺付け根の胴部側縁部D,D付近を僅かではあるがそれぞれ外側に開く作用が働く。従って、衣類Aを人型に対して自然状態で着せ掛けにくいとともに、後工程において両袖B,Bが不自然な状態(水平状態)のままでプレスされたり折畳まれたりするという問題があった。
【0008】
本願発明は、上記した従来の衣類整形装置の問題点に鑑み、自然状態で各袖の上辺部が水平になるような衣類(例えば浴衣)と、自然状態で各袖の上辺部が若干下方傾斜するような衣類(例えばガウンやバスローブ)を、1台でそれぞれ自然状態のままで整形させ得るようにした衣類整形装置を提供することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、浴衣やガウンのような衣類をきれいに整形するための衣類整形装置を対象にしている。
【0010】
本願発明の衣類整形装置は、整形すべき衣類を着せ掛けるための人型と、該人型を衣類着せ掛け位置となる下動位置と衣類移送装置側への衣類受け渡し位置となる上動位置との間で昇降せしめる人型昇降装置を備えている。
【0011】
人型は、衣類着せ掛け用の人型本体に、人型本体の上部寄り左右各側部からそれぞれ人型本体の内外に出没可能に設置され且つ外方突出時に人型本体に着せ掛けた衣類の各袖を左右横方向に広げた状態で支持できる左右の腕部材と、該各腕部材を人型本体の内外に出没させる腕部材出し入れ装置とをそれぞれ設けて構成している。尚、本願の衣類整形装置において、人型、人型昇降装置、人型本体、各腕部材、腕部材出し入れ装置等の基本構造は、図13の従来例と同じものを使用してもよい。
【0012】
本願の衣類整形装置には、人型本体に、各腕部材を外方に突出させたときに、該各腕部材を水平姿勢と該水平姿勢より僅かに下方傾斜させた下方傾斜姿勢とに調整し得る腕部材姿勢変更装置を備えている。尚、以下の説明において「下方傾斜姿勢」という表現は、「水平姿勢より僅かに下方傾斜させた姿勢」を意味するものである。又、下方傾斜姿勢の腕部材の傾斜角度は、特に限定するものではないが、水平姿勢から例えば角度4°程度下方傾斜させたものが適当である。
【0013】
この腕部材姿勢変更装置は、左右の腕部材をそれぞれ外方に突出させた状態で、該各腕部材を上記2つの姿勢(水平姿勢と下方傾斜姿勢)に変位させ得るものであれば、適宜の構成を採用できる。例えば、腕部材を直接上記2つの姿勢で支持するようにしたもの、あるいは腕部材をガイドする部材ごと上記2つの姿勢に変更させるようにしたもの、等が採用できる。尚、この腕部材姿勢変更装置は、人型の設置位置の近傍から、スイッチ操作により作動させ得る。
【0014】
尚、人型の設置位置の直上方位置には、図14に示す公知例と同様に、人型が上動位置まで上昇せしめられたときに該人型に整形された状態で着せ掛けられている衣類を整形された姿勢のままで受取る衣類保持装置が設置されている。この衣類保持装置は、衣類を後工程(例えばプレス工程)側へ移送するための衣類移送装置の一部となるもので、衣類保持装置で受取った衣類を衣類移送装置により整形姿勢のままで後送し得るようになっている。
【0015】
ところで、ランドリー工場では、浴衣やガウン等の衣類は、その種類ごとに多数枚をまとめて順次整形し、後工程側に移送させる作業を行う。従って、本願の衣類整形装置では、処理すべき衣類の種類(例えば浴衣やガウン等の種類)に応じて、各腕部材を人型本体から外側に突出させたときの姿勢(水平姿勢か下方傾斜姿勢)を腕部材姿勢変更装置により予め設定しておく。尚、この腕部材姿勢変更装置は、腕部材を外側に突出させた後でも、該腕部材を姿勢変更させることができる。
【0016】
