ところが、上記した公知(図13、図14)の衣類整形装置では、人型の肩掛材4の襟掛部幅X0(図13)が一定(不変)であるので、該襟掛部幅X0が図15(A)に示す小サイズ衣類A1の襟部幅W1(15〜18cm)と図15(B)に示す中サイズ衣類A2の襟部幅W2(16〜19cm)の両方に同時に適合することはない。即ち、肩掛材4の襟掛部幅X0を小サイズ衣類A1の襟部幅W1に適合する幅(例えば14〜15cm)に設定したものでは、中サイズ衣類A2を人型2に着せ掛けたときに襟部D(襟部幅W2)にダブツキが生じ、逆に、肩掛材4の襟掛部幅X0を中サイズ衣類A2の襟部幅W2に適合する幅(例えば15〜18cm)に設定したものでは、小サイズ衣類A1を人型2に着せ掛けたときに襟部D(襟部幅W1)が広くなり過ぎる。尚、肩掛材4の襟掛部幅X0を小サイズ衣類A1と中サイズ衣類A2の中間サイズの衣類の襟部幅に適合させると、小サイズ衣類A1及び中サイズ衣類A2を人型に着せ掛けたときに各襟部幅が共に少しずつ適合しなくなる。又、肩掛材4の襟掛部幅X0を中サイズ衣類A2の襟部幅W2に適合する幅(16〜19cm)に設定したものでも、大サイズ衣類A3のように襟部Dをゆったり整形する(襟部幅W3=20〜22cm)ものでは、大サイズ衣類A3を人型2に着せ掛けたときに襟部Dにダブツキが生じる。
従って、上記した公知(図13、図14)の衣類整形装置では、サイズ(特に襟部幅)の異なる衣類をすべてきれいに整形することができなかった。
又、上記(図13、図14)の衣類整形装置では、肩掛材4の各肩掛部41,41の上辺部41a,41aがそれぞれ水平であるので、図15(C)に示す大サイズ衣類(ガウン)A3のように肩部C,C及び各袖部B,Bの上辺部Ba,Baをそれぞれ僅かに下方傾斜した姿勢で整形することができない。即ち、大サイズ衣類(ガウン)A3を人型2に着せ掛けて両腕部材6,6を外方に突出させると、上記したように大サイズ衣類A3の肩部C,Cの上辺部及び袖部上辺部Ba,Baが水平姿勢で展張されてしまい、不自然な形状に整形されてしまう。
ところで、この種の公知の衣類整形装置の中には、特開2005−87223号公報(特許文献2)で示されるように、人型の肩掛材に左右一対の襟部材を左右に近接・離間方向に移動可能に取付け、該各襟部材をエアシリンダで左右に近接・離間させることにより、襟掛部幅を調整し得るようにしたものがある。
この公知例(特開2005−87223号公報)のものでは、整形すべき衣類の襟部幅に応じて襟掛部幅を調整し得るものの、各襟部材を肩掛材に対して移動自在にガイドするためのガイド構造が必要であるとともに、各襟部材移動用のエアシリンダ及び該エアシリンダの操作のための構成(エアー配管、エアー切換弁、操作スイッチ、電気配線等)が必要であるので、コストアップになるという問題がある。又、この公知例のものでは、図15(C)に示す大サイズ衣類(ガウン)A3の肩部C及び袖部上辺部Baを下方傾斜で整形することができない。
又、公知の衣類整形装置の中には、特開2004−173808号公報(特許文献3)で示されるように、人型から出没する左右の各腕部材を外方に突出させたときに、該各腕部材の突出部をそれぞれ水平姿勢と該水平姿勢より僅かに(水平線から約4°)下方傾斜させた下方傾斜姿勢とに変化させ得るようにしたものがある。
この公知例(特開2004−173808号公報)のものは、各腕部材を外方突出状態で僅かに下方傾斜姿勢にすることができるので、整形すべき衣類が図15(C)のような大サイズ衣類(ガウン)A3の場合に、各袖部B,Bの上辺部Ba,Baをそれぞれ僅かに下方傾斜姿勢にした状態で整形可能であるが、肩掛材の各襟掛部の上辺部は水平のままであるので着せ掛けた衣類A3の各肩部C,Cが水平姿勢のままとなり、整形状態での不自然さが残るという問題がある。
尚、整形すべき衣類の襟部・肩部・袖部を人型に対して自然状態で着せ掛けないと、後工程において不自然な状態のままでプレスされたり折畳まれてしまい、仕上がり状態が悪くなる。
そこで、本願発明は、上記した従来の衣類整形装置の問題点に鑑み、整形すべき衣類のサイズ(小サイズ、中サイズ、大サイズ)や種類(浴衣やガウン)に応じて人型の肩掛材に対して簡単な構成の補助襟掛材を付け替えることで、各種の衣類をそれぞれ適正状態に整形し得るようにした衣類整形装置の人型構造を提供することを目的としている。
本願発明は、上記課題を解決するための手段として次の構成を有している。尚、本願発明は、浴衣やガウンのような衣類をきれいに整形するための衣類整形装置であって、特に衣類を着せ掛けるための人型構造を対象にしている。
本願請求項1の発明
本願請求項1の発明の衣類整形装置は、整形すべき衣類を着せ掛けるための人型を衣類着せ掛け位置となる下動位置と衣類受け渡し位置となる上動位置との間で昇降せしめ得るようにしたものである。
人型は、衣類着せ掛け用の人型本体に、人型本体の上部中央に整形すべき衣類の肩部を掛ける肩掛材と、人型本体の上部寄り左右各側部からそれぞれ人型本体の内外に出没可能に設置され且つ外方突出時に人型本体に着せ掛けた衣類の各袖を左右横方向に広げた状態で支持できる左右の各腕部材と、該各腕部材を人型本体の内外に出没させる腕部材出し入れ装置とをそれぞれ設けて構成している。尚、本願請求項1で使用する人型は、例えば図13の従来例のものとほぼ同構造のものを使用できる。
人型の肩掛材は、前後同形の2枚の型板を小間隔を隔てて一体化したものであって、整形すべき衣類の肩幅程度の左右長さを有する肩掛部と、該肩掛部の上部中央において上方に突出し且つ小サイズの衣類の襟部を掛けるのに適した幅の襟掛部とを有している。尚、肩掛材の肩掛部は、襟掛部の左右各外側に一対ある。
