JP2004170713A - 電子写真装置用ゴムローラー及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、芯金と、該芯金の外周に周設されたゴム層とを備えてなる電子写真装置用ゴムローラーであって、
前記ゴム層は、カーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下であるゴム組成物からなり、前記カーボンブラックの平均粒子径が40nm以上であることを特徴とする電子写真装置用ゴムローラーを提供する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真装置用ゴムローラーに関し、詳しくは、電子写真装置の帯電ローラー、転写ローラー、現像ローラー等として好適な電子写真装置用ゴムローラーに関する。
【0002】
【従来の技術】
複写機、ファクシミリ、プリンタ等の電子写真装置は、感光体ドラムを備えてなり、この感光ドラムの外周面を一様に帯電させ、次いで、印刷パターンや複写パターン等を露光することにより該感光ドラムの外周に静電潜像を形成し、この静電潜像にトナーを付着させてトナー像を形成し、このトナー像を印刷用紙等のメディアに転写することにより印刷や複写を行う機構を備えるものである。
【0003】
このような機構に於いては、図2に示すように、感光体ドラム10を一様に帯電させるための帯電ローラー11、トナーを搬送するためのトナー搬送ローラー12、トナーを感光体ドラムに付着させるための現像ローラー13、トナー像を感光体ドラムから印刷用紙等のメディアに転写するための転写ローラー14等の種々のゴムローラーが用いられている。
【0004】
この種の電子写真装置用ゴムローラーは、芯金と、成形により形成され且つ芯金の外周に周設されたゴム層とを備えて構成されており、このゴム層は、例えば、芯金との一体押出成形等の成形により製造されている。
ところで、このゴム層としては、良好な画像等を得る観点から、寸法精度に優れていることが必要とされているところ、ゴム層の原料たる未加硫ゴム組成物の収縮性等によって、その製造が煩雑となり易いという問題を有している。
例えば、ゴム層の原料たる未加硫ゴム組成物を用いて押出成形する場合に於いては、未加硫ゴム組成物のダイスウェル・収縮性が大きいと、表面に比較的大きな凹凸ができる(表面肌が荒れている)と共に成形後の外径が安定せず、更に、カットした場合には、ゴム変形が大きい為にカットした端部の外径が他の部位よりも大きくなり、硬化後に多くの部分を研削して、表面を平滑にすると共に外径を整えなければならないという問題を有している。
従って、ゴム層としては、ダイスウェル・収縮性が小さく、しかも、研削しろを少なくできる原料(未加硫ゴム組成物)を用いたもの、即ち、成形加工性の良好な原料を用いて製造しうるものが要望されている。
【0005】
一方、電子写真装置用ゴムローラーとしては、感光体等と当接した状態にて使用されることから、所望の弾性を備えることが必要とされている。
【0006】
上記要望等に鑑み、従来、この種ゴムローラーのゴム層(ゴム層が多層からなる場合においてはゴム層の最外層)の原料としては、成形加工性が良好であり且つゴムローラーの硬度上昇を抑制できる観点から、炭酸カルシウム、タルク、クレー等の絶縁性無機微粒子をゴム分100重量部に対して数十重量部配合したものが用いられている(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−309975合公報(表1)
【0008】
しかしながら、絶縁性無機微粒子をゴム分に対して数十重量部配合したものを用いた場合には、ゴム層の電気抵抗値が局部的に大きく増大し、例えば、現像ローラー等として使用した場合に画像欠陥を引き起こしやすいという問題を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上記従来の問題点に鑑み、ゴム層の製造が比較的簡便であり、しかも、硬度上昇が抑制されていると共に、画像欠陥を引き起こす虞も少ない電子写真装置用ゴムローラーを提供することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記課題に鑑み、鋭意検討した結果、カーボンブラックを用いれば、ゴム組成物の成形加工性を向上させると共に、該カーボンブラックの平均粒子径が40nm以上であれば、比較的硬度上昇が小さく、しかも、該カーボンブラックが適当な導電性付与能を有することから、成形後のゴム層の電気抵抗が局部的に増大し難くなることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、芯金と、該芯金の外周に周設されたゴム層とを備えてなる電子写真装置用ゴムローラーであって、
