JP4288592B2 - 電池 - Google Patents

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Description

本発明は、正極および負極と共に電解質を備えた電池に関する。
近年、携帯電話,PDA(Personal Digital Assistant;個人用携帯型情報端末機器)あるいはノート型コンピュータに代表される携帯型電子機器の小型化、軽量化が精力的に進められ、その一環として、それらの駆動電源である電池、特に二次電池のエネルギー密度の向上が強く望まれている。
高エネルギー密度を得ることができる二次電池としては、負極にリチウム合金を用いた電池が開発されている(例えば、特許文献1および2参照。)。
特開平6−325765号公報 特開平7−230800号公報
しかしながら、リチウム合金は、充放電を繰り返すと、激しい膨張および収縮により粉砕して微細化するという問題があった。よって、これを負極に用いると、粒子の割れによる微細化または負極中における粒子同士の接触面積の低下により電子伝導性が低下したり、表面積の増大に起因して溶媒の分解反応が促進され、サイクル特性が十分でないという問題があった。
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、高容量で、かつサイクル特性などの電池特性を向上させることができる電池を提供することにある。
本発明による第1の電池は、正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられ、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層とを有し、電解質は、化1で表されるアニオンを含むものである。
(化1)
[PFa (CHb c (CF3 d e -
(式中、a,b,c,dおよびeは、それぞれ以下に示す式を満たす数である。a=1,2,3,4または5、b=0または1、c=0,1,2または3、d=0,1,2または3、e=1,2,3または4、a+e=6、b+c+d=3、およびb+c≠0)
本発明による第2の電池は、正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、負極は、負極集電体と、この負極集電体に気相法、液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層とを有し、一部において負極集電体と合金化している負極活物質とを有し、電解質は、化2で表されるアニオンを含むものである。
(化2)
[PFa (CHb c (CF3 d e -
(式中、a,b,c,dおよびeは、それぞれ以下に示す式を満たす数である。a=1,2,3,4または5、b=0または1、c=0,1,2または3、d=0,1,2または3、e=1,2,3または4、a+e=6、b+c+d=3、およびb+c≠0)
本発明による第1または第2の電池によれば、負極が、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層を有するように、または、負極が、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層を有するようにしたので、高い容量を得ることができると共に、負極の微粉化を抑制することができる。また、電解質が、化1または化2で表されるアニオンを含むようにしたので、電解質の安定性を向上させることができ、電解質の分解反応を抑制することができる。よって、高い容量を得ることができると共に、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
特に、負極活物質層がケイ素またはスズの単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくなる1種を含むようにすれば、より高い容量を得ることができる。
また、負極集電体の表面粗さを、算術平均粗さで0.1μm以上とするようにすれば、より高いサイクル特性を得ることができる。
更に、電解質が化1または化2で表されるアニオンに加えて、他のアニオンを含むようにすれば、または、電解質がハロゲン原子を有する炭酸エステルの誘導体を含むようにすれば、より高い効果を得ることができる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、いわゆるコイン型といわれるものであり、外装カップ11に収容された負極12と、外装缶13に収容された正極14とが、電解液を含浸させたセパレータ15を介して積層されている。外装カップ11および外装缶13の周縁部は絶縁性のガスケット16を介してかしめることにより密閉されている。外装カップ11および外装缶13は、例えば、ステンレスあるいはアルミニウムなどの金属によりそれぞれ構成されている。
負極12は、例えば、負極集電体12Aと、負極集電体12Aに設けられた負極活物質層12Bとを有している。負極活物質層12Bは、負極集電体12Aの両面に形成されていてもよく、片面に形成されていてもよい。
負極集電体12Aは、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種を含む金属材料により構成されていることが好ましい。リチウムと金属間化合物を形成すると、充放電に伴い膨張および収縮し、構造破壊が起こって、集電性が低下する他、負極活物質層12Bを支える能力が小さくなり負極活物質層12Bが負極集電体12Aから脱落し易いからである。なお、本明細書において金属材料には、金属元素の単体だけでなく、2種以上の金属元素あるいは1種以上の金属元素と1種以上の半金属元素とからなる合金も含める。リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素としては、例えば、銅(Cu),ニッケル(Ni),チタン(Ti),鉄(Fe)あるいはクロム(Cr)が挙げられる。
