JP2004171876A - 電池 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】正極12と負極14とがセパレータ15を介して積層されている。負極14は、負極集電体14Aと負極活物質層14Bとを有している。負極活物質層14Bは、Si,Snあるいはこれらの合金を含み、気相法,液相法または焼結法で形成されたものであり、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化していることが好ましい。セパレータ15には電解液が含浸されている。電解液は、溶媒として、γ−ブチロラクトンなどの環状カルボン酸エステルまたはその誘導体を含んでいる。よって、環状カルボン酸エステルが本来備える物性、すなわち電位窓が広く、高沸点、低融点であり、誘電率が高いという特性を活かすことができ、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極および負極と共に電解質を備えた電池に係り、特に、負極が、負極集電体と負極活物質層とを有する電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、モバイル機器の高性能化および多機能化に伴い、それらの電源である二次電池の高容量化が切望されている。この要求に応える二次電池としてリチウム二次電池がある。しかし、現在におけるリチウム二次電池の代表的な形態である、正極にコバルト酸リチウム、負極に黒鉛を用いた場合の電池容量は飽和状態にあり、大幅な高容量化は極めて困難な状況である。そこで、古くから負極に金属リチウム(Li)を用いることが検討されているが、この負極を実用化するには、リチウムの析出溶解効率の向上およびデンドライト状の析出形態の制御などを図る必要がある。
【0003】
その一方で、最近、ケイ素(Si)あるいはスズ(Sn)などを用いた高容量の負極の検討が盛んに行われている。しかし、これらの負極は充放電を繰り返すと、負極活物質の激しい膨張および収縮により粉砕して微細化し、集電性が低下したり、表面積の増大に起因して電解液の分解反応が促進され、サイクル特性は極めて劣悪であった。そこで、気相法、液相法あるいは焼結法などにより負極集電体に負極活物質層を形成した負極も検討されている(例えば、特許文献1,特許文献2,特許文献3参照。)。これによれば、粒子状の負極活物質およびバインダーなどを含むスラリーを塗布した従来の塗布型負極に比べて微細化を抑制することができると共に、負極集電体と負極活物質層とを一体化することができるので負極における電子伝導性が極めて良好となり、容量的にもサイクル寿命的にも高性能化が期待されている。また、従来は負極中に存在した導電材、バインダーおよび空隙などを低減または排除することもできるので、本質的に負極を薄膜化することが可能となる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−50922号公報
【特許文献2】
特許第2948205号公報
【特許文献3】
特開平11−135115号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この負極を用いた二次電池を実用化するには、サイクル特性を更に向上させる必要があり、それには電解質との関係も重要である。一般に、電解質は、電解質塩を多量に溶解できること、正極および負極で分解反応が起こらないこと、熱的に安定で電池の安全性を損ねないこと、安価なことなどにより選択される。
【0006】
なお、従来の負極に黒鉛を用いたリチウム二次電池では、黒鉛との反応性から常温で固体状のエチレンカーボネートを主溶媒とし、これにジエチルカーボネートあるいはジメチルカーボネートなどの低粘度溶媒を混合させたものが多く用いられている。しかし、上述した新規の負極と、黒鉛を用いた負極とでは、溶媒との反応性が異なるので、新規の負極に適した電解質の開発が求められている。
【0007】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、電解質の組成を調整することにより、優れたサイクル特性を得ることができる電池を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられ、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層とを有し、電解質は、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種と電解質塩とを含む電解液を含有するものである。
【0009】
本発明による第2の電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、負極集電体と、この負極集電体に気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層とを有し、電解質は、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種と電解質塩とを含む電解液を含有するものである。
【0010】
