JP4144335B2 - 負極およびそれを用いた二次電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、負極集電体と負極活物質層とを有する負極、およびそれを用いた二次電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、モバイル機器の高性能化および多機能化に伴い、それらの電源である二次電池の高容量化が切望されている。この要求に応える二次電池としてリチウム二次電池がある。しかし、現在におけるリチウム二次電池の代表的な形態である、正極にコバルト酸リチウム、負極に黒鉛を用いた場合の電池容量は飽和状態にあり、大幅な高容量化は極めて困難な状況である。そこで、古くから負極に金属リチウム(Li)を用いることが検討されているが、この負極を実用化するには、リチウムの析出溶解効率の向上およびデンドライト状の析出形態の制御などを図る必要がある。
【0003】
その一方で、最近、ケイ素(Si)あるいはスズ(Sn)などを用いた高容量の負極の検討が盛んに行われている。しかし、これらの負極は充放電を繰り返すと、負極活物質の激しい膨張および収縮により粉砕して微細化し、集電性が低下したり、表面積の増大に起因して電解液の分解反応が促進され、サイクル特性は極めて劣悪であった。そこで、気相法、液相法あるいは焼結法などにより負極集電体に負極活物質層を形成した負極も検討されている(例えば、特許文献1,特許文献2,特許文献3参照。)。これによれば、粒子状の負極活物質およびバインダーなどを含むスラリーを塗布した従来の塗布型負極に比べて微細化を抑制することができると共に、負極集電体と負極活物質層とを一体化することができるので負極における電子伝導性が極めて良好となり、容量的にもサイクル寿命的にも高性能化が期待されている。また、従来は負極中に存在した導電材、バインダーおよび空隙などを低減または排除することもできるので、本質的に負極を薄膜化することが可能となる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−50922号公報
【特許文献2】
特許第2948205号公報
【特許文献3】
特開平11−135115号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、気相法、液相法あるいは焼結法により負極集電体に負極活物質層を形成した負極でも、負極活物質層の表面での電解液の分解反応を避けることは難しく、サイクル特性が十分とは言えなかった。
【0006】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、優れたサイクル特性を得ることができる負極およびそれを用いた二次電池を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明による第1の負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられ、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層と、この負極活物質層に設けられたイオン伝導性を有する無機化合物層とを備え、負極活物質層は、スズ(Sn)またはケイ素(Si)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、無機化合物層は、リン酸リチウムの窒化物を含むものである。
【0008】
本発明による第2の負極は、負極集電体と、この負極集電体に気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層と、この負極活物質層に設けられたイオン伝導性を有する無機化合物層とを備え、負極活物質層は、スズ(Sn)またはケイ素(Si)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、無機化合物層は、リン酸リチウムの窒化物を含むものである。
【0009】
本発明による第1の二次電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられ、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層と、この負極活物質層に設けられたイオン伝導性を有する無機化合物層とを備え、負極活物質層は、スズ(Sn)またはケイ素(Si)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、無機化合物層は、リン酸リチウムの窒化物を含むものである。
【0010】
本発明による第2の二次電池は、正極および負極と共に電解質を備えたものであって、負極は、負極集電体と、この負極集電体に気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層と、この負極活物質層に設けられたイオン伝導性を有する無機化合物層とを備え、負極活物質層は、スズ(Sn)またはケイ素(Si)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、無機化合物層は、リン酸リチウムの窒化物を含むものである。
【0011】
本発明による第1および第2の負極では、リン酸リチウムの窒化物を含む無機化合物層により、スズ(Sn)またはケイ素(Si)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む負極活物質層と電解質との反応が抑制される。
【0012】