中でも、負極活物質層12Bと合金化する金属元素が好ましい。後述するように、負極活物質層12Bがリチウムと合金化するケイ素あるいはスズなどの単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含む場合には、充放電に伴い負極活物質層12Bが大きく膨張・収縮して負極集電体12Aから脱落しやすいが、負極活物質層12Bと負極集電体12Aとを合金化させて強固に接着させることにより、脱落を抑制することができるからである。リチウムと金属間化合物を形成せず、負極活物質層12Bと合金化する金属元素、例えば、ケイ素あるいはスズなどの単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種と合金化する金属元素としては、銅,ニッケル,鉄が挙げられる。特に、負極活物質層12Bとの合金化、強度および導電性の観点からは、銅,ニッケルあるいは鉄が好ましい。
なお、負極集電体12Aは、単層により構成してもよいが、複数層により構成してもよい。その場合、負極活物質層12Bと接する層をケイ素あるいはスズなどの単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種と合金化する金属材料により構成し、他の層を他の金属材料により構成するようにしてもよい。また、負極集電体12Aは、負極活物質層12Bとの界面以外は、リチウムと金属間化合物を形成しない金属元素の少なくとも1種よりなる金属材料により構成することが好ましい。
また、負極集電体12Aの表面粗さは、算術平均粗さRaで0.1μm以上であることが好ましい。これにより、後述するように負極活物質層12Bが気相法,液相法,焼結法あるいはそれらの組み合わせにより形成される場合、または、負極活物質層12Bと界面の少なくとも一部において合金化している場合に、充放電に伴い負極活物質層22が膨張収縮することにより発生する割れの形状を制御することができ、応力を分散させて、負極22の構造破壊を抑制することができるからである。
負極活物質層12Bは、例えば、負極活物質として、リチウムと合金を形成可能な金属元素の単体,合金および化合物、並びにリチウムと合金を形成可能な半金属元素の単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含んでいる。これにより負極12の容量は、この負極活物質がリチウムを吸蔵および離脱することによる容量成分を含み、高いエネルギー密度を得ることができるようになっている。中でも、負極活物質としては、ケイ素あるいはスズの単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むことが好ましい。より高いエネルギー密度を得ることができるからである。
ケイ素の合金あるいは化合物としては、例えば、SiB4 ,SiB6 ,Mg2 Si,Ni2 Si,TiSi2 ,MoSi2 ,CoSi2 ,NiSi2 ,CaSi2 ,CrSi2 ,Cu5 Si,FeSi2 ,MnSi2 ,NbSi2 ,TaSi2 ,VSi2 ,WSi2 ,ZnSi2 ,SiC,Si3 4 ,Si2 2 O,SiOv (0<v≦2)あるいはLiSiOが挙げられる。スズの化合物あるいは合金としては、例えば、スズと、長周期型周期表の4〜11族に含まれる元素との合金が挙げられる。この他にも、Mg2 Sn,SnOw (0<w≦2),SnSiO3 あるいはLiSnOが挙げられる。
負極活物質層12Bは、また、気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成されたものであることが好ましい。充放電に伴う負極活物質層12Bの膨張・収縮による破壊を抑制することができると共に、負極集電体12Aと負極活物質層12Bとを一体化することができ、負極活物質層12Bにおける電子伝導性を向上させることができるからである。また、バインダーおよび空隙などを低減または排除でき、負極12を薄膜化することもできるからである。なお、本明細書でいう「活物質層を焼結法により形成する」とは、活物質を含む粉末とバインダーとを混合し成形した層を、非酸化性雰囲気下等で熱処理することにより、熱処理前よりも体積密度が高く、より緻密な層を形成することを意味する。
負極活物質層12Bは、更に、膨張および収縮により負極集電体12Aから脱落しないように、負極集電体12Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体12Aと合金化していることが好ましい。具体的には、界面において負極集電体12Aの構成元素が負極活物質層12Bに、または負極活物質層12Bの構成元素が負極集電体12Aに、またはそれらが互いに拡散していることが好ましい。この合金化は、負極活物質層12Bを気相法,液相法あるいは焼結法により形成する際に同時に起こることが多いが、更に熱処理が施されることにより、あるいは初期充電時に起こったものでもよい。なお、本明細書では、上述した元素の拡散も合金化の一形態に含める。
正極14は、例えば、正極集電体14Aと、正極集電体14Aに設けられた正極活物質層14Bとを有しており、正極活物質層14Bの側が負極活物質層12Bと対向するように配置されている。正極集電体14Aは、例えば、アルミニウム,ニッケルあるいはステンレスなどにより構成されている。