前記ゴム層は、カーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下であるゴム組成物からなり、前記カーボンブラックの平均粒子径が40nm以上であることを特徴とする電子写真装置用ゴムローラーを提供する。
斯かる構成からなる電子写真装置用ゴムローラーは、絶縁性無機微粒子の使用量を5重量部以下に抑えても、カーボンブラックによりゴム層に用いる原料の成形加工性が良好なものとなり、その結果、ゴム層の製造が比較的簡便なものとなる。
また、用いるカーボンブラックの平均粒子径が40nm以上であるため、他のカーボンブラックを用いた場合に比して硬度上昇の抑制されたものとなる。しかも、前記カーボンブラックが適当な導電性を有すると共に炭酸カルシウム等の絶縁性無機微粒子が5重量部以下であることから、成形後のゴム層の電気抵抗が局部的に増大し難く、良好な印刷画像等を印刷等しうる。
【0012】
また、本発明は、芯金の外周にゴム層を周設する電子写真装置用ゴムローラーの製造方法であって、
平均粒子径40nm以上のカーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下である未加硫のゴム組成物を用いて、前記ゴム層を成形することを特徴とする電子写真装置用ゴムローラーの製造方法を提供する。
斯かる方法によれば、ゴム層を容易に製造できると共に、ゴムローラーとして所望される弾性を備え、画像欠陥を引き起こす虞の少ないゴムローラーを製造しうる。
【0013】
更に、本発明は、芯金と、該芯金の外周に周設されたゴム層とを備えてなる電子写真装置用ゴムローラーであって、
前記ゴム層は、内側の発泡層と該発泡層の外周に周設された非発泡層とを備え、前記非発泡層は、カーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下であるゴム組成物からなり、前記カーボンブラックの平均粒子径が40nm以上であることを特徴とする電子写真装置用ゴムローラーを提供する。
斯かる構成からなる電子写真装置用ゴムローラーは、ゴム層の最外層たる非発泡層において、無機微粒子の使用量を5重量部以下に抑えても、カーボンブラックにより、原料の成形加工性が良好なものとなり、その結果、ゴム層の製造が比較的簡便なものとなる。
また、用いるカーボンブラックの平均粒子径が40nm以上であるため、他のカーボンブラックを用いた場合に比して硬度上昇の抑制されたものとなる。しかも、前記カーボンブラックが適当な導電性を有すると共に炭酸カルシウム等の絶縁性無機微粒子が5重量部以下であることから、成形後のゴム層の電気抵抗が局部的に増大し難く、良好な印刷画像等を印刷等しうる。
【0014】
更に、本発明は、芯金の外周に、内側の発泡層と外側の非発泡層とからなるゴム層が周設された電子写真装置用ゴムローラーの製造方法であって、
前記芯金の外周に、前記発泡層用の未加硫ゴム組成物を内側となるように、平均粒子径40nm以上のカーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下である前記非発泡層用の未加硫ゴム組成物を外側となるように周設し、円筒状型に収容して加熱することにより、発泡と同時に加硫して前記ゴム層を形成することを特徴とする電子写真装置用ゴムローラーを提供する。
斯かる方法によれば、ゴム層の最外層たる非発泡層の未加硫ゴム組成物が成形加工性に優れていることから、ゴム層を容易に製造できると共に、ゴムローラーとして所望される弾性を備え、画像欠陥を引き起こす虞の少ないゴムローラーを製造しうる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。
図1に示すように、本実施形態の電子写真装置用ゴムローラーは、芯金1と、該芯金1の外周に周設された単一層からなるゴム層2とを備えて構成されている。
前記ゴム層2は、カーボンブラック及び絶縁性無機微粒子の配合されたゴム組成物から構成されてなる。
本実施形態に於いて、芯金1としては、例えば、図1に示すように、断面円形の中空又は中実の導電性金属円柱状体を挙げることができる。
芯金1を構成する金属としては、例えば、銅、鉄、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケル等を挙げることができる。
【0016】