本発明による第1または第2の電池では、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層、または、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層を用い、かつ電解液に環状カルボン酸エステルまたはその誘導体を用いているので、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体が本来備える物性、すなわち電位窓が広く、高沸点、低融点であり、かつ誘電率が高いという特性を活かすことができ、サイクル特性などの電池特性が向上する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるコイン型といわれるものであり、外装缶11内に収容された円板状の正極12と外装カップ13内に収容された円板状の負極14とが、セパレータ15を介して積層されたものである。外装缶11および外装カップ13の周縁部は絶縁性のガスケット16を介してかしめることにより密閉されている。外装缶11および外装カップ13は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウム(Al)などの金属によりそれぞれ構成されている。
【0013】
正極12は、例えば、正極集電体12Aと、正極集電体12Aに設けられた正極活物質層12Bとを有している。正極集電体12Aは、例えば、アルミニウム,ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどにより構成されている。
【0014】
正極活物質層12Bは、例えば、正極活物質としてリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどのバインダーを含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料としては、例えば、一般式Lix MIO2 で表されるリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることが可能だからである。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルト(Co)およびニッケルのうちの少なくとも一方が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 あるいはLiNiO2 などが挙げられる。
【0015】
負極14は、例えば、負極集電体14Aと、負極集電体14Aに設けられた負極活物質層14Bとを有している。負極集電体14Aは、ある程度の強度があり、導電率が高い材料により構成されていることが好ましく、例えば、銅(Cu),ステンレス,ニッケル,チタン(Ti),タングステン(W),モリブデン(Mo)およびアルミニウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、負極活物質層14Bとの合金化を起こしやすい金属により構成した方がより好ましい場合もある。例えば、後述するように負極活物質層14Bがケイ素またはスズの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む場合には、銅,チタン,アルミニウムあるいはニッケルなどが合金化しやすい材料として挙げられる。なお、負極集電体14Aは、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。その場合、負極活物質層14Bと接する層を負極活物質層14Bと合金化しやすい金属材料により構成し、他の層を他の金属材料により構成するようにしてもよい。
【0016】
負極集電体14Aの表面粗さ、より具体的にはJIS B0601に規定される算術平均粗さRaは、0.1μm以上であることが好ましい。この負極14では、充放電に伴う負極活物質層14の膨張収縮が負極集電体14Aに与える影響が大きいが、表面粗さを上述した範囲内とすることにより、負極集電体14Aと負極活物質層14Bとの界面接合が強力となり、負極活物質層14Bが負極集電体14Aから剥離することを抑制することができるからである。
【0017】
負極活物質層14Bは、例えば、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成されたものであり、負極活物質を含んで構成されている。これにより、充放電に伴う負極活物質層14Bの膨張・収縮による破壊を抑制することができると共に、負極集電体14Aと負極活物質層14Bとを一体化することができ、負極14における電子伝導性を向上させることができるようになっている。また、従来の塗布型負極と異なり、バインダーおよび空隙などを低減または排除でき、薄膜化することも可能となっている。この負極活物質層14Bは、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体14Aの構成元素が負極活物質層14Bに、または負極活物質の構成元素が負極集電体14Aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。この合金化は、負極活物質層14Bを気相法,液相法あるいは焼結法により形成する際に同時に起こることが多いが、更に熱処理が施されることにより起こったものでもよい。なお、本明細書では、上述した元素の拡散も合金化の一形態に含める。
【0018】
負極活物質としては、ケイ素またはスズの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。ケイ素またはスズの単体および化合物は、リチウムなどと合金を形成可能であり、かつリチウムを吸蔵・離脱する能力が大きく、組み合わせによっては、従来の黒鉛と比較して負極14のエネルギー密度を高くすることができるからである。ケイ素またはスズの化合物としては、例えば、SiB4 ,SiB6 ,Mg2 Si,Mg2 Sn,Ni2 Si,TiSi2 ,MoSi2 ,CoSi2 ,NiSi2 ,CaSi2 ,CrSi2 ,Cu5 Si,FeSi2 ,MnSi2 ,NbSi2 ,TaSi2 ,VSi2 ,WSi2 ,ZnSi2 ,SiC,Si3 N4 ,Si2 N2 O,SiOv (0<v≦2),SnOw (0<w≦2),SnSiO3 ,,LiSiOあるいはLiSnOが挙げられる。
【0019】
