JP2004171269A - 移動体衝突予測装置および移動体衝突予測方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】移動経路が予定されていない移動体同士の衝突を確実かつ効率的に予測する。
【解決手段】移動体衝突予測装置10の制御装置52は、GPS(Global Positioning System)受信装置16、移動距離センサ20および方位角センサ28からそれぞれ移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を取得し、無線通信装置により他の移動体の移動体情報と交換する。また、装置52は、再生装置38から得られた地図データ上の道路形状を線分または2次曲線で近似し、自他の移動体の移動体情報を用いて、交差点を含む特定の領域に自他の移動体が到達する時刻が実質的に一致するか否かによって、衝突が予想されるか否かを判定する。
【選択図】 図1
【解決手段】移動体衝突予測装置10の制御装置52は、GPS(Global Positioning System)受信装置16、移動距離センサ20および方位角センサ28からそれぞれ移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を取得し、無線通信装置により他の移動体の移動体情報と交換する。また、装置52は、再生装置38から得られた地図データ上の道路形状を線分または2次曲線で近似し、自他の移動体の移動体情報を用いて、交差点を含む特定の領域に自他の移動体が到達する時刻が実質的に一致するか否かによって、衝突が予想されるか否かを判定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体の衝突予測装置および衝突予測方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特許文献1または特許文献2に示すように、GPS(Global Positioning System)やレーダーを利用する航空機または船舶の衝突防止装置が提案されている。また、特許文献3に記載のように、陸上を移動する車両などの移動体のナビゲーション装置についても、GPSを利用した従来技術がある。さらに、GPSを利用して無人の自動走行機械がある特定のエリアに侵入するのを防止する特許文献4に記載の従来技術や、無線監視手段を用いて各無人自走体が互いに衝突するのを防止する特許文献5に記載の従来技術もある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−304856号公報
【特許文献2】
特開平11−120499号公報
【特許文献3】
特許第3260645号公報
【特許文献4】
特開2001−337724号公報
【特許文献5】
特開平5−143158号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、レーダーを利用する従来技術では、移動体の左右方向から接近する他の移動体との衝突を防止するのは困難である。
【0005】
GPSを利用する従来技術では、接近する方向に関係なく、近接した移動体を検知することはできる。しかし、従来技術では、単純に距離の近い移動体を検知すると衝突の可能性があると判定し、警報を発してしまう。移動体の速度・移動方向を考慮すれば、移動体同士が次第に離れてゆくことが明らかな場合や、移動体同士が将来実質的に同一位置に到達しても到達する時刻が異なり衝突する可能性のない場合も少なくない。このようなケースでは、本来警報を発する必要はない。
【0006】
さらに、空や海を移動する航空機や船舶の場合は、予定の航路を変更できる自由度が高いが、車両などの陸上を移動する移動体は、通常、走行可能な範囲が道路に限られているため、移動経路を変更する自由度は相対的に低い。それだけに、単に互いの移動体の距離が接近しているか否かを問題とするのではなく、地図上の道路の形状を考慮し、特定の領域、例えば衝突の発生しやすい交差点に狙いを絞って衝突が起こるか否かを判定すれば効率的な衝突防止が可能となる。
【0007】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、移動体同士の衝突を確実かつ効率的に予測する移動体衝突予測装置および移動体衝突予測方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、移動体の位置を検出するGPS(Global Positioning System)受信手段と、移動体の速度を検出する速度検出手段と、移動体の移動方向を検出する移動方向検出手段とを含む移動体衝突予測装置において、さらに、移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を他の移動体の移動体衝突予測装置に送り、他の移動体の移動体情報を受け取る移動体情報交換手段と、移動体および他の移動体の移動体情報を用いて移動体と他の移動体との衝突が予想されるか否かを判定する衝突判定手段とを含む。
【0009】
本発明によれば、GPSを利用した衛星航法系と自立航法系とを組み合わせて、確実かつ効率的な移動体衝突予測が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明による移動体衝突予測装置の実施例を詳細に説明する。なお各図面において、本発明と直接関係のない要素は省略し、同様の要素は同一の符号で示すものとする。また信号はそれが送られる信号線の符号によって示すものとする。
【0011】
図1は本発明による衝突予測装置の一例を示す機能ブロック図である。衝突予測装置10は、図示しない移動体に装備されている。装置10を装備する移動体は移動するものであればよい。したがって、航空機、船舶、車両などの無生物の他、人間などの生物に対して装備してもよい。その場合は、腕時計サイズの衝突予測装置を携帯し、車両との接触事故が回避可能となれば好ましい。
【0012】
衝突予測装置10はその航法系として、衛星航法系12と自立航法系14とを含み、これらの航法系12、14から、移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報が得られる。
【0013】
衛星航法系12は電波測位を用いて、移動体情報のうち、移動体の位置を検出するシステムである。衛星航法系12はGPS(Global Positioning System)受信装置16を含み、これは、図示しないGPS衛星から発射される電波の到来時間を計測し、衛星からの距離を計算することによって、経度、緯度および高さを含む移動体の位置を検出する装置である。GPS受信装置16は、移動体の位置および時刻の測定のため、最低4個のGPS衛星を選択する必要がある。GPS衛星には衛星ごとに異なるPN(Pseudo Noise; 疑似雑音)コードが割り当てられていて、GPS受信装置16は、異なる衛星から発射される電波を、このコード位相によって識別する。装置16は移動体の位置を信号18として出力する。
【0014】
なおGPS受信装置16には、地上に固定された図示しない基準局との間で無線通信を行う無線通信機を設けてもよい。これによれば、DGPS(Differential GPS)による、より精度の高い測位が可能である。あらかじめ正確な位置の分かっている基準局でGPSによる測位を行い、その差分を補正値として移動体へ送信し、移動体では、GPSによる測位結果と補正値を用いて精度の向上を行う。
【0015】
本実施例におけるGPS受信装置16は、上述のコード位相を用いる方法に代えて、搬送波を用いたり、適切な地上波から得られる情報や後述の自立航法系14からの情報を利用することにより、最終的には、移動体の位置を誤差数mm〜数cmの精度で検出可能である。
【0016】
自立航法系14は各種センサを用いて、移動体情報のうち、移動体の速度および移動方向を検出するシステムである。自立航法系14は移動距離センサ20を含み、これは、移動体の移動距離を検出するセンサである。例えば移動体が車両である場合は、車輪の回転周期と同一の周期を有するパルスを信号22として出力する。一方、時計装置24は、時刻を発生する時計回路から成り、この回路により発生された時刻信号26は制御装置52に送られる。そして時刻信号26を用いて単位時間あたりの車輪回転数を後述の制御装置52が計算することにより、車両の速度が得られる。車両以外の移動体の場合も、同様に、しかるべき移動距離信号22を出力する移動距離センサ20と、時計装置24とにより、移動体の速度が検出される。
【0017】
自立航法系14は方位角センサ28を含み、これは、移動体の方位角を検出するセンサである。ここで「方位角」とは、例えば真北、すなわち地球の自転軸の方向に対して移動体がどちらの方向に向いているかという角度をいう。センサ28は、本実施例ではサニャック効果と呼ばれる原理に基づいて位相差を検出する光ファイバジャイロを含む。このジャイロから出力される位相差信号30から、後述の制御装置52が移動体の方位角、すなわち、移動体の移動方向を検出する。なお方位角センサ28は、移動体の方位角を検出できるものであれば、光ファイバジャイロ以外の慣性基準装置としてもよい。例えば加速度計としてよい。
【0018】
なお、移動体情報は、移動体の位置、速度および移動方向以外の情報を含んでもよい。例えば自立航法系14および時計装置24からの情報を用いれば、移動体の加速度を算出することもできる。これを移動体情報に含めれば、加速中の移動体の将来の位置を予測することができる。
【0019】
また、本実施例では、移動体情報のうち、移動体の速度および移動方向を、自立航法系14の各センサ20、28によって取得しているが、これらの移動体情報は、衛星航法系12に属するGPS受信装置16を用いて取得してもよい。GPS受信装置16から得られる移動体の位置データ18と時計装置24から得られる時刻信号26とを利用すれば、移動体の速度および移動方向は算出可能だからである。
【0020】
衛星航法系12は、無線通信装置32を含み、これは、上述の各装置16、20、28によって得られた移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を、制御装置52を経由して信号34として受信し、図示しない他の移動体の有する装置10と同様の移動体衝突予測装置に送り、他の移動体の移動体情報を受け取る装置である。受け取った移動体情報は、信号36として制御装置52に提供される。
【0021】