本願の衣類整形装置は、次のように作動する。処理すべき衣類が、例えば浴衣のような袖上辺部を水平姿勢で整形すべきものでは、腕部材姿勢変更装置により各腕部材が水平姿勢状態で突出するように設定しておく。そして、人型を下動位置に位置させ、各腕部材を人型本体内に収納した状態で、該人型に整形すべき衣類を着せ掛ける。この状態では、衣類の袖は垂れ下がっている。次に、腕部材出し入れ装置によって各腕部材を外方に突出させると、該各腕部材の先端部が衣類の各袖内に侵入していき、該各袖を左右に広げる。このとき、各腕部材はそれぞれ水平姿勢になっているので、各袖の上辺部が水平姿勢状態で展張されている。そして、この状態(衣類を人型に着せ掛けた状態)で手作業により衣類の整形を行い、その後、人型昇降装置により人型を最上動させる。すると、衣類の肩部上縁及び各袖の上縁が衣類保持装置側に差し込まれて保持される。その後、各腕部材を人型本体内に格納させ、衣類保持装置を作動させて衣類を整形させたまま搬送コンベア側に取り込むとともに、人型を元の位置まで下動させると、1つの衣類の処理が完了する。
【0017】
又、処理すべき衣類が、例えばガウンのような袖上辺部を下方傾斜姿勢(例えば下方傾斜角度が4°)で整形すべきものでは、腕部材姿勢変更装置により各腕部材が下方傾斜姿勢状態で突出するように設定しておく。そして、上記と同様に、人型を下動位置に位置させ、各腕部材を人型本体内に収納した状態で、該人型に整形すべき衣類を着せ掛ける。次に、腕部材出し入れ装置によって各腕部材を外方に突出させ(各腕部材はそれぞれ下方傾斜姿勢になっている)、各袖をその上辺部が下方傾斜姿勢状態になるように展張させる。この状態では、衣類の両袖を自然な状態(衣類本来の形)で支持できる。そして、この状態(衣類を人型に着せ掛けた状態)で手作業により衣類の整形を行い→人型昇降装置により人型を最上動させ→衣類の肩部上縁及び各袖の上縁を衣類保持装置側に差し込んで保持させ→各腕部材を人型本体内に格納させ→衣類保持装置を作動させて衣類を整形させたまま搬送コンベア側に取り込み→人型を元の位置まで下動させると、1つの衣類の処理が完了する。尚、このように、両袖を下方傾斜姿勢で広げるものでも、その袖上辺部の下方傾斜角度は僅か(例えば傾斜角度が4°)であるので、衣類保持装置に衣類の肩部上縁及び各袖の上縁を同時に無理なく保持させることができる。従って、両袖が所望の下方傾斜姿勢のままで衣類を搬送コンベア側に取り込むことができる。
【0018】
尚、本願の衣類整形装置における各動作は、順次足踏みスイッチによって作動させるようにすると、作業員の両手がスイッチ操作に拘束されないので、能率よく作業が行える。
【0019】
【発明の効果】
本願発明の衣類整形装置は、各腕部材を人型本体から外方に突出させたときに、該各腕部材を水平姿勢と該水平姿勢より僅かに下方傾斜させた下方傾斜姿勢とに調整し得る腕部材姿勢変更装置を備えているので、浴衣やガウン等の衣類の種類(自然状態で袖が水平姿勢になるものと下方傾斜姿勢になるものがある)に対応して、腕部材の外方突出姿勢を調整できる。
【0020】
従って、浴衣やガウン等の衣類を整形するのに、1台の衣類整形装置で衣類の種類に応じて各袖を自然な形状に整形できるという効果がある。尚、このように各衣類を自然な形状に整形できると、最終的に折畳み工程に送ったときに、当該衣類を無理なく自然な形に折畳むことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
図1〜図12を参照して本願実施形態の衣類整形装置を説明すると、図1〜図9には第1実施形態、図10〜図12には第2実施形態が示されている。尚、この各実施形態の衣類整形装置は、例えばクリーニング工場において洗濯済の多数枚の衣類(例えば浴衣、ガウンなど)を順次整形した状態で後工程(例えばプレス工程→折畳み工程)へ供給するためのものである。
