JPH0317520B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は浴衣や病衣、ガウン等の衣類の姿を
整えた整形状態で前処理機の作業工程へ供給する
ための衣類整形装置に関するものである。

（従来の技術） 浴衣や病衣、ガウンのような衣類を洗濯、脱水
後、アイロナー等の処理装置によりアイロンがけ
などの作業を機械的に行なうには、予め衣類を整
形状態にしておく必要がある。しかし衣類を整形
状態にする整形作業は従来２、３人の熟練した作
業者が必要で大変手間がかかる仕事であり、また
熟練度や個人差により品質、処理数に差が生じる
問題があつた。これに対し衣類を折りたたむため
に供給するプレートに、２本の開閉可能に設けら
れた棒状部材を有するハンガー装置を付設した処
理装置が提案されている（特開昭58−185200号）。
しかしそのハンガー装置に衣類を掛けるためにハ
ンガーを開く操作や、衣類を整形する操作など、
重要な操作は全て作業者が手作業で行なわなけれ
ばならない。つまり前記のハンガー装置は単に衣
類を掛けるだけの場所に過ぎない。

（技術的課題） この発明は前記の点に鑑みなされたもので、そ
の課題とするところは、浴衣や病衣、ガウン等、
複雑な形状をもつた衣類を整形体に掛けるだけの
作業で正しく整形することができ、それによつて
一定の品質、所定の作業速度で衣類の整形を行な
い、整形された衣類を前処理機へ供給することが
できるようにすることにある。

（技術的手段） 前記課題を達成するため本発明は、衣類を前処
理機へ整形状態で預け渡すための整形装置であつ
て、人体上半部に類似した正面外形を有し、衣類
を原形又はそれに近い形状で掛けるために前記前
処理機の正面に配置された整形体と、該整形体を
直立状態に支えることができ、かつ上部が前処理
機方向へ接近するよう傾斜可能に下端部で軸支さ
れた支台と、前記整形体の両肩口より左右側方へ
突出しかつ整形体内へ没入するように整形体内の
上部に設けられた伸縮腕とを備えるという手段を
講じたものである。

整形装置は、衣類を整形状態で前処理機へ供給
するために設けられるので、前処理機の正面の衣
類投入部に接近して配置される。

また整形後、前処理機へ衣類を預け渡すための
機構を整形装置と前処理機との間に設けることが
でき、その場合、預け渡し機構は整形装置及び前
処理機の作動と連繁して作動する。

（作用） 衣類Ａは、作業者の手によつてまず整形体１に
掛けられるが、その際に作業者は、人体上半部に
類似の整形体１に衣類を人に着せかけるように掛
ければ良い。作業者に要求されるのはこれだけで
あり、整形体１へ着せかけることにより衣類Ａは
整形され、この作業は熟練を必要としないので、
従つて個人差も出ない。

衣類Ａを掛ける際、整形体１は第５図に実線で
示されるように、作業に適する高さにあり、その
後スイツチ操作或いは予め定めたプログラムによ
り、整形体１を支持した支台４が作動して、整形
体１を伸長させ、同時に傾斜機構６の作動により
前処理機２０の方向へ整形体上部が接近するよう
に傾斜させることとなる。

さらに前記整形体１の内部では伸縮腕が作動す
る。その作動の結果、整形体１に掛けられた衣類
Ａの袖Ｂが側方へ張り出させられるので、衣類は
原形と略等しい形状或いはそれに極く近い形状と
なり、整形が完成する。

その後衣類Ａは、整形体１の傾斜により前処理
機へ接近し、預け渡される。その預け渡しのため
に、ハンガー機構３０と袖吸引誘導機構５０とを
連動させて整形装置１０から衣類Ａを整形状態の
まま外し、移す作業を行なうことができる。

（実施例） 図面を参照して説明すると、整形装置１０は前
処理機２０の正面の衣類投入部に設置され、該部
分の前処理機には正面下位より後上方へ傾斜した
搬送機構２１が設けられている。