本願の人型構造では、別部材として肩掛材に着脱自在に係止される補助襟掛材を備えている。この補助襟掛材は、肩掛材の両型板間の小隙間内に挿入し得る薄板状であって、肩掛材の襟掛部の幅より大きい幅の襟掛部を有している。尚、この補助襟掛材は、1つの形状だけでもよいが、整形すべき衣類のサイズ(中サイズ用・大サイズ用)に応じて襟掛部幅の異なる複数のものを容易しておくとよい。又、この補助襟掛材は、全体を1枚物の板材で成形した一体型のものでも、左右に2分割した分割型のものでもよい。
本願の人型構造では、肩掛材と補助襟掛材との間に、補助襟掛材を肩掛材に対して着脱自在に係止するための係止手段を設けている。この係止手段は、肩掛材の両型板間に前後方向に向く複数個の係止ピンを設けている一方、補助襟掛材に各係止ピンに嵌合し得る複数の嵌合溝を設けたものを使用している。そして、この係止手段は、補助襟掛材側の各嵌合溝を肩掛材側の各係止ピンに係脱自在に嵌合させることで、補助襟掛材を肩掛材に対して着脱自在に係止し得るようにしている。
尚、人型の設置位置の直上方位置には、図14に示す公知例と同様に、人型が上動位置まで上昇したときに該人型に整形された状態で着せ掛けられている衣類を整形された姿勢のままで受取る衣類保持装置が設置されている。この衣類保持装置は、衣類を後工程(例えばプレス工程)側へ移送するための衣類移送装置の一部となるもので、衣類保持装置で受取った衣類を衣類移送装置により整形姿勢のままで後送し得るようになっている。
本願請求項1の人型構造では、人型の肩掛材に対して補助襟掛材を取付けないで使用する場合と、整形すべき衣類の襟部幅に応じた所定形状の補助襟掛材を肩掛材に取付けて使用する場合がある。そして、肩掛材に補助襟掛材を取付けない状態では、人型の襟掛部の幅が小サイズ衣類の襟部幅に適合しており、肩掛材に所定形状の補助襟掛材を取付けると、人型の実質襟掛部の幅を整形すべき衣類の襟部幅に適合させることができる。
ところで、ランドリー工場では、浴衣やガウン等の衣類は、そのサイズごと及び種類ごとに多数枚をまとめて順次整形し、後工程側に移送させる作業を行うが、その際、整形すべき衣類は整形作業前に予めサイズごと及び種類ごとに分別しておく。
本願請求項1の衣類整形装置は、次のように使用される。まず整形すべき衣類が小サイズの浴衣の場合は、人型の肩掛材に補助襟掛材を取付けないで行う。この場合、肩掛材の襟掛部の幅は、小サイズ衣類の整形状態での襟部幅に適合しているので、該小サイズ衣類の襟部及び肩部を適正姿勢(過不足なくフィットした姿勢)で人型に着せ掛けることができる。尚、肩掛材に補助襟掛材を取付けない状態で、人型に大サイズ衣類を着せ掛けると、衣類の襟部にダブツキが生じ易くなり、きれいに(フィットした状態で)着せ掛けられない。
次に、人型に衣類を着せ掛けた状態で、腕部材出し入れ装置によって各腕部材を外方に突出させると、該各腕部材の先端部が衣類の各袖部内に侵入していき、該各袖部を左右に広げる。そして、この状態(衣類を人型に着せ掛けた状態)で手作業により衣類の整形を行い、その後、人型を最上動させる。すると、衣類の襟部、肩部上辺部、及び各袖部上辺部が衣類保持装置側に差し込まれて保持される。その後、各腕部材を人型本体内に格納させ、衣類保持装置を作動させて衣類を整形させたまま搬送コンベア側に取り込むとともに、人型を元の位置まで下動させると、1つの衣類の処理が完了する。
他方、中サイズ(又は大サイズ)の浴衣のように襟部幅が小サイズのものより大きい衣類を整形するには、その整形状態での襟部幅に対応した襟掛部幅をもった補助襟掛材を肩掛材に取付ける。補助襟掛材の肩掛材への取付けは、肩掛材と補助襟掛材間に設けた係止手段で行うが、該補助襟掛材の取付け及び取外しは補助襟掛材側の各嵌合溝を肩掛材側の各係止ピンに嵌脱させることで行えるので、該補助襟掛材の取付け及び取外し作業は簡単に行える。尚、補助襟掛材を肩掛材に取付けた状態では、補助襟掛材側の複数の嵌合溝が肩掛材側の複数の係止ピンにそれぞれ嵌合している。この状態では、補助襟掛材の襟掛部が人型の実質襟掛部となるが、この襟掛部幅は整形しようとする中サイズ(又は大サイズ)衣類の整形状態での襟部幅に適合している。そして、その襟掛部幅に適合する中サイズ(又は大サイズ)衣類を人型に着せ掛けると、該中サイズ(又は大サイズ)衣類の襟部及び肩部を適正姿勢(過不足なくフィットした姿勢)で着せ掛けることができる。以下同様に、各腕部材を外方に突出させ→手作業により衣類の整形を行い→人型を最上動させ→衣類の襟部、肩部上縁、及び各袖部上縁を衣類保持装置に保持させ→各腕部材を人型本体内に格納させ→衣類保持装置で衣類を整形させたまま搬送コンベア側に取り込み→人型を元の位置まで下動させると衣類の処理が完了する。又、肩掛材に装着している補助襟掛材は、係止手段を係止解除する(各嵌合溝を各係止ピンから外す)ことで肩掛材から簡単に取外すことができる。
本願請求項2の発明
本願請求項2の発明は、上記請求項1の人型構造において、肩掛材として前後同形の2枚の型板を小隙間を隔てて一体化したものを使用し、補助襟掛材として前記小隙間内に挿入し得る薄板状で且つ左右に2分割した分割型板を使用している。又、この請求項2の人型構造では、係止手段として、肩掛材両型板間の小隙間内に各分割型板をそれぞれ係止する複数個ずつの係止ピンをそれぞれ前後向き姿勢で設ける一方、各分割型板に該分割型板を前記小隙間内に上方から挿入した後、中央側に横移動させることで各係止ピンに係止できる横向きの嵌合溝を設けたものを使用している。
補助襟掛材の各分割型板には、それぞれ半割り襟掛部が形成されており、該各分割型板を肩掛材に装着した状態では各半割り襟掛部により合成された襟掛部が形成される。
各分割型板の嵌合溝は、肩掛材側の係止ピンに嵌合できる横向き部分を有しているが、この横向きの嵌合溝は片側の分割型板にそれぞれ2箇所ずつ設ける一方、肩掛材側の係止ピンも左右に2箇所ずつ(合計4箇所)設けて、各分割型板がそれぞれ2箇所で位置保持されるようになっている。そして、各分割型板を肩掛材側の小隙間内に上方から挿入した後、該各分割型板をそれぞれ中央側に横移動させることで、嵌合溝の横向き部分の外側端部が係止ピンに衝合するようになっている。このとき、各分割型板の各半割り襟掛部の位置が決められて、各半割り襟掛部からなる合成襟掛部の幅が中サイズ(又は大サイズ)衣類の襟部幅に適合するようになっている。