セパレータ15は、正極12と負極14とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ15は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンにより構成されている。
【0020】
セパレータ15には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩であるリチウム塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。本実施の形態では、溶媒として、環状カルボン酸およびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる。環状カルボン酸エステルおよびその誘導体は、電位窓が広く、高沸点、低融点であり、かつ誘電率が高いので、高い熱的安定性、安全性および導電率を得ることができるからである。
【0021】
環状カルボン酸エステルとしては、例えば、γ−ブチロラクトン,γ−バレロラクトンあるいはγ−ヘキサノラクトンが挙げられ、中でも、γ−ブチロラクトンは、電位窓が比較的広いため、電池電圧の範囲を広く設定できるので好ましい。環状カルボン酸エステルの誘導体としては、例えば、α−メチル−γ−ブチロラクトン,β−メチル−γ−ブチロラクトンあるいはα−アセチル−γ−ブチロラクトンが挙げられる。
【0022】
なお、溶媒として、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種のみを用いてもよいが、目的に応じた特性を得るために、他の溶媒と混合して用いてもよい。
【0023】
他の溶媒としては、例えば、ビニレンカーボネート,ビニルエチレンカーボネート,エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートあるいはエチルメチルカーボネート等の有機溶媒などが挙げられ、中でも、ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートのうちの少なくとも一方を混合して用いることが好ましい。ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートは、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体よりも還元分解電位が貴であるので、負極14の表面に安定な被膜を形成することにより、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体の分解を抑制することができるからである。ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートの電解液における含有量は、合計で0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましい。含有量が少ないと安定した被膜を十分に形成することができず、含有量が多いと被膜が厚くなり負極14のインピーダンスが上昇してしまうからである。
【0024】
リチウム塩としては、例えば、LiPF6 あるいはLiClO4 が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
【0025】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0026】
まず、例えば、正極活物質と導電材とバインダーとを混合して正極合剤を調整したのち、この正極合剤をN−メチルピロリドンなどの分散媒に分散させて正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体12Aに塗布して乾燥させたのち、圧縮成型して正極活物質層12Bを形成し正極12を作製する。
【0027】
次いで、気相法または液相法により、負極活物質、例えば、ケイ素またはスズの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を負極集電体14Aに堆積させることにより負極活物質層14Bを形成する。また、粒子状の負極活物質を含む前駆層を負極集電体14Aに形成したのち、これを焼結させる焼結法により負極活物質層14Bを形成してもよいし、気相法,液相法および焼結法のうちの2つまたは3つの方法を組み合わせて負極活物質層14Bを形成するようにしてもよい。このように気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により負極活物質層14Bを形成することにより、場合によっては、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化した負極活物質層14Bが形成される。なお、負極集電体14Aと負極活物質層14Bとの界面をより合金化させるために、更に真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行うようにしてもよい。特に、負極活物質層14Bを後述する鍍金により形成する場合、負極活物質層14Bは負極集電体14Aとの界面においても合金化しにくい場合があるので、必要に応じてこの熱処理を行うことが好ましい。また、気相法により形成する場合においても、負極集電体14Aと負極活物質層14Bとの界面をより合金化させることにより特性を向上させることができる場合があるので、必要に応じてこの熱処理を行うことが好ましい。
【0028】