本発明による第1および第2の二次電池では、本発明の負極を用いているので、負極活物質層と電解質との反応が抑制されることにより、優れたサイクル特性が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0014】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるコイン型といわれるものであり、外装缶11内に収容された円板状の正極12と外装カップ13内に収容された円板状の負極14とが、セパレータ15を介して積層されたものである。外装缶11および外装カップ13の周縁部は絶縁性のガスケット16を介してかしめることにより密閉されている。外装缶11および外装カップ13は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウム(Al)などの金属によりそれぞれ構成されている。
【0015】
正極12は、例えば、正極集電体12Aと、正極集電体12Aに設けられた正極活物質層12Bとを有している。正極集電体12Aは、例えば、アルミニウム,ニッケル(Ni)あるいはステンレスなどにより構成されている。
【0016】
正極活物質層12Bは、例えば、正極活物質としてリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどのバインダーを含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料としては、例えば、一般式Lix MIO2 で表されるリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることができるからである。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルト(Co)およびニッケルのうちの少なくとも一方が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 あるいはLiNiO2 などが挙げられる。
【0017】
負極14は、例えば、負極集電体14Aと、負極集電体14Aに設けられた負極活物質層14Bと、負極活物質層14Bに設けられた無機化合物層14Cとを有している。負極集電体14A,負極活物質層14Bおよび無機化合物層14Cはこの順に積層されており、無機化合物層14Cの側が正極12の正極活物質層12Bと対向するように配置されている。
【0018】
負極集電体14Aは、ある程度の強度があり、導電率が高い材料により構成されていることが好ましく、例えば、銅(Cu),ステンレス,ニッケル,チタン(Ti),タングステン(W),モリブデン(Mo)およびアルミニウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。中でも、負極活物質層14Bとの合金化を起こしやすい金属により構成した方がより好ましい場合もある。例えば、後述するように負極活物質層14Bがケイ素またはスズの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む場合には、銅,チタン,アルミニウムあるいはニッケルなどが合金化しやすい材料として挙げられる。なお、負極集電体14Aは、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。その場合、負極活物質層14Bと接する層を負極活物質層14Bと合金化しやすい金属材料により構成し、他の層を他の金属材料により構成するようにしてもよい。
【0019】
負極集電体14Aの表面粗さ、より具体的にはJISB0601に規定される算術平均粗さRaは、0.1μm以上であることが好ましい。この負極14では、充放電に伴う負極活物質層14Bの膨張収縮が負極集電体14Aに与える影響が大きいが、表面粗さを上述した範囲内とすることにより、負極集電体14Aと負極活物質層14Bとの界面接合が強力となり、負極活物質層14Bが負極集電体14Aから剥離することを抑制することができ、その結果サイクル特性を向上させることができるからである。
【0020】
負極活物質層14Bは、例えば、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成されたものであり、負極活物質を含んで構成されている。これにより、充放電に伴う負極活物質層14Bの膨張・収縮による破壊を抑制することができると共に、負極集電体14Aと負極活物質層14Bとを一体化することができ、負極14における電子伝導性を向上させることができるようになっている。また、従来の塗布型負極と異なり、バインダーおよび空隙などを低減または排除でき、薄膜化することも可能となっている。この負極活物質層14Bは、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体14Aの構成元素が負極活物質層14Bに、または負極活物質の構成元素が負極集電体14Aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。この合金化は、負極活物質層14Bを気相法,液相法あるいは焼結法により形成する際に同時に起こることが多いが、更に熱処理が施されることにより起こったものでもよい。なお、本明細書では、上述した元素の拡散も合金化の一形態に含める。
【0021】
負極活物質としては、ケイ素またはスズの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。ケイ素またはスズの単体および化合物は、リチウムなどと合金を形成可能であり、かつリチウムを吸蔵・離脱する能力が大きく、組み合わせによっては、従来の黒鉛と比較して負極14のエネルギー密度を高くすることができるからである。ケイ素またはスズの化合物としては、例えば、SiB4 ,SiB6 ,Mg2 Si,Mg2 Sn,Ni2 Si,TiSi2 ,MoSi2 ,CoSi2 ,NiSi2 ,CaSi2 ,CrSi2 ,Cu5 Si,FeSi2 ,MnSi2 ,NbSi2 ,TaSi2 ,VSi2 ,WSi2 ,ZnSi2 ,SiC,Si3 N4 ,Si2 N2 O,SiOv (0<v≦2),SnOw (0<w≦2),SnSiO3 ,LiSiOあるいはLiSnOが挙げられる。
