JP2004168835A - スチレン系樹脂板状発泡体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】スチレン系樹脂を押出発泡してなるスチレン系樹脂板状発泡体であって、発泡剤として少なくとも炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種を含有し、かつ、ハロゲン系難燃剤、および融点が40℃以上のリン酸エステル系化合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物を含有し、発泡体を構成するセル形状値が、0.1≦d=(a×b×c)1/3≦0.45(式中、a(mm)は発泡体断面の厚さ方向の平均気泡径、b(mm)は幅方向の平均気泡径、c(mm)は長さ方向の平均気泡径を示す)であり、かつ1.2≦a/b≦2.0、かつ 1.3≦a/c≦2.5とする事を特徴とするスチレン系樹脂板状発泡体およびその製造方法。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、スチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法に関する。さらに詳しくは、畳芯材などに有用な柔軟性を有し、かつ切削加工性に優れ、非ハロゲン系発泡剤を使用することにより環境適合性に優れ、さらに耐熱性にも優れる板状のスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、スチレン系樹脂発泡体は施工性、断熱特性の好適性から建屋の断熱材用途として、一般建築物や冷凍倉庫の床材や壁材、畳の芯材などのさまざまな分野で使用されて来た。中でも畳の芯材としての需要は、畳の脱ワラ化や断熱化に伴い年々増加している。かかる状況にあって、押出発泡法によるポリスチレン系樹脂発泡体を用いた断熱畳は、加工性に問題を有している。ここで言う加工性とは、主に切削加工性のことであり、ポリスチレン系樹脂発泡体をワラやインシュレーションボードで積層した畳床を、規定される寸法に切断する、いわゆるカマチ切断およびヒラザシ切断の際の切削加工後の切削面の欠け、割れ、ムシレなどの状態を言う。
【0003】
畳のうち断熱畳を大別すると、発泡体をワラで挟んだワラサンドタイプと、インシュレーションボードで積層した脱ワラタイプの2種類があるが、特にワラサンドタイプや2層に積層された脱ワラタイプの場合は、切削加工時に発泡体が動く可能性があり、発泡体切削面がササクレ状にムシレたり、コーナー部が欠けたりするケースが発生しやすい。従来のポリスチレン系樹脂発泡体は、このような畳床製造時の切削加工性が不充分であり、その改善が望まれてきた。
【0004】
スチレン系樹脂発泡体を得る方法として、スチレン系樹脂を押出機等にて可塑化し、これに揮発性有機発泡剤を注入混合し、更にこの混合物を良好な発泡体を得るに適する温度まで冷却させ、これを低圧域に押し出すことによりスチレン系樹脂発泡体を連続的に製造する方法が、例えば特許文献1、特許文献2および特許文献3において開示されている。
【0005】
そして、切削性を改良する方法として、ゴム変性ポリスチレン系樹脂として、ポリスチレン系樹脂中にゴム系成分を2〜50重量%含有し、JIS K 7210で規定されているメルトフローレート(200℃、5Kg荷重)が1.0〜15.5g/10minであり、該ゴム変性ポリスチレン系樹脂の含有量が使用される全樹脂中に5〜100重量%、使用される全樹脂中のゴム成分の含有率が1〜12重量%とした基材樹脂に、可塑剤としてクレジルジフェニルフォスフェートなどのリン酸エステル系の化合物、および難燃剤としてヘキサブロモシクロドデカンを添加し、発泡剤として塩化メチルとプロパンの混合物で発泡させて得た発泡体は、切削加工性が改良され、さらに該発泡体はJIS A 9511で規定される難燃性を満足することが特許文献4に開示されている。
【0006】
しかし、ゴム変性ポリスチレン系樹脂と、難燃剤として脂環族有機化合物であるヘキサブロモシクロドデカンなどを押出機中にて溶融混練した際に、難燃剤が熱分解を起こし、基材樹脂であるポリスチレン系樹脂を劣化させることが一般的に知られている。ゴム変性ポリスチレン系樹脂を使用した場合において、押出機での吐出量を、ゴム変性ポリスチレン系樹脂を使用しない場合と同程度に多くすると、難燃剤の熱分解により発泡体の難燃性能は低下し、ポリスチレン系樹脂の劣化により畳芯材としての切削性能も低下してしまう。その対策として生産性を犠牲にして押出機のスクリュウ回転数を低回転として吐出量を少なくすることで熱分解を抑制させたり、難燃剤の添加量を減量しかつ難燃性が付与可能なフロン系等のハロゲン系の発泡剤に変更したりする必要が生じる。また、ポリスチレン系樹脂発泡体の切削屑等をリサイクル原料として再度、発泡体の製造に用いた場合には熱分解が更に進展してしまうことから、リサイクル樹脂は使用できず、焼却または埋め立て処分しなければならないないという多くの制約があった。さらに、融点が−30℃であり、室温で液体であるクレジルジフェニルフォスフェートといったリン酸エステル系の化合物を添加し、基材樹脂に柔軟性を付与させる特許文献4に記載の方法では、得られた発泡体の耐熱性が悪化してしまう問題もあった。この為、ゴム変性ポリスチレン系樹脂や、室温にて液体であるクレジルジフェニルフォスフェートといったリン酸エステル系の化合物を使用しないで、畳芯材としての切削性能を満足させ得る発泡体が強く望まれてきた。
【0007】
また、揮発性有機発泡剤としては、塩化メチルを発泡剤として用いることが、従来、広く一般的に実施され、上記技術においても使用されている。塩化メチルは、スチレン系樹脂の可塑化性能が高く、押出圧力を低下させて製造することが可能でありスチレン系樹脂発泡体の製造に寄与する上、スチレン系樹脂発泡体に対して透過性が極めて大きいため該発泡体中に残存し難く、発泡体の形状安定性等において好ましい発泡剤とされている。
【0008】
しかしながら、1992年度の日本産業衛生学会の勧告では、環境、特に労働環境における塩化メチルの許容濃度が定められ、その取扱には注意と対策が望まれており、可能であるならば代替していくことが好ましい。
【0009】
このような観点から、塩素原子を分子中に含有しない炭化水素やフッ素化炭化水素(以下、HFCと略す)、エーテル類、二酸化炭素等の無機ガスを発泡剤として使用することが提案されてきた。
【0010】
例えば、発泡剤として、主として発泡剤の全量に対して40重量%未満、5重量%以上のエーテルと、60重量%を越え、95重量%以下の炭素数3〜5の飽和炭化水素の混合発泡剤を使用して発泡体を得、さらに発泡体を構成するセルの押出方向の平均セル径Xと厚さ方向の平均セル径Zのセル径比Z/Xを、押出後に再加熱しつつ延伸することで、1以下、好ましくは0.8以下に制御することにより、環境適合性に優れた、断熱性がJIS A 9511 押出ポリスチレンフォーム3種を満足する発泡体を得ることに成功していることが特許文献5に開示されている。
【0011】
しかし、上記の特許文献5の方法で得られた発泡体は、断熱性能には優れるが、畳芯材としての切削加工性能や、柔軟性は改善の余地があり、畳の芯材用途等では必ずしも満足されるものではなく品質向上が望まれていた。
【0012】