このような、他の移動体との移動体情報の交換は、無線通信方式によって行われる。移動体情報の交換は、一定時間ごとに行えばよい。たとえば1秒ごとに行い、制御装置52に絶えず提供して更新すればよい。無線通信方式の具体例としては、VICS(Vehicle Information and Communication System; 道路交通情報通信システム)で利用されている電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送を利用する方式や、あるいはテレターミナルを利用する方式がある。また、本実施例における無線通信装置32は、移動体が車両である場合は100m程度の伝送距離を確保できればよいため、最大で100mの伝送距離を有するBluetooth(ブルートゥース)を利用してもよい。
【0022】
他の移動体は複数存在しうるため、どの電波がどの移動体の移動体情報を示すものかを識別する必要がある。それらを識別する方法として、例えば、異なるGPS衛星から発射される電波を識別するために使用されるPNコードと類似のコード情報を各移動体に割り当てればよい。これによれば、異なる移動体から発射される電波を、このコード位相によって識別できる。
【0023】
なお、時計装置24は、既に述べた通り、時刻を発生する時計回路から成るものであり、すべての移動体の移動体衝突予測装置が有する時計装置は同期していて、共通の絶対時刻を刻む。また、図示しないGPS衛星がかかる時計装置を有し、GPS衛星から発射される電波によって衝突予測装置10が絶対時刻を得ることとしてもよい。その場合、装置10のGPS受信装置16を介して絶対時刻は制御装置52に伝えられるから、装置10は時計装置24を搭載する必要がない。
【0024】
衝突予測装置10は再生装置38を含み、これは移動体が移動可能な経路を制御装置52に教える。再生装置30は具体的には、経路データが記憶されたCD−ROM(Compact Disk − Read Only Memory)40から経路データを読み出して信号42として出力するCD−ROMドライブ装置である。移動体が車両であれば、移動体が移動可能な経路は、地図データ上の道路である。一方、移動体が航空機や船舶であれば、移動体が移動可能な経路は、航路図データ上の航路である。
【0025】
ここで経路データについて、道路を例として詳しく説明しておく。地図データは、1/12500、1/25000等の縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られ、道路は経度及び緯度の組み合わせで表現された頂点(ノード)の座標集合として記録されている。すなわち、地図データにおける道路は、2つのノードを接続する線分を複数連結して構成されたものである。
【0026】
衝突予測装置10は表示装置44を含み、これは区画単位あるいはスクロールにて地図を表示し、あわせて自他の移動体の位置を地図上に表示する装置である。表示すべき地図データおよび自他の移動体の位置データは、制御装置52から信号46として受信する。
【0027】
衝突予測装置10は操作装置48を含み、これは移動体の操縦者が衝突予測装置10を操作する装置である。具体的には、装置48は、操縦者の操作により制御装置52に操作信号50を与え、制御装置52を介して、制御装置52に接続された各種装置を操作する。例えば衝突予測機能をオン・オフすることができる。
【0028】
衝突予測装置10は制御装置52を含み、これはこれに接続される各種装置を制御する装置である。また、制御装置52は、衛星航法系12のうち、GPS受信装置16からは移動体の位置データを取得し、無線通信装置32からは他の移動体の位置データを取得し、いずれも表示装置に地図データとともに表示する。また制御装置52は、自立航法系14のセンサ20、28から移動体の速度および移動方向データを取得する。
【0029】
制御装置52は、時計装置24から提供される時刻信号26を用いて、1秒ないし数分の1秒程度の一定周期で、自己の移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を、無線通信装置32に信号34として送信する。この信号34の送信を契機として、無線通信装置32は他の移動体と移動体情報の交換を行う。
【0030】
なお制御装置52は、自立航法系14から得た速度および移動方向を利用して、GPS受信装置16から得た位置データの測位精度を向上させてもよい。直前の測位によって得られた位置データにセンサ20、28から得られる自立航法系の移動体情報を加算すれば、GPS受信装置16から得られる次の経緯度より精密な位置データが得られる場合もあるからである。
【0031】
制御装置52は、自他の移動体の移動体情報を用いて自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定する衝突判定手段でもある。制御装置は、自他の移動体が将来到達し得る経路上の位置および時刻をそれぞれ検出し、自他の移動体が特定の領域に到達する時刻が実質的に一致するか否かによって、衝突が予想されるか否かを判定する。以下、この判定方法について説明する。
【0032】
既に述べたように、再生装置38から提供される地図データ42における、移動体が移動可能な経路は、典型的には移動体を車両とした場合の道路であり、2つのノードを接続する線分を複数連結して構成されたものである。第1の判定方法は、以下に述べるように、2つの座標を結ぶ線分の集合を用いて近似された経路を用いて、自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定するものである。
【0033】
地図データ42は、道路などの地図情報を含む地図レイヤと、当該地図レイヤに座標値を与えるマトリクスレイヤとを含む。図2は地図データに記録されているある区画の地図レイヤを示す。図3は図2の地図レイヤにマトリクスレイヤを重ねた図を示す。同図では座標軸がそれぞれ東西南北の方向に伸びていて、X軸上の値は経度を示し、Y軸上の値は緯度を示す。図4は道路を2つの座標を結ぶ線分の集合を用いて近似した図を示し、この線分の集合は地図データ42にあらかじめ保存されていたものである。
【0034】
移動体はGPS受信装置16によって自己の位置座標、速度および移動方向を把握しているのであるから、連結された線分として表された道路のうち、どの線分の上に自己が位置し、その線分をどちらの方向に進んでいるかが分かる。ただしGPS受信装置16から取得した自己の位置座標が正確に線分上の1点に一致しなくとも構わない。線分上の最も近接した座標を探してその地点に自己が位置するとみなせばよい。そして、自己が移動する方向に線分を次々にたどれば、何秒後にどの位置に自己が到達するかを予測することができる。線分がある座標で分岐していれば、自己が到達する地点の座標は複数考えられることになる。
【0035】
本実施例では、移動体は、自己の移動する方向に出現する特定のノードの座標に到達する時刻を予測する。例えば現在ノード60に位置し、矢印62で示す方向に移動している移動体があるとする。この移動体の衝突予測装置10の制御装置52は、衛星航法系12および自立航法系14から取得した自他の移動体情報、すなわち自他の移動体の位置、速度および移動方向から、自己がノード60の位置にあり、道路に沿って実質的に北方向に移動していることが分かる。また、同様に、他の移動体がどの位置に存在し、どの方向にいかなる速度で移動しているかも分かる。この自他の移動体の様子は表示装置44に表示され、移動体の操縦者は確認可能である。制御装置52は、再生装置38から提供される線分で近似された道路データを参照して、自他の移動体が移動してゆく方向に存在する線分を次々にたどり、あらかじめ、特定のノードの座標に到達する時刻を予測する。
【0036】
なお予測される到達時刻は、絶対時刻である。すなわち、何秒後に到達するか、ということでなく、何時何分何秒に到達する、ということが予測される。これにより、移動体情報の交換によるタイムラグによって発生する予測到達時刻の誤差が防止される。また衝突予測装置10には、直線道路及び曲線道路の衝突防止補完機能として、光波測距儀などの行うビーム照射によって、道路を区画する壁などの特定の地点までの距離を測定する機能を設けてもよい。
【0037】
図4のノード64、66、68に示すように、路線の近似の必要上、交差点にはノードが必ず存在することとなる。移動体が将来到達するノードのうち、交差点に相当するノード64、66、68への到達時刻は必ず予測される。制御装置52は、このような交差点ノード64、66、68への到達時刻を、自他の移動体について予測する。そして予測した到達時刻が実質的に一致する場合は、両者は交差点において衝突すると判定する。
【0038】
本実施例では、既に述べたように、自他の移動体が「特定の位置」でなく「特定の領域」に到達する時刻が実質的に一致するか否かによって、衝突が予想されるか否かを判定する。移動体は交差点に近づくに従って用心のために減速するかも知れないし、操縦者の気まぐれで交差点をどの方向に曲がるかも交差点に到達するまでは不明である。このように、交差点という特定の位置への到達時刻だけで衝突が予想されるか否かを判定するには、不確定な要素が多い。そこで、本実施例では、自他の移動体が交差点の周辺のノードへ到達する時刻を比較する。「特定の」は各交差点ノード64、66、68を意味し、「領域」はそれら交差点ノードを中心とした周辺のノードを含むノード群を意味する。例えば交差点ノードから分岐している各線分の他端のノードまでを1領域に含めてよい。しかしこれはあくまで一例であり、領域をどれだけ拡張しようと自由である。また、ノード単位で領域を区切らなくてもよい。例えば交差点ノードを実質的に中心とした円形や矩形やその他自由な形状の範囲内を1領域としてよい。
【0039】
なお、衝突が生じるのは交差点だけではない。ある移動体に、同じ道路を走行していた他の移動体が追突することも考えられる。従って、同一の道路を同一の方向に向かって走行している自他の移動体について、追走する側の速度が相対的に高いためにあるノードに到達する時刻が実質的に一致する場合は、両者は追突する可能性があると判定する機能を設けてもよい。したがって、「特定の領域」は交差点を含むノード群に限定されるものではなく、予想される衝突の態様に鑑みて、自由に決定してよい。また、交差点でなくとも、事故の多発する位置の位置データを予め地図データが保持していれば、その位置を中心とした領域を「特定の領域」に含めてもよい。
【0040】
上述してきたように、制御装置52は、各ノードへの到達時刻が「実質的に」一致するか否かを判定する。これは、ノードのある地点だけで衝突・追突が発生するとは限らず、線分の途中の地点で衝突が発生することもあるからである。したがって、自他の移動体があるノードへ到達する到達時刻が正確に一致しなくとも、所定の幅を有する時間帯に到達すると予測されれば、制御装置52は、そのノードの周辺で、移動体同士の衝突が予想されると判定する。例えば、あるノードへの自他の移動体の到達時刻が数秒の時間帯に含まれれば、実質的に一致すると判定してよい。ただし、この時間帯の設定はあくまで一例にすぎず、時間帯をどれだけ増減させようと自由である。
【0041】