【0022】
無機化合物層14Cは、後述する電解液と負極活物質層14Bとの反応を抑制するためのものであり、リチウムイオン伝導性を有している。無機化合物層14Cの厚みは、10nm超5μm未満であることが好ましく、50nm以上3μm以下であればより好ましい。薄すぎると、電解液と負極活物質層14Bとの反応を十分に抑制することが難しいと共に、充放電による負極活物質層14Bの膨張・収縮により、破損等も起きる可能性があり、逆に厚すぎると、抵抗が増大し、電池全体の負荷特性を大きく低下させる恐れがあるからである。
【0023】
無機化合物層14Cの構成材料としては、還元耐性やリチウムとの反応性、柔軟性、強度あるいはイオン伝導率などの観点から、フッ化リチウム(LiF),臭化リチウム(LiBr),ヨウ化リチウム(LiI),塩化リチウム(LiCl),窒化リチウム(Li3 N),硫化リチウム(Li2 S),ケイ酸リチウム(Li4 SiO4 ),炭酸リチウム(Li2 CO3 ),硫酸リチウム(Li2 SO4 ),リン化リチウム(Li3 P),リン酸リチウム(Li3 PO4 )およびリン酸リチウムの窒化物(LiPON)からなる群のうちの少なくとも1種のリチウム化合物を含むものが好ましい。中でも、リン酸リチウムの窒化物を含むものは、柔軟性や強度あるいはイオン伝導率等の点から、特に好ましい。なお、ここで括弧内に示した化学式は化学量論組成であり、上記リチウム化合物は化学量論組成でなくてもよい。
【0024】
無機化合物層14Cの構成材料としては、また、原材料に上述したリチウム化合物のうちの少なくとも1種を用いて作製されたものも好ましい。このようなリチウム化合物としては、例えば、リン酸リチウムを原材料として用い、窒素ガス雰囲気中において反応性スパッタを行うことにより得られるリン酸リチウムの窒化物がある。
【0025】
無機化合物層14Cの構成材料としては、また、上記リチウム化合物を含むものに、イオン伝導性を向上させるためにアルミニウム,二酸化ケイ素(SiO2 )あるいは硫化リン(P2 S5 )などの他の化合物を添加したものでもよい。他の化合物を含むものとしては、硫化リチウムと硫化リンとの固溶体(LI2 S−P2 S5 )、あるいは硫化リチウムと硫化ケイ素との固溶体(Li2 S−SiS2 )などが挙げられる。なお、ここでも括弧内に示した化学式は化学量論組成であり、上記リチウム化合物は化学量論組成でなくてもよい。
【0026】
これら無機化合物層14Cの構成材料は、非晶質のものが好ましいが、結晶性を有するものでもよい。
【0027】
なお、ここでは負極14の実使用充放電電圧領域における容量は、リチウムの吸蔵および離脱による容量成分により表されるようになっている。
【0028】
セパレータ15は、正極12と負極14とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ15は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンにより構成されている。
【0029】
セパレータ15には、液状の電解質である電解液が含浸されている。この電解液は、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩であるリチウム塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。このように電解液を用いるようにすれば、高いイオン伝導率を得ることができるので好ましい。溶媒としては、例えば、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートあるいはエチルメチルカーボネート等の有機溶媒が挙げられ、これらのいずれか1種または2種以上を混合して用いてもよい。
【0030】
リチウム塩としては、例えば、LiPF6 あるいはLiClO4 が挙げられ、これらを単独で用いてもよく、混合して用いてもよい。
【0031】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0032】
まず、例えば、正極活物質と導電材とバインダーとを混合して正極合剤を調整したのち、この正極合剤をN−メチルピロリドンなどの分散媒に分散させて正極合剤スラリーとする。続いて、この正極合剤スラリーを正極集電体12Aに塗布して乾燥させたのち、圧縮成型して正極活物質層12Bを形成し正極12を作製する。
【0033】
次いで、気相法または液相法により、負極活物質、例えば、ケイ素またはスズの単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を負極集電体14Aに堆積させることにより負極活物質層14Bを形成する。また、粒子状の負極活物質を含む前駆層を負極集電体14Aに形成したのち、これを焼結させる焼結法により負極活物質層14Bを形成してもよいし、気相法,液相法および焼結法のうちの2つまたは3つの方法を組み合わせて負極活物質層14Bを形成するようにしてもよい。このように気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により負極活物質層14Bを形成することにより、場合によっては、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化した負極活物質層14Bが形成される。なお、負極集電体14Aと負極活物質層14Bとの界面をより合金化させるために、更に真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行うようにしてもよい。特に、負極活物質層14Bを後述する鍍金により形成する場合、負極活物質層14Bは負極集電体14Aとの界面においても合金化しにくい場合があるので、必要に応じてこの熱処理を行うことが好ましい。また、気相法により形成する場合においても、負極集電体14Aと負極活物質層14Bとの界面をより合金化させることにより特性を向上させることができる場合があるので、必要に応じてこの熱処理を行うことが好ましい。