１は整形装置１０の整形体で、人体上半部を模
した正面形状を有し、上辺中央に頸部２が突設さ
れている。３は整形体１を設置した基台、４は上
部が後方へ傾斜可能に基台３に軸支された支台
で、上端部を整形体１に接続した伸縮機構５によ
り整形体１を上下動させることができる。６は支
台４を傾ける傾斜機構、７はその作動杆を示す。
８，９は整形体１の左右の肩口より出没可能な伸
縮腕で、整形体内に装備された伸縮杆１１により
完全な収納状態から衣類Ａの袖Ｂを張り出した状
態に保持するように突出する。１２は各部の操作
用の足踏スイツチで、上記のほか後述する受け渡
し機構並びに前処理機側の作動も制御する。

整形体１は概略、上、中、下の３段階の高さ調
節が可能であり、衣類を掛ける際は中位にあり
（第８図ａ及び第４図）、前処理機へ渡す際は高位
に伸び（第５図）、受け渡し完了後は下位に縮ん
で（第６図）、衣類Ａから抜け出すように設定さ
れる。

次に前処理機側の構成を説明すると、衣類Ａを
移載する投入枠３０は正面に起倒可能に立設さ
れ、それに、衣類Ａを整形体から外すハンガー機
構４０と、吸引誘導機構５０が設けられ、さらに
コンベアベルト１３の下流側に襟修正機構６０が
設置されている。

搬送機構２１に於て、２２は多数のコンベアベ
ルト１３を掛回したロール、２３はその内の駆動
ロール２２と連絡した駆動モータ、を夫々示して
おり、全てのコンベアベルト１３は搬送面の前下
方より後上方へ第１図で右回りに移動する。

投入枠３０は前処理機２０の正面に配置され、
略門型のフレーム状を有する下端でコンベアベル
ト１３の前端付近に於る本体に支軸３１により軸
支され、略直立した状態からコンベア上に傾斜し
た投入位置までの間で起倒可能である。３２は投
入枠３０の基部付近に連結した駆動シリンダの伸
縮杆で、左右一対装備されている。

ハンガー機構４０は前記投入枠３０の上部中央
に装置され、略くの字型乃至略ブーメラン形の２
本のハンガー部材４１，４２から成り、ハンガー
部材４１，４２は90度近い角度で曲つているため
作動機構の伸縮限界付近で衣類Ａを吊下可能な搬
送方向と略直交した開き状態と（第５図）、その
襟口から抜出るため搬送方向と略平行の一直線状
の閉じ状態になる（第６図）。

吸引誘導機構５０も、前記投入枠３０に装着さ
れており、ハンガー機構４０の左右に対称に設け
られている。一方の構成について説明すると、該
機構５０は基本的には、投入枠３０にブラケツト
５１を介して軸支されたリンク５２と、そのリン
ク５２の先端に回動可能に軸支された吸引ダクト
５３を有し、往復シリンダの伸縮端をダクト５３
に軸支して回動させ、可撓管５４を通じて接続さ
れた機内のブロワからの吸引気流により両袖Ｂ，
Ｂを左右側方へ保持する。なお、吸引ダクト５３
は伸縮杆の伸張により吸引口５５部分が外方へ直
線的に離間するように設けられている。５６は吸
引口５５部分に押付けられる吸引ダクト５３と共
に作動し、衣類の袖を押し広げる作用を行なう袖
押えロール、５７はダクト用引張ばね、５８は起
動スイツチを示す。

さらに実施例の装置には搬送機構上への移載時
に襟回りを整形する襟修正機構６０やしわ取りブ
ラシが装備される。

第７図は上述した各機構を駆動する空圧回路６
０の例であり、図中各構成要素は前記の説明に用
いたのと同じ符号で示してある。６１は空気清浄
器ユニツト、６２はエアタンク、６３は伸縮腕
８，９の制御用電磁弁、６４は伸縮腕８，９の伸
縮シリンダ、６５は支台伸縮機構５の制御用電磁
弁、６６は同機構５の伸縮シリンダ、６７は支台
傾斜機構６の制御用電磁弁、６８は同機構６の伸
縮シリンダ、６９は前記支台伸縮機構５の中間停
止用減圧弁付流量調整弁を示す。