移動体が航空機や船舶などの場合は、地図レイヤに代えて、航路図レイヤを用いればよい。すなわち、予定の航路に沿って航行する場合は、航路図レイヤ上の航路をマトリクスレイヤ上に線分の集合として近似したものを用いればよい。ただし、移動可能な経路が道路に制限される車両と異なり、空や海を移動する航空機や船舶の場合は、予定の航路を変更できる自由度が高い。したがって、予定の航路を外れて航行する場合や、出発地および目的地のみを定めて航行する場合は、移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報のみを用いて移動体同士が衝突するか否かの判断を行えばよく、必ずしも近似された線分の集合としての航路データを用いて衝突予測を行わなくてもよい。
【0042】
次に、第2の判定方法を説明する。線分の集合としての経路データを利用した第1の判定方法より正確に、特定の地点への到達時刻を算出するために、第2の判定方法では、曲線道路を2次曲線その他の曲線によって近似する。
【0043】
図5は図4に示す線分の集合によって近似した道路を、さらに直線または2次曲線によって近似した図である。このような近似の方法について、以下、説明する。図4に示すように、ある区画の道路データは、2つの座標を結ぶ線分の集合として表現されている。そこで制御装置52は、当該区画に存在する任意の1つの座標値を出発点とし、出発点から線分が連結されている座標値を次々に探索する。例えば図4の地点60に対応する座標値を出発点として矢印62の指す方向へ探索を行ったとする。次々と南北に伸びる道路70に沿った座標値が見つかる。すると、地点64、66、68の座標値を含む座標値リストができる。制御装置52は、このようにして得られた一連の座標値リストを、図1に示す記録・再生装置72に、信号74として記録する。
【0044】
上述の座標値の探索においては、以下の規則1〜4を用いて、各道路の座標値リストを作成する。
【0045】
規則1:ある座標を介して隣接する線分が3本以上ある場合は当該座標を交差点と判断する。隣接する線分が2本であっても、各線分を座標値探索方向を有するベクトルと考え、ベクトル間に45度以上の方向差がある場合は、当該座標は交差点であると判断する。
【0046】
規則1を適用した場合、交差点と判断されるノードを図6ないし図8に例示する。図6はT字路を示し、図7は十字路を示し、図8は急カーブの道路を示す。図6に示すノード82はその座標を介して隣接する線分が3本あり、図7に示すノード84はその座標を介して隣接する線分が4本あるため、それぞれ、規則1により、交差点と判断される。
【0047】
図8に示すノード86は、一般的な意味での交差点ではない。しかし、規則1に規定の座標値探索方向が矢印88の方向であれば、ノード86を介して隣接する2つの線分は、図9に示すように、2つのベクトル90、92として考えられ、これらベクトル間の方向差αが45度以上である。したがって、ノード86も規則1によって交差点と判断される。このように判断し、交差点での衝突が予測されるか否かを判定すれば、一般的な意味での交差点に限られず、急カーブなど、見通しの悪い道路での正面衝突や追突の危険性にも本発明が適用できる。なお規則1に述べた「45度以上の方向差」は、交差点か否かの判断基準の一例にすぎない。方向差は自由に増減させてよいし、全く別の判断基準によって交差点か否かを判断してもよい。
【0048】
規則2:交差点の座標値で座標値リストを分断し、それぞれ別々のリストとする。
【0049】
図4において、ノード60から矢印62の方向に座標値探索が行われた場合、規則1によって交差点と判定されるのは、ノード64、66、68である。そこで次に規則2を適用すると、これら交差点ノード64、66、68でリストは分断され、次のような8つに分断された座標値リストA〜Hが出来上がる。
リストA:(X60, Y60)・・・(X64, Y64)
リストB:(X64, Y64)・・・(X100, Y100)
リストC:(X64, Y64), (X66, Y66)
リストD:(X66, Y66)・・・(X102, Y102)
リストE:(X66, Y66)・・・(X104, Y104)
リストF:(X66, Y66)・・・(X68, Y68)
リストG:(X68, Y68)・・・(X106, Y106)
リストH:(X68, Y68)・・・(X108, Y108)
各リストのX座標およびY座標の添え字は、図4に示すノードの符号を示している。例えばリストAはノード60からノード64までの道路を表すリストであり、リストBはノード64からノード100までの道路を表すリストである。このようにリストを分断したのは、リストごとに直線または2次曲線によって近似するためである。
【0050】
規則3:各リストにおいて、連続して線分の方向が実質的に不変である部分は、直線道路とみなし、直線で近似する。
【0051】
規則3によれば、上述のリストのうち、リストA、C、D、F、G、Hは直線道路とみなされ、直線で近似される。その他のリストB、Eも、部分的に直線で近似される部分があるかも知れない。近似の一般式はY=aX+bであり、a,bは定数である。規則3を適用するのは、直線で近似できる道路は可能な限り直線によって近似して、計算時間を節約するためである。規則3の「方向が実質的に不変」とは、リストされている座標値に沿って各線分をベクトルと見た場合に、ベクトル間の方向差がたかだか2〜3度の範囲にあることをいう。ただし、この方向差の許容値は、自由に変更してよい。
【0052】
規則4:直線によって近似できない部分は、2次曲線によって近似する。
【0053】
上述の例で言えば、リストB、Eを規則4によって2次曲線で近似する。一般式は放物線を表すY=aX2であり、aは定数である。放物線を平行移動させ、さらにマトリクスレイヤの原点を中心として回転移動させることにより、あらゆる形態の道路を近似可能である。リスト上に変曲点がある場合は1つの2次曲線で近似するのが不可能であるため、変曲点でさらにリストを分断してそれぞれ2次曲線で近似する。そのような近似も不可能であれば、第1の判定方法と同様に、ノード間を線分によって近似してもよい。
【0054】
また、近似曲線は2次曲線に限られない。正弦曲線や余弦曲線、あるいはベジエ(Bezier)曲線やスプライン曲線によって近似してもよい。
【0055】
このように、前出の図5は、リストA〜Hとして表現された図4の線分を、リストごとに、以上の方法で直線または2次曲線によって近似した図である。制御装置52によるこのような近似結果は、同装置52から記録・再生装置72に記録される。地図データに含まれるすべての道路について、予め近似計算して記録しておいてもよいし、移動体がある地図データ中のある区画に入った場合に、当該区画内の道路データを近似することとしてもよい。
【0056】
図10は図5において近似された各道路を、等間隔の基準点で区切った図である。移動体は、例えば地点110に自己が位置する場合に、同地点110を起点として、直線または2次曲線によって近似された道路に、一定の間隔で基準点を設けることができる。例えば5m間隔に基準点を設けることができるが、間隔は自由に増減させてよい。基準点の設置方法は、一旦記録・再生装置72に記録された近似された道路データを、制御装置52が信号112として読み出し、等間隔に基準点を設ければよい。この基準点は、移動体同士の衝突を予測する際の目安となるもので、ある基準点に、現在の速度で何秒後に到達するか、ということを計算することができる。例えば、現在時速60kmであれば、分速1kmであるから、15秒後には250m先へ進むことができる。すなわち、5m間隔で基準点を設けた場合には、50個先の基準点に到達することが分かる。
【0057】
基準点の設置方法は、現在自分のいる位置から、直線または2次曲線で近似された路線をたどり、等間隔にプロットすればよい。近似した時には交差点64、66、68で分断され、別リストとして別個に直線に近似されたリストA、C、F、Hも、一連の直線道路であると判定できるため、交差点64、66、68の位置に関係なく、図10に示す南北に伸びる道路70の路線を基準点でプロットしたように、一定の間隔で基準点を設けてよい。その他のリストB、D、E、Gに対応する路線は、交差点64、66、68をそれぞれ起点として基準点をプロットすればよい。なお、基準点の設置方法は上述したものに限られるものではなく、衝突予測の目安となるものであれば、どのような方法で設置してもよい。
【0058】
このように、図10に示す交差点および基準点を設置した後は、第1の判定方法において移動体の移動する方向に出現する各ノードに移動体が到達する時刻を予測したのと同様に、第2の判定方法においても、移動体の移動する方向に出現する交差点または基準点に移動体が到達する時刻を予測すればよい。そして制御装置52は、これも第1の判定方法と同様であるが、自他の移動体について「特定の領域」に到達する時刻が「実質的に」一致するか否かによって、前記衝突が予想されるか否かを判定する。
【0059】
再び図1を参照されたい。衝突予測装置10は記録・再生装置72を含み、これは上述したように、第2の判定方法によって再生装置38から提供された座標集合としての道路情報を制御装置52が加工した結果を信号74として受信して記録し、また、制御装置52の求めに応じて、その記録内容を信号112として制御装置52に提供する装置である。具体的には、装置72は、第2の判定方法によって直線および2次曲線で近似した路線データを記録する。またその近似された路線データを基準点によって等間隔に区切った結果を記録する。
【0060】
これら記録・再生装置72に記録された内容は、必要に応じて制御装置52に読み出され、移動体同士の衝突の予測に利用され、あるいは表示装置44に表示される。
【0061】
衝突予測装置10は音声装置120を含み、これは、第1または第2の判定方法による制御装置52の判定の結果衝突が予想される場合に、制御装置52から制御信号122を受けて警報を発する警報手段である。この警報によって移動体の操縦者は衝突が予想されたことを知り、移動体の速度または移動方向を変更して、移動体同士の衝突を防止する。
【0062】
衝突予測装置10は駆動系130を含み、これは、第1または第2の判定方法による制御装置52の判定の結果衝突が予想される場合に、制御装置52から駆動コントロール信号132を受けて、自動的に移動体の速度または移動方向を変更するシステムである。これにより、移動体同士の衝突が防止される。
【0063】
図1の実施例では音声装置120および駆動系130の両方を備えているが、操縦者が乗っている有人の移動体の場合には、これらのうちいずれか一方のみを備えれば、移動体同士の衝突は防止可能である。ただし工場内で互いに干渉しないように稼動すべき産業用ロボットなど、無人の移動体の衝突を防止する場合には、音声装置120による警報を与えても意味がないため、駆動系130が必須の要素となる。