【0034】
なお、気相法としては、負極活物質の種類によって物理堆積法あるいは化学堆積法を用いることができ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,熱CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法あるいはプラズマCVD法等が利用可能である。液相法としては電解鍍金あるいは無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼結法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼結法,反応焼結法あるいはホットプレス焼結法が利用可能である。
【0035】
負極活物質層14Bを形成したのち、例えば、蒸着法、あるいは反応性スパッタ法などのスパッタ法により、負極活物質層14Bに無機化合物層14Cを形成し、負極14を作製する。
【0036】
そののち、例えば、負極14、電解液を含浸させたセパレータ15および正極12を積層して、外装カップ13と外装缶11との中に入れ、それらをかしめる。これにより、図1に示した二次電池が得られる。
【0037】
なお、無機化合物層14Cは、電解液中に、無機化合物層14Cの構成材料の前駆体を添加しておき、負極活物質層14B上に析出させることにより形成するようにしてもよい。その析出は、二次電池の組み立て時に行ってもよく、組み立て後に充電により行ってもよい。
【0038】
この二次電池は次のように作用する。
【0039】
この二次電池では、充電を行うと、正極12からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して負極14に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極14からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して正極12に吸蔵される。その際、無機化合物層14Cにより、電解液と負極活物質層14Bとの反応が抑制される。
【0040】
このように本実施の形態では、負極活物質層14Bの正極12と対向する側に無機化合物層14Cを設けるようにしたので、例えば、電解液と負極活物質層14Bとの反応を抑制することができ、それにより、優れたサイクル特性を得ることができる。
【0041】
特に、無機化合物層14Cに、フッ化リチウム,臭化リチウム,ヨウ化リチウム,塩化リチウム,窒化リチウム,硫化リチウム,ケイ酸リチウム,炭酸リチウム,硫酸リチウム,リン化リチウム,リン酸リチウムおよびリン酸リチウムの窒化物からなる群のうちの少なくとも1種を含むようにすれば、無機化合物層14Cの柔軟性、強度あるいはイオン伝導率などを向上させることができる。中でも、リン酸リチウムの窒化物を含むようにすれば、より高い効果を得ることができる。
【0042】
また、無機化合物層14Cの厚みを、10nm超5μm未満とすれば、電解液と負極活物質層14Bとの反応をより抑制することができ、より高い効果を得ることができる。
【0043】
更に、本実施の形態では、電解質として電解液を用いるようにしたので、高いイオン伝導率を得ることができる。
【0044】
[第2の実施の形態]
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を分解して表すものである。この二次電池は、正極リード21および負極リード22が取り付けられた電極巻回体30をフィルム状の外装部材40A,40Bの内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
【0045】
正極リード21および負極リード22は、外装部材40A,40Bの内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。正極リード21および負極リード22は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
【0046】
外装部材40A,40Bは、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40A,40Bは、例えば、ポリエチレンフィルム側と電極巻回体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40A,40Bと正極リード21および負極リード22との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、正極リード21および負極リード22に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
【0047】
なお、外装部材40A,40Bは、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
【0048】
図3は、図2に示した電極巻回体30のIII−III線に沿った断面構造を表すものである。電極巻回体30は、帯状の正極31と負極32とをセパレータ33および電解質層34を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ35により保護されている。
【0049】