また、特定のポリスチレン系樹脂に、発泡剤として分子中に塩素原子を含まないフッ素化炭化水素であるHFC134aあるいはHFC152aと、塩化メチルの混合発泡剤を使用して押出発泡成形し、発泡させて得た発泡体のセル形状を0.9≦2z/(x+y)≦1.6(樹脂の流れ方向の平均セル径x、発泡体の巾方向の平均セル径y、厚さ方向の平均セル径z)なる関係を満足させることにより、断熱性に優れ、かつ畳芯材やコンクリート型枠兼用断熱パネルとしての圧縮強度が十分な発泡体を得ることができることが特許文献6に開示されている。
【0013】
しかし、特許文献6の方法では発泡剤に地球温暖化係数(二酸化炭素を1とした場合)が1300であるHFC134a、地球温暖化係数が140であるHFC152aを使用しているが為に、地球環境に与える影響からその代替えが望まれるところである。更に、混合使用している塩化メチルに関しては、前述した様な労働環境に於いて取り扱う際の許容濃度が定められている物質であり、使用しないことが望まれている物質である。以上の様に、環境適合性からその改善が望まれる方法である。また、発泡体のセル形状を規定して、断熱性と圧縮強度を確保させているが、畳の切削性能については全く考慮されていない。
【0014】
以上の様に、環境適合性に優れる発泡剤を使用し、耐熱性に優れ、かつ生産性を損なうことなく製造できる畳芯材に好適な発泡体、およびその製造方法が強く望まれてきた。
【0015】
【特許文献1】
特開昭47−9593号公報(発明の詳細な説明)
【0016】
【特許文献2】
特公昭59−7727号公報(2頁3欄6行〜4頁8欄5行)
【0017】
【特許文献3】
特開昭52−94366号公報(2頁5行〜5頁6行)
【0018】
【特許文献4】
特開平6−329824号公報(3頁4欄実施例1〜8)
【0019】
【特許文献5】
国際公開第99/33625号パンフレット(9頁22行〜12頁14行)
【0020】
【特許文献6】
特開平7−165970号公報(3頁3欄23行〜6頁10欄43行)
【0021】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術に鑑みてなされたものであり、環境適合性に優れる非ハロゲン系の発泡剤を使用するにもかかわらず、切削加工時の切削面のムシレや発泡体の割れ、欠けなどがなく切削加工性に優れ、同時に曲げたわみ特性、耐熱性、厚み方向の圧縮強度に優れ、建材として柔軟性が必要な用途に使用できる発泡体を提供する。特に畳床用断熱芯材などに好適な発泡体を提供することを目的とする。
【0022】
【課題を解決するための手段】
ハロゲン系発泡剤を使用せず、かつ、ゴム変成スチレンや、発泡体の耐熱性を悪化させる常温で液体の可塑剤を添加せずに、柔軟性、特に畳芯材としてのナイフカット性を良好とすることを目的として鋭意検討した結果、環境適合性に優れる発泡剤を使用したにもかかわらず、発泡体の気泡構造を特定の気泡構造とすることにより、発泡体に優れた柔軟性を付与し得ることができ、かつ圧縮特性にも優れ、切削加工性に非常に優れたものがえられることを見出し、本発明を完成するに到った。
【0023】
すなわち、本発明は、つぎのスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法を提供する。
(1)スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂板状発泡体であって、式:
d=(a×b×c)1/3
(式中、a(mm)は発泡体断面の厚さ方向の平均気泡径、b(mm)は幅方向の平均気泡径、c(mm)は長さ方向の平均気泡径を示す)で表わされる平均セル径dが、
0.1≦d≦0.45
であり、かつ、a/b、a/cが、
1.2≦a/b≦2.0、かつ 1.3≦a/c≦2.5
の関係を満たし、更に発泡剤として、発泡剤の全量に対して炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種を100〜20重量%、および他の非ハロゲン系発泡剤を0〜80重量%含有することを特徴とするスチレン系樹脂板状発泡体に関する。
【0024】
(2)他の非ハロゲン系発泡剤が、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、水、二酸化炭素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする前記(1)記載のスチレン系樹脂板状発泡体に関する。
(3)スチレン系樹脂100重量部に対して、ハロゲン系難燃剤を2〜10重量部含有する前記(1)、又は(2)記載のスチレン系樹脂板状発泡体に関する。
(4)ハロゲン系難燃剤がヘキサブロモシクロドデカンである前記(3)記載のスチレン系樹脂板状発泡体に関する。
【0025】
(5)難燃助剤として融点が40℃以上のリン酸エステル系化合物を0.2〜2.0重量部含有する前記(1)〜(4)のいずれか1に記載のスチレン系樹脂板状発泡体に関する。
(6)さらに、スメクタイトを、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部を含有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれか1に記載のスチレン系樹脂押出発泡体に関する。
(7)スメクタイトがベントナイトであることを特徴とする前記(6)記載のスチレン系樹脂押出発泡体に関する。
【0026】
(8)発泡体を構成する気泡が、主として、気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜1mmの気泡よりなり、気泡径0.25mm以下の気泡が発泡体断面積あたり0〜20%の占有面積率を有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれか1に記載のスチレン系樹脂押出発泡体に関する。
(9)(1)〜(8)のいずれか1に記載のスチレン系樹脂板状発泡体発泡体を畳用途に用いてなるスチレン系樹脂板状発泡体。
【0027】
(10)スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を該スチレン系樹脂に添加し、ダイを通して押出発泡するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、ハロゲン系難燃剤を2〜10重量部含有させ、更に発泡剤として、発泡剤全量として5〜15重量部使用し、発泡剤全量100重量%に対して炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種を100〜20重量%、および他の非ハロゲン系発泡剤を0〜80重量%含有させ押出発泡し、発泡体を構成する気泡構造として、d=(a×b×c)1/3(式中、a(mm)は発泡体断面の厚さ方向の平均気泡径、b(mm)は幅方向の平均気泡径、c(mm)は長さ方向の平均気泡径を示す)で表わされる平均セル径dが、0.1≦d≦0.45
であり、かつ、a/b、a/cが、
1.2≦a/b≦2.0、かつ 1.3≦a/c≦2.5
である発泡体を得ることを特徴とするスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
【0028】
(11)難燃助剤として融点が40℃以上のリン酸エステル系化合物を0.2〜2.0重量部含有する前記(10)記載のスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法に関する。
(12)さらに、スメクタイトを共存させて押出発泡することを特徴とする前記(10)又は(11)記載のスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