なお、気相法としては、負極活物質の種類によって物理堆積法あるいは化学堆積法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,熱CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいはプラズマCVD法等が利用可能である。液相法としては電解鍍金あるいは無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼結法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼結法,反応焼結法あるいはホットプレス焼結法が利用可能である。
【0029】
正極12および負極14を作製したのち、例えば、負極14、電解液が含浸されたセパレータ15および正極12を積層して、外装カップ13と外装缶11との中に入れ、それらをかしめる。これにより、図1に示した二次電池が得られる。
【0030】
この二次電池は次のように作用する。
【0031】
この二次電池では、充電を行うと、正極活物質層12Bからリチウムイオンが離脱し、電解液を介して負極活物質層14Bに吸蔵される。一方、放電を行うと、例えば、負極活物質層14Bからリチウムイオンが離脱し、電解液を介して正極活物質層12Bに吸蔵される。ここでは、電解液に環状カルボン酸エステルまたはその誘導体を含んでいるので、熱的安定性、安全性および導電率が向上し、サイクル特性などの電池特性が向上する。
【0032】
このように本実施の形態では、負極活物質層14Bを気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成し、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化させ、かつ電解液が環状カルボン酸エステルおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含むようにしたので、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体が本来備える物性、すなわち電位窓が広く、高沸点、低融点であり、かつ誘電率が高いという特性を活かすことができる。よって、熱的安定性、安全性および導電率を向上させることができ、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
【0033】
特に、電解液に更にビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含むようにすれば、負極14の表面に安定な被膜を形成することができ、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体の分解を抑制することができる。その結果、電池特性を更に向上させることができる。
【0034】
[第2の実施の形態]
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を分解して表すものである。この二次電池は、正極リード21および負極リード22が取り付けられた電極巻回体30をフィルム状の外装部材40A,40Bの内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
【0035】
正極リード21および負極リード22は、外装部材40A,40Bの内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極リード21および負極リード22は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0036】
外装部材40A,40Bは、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40A,40Bは、例えば、ポリエチレンフィルム側と電極巻回体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40A,40Bと正極リード21および負極リード22との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード21および負極リード22に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0037】
なお、外装部材40A,40Bは、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0038】
図3は、図2に示した電極巻回体30のIII−III線に沿った断面構造を表すものである。電極巻回体30は、帯状の正極31と負極32とをセパレータ33および電解質層34を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ35により保護されている。
【0039】
正極31は、正極集電体31Aの片面あるいは両面に正極活物質層31Bが設けられた構造を有しており、負極32は、負極集電体32Aの片面あるいは両面に負極活物質層32Bが設けられた構造を有している。正極集電体31A,正極活物質層31B,負極集電体32A,負極活物質層32Bおよびセパレータ33の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0040】
電解質層34は、保持体に電解液を保持させたいわゆるゲル状の電解質により構成されている。ゲル状の電解質は、電池の漏液あるいは高温における膨れを防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩)の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0041】
保持体は、例えば高分子材料により構成されている。高分子材料としては、例えばブロック共重合体であるポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0042】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0043】