【0064】
以上のように構成された本発明による移動体衝突予測装置の動作を、以下、説明する。図11および図12は、有人の移動体に設けられた衝突予測装置10の動作を示すフローチャートである。まず装置10は、ステップS200に示すように、GPS衛星から自己の移動体情報を取得する。移動体情報のうち、移動体の位置はGPS受信装置16によって検出し、移動体の速度は移動距離センサ20および時計装置24によって検出し、移動体の移動方向は方位角センサ28によって検出する。これら移動体情報を検出する各装置は、制御装置52の制御によって、移動体情報を検出する。
【0065】
次に装置10は、ステップS202に示すように、他の移動体に自己の移動体情報を無線送信する。これは無線通信装置32によって行う。無線通信装置32は、同装置の伝送距離の範囲内にある他の移動体に自己の移動体情報を無線送信する。航空機の場合は、例えばボーイング747の飛行速度が時速900km程度であるから数分後の衝突を回避するために数十kmの範囲の他の航空機に無線送信する。一方、陸上や海上を移動する移動体の場合は、100m程度の他の移動体に無線送信すれば、衝突を回避できる。
【0066】
自己の移動体情報を無線送信した後、装置10は、ステップS204に示すように、他の移動体の移動体情報を無線受信する。そしてステップS206に示すように、他の移動体を発見したか否かを判断する。無線通信の伝送距離によっては、必要以上に遠方の他の移動体の移動体情報を取得することもできるが、そうした移動体の移動体情報を参照して、衝突の可否を判定する必要がないと分かれば、発見された移動体に含めなくてよい。
【0067】
ステップS206に示すように、自己の近辺に衝突するかも知れない他の移動体を発見しなかった場合には、ステップS200に戻り、再度移動体情報の交換を続ける。一方、そのような他の移動体を発見した場合には、ステップS208に示すように、自他の移動体の移動体情報を用いて自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定する。図13は、図1の表示装置44に表示される、図2に示した道路に自他の移動体を重ねて表示した図である。図13の例では、自己の移動体300と、発見した他の移動体302、304、306が表示装置に表示される。一例として、これらの自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定する。
【0068】
図13の場合、各移動体300、302、304、306は、それぞれ、矢印62、310、312、314で示す方向に移動しているとする。移動体300が予想すべきは、自己の移動方向に位置する交差点その他の基準点への自他の移動体の到達時刻である。
【0069】
図14は、既に述べた第2の判定方法によって路線を直線および2次曲線によって近似し、基準点を設置した図10に、自他の移動体の位置を重ねて表示したものである。移動体300は、自己の現在の位置110から移動方向62に向かって出現する特定の領域320、322、324について、自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定する。この特定の領域は、線分の座標の集合として表現されていた路線データのうち、少なくとも、交差点64、66、68を含む。すなわち、3本以上の線分を結合する点または実質的に直線状でない2本の線分を結合する点を含む。したがって、交差点は衝突の可否の判定の対象となる。ここでいう「実質的に直線状でない2本の線分を結合する点」とは、第2の判定方法の規則1で述べた、「隣接する線分が2本であっても、各線分を座標値探索方向を有するベクトルと考え、ベクトル間に45度以上の方向差がある場合は、当該座標は交差点であると判断する」との判断によって交差点とされたものをいう。なお図14にはかかる急カーブに相当する交差点は例示されていない。必要であれば図7および図8を参照されたい。
【0070】
図14の例では、特定の領域を、各交差点64、66、68に隣接する基準点までの領域としている。無論、この特定の領域の決定方法は一例にすぎず、自由に変更してよい。例えば移動体の速度が高い場合には、特定の領域は拡大した方が安全性が高い。図14では、他の移動体302はその移動方向310から見て、移動体300と領域320で衝突することは考えられない。一方、他の移動体304、306は、それぞれ領域322、324で移動体300と衝突する可能性がある。このように、単純に移動体同士の距離が近いか否かだけ判断するのではなく、自他の移動体の移動体情報に鑑みて、真に衝突が予測されるか否かを判定する。これにより、効率的に衝突予測が可能となり、無駄な警報を発せずに済む。
【0071】
判定の結果、衝突が予想されない場合はステップS200に戻り、再度移動体情報の交換を続ける。衝突が予想される場合は、S210に示すように、警報信号を音声装置120から発する。これによって、移動体300の操縦者の注意を喚起し、移動体同士の衝突を防止する。また、ステップS212に示すように制御装置52から駆動コントロール信号132を駆動系130に送り、自動的に移動体300の速度または移動方向を変更する。これによっても、移動体同士の衝突が防止される。
【0072】
なおステップS210およびS212は、いずれか一方だけ設けることとしてもよい。ただし無人の移動体の場合は、警報信号を発するステップS210は必要なく、駆動コントロール信号を与えるステップS212は必須である。
【0073】
次にステップS214、S216、S218に示すように、他の移動体302、304、306と再び移動体情報の交換を行い、自他の移動体の移動体情報を用いて自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定する。判定の結果、衝突が予想されない場合はステップS200に戻り、再度移動体情報の交換を続ける。衝突が予想される場合は、ステップS220に示すように、再び駆動コントロール信号駆動系130に送り、今度は、自動的に移動体300を停止させる。これにより、確実に衝突が防止される。ただし航空機など、空中を移動する移動体にあっては、停止させるわけにはいかない。したがって、ステップS220に移行する代わりに、再びステップS210に戻ってもよい。この場合は、再び警報信号を音声装置120から発し、駆動コントロール信号132を駆動系130に送って自動的に移動体の速度または移動方向を変更する。これらの措置を、移動体の衝突が予想されなくなるまで繰り返す。
【0074】
以上、本発明による移動体衝突予測装置の動作をその実施例を用いて説明した。本発明は、言うまでもなく、上述の構成・動作を有する実施例に限定されるものではない。自己の移動体情報を他の移動体のそれと交換し、衝突が予想されるか否かを判定して必要な措置をとるという本発明の思想を有するものであれば、上述の実施例は自由に改変してよい。例えば衝突が予想される場合に、これを回避せず、操縦者を自動的に脱出させる措置をとってもよい。
【0075】
【発明の効果】
このように本発明によれば、交差点での出会い頭の衝突など、人間の注意力のみでは予測困難な移動体同士の衝突を予測することができる。また一般的な交差点だけでなく、見通しの悪い急カーブでも衝突の予測が可能である。さらに、レーダーによる移動体の衝突予測装置は左右からの移動体の衝突の防止がしにくいところ、GPSを利用する本発明にはそのような欠点がなく、移動体同士の位置確認と移動予測による衝突防止は簡便で確実である。
【0076】
本発明によれば、自他の移動体が特定の領域に到達する時刻が実質的に一致するか否かによって衝突を予測するため、移動体が移動する経路が予定されている特許文献4および特許文献5に記載の技術とは異なり、移動体同士の経路が予定されていず、操縦者の気まぐれで決定されても、安全性の高い衝突判定を行うことができる。
【0077】
本発明によれば、単に距離が近接しているか否かによって衝突判定を行うのではなく、移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を用いて判定を行うため、無駄な衝突警報をしなくて済み、確実かつ効率的な衝突判定を行うことができる。
【0078】
本発明によれば、無生物だけでなく、人間に小型の無線送受信機能つきGPS装置を保持させることにより、対人の衝突も防ぐことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による衝突予測装置の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す再生装置から提供される地図レイヤを示す図である。
【図3】図2に示す地図レイヤにマトリクスレイヤを重ねた図である。
【図4】道路を2つの座標を結ぶ線分の集合を用いて近似した図である。
【図5】図4に示す線分の集合によって近似した道路を、さらに直線または2次曲線によって近似した図である。
【図6】T字路において交差点と判断されるノードを示す図である。
【図7】十字路において交差点と判断されるノードを示す図である。
【図8】急カーブの道路において交差点と判断されるノードを示す図である。
【図9】図8に示す線分をベクトルとして表した図である。
【図10】図5において近似された各道路を、等間隔の基準点で区切った図である。
【図11】本発明による移動体衝突予測装置の動作の前半を示すフローチャートである。
【図12】本発明による移動体衝突予測装置の動作の後半を示すフローチャートである。
【図13】図2に示す道路に自他の移動体の位置を重ねて表示した図である。
【図14】図10に示す道路に自他の移動体の位置を重ねて表示した図である。
【符号の説明】
10 衝突予測装置
16 GPS受信装置
32 無線通信装置
52 制御装置
120 音声装置
130 駆動系
300、302、304、306 移動体
【発明の属する技術分野】
本発明は、移動体の衝突予測装置および衝突予測方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、特許文献1または特許文献2に示すように、GPS(Global Positioning System)やレーダーを利用する航空機または船舶の衝突防止装置が提案されている。また、特許文献3に記載のように、陸上を移動する車両などの移動体のナビゲーション装置についても、GPSを利用した従来技術がある。さらに、GPSを利用して無人の自動走行機械がある特定のエリアに侵入するのを防止する特許文献4に記載の従来技術や、無線監視手段を用いて各無人自走体が互いに衝突するのを防止する特許文献5に記載の従来技術もある。
【0003】
【特許文献1】
特開2000−304856号公報
【特許文献2】
特開平11−120499号公報
【特許文献3】
特許第3260645号公報
【特許文献4】
特開2001−337724号公報