(13)スメクタイトがベントナイトであることを特徴とする前記(12)記載のスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法に関する。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明では、環境適合性に優れる発泡剤を使用し、発泡体の気泡構造を鋭意研究する事により、従来使用されていたゴム変性ポリスチレン系樹脂や、発泡体の耐熱性を悪化させる可塑剤を使用せずに、畳芯材などに有用な柔軟性を有しかつ切削性を向上させることを可能としたものである。
【0030】
本発明では、環境適合性を有した発泡剤を使用し押出発泡により得た板状の発泡体を構成する気泡構造として、d=(a×b×c)1/3(式中、a(mm)は発泡体断面の厚さ方向の平均気泡径、b(mm)は幅方向の平均気泡径、c(mm)は長さ方向の平均気泡径を示す)で表わされる平均セル径dが、0.1≦d≦0.45であり、かつ、a/b、a/cが、1.2≦a/b≦2.0、かつ 1.3≦a/c≦2.5であることが発泡体を柔軟にし、切削加工性を良好とすることを見出した。
【0031】
それぞれの要件を同時に満足することが必須であり、一つでも満足しない場合は切削加工性が不充分となってしまう。
【0032】
特にa/b、a/cが下限値を下回る場合、およびdが上限値を上回る場合に切削加工性の悪化が大きく、ナイフカット時の切削音も大きくなり、切削面には凹凸が発生し、さらにコーナー部には欠けが発生してしまう。また、a/b、a/cが上限値を上回る場合には、切削時の抵抗が大きく、切削面のムシレやササクレが発生しやすくなり、また局部圧縮に対して弱い発泡体となり畳芯材などの建材用途には不適当なものとなってしまう。dが下限値を下回る場合も、切削時の抵抗が大きく、切削面のムシレやササクレが発生しやすくなる傾向がある。なお、dが0.25以上である場合の方が、成形時に発泡体の表面性が良好となり易く、耐熱寸法変化も良好となる。また更に厚みの厚い発泡体を得易くなるため好ましい。
【0033】
また、本発明では、大小セルが混在する気泡構造とした場合においては、その発泡体を構成する気泡が、主として、気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜1mmの気泡とに区別した場合の気泡径0.25mm以下の気泡が発泡体断面積あたり0〜20%の占有面積率を有することが必要である。占有面積率が20%以上となった場合、dは範囲内になり易くなる反面、a/cが特に小さくなってしまい、次にa/bも小さくなり、所望の範囲から外れてしまう為に、前述した様な切削加工性不良の現象が発生する。占有面積率が0%の場合は、大小セルが混在しない均一セル構造と同じ状態であり、0%でも問題は無い。
【0034】
セル形状値を所望の範囲内にする方法としては、dについては、造核作用を有するタルクなどの添加量を調整したり、発泡剤種をPS樹脂に対して相溶性の低いタイプに変更したり、水を使用している場合には、小セルの占有面積率を高めるなどし調整すると良い。また、a/b、a/cについては、押出発泡時に溶融樹脂を大気中へ発泡させる時の厚み拡大率を調整する。すなわちスリット厚みと、矩形化させる為の成形金型との高さ調整をする。あるいは、成形時の成形抵抗の調整によっても変化させることができる。
【0035】
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体は、スチレン系樹脂を加熱溶融させ、高圧条件下で、発泡剤を該スチレン系樹脂に注入し、流動ゲルとなし、押出発泡に適する温度に冷却し、該流動ゲルをダイを通して低圧の領域に押出発泡して、スチレン系樹脂押出発泡体を形成することにより製造される。
【0036】
スチレン系樹脂を加熱溶融する際の加熱温度、溶融時間及び溶融手段については特に制限するものではない。加熱温度は、スチレン系樹脂が溶融する温度以上、通常150〜250℃程度であればよい。溶融時間は、単位時間当たりの押出量、溶融手段などによって異なるので一概には決定することができないが、スチレン系樹脂と発泡剤が均一に分散混合するのに要する時間が選ばれる。また、溶融手段としては、例えばスクリュー型の押出機などの通常の押出発泡の際に用いられるものであれば制限するものではない。
【0037】
本発明で用いられるスチレン系樹脂としては、スチレン、メチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレン、クロロスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン等のスチレン系単量体の単独重合体または2種以上の組合わせからなる共重合体や、これらとジビニルベンゼン、アクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などのスチレン系単量体以外の単量体の1種または2種以上とを共重合させた共重合体などが挙げられる。これらアクリル酸、メタクリル酸、アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、無水マレイン酸、無水イタコン酸などのスチレン系単量体以外の単量体は、製造されたスチレン系樹脂押出発泡体の圧縮強度等の物性を低下させない範囲内で用いることができる。また、これらは共重合させるのみではなく、前記スチレン系単量体の単独重合体またはスチレン系単量体との共重合体と前記スチレン系単量体以外の単量体の単独重合体または共重合体とのブレンド物であってもよい。ただし、本発明では、スチレン系単量体とブタジエン等のジエン系単量体との共重合体や、スチレン系単量体の単独重合体または共重合体と、ジエン系単量体の単独重合体または共重合体とのブレンド物等は難燃剤の分解やスチレン系樹脂の劣化を起こしやすい傾向があることから本発明の目的に対し本質的に影響を及ぼす量は使用しないことが好ましい。
【0038】
本発明においては、これらのスチレン系樹脂のなかでポリスチレン樹脂が特に好適に使用することができる。
【0039】
本発明では、発泡剤は、非ハロゲン系発泡剤を使用するが、それらは炭素数3〜5の飽和炭化水素から選ばれた1種以上の飽和炭化水素と、さらに炭素数3〜5の飽和炭化水素以外で、やはり非ハロゲン系発泡剤であるジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテル、水、CO2とよりなる群から選ばれた1種以上の発泡剤とが組み合わせて用いられる。
【0040】
炭素数3〜5の飽和炭化水素としては、プロパン、n−ブタン、i−ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ネオペンタンなどが挙げられる。これら炭化水素は単独または2種以上を混合して使用できる。