【0022】
図1〜図9の第1実施形態
この第1実施形態の衣類整形装置は、図1及び図2に示すように、基台1上に人型2を人型昇降装置8により昇降させ得るようになっている。
【0023】
人型2は、衣類着せ掛け用の人型本体3に、該人型本体3の上部位置にあって整形すべき衣類Aの肩部Cを掛ける肩掛材4と、人型本体3の上部寄り左右各側部からそれぞれ人型本体3の内外に出没可能に設置され且つ外方突出時に人型本体3に着せ掛けた衣類Aの各袖B,Bを左右横方向に広げた状態で支持できる左右の各腕部材6,6と、該各腕部材6,6を人型本体3の内外に出没させる腕部材出し入れ装置7と、各腕部材6,6の外方突出姿勢を水平姿勢(図2、図7)と該水平姿勢より僅かに下方傾斜する下方傾斜姿勢(図9)とに調整し得る腕部材姿勢変更装置20,20とをそれぞれ設けている。
【0024】
尚、本願の実施形態においても、「下方傾斜姿勢」という表現は、「水平姿勢より僅かに下方傾斜させた姿勢」を意味するものである。又、下方傾斜姿勢の腕部材の傾斜角度は、特に限定するものではないが、水平姿勢から例えば角度4°程度下方傾斜させたものである。
【0025】
人型本体3は、内部が中空で人の肩部から腰の位置までの範囲の高さを有する腕なしの胸像の形状に形成されている。又、人型本体3には、その下端からさらにかなりの長さ(例えば60〜70cm程度)だけ下方に突出する支柱31が一体に取付けられている。
【0026】
肩掛材4は、人の肩幅程度の左右長さで厚さが2〜3mm程度の薄板状の部材で形成されている。
【0027】
左右の各腕部材6,6は、細幅(20〜30mm程度)で適宜長さ(例えば600〜700mm程度)を有しさらに上記肩掛材4とほぼ同厚さ(2〜3mm程度)を有する棒状のものが採用されている。尚、2つの腕部材6,6は、同じものを左右対称形に配置している。
【0028】
人型本体3の内部には、左右の各腕部材6,6をそれぞれ出没自在にガイドするためのガイド板32,32が設けられている。この各ガイド板32,32にはそれぞれ縦向き円弧状のガイド溝33,33が設けられている。この各ガイド溝33,33は、各腕部材6,6の基端部61に取付けた一対のローラ63,64をそれぞれガイドしている。尚、この第1実施形態では、各ガイド板32,32は、人型本体3に対して不動状態で固定されている。
【0029】
一対のローラ63,64は、腕部材6の長さ方向に所定小間隔(例えば50〜100mm間隔)をもって腕部材基端部61に取付けられている。そして、腕部材6は、ガイド溝33内に2つのローラ63,64がガタツキのない状態でガイドされていることにより、グラツキのない状態で移動するようになっている。尚、この各ローラのうち、腕部材基端部にあるものを基側ローラ63といい、それより先側にあるものを先側ローラ64ということがある。
【0030】
そして、各腕部材6,6の基端部61,61がそれぞれガイド溝33,33の最下端部に位置する状態(図1、図6)では、該各腕部材6,6を人型本体3内に没入させ(衣類着せ掛け作業の邪魔にならない位置)、他方、該各腕部材6,6の基端部61,61がそれぞれガイド溝33,33の最上端部に位置する状態(図2、図7)では、腕部材基端側の一部を残してその大部分が人型本体3の側部から外方に横向き姿勢で突出するようになっている。又各腕部材6,6の外方突出状態では、図2に示すように肩掛材4の高さと同高さに位置するようになっている。尚、この各腕部材6,6は、人型本体3の上部寄り左右側面に形成した開口から出没し得るようになっている。
【0031】