正極活物質層14Bは、例えば、正極活物質としてリチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料のいずれか1種または2種以上を含んでおり、必要に応じて炭素材料などの導電材およびポリフッ化ビニリデンなどのバインダーを含んでいてもよい。リチウムを吸蔵および離脱することが可能な正極材料としては、例えば、一般式Lix MIO2 で表されるリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であると共に、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることができるからである。なお、MIは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルトおよびニッケルのうちの少なくとも一方が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2 あるいはLiNiO2 などが挙げられる。
セパレータ15は、負極12と正極14とを隔離し、両極の接触による電流の短絡を防止しつつ、リチウムイオンを通過させるものである。このセパレータ15は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレンにより構成されている。
セパレータ15に含浸されている電解液、すなわち液状の電解質は、例えば、溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩とを含んでおり、必要に応じて添加剤を含んでいてもよい。溶媒としては、非水溶媒が好ましく、例えば、エチレンカーボネート,プロピレンカーボネート,ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートあるいはエチルメチルカーボネートなどの炭酸エステルに代表される有機溶媒が挙げられる。溶媒にはいずれか1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。例えば、エチレンカーボネートあるいはプロピレンカーボネートなどの高誘電率溶媒と、ジメチルカーボネート,ジエチルカーボネートあるいはエチルメチルカーボネートなどの低沸点溶媒とを混合して用いるようにすれば、高いイオン伝導度を得ることができるので好ましい。特に、高誘電率溶媒としては、エチレンカーボネートを含むことが好ましい。
また、溶媒あるいは添加剤としては、例えば、不飽和結合を有する環状炭酸エステル、またはハロゲン原子を有する炭酸エステルの誘導体が挙げられ、これらの少なくとも1種を含んでいることが好ましい。これらを含有することにより、より高いサイクル特性を得ることができるからである。不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、ビニレンカーボネートあるいはビニルエチレンカーボネートなどが挙げられる。ハロゲン原子を有する炭酸エステルの誘導体としては、モノフルオロエチレンカーボネート、モノクロロエチレンカーボネート、モノブロモエチレンカーボネート、ジフルオロジエチレンカーボネートなどが挙げられる。
電解質塩としては、化3で表される構造を有する軽金属塩のいずれか1種または2種以上を含んでいる。この軽金属塩は、電解液において少なくとも一部が電離しており、すなわち電解液は[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンを含んでいる。これにより、電解液の安定性は高くなっており、分解反応が抑制されるようになっている。化3で表されるアニオンを具体的に挙げれば、例えば、[PF3 (C2 5 3 - 、[PF4 (C2 5 2 - あるいは[PF3 (C4 9 3 - がある。なお、この軽金属塩としてはリチウム塩が好ましいが、必ずしもリチウム塩である必要はなく、ナトリウム塩,カリウム塩,マグネシウム塩,カルシウム塩あるいはアルミニウム塩などの他の軽金属塩を用いてもよい。充放電反応に寄与するリチウムは正極14から供給されればよいからである。
(化3)
−[PFa (CHb c (CF3 d e
(式中、a,b,c,dおよびeは、それぞれ以下に示す式を満たす数である。a=1,2,3,4または5、b=0または1、c=0,1,2または3、d=0,1,2または3、e=1,2,3または4、a+e=6、b+c+d=3、およびb+c≠0)
[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンの含有量は、溶媒に対して、0.01mol/kg以上2.0mol/kg以下であることが好ましい。この範囲内においてより高い効果を得ることができる空である。
また、電解質塩としては、化3で表される構造を有する軽金属塩に加えて、他の軽金属塩を含むことが好ましい。すなわち、電解質は、[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンに加えて、他のアニオンを含むことが好ましい。これによりより高い効果を得ることができるからである。他のアニオンとしては、例えば、PF6 - 、BF4 - 、ClO4 - 、AsF6 - 、化4で表されるアニオン、あるいは化5で表されるアニオンが挙げられる。他のアニオンは1種でも、2種以上が含まれていてもよいが、PF6 - が含まれるようにすれば、より高い効果を得ることができるので好ましい。
(化4)
N(Cm 2m+1SO2 )(Cn 2n+1SO2 -
(式中、mおよびnは1以上の整数である。)
(化5)
C(Cp 2p+1SO2 )(Cq 2q+1SO2 )(Cr 2r+1SO2 -
(式中、p,qおよびrは1以上の整数である。)