正極31は、正極集電体31Aの片面あるいは両面に正極活物質層31Bが設けられた構造を有しており、負極32は、負極集電体32Aの片面あるいは両面に負極活物質層32Bが設けられた構造を有している。また、負極活物質層32Bには無機化合物層32Cが設けられている。正極集電体31A,正極活物質層31B,負極集電体32A,負極活物質層32B,無機化合物層32Cおよびセパレータ33の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0050】
電解質層34は、保持体に電解液を保持させたいわゆるゲル状の電解質により構成されている。ゲル状の電解質は、電解液により高いイオン伝導率が得られると共に、保持体により電池の漏液あるいは高温における膨れを防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩)の構成は、第1の実施の形態と同様である。
【0051】
保持体は、例えば高分子材料により構成されている。高分子材料としては、例えばブロック共重合体であるポリフッ化ビニリデンが挙げられる。
【0052】
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
【0053】
まず、第1の実施の形態と同様にして、正極31および負極32を作製したのち、正極31および負極32のそれぞれに、保持体に電解液が保持された電解質層34を形成する。そののち、正極集電体31Aの端部に正極リード21を溶接により取り付けると共に、負極集電体32Aの端部に負極リード22を溶接により取り付ける。
【0054】
次いで、電解質層34が形成された正極31と負極32とをセパレータ33を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ35を接着して電極巻回体30を形成する。
【0055】
最後に、例えば、外装部材40A,40Bの間に電極巻回体30を挟み込み、外装部材40A,40Bの外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、正極リード21および負極リード22と外装部材40A,40Bとの間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図2および図3に示した二次電池が完成する。
【0056】
この二次電池は、第1の実施の形態と同様に作用し、同様の効果を得ることができる。特に、この二次電池では、電解質としてゲル状の電解質を用いるようにしたので、高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液あるいは高温における膨れを防止することができる。
【0057】
【実施例】
更に、本発明の具体的な実施例について詳細に説明する。
【0058】
(実施例1−1〜1−5)
図1に示した形状を有するコイン型セルを作製した。よって、ここでは図1を参照し、その符号を用いて説明する。なお、ここでは、負極14の対極として金属リチウム板を用いた。
【0059】
まず、算術平均粗さRaが1.5μmの電解銅箔よりなる厚み20μmの負極集電体14A上に電子ビーム真空蒸着法によりケイ素よりなる厚み3μmの負極活物質層14Bを形成した。そののち、負極活物質層14B上に抵抗加熱真空蒸着法によりリン酸リチウム(Li3 PO4 )よりなる無機化合物層14Cを形成し、負極14を作製した。その際、無機化合物層14Cの厚みは、実施例1−1〜1−5で表1に示したように変化させた。得られた負極14をXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy;X線光電子分光法)およびAES( Auger Electron Spectroscopy;オージェ電子分光法)により分析したところ、負極活物質層14Bが、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化していることが確認された。
【0060】
次いで、外装カップ13の中央部に負極14および厚み25μmのポリプロピレン製のセパレータ15を順次積層し、電解液を注入して、負極14の対極として、厚み1mmの金属リチウム板を入れた外装缶11を被せてかしめ、直径20mm、高さ1.6mmのコイン型セルを作製した。電解液には、エチレンカーボネート40質量%とジエチルカーボネート60質量%とを混合した溶媒に、リチウム塩であるLiPF6 を1.0mol/dm3 となるように溶解させたものを用いた。
【0061】
【表1】
【0062】
得られた実施例1−1〜1−5のコイン型セルについて、充放電試験を行い、10サイクル後容量維持率を求めた。その際、充電は、1mA/cm2 の定電流密度で、電池電圧が0Vに達するまで行ったのち、0Vの定電圧で電流密度が0.01mA/cm2 に減衰するまで行い、放電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.0Vに達するまで行った。なお、10サイクル後容量維持率は、初回放電容量に対する10サイクル目の放電容量の比率、すなわち(10サイクル目の放電容量)/(初回放電容量)×100として算出した。得られた結果を表1に示す。
【0063】
実施例1−1〜1−5に対する比較例1として、無機化合物層を形成しないことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にしてコイン型セルを作製した。比較例1のコイン型セルについても、実施例1−1〜1−5と同様にして、充放電試験を行い、10サイクル後容量維持率を求めた。その結果も表1に合わせて示す。
【0064】
表1から分かるように、無機化合物層14Cを形成した実施例1−1〜1−5は、形成しなかった比較例1に比べて高い容量維持率が得られた。また、実施例1−1〜1−5から分かるように、無機化合物層14Cの厚みが10nm超5000nm(5μm)未満の実施例1−2〜1−4ではその効果が大きかったのに対して、無機化合物層14Cの厚みが10nmの実施例1−1、および無機化合物層14Cの厚みが5μmの実施例1−5では、その効果が小さかった。これは、10nm以下では薄すぎて、負極活物質層14Bと電解液との反応を十分に抑制することができず、生成された電解液の分解物によって負極14の抵抗が増大して容量が低下したためと考えられ、5μm以上では無機固体電解質層14C自体の抵抗が増大し、電池の抵抗が大きく上昇して容量が取り出せなかったためと考えられる。