各腕部材出し入れ装置7,7には、それぞれエアシリンダが採用されている。この各腕部材出し入れ装置(エアシリンダ)7,7は、そのチューブ側を前記支柱31の下端部に連結し、ロッド側を腕部材6の基端部61の基側ローラ63と同心位置に連結して取付けられている。そして、この各腕部材出し入れ装置(エアシリンダ)7,7を最縮小させた状態では、各腕部材6,6を人型本体3内に没入させ(図1、図6)、該各エアシリンダ7,7を最伸長させた状態では、各腕部材6,6を人型本体3の側部から外方に突出させるようになっている。
【0032】
人型2は、人型本体3に固定した支柱31部分が基台2上に設けられた箱状の保護ケース9にガイドされて、水平面内で回動不能状態で上下動可能なる如く支持されている。
【0033】
人型昇降装置8は、この実施形態ではエアシリンダが採用されている。該人型昇降装置(エアシリンダ)8の縮小状態では人型2を図1、図2、図6、図7にそれぞれ示すように下動位置に位置せしめ、該エアシリンダ8の最伸長状態では人型2を図8に示すように最上動位置に位置せしめるようになっている。尚、この人型昇降装置となるエアシリンダ8は、2段階伸縮式のものを採用でき、その場合は、エアシリンダ8の中間伸長状態で人型2を上下中間高さに位置させることができる。尚、人型2が下動位置(例えば図6、図7)にあるときには、人型2の肩掛材4の上面高さが作業員の背の高さよりかなり低位置(地面からまでの高さが例えば1250mm程度)となり、又、人型昇降装置(エアシリンダ)8を2段階伸縮させるものを使用した場合において、人型2が上下中間高さにあるときには、該肩掛材4の上面高さが作業員のほぼ目の高さ位置(地面から肩掛材4上面までの高さが例えば1550mm程度)となり、さらに人型2が上動位置(図8)にあるときには、該肩掛材4の上面高さが作業員の背の高さよりかなり上方位置(地面から肩掛材4上面までの高さが例えば1850mm程度)となるようにそれぞれ設定されている。
【0034】
人型2の設置位置の直上方位置には、図6〜図8に示すように、人型2が上動位置まで上昇せしめられたときに、人型2に着せ掛けられている衣類Aの上端部を表裏両側から挟み込んで該衣類Aを整形されたままの姿勢で保持することのできる衣類保持装置12が設けられている。又、この衣類保持装置12て保持された衣類Aは、そのまま衣類移送装置によって後工程(例えばプレス工程)に移送されるようになっている。尚、この衣類保持装置12は、特許文献1のものと同じものが使用されており、又、本願の要旨にさほど関係がないので詳細な説明は省略する。
【0035】
ところで、浴衣のような薄手のものは、図15(A)に示すように両袖B,Bを広げた自然状態で該各袖B,Bの上辺部Ba,Baが水平に向く状態で整形するが、ガウンのような厚手のものは、図15(B)に示すように両袖B,Bを広げた自然状態で該各袖B,Bの上辺部Ba,Baが水平姿勢から僅かに下方傾斜する状態で整形するのが好ましい。そして、この衣類整形装置では、1台で衣類を図15(A)の状態と図15(B)の2通りに整形できるようにしている。
【0036】
即ち、本願の衣類整形装置には、各腕部材6,6を外方に突出させたときに、該各腕部材6,6を水平姿勢と該水平姿勢より僅かに下方傾斜させた下方傾斜姿勢とに調整し得る腕部材姿勢変更装置20,20を備えている。
【0037】
第1実施形態の衣類整形装置では、腕部材姿勢変更装置20として、図3〜図5に拡大図示するように、腕部材6を外方に突出させたときに(腕部材6の基端部61をガイド溝33の最上部まで移動させた状態で)、腕部材基端部61を若干角度を変えて支持する支持部材21を使用している。この支持部材21は、カム板22とエアシリンダ23とを有している。カム板22はピン24でガイド板32に枢着されていて、該カム板22をエアシリンダ23によりピン24を中心にして揺動し得るようになっている。尚、この支持部材21(左右2つある)のエアシリンダ23は、人型2の設置位置の近傍でスイッチ操作によって伸縮せしめられる。