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、例えば、金属箔よりなる負極集電体12Aを用意し、負極集電体12Aに、気相法または液相法により、負極活物質を堆積させることにより負極活物質層12Bを成膜する。また、粒子状の負極活物質を含む前駆層を集電体12Aに形成したのち、これを焼結させる焼結法により負極活物質層12Bを成膜してもよいし、気相法,液相法および焼結法のうちの2つまたは3つの方法を組み合わせて負極活物質層12Bを成膜するようにしてもよい。このように気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法を用いることにより、場合によっては、負極集電体12Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体12Aと合金化した負極活物質層12Bが成膜される。なお、負極集電体12Aと負極活物質層12Bとの界面をより合金化させるために、更に、真空雰囲気下または非酸化性雰囲気下で熱処理を行うようにしてもよい。特に、鍍金により負極活物質層12Bを成膜する場合には、合金化しにくい場合があるので、必要に応じてこの熱処理を行うことが好ましい。また、気相法により成膜する場合においても、負極集電体12Aと負極活物質層12Bとの界面をより合金化させることにより特性を向上させることができる場合があるので、必要に応じてこの熱処理を行うことが好ましい。
なお、気相法としては、例えば、物理堆積法あるいは化学堆積法が挙げられ、具体的には、真空蒸着法,スパッタ法,イオンプレーティング法,レーザーアブレーション法,CVD(Chemical Vapor Deposition ;化学気相成長)法などが挙げられる。液相法としては電解鍍金あるいは無電解鍍金等の公知の手法が利用可能である。焼結法に関しても公知の手法が利用可能であり、例えば、雰囲気焼結法,反応焼結法あるいはホットプレス焼結法が利用可能である。
次いで、正極14を、例えば、正極活物質と導電材とバインダーとを混合して合剤を調製し、これをN−メチルピロリドンなどの分散媒に分散させて合剤スラリーとして正極集電体14Aに塗布し、圧縮成型して正極活物質層14Bを形成することにより作製する。
続いて、例えば、負極12、電解液を含浸させたセパレータ15および正極14を積層して、外装カップ11と外装缶13との中に入れ、それらをかしめる。これにより図1に示した二次電池が得られる。
この二次電池では、充電を行うと、例えば、正極14からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して負極12に吸蔵される。放電を行うと、例えば、負極12からリチウムイオンが離脱し、電解液を介して正極14に吸蔵される。その際、電解液には化4で表されるアニオンが含まれているので、電解液の安定性は高くなっており、電解液の分解反応が抑制される。よって、優れた充放電サイクル特性が得られる。
このように本実施の形態では、負極集電体12Aと合金化している負極活物質層12B、あるいは気相法,液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層12Bを有するようにしたので、高い容量を得ることができると共に、負極の微粉化を抑制することができる。また、電解質が、[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンを含むようにしたので、電解質の安定性を向上させることができ、電解質の分解反応を抑制することができる。よって、高い容量を得ることができると共に、サイクル特性などの電池特性を向上させることができる。
特に、負極活物質層12Bがケイ素またはスズの単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくなる1種を含むようにすれば、より高い容量を得ることができる。
また、負極集電体12Aの表面粗さを、算術平均粗さRaで0.1μm以上とするようにすれば、より高いサイクル特性を得ることができる。
更に、電解質が[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンに加えて、他のアニオンを含むようにすれば、または、電解質がハロゲン原子を有する炭酸エステルの誘導体を含むようにすれば、より高い効果を得ることができる。
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表すものである。この二次電池は、リード21,22が取り付けられた電極巻回体30をフィルム状の外装部材40A,40Bの内部に収容したものであり、小型化,軽量化および薄型化が可能となっている。
リード21,22は、外装部材40A,40Bの内部から外部に向かい例えば同一方向にそれぞれ導出されている。リード21,リード22は、例えば、アルミニウム,銅,ニッケルあるいはステンレスなどの金属材料によりそれぞれ構成されており、それぞれ薄板状または網目状とされている。
外装部材40A,40Bは、例えば、ナイロンフィルム,アルミニウム箔およびポリエチレンフィルムをこの順に張り合わせた矩形状のアルミラミネートフィルムにより構成されている。外装部材40A,40Bは、例えば、ポリエチレンフィルム側と電極巻回体30とが対向するように配設されており、各外縁部が融着あるいは接着剤により互いに密着されている。外装部材40A,40Bとリード21,リード22との間には、外気の侵入を防止するための密着フィルム41が挿入されている。密着フィルム41は、リード21,リード22に対して密着性を有する材料、例えば、ポリエチレン,ポリプロピレン,変性ポリエチレンあるいは変性ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂により構成されている。