この請求項2の人型構造では、補助襟掛材となる各分割型板を肩掛材に装着する際に、各分割型板側の嵌合溝を肩掛材側の係止ピンに係止させるだけでよい。又、補助襟掛材となる各分割型板は、その装着状態から肩掛材に対してそれぞれ外側に移動させた後、上動させることで肩掛材から取外すことができる。
ところで、肩掛材に各分割型板(補助襟掛材となる)を装着した状態で衣類の襟部を各分割型板に掛ける場合に、該襟部を各分割型板の半割り襟掛部に外側から掛ける(各分割型板に対して中央側に押圧する力が働く)が、そのとき、横向きの嵌合溝の外側端部が係止ピンに衝合しているので、各分割型板がそれ以上、中央側に移動することがない。又、各分割型板が肩掛材に対して外方側移動が可能な状態で装着されていても、衣類の襟部着せ掛け時には各分割型板を外側に移動させるような作用力が働くことがないので、各分割型板が肩掛材に対して不用意に位置ずれすることはない。
本願請求項3の発明
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2の人型構造において、次の構成を有している。尚、この請求項3の人型構造は、ガウンのような大サイズ衣類を整形するのに適したものであり、ガウンのような大サイズ衣類では、襟部を広げた自然状態の整形姿勢において両肩部の上辺部及び両袖部の上辺部がそれぞれ外方に僅かな角度(例えば4°程度)だけ下方傾斜している。
そして、本願請求項3では、人型として、各腕部材を外方に突出させたときに該各腕部材の突出部をそれぞれ水平姿勢と該水平姿勢より僅かに下方傾斜させた下方傾斜姿勢とに変化させ得るようにしたものを使用している。腕部材を外方に突出させたときの下方傾斜角度は、水平線に対して角度4°程度が適当である。尚、各腕部材を外方突出状態において水平姿勢と下方傾斜姿勢とに変化させる構造としては、例えば上記特開2004−173808号公報に採用しているものを使用できる。又、人型の肩掛材の左右各肩掛部の上辺部は水平に形成している。
他方、補助襟掛材の襟掛部の左右各外側には、それぞれ衣類の各肩部を掛ける肩掛部を形成している。尚、この請求項3の補助襟掛材は、請求項1のように左右の襟掛部を有する一体物でもよいし、請求項2のように左右に2分割した各分割型板で構成したものでもよい。そして、一体物の補助襟掛材では、左右の各襟掛部の外側にそれぞれ肩掛部を設け、2分割した各分割型板からなる補助襟掛材では、各分割型板の半割り襟掛部の外側に肩掛部を設ける。
補助襟掛材の各肩掛部の上辺部は、それぞれ外側に向けて水平より僅かに下方傾斜するように形成している。この肩掛部の下方傾斜角度は、腕部材を下方傾斜姿勢で外方に突出させた状態での腕部材下方傾斜角度(4°程度)と同じに設定するとよい。尚、以下の説明において「下方傾斜姿勢」という表現は、「水平姿勢より僅かに(角度4°程度)下方傾斜させた姿勢」を意味するものである。
そして、この請求項3の人型構造では、補助襟掛材を肩掛材に装着した状態で、補助襟掛材の各肩掛部の上辺部が肩掛材の各肩掛部の上辺部より僅かに突出する位置で下方傾斜(下方傾斜角度4°)するように設定している。尚、補助襟掛材を肩掛材に装着した状態で、各腕部材を下方傾斜姿勢で外方に突出させたときには、補助襟掛材の各肩掛部の上辺部と各腕部材の突出部上面とがほぼ直線状に連続して下方傾斜するようになる。
この請求項3の人型構造では、浴衣のような薄手の衣類(袖部を広げた整形状態において肩部及び袖部の上辺部が水平なもの)を整形するには、この請求項3の補助襟掛材を肩掛材に装着しないで上記請求項1のように使用する。
又、整形すべき衣類が、例えばガウンのような大サイズ衣類で、肩部上辺部及び袖部上辺部を下方傾斜姿勢(例えば下方傾斜角度が4°)で整形すべきものでは、腕部材姿勢変更装置により各腕部材が下方傾斜姿勢状態で突出するように設定するとともに、人型の肩掛材に補助襟掛材(各肩掛部が下方傾斜している)を装着する。そして、人型に大サイズ衣類(ガウン)を着せ掛けるが、補助襟掛材の襟掛部及び各肩掛部(上辺部が下方傾斜している)により衣類の襟部及び肩部をきれいに整形した状態で着せ掛けることができる。続いて、各腕部材を外方に突出させると、着せ掛けた衣類の各袖部が左右に広げられる。このとき、補助襟掛材の左右各肩掛部の上辺部及び左右各腕部材が、それぞれ着せ掛け衣類(ガウン)の肩部及び袖部上辺部の自然形状(僅かに下方傾斜している)と合致しており、衣類を自然形状のままで整形できる。その後、手作業により衣類の整形を行い→人型昇降装置により人型を最上動させ→衣類の襟部、肩部上辺部、袖部上辺部を衣類保持装置側に差し込んで保持させ→各腕部材を人型本体内に格納させ→衣類保持装置を作動させて衣類を整形させたまま搬送コンベア側に取り込み→人型を元の位置まで下動させると、1つの衣類の処理が完了する。尚、このように、両肩部上辺部及び両袖部上辺部をそれぞれ下方傾斜姿勢で広げるものでも、その肩部上辺部及び袖部上辺部の下方傾斜角度は僅か(例えば傾斜角度が4°)であるので、衣類保持装置に衣類の肩部上辺部及び袖部上辺部を同時に無理なく保持させることができる。従って、両袖が所望の下方傾斜姿勢のままで衣類を搬送コンベア側に取り込むことができる。
本願請求項1の発明の効果
本願請求項1の衣類整形装置の人型構造は、人型の肩掛材として小サイズ衣類の襟部に適応した襟掛部を有するものを使用し、別部材として肩掛材の襟掛部より大きい幅の襟掛部を有した補助襟掛材を準備しておくとともに、肩掛材と補助襟掛材との間に補助襟掛材を肩掛材に対して着脱自在に装着するための係止手段を設けている。
