JP2004168639A - 酸化セリウム粒子及び加湿焼成による製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 セリウム化合物を常温から昇温して400〜1200℃の温度範囲まで加熱を行い酸化セリウム粒子を製造する方法であり、昇温過程で加湿したガスを供給しながら加熱する段階を経由する酸化セリウム粒子の製造方法。加湿したガスが0.5〜0.8のH2O/(H2O+ガス)分圧比を有する製造方法。ガスが酸素ガス、酸素と窒素の混合ガス、又は空気である製造方法。
【選択図】 なし
Description
第2観点として、加湿したガスが0.5〜0.8のH2O/(H2O+ガス)分圧比を有する第1観点に記載の酸化セリウム粒子の製造方法、
第3観点として、ガスが酸素ガス、酸素と窒素の混合ガス、又は空気である第1観点又は第2観点に記載の酸化セリウム粒子の製造方法、
第4観点として、加湿したガスの供給が、100℃以上の温度で供給を開始し200〜350℃の温度範囲に達するまで続けられる第1観点乃至第3観点のいずれか一つに記載の酸化セリウム粒子の製造方法、
第5観点として、セリウム化合物が炭酸セリウム水和物である第1観点乃至第4観点のいずれか一つに記載の酸化セリウム粒子の製造方法、
第6観点として、第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の方法に基づき雰囲気調整型焼成炉で製造した酸化セリウム粒子からなる粉末であり、該粉末のレーザー回折法による測定粒子径の値(D50−D10)/(D90−D50)の比が0.1〜0.3となる酸化セリウム粉末、
第7観点として、シリカを主成分とする基板の研磨に使用される第1観点乃至第5観点のいずれか一つに記載の方法で製造された酸化セリウム粒子を含む水性酸化セリウムスラリー、
第8観点として、シリカを主成分とする基板の研磨が、水晶、フォトマスク用石英ガラス、半導体デバイスの有機膜、低誘電率膜、層間絶縁膜の研磨、トレンチ分離、及びガラス製ハードディスク基板の研磨である第7観点に記載の水性酸化セリウムスラリーである。
この水性酸化セリウムスラリーは、酸性物質の添加によりpH1〜6に調整することができる。これらの物質としては、硝酸、塩酸、酢酸等が挙げられる。
また、水性酸化セリウムスラリーは、塩基性物質の添加によりpH8〜13に調整することができる。これらの塩基性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化テトラメチルアンモニウムの他にエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、メチルエタノールアミン、モノプロパノールアミン、及びアンモニア等が挙げられる。
本願発明の水性酸化セリウムスラリーは、水溶性高分子、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、陽イオン性界面活性剤を添加することができる。例えば、ポリビニルアルコール、アクリル酸重合体及びそのアンモニウム塩、メタクリル酸重合体及びそのアンモニウム塩等の水溶性高分子類、オレイン酸アンモニウム、ラウリル酸アンモニウム、ラウリル硫酸トリエタノールアミン、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸アンモニウム等の陰イオン界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタアンモノラウレート、ポリオキシエチレングリコールジステアレート、ポリエチレングリコールモノステアレート等の非イオン界面活性剤等が挙げられる。これらの添加量としては、酸化セリウム粒子100重量部に対して0.01〜300重量部の割合で添加することができる。
(1)pH測定
pH計((株)東亜電波工業製HM−30S)を用いて測定した。
(2)電気伝導度の測定
電気伝導度計((株)東亜電波工業製CM−30G)を用いて測定した。
(3)レーザー回折法による平均粒子径の測定
レーザー回折法粒子径測定装置MASTERSIZER2000(MALVERN社製)を用いて平均粒子径を測定した。
(4)ガス吸着法による比表面積値から換算した粒子径(BET法換算粒子径)
予め所定の条件で乾燥した試料を窒素吸着法比表面積計(QUNTACHROME社製、MONOSORB MS−16型)を用いて比表面積の値を測定し、その測定値からBET法換算粒子径を計算した。