【特許文献5】
特開平5−143158号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、レーダーを利用する従来技術では、移動体の左右方向から接近する他の移動体との衝突を防止するのは困難である。
【0005】
GPSを利用する従来技術では、接近する方向に関係なく、近接した移動体を検知することはできる。しかし、従来技術では、単純に距離の近い移動体を検知すると衝突の可能性があると判定し、警報を発してしまう。移動体の速度・移動方向を考慮すれば、移動体同士が次第に離れてゆくことが明らかな場合や、移動体同士が将来実質的に同一位置に到達しても到達する時刻が異なり衝突する可能性のない場合も少なくない。このようなケースでは、本来警報を発する必要はない。
【0006】
さらに、空や海を移動する航空機や船舶の場合は、予定の航路を変更できる自由度が高いが、車両などの陸上を移動する移動体は、通常、走行可能な範囲が道路に限られているため、移動経路を変更する自由度は相対的に低い。それだけに、単に互いの移動体の距離が接近しているか否かを問題とするのではなく、地図上の道路の形状を考慮し、特定の領域、例えば衝突の発生しやすい交差点に狙いを絞って衝突が起こるか否かを判定すれば効率的な衝突防止が可能となる。
【0007】
本発明はこのような従来技術の欠点を解消し、移動体同士の衝突を確実かつ効率的に予測する移動体衝突予測装置および移動体衝突予測方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は上述の課題を解決するために、移動体の位置を検出するGPS(Global Positioning System)受信手段と、移動体の速度を検出する速度検出手段と、移動体の移動方向を検出する移動方向検出手段とを含む移動体衝突予測装置において、さらに、移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を他の移動体の移動体衝突予測装置に送り、他の移動体の移動体情報を受け取る移動体情報交換手段と、移動体および他の移動体の移動体情報を用いて移動体と他の移動体との衝突が予想されるか否かを判定する衝突判定手段とを含む。
【0009】
本発明によれば、GPSを利用した衛星航法系と自立航法系とを組み合わせて、確実かつ効率的な移動体衝突予測が可能となる。
【0010】
【発明の実施の形態】
次に添付図面を参照して本発明による移動体衝突予測装置の実施例を詳細に説明する。なお各図面において、本発明と直接関係のない要素は省略し、同様の要素は同一の符号で示すものとする。また信号はそれが送られる信号線の符号によって示すものとする。
【0011】
図1は本発明による衝突予測装置の一例を示す機能ブロック図である。衝突予測装置10は、図示しない移動体に装備されている。装置10を装備する移動体は移動するものであればよい。したがって、航空機、船舶、車両などの無生物の他、人間などの生物に対して装備してもよい。その場合は、腕時計サイズの衝突予測装置を携帯し、車両との接触事故が回避可能となれば好ましい。
【0012】
衝突予測装置10はその航法系として、衛星航法系12と自立航法系14とを含み、これらの航法系12、14から、移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報が得られる。
【0013】
衛星航法系12は電波測位を用いて、移動体情報のうち、移動体の位置を検出するシステムである。衛星航法系12はGPS(Global Positioning System)受信装置16を含み、これは、図示しないGPS衛星から発射される電波の到来時間を計測し、衛星からの距離を計算することによって、経度、緯度および高さを含む移動体の位置を検出する装置である。GPS受信装置16は、移動体の位置および時刻の測定のため、最低4個のGPS衛星を選択する必要がある。GPS衛星には衛星ごとに異なるPN(Pseudo Noise; 疑似雑音)コードが割り当てられていて、GPS受信装置16は、異なる衛星から発射される電波を、このコード位相によって識別する。装置16は移動体の位置を信号18として出力する。
【0014】
なおGPS受信装置16には、地上に固定された図示しない基準局との間で無線通信を行う無線通信機を設けてもよい。これによれば、DGPS(Differential GPS)による、より精度の高い測位が可能である。あらかじめ正確な位置の分かっている基準局でGPSによる測位を行い、その差分を補正値として移動体へ送信し、移動体では、GPSによる測位結果と補正値を用いて精度の向上を行う。
【0015】
本実施例におけるGPS受信装置16は、上述のコード位相を用いる方法に代えて、搬送波を用いたり、適切な地上波から得られる情報や後述の自立航法系14からの情報を利用することにより、最終的には、移動体の位置を誤差数mm〜数cmの精度で検出可能である。
【0016】
自立航法系14は各種センサを用いて、移動体情報のうち、移動体の速度および移動方向を検出するシステムである。自立航法系14は移動距離センサ20を含み、これは、移動体の移動距離を検出するセンサである。例えば移動体が車両である場合は、車輪の回転周期と同一の周期を有するパルスを信号22として出力する。一方、時計装置24は、時刻を発生する時計回路から成り、この回路により発生された時刻信号26は制御装置52に送られる。そして時刻信号26を用いて単位時間あたりの車輪回転数を後述の制御装置52が計算することにより、車両の速度が得られる。車両以外の移動体の場合も、同様に、しかるべき移動距離信号22を出力する移動距離センサ20と、時計装置24とにより、移動体の速度が検出される。
【0017】
自立航法系14は方位角センサ28を含み、これは、移動体の方位角を検出するセンサである。ここで「方位角」とは、例えば真北、すなわち地球の自転軸の方向に対して移動体がどちらの方向に向いているかという角度をいう。センサ28は、本実施例ではサニャック効果と呼ばれる原理に基づいて位相差を検出する光ファイバジャイロを含む。このジャイロから出力される位相差信号30から、後述の制御装置52が移動体の方位角、すなわち、移動体の移動方向を検出する。なお方位角センサ28は、移動体の方位角を検出できるものであれば、光ファイバジャイロ以外の慣性基準装置としてもよい。例えば加速度計としてよい。
【0018】
なお、移動体情報は、移動体の位置、速度および移動方向以外の情報を含んでもよい。例えば自立航法系14および時計装置24からの情報を用いれば、移動体の加速度を算出することもできる。これを移動体情報に含めれば、加速中の移動体の将来の位置を予測することができる。
【0019】
また、本実施例では、移動体情報のうち、移動体の速度および移動方向を、自立航法系14の各センサ20、28によって取得しているが、これらの移動体情報は、衛星航法系12に属するGPS受信装置16を用いて取得してもよい。GPS受信装置16から得られる移動体の位置データ18と時計装置24から得られる時刻信号26とを利用すれば、移動体の速度および移動方向は算出可能だからである。
【0020】
衛星航法系12は、無線通信装置32を含み、これは、上述の各装置16、20、28によって得られた移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を、制御装置52を経由して信号34として受信し、図示しない他の移動体の有する装置10と同様の移動体衝突予測装置に送り、他の移動体の移動体情報を受け取る装置である。受け取った移動体情報は、信号36として制御装置52に提供される。
【0021】
このような、他の移動体との移動体情報の交換は、無線通信方式によって行われる。移動体情報の交換は、一定時間ごとに行えばよい。たとえば1秒ごとに行い、制御装置52に絶えず提供して更新すればよい。無線通信方式の具体例としては、VICS(Vehicle Information and Communication System; 道路交通情報通信システム)で利用されている電波ビーコン、光ビーコン、FM多重放送を利用する方式や、あるいはテレターミナルを利用する方式がある。また、本実施例における無線通信装置32は、移動体が車両である場合は100m程度の伝送距離を確保できればよいため、最大で100mの伝送距離を有するBluetooth(ブルートゥース)を利用してもよい。
【0022】
他の移動体は複数存在しうるため、どの電波がどの移動体の移動体情報を示すものかを識別する必要がある。それらを識別する方法として、例えば、異なるGPS衛星から発射される電波を識別するために使用されるPNコードと類似のコード情報を各移動体に割り当てればよい。これによれば、異なる移動体から発射される電波を、このコード位相によって識別できる。
【0023】
なお、時計装置24は、既に述べた通り、時刻を発生する時計回路から成るものであり、すべての移動体の移動体衝突予測装置が有する時計装置は同期していて、共通の絶対時刻を刻む。また、図示しないGPS衛星がかかる時計装置を有し、GPS衛星から発射される電波によって衝突予測装置10が絶対時刻を得ることとしてもよい。その場合、装置10のGPS受信装置16を介して絶対時刻は制御装置52に伝えられるから、装置10は時計装置24を搭載する必要がない。
【0024】
衝突予測装置10は再生装置38を含み、これは移動体が移動可能な経路を制御装置52に教える。再生装置30は具体的には、経路データが記憶されたCD−ROM(Compact Disk − Read Only Memory)40から経路データを読み出して信号42として出力するCD−ROMドライブ装置である。移動体が車両であれば、移動体が移動可能な経路は、地図データ上の道路である。一方、移動体が航空機や船舶であれば、移動体が移動可能な経路は、航路図データ上の航路である。
【0025】
ここで経路データについて、道路を例として詳しく説明しておく。地図データは、1/12500、1/25000等の縮尺レベルに応じて適当な大きさの経度幅及び緯度幅に区切られ、道路は経度及び緯度の組み合わせで表現された頂点(ノード)の座標集合として記録されている。すなわち、地図データにおける道路は、2つのノードを接続する線分を複数連結して構成されたものである。
【0026】
衝突予測装置10は表示装置44を含み、これは区画単位あるいはスクロールにて地図を表示し、あわせて自他の移動体の位置を地図上に表示する装置である。表示すべき地図データおよび自他の移動体の位置データは、制御装置52から信号46として受信する。
【0027】
衝突予測装置10は操作装置48を含み、これは移動体の操縦者が衝突予測装置10を操作する装置である。具体的には、装置48は、操縦者の操作により制御装置52に操作信号50を与え、制御装置52を介して、制御装置52に接続された各種装置を操作する。例えば衝突予測機能をオン・オフすることができる。