そして、小サイズ衣類を整形する場合には、補助襟掛材を装着しないで衣類の襟部及び肩部を直接肩掛材に掛け、他方、中サイズ(又は大サイズ)衣類を整形する場合には、肩掛材に補助襟掛材を装着して衣類の襟部を該補助襟掛材の襟掛部に掛ける。
このように、本願請求項1の衣類整形装置の人型構造では、整形すべき衣類のサイズに応じて補助襟掛材の使用・不使用を選択できるので、1台の人型構造で異なるサイズの衣類をそれぞれきれいに整形することができるという効果がある。
又、補助襟掛材は肩掛材に対して係止手段により着脱自在に装着されるが、この係止手段は、肩掛材側に設けた複数個の係止ピンに対して補助襟掛材側に設けた複数の嵌合溝を嵌合させるようにしたものであるので、該係止手段として簡単な構成で且つ安価なものを採用できるとともに、補助襟掛材の着脱操作が簡単に行えるという効果がある。尚、例えば特開2005−87223号公報(特許文献2)のように、整形すべき衣類の襟部幅に応じて襟掛部幅を調整し得るようにしたものが公知となっているが、この場合は、各襟部材を肩掛材に対して移動自在にガイドするためのガイド構造が必要であるとともに、各襟部材移動用のエアシリンダ及び該エアシリンダ操作のための構成(エアー配管、エアー切換弁、操作スイッチ、電気配線等)が必要であるので、構造が複雑で且つコストアップになる。
又、補助襟掛材を肩掛材に装着させた状態では、補助襟掛材側の複数の嵌合溝が肩掛材側のそれぞれの係止ピンに嵌合しているので、該補助襟掛材が安定姿勢で且つ確実に位置決めされるという効果がある。
本願請求項2の発明の効果
本願請求項2の発明は、上記請求項1の人型構造において、肩掛材として前後同形の2枚の型板を小隙間を隔てて一体化したものを使用し、補助襟掛材として肩掛材両型板間の小隙間内に挿入し得る薄板状で且つ左右に2分割した分割型板を使用し、係止手段として肩掛材両型板間の小隙間内に各分割型板をそれぞれ係止する複数個ずつの係止ピンをそれぞれ前後向き姿勢で設ける一方、各分割型板に該分割型板を前記小隙間内に上方から挿入した後、中央側に横移動させることで各係止ピンに係止できる横向きの嵌合溝を設けたものを使用している。
この請求項2の人型構造では、各分割型板(補助襟掛材となる)を肩掛材に装着した状態では、各分割型板が外方側に移動可能であるものの、各分割型板の横向き嵌合溝の外端部が係止ピンに衝合しているので各分割型板がそれ以上、内方側に移動することがない。尚、各分割型板を肩掛材に装着した状態で人型に衣類を着せ掛ける場合には、衣類の襟部を掛けるときに各分割型板を内方側に押す作用が働くが、各分割型板を外方側に移動させるような作用は働かない。
従って、この請求項2の発明では、上記請求項1の効果に加えて、補助襟掛材(各分割型板)を肩掛材に対して安定状態で装着するのにビス等の固定手段が不要となって各分割型板の着脱操作が簡単に行える。又、ビス等の固定手段を用いない構造の係止手段であっても補助襟掛材(各分割型板)を安定状態で装着できるという効果がある。
本願請求項3の発明の効果
本願請求項3の発明は、上記請求項1又は2の人型構造において、人型として各腕部材を外方に突出させたときに該各腕部材の突出部をそれぞれ水平姿勢と該水平姿勢より僅かに下方傾斜させた下方傾斜姿勢とに変化させ得るようにしたものを使用する一方、肩掛材の左右各肩掛部の上辺部を水平に形成し、補助襟掛材の襟掛部の左右各外側にそれぞれ肩掛部を形成して、該各肩掛部の上辺部をそれぞれ外側に向けて水平より僅かに下方傾斜するように形成するとともに、補助襟掛材を肩掛材に装着した状態で、補助襟掛材の各肩掛部の上辺部が肩掛材の各肩掛部の上辺部より僅かに突出する位置で下方傾斜するように設定している。
そして、この請求項3の人型構造では、補助襟掛材を使用しない状態では、自然な整形状態において肩部上辺部及び袖部上辺部がそれぞれ水平になる小サイズ衣類(浴衣)をきれいに着せ掛けることができる一方、補助襟掛材を装着した状態(この場合は各腕部材を下方傾斜姿勢で突出させ得るように設定する)では、ガウンのような大サイズ衣類(自然な整形状態において肩部上辺部及び袖部上辺部がそれぞれ僅かに下方傾斜する)をきれいに着せ掛けることができるようになっている。
従って、この請求項3の人型構造では、上記請求項1又は2の効果に加えて、補助襟掛材の使用・不使用を選択することで、1台で浴衣のような小サイズ又は中サイズ衣類(整形状態で肩部及び袖部が水平となる)とガウンのような大サイズ衣類(整形状態で肩部及び袖部が僅かに下方傾斜する)をそれぞれきれいに整形することができるという効果がある。
図1〜図12を参照して本願実施例の衣類整形装置の人型構造を説明すると、この衣類整形装置は、例えばクリーニング工場において洗濯済の多数枚の衣類(例えば浴衣、ガウンなど)を順次整形した状態で後工程(例えばプレス工程→折畳み工程)へ供給するためのものである。
この実施例の人型構造は、図1に示すように、整形すべき衣類Aを着せ掛けるための人型2と、該人型2に上部に取付けた肩掛材4に対して着脱自在に装着される複数種類(図示例では4種類)の補助襟掛材5A〜5Dとで構成されている。
人型2は、衣類着せ掛け用の人型本体3に、該人型本体3の上部位置にあって整形すべき衣類Aの肩部Cを掛ける肩掛材4と、人型本体3の上部寄り左右各側部からそれぞれ人型本体3の内外に出没可能に設置され且つ外方突出時(図2)に人型本体3に着せ掛けた衣類Aの各袖部B,Bを左右横方向に広げた状態で支持できる左右の各腕部材6,6と、該各腕部材6,6を人型本体3の内外に出没させる腕部材出し入れ装置7と、各腕部材6,6の外方突出姿勢を水平姿勢(図2)と該水平姿勢より僅かに下方傾斜する下方傾斜姿勢(図6)とに調整し得る腕部材姿勢変更装置20,20とをそれぞれ設けている。
尚、本願の実施例においても、「下方傾斜姿勢」という表現は、「水平姿勢より僅かに下方傾斜させた姿勢」を意味するものである。又、下方傾斜姿勢の腕部材6の傾斜角度a(図5)は、特に限定するものではないが、水平線Lから例えば角度4°程度下方傾斜させたものである。