(5)走査型電子顕微鏡による炭酸セリウム水和物及び酸化セリウムの一次粒子径の観察
試料を走査型電子顕微鏡((株)日本電子製、FE−SEM S−4100)にて、その観察試料の電子顕微鏡写真を撮影して一次粒子径を観察した。
(6)粉末X線回折の測定
粉末X線回折装置(理学電機(株)製)を用いて、焼成して得られた化合物を同定した。また酸化セリウムのhkl(111)ピークの半値幅を測定し、デバイ・シュラー法によりX線結晶子径を求めた。
走査型電子顕微鏡観察で2〜10μmの板状粒子を有し、レーザー回折法の平均粒子径が38μmの炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有する。)5gを30mmφ×600mmの耐熱硬質ガラス焼成管に仕込み、100℃焼成までは0.9リットル/分の乾燥した空気を導入し、100℃以上の焼成から0.9リットル/分の空気を93℃の温浴にバブリングさせることにより得られたH2O/(H2O+空気)の分圧比として0.7の加湿した混合ガスを耐熱硬質ガラス焼成管に導入し、60℃/時間の昇温速度で室温から210℃に上げた後、直ぐに加湿したガスを止め、冷却し、耐熱硬質ガラス焼成管から取り出した。得られた粉末(A−1)を、X線回折装置で同定したところ酸化セリウムの特性ピークと一致し、hkl(111)ピークから測定したX線結晶子径は17.5nmであった。またこの粉末(A−1)の比表面積は146m2/gで、ガス吸着法による比表面積から概算した粒子径(以後BET法換算粒子径と記す)は5.7nmであった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有する。)5gを30mmφ×600mmの耐熱硬質ガラス焼成管に仕込み、100℃焼成までは0.9リットル/分の乾燥した空気を導入し、100℃以上の焼成から0.9リットル/分の空気を93℃の温浴にバブリングさせることにより得られたH2O/(H2O+空気)の分圧比として0.7の加湿した混合ガスを耐熱硬質ガラス焼成管に導入し、30℃/時間の昇温速度で室温から210℃に上げた後、加湿したガスから乾燥空気に切り替えた後、60℃/時間で350℃まで昇温した後、更に770℃まで120℃/時間で昇温し、770℃で15時間保持した後、冷却し、粉体(B−2)が2.5g得られた。粉末(B−2)を、粉末X線回折装置で同定したところ酸化セリウムであり、hkl(111)面でのX線結晶子径は28.5nmであった。13.0m2/gで、BET法概算粒子径は64nmであった。走査型電子顕微鏡観察で一次粒子径は20〜40nmであった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有する。)5gを30mmφ×600mmの耐熱硬質ガラス焼成管に仕込み、100℃焼成までは0.9リットル/分の乾燥した空気を導入し、100℃以上の焼成から0.9リットル/分の空気を80℃の温浴にバブリングさせることにより得られたH2O/(H2O+空気)の分圧比として0.55の加湿した混合ガスを耐熱硬質ガラス焼成管に導入し、30℃/時間の昇温速度で室温から210℃に上げた後、加湿したガスを止め、保持なしで冷却し耐熱硬質ガラス焼成管から取り出した。得られた粉末(A−3)を、X線回折装置で同定したところ酸化セリウムの特性ピークと一致し、hkl(111)面でのX線結晶子径は14.9nmであった。またこの粉末(A−3)のガス吸着法による比表面積は167m2/gで、BET法換算粒子径は5.0nmであった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有する。)5gを30mmφ×600mmの耐熱硬質ガラス焼成管に仕込み、100℃焼成までは0.9リットル/分の乾燥した空気を導入し、100℃以上の焼成から0.9リットル/分の空気を93℃の温浴にバブリングさせることにより得られたH2O/(H2O+空気)の分圧比として0.7の加湿した混合ガスを耐熱硬質ガラス焼成管に導入し、60℃/時間の昇温速度で室温から350℃に上げた後、加湿したガスを止め、保持なしで冷却し耐熱硬質ガラス焼成管から取り出した。得られた粉末(A−4)を、X線回折装置で同定したところ酸化セリウムの特性ピークと一致し、hkl(111)面でのX線結晶子径は17.1nmであった。