本発明においては、更に本発明の効果を阻害しない範囲で、必要に応じて、炭素数3〜5の飽和炭化水素以外の、その他の非ハロゲン系発泡剤を、例えば、発泡剤全量に対して25重量%以下で添加することができる。このようなその他の非ハロゲン系発泡剤としては、例えば、二酸化炭素、窒素、水、アルゴン、ヘリウムなどの無機ガス、イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、フラン、フルフラール、2−メチルフラン、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピランに例示されるジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル以外のエーテル、蟻酸メチルエステル、蟻酸エチルエステル、蟻酸プロピルエステル、蟻酸ブチルエステル、蟻酸アミルエステル、プロピオン酸メチルエステル、プロピオン酸エチルエステルなどのカルボン酸エステル類、メタノール、エタノール、プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、ブチルアルコール、i−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールに例示されるアルコール類、ジメチルケトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、メチルn−プロピルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルi−ブチルケトン、メチルn−アミルケトン、メチルn−ヘキシルケトン、エチルn−プロピルケトン、エチルn−ブチルケトンに例示されるケトン類などを用いることができる。これらは単独又は2種以上混合して使用することが可能である。
【0041】
本発明では、発泡剤に水を使用した場合、前記大小気泡からなる特徴的な気泡構造を有する発泡体が得られる。他の発泡剤として水を使用する場合、炭素数3〜5である飽和炭化水素のみと組み合わせて用いても良いが、炭素数3〜5である飽和炭化水素および水以外の他の非ハロゲン系発泡剤(たとえば、ジメチルエーテルなど)と組み合わせて3成分またはそれ以上の成分からなる発泡剤とすることにより、発泡体の成形性、生産性がより一層向上するので好ましい。
【0042】
本発明のスチレン系樹脂発泡体の製造時に、スチレン系樹脂中に添加または注入される発泡剤の量としては、発泡倍率の設定値などに応じて適宜かわるものではあるが、通常、発泡剤の合計量をスチレン系樹脂100重量部に対して4〜15重量部とするのが好ましい。発泡剤の添加量が4重量部未満では発泡倍率が低く、樹脂発泡体としての軽量、断熱などの特性が発揮されにくい場合があり、一方15重量部を超えると過剰な発泡剤量のため発泡体中にボイドなどの不良を生じる場合がある。
【0043】
添加される発泡剤において、炭素数3〜5の飽和炭化水素の量は、発泡剤全量100重量%に対して、100〜20重量%、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテル、水、CO2よりなる群から選ばれた1種以上の非ハロゲン系発泡剤0〜80重量%とが組み合わせて用いられる。好ましくは、炭素数3〜5の飽和炭化水素の量は、発泡剤全量100重量%に対して、80〜30重量%、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテル、水、CO2よりなる群から選ばれた1種以上の非ハロゲン系発泡剤20〜70重量%とが組み合わせて用いられる。さらに好ましくは、炭素数3〜5の飽和炭化水素の量は、発泡剤全量100重量%に対して、60〜40重量%、ジメチルエーテル、ジエチルエーテルおよびメチルエチルエーテル、水、CO2よりなる群から選ばれた1種以上の発泡剤40〜60重量%とが組み合わせて用いられる。
【0044】
炭素数3〜5の飽和炭化水素の量が前記範囲より少ないと、得られる発泡体の断熱性が劣る場合がある。炭素数3〜5の飽和炭化水素以外の他の非ハロゲン系発泡剤の量が前記範囲を超える場合、可塑性が高すぎ、押出機内のスチレン系樹脂と発泡剤との混練状態が不均一となり、押出機の圧力制御が難しくなる傾向がある。
【0045】
他の発泡剤として水を用いる場合には、加工性や、前記小気泡、大気泡の生成の面から、発泡剤全量100重量%に対して、好ましくは1〜80重量%、より好ましくは3〜70重量%、さらに好ましくは3〜30重量%、特に好ましくは5〜20重量%である。
【0046】
他の非ハロゲン系発泡剤として二酸化炭素を用いる場合には、加工性や、気泡径の面から、発泡剤全量100重量%に対して3〜40重量%が好ましく、5〜30重量%がさらに好ましい。
【0047】
発泡剤を添加または注入する際の圧力は、特に制限するものではなく、押出機などの内圧力よりも高い圧力であればよい。
【0048】
本発明では、スチレン系樹脂押出発泡体中に、ハロゲン系難燃剤とともに、必要に応じて難燃助剤としてリン酸エステル系化合物を使用する。
【0049】
本発明で使用されるハロゲン系難燃剤としては、熱可塑性樹脂に通常使用される難燃剤を特別に限定することなく使用することができる。例えば、臭素系難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカンなどの脂肪族あるいは脂環式炭化水素の臭素化物、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモジフェニルエタン、デカブロモジフェニルエーテル、オクタブロモジフェニルエーテル、2,3−ジブロモプロピルペンタブロモフェニルエーテルなどの芳香族化合物の臭素化物、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールAビス(2,3−ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)などの臭素化ビスフェノール類およびその誘導体、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ビス(2,4,6ートリブロモフェノキシ)エタンなどの臭素系芳香族化合物、臭素化アクリル系樹脂、エチレンビスジブロモノルボルナンジカルボキシイミドなどがあげられる。塩素系難燃剤として、塩素化パラフィン、塩素化ナフタレン、パークロロペンタデカンなどの塩素化脂肪族化合物、塩素化芳香族化合物、塩素化脂環式化合物などがあげられる。さらに、リン原子含有ハロゲン系難燃剤として、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェートなどのトリス(ハロゲン化アルキル)ホスフェートなどのハロゲン化リン酸エステル化合物などがあげられる。これら化合物は単独または2種以上を混合して使用できる。
【0050】
ハロゲン系難燃剤の中では、難燃性の点から臭素系難燃剤が好ましく、特にスチレン系樹脂との相溶性などの点からヘキサブロモシクロドデカンが好ましい。
【0051】
ハロゲン系難燃剤の含有量は、JIS A 9511に規定される難燃性を得られるように、発泡剤添加量などにあわせて適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは1〜9重量部、さらに好ましくは2〜8重量部、特に好ましくは3〜7重量部である。ハロゲン系難燃剤の含有量が前記未満では、本発明の目的とする難燃性が得られがたい傾向があり、一方前記範囲を超えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
【0052】
本発明で使用されるリン酸エステル系化合物としては、融点が40℃以上のものが用いられる。これには例えば、トリフェニルフォスフェート(融点49℃)、また、高融点を有するレゾルシノールビス(ジ2,6キシレニル)フォスフェート(融点95℃)等の芳香族縮合リン酸エステルや、トリス(トリブロモネオペンチル)ホスフェート(融点181℃)等のハロゲン化リン酸エステル類なども使用することができる。
【0053】