次に前処理機の作動手順を説明する。

衣類Ａの装着工程は、衣類Ａを整形体１に作業
者が掛けることで完了する（第８図ａ）。

このとき整形体１は中間高さ迄伸張した位置に
あり、衣類を掛け終つてからスイツチを操作する
と整形体１は投入枠側へ傾斜しながら伸張し、ハ
ンガー部材４１，４２に達し、伸縮腕８，９が伸
張して袖吸引誘導機構５０を両袖をあずけると同
時に上方から襟口ハンガー部材４１，４２が入る
ので衣類Ａは整形体１からハンガー部材４１，４
２に掛け換えられる状態となる。これで両袖、
襟、前身頃、裾と全体が整形状態になる（第８図
ｂ）。

前記の吊下げ装着が完了した状態からスイツチ
を入れると、投入枠３０の電磁弁が切替り、駆動
シリンダの伸縮杆３２が収縮するに伴い傾斜する
投入枠３０により衣類Ａが搬送面上へ移載される
（第８図ｃ）。同時に整形体１は傾斜したままで下
降するので、衣類Ａは搬送機構２１により整形体
から抜け出るように搬送される。

衣類Ａが完全に前処理機２０へ移ると、整形体
１は正面手前に直立しながら伸長し、中間高さで
停止し（第８図ｄ）、次の衣類Ａを掛ける状態に
戻る。

なお衣類の移載の際吸引ダクト５３，５３が両
袖を吸引しながら左右へ開くので、袖は搬送面へ
押え付けられるように置かれることとなる。移載
された時、衣類Ａは襟元から裾、そして両袖に到
るまで乱れのない整形状態にあり、そのまま搬送
機構２１により運ばれて、本機の次に配置された
例えば前記ロールアイロナへ投入されることとな
る。

（発明の効果） 以上のように本発明の装置では、浴衣や病衣、
ガウンなどの複雑な形状をもつた衣類を人体上半
部に類似の形状を有する整形体にかけるだけの作
業で正しく整形されかつ袖が伸びた整形状態が完
成するので、衣類の前処理機への取付けが非常に
容易化し、かつ一定の品質、所定の作業速度で衣
類のセツト等が行なわれ、操作は熟練にほとんど
無関係であるから作業性を著しく向上できる効果
を発揮する。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の実施例を示すもので、第１図は
前処理機と共に示した衣類整形装置の全体斜視
図、第２図と第３図は整形体の正面図と側面断面
図、第４図、第５図、第６図は整形体の作用説明
図で各図ａは正面図、同ｂは側面図、第７図は整
形装置の回路図、第８図ａ，ｂ，ｃ，ｄは作用説
明図である。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 １ 衣類を前処理機へ整形状態で預け渡すための
   整形装置であつて、人体上半部に類似した正面外
   形を有し、衣類を原形又はそれに近い形状で掛け
   るために前記前処理機の正面に配置された整形体
   と、該整形体を直立状態に支えることができ、か
   つ上部が前処理機方向へ接近するよう傾斜可能に
   下端部で軸支された支台と、前記整形体の両肩口
   より左右側方へ突出しかつ整形体内へ没入するよ
   うに整形体内の上部に設けられた伸縮腕とを備え
   たことを特徴とする前処理機の衣類整形装置。 ２ 衣類を掛ける際の整形体の高さ位置が任意に
   設定可能であるように、支台は、整形体を前処理
   機の上下方向へ伸縮可能に支える伸縮機構を内蔵
   している請求項第１項記載の前処理機の衣類整形
   装置。 ３ 衣類が前処理機へ移載された後、その衣類の
   下から抜け出るように整形体が収縮する請求項第
   １項又は第２項記載の前処理機の衣類整形装置。