本実施形態に於いて、カーボンブラックとしては、FEF、GPF、SRF、FT、MT(ASTM)等のいずれのグレードのものを使用することができる。但し、平均粒子径が小さく、比表面積の大きいカーボンブラックを多量に配合すると、電気抵抗が必要以上に低下することから、SRF、FT、MTが好ましい。
また、カーボンブラックの平均粒子径は、40nm以上であり、好ましくは、150nm以下である。
150nm以下であれば、分散性が低下する虞も少なく、表面欠陥、抵抗のバラツキ(リーク)の発生する虞も低減する。
ここで、カーボンブラックの平均粒子径は、以下の方法で測定される。
即ち、カーボンブラックを超音波洗浄器により周波数28kHzで30秒間クロロホルムに分散させたのち、分散資料をカーボン支持膜に固定する(詳細は例えば「粉体物性図説」(粉体工学研究会他編)P68(C)「水面膜法」に記載されている)。次いで、これを電子顕微鏡で直接倍率20000倍、総合倍率80000〜100000倍にて撮影し、得られた写真からランダムに円形に写った1000個のカーボンブラック粒子の直径を計測し、0から3nm毎に区分して作成したヒストグラムから算術平均粒子直径(dn)を求め、これを平均粒子径とする。
尚、用いるカーボンブラックの粒子径の分布は、通常、上記ヒストグラムから求められる10%累積径が30nm以上であり、90%累積径がdn×5以下である。
【0017】
また、本実施形態に於いて、前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積は、60m2/g以下であるのが好ましい。
斯かる範囲であれば、カーボンブラックの導電性付与能が小さく、必要以上にゴム層2の電気抵抗値が低下する虞が低減する。
尚、通常、前記窒素吸着比表面積は、5m2/g以上である。5m2/g以上であれば、分散性が低下する虞も少なく、表面欠陥、抵抗のバラツキ(リーク)の発生する虞も低減する。
ここで、窒素吸着比表面積は、JIS 6217:1997により測定される。
【0018】
また、本実施形態に於いて、絶縁性無機微粒子とは、ゴムに配合することにより、ゴム層2の導電性を低下させる無機微粒子を意味し、該絶縁性無機微粒子としては、炭酸カルシウム、タルク、シリカ等を挙げることができる。
これらの絶縁性無機微粒子の配合量は、5重量部以下であれば特に限定されないが、好ましくは、0〜2重量部である。特に、炭酸カルシウムの配合量は、0重量部(即ち、炭酸カルシウムが配合されていないもの)が好ましい。
これらの絶縁性無機微粒子の平均粒子径(測定方法はカーボンブラックに同じ)は、通常、炭酸カルシウムで1〜5μm(微粉タイプで0.02〜0.08μm)、タルクで1〜5μm(微粉タイプで0.05〜0.1μm)、シリカで15〜40nmである。
【0019】
さらに、本実施形態に於いて、前記ゴム組成物には、ゴム成分100重量部に対して、前記カーボンブラックが20重量部以上配合されてなるものが好ましい。
カーボンブラックの配合量が20重量部以上であれば、加硫前のゴム組成物の成形加工性を十分に向上させることができる。
尚、加硫後のゴム硬度が高くなりすぎないように、また、加硫前の粘度が高くなりすぎないようにする観点から、カーボンブラックの配合量は、100重量部以下が好ましい。
【0020】
また、本実施形態に於いて、前記ゴム組成物には、液状ゴムが配合されてなるものが好ましい。その配合量は、ゴム成分100重量部中、5〜30重量部含まれるように配合されるのが好ましい。
従来、成形加工性を向上させるべく、可塑剤を加えてゴム組成物の流動性を向上させていたが、この可塑剤は、ブリードし易く、接触相手材を汚染するという問題を有しているところ、液状ゴムは、ブリードの原因となる虞も少なく、ゴム組成物の流動性を向上させることができる。
従って、液状ゴムの配合により、ブリードを起こして接触相手材を汚染する原因となる可塑剤の使用量を低減、好ましくは、ゴム成分100重量部に対して、10重量部以下とすることができる。
【0021】
ここで、液状ゴムとは、常温に於いて液体状態のゴムを意味し、JIS K 6300に規定されるムーニー粘度が1以下又は測定不可能なものを言う。
液状ゴムとしては、液状NBR、液状CR、液状EPDM等を挙げることができる。
また、可塑剤とは、ゴムに可塑性を与える液状物を意味し、該可塑剤としては、アロマ系・ナフテン系・パラフィン系等のプロセスオイル、植物油、DOP・DOA等のエステル、低分子ポリエーテル、低分子量ポリエステル等を挙げることができる。
【0022】