リン酸エステル系化合物の含有量は、難燃性および燃焼時に揮発する炭化水素の着火・燃焼抑制相乗効果が得られるように、発泡剤添加量などにあわせて適宜調整されるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部が好ましく、より好ましくは0.3〜9重量部、さらに好ましくは0.5〜8重量部である。リン酸エステル系化合物の含有量が前記範囲未満では、相乗効果が得られにくい傾向があり、一方前記範囲を超えると、発泡体製造の際の成形性などを損なう場合がある。
【0054】
本発明のスチレン系樹脂押出発泡体は、圧縮特性、曲げ特性及び軽量化の点から、密度は好ましくは10〜100kg/m3、より好ましくは15〜50kg/m3であり、また断熱特性及び曲げ特性の点から、独立気泡率は好ましくは60%以上、より好ましくは90%以上、平均気泡径は0.1〜0.45mm、より好ましくは0.25〜0.4mmである。
【0055】
次に、発泡剤として水を併用する際に、安定的に押出発泡させるための好適な方法について詳細に説明する。
水を使用する際には、添加剤として、スメクタイトを用いることが有効である。
【0056】
スメクタイトとしては、モンモリロナイト、あるいはベントナイトなどのようにモンモリロナイトを主成分として含む粘土鉱物が好ましい。本発明でいうベントナイトとは、主成分がモンモリロナイトであり、石英、瘁|クリストバライト、オパール、長石、雲母などの随伴鉱物を含んだ塩基性粘土鉱物である。化学成分からいえば、ベントナイトは酸化珪素が主成分であり、次いで多い化学成分が酸化アルミニウムである。また、モンモリロナイトとは、約1nmの薄い珪酸塩層からなり、その板状結晶粒子の層表面はマイナスに帯電し、層間にはナトリウムやカルシウムのような交換性陽イオンを介在して電荷的に中性を保っており、水が接触すると層間の交換性陽イオンに水分子が水和し、層間が膨潤する粘土鉱物であるとされている。
【0057】
本発明に用いられるスメクタイトとしては、とくにベントナイトが好ましい。ベントナイトの代表例としては、天然ベントナイト、精製ベントナイトなどがあげられる。また、有機化ベントナイトなども使用できる。本発明におけるスメクタイトには、アニオン系ポリマー変性モンモリロナイト、シラン処理モンモリロナイト、高極性有機溶剤複合モンモリロナイトなどのモンモリロナイト変性処理生成物もその範疇に含まれる。ベントナイトは、例えば、豊順鉱業(株)よりベントナイト穂高、ベンゲルなどとして入手しうる。かかるベントナイトは単独でまたは2種以上混合して用いることができる。
【0058】
ここで使用するベントナイトなどのスメクタイトは、スチレン系樹脂に対して相溶性のない水を吸水してゲルを形成し、ゲルの状態でスチレン系樹脂中に均一に分散させることができると考えられることから使用される。
【0059】
本発明で用いられるベントナイトなどのスメクタイトの含有量は、水の添加量などによって、適宜調整されるものであるが、スチレン系樹脂100重量部に対して、好ましくは0.2〜10重量部、さらに好ましくは0.5〜5重量部である。スメクタイトの含有量が前記範囲未満では水の添加量に対してスメクタイトによる水の吸着量が不足し、押出機内で水の分散不良による気孔が発生し成形体不良になる場合があり、一方前記範囲を超える場合には、押出機内でスチレン系樹脂中へのスメクタイトの均一分散が困難になり、気泡むらが発生する傾向にある。さらに、独立気泡を保持することが困難になる傾向がある。したがって、発泡体の断熱性能の悪化とバラツキを生じやすくなる。水/スメクタイト(ベントナイト)の混合比率は重量比で、好ましくは0.02〜20、さらに好ましくは0.25〜2の範囲である。
【0060】
また吸水媒体として、スメクタイトの他に、サポナイト、膨潤性フッ素雲母などの吸水性あるいは水膨潤性の粘土類およびこれらの有機化処理品、吸水性高分子、シラノール基を有する無水シリカなどを使用することができる。さらに、スメクタイトとこれらの吸水媒体の1種または2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0061】
発泡剤として水を使用し、更に前記のベントナイトなどを使用した際には、大小気泡が混在する気泡構造を有する発泡体が得ることができる。それは気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜1mmの気泡よりなり、気泡径0.25mm以下の気泡が発泡体断面積あたり0〜20%の占有面積率を有することが本発明においては好ましい。さらに好ましくは0〜15%、より好ましくは0〜10%である。前記範囲よりも面積率が大きい場合は、切削性能を良好にすることが困難となる。その場合は水の添加量を調整する。造核作用を有するタルク量を調整するなどし制御することが可能である。
【0062】
また、本発明において、シリカ、タルク、ケイ酸カルシウム、ワラストナイト、カオリン、クレイ、マイカ、酸化亜鉛、酸化チタン、ステアリン酸カルシウムやステアリン酸バリウム等の脂肪酸金属塩、高分子型ヒンダードフェノール系化合物等の抗酸化剤などの添加剤を含有させることができる。これらは必要に応じて適宜配合量を調整して配合することができる。
【0063】
【実施例】
次に本発明のスチレン系樹脂押出発泡体およびその製造方法を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断らない限り、「部」は重量部を、%は重量%を表す。
【0064】
得られた発泡体の特性として、発泡体全体密度、発泡体上層20%部密度、発泡体下層20%部密度、残存発泡剤量、発泡体燃焼性、発泡体熱伝導率、発泡体曲げ強度、スキン状態、発泡体各方向(厚さ方向、幅方向、長さ方向)の平均気泡径、セル異方化率、小気泡占有面積率を下記の方法にしたがって求めた。各特性の測定は、特に断らない限り、製造直後の発泡体について行なった。
【0065】
(1)発泡体全体密度(kg/m3)
発泡体密度は、次の式に基づいて求め、単位をkg/m3に換算して示した。
【0066】
発泡体全体密度(g/cm3)=発泡体重量(g)/発泡体体積(cm3)
本測定では、発泡体製品(厚さ:20〜100mm、幅:910〜1000mm)の幅方向両端、幅方向中心部の位置で、製品厚み×幅300mm×長さ300mmのサンプルサイズでサンプリングし測定。3点の平均値で求めた。
【0067】
(2)残存発泡剤量(g)
発泡体をガスクロマトグラフ(島津製作所製 GC−14A)を使用して分析することにより、発泡体100gに対する残存発泡剤量(g)を求めた。測定は製造後14日経過した発泡体について行った。
【0068】
(3)発泡体燃焼性
JIS A 9511に準じて測定した。測定は製造後14日経過した発泡体について行った。“3秒以内に炎が消えて、残じんがなく燃焼限界指示線を超えて燃焼しないこと”の基準を満たしておれば、○(合格)とし、この基準に達しない場合は、×(不合格)とした。
【0069】
(4)発泡体の曲げ破断たわみ(mm)
JIS A 9511 押出法ポリスチレンフォーム保温板に準じて測定した際の破断時のたわみ量を測定。測定は製造後14日経過した発泡体について行った。
【0070】
(5)発泡体の原木表面状態
次の内容で評価し、更に変色などが見られるものは特記した。
○:発泡体表面に、ワレ、亀裂、窪みがなく、原木表面を約3〜6mmカットした際に、製品にクラックが残らない程度の表面状態である。
△:発泡体表面に若干のワレ、亀裂、窪みが見られるが、原木表面を約3〜6mmカットした際に、製品にクラックが残らない程度の表面状態である。
×:発泡体表面に、ワレ、亀裂、窪み等があり、表面状態が粗悪で、切り出した製品にクラックが残る発泡体である。
【0071】