なお、外装部材40A,40Bは、上述したアルミラミネートフィルムに代えて、他の構造を有するラミネートフィルム,ポリプロピレンなどの高分子フィルムあるいは金属フィルムにより構成するようにしてもよい。
図3は、図2に示した電極巻回体30のI−I線に沿った断面構造を表すものである。電極巻回体30は、負極31と正極32とをセパレータ33および電解質層34を介して積層し、巻回したものであり、最外周部は保護テープ35により保護されている。
負極31は、負極集電体31Aの片面あるいは両面に負極活物質層31B設けられた構造を有している。正極32も、正極集電体32Aの片面あるいは両面に正極活物質層32Bが設けられた構造を有しており、正極活物質層32Bの側が負極活物質層31Bと対向するように配置されている。負極集電体31A,負極活物質層31B,正極集電体32A,正極活物質層32Bおよびセパレータ33の具体的な構成は、第1の実施の形態における負極集電体12A,負極活物質層12B,正極集電体14A,正極活物質層14Bおよびセパレータ15と同様である。
電解質層34は、保持体に電解液を保持させたいわゆるゲル状の電解質により構成されている。ゲル状の電解質は高いイオン伝導率を得ることができると共に、電池の漏液あるいは高温における膨れを防止することができるので好ましい。電解液(すなわち溶媒および電解質塩)の構成は、第1の実施の形態と同様である。保持体は、例えば高分子材料により構成されている。高分子材料としては、例えば、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、あるいはポリエチレンオキサイドなどが挙げられる。
この二次電池は、例えば、次のようにして製造することができる。
まず、負極31および正極32のそれぞれに、保持体に電解液を保持させた電解質層123を形成する。そののち、負極集電体31Aの端部にリード21を溶接により取り付けると共に、正極集電体32Aの端部にリード22を溶接により取り付ける。次いで、電解質層34が形成された負極31と正極32とをセパレータ33を介して積層し積層体としたのち、この積層体をその長手方向に巻回して、最外周部に保護テープ35を接着して電極巻回体30を形成する。最後に、例えば、外装部材40A,40Bの間に電極巻回体30を挟み込み、外装部材40A,40Bの外縁部同士を熱融着などにより密着させて封入する。その際、リード21,22と外装部材40A,40Bとの間には密着フィルム41を挿入する。これにより、図2および図3に示した二次電池が完成する。
この二次電池は、第1の実施の形態と同様に作用し、第1の実施の形態と同様の効果を有する。
更に、本発明の具体的な実施例について、図面を参照して詳細に説明する。
(実施例1−1〜1−11)
図1に示したコイン型の二次電池を作製した。まず、算術平均粗さRaが0.5μm、厚みが35μmの電解銅箔を負極集電体12Aとして用意し、この負極集電体12Aに蒸着法により負極活物質であるケイ素よりなる厚み4μmの負極活物質層12Bを形成したのち、加熱処理し、負極12を形成した。得られた負極12をXPS(X-ray Photoelectron Spectroscopy;X線光電子分光法)およびAES(Auger Electron Spectroscopy ;オージェ電子分光法)により分析したところ、負極活物質層12Bが、負極集電体12Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体12Aと合金化していることが確認された。
次いで、正極活物質である平均粒径5μmのリチウム・コバルト(LiCoO2 )複合酸化物の粉末と、導電剤であるカーボンブラックと、結着剤であるポリフッ化ビニリデンとを、リチウム・コバルト複合酸化物:カーボンブラック:ポリフッ化ビニリデン=92:3:5の質量比で混合して合剤を調整した。次いで、この合剤を分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させて合剤スラリーとし、厚み20μmのアルミニウム箔よりなる正極集電体14Aに塗布して乾燥させ、加圧することにより正極活物質層14Bを形成し、正極14を作製した。
続いて、外装カップ11の中央部に負極12および厚み25μmのポリプロピレン製のセパレータ15を順次積層し、電解液を注入したのち、正極14を入れた外装缶13を被せてガスケット16を介してかしめ、直径20mm、高さ1.6mmのコイン型二次電池を作製した。電解液には、エチレンカーボネートとジエチルカーボネートとを1:1の体積比で混合した溶媒に、電解質塩としてLi[PF3 (C2 5 3 ]、または、Li[PF3 (C2 5 3 ]とLiPF6 とを溶解させたものを用いた。その際、電解質塩の含有量は、溶媒に対して実施例1−1〜1−11で表1に示したように変化させた。
Figure 0004288592
また、実施例1−1〜1−11に対する比較例1−1〜1−6として、電解質塩としてLiPF6 ,LiBF4 ,LiClO4 ,LiAsF6 ,LiN(CF3 SO2 2 あるいはLiC(CF3 SO2 3 のいずれかを用いる共に、その含有量を溶媒に対して1.0mol/kgとしたことを除き、他は実施例1−1〜1−11と同様にして二次電池を作製した。