【0065】
すなわち、負極活物質層14Bに無機化合物層14Cを形成するようにすれば、サイクル特性を向上させることができ、その厚みを10nm超5μm未満、更には50nm以上3μm以下とすれば、より高い効果を得られることが分かった。
【0066】
(実施例2−1〜2−4)
表2に示した算術平均粗さRaを有する厚み20μmの負極集電体14Aを用いたことを除き、他は実施例1−3と同様にしてコイン型セルを作製した。実施例2−1〜2−4のコイン型セルについても、実施例1−1〜1−5と同様にして充放電試験を行い、10サイクル後容量維持率を求めた。その結果を実施例1−3および比較例1の結果と共に表2に示す。なお、実施例2の負極14についても、実施例1−1〜1−5と同様にしてXPSおよびAESにより分析したところ、負極活物質層14Bが、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化していることが確認された。
【0067】
【表2】
【0068】
表2から分かるように、負極集電体14Aの算術平均粗さRaが0.1μm以上の実施例2−2〜2−4,1−3は、容量維持率が88%以上と、算術平均粗さRaが0.05μmの実施例2−1の80%と比べて大きく向上していた。すなわち、算術平均粗さRaが0.1μm以上の負極集電体14Aを用いるようにすれば、サイクル特性を大きく向上させることができることが分かった。
【0069】
(実施例3−1〜3−5)
実施例1−1〜1−5と同一の負極集電体14Aに鍍金によりスズよりなる厚み3μmの負極活物質層14Bを形成したのち、これを真空中において200℃で10時間熱処理した。そののち、負極活物質層14Bに抵抗加熱真空蒸着法によりフッ化リチウム(LiF)よりなる無機化合物層14Cを形成し、負極14を作製した。その際、無機化合物層14Cの厚みは、実施例3−1〜3−5で表3に示したように変化させた。実施例3−1〜3−5の負極14についても、実施例1−1〜1−5と同様にしてXPSおよびAESにより分析したところ、負極活物質層14Bが、負極集電体14Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体14Aと合金化していることが確認された。この負極14を用いたことを除き、他は実施例1−1〜1−5と同様にしてコイン型セルを作製した。また、実施例3−1〜3−5に対する比較例3として、無機化合物層を形成しないことを除き、他は実施例3−1〜3−5と同様にしてコイン型セルを作製した。実施例3−1〜3−5および比較例3のコイン型セルについても、実施例1−1〜1−5と同様にして充放電試験を行い、10サイクル後容量維持率を求めた。その結果を表3に示す。
【0070】
【表3】
【0071】
表3から分かるように、実施例3−1〜3−5においても実施例1−1〜1−5と同様の傾向が見られた。すなわち、無機化合物層14Cの構成材料によらず、負極活物質層14Bに無機化合物層14Cを形成するようにすれば、サイクル特性を向上させることができ、その厚みを10nm超5μm未満、更には50nm以上3μm以下とすれば、より高い効果を得られることが分かった。
【0072】
(実施例4)
ゲル状の電解質を用い、図2および図3に示した形状を有する二次電池を作製した。よって、ここでは図2および図3を参照し、その符号を用いて説明する。
【0073】
まず、正極活物質である平均粒径5μmのコバルト酸リチウム(LiCoO2 )の粉末と、導電材であるカーボンブラックと、バインダーであるポリフッ化ビニリデンとを、コバルト酸リチウム:カーボンブラック:ポリフッ化ビニリデン=92:3:5の質量比で混合し、これを分散媒であるN−メチルピロリドンへ投入して正極合剤スラリーとし、厚み30μmのアルミニウムよりなる正極集電体31Aに塗布して乾燥させ、加圧することにより正極活物質層31Bを形成し、正極31を作製した。
【0074】
また、算術平均粗さRaが1.5μmの電解銅箔よりなる厚み20μmの負極集電体32A上に、負極活物質である平均粒径1μmのケイ素粉末90質量%と、バインダーであるポリフッ化ビニリデン10質量%とを混合し、これを分散媒であるN−メチルピロリドンへ投入して負極合剤スラリーとし、これを負極集電体32Aに塗布し乾燥させ加圧したのち、真空雰囲気下において350℃で12時間熱処理を行うことにより焼結し、負極活物質層32Bを形成した。そののち、放電ガスとして、アルゴン(Ar)と窒素(N2 )との混合ガスを用い、また、ターゲットとしてリン酸リチウムを用いたRFスパッタ法により、負極活物質層32B上に、リン酸リチウムとリン酸リチウムの窒化物(LiPON)とを含む無機化合物層32Cを500nmの厚みで形成し、負極32を作製した。
【0075】
正極31および負極32を作製したのち、エチレンカーボネート42.5質量%と、プロピレンカーボネート42.5質量%と、リチウム塩であるLiPF6 15質量%とからなる電解液30質量%に、重量平均分子量60万のブロック共重合であるポリフッ化ビニリデン10質量%と、高分子材料の溶剤であるジメチルカーボネート60質量%とを混合して溶解させた前駆体溶液を正極31および負極32のそれぞれに塗布し、常温で8時間放置してジメチルカーボネートを揮発させることにより、正極31および負極32のそれぞれの上に電解質層34を形成した。
【0076】
次いで、正極31と負極32とを帯状に切断し、正極31に正極リード21を取り付けると共に、負極32に負極リード22を取り付けた。そののち、電解質層34が形成された正極31と負極32とを積層して積層体とし、この積層体を巻回することにより電極巻回体30を形成した。