【0038】
他方、図3〜図5に示すように、腕部材6の基端部61が最上動したときには、先側ローラ64がガイド溝33の上端部33aに位置するが、このガイド溝33の上端部33aは、先側ローラ64の外径Rよりやや広い内幅Wを有している。このガイド溝上端部33aの内幅(広幅)Wは、第1実施形態の腕部材姿勢変更装置20の一部を構成するものである。又、腕部材6の基端部61が最上動したときの基側ローラ63が位置する場所のガイド溝33の内幅Wは、基側ローラ63の外径Rとほぼ同じである。従って、腕部材6がガイド溝33の最上部に位置した状態では、腕部材6の横向き突出部6aが、基側ローラ63(腕部材出し入れ装置7のシリンダロッド先端が連結されている)を中心にして水平姿勢(図3の実線図示姿勢及び図4の姿勢)と該水平姿勢より僅かに(角度約4°だけ)下方に傾斜する下方傾斜姿勢(図3の鎖線図示姿勢及び図5の姿勢)とに変化し得るようになっている。
【0039】
図4は支持部材21のエアシリンダ23の伸長状態であり、図5は支持部材21のエアシリンダ23の縮小状態である。そして、該エアシリンダ23の伸長状態(図4)では、カム板22の衝合面22aが先側ローラ64付近の腕部材基端部61を下面側から支持して、腕部材6の外方突出部6aを水平姿勢に維持し得るようになっている。他方、該エアシリンダ23の縮小状態(図5)では、カム板22の衝合面22aが外方に後退し、そのとき先側ローラ64がガイド溝上端部33aの下面側に衝合して、腕部材6の外方突出部6aが下方傾斜姿勢に維持されるようになっている。
【0040】
尚、この腕部材姿勢変更装置20は、同構造のものが左右対称位置に設けられており、各腕部材姿勢変更装置20,20のエアシリンダ23,23は同時に同方向に伸縮作動せしめられる。
【0041】
そして、この第1実施形態の衣類整形装置では、処理すべき衣類の種類(両袖B,Bを、水平姿勢で展張すべきか下方傾斜姿勢で展張すべきか)によって、予め各腕部材姿勢変更装置20,20で各腕部材6,6を外方に突出させたときの姿勢を設定しておく。
【0042】
即ち、図2及び図7に示すように、衣類Aの両袖B,B(上辺部Ba,Ba)をそれぞれ水平姿勢に展張させる場合には、人型2を最下動させた状態において、支持部材21,21のエアシリンダ23,23を図4に示すように伸長させておく(カム板22が腕部材6を水平姿勢で支持し得る位置にある)。そして、その状態で人型2に衣類(この場合は浴衣)Aを着せ掛けた後、各腕部材出し入れ装置(エアシリンダ)7,7を伸長させて、各腕部材6,6の各側のローラ63,64をそれぞれガイド溝33,33に沿って上動させる。そして、先側ローラ64がガイド溝上端部33aまで上動すると、図3に実線図示あるいは図4に示すように腕部材基端部61がカム板22の衝合面22aに衝合・支持されて、腕部材6の突出部6aを水平姿勢に維持させるようになる。この状態では、衣類Aの両袖B,Bが展張され、且つ両袖B,Bの各上辺部Ba,Baを各腕部材6,6によって水平姿勢で支持することができる。
【0043】