【0028】
衝突予測装置10は制御装置52を含み、これはこれに接続される各種装置を制御する装置である。また、制御装置52は、衛星航法系12のうち、GPS受信装置16からは移動体の位置データを取得し、無線通信装置32からは他の移動体の位置データを取得し、いずれも表示装置に地図データとともに表示する。また制御装置52は、自立航法系14のセンサ20、28から移動体の速度および移動方向データを取得する。
【0029】
制御装置52は、時計装置24から提供される時刻信号26を用いて、1秒ないし数分の1秒程度の一定周期で、自己の移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を、無線通信装置32に信号34として送信する。この信号34の送信を契機として、無線通信装置32は他の移動体と移動体情報の交換を行う。
【0030】
なお制御装置52は、自立航法系14から得た速度および移動方向を利用して、GPS受信装置16から得た位置データの測位精度を向上させてもよい。直前の測位によって得られた位置データにセンサ20、28から得られる自立航法系の移動体情報を加算すれば、GPS受信装置16から得られる次の経緯度より精密な位置データが得られる場合もあるからである。
【0031】
制御装置52は、自他の移動体の移動体情報を用いて自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定する衝突判定手段でもある。制御装置は、自他の移動体が将来到達し得る経路上の位置および時刻をそれぞれ検出し、自他の移動体が特定の領域に到達する時刻が実質的に一致するか否かによって、衝突が予想されるか否かを判定する。以下、この判定方法について説明する。
【0032】
既に述べたように、再生装置38から提供される地図データ42における、移動体が移動可能な経路は、典型的には移動体を車両とした場合の道路であり、2つのノードを接続する線分を複数連結して構成されたものである。第1の判定方法は、以下に述べるように、2つの座標を結ぶ線分の集合を用いて近似された経路を用いて、自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定するものである。
【0033】
地図データ42は、道路などの地図情報を含む地図レイヤと、当該地図レイヤに座標値を与えるマトリクスレイヤとを含む。図2は地図データに記録されているある区画の地図レイヤを示す。図3は図2の地図レイヤにマトリクスレイヤを重ねた図を示す。同図では座標軸がそれぞれ東西南北の方向に伸びていて、X軸上の値は経度を示し、Y軸上の値は緯度を示す。図4は道路を2つの座標を結ぶ線分の集合を用いて近似した図を示し、この線分の集合は地図データ42にあらかじめ保存されていたものである。
【0034】
移動体はGPS受信装置16によって自己の位置座標、速度および移動方向を把握しているのであるから、連結された線分として表された道路のうち、どの線分の上に自己が位置し、その線分をどちらの方向に進んでいるかが分かる。ただしGPS受信装置16から取得した自己の位置座標が正確に線分上の1点に一致しなくとも構わない。線分上の最も近接した座標を探してその地点に自己が位置するとみなせばよい。そして、自己が移動する方向に線分を次々にたどれば、何秒後にどの位置に自己が到達するかを予測することができる。線分がある座標で分岐していれば、自己が到達する地点の座標は複数考えられることになる。
【0035】
本実施例では、移動体は、自己の移動する方向に出現する特定のノードの座標に到達する時刻を予測する。例えば現在ノード60に位置し、矢印62で示す方向に移動している移動体があるとする。この移動体の衝突予測装置10の制御装置52は、衛星航法系12および自立航法系14から取得した自他の移動体情報、すなわち自他の移動体の位置、速度および移動方向から、自己がノード60の位置にあり、道路に沿って実質的に北方向に移動していることが分かる。また、同様に、他の移動体がどの位置に存在し、どの方向にいかなる速度で移動しているかも分かる。この自他の移動体の様子は表示装置44に表示され、移動体の操縦者は確認可能である。制御装置52は、再生装置38から提供される線分で近似された道路データを参照して、自他の移動体が移動してゆく方向に存在する線分を次々にたどり、あらかじめ、特定のノードの座標に到達する時刻を予測する。
【0036】
なお予測される到達時刻は、絶対時刻である。すなわち、何秒後に到達するか、ということでなく、何時何分何秒に到達する、ということが予測される。これにより、移動体情報の交換によるタイムラグによって発生する予測到達時刻の誤差が防止される。また衝突予測装置10には、直線道路及び曲線道路の衝突防止補完機能として、光波測距儀などの行うビーム照射によって、道路を区画する壁などの特定の地点までの距離を測定する機能を設けてもよい。
【0037】
図4のノード64、66、68に示すように、路線の近似の必要上、交差点にはノードが必ず存在することとなる。移動体が将来到達するノードのうち、交差点に相当するノード64、66、68への到達時刻は必ず予測される。制御装置52は、このような交差点ノード64、66、68への到達時刻を、自他の移動体について予測する。そして予測した到達時刻が実質的に一致する場合は、両者は交差点において衝突すると判定する。
【0038】
本実施例では、既に述べたように、自他の移動体が「特定の位置」でなく「特定の領域」に到達する時刻が実質的に一致するか否かによって、衝突が予想されるか否かを判定する。移動体は交差点に近づくに従って用心のために減速するかも知れないし、操縦者の気まぐれで交差点をどの方向に曲がるかも交差点に到達するまでは不明である。このように、交差点という特定の位置への到達時刻だけで衝突が予想されるか否かを判定するには、不確定な要素が多い。そこで、本実施例では、自他の移動体が交差点の周辺のノードへ到達する時刻を比較する。「特定の」は各交差点ノード64、66、68を意味し、「領域」はそれら交差点ノードを中心とした周辺のノードを含むノード群を意味する。例えば交差点ノードから分岐している各線分の他端のノードまでを1領域に含めてよい。しかしこれはあくまで一例であり、領域をどれだけ拡張しようと自由である。また、ノード単位で領域を区切らなくてもよい。例えば交差点ノードを実質的に中心とした円形や矩形やその他自由な形状の範囲内を1領域としてよい。
【0039】
なお、衝突が生じるのは交差点だけではない。ある移動体に、同じ道路を走行していた他の移動体が追突することも考えられる。従って、同一の道路を同一の方向に向かって走行している自他の移動体について、追走する側の速度が相対的に高いためにあるノードに到達する時刻が実質的に一致する場合は、両者は追突する可能性があると判定する機能を設けてもよい。したがって、「特定の領域」は交差点を含むノード群に限定されるものではなく、予想される衝突の態様に鑑みて、自由に決定してよい。また、交差点でなくとも、事故の多発する位置の位置データを予め地図データが保持していれば、その位置を中心とした領域を「特定の領域」に含めてもよい。
【0040】
上述してきたように、制御装置52は、各ノードへの到達時刻が「実質的に」一致するか否かを判定する。これは、ノードのある地点だけで衝突・追突が発生するとは限らず、線分の途中の地点で衝突が発生することもあるからである。したがって、自他の移動体があるノードへ到達する到達時刻が正確に一致しなくとも、所定の幅を有する時間帯に到達すると予測されれば、制御装置52は、そのノードの周辺で、移動体同士の衝突が予想されると判定する。例えば、あるノードへの自他の移動体の到達時刻が数秒の時間帯に含まれれば、実質的に一致すると判定してよい。ただし、この時間帯の設定はあくまで一例にすぎず、時間帯をどれだけ増減させようと自由である。
【0041】
移動体が航空機や船舶などの場合は、地図レイヤに代えて、航路図レイヤを用いればよい。すなわち、予定の航路に沿って航行する場合は、航路図レイヤ上の航路をマトリクスレイヤ上に線分の集合として近似したものを用いればよい。ただし、移動可能な経路が道路に制限される車両と異なり、空や海を移動する航空機や船舶の場合は、予定の航路を変更できる自由度が高い。したがって、予定の航路を外れて航行する場合や、出発地および目的地のみを定めて航行する場合は、移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報のみを用いて移動体同士が衝突するか否かの判断を行えばよく、必ずしも近似された線分の集合としての航路データを用いて衝突予測を行わなくてもよい。
【0042】
次に、第2の判定方法を説明する。線分の集合としての経路データを利用した第1の判定方法より正確に、特定の地点への到達時刻を算出するために、第2の判定方法では、曲線道路を2次曲線その他の曲線によって近似する。
【0043】
図5は図4に示す線分の集合によって近似した道路を、さらに直線または2次曲線によって近似した図である。このような近似の方法について、以下、説明する。図4に示すように、ある区画の道路データは、2つの座標を結ぶ線分の集合として表現されている。そこで制御装置52は、当該区画に存在する任意の1つの座標値を出発点とし、出発点から線分が連結されている座標値を次々に探索する。例えば図4の地点60に対応する座標値を出発点として矢印62の指す方向へ探索を行ったとする。次々と南北に伸びる道路70に沿った座標値が見つかる。すると、地点64、66、68の座標値を含む座標値リストができる。制御装置52は、このようにして得られた一連の座標値リストを、図1に示す記録・再生装置72に、信号74として記録する。
【0044】
上述の座標値の探索においては、以下の規則1〜4を用いて、各道路の座標値リストを作成する。
【0045】
規則1:ある座標を介して隣接する線分が3本以上ある場合は当該座標を交差点と判断する。隣接する線分が2本であっても、各線分を座標値探索方向を有するベクトルと考え、ベクトル間に45度以上の方向差がある場合は、当該座標は交差点であると判断する。
【0046】
規則1を適用した場合、交差点と判断されるノードを図6ないし図8に例示する。図6はT字路を示し、図7は十字路を示し、図8は急カーブの道路を示す。図6に示すノード82はその座標を介して隣接する線分が3本あり、図7に示すノード84はその座標を介して隣接する線分が4本あるため、それぞれ、規則1により、交差点と判断される。
【0047】
図8に示すノード86は、一般的な意味での交差点ではない。しかし、規則1に規定の座標値探索方向が矢印88の方向であれば、ノード86を介して隣接する2つの線分は、図9に示すように、2つのベクトル90、92として考えられ、これらベクトル間の方向差αが45度以上である。したがって、ノード86も規則1によって交差点と判断される。このように判断し、交差点での衝突が予測されるか否かを判定すれば、一般的な意味での交差点に限られず、急カーブなど、見通しの悪い道路での正面衝突や追突の危険性にも本発明が適用できる。なお規則1に述べた「45度以上の方向差」は、交差点か否かの判断基準の一例にすぎない。方向差は自由に増減させてよいし、全く別の判断基準によって交差点か否かを判断してもよい。