本実施形態に於いて、前記ゴム層2を構成するゴムとしては、NBR、CR、EPDM、SBR、IR、アクリルゴム、エピクロルヒドリン、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル共重合体から選ばれし1種又は2種以上からなるものを挙げることができる。
【0023】
また、本実施形態に於いては、前記ゴム層2の表面にウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂から選ばれし1種又は2種以上からなる表面樹脂層3が備えられていても良い。
斯かる表面樹脂層3によれば、現像ローラーとして使用した場合、トナーに対する適切な摩擦帯電性を有するものとなる。
【0024】
本実施形態に係る電子写真装置用ゴムローラーは、平均粒子径40nm以上のカーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下である未加硫ゴム組成物を、芯金1の外周に周設して予備成形体とし、該予備成形体を加硫により硬化させることにより製造しうる。具体的には、先ず、未加硫のベースゴムに、平均粒子径40nm以上のカーボンブラック及び各種配合剤を配合して、未加硫のゴム組成物を調製し、該ゴム組成物と芯金1とをクロスヘッドダイを用いた押出機で同時に押し出すことにより、芯金1の外周にゴム組成物を周設した予備成形体とする。
尚、この押出機は、一般に電線の被覆に多く用いられ、芯金1を押出機のシリンダーの吐出部に取り付け、未加硫ゴム組成物を該吐出部から押し出して使用するものである。
次いで、円筒状の成形型内に、予備成形体を入れ、加熱により未加硫ゴム組成物を加硫させ、必要に応じて表面を研削することにより表面を平滑化し、ゴムローラーとする。
【0025】
本実施形態の電子写真装置用ゴムローラーは、複写機、ファクシミリ、プリンター等の電子写真装置の帯電ローラー、現像ローラー、転写ローラー、クリーニングローラー等として好適に使用しうる。
【0026】
尚、本実施形態において、ゴムローラーは、図1に示すように単一層からなるゴム層2を備えて構成されたが、本発明に於いては、図3に示すように、内側の発泡層2bと、外側の非発泡層2aとを備えた複数層からゴム層2が構成される場合(第2実施形態)であっても良い。
第2実施形態の構成において、非発泡層2aは、ゴム層2が単一層からなる実施形態におけるゴム層2のゴム組成物と同様のゴム組成物から構成される。
また、発泡層2bは、発泡剤の配合された未加硫ゴム組成物が発泡成形されて構成される。
尚、発泡剤としては、ADCA、OBSH等を使用でき、その配合量としては、未加硫ゴムのゴム成分100重量部に対して通常、1〜10重量部が好ましい。
【0027】
第2実施形態に係る電子写真装置用ゴムローラーは、発泡剤の配合された未加硫ゴム組成物を内側に配し、平均粒子径40nm以上のカーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下である未加硫ゴム組成物を外側に配した状態で、芯金1の外周に周設して予備成形体とし、該予備成形体を加硫にて硬化させることにより製造しうる。
具体的には、先ず、未加硫のベースゴムに発泡剤及び各種配合剤を配合した発泡層用未加硫ゴム組成物と、未加硫のベースゴムに平均粒子径40nm以上のカーボンブラック及び各種配合剤を配合した非発泡層用未加硫のゴム組成物とを調製し、発泡層用未加硫ゴム組成物が内側、非発泡層用未加硫ゴム組成物が外側となるようにして各未加硫ゴム組成物と芯金1とをクロスヘッドダイを用いた押出機で同時に押し出すことにより、芯金1の外周に発泡層用未加硫ゴム組成物及び非発泡層用未加硫ゴム組成物を周設した予備成形体とする。
次いで、円筒状の金型内に予備成形体を入れ、加熱により未加硫ゴム組成物を加硫させ、必要に応じて表面を研削することにより表面を平滑化してゴムローラーとする。
【0028】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳述する。
【0029】
実施例1〜4、比較例1〜3
ポリマー(未加硫ゴム)、カーボン、液状ゴム、酸化亜鉛(導電性無機微粒子)、絶縁性無機微粒子(炭酸カルシウム、酸化マグネシウム)、加工助剤(ステアリン酸)をそれぞれ表1に示す割合にて配合し、バンバリーミキサーを用いて混練した後、更に、表1に示す割合にて加硫剤及び加硫促進剤を配合し、未加硫のゴム組成物を調製した。
【0030】
尚、表中、
ポリマーとして、ヒドリンゴム(商品名「ゼクロンG3106」、日本ゼオン(株)製)、
カーボン▲1▼として、MTカーボン(商品名「アサヒサーマル」、旭カーボン(株)製、平均粒子径80nm、窒素吸着比表面積24m2/g)、