(6)発泡体各方向(厚さ方向、幅方向、長さ方向)の平均気泡径(mm)
発泡体を幅方向に沿って垂直(厚さ方向)に切断した断面(以下、横断面という)および長さ方向に沿って垂直(厚さ方向)に切断した断面(以下、縦断面という)の適宜な部位をサンプリングし、この部位を走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、品番:S−450)にて30倍に拡大して写真撮影し、この写真から厚さ方向平均気泡径a(mm)、幅方向平均気泡径b(mm)、長さ方向平均気泡径c(mm)をASTM D−3576に準じて測定した。写真撮影した部位の実寸法は約5mm×5mmであった。厚さ方向平均気泡a(mm)は横断面および縦断面の両方から求めた。サンプリングの位置は発泡体の端部の特殊な気泡構造の部分を除けば、発泡体の何処でサンプリングしてもよい。本測定では、発泡体(厚さ:20〜100mm、幅:910〜1000mm)の幅方向の端から100mm内部の位置で、厚さの中心から上下に対称に3点ないし5点サンプングした。前記厚さ方向平均気泡径a(mm)、幅方向平均気泡径b(mm)、長さ方向平均気泡径c(mm)は各サンプリング部位で求めた値の平均値である。
【0072】
(7)平均セル径
前記で求めた厚さ方向平均気泡径a(mm)、幅方向平均気泡径b(mm)、長さ方向平均気泡径c(mm)の値を用い、平均セル径dを式:
d=(a×b×c)1/3
で求めた。
【0073】
(8)セル異方性
前記で求めた厚さ方向平均気泡径a(mm)、幅方向平均気泡径b(mm)、長さ方向平均気泡径c(mm)の値を用い、押出方向および巾方向のセル異方性を式: a/b 、 a/c
で求めた。
【0074】
(9)小気泡占有面積率(%)
気泡径0.25mm以下の気泡の発泡体の断面積あたりの占有面積率を以下のようにして求めた。ここで、気泡径0.25mm以下の気泡とは、円換算直径が0.25mm以下の気泡とする。
a)走査型電子顕微鏡((株)日立製作所製、品番:S−450)にて30倍に拡大して発泡体の縦断面を写真撮影する。
b)撮影した写真の上にOHPシートを置き、その上に厚さ方向の径が7.5mmよりも大きい気泡(実寸法が0.25mmより大きい気泡に相当する)に対応する部分を黒インキで塗りつぶして写しとる(一次処理)。
c)画像処理装置((株)ピアス製、品番:PIAS−II)に一次処理画像を取り込み、濃色部分と淡色部分を、即ち黒インキで塗られた部分か否かを識別する。
d)濃色部分のうち、直径7.5mm以下の円の面積に相当する部分、即ち、厚さ方向の径は長いが、面積的には直径7.5mm以下の円の面積にしかならない部分を淡色化して、濃色部分の補正を行う。
e)画像解析計算機能中の「FRACTAREA(面積率)」を用い、画像全体に占める気泡径7.5mm以下(濃淡で分割した淡色部分)の面積比を次式により求める。
【0075】
小気泡占有面積比(%)=(1−濃色部分の面積/画像全体の面積)ラ100
(10)耐熱寸法変化(%)
本測定では、発泡体製品(厚さ:25mm、幅:910〜1000mm)の幅方向両端の位置で、製品厚み×幅200mm×長さ200mmのサンプルサイズでサンプリングし、室温23℃湿度50%の室内にて14日間状態調整後、80℃に加熱したオーブン内に24Hr入れ、その後室温23℃湿度50%の室内に1Hr以上放置した後、その加熱前後の寸法変化量を加熱前の寸法を基準に、厚み方向、巾方向、押出方向についてそれぞれ測定した。そして各方向の最大の寸法変化をパーセントにて示した。
【0076】
(11)切削加工性
切削加工性の評価は、発泡体の巾方向両端から250×250×25mmのサンプルサイズに切り出し、測定は製造後14日経過したものについて、切削代50mm、切削スピード500mm/分、切削刃の挿入角度45℃で汎用の包丁刃にて切削した際の切削面、コーナー部の欠けの状態を観察し、次の基準により3段階評価した。
◎:切削面にムシレ、ササクレなどがなくコーナー部に欠けが発生しない。
○:切削面にややムシレ、ササクレがあるがコーナー部の欠けは発生しない。
×:切削面のムシレ、ササクレがありコーナー部に欠けが発生する。
【0077】
(実施例1)
ポリスチレン樹脂として、エー・アンド・エム スチレン(株)製、商品名:スタイロンG9401を使用し、ポリスチレン樹脂100部に対して、ハロゲン系難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCDと略称する)4.0部、ベントナイト(豊順鉱業(株)製、商品名:ベンゲル23)1部、水酸基を多数有する無機粉末として無水シリカ(日本アエロジル(株)製、商品名:AEROSIL)0.1部、造核剤としてタルク2.0部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25部をドライブレンドし、得られた樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。
【0078】
第1押出機に樹脂混合物を供給量1000kg/hrにて供給し、約200℃に加熱して溶融ないし可塑化し混練した後、これに連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約120℃に冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ約30〜35mm、幅約1000mmである断面形状の押出発泡板を得、製品サイズ厚さ25mm、巾910mmに仕上げ加工した。押出の際は発泡剤として、i−ブタンをポリスチレン樹脂100部に対して3部、ジメチルエーテルを3部、水を1.0部(発泡剤100%に対して、i−ブタン43%、ジメチルエーテル43%、水14%)からなる発泡剤を、それぞれ別のラインから、第1押出機の先端付近で前記樹脂中に圧入した。
【0079】
得られた発泡体は、表面状態は僅かな割れが見られたが、深いクラックは無く、仕上げた製品は美麗であった。製品サイズでの発泡体全体密度は30kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.30mm、幅方向平均気泡径が0.18mm、長さ方向平均気泡径が0.15mmであり、セル異方性a/b=1.67、a/c=2.00であった。大気泡と小気泡が混在した気泡構造を有しており、小気泡占有面積率は5%であった。曲げ破断たわみは70mm、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。耐熱寸法変化の最大値は5.6%であった。切削加工性については切削面は美麗であり、かつコーナー部の欠けも発生せず、切削加工性が良好なスチレン系板状発泡体であった。
【0080】
(実施例2)
リン酸エステル系化合物として、トリフェニルホスフェート(味の素(株)製、TPP、融点49℃)1部を添加した以外は実施例1と同様に押出発泡させ、製品サイズの発泡体を得た。
【0081】
得られた発泡体は、表面状態は割れ、クラックなど無く良好であり、製品サイズに仕上げた発泡体全体密度は30kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.48mm、幅方向平均気泡径が0.32mm、長さ方向平均気泡径が0.25mmであり、セル異方性a/b=1.52、a/c=1.94であった。大気泡と小気泡が混在した気泡構造を有しており、小気泡占有面積率は10%であった。曲げ破断たわみは46mm、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。耐熱寸法変化の最大値は3.2%と小さかった。切削加工性については切削面にややムシレが見られたが、コーナー部の欠けは発生していなかった。