更に、実施例1−1〜1−11に対する比較例1−7,1−8として、負極活物質に黒鉛を用いて負極を作製したことを除き、他は実施例1−1または比較例1−1と同様にして二次電池を作製した。負極は、黒鉛粉末90重量部と、結着剤であるポリフッ化ビニリデン10重量部とを混合して分散媒であるN−メチル−2−ピロリドンに分散させたのち、これを厚み10μmの銅箔よりなる負極集電体に塗布して乾燥させ、加圧して負極活物質層を形成することにより作製した。電解質塩には、比較例1−7ではLi[PF3 (C2 5 3 ]を用い、比較例1−8ではLiPF6 を用いた。電解質塩の含有量は共に溶媒に対して1.0mol/kgとした。
作製した実施例1−1〜1−11および比較例1−1〜1−8の二次電池について、充放電試験を行い、初回容量およびサイクル特性をそれぞれ調べた。充電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が4.2Vに達するまで行ったのち、4.2Vの定電圧で電流密度が0.02mA/cm2 に達するまで行い、放電は、1mA/cm2 の定電流密度で電池電圧が2.5Vに達するまで行った。なお、充放電を行う際には、予め計算により求めた正極14および負極12の充放電容量に基づいて、初回の充電での負極利用率を90%と設定し、負極12に金属リチウムが析出しないようにした。サイクル特性としては、初回容量に対する20サイクル目の容量維持率(20サイクル目の容量/初回容量)×100を求めた。得られた結果を表1に示す。
表1に示したように、電解質塩としてLi[PF3 (C2 5 3 ]を用いた実施例1−1〜1−11によれば、用いていない比較例1−6よりも容量維持率を向上させることができ、場合によっては初回容量も向上させることができた。一方、負極に黒鉛を用いた比較例1−7,1−8では、電解質塩にLi[PF3 (C2 5 3 ]を用いた比較例1−7の方が、用いていない比較例1−8よりも特性は若干向上したものの、その程度は実施例1−1〜1−11に比べて小さかった。
すなわち、負極活物質層12Bを気相法などにより形成した場合、あるいは負極活物質層12Bが負極集電体12Aと合金化している場合において、電解質に[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンを含むようにすれば、サイクル特性を効果的に向上させることができることが分かった。
また、実施例1−1と実施例1−2〜1−11とを比較すれば分かるように、Li[PF3 (C2 5 3 ]とLiPF6 とを混合して用いた方が、含有量によっては、初回容量および容量維持率をより向上させることができた。すなわち、電解質に[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンに加えて、他のアニオンを含むようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
更に、実施例1−1〜1−11から分かるように、Li[PF3 (C2 5 3 ]の含有量を溶媒に対して0.01mol/kg以上2.0mol/kg以下とすれば、サイクル特性を向上させることができることが確認できた。すなわち、[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンの含有量は、溶媒に対して0.01mol/kg以上2.0mol/kg以下の範囲内が好ましいことも分かった。
(実施例1−12〜1−21)
他の軽金属塩として、LiPF6 に代えて、またはLiPF6 に加えて、表2に示したようにLiBF4 ,LiClO4 ,LiAsF6 ,LiN(CF3 SO2 2 あるいはLiC(CF3 SO2 3 を用いたことを除き、他は実施例1−3と同様にして二次電池を作製した。その際、Li[PF3 (C2 5 3 ]の含有量は溶媒に対して0.8mol/kgとし、他の軽金属塩の含有量は1種類の場合は溶媒に対して0.2mol/kg、2種類の場合は溶媒に対してそれぞれ1mol/kgとした。
Figure 0004288592
実施例1−12〜1−21についても、実施例1−3と同様にして充放電試験を行い、初回容量およびサイクル特性をそれぞれ調べた。それらの結果を、実施例1−3および比較例1−1〜1−6の結果と共に表2に示す。
表2に示したように、LiPF6 以外の他の軽金属塩と共に用いた場合においても、Li[PF3 (C2 5 3 ]を含むようにすれば、容量維持率を向上させることができた。また、その場合においても、更にLiPF6 を含むようにすれば、容量維持率をより向上させることができた。すなわち、電解質に[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンに加えて、他のアニオンとしてPF6 - を含むようにすれば、サイクル特性をより向上させることができることが分かった。
(実施例1−22〜1−25)
電解質塩として、Li[PF3 (C2 5 3 ]に代えて、表3または表4に示したように、Li[PF4 (C2 5 2 ]、あるいはLi[PF4 (C2 5 2 ]およびLiPF6 、またはLi[PF3 (C4 9 3 ]、あるいはLi[PF3 (C4 9 3 ]およびLiPF6 を用いたことを除き、他は実施例1−1または実施例1−3と同様にして二次電池を作製した。その際、電解質塩の含有量は溶媒に対して表3または表4に示したように変化させた。
Figure 0004288592
Figure 0004288592
実施例1−22〜1−25についても、実施例1−1,1−3と同様にして充放電試験を行い、初回容量およびサイクル特性をそれぞれ調べた。それらの結果を、比較例1−1〜1−6の結果と共に表3または表4に示す。
表3または表4に示したように、実施例1−22〜1−25によれば、実施例1−1,1−3と同様に、比較例1−1〜1−6よりも容量維持率を向上させることができた。また、LiPF6 と共に用いた実施例1−23および実施例1−25の方が、単独で用いた実施例1−22あるいは1−24よりも容量維持率を更に向上させることができた。すなわち、電解質に[PFa (CHb c (CF3 d e - で表される他のアニオンを含むようにしても、サイクル特性を効果的に向上させることができることが分かった。