【0077】
最後に、この電極巻回体30を、アルミラミネートフィルムよりなる外装部材40A,40Bの間に挟み、減圧下で熱融着することにより密閉した。その際、正極リード21および負極リード22と外装部材40A,40Bとの間に樹脂よりなる密着フィルム41を挿入した。以上により、図2および図3に示した二次電池を得た。
【0078】
得られた実施例4の二次電池について、充放電試験を行い、30サイクル後容量維持率を求めた。その際、充電は、2mA/cm2 の定電流密度で、電池電圧が4.2Vに達するまで行ったのち、4.2Vの定電圧で電流密度が0.02mA/cm2 に減衰するまで行い、放電は、2mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。なお、充電を行う際には、予め計算により求めた正極31および負極32の充放電容量に基づいて初回の充電での負極利用率を90%と設定し、金属リチウムが析出しないようにした。30サイクル後容量維持率は、初回放電容量に対する30サイクル目の放電容量の比率、すなわち(30サイクル目の放電容量)/(初回放電容量)×100として算出した。得られた結果を表4に示す。
【0079】
【表4】
【0080】
実施例4に対する比較例4−1として、無機化合物層を形成しないことを除き、他は実施例4と同様にして二次電池を作製した。また、実施例4に対する比較例4−2,4−3として、負極活物質層を塗布することにより形成すると共に、無機化合物層の厚みを表4に示したように変えたことを除き、他は実施例4と同様にして二次電池を作製した。その際、負極活物質層は、負極活物質である平均粒径1μmのケイ素粉末70質量部と、負極活物質および導電材である黒鉛化気相成長炭素繊維5質量部および鱗片状人造黒鉛20質量部と、バインダーであるポリフッ化ビニリデン10質量部とを混合し、これを実施例1−1〜1−5と同一の負極集電体に塗布し乾燥させ加圧することにより形成した。比較例4−1〜4−3の二次電池についても、実施例4と同様にして充放電試験を行い、30サイクル後容量維持率を求めた。その結果も表4に合わせて示す。なお、実施例4の負極22についても、実施例1−1〜1−15と同様にしてXPSおよびAESにより分析したところ、負極活物質層32Bが、負極集電体32Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体32Aと合金化していることが確認された。
【0081】
表4から分かるように、無機化合物層32Cを形成した実施例4の方が、形成しなかった比較例4−1に比べて、高い容量維持率が得られた。これに対して、負極活物質層を塗布により形成した比較例4−2,4−3では、無機化合物層を形成しなかった比較例4−3の方が、形成した比較例4−2よりも、高い30サイクル後容量維持率が得られた。これは、比較例4−2,4−3の負極は、負極集電体と負極活物質層とが合金化しておらず、充放電に伴う負極活物質層の膨張・収縮によって負極活物質層の構造の破壊が起こり、それにより表面に形成した無機化合物層が剥離し、無機化合物層が本来有する電解液の分解を抑制する能力を失うだけでなく、無機化合物層が負極活物質層内の絶縁体として悪影響を及ぼしているためと考えられる。すなわち、焼結法により負極集電体32Aの界面の少なくとも一部において負極集電体32Aと合金化させた負極活物質層32Bを有する二次電池において、無機化合物層32Cを形成するようにすれば、サイクル特性を向上させることができることが分かった。
【0082】
なお、上記実施例では、無機化合物層14C,32Cの構成材料について具体例を挙げて説明したが、イオン伝導性を有する他の材料により無機化合物層14C,32Cを形成しても同様の結果を得ることができる。
【0083】
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、液状の電解質である電解液、またはいわゆるゲル状の電解質を用いる場合について説明したが、他の電解質を用いるようにしてもよい。他の電解質としては、イオン伝導性を有する固体電解質、固体電解質と電解液とを混合したもの、あるいは固体電解質とゲル状の電解質とを混合したものが挙げられる。
【0084】
なお、固体電解質には、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、またはイオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなる無機固体電解質を用いることができる。このとき、高分子化合物としては、例えば、ポリエチレンオキサイドあるいはポリエチレンオキサイドを含む架橋体などのエーテル系高分子化合物、ポリメタクリレートなどのエステル系高分子化合物、アクリレート系高分子化合物を単独あるいは混合して、または分子中に共重合させて用いることができる。また、無機固体電解質としては、窒化リチウムあるいはリン酸リチウムなどを用いることができる。
【0085】
また、上記実施の形態および実施例では、負極活物質層14B,32Bに無機化合物層14C,32Cを形成するようにしたが、無機化合物層は負極活物質層の正極側に位置していればよく、例えば、負極活物質層と無機化合物層との間に他の層が挿入されていてもよい。
【0086】
更に、上記実施の形態および実施例では、負極集電体14A,32Aに負極活物質層14B,32Bを形成するようにしたが、負極集電体と負極活物質層との間に、他の層を形成するようにしてもよい。
【0087】
加えて、上記実施の形態および実施例では、コイン型、または巻回ラミネート型の二次電池について説明したが、本発明は、円筒型、角型、ボタン型、薄型、大型、積層ラミネート型の二次電池についても同様に適用することができる。また、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