人型2は、基台1上で人型昇降装置(エアシリンダ)8により図2に示す下動位置と図3に示す上動位置との間で昇降せしめ得るようになっている。尚、人型昇降装置となるエアシリンダ8は、2段階伸縮式のものを採用でき、その場合は、エアシリンダ8の中間伸長状態で人型2を上下中間高さに位置させることができる。そして、人型2が下動位置(図2)にあるときには、人型2の肩掛材4の上面高さが作業員の背の高さよりかなり低位置(地面からまでの高さが例えば1250mm程度)となり、又、人型昇降装置(エアシリンダ)8を2段階伸縮させるものを使用した場合において、人型2が上下中間高さにあるときには、該肩掛材4の上面高さが作業員のほぼ目の高さ位置(地面から肩掛材4上面までの高さが例えば1550mm程度)となり、さらに人型2が上動位置(図3)にあるときには、該肩掛材4の上面高さが作業員の背の高さよりかなり上方位置(地面から肩掛材4上面までの高さが例えば1850mm程度)となるようにそれぞれ設定されている。
人型本体3は、内部が中空で人の肩部から腰の位置までの範囲の高さを有する腕なしの胸像の形状に形成されている。又、人型本体3には、その下端からさらにかなりの長さ(例えば60〜70cm程度)だけ下方に突出する支柱31が一体に取付けられている。
肩掛材4は、整形すべき衣類Aの肩幅程度の左右長さを有する肩掛部41,41と、該肩掛部41の中央において上方に突出する襟掛部42とを有している。又、この肩掛材4は、図7及び図8に示すように、前後同形の2枚の型板40,40を小隙間44を隔てて一体化させたものを使用している。両型板40,40間の小隙間44は、後述するように薄板状(厚さ約2mm)の補助襟掛材(5A〜5D)を上方から落とし込むためのスペースとなるものであり、両型板40,40間の下端部において薄板状のスペーサ43を介在させて両型板40,40間の上部側に小隙間44を確保している。そして、この肩掛材4は、その下端部を人型本体3内に設けたガイド板32の上辺部にビス止めによって固定している。
尚、肩掛材4の各型板40,40は厚さが2mm程度で、両型板40,40間の小隙間44は2〜3mm程度であるが、図7及び図8には見易くするために型板40の厚さ及び小隙間44の間隔をかなり大きく表示している。
肩掛材4の襟掛部42は、整形すべき衣類の襟部形状に合わせて左右側縁を下方に末広がり状に傾斜させた形状に形成している。そして、この襟掛部42の幅X1(図1)は、図15(A)に示す小サイズ衣類A1の襟部幅W1(W1=15〜18cm)に対応する幅(X1=14〜15cm)に設定している。
肩掛材4の左右幅は、約46cm程度である。又、肩掛材4の左右各肩掛部41,41の上辺部41a,41aは、それぞれ水平に形成している。
左右の各腕部材6,6は、厚さが2〜3mm、幅が20〜30mm、長さが600〜700mm程度の「く」形で棒状のものが採用されている。尚、2つの腕部材6,6は、同じものを左右対称形に配置している。
人型本体3の内部には、左右の各腕部材6,6をそれぞれ出没自在にガイドするためのガイド板32,32が設けられている。この各ガイド板32,32にはそれぞれ縦向き円弧状のガイド溝33,33が設けられている。この各ガイド溝33,33は、各腕部材6,6の基端部61に取付けた一対のローラ63,64をそれぞれガイドしている。
各腕部材出し入れ装置7,7には、それぞれエアシリンダが採用されている。この各腕部材出し入れ装置7,7は、そのチューブ側を前記支柱31の下端部に連結し、ロッド側を腕部材6の基端部61の基側ローラ63と同心位置に連結して取付けられている。
そして、この各腕部材出し入れ装置7,7を最縮小させた状態では、各腕部材6,6を人型本体3内に没入させ(図1の状態)、該各腕部材出し入れ装置7,7を最伸長させた状態では、各腕部材6,6を人型本体3の側部から外方に突出させるようになっている(図2の状態)。尚、各腕部材6,6の外方突出状態では、図2に示すように該各腕部材6,6の上辺部がそれぞれ肩掛材4の左右各肩掛部41,41の上辺部と同高さに位置するようになっている。
この人型2には、各腕部材6,6を外方に突出させたときに、該各腕部材6,6を水平姿勢(図2)と該水平姿勢より僅かに下方傾斜させた下方傾斜姿勢(図6)とに調整し得る腕部材姿勢変更装置20,20を備えている。
この腕部材姿勢調整装置20は、図4及び図5に拡大図示するように、腕部材6を外方に突出させたときに(腕部材6の基端部61をガイド溝33の最上部まで移動させた状態で)、腕部材基端部61を若干角度を変えて支持する支持部材21を使用している。この支持部材21は、カム板22とエアシリンダ23とを有している。カム板22はピン24でガイド板32に枢着されていて、該カム板22をエアシリンダ23によりピン24を中心にして揺動し得るようになっている。
そして、図4に示すように、エアシリンダ23の伸長状態では、カム板22の衝合面22aが先側ローラ64付近の腕部材基端部61を下面側から支持して、腕部材6の外方突出部6aを水平姿勢(符号L)に維持し得るようになっている。他方、図5に示すように、エアシリンダ23の縮小状態では、カム板22の衝合面22aが外方に後退し、そのとき先側ローラ64がガイド溝上端部33aの下面側に衝合して、腕部材6の外方突出部6aが水平線Lから若干角度a(a=約4°)だけ下方傾斜した姿勢に維持されるようになっている。尚、この腕部材姿勢変更装置20は、同構造のものが左右対称位置に設けられており、各腕部材姿勢変更装置20,20のエアシリンダ23,23は同時に同方向に伸縮作動せしめられる。
人型2は、人型本体3に固定した支柱31部分が基台2上に設けられた箱状の保護ケース9にガイドされて、水平面内で回動不能状態で上下動可能なる如く支持されている。