他方、図9に示すように、衣類Aの両袖B,B(上辺部Ba,Ba)をそれぞれ下方傾斜姿勢に展張させる場合には、人型2を最下動させた状態において、支持部材21,21のエアシリンダ23,23を図5に示すように縮小させておく(カム板22が腕部材基端部61に衝合しない退避位置にある)。そして、その状態で人型2に衣類(この場合はガウン)Aを着せ掛けた後、各腕部材出し入れ装置(エアシリンダ)7,7を伸長させて、各腕部材6,6の各側のローラ63,64をそれぞれガイド溝33,33に沿って上動させる。そして、先側ローラ64がガイド溝上端部33aまで上動すると、図3に鎖線図示あるいは図5に示すように腕部材6の自重により先側ローラ64がガイド溝先端部33aの下面側に衝合し(このときカム板22の衝合面22aは腕部材基端部61に衝合しないか、あるいは押圧しない状態にある)、腕部材6の突出部6aを下方傾斜姿勢に維持させるようになる。この状態では、衣類Aの両袖B,Bが展張され、且つ両袖B,Bの各上辺部Ba,Baを各腕部材6,6によって下方傾斜姿勢で支持することができる。
【0044】
尚、この衣類整形装置では、図7の状態(両袖B,Bが水平姿勢状態)あるいは図9の状態(両袖B,Bが下方傾斜姿勢状態)で、人型2を最上動させると、例えば図8に示すように人型2に展張状態で着せ掛けている衣類Aの上辺部を衣類保持装置12側に差し込んで該衣類上辺部を衣類保持装置12に保持させ、続いて各腕部材6,6を人型本体3内に格納し、衣類保持装置12で保持している衣類Aを上方に抜き外して搬送コンベア側に移乗させ、後工程側に搬送する。尚、人型2は、衣類Aを上方に抜き外して後に、元の最下動位置まで降下させて、次の衣類着せ掛けのために待機させる。
【0045】
このように、第1実施形態の衣類整形装置では、腕部材姿勢変更装置20,20によって、各腕部材6,6の外方突出姿勢を水平姿勢と下方傾斜姿勢とに調整することができるので、自然状態で両袖が水平姿勢になる衣類(例えば浴衣)と、自然状態で両袖が下方傾斜姿勢になる衣類(例えばガウン)とを、1台の衣類整形装置でそれぞれ自然状態の姿勢で整形できる。
【0046】
図10〜図12の第2実施形態
この第2実施形態の衣類整形装置は、上記第1実施形態の腕部材姿勢変更装置20の変形例を示している。
【0047】
この第2実施形態では、腕部材6,6の各ローラ63,64を案内する各ガイド溝33,33の内幅は、全長に亘って各ローラ63,64の外径とほぼ同じで、両ローラ63,64が最後までガタツキのない状態でガイドされるようになっている。従って、各腕部材6,6は、各ガイド溝33,33に対して、グラツキのない状態で姿勢変更しながら上下動するようになっている(最上動位置でも、腕部材6がガイド溝33に対して姿勢変化しない)。
【0048】
この第2実施形態の腕部材姿勢変更装置20は、ガイド溝33を形成している各ガイド板32,32をそれぞれその上端寄り位置においてピン29,29で人型本体3内の台板34に枢着して、該各ガイド板32,32がピン29を中心にして左右に揺動し得るように取付けている。該ピン29による枢着位置は、腕部材出し入れ装置(エアシリンダ)7が伸長して腕部材6の基端部61がガイド溝33の最上動位置に達したときの、基側ローラ63の位置と同心位置になるように位置決めしている。又、ガイド板32のピン枢着部分は、図11に示すように、ガイド板32における腕部材6の移動側とは反対面に間隔保持用のブラケット28を取付けて、該ブラケット28を人型本体3側の台板34にピン29で枢着することによって、該ピン29に腕部材基端部61の各ローラ63,64が干渉しないようにしている。
【0049】
又、この各ガイド板32,32は、揺動装置25によって相互に近接・離間方向に揺動せしめられる。揺動装置25には、エアシリンダ26と2本のリンク27,27を使用している。各リンク27,27は、エアシリンダ26のロッド先端部と各ガイド板32,32の中間高さ位置とを連結している。そして、エアシリンダ26が伸長状態では、図10に示すように各リンク27,27で各ガイド板32,32の下部側を外側に押し出した状態で該各ガイド板32,32をそれぞれ保持し、逆にエアシリンダ26が縮小状態では、図12に示すように間リンク27,27で各ガイド板32,32の下部側を内側に引き寄せた状態で該各ガイド板32,32をそれぞれ保持するようになっている。尚、揺動装置25による各ガイド板32,32の揺動範囲は、それぞれピン29部分を中心にして角度約4°である。