【0088】
【発明の効果】
以上説明したように請求項1ないし請求項6のいずれか1項に記載の負極、または、請求項7ないし請求項15のいずれか1項に記載の二次電池によれば、負極活物質層がスズ(Sn)またはケイ素(Si)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、その負極活物質層にリン酸リチウムの窒化物を含む無機化合物層を設けるようにしたので、電解質と負極活物質層との反応を抑制することができ、それにより、優れたサイクル特性を得ることができる。
【0090】
また、請求項5記載の負極または請求項11記載の二次電池によれば、無機化合物層の厚みを10nm超5μm未満とするようにしたので、電解質と負極活物質層との反応をより抑制することができ、より高い効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。
【図3】図2に示した電極巻回体のIII−III線に沿った構成を表す断面図である。
【符号の説明】
11…外装缶、12,32…正極、12A,31A…正極集電体、12B,31B…正極活物質層、13…外装カップ、14,32…負極、14A,32A…負極集電体、14B,32B…負極活物質層、14C,32C…無機化合物層、15,33…セパレータ、21…正極リード、22…負極リード、30…電極巻回体、34…電解質層、35…保護テープ、40A,40B…外装部材、41…密着フィルム
Claims (15)
- 負極集電体と、
この負極集電体に設けられ、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層と、
この負極活物質層に設けられたイオン伝導性を有する無機化合物層と
を備え、
前記負極活物質層は、スズ(Sn)またはケイ素(Si)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、
前記無機化合物層は、リン酸リチウムの窒化物を含む
ことを特徴とする負極。 - 負極集電体と、
この負極集電体に気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層と、
この負極活物質層に設けられたイオン伝導性を有する無機化合物層と
を備え、
前記負極活物質層は、スズ(Sn)またはケイ素(Si)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、
前記無機化合物層は、リン酸リチウムの窒化物を含む
ことを特徴とする負極。 - 前記負極活物質層は、前記負極集電体との界面の少なくとも一部において前記負極集電体と合金化していることを特徴とする請求項2記載の負極。
- 前記無機化合物層は、フッ化リチウム,臭化リチウム,ヨウ化リチウム,塩化リチウム,窒化リチウム,硫化リチウム,ケイ酸リチウム,炭酸リチウム,硫酸リチウム,リン化リチウムおよびリン酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2記載の負極。
- 前記無機化合物層の厚みは、10nm超5μm未満であることを特徴とする請求項2記載の負極。
- 前記負極集電体の表面粗さは、算術平均粗さで0.1μm以上であることを特徴とする請求項2記載の負極。
- 正極および負極と共に電解質を備えた二次電池であって、
前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられ、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層と、この負極活物質層に設けられたイオン伝導性を有する無機化合物層とを備え、
前記負極活物質層は、スズ(Sn)またはケイ素(Si)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、
前記無機化合物層は、リン酸リチウムの窒化物を含む
ことを特徴とする二次電池。 - 正極および負極と共に電解質を備えた二次電池であって、
前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層と、この負極活物質層に設けられたイオン伝導性を有する無機化合物層とを備え、
前記負極活物質層は、スズ(Sn)またはケイ素(Si)の単体および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含み、
前記無機化合物層は、リン酸リチウムの窒化物を含む
ことを特徴とする二次電池。 - 前記負極活物質層は、前記負極集電体との界面の少なくとも一部において前記負極集電体と合金化していることを特徴とする請求項8記載の二次電池。
- 前記無機化合物層は、フッ化リチウム,臭化リチウム,ヨウ化リチウム,塩化リチウム,窒化リチウム,硫化リチウム,ケイ酸リチウム,炭酸リチウム,硫酸リチウム,リン化リチウムおよびリン酸リチウムからなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項8記載の二次電池。
- 前記無機化合物層の厚みは、10nm超5μm未満であることを特徴とする請求項8記載の二次電池。
- 前記負極集電体の表面粗さは、算術平均粗さで0.1μm以上であることを特徴とする請求項8記載の二次電池。
- 前記電解質は、保持体と、溶媒と、電解質塩とを含むことを特徴とする請求項8記載の二次電池。
- 更に、前記正極,負極および電解質を収容するフィルム状の外装部材を備えたことを特徴とする請求項8記載の二次電池。
- 前記正極は、リチウム含有金属複合酸化物を含むことを特徴とする請求項8記載の二次電池。
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