まず、第1の実施の形態と同様にして、正極31および負極32を作製したのち、正極31および負極32のそれぞれに、保持体に電解液が保持された電解質層34を形成する。そののち、正極集電体31Aの端部に正極リード21を溶接により取り付けると共に、負極集電体32Aの端部に負極リード22を溶接により取り付ける。
【0044】
次いで、電解質層34が形成された正極31と負極32とをセパレータ33を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ35を接着して電極巻回体30を形成する
【0045】
最後に、例えば、外装部材40A,40Bの間に電極巻回体30を挟み込み、外装部材40A,40Bの外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード21および負極リード22と外装部材40A,40Bとの間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図2および図3に示した二次電池が完成する。
【0046】
この二次電池は、第1の実施の形態と同様に作用し、同様の効果を得ることができる。
【0047】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0048】
(実施例1−1,1−2)
図1に示した形状を有するコイン型の二次電池を作製した。よって、ここでは図1を参照し、その符号を用いて説明する。
【0049】
まず、正極活物質である平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2 )の粉末と、導電材であるカーボンブラックと、バインダーであるポリフッ化ビニリデンとを、コバルト酸リチウム:カーボンブラック:ポリフッ化ビニリデン=92:3:5の質量比で混合し、これを分散媒であるN−メチルピロリドンへ投入して正極合剤スラリーとし、厚み20μmのアルミニウムよりなる正極集電体12Aに塗布して乾燥させ、加圧することにより正極活物質層12Bを形成し、正極12を作製した。
【0050】
また、算術平均粗さRaが0.5μm、厚みが35μmの電解銅箔よりなる負極集電体14Aに蒸着法によりケイ素よりなる厚み4μmの負極活物質層14Bを形成したのち、これを加熱真空乾燥させて負極14を作製した。得られた負極14をXPS(X−ray Photoelectron Spectroscopy;X線光電子分光法)およびAES( Auger Electron Spectroscopy;オージェ電子分光法)により分析したところ、負極活物質層14Bが、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化していることが確認された。
【0051】
次いで、外装カップ13の中央部に負極14および厚み25μmのポリプロピレン製のセパレータ15を順次積層し、電解液を注入して、正極12を入れた外装缶11を被せてかしめ、直径20mm、高さ1.6mmのコイン型の二次電池を作製した。電解液には、表1に示した組成を有する溶媒84.8質量%にリチウム塩であるLiPF6 15.2質量%を混合したもの、すなわち、溶媒にLiPF6 を1.0mol/kgとなるように溶解させたものを用いた。すなわち、実施例1−1はγ−ブチロラクトン(GBL)のみよりなる溶媒を用いたものであり、実施例1−2は、γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネート(EC)とを1:1の質量比で混合した溶媒を用いたものである。
【0052】
【表1】
【0053】
得られた実施例1−1の二次電池について、充放電試験を行い、容量維持率を求めた。その際、充電は、1mA/cm2 の定電流密度で、電池電圧が4.2Vに達するまで行ったのち、4.2Vの定電圧で電流密度が0.02mA/cm2 に達するまで行い、放電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。なお、充放電を行う際には、予め計算により求めた正極12および負極14の充放電容量に基づいて初回の充電での負極利用率を90%と設定し、金属リチウムが析出しないようにした。容量維持率は、初回放電容量に対する10サイクル目の放電容量の比率、すなわち(10サイクル目の放電容量)/(初回放電容量)×100として算出した。得られた結果を表1に示す。
【0054】
実施例1−1,1−2に対する比較例1−1として、エチレンカーボネートとジメチルカーボネート(DMC)とを1:1の質量比で混合した溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1,1−2と同様にして二次電池を作製した。また、実施例1−1,1−2に対する比較例1−2〜1−4として、負極活物質層を塗布することにより形成すると共に、表1に示した組成を有する溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1,1−2と同様にして二次電池を作製した。なお、負極活物質層は、負極活物質である平均粒径1μmのケイ素粉末70質量%と、導電材であるアセチレンブラック3質量%および平均粒径5μmの鱗片状人造黒鉛20質量%と、バインダーであるポリフッ化ビニリデン7質量%とを混合した負極合剤を分散媒であるN−メチルピロリドンへ投入して負極合剤スラリーとし、負極集電体に塗布し乾燥させ加圧することにより形成した。また、実施例1−1,1−2に対する比較例1−5,1−6として、ケイ素粉末に代えてメソカーボンマイクロビーズ(MCMB)を用い、メソカーボンマイクロビーズ93質量%とポリフッ化ビニリデン7質量%とを混合して負極合剤を作製すると共に、表1に示した組成を有する溶媒を用いたことを除き、他は比較例1−2〜1−4と同様にして二次電池を作製した。比較例1−1〜1−6の二次電池についても、実施例1−1,1−2と同様にして、充放電試験を行い、容量維持率を求めた。その結果も表1に合わせて示す。