(実施例1−26)
溶媒のエチレンカーボネートをフルオロエチレンカーボネート(4-fluoro-1,3-dioxolan-2-one )に代えたことを除き、他は実施例1−1と同様にして二次電池を作製した。実施例1−26についても実施例1−1と同様にして充放電試験を行い、初回容量およびサイクル特性をそれぞれ調べた。それらの結果を、実施例1−1の結果と共に表5に示す。
Figure 0004288592
表5に示したように、フルオロエチレンカーボネートを用いた実施例1−26の方が、用いていない実施例1−1よりも、更に容量維持率を向上させることができた。すなわち、電解質にフルオロエチレンカーボネートなどのハロゲン原子を有する炭酸エステルの誘導体を含むようにすれば、より高い効果を得ることができることが分かった。
(実施例2−1〜2−11)
負極活物質としてスズを用い、算術平均粗さRaが0.5μm、厚みが25μmの電解銅箔よりなる負極集電体12Aに、電解鍍金によりスズよりなる厚み4μmの負極活物質層12Bを形成したのち、加熱処理して負極12を作製したことを除き、実施例1−1〜1−25と同様にして図1に示したコイン型の二次電池を作製した。その際、電解質塩の種類および含有量は表6,7に示したように変化させた。
Figure 0004288592
Figure 0004288592
このうち実施例2−1は、電解質塩としてLi[PF3 (C2 5 3 ]を用いたものであり、実施例2−2〜2−7は、Li[PF3 (C2 5 3 ]と他の軽金属塩とを混合して用いたものである。実施例2−8は、電解質塩としてLi[PF4 (C2 5 2 ]を用いたものであり、実施例2−9は、Li[PF4 (C2 5 2 ]と他の軽金属塩とを混合して用いたものである。実施例2−10は、電解質塩としてLi[PF3 (C4 9 3 ]を用いたものであり、実施例2−11は、Li[PF3 (C4 9 3 ]と他の軽金属塩とを混合して用いたものである。
なお、実施例2−1〜2−11についても、得られた負極12をXPSおよびAESにより分析したところ、負極活物質層12Bが、負極集電体12Aとの界面の少なくとも一部において負極集電体12Aと合金化していることが確認された。
また、実施例2−1〜2−11に対する比較例2−1〜2−6として、電解質塩にLiPF6 ,LiBF4 ,LiClO4 ,LiAsF6 ,LiN(CF3 SO2 2 あるいはLiC(CF3 SO2 3 のいずれかを用いると共に、その含有量を溶媒に対して1.0mol/kgとしたことを除き、他は実施例2−1〜2−11と同様にして二次電池を作製した。
作製した実施例2−1〜2−11および比較例2−1〜2−6の二次電池についても、実施例1−1〜1−26と同様にして充放電試験を行い、初回容量および20サイクル目の容量維持率をそれぞれ調べた。得られた結果を表6,7に示す。
表6,7に示したように、電解質塩としてLi[PF3 (C2 5 3 ],Li[PF4 (C2 5 2 ]あるいはLi[PF3 (C4 9 3 ]を用いた実施例2−1〜2−11によれば、用いていない比較例2−1〜2−6よりも容量維持率を向上させることができ、場合によっては初回容量も向上させることができた。また、これらの軽金属塩とLiPF6 とを混合して用いた実施例2−2,2−9,2−11の方が、より高い効果を得ることができた。
すなわち、負極活物質としてケイ素を用いた場合に限らずスズを用いた場合においても、または負極活物質層12Bを気相法に限らず液相法により形成した場合においても、電解質に[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンを含むようにすれば、サイクル特性を効果的に向上させることができることが分かった。
なお、上記実施例では、[PFa (CHb c (CF3 d e - で表されるアニオンについて具体的にいくつかの例を挙げて説明したが、[PFa (CHb c (CF3 d e - で表される他のアニオンを含むようにしても、同様の結果を得ることができる。また、他の負極活物質を用いても、あるいは負極活物質層を焼結法により形成しても、または電解液に代えてゲル状の電解質を用いても同様の結果を得ることができる。
以上、実施の形態および実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は上記実施の形態および実施例に限定されるものではなく、種々変形可能である。例えば、上記実施の形態および実施例では、電解液または固体状の電解質の1種であるゲル状の電解質を用いた二次電池について説明したが、本発明は、他の電解質を用いた二次電池にも同様に適用することができる。他の電解質としては、例えば、イオン伝導性を有する高分子化合物に電解質塩を分散させた高分子固体電解質、イオン伝導性セラミックス,イオン伝導性ガラスあるいはイオン性結晶などよりなるイオン伝導性無機化合物と電解液とを混合したもの、またはこれらのイオン伝導性無機化合物とゲル状の電解質あるいは高分子固体電解質とを混合したものが挙げられる。
また、上記実施の形態および実施例では、コイン型、または巻回ラミネート型の二次電池について説明したが、本発明は、円筒型、角型、ボタン型、薄型、大型、あるいは正極および負極を折り畳んだりあるいは積み重ねた構造を有する二次電池についても同様に適用することができる。また、二次電池に限らず、一次電池についても適用することができる。