人型2の設置位置の直上方位置には、図2及び図3に示すように、人型2に着せ掛けられている衣類Aの上端部を表裏両側から挟み込んで該衣類Aを整形されたままの姿勢で保持することのできる衣類保持装置12が設けられている。尚、この衣類保持装置12で保持された衣類Aは、そのまま衣類移送装置によって後工程(例えばプレス工程)に移送されるようになっている。
本願の人型構造では、図1及び図7に示すように、人型の肩掛材4に対して着脱自在に装着される補助襟掛材5A〜5Dが別部材として用意されている。この補助襟掛材としては、この実施例では、図1及び図7に符号5A〜5Dで示す4種類のもの(第1補助襟掛材5A〜第4補助襟掛材5D)を採用している。これら第1〜第4の各補助襟掛材5A〜5Dは、厚さ2mm程度の型板50(第1と第2の各補助襟掛材5A,5Bの場合)又は分割型板55,55(第3と第4の各補助襟掛材5C,5Dの場合)が使用されている。
第1〜第4の各補助襟掛材5A〜5Dは、各補助襟掛材5A〜5Dと肩掛材4との間に設けた係止手段10により、それぞれ図9〜図12に示すように、肩掛材4に対して着脱自在に装着されるようになっている。
肩掛材4側の係止手段10としては、図7に示すように、両型板40,40間の小隙間44内に合計6つの係止ピン47A〜47Fを前後横向き姿勢で設けたものを採用している。この係止ピン47A〜47Fは、上段側に左右に間隔をもって4箇所と、下段側に左右に間隔をもって2箇所にそれぞれ取付けられている。尚、他の実施例では、合計6つの係止ピン47A〜47Fのうち、下段側2箇所の係止ピン47E,47Fを省略してもよい。
第1補助襟掛材5Aについて
符号5A(図1、図7、図9)の第1補助襟掛材は、図15(B)に示す中サイズ衣類A2の襟部(襟部幅W2)を整形するのに適したもので、この第1補助襟掛材5Aは、1枚物の型板50で形成している。この第1補助襟掛材5Aは、左右全長が肩掛材4の左右長さと同じで、中央部に上方に突出する襟掛部52を形成しているとともに、該襟掛部52の左右各外側にそれぞれ肩掛部51,51を形成している。尚、図9には、この第1補助襟掛材5Aの使用例を示している。
第1補助襟掛材5Aの襟掛部52は、その左右側縁をそれぞれ下方に末広がり状に傾斜させているとともに、その襟掛部幅X2(図9参照)は、図15(B)に示す中サイズ衣類A2の襟部幅W2に対応させて設定している。即ち、中サイズ衣類A2の襟部幅W2が16〜19cmであるのに対して、第1補助襟掛材5Aの襟掛部幅X2(図9)を例えば1cm減の15〜18cm程度に設定している。
又、この第1補助襟掛材5Aでは、各肩掛部51,51の上辺部51a,51aはそれぞれ水平となっている。
この第1補助襟掛材5A側の係止手段10としては、型板50の下辺部において、肩掛材4側の上段側の4つの係止ピン47A〜47Dにそれぞれ嵌合する上向きで深さの深い4つの嵌合溝53,53・・と、肩掛材4側の下段側の2つの係止ピン47E,47Fにそれぞれ嵌合する上向きで深さの浅い2つの嵌合溝54,54とを有している。
そして、この第1補助襟掛材5Aを肩掛材4に装着するには、図9に鎖線図示するように、第1補助襟掛材5Aを肩掛材4の上方から左右に位置合わせしながら肩掛材4の小隙間44(図7、図8)内に落とし込む。すると、第1補助襟掛材5A側の各嵌合溝53,53・・、54,54が肩掛材4側の各係止ピン47A〜47Fにそれぞれ上方から嵌合し(各嵌合溝の上端が各係止ピンに衝合する)、図9に実線図示するように第1補助襟掛材5Aを肩掛材4に装着できる。この装着状態では、第1補助襟掛材5Aの各肩掛部51,51の上辺部51a,51aがそれぞれ肩掛材4の各肩掛部上辺部41a,41aと同高さに位置しているとともに、第1補助襟掛材5Aの襟掛部52の左右側縁が肩掛材4の襟掛部42の左右側縁よりそれぞれ所定幅ずつ左右外側にはみ出している。そして、第1補助襟掛材5Aの装着状態では、該第1補助襟掛材5Aの襟掛部52が人型2の実質襟掛部となる。又、この第1補助襟掛材5Aの装着状態では、実質襟掛部が中サイズ衣類A2の襟部幅W2に適合し、この人型2に中サイズ衣類A2を着せ掛けたときに襟部Dに過不足がなくなってきれいに整形できる。尚、第1補助襟掛材5Aを肩掛材4から外すには、該第1補助襟掛材5A(型板50)を上方に抜き外せばよい。
第2補助襟掛材5Bについて
符号5B(図1、図7、図10)の第2補助襟掛材は、図15(C)に示すガウンのような大サイズ衣類A3の襟部(襟部幅W3)を整形するのに適したもので、この第2補助襟掛材5Bも、1枚物の型板50で形成している。この第2補助襟掛材5Bは、第1補助襟掛材5Aと同様に、左右全長が肩掛材4の左右長さと同じで、中央部に上方に突出する襟掛部52を形成しているとともに、該襟掛部52の左右各外側にそれぞれ肩掛部51,51を形成している。尚、図10には、この第2補助襟掛材5Bの使用例を示している。
第2補助襟掛材5Bの襟掛部52は、その左右側縁をそれぞれ下方に末広がり状に傾斜させているとともに、その襟掛部幅X3(図10参照)は、図15(C)に示すガウンのような大サイズ衣類A3の襟部幅W3に対応させて設定している。即ち、ガウンのような大サイズ衣類A3の襟部幅W3が20〜22cmであるのに対して、第2補助襟掛材5Bの襟掛部幅X3を例えば1cm減の19〜21cm程度に設定している。
又、この第2補助襟掛材5Bでは、各肩掛部51,51の上辺部51a,51aをそれぞれ外側に向けて水平より僅かに下方傾斜させている。この各上辺部51a,51aの下方傾斜角度a(図1、図7、図10)は、上記腕部材6の下方傾斜姿勢(図5)での傾斜角度aと同じ約4°である。
この第2補助襟掛材5B側の係止手段10としては、第1補助襟掛材5Aと同様に、型板50の下辺部において、肩掛材4側の上段側の4つの係止ピン47A〜47Dにそれぞれ嵌合する上向きで深さの深い4つの嵌合溝53,53・・と、肩掛材4側の下段側の2つの係止ピン47E,47Fにそれぞれ嵌合する上向きで深さの浅い2つの嵌合溝54,54とを有している。