【0055】
表1から分かるように、γ−ブチロラクトンを用いなかった比較例1−1に比べて、γ−ブチロラクトンのみを用いた実施例1−1の方が、更にはγ−ブチロラクトンをエチレンカーボネートと混合して用いた実施例1−2の方が高い容量維持率が得られ、その値は84%以上であった。これに対して、ケイ素を含む負極活物質層を塗布により形成した比較例1−2〜1−4では、γ−ブチロラクトンを用いなかった比較例1−4よりも、γ−ブチロラクトンをエチレンカーボネートと混合して用いた比較例1−3の方が高い容量維持率が得られたものの、その値は70%以下と低く、その上、γ−ブチロラクトンのみを用いた比較例1−2は比較例1−4よりも容量維持率が低かった。また、メソカーボンマイクロビーズを含む負極活物質層を塗布により形成した比較例1−4,1−5でも、γ−ブチロラクトンのみを用いた比較例1−5の方がγ−ブチラクトンを用いなかった比較例1−5よりも容量維持率が低く、その値は80%以下であった。すなわち、負極活物質層14Bを蒸着法により形成すると共に負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化させた負極14を用いた場合において、電解質にγ−ブチロラクトンを用いるようにすれば、優れたサイクル特性を得ることができ、特に、γ−ブチロラクトンをエチレンカーボネートと混合して用いるようにすれば更に優れたサイクル特性を得ることができることが分かった。
【0056】
(実施例1−3〜1−8)
γ−ブチロラクトンにビニレンカーボネート(VC)を添加した溶媒を用いたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。その際、電解液におけるγ−ブチロラクトンおよびビニレンカーボネートの含有量は、実施例1−3〜1−8で表2に示したように変化させた。また、実施例1−3〜1−8に対する比較例1−7として、負極活物質層を比較例1−5,1−6と同様にして形成すると共に、電解液におけるγ−ブチロラクトンおよびビニレンカーボネートの含有量を表2に示したように変えたことを除き、他は実施例1−3〜1−8と同様にして二次電池を作製した。実施例1−3〜1−8および比較例1−7の二次電池についても、実施例1−1と同様にして、充放電試験を行い、容量維持率を求めた。その結果を実施例1−1および比較例1−5の結果と共に表2に示す。なお、実施例1−3〜1−8の負極14についても、実施例1−1と同様にしてXPSおよびAESにより分析したところ、負極活物質層14Bが、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化していることが確認された。
【0057】
【表2】
【0058】
表2から分かるように、ビニレンカーボネートを用いた実施例1−3〜1−8の方が、それを用いなかった実施例1−1よりも高い容量維持率が得られ、中でも、電解液におけるビニレンカーボネートの含有量が0.1質量%以上30質量%以下の実施例1−4〜1−7は、容量維持率が85%超と実施例1−1に比べて非常に高かった。これに対して、負極活物質としてメソカーボンマイクロビーズを用いた比較例1−5,1−7では、電解液におけるビニレンカーボネートが1.8質量%の比較例1−7の方が、ビニレンカーボネートを用いなかった比較例1−5よりも高い容量維持率が得られたものの、その効果は小さかった。すなわち、γ−ブチロラクトンをビニレンカーボネートと混合して用いるようにすれば、より優れたサイクル特性を得ることができ、特に、電解液におけるビニレンカーボネートの含有量を0.1質量%以上30質量%以下とすれば、更に優れたサイクル特性を得ることができることが分かった。
【0059】
(実施例1−9〜1−14)
ビニレンカーボネートに代えてビニルエチレンカーボネート(VEC)を用いたことを除き、他は実施例1−3〜1−8と同様にして二次電池を作製した。その際、電解液におけるγ−ブチロラクトンおよびビニルエチレンカーボネートの含有量は、実施例1−9〜1−14で表3に示したように変化させた。実施例1−9〜1−14の二次電池についても、実施例1−1と同様にして、充放電試験を行い、容量維持率を求めた。その結果を実施例1−1の結果と共に表3に示す。なお、実施例1−9〜1−14の負極14についても、実施例1−1と同様にしてXPSおよびAESにより分析したところ、負極活物質層14Bが、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化していることが確認された。
【0060】
【表3】
【0061】
表3から分かるように、ビニルエチレンカーボネートを用いた実施例1−9〜1−14の方が、実施例1−3〜1−8と同様に、用いなかった実施例1−1よりも高い容量維持率が得られ、中でも、電解液におけるビニルエチレンカーボネートの含有量が0.1質量%以上30質量%以下の実施例1−10〜1−13は、容量維持率が85%超と実施例1−1に比べて非常に高かった。すなわち、γ−ブチロラクトンをビニルエチレンカーボネートと混合して用いるようにすれば、より優れたサイクル特性を得ることができ、特に、電解液におけるビニルエチレンカーボネートの含有量を0.1質量%以上30質量%以下とすれば、更に優れたサイクル特性を得ることができることが分かった。
【0062】
(実施例1−15,1−16)