【0048】
規則2:交差点の座標値で座標値リストを分断し、それぞれ別々のリストとする。
【0049】
図4において、ノード60から矢印62の方向に座標値探索が行われた場合、規則1によって交差点と判定されるのは、ノード64、66、68である。そこで次に規則2を適用すると、これら交差点ノード64、66、68でリストは分断され、次のような8つに分断された座標値リストA〜Hが出来上がる。
リストA:(X60, Y60)・・・(X64, Y64)
リストB:(X64, Y64)・・・(X100, Y100)
リストC:(X64, Y64), (X66, Y66)
リストD:(X66, Y66)・・・(X102, Y102)
リストE:(X66, Y66)・・・(X104, Y104)
リストF:(X66, Y66)・・・(X68, Y68)
リストG:(X68, Y68)・・・(X106, Y106)
リストH:(X68, Y68)・・・(X108, Y108)
各リストのX座標およびY座標の添え字は、図4に示すノードの符号を示している。例えばリストAはノード60からノード64までの道路を表すリストであり、リストBはノード64からノード100までの道路を表すリストである。このようにリストを分断したのは、リストごとに直線または2次曲線によって近似するためである。
【0050】
規則3:各リストにおいて、連続して線分の方向が実質的に不変である部分は、直線道路とみなし、直線で近似する。
【0051】
規則3によれば、上述のリストのうち、リストA、C、D、F、G、Hは直線道路とみなされ、直線で近似される。その他のリストB、Eも、部分的に直線で近似される部分があるかも知れない。近似の一般式はY=aX+bであり、a,bは定数である。規則3を適用するのは、直線で近似できる道路は可能な限り直線によって近似して、計算時間を節約するためである。規則3の「方向が実質的に不変」とは、リストされている座標値に沿って各線分をベクトルと見た場合に、ベクトル間の方向差がたかだか2〜3度の範囲にあることをいう。ただし、この方向差の許容値は、自由に変更してよい。
【0052】
規則4:直線によって近似できない部分は、2次曲線によって近似する。
【0053】
上述の例で言えば、リストB、Eを規則4によって2次曲線で近似する。一般式は放物線を表すY=aX2であり、aは定数である。放物線を平行移動させ、さらにマトリクスレイヤの原点を中心として回転移動させることにより、あらゆる形態の道路を近似可能である。リスト上に変曲点がある場合は1つの2次曲線で近似するのが不可能であるため、変曲点でさらにリストを分断してそれぞれ2次曲線で近似する。そのような近似も不可能であれば、第1の判定方法と同様に、ノード間を線分によって近似してもよい。
【0054】
また、近似曲線は2次曲線に限られない。正弦曲線や余弦曲線、あるいはベジエ(Bezier)曲線やスプライン曲線によって近似してもよい。
【0055】
このように、前出の図5は、リストA〜Hとして表現された図4の線分を、リストごとに、以上の方法で直線または2次曲線によって近似した図である。制御装置52によるこのような近似結果は、同装置52から記録・再生装置72に記録される。地図データに含まれるすべての道路について、予め近似計算して記録しておいてもよいし、移動体がある地図データ中のある区画に入った場合に、当該区画内の道路データを近似することとしてもよい。
【0056】
図10は図5において近似された各道路を、等間隔の基準点で区切った図である。移動体は、例えば地点110に自己が位置する場合に、同地点110を起点として、直線または2次曲線によって近似された道路に、一定の間隔で基準点を設けることができる。例えば5m間隔に基準点を設けることができるが、間隔は自由に増減させてよい。基準点の設置方法は、一旦記録・再生装置72に記録された近似された道路データを、制御装置52が信号112として読み出し、等間隔に基準点を設ければよい。この基準点は、移動体同士の衝突を予測する際の目安となるもので、ある基準点に、現在の速度で何秒後に到達するか、ということを計算することができる。例えば、現在時速60kmであれば、分速1kmであるから、15秒後には250m先へ進むことができる。すなわち、5m間隔で基準点を設けた場合には、50個先の基準点に到達することが分かる。
【0057】
基準点の設置方法は、現在自分のいる位置から、直線または2次曲線で近似された路線をたどり、等間隔にプロットすればよい。近似した時には交差点64、66、68で分断され、別リストとして別個に直線に近似されたリストA、C、F、Hも、一連の直線道路であると判定できるため、交差点64、66、68の位置に関係なく、図10に示す南北に伸びる道路70の路線を基準点でプロットしたように、一定の間隔で基準点を設けてよい。その他のリストB、D、E、Gに対応する路線は、交差点64、66、68をそれぞれ起点として基準点をプロットすればよい。なお、基準点の設置方法は上述したものに限られるものではなく、衝突予測の目安となるものであれば、どのような方法で設置してもよい。
【0058】
このように、図10に示す交差点および基準点を設置した後は、第1の判定方法において移動体の移動する方向に出現する各ノードに移動体が到達する時刻を予測したのと同様に、第2の判定方法においても、移動体の移動する方向に出現する交差点または基準点に移動体が到達する時刻を予測すればよい。そして制御装置52は、これも第1の判定方法と同様であるが、自他の移動体について「特定の領域」に到達する時刻が「実質的に」一致するか否かによって、前記衝突が予想されるか否かを判定する。
【0059】
再び図1を参照されたい。衝突予測装置10は記録・再生装置72を含み、これは上述したように、第2の判定方法によって再生装置38から提供された座標集合としての道路情報を制御装置52が加工した結果を信号74として受信して記録し、また、制御装置52の求めに応じて、その記録内容を信号112として制御装置52に提供する装置である。具体的には、装置72は、第2の判定方法によって直線および2次曲線で近似した路線データを記録する。またその近似された路線データを基準点によって等間隔に区切った結果を記録する。
【0060】
これら記録・再生装置72に記録された内容は、必要に応じて制御装置52に読み出され、移動体同士の衝突の予測に利用され、あるいは表示装置44に表示される。
【0061】
衝突予測装置10は音声装置120を含み、これは、第1または第2の判定方法による制御装置52の判定の結果衝突が予想される場合に、制御装置52から制御信号122を受けて警報を発する警報手段である。この警報によって移動体の操縦者は衝突が予想されたことを知り、移動体の速度または移動方向を変更して、移動体同士の衝突を防止する。
【0062】
衝突予測装置10は駆動系130を含み、これは、第1または第2の判定方法による制御装置52の判定の結果衝突が予想される場合に、制御装置52から駆動コントロール信号132を受けて、自動的に移動体の速度または移動方向を変更するシステムである。これにより、移動体同士の衝突が防止される。
【0063】
図1の実施例では音声装置120および駆動系130の両方を備えているが、操縦者が乗っている有人の移動体の場合には、これらのうちいずれか一方のみを備えれば、移動体同士の衝突は防止可能である。ただし工場内で互いに干渉しないように稼動すべき産業用ロボットなど、無人の移動体の衝突を防止する場合には、音声装置120による警報を与えても意味がないため、駆動系130が必須の要素となる。
【0064】
以上のように構成された本発明による移動体衝突予測装置の動作を、以下、説明する。図11および図12は、有人の移動体に設けられた衝突予測装置10の動作を示すフローチャートである。まず装置10は、ステップS200に示すように、GPS衛星から自己の移動体情報を取得する。移動体情報のうち、移動体の位置はGPS受信装置16によって検出し、移動体の速度は移動距離センサ20および時計装置24によって検出し、移動体の移動方向は方位角センサ28によって検出する。これら移動体情報を検出する各装置は、制御装置52の制御によって、移動体情報を検出する。
【0065】
次に装置10は、ステップS202に示すように、他の移動体に自己の移動体情報を無線送信する。これは無線通信装置32によって行う。無線通信装置32は、同装置の伝送距離の範囲内にある他の移動体に自己の移動体情報を無線送信する。航空機の場合は、例えばボーイング747の飛行速度が時速900km程度であるから数分後の衝突を回避するために数十kmの範囲の他の航空機に無線送信する。一方、陸上や海上を移動する移動体の場合は、100m程度の他の移動体に無線送信すれば、衝突を回避できる。
【0066】
自己の移動体情報を無線送信した後、装置10は、ステップS204に示すように、他の移動体の移動体情報を無線受信する。そしてステップS206に示すように、他の移動体を発見したか否かを判断する。無線通信の伝送距離によっては、必要以上に遠方の他の移動体の移動体情報を取得することもできるが、そうした移動体の移動体情報を参照して、衝突の可否を判定する必要がないと分かれば、発見された移動体に含めなくてよい。
【0067】
ステップS206に示すように、自己の近辺に衝突するかも知れない他の移動体を発見しなかった場合には、ステップS200に戻り、再度移動体情報の交換を続ける。一方、そのような他の移動体を発見した場合には、ステップS208に示すように、自他の移動体の移動体情報を用いて自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定する。図13は、図1の表示装置44に表示される、図2に示した道路に自他の移動体を重ねて表示した図である。図13の例では、自己の移動体300と、発見した他の移動体302、304、306が表示装置に表示される。一例として、これらの自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定する。
【0068】
図13の場合、各移動体300、302、304、306は、それぞれ、矢印62、310、312、314で示す方向に移動しているとする。移動体300が予想すべきは、自己の移動方向に位置する交差点その他の基準点への自他の移動体の到達時刻である。
【0069】