そして、この第2補助襟掛材5Bを肩掛材4に装着するには、第1補助襟掛材5A(図9)の場合と同様に、図10に鎖線図示するように第2補助襟掛材5Bを肩掛材4の上方から左右に位置合わせしながら肩掛材4の小隙間44(図7、図8)内に落とし込む。すると、第2補助襟掛材5B側の各嵌合溝53,53・・、54,54が肩掛材4側の各係止ピン47A〜47Fにそれぞれ上方から嵌合し(各嵌合溝の上端が各係止ピンに衝合する)、図10に実線図示するように第2補助襟掛材5Bを肩掛材4に装着できる。
図10に実線図示するように第2補助襟掛材5Bを装着した状態では、該第2補助襟掛材5Bの襟掛部52の左右側縁が肩掛材4の襟掛部42の左右側縁よりそれぞれ所定幅(大サイズ衣類A3の襟部幅W3に見合う幅)ずつ左右外側にはみ出している。又、この装着状態では、該第2補助襟掛材5Bの各肩掛部51,51の上辺部51a,51aがそれぞれ肩掛材4の各肩掛部41,41の上辺部より僅かに突出する位置で下方傾斜し、且つ第2補助襟掛材5Bの各肩掛部上辺部51a,51aの先端部高さが肩掛材4の各肩掛部上辺部の先端部高さと同高さに位置している。
従って、図10に示す第2補助襟掛材5Bの装着状態では、該第2補助襟掛材5Bの襟掛部52が大サイズ衣類(ガウン)A3の襟部幅W3に適合して衣類襟部Dに過不足がなくなり、しかも大サイズ衣類A3の左右各肩部C,Cが大サイズ衣類(ガウン)の自然形状に応じた下方傾斜姿勢となるので、この人型2に大サイズ衣類A3を着せ掛けたときにきれいに整形できる。尚、第2補助襟掛材5Bを肩掛材4から外すには、該第2補助襟掛材5B(型板50)を上方に抜き外せばよい。
第3補助襟掛材5Cについて
符号5C(図1、図7、図11)の第3補助襟掛材は、図15(B)に示す中サイズ衣類A2の襟部(襟部幅W2)を整形するのに適したもので、この第3補助襟掛材5Cは、左右2枚の分割型板55,55で形成している。尚、図11には、この第3補助襟掛材5Cの使用例を示している。
第3補助襟掛材5Cの各分割型板55,55は、外形が上記第1補助襟掛材5Aの1枚物の型板50を左右に2分割した形状である。各分割型板55,55の内方側側縁は、それぞれ若干幅だけ削除しており、肩掛材4に装着した状態で両分割型板55,55間に若干幅の隙間ができるようにしている(図11の実線図示状態)。
第3補助襟掛材5Cの各分割型板55,55には、半割り襟掛部52Aと該半割り襟掛部52Aの外側に肩掛部51を一体成形している。この第3補助襟掛材5Cでは、各分割型板55,55の肩掛部51,51の上辺部51a,51aはそれぞれ水平である。
この第3補助襟掛材5C(分割型板55,55)の係止手段10としては、各分割型板55,55の下辺部において肩掛材4側の上段側左右外端にある係止ピン47A(又は47D)に嵌合する逆L形(上向き部と外横向き部が連続している)の嵌合溝56と、分割型板55の内方側側縁において肩掛材4側の上段側中央寄りにある係止ピン47B(又は47C)に嵌合する横向きの嵌合溝57とを有している。図11において、右側の分割型板55は、上段側右端部の係止ピン47Aと上段側で右から2番目の係止ピン47Bに係止され、左側の分割型板55は、上段側左端部の係止ピン47Cと上段側で左から2番目の係止ピン47Dに係止される。尚、肩掛材4の下段側の2つの係止ピン47E,47Fは、各分割型板55,55を肩掛材4に装着する際のガイド(受台)となるものであり、装着状態での係止機能はさほどない。
そして、この第3補助襟掛材5Cを肩掛材4に装着するには、図11に鎖線図示するように、各分割型板55,55をそれぞれ肩掛材4の上方から左右に位置合わせしながら肩掛材4の小隙間44(図7、図8)内に落とし込んだ後、中央側に移動させることで、第3補助襟掛材5C(各分割型板55,55)を図11に実線図示する状態で装着できる。尚、この装着状態では、各分割型板55,55の肩掛部上辺部51a,51aは、肩掛材4の各肩掛部上辺部41a,41aと同高さになる。
図11に実線図示する装着状態では、右側分割型板55においては各嵌合溝56,57の各右端部がそれぞれ係止ピン47A,47Bに衝合しており、左側分割型板55においては各嵌合溝56,57の各左端部がそれぞれ係止ピン47D,47Cに衝合している。従って、各分割型板55,55は、それぞれ上下及び各外側には移動不能となり、ビスのような固定手段を使用しなくても各分割型板55,55の装着状態が安定する。
又、この第3補助襟掛材5Cの装着状態では、各分割型板55,55の半割り襟掛部52A,52Aの間隔(襟掛部幅)が図9に示す第1補助襟掛材5Aの襟掛部幅X2と同じになっている。従って、第3補助襟掛材5Cの装着状態でも、該第3補助襟掛材5Cの襟掛部52が中サイズ衣類A2の襟部幅W2に適合し、この人型2に中サイズ衣類A2を着せ掛けたときに襟部Dに過不足がなくなってきれいに整形できる。尚、第3補助襟掛材5Cを肩掛材4から外すには、各分割型板55,55をそれぞれ一旦外方に移動させた後、上方に抜き外せばよい。
第4補助襟掛材5Dについて
符号5D(図1、図7、図12)の第4補助襟掛材は、図15(C)に示すガウンのような大サイズ衣類A3の襟部(襟部幅W3)を整形するのに適したもので、この第4補助襟掛材5Dも、第3補助襟掛材5Cと同様に左右2枚の分割型板55,55で形成している。尚、図12には、この第4補助襟掛材5Dの使用例を示している。
第4補助襟掛材5Dの各分割型板55,55は、外形が上記第2補助襟掛材5Bの1枚物の型板50を左右に2分割した形状である。尚、この第4補助襟掛材5Dの場合も、各分割型板55,55の内方側側縁をそれぞれ若干幅だけ削除しており、肩掛材4に装着した状態で両分割型板55,55間に若干幅の隙間ができるようにしている(図12の実線図示状態)。