【0050】
そして、図10に示すように、各ガイド板32,32を揺動装置25で離間させた状態では、各腕部材6,6が腕部材出し入れ装置7,7により最上動位置まで押し上げられると、該各腕部材が符号6′,6′で示すように、それぞれ水平姿勢状態で突出するようになっている。又、図12に示すように、各ガイド板32,32を揺動装置25で近接させた状態では、各腕部材6,6が腕部材出し入れ装置7,7により最上動位置まで押し上げられると、該各腕部材が符号6″,6″で示すように、それぞれ下方傾斜姿勢状態で突出するようになっている。尚、図12において、符号Lは水平線であり、外方に突出された腕部材6″は水平線Lから角度約4°だけ下方傾斜している。
【0051】
この第2実施形態の衣類整形装置でも、腕部材姿勢変更装置20により、各腕部材6,6の外方突出状態において水平姿勢(図10)と下方傾斜姿勢(図12)とに変化させることができ、上記第1実施形態と同様の機能を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願第1実施形態の衣類整形装置の断面図である。
【図2】図1の状態から両腕部材を外方に突出させた状態の断面図である。
【図3】図2の一部拡大断面図である。
【図4】図3の一部をさらに拡大した断面図である。
【図5】図4の状態変化図である。
【図6】図1の衣類整形装置の使用初期状態の正面図である。
【図7】図6からの状態変化図である。
【図8】図7からの状態変化図である。
【図9】図1の衣類整形装置の他の使用例を示す図7相当図である。
【図10】本願第2実施形態の衣類整形装置の断面図である。
【図11】図10のXI−XI拡大断面図である。
【図12】図10の状態変化図である。
【図13】公知(特許文献1)の衣類整形装置の断面図である。
【図14】図13の使用状態正面図である。
【図15】本願の衣類整形装置で処理すべき2種類の衣類の正面図である。
【符号の説明】
2は人型、3は人型本体、6は腕部材、7は腕部材出し入れ装置(エアシリンダ)、8は人型昇降装置(エアシリンダ)、20は腕部材姿勢変更装置、12は衣類保持装置、21は支持部材、25は揺動装置、32はガイド板、33はガイド溝、61は腕部材基端部、Aは衣類、Bは袖である。

Claims (1)

  1. 衣類着せ掛け用の人型本体(3)に、人型本体(3)の上部寄り左右各側部からそれぞれ人型本体(3)の内外に出没可能に設置され且つ外方突出時に人型本体(3)に着せ掛けた衣類(A)の各袖(B,B)を左右横方向に広げた状態で支持できる左右の各腕部材(6,6)と、該各腕部材(6,6)を人型本体(3)の内外に出没させる腕部材出し入れ装置(7)とをそれぞれ設けて人型(2)を構成し、該人型(2)を衣類着せ掛け位置となる下動位置と衣類受け渡し位置となる上動位置との間で昇降せしめる人型昇降装置(8)を備えた衣類整形装置であって、
    前記人型本体(3)に、前記各腕部材(6,6)を外方に突出させたときに、該各腕部材(6,6)を水平姿勢と該水平姿勢より僅かに下方傾斜させた下方傾斜姿勢とに変化させ得る腕部材姿勢変更装置(20)を備えた、
    ことを特徴とする衣類整形装置。
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