図14は、既に述べた第2の判定方法によって路線を直線および2次曲線によって近似し、基準点を設置した図10に、自他の移動体の位置を重ねて表示したものである。移動体300は、自己の現在の位置110から移動方向62に向かって出現する特定の領域320、322、324について、自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定する。この特定の領域は、線分の座標の集合として表現されていた路線データのうち、少なくとも、交差点64、66、68を含む。すなわち、3本以上の線分を結合する点または実質的に直線状でない2本の線分を結合する点を含む。したがって、交差点は衝突の可否の判定の対象となる。ここでいう「実質的に直線状でない2本の線分を結合する点」とは、第2の判定方法の規則1で述べた、「隣接する線分が2本であっても、各線分を座標値探索方向を有するベクトルと考え、ベクトル間に45度以上の方向差がある場合は、当該座標は交差点であると判断する」との判断によって交差点とされたものをいう。なお図14にはかかる急カーブに相当する交差点は例示されていない。必要であれば図7および図8を参照されたい。
【0070】
図14の例では、特定の領域を、各交差点64、66、68に隣接する基準点までの領域としている。無論、この特定の領域の決定方法は一例にすぎず、自由に変更してよい。例えば移動体の速度が高い場合には、特定の領域は拡大した方が安全性が高い。図14では、他の移動体302はその移動方向310から見て、移動体300と領域320で衝突することは考えられない。一方、他の移動体304、306は、それぞれ領域322、324で移動体300と衝突する可能性がある。このように、単純に移動体同士の距離が近いか否かだけ判断するのではなく、自他の移動体の移動体情報に鑑みて、真に衝突が予測されるか否かを判定する。これにより、効率的に衝突予測が可能となり、無駄な警報を発せずに済む。
【0071】
判定の結果、衝突が予想されない場合はステップS200に戻り、再度移動体情報の交換を続ける。衝突が予想される場合は、S210に示すように、警報信号を音声装置120から発する。これによって、移動体300の操縦者の注意を喚起し、移動体同士の衝突を防止する。また、ステップS212に示すように制御装置52から駆動コントロール信号132を駆動系130に送り、自動的に移動体300の速度または移動方向を変更する。これによっても、移動体同士の衝突が防止される。
【0072】
なおステップS210およびS212は、いずれか一方だけ設けることとしてもよい。ただし無人の移動体の場合は、警報信号を発するステップS210は必要なく、駆動コントロール信号を与えるステップS212は必須である。
【0073】
次にステップS214、S216、S218に示すように、他の移動体302、304、306と再び移動体情報の交換を行い、自他の移動体の移動体情報を用いて自他の移動体の衝突が予想されるか否かを判定する。判定の結果、衝突が予想されない場合はステップS200に戻り、再度移動体情報の交換を続ける。衝突が予想される場合は、ステップS220に示すように、再び駆動コントロール信号駆動系130に送り、今度は、自動的に移動体300を停止させる。これにより、確実に衝突が防止される。ただし航空機など、空中を移動する移動体にあっては、停止させるわけにはいかない。したがって、ステップS220に移行する代わりに、再びステップS210に戻ってもよい。この場合は、再び警報信号を音声装置120から発し、駆動コントロール信号132を駆動系130に送って自動的に移動体の速度または移動方向を変更する。これらの措置を、移動体の衝突が予想されなくなるまで繰り返す。
【0074】
以上、本発明による移動体衝突予測装置の動作をその実施例を用いて説明した。本発明は、言うまでもなく、上述の構成・動作を有する実施例に限定されるものではない。自己の移動体情報を他の移動体のそれと交換し、衝突が予想されるか否かを判定して必要な措置をとるという本発明の思想を有するものであれば、上述の実施例は自由に改変してよい。例えば衝突が予想される場合に、これを回避せず、操縦者を自動的に脱出させる措置をとってもよい。
【0075】
【発明の効果】
このように本発明によれば、交差点での出会い頭の衝突など、人間の注意力のみでは予測困難な移動体同士の衝突を予測することができる。また一般的な交差点だけでなく、見通しの悪い急カーブでも衝突の予測が可能である。さらに、レーダーによる移動体の衝突予測装置は左右からの移動体の衝突の防止がしにくいところ、GPSを利用する本発明にはそのような欠点がなく、移動体同士の位置確認と移動予測による衝突防止は簡便で確実である。
【0076】
本発明によれば、自他の移動体が特定の領域に到達する時刻が実質的に一致するか否かによって衝突を予測するため、移動体が移動する経路が予定されている特許文献4および特許文献5に記載の技術とは異なり、移動体同士の経路が予定されていず、操縦者の気まぐれで決定されても、安全性の高い衝突判定を行うことができる。
【0077】
本発明によれば、単に距離が近接しているか否かによって衝突判定を行うのではなく、移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を用いて判定を行うため、無駄な衝突警報をしなくて済み、確実かつ効率的な衝突判定を行うことができる。
【0078】
本発明によれば、無生物だけでなく、人間に小型の無線送受信機能つきGPS装置を保持させることにより、対人の衝突も防ぐことも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による衝突予測装置の一例を示す機能ブロック図である。
【図2】図1に示す再生装置から提供される地図レイヤを示す図である。
【図3】図2に示す地図レイヤにマトリクスレイヤを重ねた図である。
【図4】道路を2つの座標を結ぶ線分の集合を用いて近似した図である。
【図5】図4に示す線分の集合によって近似した道路を、さらに直線または2次曲線によって近似した図である。
【図6】T字路において交差点と判断されるノードを示す図である。
【図7】十字路において交差点と判断されるノードを示す図である。
【図8】急カーブの道路において交差点と判断されるノードを示す図である。
【図9】図8に示す線分をベクトルとして表した図である。
【図10】図5において近似された各道路を、等間隔の基準点で区切った図である。
【図11】本発明による移動体衝突予測装置の動作の前半を示すフローチャートである。
【図12】本発明による移動体衝突予測装置の動作の後半を示すフローチャートである。
【図13】図2に示す道路に自他の移動体の位置を重ねて表示した図である。
【図14】図10に示す道路に自他の移動体の位置を重ねて表示した図である。
【符号の説明】
10 衝突予測装置
16 GPS受信装置
32 無線通信装置
52 制御装置
120 音声装置
130 駆動系
300、302、304、306 移動体
Claims (13)
- 移動体の位置を検出するGPS(Global Positioning System)受信手段と、該移動体の速度を検出する速度検出手段と、該移動体の移動方向を検出する移動方向検出手段とを含む移動体衝突予測装置において、該装置はさらに、
該移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を他の移動体の移動体衝突予測装置に送り、該他の移動体の移動体情報を受け取る移動体情報交換手段と、
該移動体および他の移動体の移動体情報を用いて該移動体と他の移動体との衝突が予想されるか否かを判定する衝突判定手段とを含むことを特徴とする移動体衝突予測装置。 - 請求項1に記載の装置において、該装置はさらに、前記判定の結果衝突が予想される場合に警報を発する警報手段を含み、
これによって、移動体同士の衝突を防止することを特徴とする移動体衝突予測装置。 - 請求項1に記載の装置において、該装置はさらに、前記判定の結果衝突が予想される場合に前記移動体の速度または移動方向を変更する駆動手段を含み、
これによって、移動体同士の衝突を防止することを特徴とする移動体衝突予測装置。 - 請求項1ないし3のいずれかに記載の装置において、前記移動体情報交換手段は、無線通信方式によって移動体情報を交換する無線通信手段であることを特徴とする移動体衝突予測装置。
- 請求項1ないし4のいずれかに記載の装置において、該装置はさらに、前記移動体が移動可能な経路を前記衝突判定手段に教える経路情報提供手段を含み、前記衝突判定手段は、前記移動体と他の移動体とが特定の領域に将来到達する時刻が実質的に一致するか否かによって、衝突が予想されるか否かを判定することを特徴とする移動体衝突予測装置。
- 移動体の位置をGPS(Global Positioning System)受信手段によって検出する工程と、該移動体の速度を検出する工程と、該移動体の移動方向を検出する工程とを含む移動体衝突予測方法において、該方法はさらに、
該移動体の位置、速度および移動方向を含む移動体情報を他の移動体に送り、該他の移動体の移動体情報を受け取る工程と、
該移動体および他の移動体の移動体情報を用いて該移動体と他の移動体との衝突が予想されるか否かを判定する工程とを含むことを特徴とする移動体衝突予測方法。 - 請求項6に記載の方法において、該方法はさらに、前記判定の結果衝突が予想される場合に警報を発する工程を含み、
これによって、移動体同士の衝突を防止することを特徴とする移動体衝突予測方法。 - 請求項6に記載の方法において、該方法はさらに、前記判定の結果衝突が予想される場合に前記移動体の速度または移動方向を変更する工程を含み、
これによって、移動体同士の衝突を防止することを特徴とする移動体衝突予測方法。 - 請求項6ないし8のいずれかに記載の方法において、前記移動体の移動体情報を他の移動体に送り、該他の移動体の移動体情報を受け取る工程は、無線通信方式によって行うことを特徴とする移動体衝突予測方法。
- 請求項6ないし9のいずれかに記載の方法において、該方法はさらに、前記移動体が移動可能な経路を前記衝突判定手段に教える工程を含み、前記衝突が予想されるか否かを判定する工程は、前記移動体と他の移動体とが特定の領域に将来到達する時刻が実質的に一致するか否かによって行うことを特徴とする移動体衝突予測方法。
- 請求項10に記載の方法において、前記移動体が移動可能な経路は、2つの座標を結ぶ線分の集合を用いて近似し、該近似した経路を用いて、前記衝突が予想されるか否かを判定する工程を行うことを特徴とする移動体衝突予測方法。
- 請求項11に記載の方法において、前記近似した経路の一部をさらに2次曲線によって近似し、該近似した経路を用いて、前記衝突が予想されるか否かを判定する工程を行うことを特徴とする移動体衝突予測方法。
- 請求項10ないし12のいずれかに記載の方法において、前記特定の領域は、3本以上の前記線分を結合する点または実質的に直線状でない2本の前記線分を結合する点を含むことを特徴とする移動体衝突予測方法。
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