【0082】
(実施例3)
発泡剤として、プロパンをポリスチレン樹脂100部に対して3部、ジメチルエーテルを3部からなる発泡剤を使用し、ベントナイトおよび無水シリカを使用しなかった事以外は実施例1と同様に押出発泡させ、製品サイズの発泡体を得た。
【0083】
得られた発泡体は、表面状態は割れ、クラックなど無く良好であり、製品サイズに仕上げた発泡体全体密度は32kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.41mm、幅方向平均気泡径が0.23mm、長さ方向平均気泡径が0.20mmであり、セル異方性a/b=1.78、a/c=2.05であった。曲げ破断たわみは62mm、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。耐熱寸法変化の最大値は3.9%と小さかった。切削加工性については切削面にムシレなどは無く、かつコーナー部の欠けも発生していなかった。
【0084】
(実施例4)
リン酸エステル系化合物として、トリフェニルホスフェート1部を添加した事以外は実施例3と同様に押出発泡させ、製品サイズの発泡体を得た。
【0085】
得られた発泡体は、表面状態は割れ、クラックなど無く良好であり、製品サイズに仕上げた発泡体全体密度は30kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.48mm、幅方向平均気泡径が0.32mm、長さ方向平均気泡径が0.25mmであり、セル異方性a/b=1.50、a/c=1.92であった。曲げ破断たわみは70mm、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。耐熱寸法変化の最大値は2.9%と小さかった。切削加工性については切削面にムシレなどは無く、かつコーナー部の欠けも発生していなかった。
【0086】
(実施例5)
発泡剤として水を1部追加した以外は実施例3と同様に押出発泡させ、製品サイズの発泡体を得た。
【0087】
得られた発泡体は、表面状態は割れ、クラックなど無く良好であり、製品サイズに仕上げた発泡体全体密度は32kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.39mm、幅方向平均気泡径が0.31mm、長さ方向平均気泡径が0.23mmであり、セル異方性a/b=1.26、a/c=1.70であった。大気泡と小気泡が混在した気泡構造を有しており、小気泡占有面積率は10%であった。曲げ破断たわみは45mm、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。耐熱寸法変化の最大値は2.5%と小さかった。切削加工性については切削面にムシレなどは無く、かつコーナー部の欠けも発生していなかった。
【0088】
(実施例6)
発泡剤として、ポリスチレン樹脂100部に対してi−ブタン2部、n−ブタンを2部、ジメチルエーテルを3部からなる発泡剤を使用し、ベントナイトおよび無水シリカを使用しなかった事以外は実施例1と同様に押出発泡させ、製品サイズの発泡体を得た。
【0089】
得られた発泡体は、表面状態は割れ、クラックなど無く良好であり、製品サイズに仕上げた発泡体全体密度は33kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.48mm、幅方向平均気泡径が0.36mm、長さ方向平均気泡径が0.33mmであり、セル異方性a/b=1.33、a/c=1.45であった。曲げ破断たわみは30mm、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。耐熱寸法変化の最大値は4.3%と問題なかった。切削加工性については切削面にややムシレおよび凹凸が見られたが問題無いレベルであり、かつコーナー部の欠けも発生していなかった。
【0090】
(比較例1)
造核剤としてのタルクを0.5部にした事以外は実施例1と同様に押出発泡させ、製品サイズの発泡体を得た。
【0091】
得られた発泡体は、表面状態は割れ、クラックなど無く良好であり、製品サイズに仕上げた発泡体全体密度は30kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.33mm、幅方向平均気泡径が0.38mm、長さ方向平均気泡径が0.45mmであり、セル異方性a/b=0.87、a/c=0.73であった。大気泡と小気泡が混在した気泡構造を有しており、小気泡占有面積率は45%であった。曲げ破断たわみは14mmと柔軟性に欠けており、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。耐熱寸法変化の最大値は1.8%と問題なかった。切削加工性については切削面に凹凸が発生し、かつコーナー部の欠けが発生した。
【0092】
(比較例2)
造核剤としてのタルクを0.5部にした事以外は実施例6と同様に押出発泡させ、製品サイズの発泡体を得た。
【0093】
得られた発泡体は、表面状態は割れ、クラックなど無く良好であり、製品サイズに仕上げた発泡体全体密度は32kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.40mm、幅方向平均気泡径が0.32mm、長さ方向平均気泡径が0.41mmであり、セル異方性a/b=1.25、a/c=0.98であった。曲げ破断たわみは18mmと柔軟性に欠けており、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。耐熱寸法変化の最大値は3.1%と問題なかった。切削加工性については切削面にムシレおよび凹凸が発生し、かつコーナー部の欠けが発生した。
【0094】
(比較例3)
造核剤としてのタルクを0.2部にし、発泡剤として、ポリスチレン樹脂100部に対してi−ブタン4部、ジメチルエーテルを3部からなる発泡剤を使用したこと以外は実施例6と同様に押出発泡させ、製品サイズの発泡体を得た。
【0095】
得られた発泡体は、表面状態は割れ、クラックなど無く良好であり、製品サイズに仕上げた発泡体全体密度は30kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.65mm、幅方向平均気泡径が0.40mm、長さ方向平均気泡径が0.37mmであり、セル異方性a/b=1.63、a/c=1.76であった。曲げ破断たわみは24mmと柔軟性に欠けており、燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。耐熱寸法変化の最大値は3.0%と問題なかった。切削加工性については切削面にムシレおよび凹凸が発生し、かつコーナー部の欠けが発生した。
【0096】
(比較例4)
発泡剤として、ポリスチレン樹脂100部に対してプロパン4部、ジメチルエーテルを3部からなる発泡剤を使用したこと以外は実施例4と同様に押出発泡させ、製品サイズの発泡体を得た。
【0097】
得られた発泡体は、表面状態は割れ、クラックなどがやや見られたものの、製品サイズに仕上げ可能であった。発泡体全体密度は32kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.41mm、幅方向平均気泡径が0.20mm、長さ方向平均気泡径が0.15mmであり、セル異方性a/b=2.05、a/c=2.73であった。曲げ破断たわみは70mm以上と柔軟性は高かった。燃焼性についてはJIS A 9511の基準を満たしていた。耐熱寸法変化の最大値は5.3%とやや大きく、切削加工性については切削面にムシレおよび凹凸が発生し、かつコーナー部の欠けが発生した。