更に、上記実施の形態および実施例では、電極反応種としてリチウムを用いる場合について説明したが、ナトリウム(Na)あるいはカリウム(K)などの他のアルカリ金属、またはマグネシウムあるいはカルシウム(Ca)などのアルカリ土類金属、またはアルミニウムなどの他の軽金属を用いる場合についても、本発明を適用することができ、同様の効果を得ることができる。その場合、負極活物質としては、その軽金属と合金を形成可能な金属元素の単体,合金および化合物、並びにその軽金属と合金を形成可能な半金属元素の単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種が用いられ、例えば上述したケイ素またはスズの単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を用いることができる。また、正極活物質としては、その軽金属を吸蔵および離脱することが可能な正極材料が用いられる。
本発明の第1の実施の形態に係る二次電池の構成を表す断面図である。 本発明の第2の実施の形態に係る二次電池の構成を表す分解斜視図である。 図2に示した電極巻回体のI−I線に沿った構成を表す断面図である。
符号の説明
11…外装カップ、12,31…負極、12A,31A…負極集電体、12B,31B…負極活物質層、13…外装缶、14,32…正極、14A,32A…正極集電体、14B,32B…正極活物質層、15,33…セパレータ、16…ガスケット、21,22…リード、30…電極巻回体、34…電解質層、35…保護テープ

Claims (12)

  1. 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
    前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に設けられ、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化している負極活物質層とを有し、
    前記電解質は、化1で表されるアニオンを含む
    ことを特徴とする電池。
    (化1)
    [PFa (CHb c (CF3 d e -
    (式中、a,b,c,dおよびeは、それぞれ以下に示す式を満たす数である。a=1,2,3,4または5、b=0または1、c=0,1,2または3、d=0,1,2または3、e=1,2,3または4、a+e=6、b+c+d=3、およびb+c≠0)
  2. 正極および負極と共に電解質を備えた電池であって、
    前記負極は、負極集電体と、この負極集電体に気相法、液相法および焼結法からなる群のうちの少なくとも1つの方法により形成された負極活物質層とを有し、
    前記電解質は、化2で表されるアニオンを含む
    ことを特徴とする電池。
    (化2)
    [PFa (CHb c (CF3 d e -
    (式中、a,b,c,dおよびeは、それぞれ以下に示す式を満たす数である。a=1,2,3,4または5、b=0または1、c=0,1,2または3、d=0,1,2または3、e=1,2,3または4、a+e=6、b+c+d=3、およびb+c≠0)
  3. 前記負極活物質層は、負極集電体との界面の少なくとも一部において負極集電体と合金化していることを特徴とする請求項2記載の電池。
  4. 前記負極活物質層は、ケイ素(Si)またはスズ(Sn)の単体,合金および化合物からなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
  5. 前記負極集電体の表面粗さは、算術平均粗さで0.1μm以上であることを特徴とする請求項2記載の電池。
  6. 前記電解質は更に溶媒を含み、前記化2で表されるアニオンの含有量は、前記溶媒に対して、0.01mol/kg以上2.0mol/kg以下であることを特徴とする請求項2記載の電池。
  7. 前記電解質は、更に、前記化2で表されるアニオン以外の他のアニオンを含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
  8. 前記電解質は、更に、PF6 - 、BF4 - 、ClO4 - 、AsF6 - 、化3で表されるアニオン、および化4で表されるアニオンからなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
    (化3)
    N(Cm 2m+1SO2 )(Cn 2n+1SO2 -
    (式中、mおよびnは1以上の整数である。)
    (化4)
    C(Cp 2p+1SO2 )(Cq 2q+1SO2 )(Cr 2r+1SO2 -
    (式中、p,qおよびrは1以上の整数である。)
  9. 前記電解質は、エチレンカーボネートを含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
  10. 前記電解質は、ハロゲン原子を有する炭酸エステルの誘導体を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
  11. 前記電解質は、高分子化合物を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
  12. 前記電解質は、前記化2で表されるアニオンとして、[PF3 (C2 5 3 - ,[PF4 (C2 5 2 - および[PF3 (C4 9 3 - からなる群のうちの少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項2記載の電池。
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