カーボン▲2▼として、導電カーボン(商品名「デンカブラック」、電気化学工業(株)製、平均粒子径40nm、窒素吸着比表面積99m2/g)
カーボン▲3▼として、HAFカーボン(商品名「ダイアブラックH」、三菱化学(株)製、平均粒子径31nm、窒素吸着比表面積79m2/g)、
カーボン▲4▼として、ISAFカーボン(商品名「ダイアブラックI」、三菱化学(株)製、平均粒子径23nm、窒素吸着比表面積114m2/g)、
液状ゴムとして、液状NBR(商品名「Nipol1312」、日本ゼオン(株)製)、
炭酸カルシウムとして、軟質炭酸カルシウム(商品名「スターブランドEC」、神島化学工業(株)製)
加硫剤として、オイルサルファー、
加硫促進剤▲1▼として、テトラエチルチウラムジスルフィド、
加硫促進剤▲2▼として、N−シクロヘキシル−2−ベンゾチアジル−スルフェンアミド、
をそれぞれ用いた。
【0031】
【表1】
【0032】
次いで、クロスヘッドダイを用いた押出機で芯金と一体成形することにより、調製した未加硫の各ゴム組成物を芯金の外周に周設してそれぞれ予備成形体とし、円筒状金型内に保持して180℃オーブン中で30分加硫した後、冷却・脱型して、外径16.10mmの成形体を得た。
次いで、得られた各成形体を、円筒研削盤を用いて外径16.00mmに研削し、表面を洗浄・乾燥した後に、フッ素系の半導電性塗料を塗布することにより表面樹脂層を形成し、それぞれ実施例1〜4、比較例1〜3の電子写真装置用ゴムローラーを得た。
尚、半導電性塗料は、フッ素系樹脂溶液(商品名「ディフェンサーTR−304」、大日本インキ(株)製、樹脂成分20重量%)100重量部とカーボンブラック(商品名「ケェッチェンブラックEC」、ケェッチェンブラックインターナショナル製)0.4重量部とを、95重量部の溶剤(メチルエチルケトン)にて希釈後、ボールミルにて分散処理することにより調製した。
【0033】
試験例
各実施例及び比較例のゴムローラーの調製に際して、下記加工状態の評価、研削状態の評価、物性評価を行った。また、調製した各実施例及び比較例のゴムローラーを用いて、下記画像評価を行った。
各評価結果を下記表2に示す。
【0034】
<加工状態>
▲1▼未加硫のゴム組成物の混練状態
混練状態を目視にて判断した。十分に混ざっているものを○、不十分なものを×で評価した。
▲2▼成形加工性
押出成形作業のし易さを評価した。
▲3▼表面状態
加硫後の成形体の表面の粗さを目視にて判断した。
表面が平滑であるものを○、表面に凹凸が認められるものを×、僅かに凹凸が認められるものを△で評価した。
▲4▼端部の収縮
目視にて判断した。予備成形体を切断し、切断端部の外径が他の部位の外径よりも大きいものを×、僅かに大きいものを△、他の部位の外径と殆ど変わらないものを○で評価した。
【0035】
<研削状態>
▲1▼研削表面粗度
成形体の表面を研削後、表面粗度をJIS B0601に準拠して測定した。尚、測定装置としては、サーフテスト(「SJ−301」、(株)ミツトヨ社製)を用いた。
▲2▼表面状態観察
研削後、表面状態を目視にて判断した。
表面が平滑であるものを○、表面に凹凸が認められるものを×、僅かに凹凸が認められるものを△で評価した。
【0036】
<ローラー評価>
▲1▼硬度
JIS K 6253 タイプAデュロメータにて、加硫後の成形体の硬度を測定した。
▲2▼ローラー抵抗
ローラーを導電平板上に静置し、両端軸体部に500g荷重をかけた後、芯金と導電平板間に100Vの電圧を印加し、印加開始30秒後の抵抗値を測定した。尚、抵抗測定器は、アドバンテスト製エレクトロメーターR8340Aを使用した。
【0037】
<画像評価>
各ゴムローラーを、現像ローラーとして、それぞれ市販の電子写真プリンターに組み込み、それぞれ同一の画像(黒ベタ部分、ハーフトーン部分、白色部分を含む)を印刷し、それぞれ画像濃度、白点ムラ(黒部ベタ部の抜け)、ハーフトーン濃度ムラ、地かぶりについて評価を行った。尚、比較例3については、体積固有抵抗値が高くなりすぎて、印刷することができなかった。
【0038】
▲1▼画像濃度、地かぶり、ハーフトーンの画像あれ(ハーフトーンの濃淡ムラ)、黒ベタ部の抜け〉
画像濃度は、黒ベタ部分を対象とし、地かぶりは、白色部分に現れた地かぶり部分を対象とし、マクベス反射型濃度計を用いて濃度を測定した。
▲2▼ハーフトーン濃度ムラ、白点ムラ
目視により判断し、全く認められないものを○、僅かに確認できるものを△、ハッキリ確認できるものを×で評価した。
【0039】
【表2】
【0040】
実施例5