γ−ブチロラクトンとエチレンカーボネートとを1:1の質量比で混合したものに、更にビニレンカーボネートまたはビニレンカーボネートとビニルエチレンカーボネートとを添加したたことを除き、他は実施例1−2と同様にして二次電池を作製した。その際、電解液におけるγ−ブチロラクトン,ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートの含有量は実施例1−15,1−16で表4に示したように変化させた。また、実施例1−15,1−16に対する比較例1−8,1−9として、負極活物質層を比較例1−2〜1−4と同様にして形成すると共に電解液におけるγ−ブチロラクトン,ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートの含有量を表4に示したように変えたことを除き、他は実施例1−15,1−16と同様にして二次電池を作製した。実施例1−15,1−16および比較例1−8,1−9の二次電池についても、実施例1−1と同様にして、充放電試験を行い、容量維持率を求めた。その結果を実施例1−2および比較例1−3の結果と共に表4に示す。なお、実施例1−15,1−16の負極14についても、実施例1−1と同様にしてXPSおよびAESにより分析したところ、負極活物質層14Bが、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化していることが確認された。
【0063】
【表4】
【0064】
表4から分かるように、ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートのうちの少なくとも一方を添加した実施例1−15,1−16の方が、それらを添加しなかった実施例1−2よりも、高い容量維持率が得られた。これに対して、負極活物質層を塗布により形成した比較例1−3,1−8,1−9では、ビニレンカーボネートを添加した比較例1−8の方が、ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートを添加しなかった比較例1−3よりも、容量維持率が高かったものの、ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートの両方を添加した比較例1−9は、比較例1−3よりも容量維持率が低かった。すなわち、負極活物質層14Bを蒸着法により形成すると共に、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化させた負極14を用いた場合において、γ−ブチロラクトンをエチレンカーボネートとビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートのうちの少なくとも一方と混合して用いるようにすれば、より優れたサイクル特性を得ることができることが分かった。
【0065】
(実施例2)
ゲル状の電解質を用い、図2および図3に示した形状を有する二次電池を作製した。よって、ここでは図2および図3を参照し、その符号を用いて説明する。
【0066】
まず、実施例1−1と同様にして正極31を作製した。また、厚み25μmの電解銅箔よりなる負極集電体32Aに電解鍍金によりスズよりなる厚み4μmの負極活物質層32Bを形成し、負極32を作製した。実施例2の負極32についても、実施例1−1と同様にしてXPSおよびAESにより分析したところ、負極活物質層32Bが、負極集電体32Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体32Aと合金化していることが確認された。次いで、γ−ブチロラクトン40質量%と、エチレンカーボネート40質量%と、ビニレンカーボネート5質量%と、電解質塩であるLiPF6 15質量%とからなる電解液30質量%に、重量平均分子量60万のブロック共重合であるポリフッ化ビニリデン10質量%と、高分子材料の溶剤であるジメチルカーボネート60質量%とを混合して溶解させた前駆体溶液を正極31および負極32のそれぞれに塗布し、常温で8時間放置してジメチルカーボネートを揮発させることにより、正極31および負極32のそれぞれの上に電解質層34を形成した。
【0067】
次いで、正極31と負極32とを帯状に切断し、正極31に正極リード21を取り付けると共に、負極32に負極リード22を取り付けた。そののち、電解質層34が形成された正極31と負極32とを積層して積層体とし、この積層体を巻回することにより電極巻回体30を形成した。
【0068】
最後に、この電極巻回体30を、アルミラミネートフィルムよりなる外装部材40A,40Bの間に挟み、減圧下で熱融着することにより密閉した。その際、正極リード21および負極リード22と外装部材40A,40Bとの間に樹脂よりなる密着フィルム41を挿入した。以上により、図2および図3に示した二次電池を得た。
【0069】
得られた実施例2の二次電池について、実施例1−1と同様にして充放電試験を行い、容量維持率を求めた。その結果を表5に示す。
【0070】
【表5】
【0071】
実施例2に対する比較例2として、平均粒径1μmのケイ素粉末に代えて平均粒径1μmのスズ粉末を用いると共に、算術平均粗さRaが0.5μm、厚みが35μmの負極集電体14Aに代えて、厚みが25μmの電解銅箔よりなる負極集電体32Aを用い、比較例1−1と同様にして負極32を作製したことを除き、他は実施例2と同様にして二次電池を作製した。比較例2の二次電池についても、実施例1−1と同様にして、充放電試験を行い、容量維持率を求めた。その結果も表5に合わせて示す。
【0072】
表5から分かるように、実施例2によれば、実施例1−1と同様に、対応する比較例2よりも高い容量維持率が得られた。すなわち、ゲル状の電解質を用いると共に、負極活物質層32Bを電解鍍金により負極集電体32Aとの界面の少なくとも一部において合金化させた二次電池においても、γ−ブチロラクトンを用いるようにすれば、優れたサイクル特性を得ることができることが分かった。