【0098】
(比較例5)
ポリスチレン樹脂として、スタイロンG9401を60部、ゴム変成スチレン樹脂スタイロン450を40部併用し100部とし、ハロゲン系難燃剤として、ヘキサブロモシクロドデカン(以下、HBCDと略称する)4.0部、造核剤としてタルク2.0部、滑剤としてステアリン酸バリウム0.25部を、可塑剤としてクレジルジフェニルフォスフェート(CDP、融点−30℃)1.0部をドライブレンドし、得られた樹脂混合物をタンデム型押出機へ供給した。第1押出機に樹脂混合物を供給量1000kg/hrにて供給し、約200℃に加熱して溶融ないし可塑化し混練した後、これに連結された第2押出機、さらには冷却機で樹脂温度を約120℃に冷却し、冷却機の先端に設けたダイより大気中へ押出し、成形金型および成形ロールにより、厚さ約30〜35mm、幅約1000mmである断面形状の押出発泡板を得、製品サイズ厚さ25mm、巾910mmに仕上げ加工した。押出の際は発泡剤として、i−ブタンをポリスチレン樹脂100部に対して2部、n−ブタンを2部、ジメチルエーテルを3部からなる発泡剤を、それぞれ別のラインから、第1押出機の先端付近で前記樹脂中に圧入した。
【0099】
得られた発泡体は、表面状態は割れ、クラックなどがやや見られたものの、製品サイズに仕上げ可能であった。ただし、発泡体色がやや褐色化していた。発泡体全体密度は30kg/m3であった。また、厚さ方向平均気泡径が0.40mm、幅方向平均気泡径が0.23mm、長さ方向平均気泡径が0.20mmであり、セル異方性a/b=1.74、a/c=2.00であった。曲げ破断たわみは61mm以上と柔軟性は高かった。自己消火性については燃焼時間が4.3秒とJIS A 9511の規格外となった。耐熱寸法変化の最大値は11.2%と大きく、製品として問題となるレベルであった。切削加工性については切削面にムシレおよび凹凸が発生し、かつコーナー部の欠けが発生した。
【0100】
(比較例6)
ポリスチレン系樹脂G−9401を40重量部、スタイロン450を60部併用し100部とし、更に発泡剤として、ポリスチレン樹脂100部に対してi−ブタン3部、ジメチルエーテルを3部からなる発泡剤を使用したこと以外は実施例5と同様に押出発泡させた。成形を試みたが、押出直後の発泡体が柔軟であり、成形を掛けると発泡体に割れ、クラックが大きく発生し、製品状の発泡体を得ることが出来なかった。
【0101】
前記実施例1〜6および比較例1〜6で得られた結果をまとめて表1に示す。
【0102】
【表1】
【0103】
【発明の効果】
従来、ハロゲン系発泡剤を用いないで環境適合性に優れた発泡体にすると、畳芯材などの建材用途に使用した場合に切削加工性の良好な発泡体が得難たかったのに対し、本発明によれば、優れた環境適合性を備えつつ、特定の気泡構造を付与することによって畳芯材などの用途に適合する高度な切削加工性、柔軟性、耐熱性および難燃性を兼ね備えたスチレン系樹脂板状発泡体が得られる。
Claims (13)
- スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を添加し、これを押出発泡してなるスチレン系樹脂板状発泡体であって、式:
d=(a×b×c)1/3
(式中、a(mm)は発泡体断面の厚さ方向の平均気泡径、b(mm)は幅方向の平均気泡径、c(mm)は長さ方向の平均気泡径を示す)で表わされる平均セル径dが、
0.1≦d≦0.45
であり、かつ、a/b、a/cが、
1.2≦a/b≦2.0、かつ 1.3≦a/c≦2.5
の関係を満たし、更に発泡剤として、発泡剤の全量に対して炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種を100〜20重量%、および他の非ハロゲン系発泡剤を0〜80重量%含有することを特徴とするスチレン系樹脂板状発泡体。 - 他の非ハロゲン系発泡剤が、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、メチルエチルエーテル、水、二酸化炭素よりなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることを特徴とする請求項1記載のスチレン系樹脂板状発泡体。
- スチレン系樹脂100重量部に対して、ハロゲン系難燃剤を2〜10重量部含有する請求項1又は2記載のスチレン系樹脂板状発泡体。
- ハロゲン系難燃剤がヘキサブロモシクロドデカンである請求項3記載のスチレン系樹脂板状発泡体。
- 難燃助剤として融点が40℃以上のリン酸エステル系化合物を0.2〜2.0重量部含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂板状発泡体。
- さらに、スメクタイトを、スチレン系樹脂100重量部に対して、0.2〜10重量部を含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂板状発泡体。
- スメクタイトがベントナイトであることを特徴とする請求項6記載のスチレン系樹脂板状発泡体。
- 発泡体を構成する気泡が、主として、気泡径0.25mm以下の気泡と気泡径0.3〜1mmの気泡よりなり、気泡径0.25mm以下の気泡が発泡体断面積あたり0〜20%の占有面積率を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂板状発泡体。
- 請求項1〜8のいずれか1項に記載のスチレン系樹脂板状発泡体を畳用途に用いてなるスチレン系樹脂板状発泡体。
- スチレン系樹脂を加熱溶融させ、発泡剤を該スチレン系樹脂に添加し、ダイを通して押出発泡するスチレン系樹脂押出発泡体の製造方法であって、スチレン系樹脂100重量部に対して、ハロゲン系難燃剤を2〜10重量部含有させ、更に発泡剤として、発泡剤全量として5〜15重量部使用し、発泡剤全量100重量%に対して炭素数が3〜5である飽和炭化水素の少なくとも1種を100〜20重量%、および他の非ハロゲン系発泡剤を0〜80重量%含有させ押出発泡し、発泡体を構成する気泡構造として、d=(a×b×c)1/3(式中、a(mm)は発泡体断面の厚さ方向の平均気泡径、b(mm)は幅方向の平均気泡径、c(mm)は長さ方向の平均気泡径を示す)で表わされる平均セル径dが、
0.1≦d≦0.45
であり、かつ、a/b、a/cが、
1.2≦a/b≦2.0、かつ 1.3≦a/c≦2.5
である発泡体を得ることを特徴とするスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法。 - 難燃助剤として融点が40℃以上のリン酸エステル系化合物を0.2〜2.0重量部含有する請求項10記載のスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法。
- さらに、スメクタイトを共存させて押出発泡することを特徴とする請求項10又は11記載のスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法。
- スメクタイトがベントナイトであることを特徴とする請求項12記載のスチレン系樹脂板状発泡体の製造方法。
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