先ず、下記表3に示す割合にて配合し、実施例1〜4と同様の方法により、発泡層用未加硫ゴム組成物を調製した。尚、表3中加硫促進剤▲3▼として、テルルジエチルジチオカルバメイトを、発泡剤としてp,p−オキシビスベンゼンスルフォニルヒドラジンを、発泡助剤として、三協化成製セルトンNPを用いた。
【0041】
【表3】
【0042】
次いで、所定の配合例にて調製した発泡層用未加硫ゴム組成物が内側、実施例1にて調製した未加硫ゴム組成物が外側となるように、クロスヘッドを用いて芯金と一体成形することにより、予備成形体を製造し、円筒状金型内に保持して180℃オーブン中で30分加硫・発泡した後、冷却・脱型して、外径16.10mmの成形体を得た。
【0043】
次いで、実施例1と同様に、外径16.00mmに研削し、半導電性塗料を塗布することにより表面樹脂層を形成し、それぞれ実施例5のゴムローラーを得た。
【0044】
比較例4
実施例1にて調製した未加硫ゴム組成物に代えて比較例1の未加硫ゴム組成物を用いた以外は、実施例5と同様にして、比較例4のゴムローラーを得た。
【0045】
得られた実施例5、比較例4のゴムローラーを、それぞれ上記試験例に示した評価を行った。
その結果を表4に示す。
【0046】
【表4】
【0047】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係る電子写真装置用ゴムローラーは、ゴム層の製造が比較的簡便であり、しかも、硬度上昇が抑制されていると共に、画像欠陥を引き起こす虞も少ないという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】一実施形態の電子写真装置用ゴムローラーを示す斜視図。
【図2】電子写真装置の機構を示す概略図。
【図3】他実施形態の電子写真装置用ゴムローラーを示す斜視図。
【符号の説明】
1・・・芯金、2・・・ゴム層
Claims (9)
- 芯金と、該芯金の外周に周設されたゴム層とを備えてなる電子写真装置用ゴムローラーであって、
前記ゴム層は、カーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下であるゴム組成物からなり、前記カーボンブラックの平均粒子径が40nm以上であることを特徴とする電子写真装置用ゴムローラー。 - 芯金と、該芯金の外周に周設されたゴム層とを備えてなる電子写真装置用ゴムローラーであって、
前記ゴム層は、内側の発泡層と該発泡層の外周に周設された非発泡層とを備え、前記非発泡層は、カーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下であるゴム組成物からなり、前記カーボンブラックの平均粒子径が40nm以上であることを特徴とする電子写真装置用ゴムローラー。 - 前記カーボンブラックの窒素吸着比表面積が60m2/g以下である請求項1又は2記載の電子写真装置用ゴムローラー。
- 前記ゴム組成物には、ゴム成分100重量部に対して、前記カーボンブラックが20重量部以上配合されてなる請求項1乃至3の何れかに記載の電子写真装置用ゴムローラー。
- 前記ゴム組成物には、液状ゴムが配合されてなる請求項1乃至4の何れかに記載の電子写真装置用ゴムローラー。
- 前記ゴム層の表面に、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂から選ばれし1種又は2種以上からなる表面樹脂層が備えられてなる請求項1乃至5の何れかに記載の電子写真装置用ゴムローラー。
- 芯金の外周にゴム層を周設する電子写真装置用ゴムローラーの製造方法であって、
平均粒子径40nm以上のカーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下である未加硫のゴム組成物を用いて、前記ゴム層を成形することを特徴とする電子写真装置用ゴムローラーの製造方法。 - 芯金の外周に、内側の発泡層と外側の非発泡層とからなるゴム層が周設された電子写真装置用ゴムローラーの製造方法であって、
前記芯金の外周に、前記発泡層用の未加硫ゴム組成物を内側となるように、平均粒子径40nm以上のカーボンブラックが配合され且つ絶縁性無機微粒子の配合量がゴム成分100重量部に対して5重量部以下である前記非発泡層用の未加硫ゴム組成物を外側となるように周設し、円筒状型に収容して加熱することにより、発泡と同時に加硫して前記ゴム層を形成することを特徴とする電子写真装置用ゴムローラーの製造方法。 - 前記型が分割可能な分割型である請求項8記載の電子写真装置用ゴムローラーの製造方法。
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