【0073】
なお、上記実施例では、環状カルボン酸エステルについて、γ−ブチロラクトンを具体例に挙げて説明したが、他の環状カルボン酸エステルを用いても同様の結果を得ることができる。また、環状カルボン酸エステルの誘導体を用いても同様の結果を得ることができる。
【0074】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、保持体として高分子材料を用いる場合について説明したが、窒化リチウムあるいはリン酸リチウムなどの無機伝導体を保持体として用いてもよく、高分子材料と無機伝導体とを混合して用いてもよい。
【0075】
また、上記実施の形態および実施例では、負極集電体14A,32Aに負極活物質層14B,32Bを形成するようにしたが、負極集電体と負極活物質層との間に、他の層を形成するようにしてもよい。
【0076】
更に、上記実施の形態および実施例では、コイン型、または巻回ラミネート型の二次電池について説明したが、本発明は、円筒型、角型、ボタン型、薄型、大型、積層ラミネート型の二次電池についても同様に適用することができる。また、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の電池によれば、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層、または、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層を用い、かつ電解液に環状カルボン酸エステルおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種を含むようにしたので、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体が本来備える物性、すなわち電位窓が広く、高沸点、低融点であり、かつ誘電率が高いという特性を活かすことができる。よって、熱的安定性、安全性および導電率を向上させることができ、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
【0078】
特に、請求項5記載の電池によれば、電解液に更にビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含むようにしたので、負極の表面に安定な被膜を形成することができ、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体の分解を抑制することができる。その結果、電池特性を更に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。
【図3】図2に示した電極巻回体のIII−III線に沿った構成を表す断面図である。
【符号の説明】
11…外装缶、12,32…正極、12A,31A…正極集電体、12B,31B…正極活物質層、13…外装カップ、14,32…負極、14A,32A…負極集電体、14B,32B…負極活物質層、15,33…セパレータ、21…正極リード、22…負極リード、30…電極巻回体、34…電解質層、35…保護テープ、40A,40B…外装部材、41…密着フィルム
Claims (10)
- 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられ、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層とを有し、前記電解質は、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種と電解質塩とを含む電解液を含有する
ことを特徴とする電池。 - 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層とを有し、
前記電解質は、環状カルボン酸エステルおよびその誘導体からなる群のうちの少なくとも1種と電解質塩とを含む電解液を含有する
ことを特徴とする電池。 - 前記負極活物質層は、前記負極集電体との界面の少なくとも一部において前記負極集電体と合金化していることを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記電解液はγ−ブチロラクトンを含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記電解液は、更に、ビニレンカーボネートおよびビニルエチレンカーボネートのうちの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記負極活物質層は、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記負極集電体の表面粗さは、算術平均粗さで0.1μm以上であることを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記電解質は、更に、保持体を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 更に、前記正極,負極および電解質を収容するフィルム状の外装部材を備えたことを特徴とする請求項2記載の電池。
- 前記正極はリチウム含有金属複合酸化物を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
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2002
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