第4補助襟掛材5Dの各分割型板55,55も、半割り襟掛部52Aと該半割り襟掛部52Aの外側に肩掛部51を一体成形しているが、この第4補助襟掛材5Dでは、各分割型板55,55の半割り襟掛部52A,52Aが第3補助襟掛材5C(図11)の各分割型板55,55の半割り襟掛部よりそれぞれ若干幅だけ外方側に広幅となっている。又、各分割型板55,55の肩掛部51,51の上辺部51a,51aはそれぞれ外側に向けて水平より僅かに下方傾斜させている。この各上辺部51a,51aの下方傾斜角度a(図1、図7、図12)は、上記腕部材6の下方傾斜姿勢(図5)での傾斜角度aと同じ約4°である。
この第4補助襟掛材5D(各分割型板55,55)の係止手段10は、上記第3補助襟掛材5Cのものと同じで、各分割型板55,55の下辺部において肩掛材4側の上段側左右外端にある係止ピン47A(又は47D)に嵌合する逆L形(上向き部と外横向き部が連続している)の嵌合溝56と、分割型板55の内方側側縁において肩掛材4側の上段側中央寄りにある係止ピン47B(又は47C)に嵌合する横向きの嵌合溝57とを有している。
そして、この第4補助襟掛材5Dを肩掛材4に装着するには、図12に鎖線図示するように、各分割型板55,55をそれぞれ肩掛材4の上方から左右に位置合わせしながら肩掛材4の小隙間44(図7、図8)内に落とし込んだ後、中央側に移動させることで、第4補助襟掛材5D(各分割型板55,55)を図12に実線図示する状態で装着できる。尚、この第4補助襟掛材5Dの場合も、各分割型板55,55がそれぞれ上下及び各外側には移動不能となり、ビスのような固定手段を使用しなくても各分割型板55,55の装着状態が安定する。
この第4補助襟掛材5Dの装着状態では、各分割型板55,55のそれぞれ半割り襟掛部52A,52Aの間隔(襟掛部幅)が図10に示す第2補助襟掛材5Bの襟掛部幅X3と同じになっている(大サイズ衣類A3の襟部幅W3に見合う幅となっている)。又、この装着状態では、第4補助襟掛材5D(各分割型板55,55)の各肩掛部51,51の上辺部51a,51aがそれぞれ肩掛材4の各肩掛部41,41の上辺部より僅かに突出する位置で下方傾斜し、且つ第4補助襟掛材5Dの各肩掛部上辺部51a,51aの先端部高さが肩掛材4の各肩掛部上辺部の先端部高さと同高さに位置している。
従って、図12に示す第4補助襟掛材5Dの装着状態では、該第4補助襟掛材5Dの各半割り襟掛部52A,52Aが大サイズ衣類A3の襟部幅W3に適合して衣類襟部Dに過不足がなくなり、しかも大サイズ衣類A3の左右各肩部C,Cが大サイズ衣類(ガウン)の自然形状に応じた下方傾斜姿勢となるので、この人型2に大サイズ衣類A3を着せ掛けたときにきれいに整形できる。尚、第2補助襟掛材5Bを肩掛材4から外すには、第3補助襟掛材5Cの場合と同様に各分割型板55,55をそれぞれ一旦外方に移動させた後、上方に抜き外せばよい。
尚、この実施例の人型構造では、ガウン(大サイズ衣類A3)用として、襟掛部幅X3が同じ2種類の補助襟掛材(第2補助襟掛材5B、第4補助襟掛材5D)を示しているが、ガウン(大サイズ衣類A3)用にも襟掛部幅の異なるものを準備しておくことができる。
この実施例の人型構造で小サイズ衣類A1を整形するには、図1に示すように各補助襟掛材(5A〜5D)を使用しないで、人型2に直接小サイズ衣類A1を着せ掛ける。次に、図2に示すように各腕部材6,6を外方に突出させて各袖部B,Bを左右に広げ→手作業により衣類の整形を行い→図3に示すように人型を最上動させて小サイズ衣類A1の襟部D、肩部上縁C,C、及び各袖部上縁Ba,Baを衣類保持装置12に保持させる。その後、各腕部材6,6を人型本体3内に格納させ、衣類保持装置12を作動させて衣類を整形させたまま搬送コンベア側に取り込むとともに、人型2を元の位置まで下動させると、1つの衣類の処理が完了する。
この場合(補助襟掛材を装着しない場合)は、肩掛材4の襟掛部幅X1が小サイズ衣類A1の襟部幅W1に適合しているので、該小サイズ衣類の襟部D及び肩部C,Cを適正姿勢で人型に着せ掛けることができ、最終段階においてもきれいに整形できる。
又、中サイズ衣類A2を整形する場合には、中サイズ衣類整形用の第1補助襟掛材5A又は第3補助襟掛材5Cを肩掛材4に装着して、上記同様(図1〜図3)に整形作業を行う。この場合は、中サイズ衣類A2の襟部D及び肩部C,Cを適正姿勢で人型に着せ掛けることができ、最終段階においてもきれいに整形できる。
さらに、大サイズ衣類(ガウン)A3を整形する場合には、大サイズ衣類整形用の第2補助襟掛材5B又は第4補助襟掛材5Dを肩掛材4に装着する一方、各腕部材6,6を下方傾斜姿勢で突出するように設定する。そして、人型2に大サイズ衣類A3を着せ掛けた後、図6に示すように両腕部材6,6を外方に突出させると、大サイズ衣類A3の肩部C,C及び両袖部上辺部Ba,Baが自然状態となる下方傾斜状態で整形される。そして、図6の状態から人型2を最上動させると、大サイズ衣類A3をきれいに整形したままの姿勢で衣類受取装置12側に受け渡すことができる。
尚、本願実施例の衣類整形装置における各動作は、順次足踏みスイッチによって作動させるようにすると、作業員の両手がスイッチ操作に拘束されないので、能率よく作業が行える。
2は人型、3は人型本体、4は肩掛材、5A〜5Dは補助襟掛材、6は腕部材、7は腕部材出し入れ装置(エアシリンダ)、8は人型昇降装置(エアシリンダ)、12は衣類保持装置、20は腕部材姿勢変更装置、40は型板、41は肩掛部、41aは上辺部、42は襟掛部、44は小隙間、47A〜47Dは係止ピン、50は型板、51は肩掛部、51aは上辺部、52Aは半割り襟掛部、53は嵌合溝、55は分割型板、56,57は嵌合溝、A1は小サイズ衣類、A2は中サイズ衣類、A3は大サイズ衣類、Bは袖部、Baは上辺部、Cは肩部、Dは襟部、X1〜X3は襟掛部幅、W1〜W3は襟部幅である。