またこの粉末(A−4)のガス吸着法による比表面積は141m2/gで、BET法換算粒子径は5.9nmであった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有する。)5gを30mmφ×600mmの耐熱硬質ガラス焼成管に仕込み、100℃焼成までは0.9リットル/分の乾燥した空気を導入し、100℃以上の焼成から0.9リットル/分の空気を65℃の温浴にバブリングさせることにより得られたH2O/(H2O+空気)の分圧比として0.2の加湿した混合ガスを耐熱硬質ガラス焼成管に導入し、60℃/時間の昇温速度で室温から210℃に上げた後、加湿したガスを止め、保持なしで冷却し耐熱硬質ガラス焼成管から取り出した。得られた粉末(C−1)を、X線回折装置で同定したところ酸化セリウムの特性ピークと一致し、hkl(111)面でのX線結晶子径は7.1nmであった。またこの粉末(C−1)のガス吸着法による比表面積は174m2/gで、BET法換算粒子径は4.8nmであった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有する。)400gを20mmφ×600mmのSUS製焼成管に仕込み、100℃焼成までは5リットル/分の乾燥した空気を導入し、100℃以上の焼成から5リットル/分の空気を93℃の温浴にバブリングさせることにより得られたH2O/(H2O+空気)の分圧比として0.7の加湿した混合ガスをSUS製焼成管に導入し、30℃/時間の昇温速度で室温から210℃に上げた後、5リットル/分の乾燥した空気に切り替えた後、120℃/時間で350℃まで昇温し、350℃で5時間保持した後、764℃まで昇温し、764℃で15時間保持した後、冷却し、焼成粉200gを抜き出した。得られた粉末(B−5)を、X線回折装置で同定したところ酸化セリウムの特性ピークと一致し、またこの粉末(B−4)のガス吸着法による比表面積は14.2m2/gで、BET法換算粒子径は58.6nmであった。また走査型電子顕微鏡観察で一次粒子径は20〜40nmであった。この操作を2回繰り返し、焼成粉(B−5)を400g得た。
半径7cm×長さ21cmのポリエチレン製容器に1mmφの部分安定化ジルコニアビーズ3.8kgを仕込み、得られた酸化セリウム粉末(B−5)380g、純水760g及び10%硝酸5.8gを仕込み、60rpmで4時間粉砕した。純水で水押し洗浄しながらビーズ分離した後、固形分濃度20重量%、pH5.5、電気伝導度27μm/Sの水性酸化セリウムスラリーを得た。このスラリーを300℃で乾燥して得られた粉のBET法換算粒子径は41nmであった。またレーザー回折法粒子径はD10=79nm、D50=285nm、D90=1313nmであった。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有する。)400gを20mmφ×600mmのSUS製焼成管に仕込み、5リットル/分の加湿していない空気を導入しながら、120℃/時間で350℃まで昇温し、350℃で5時間保持した後、705℃まで昇温し、705℃で15時間保持した後、冷却し、焼成粉200gを抜き出した。得られた粉末(D−2)を、X線回折装置で同定したところ酸化セリウムの特性ピークと一致し、またこの粉末(D−2)のガス吸着法による比表面積は12.7m2/gで、BET法換算粒子径は65.6nmであった。また走査型電子顕微鏡観察で一次粒子径は20〜80nmであった。この操作を2回繰り返し、焼成粉(D−2)を400g得た。
実施例1と同じ炭酸セリウム水和物(CeO2に換算して50重量%を含有する。)400gを20mmφ×600mmのSUS製焼成管に仕込み、5リットル/分の加湿していない空気を導入しながら、120℃/時間で350℃まで昇温し、350℃で5時間保持した後、764℃まで昇温し、764℃で15時間保持した後、冷却し、焼成粉200gを抜き出した。得られた粉末(D−3)を、X線回折装置で同定したところ酸化セリウムの特性ピークと一致し、またこの粉末(D−3)のガス吸着法による比表面積は9.2m2/gで、BET法換算粒子径は90.7nmであった。また走査型電子顕微鏡観察で一次粒子径は20〜200nmであった。この操作を2回繰り返し、焼成粉(D−3)を400g得た。
(研磨用組成物の調整及び研磨試験)
実施例5及び比較例2で得られた水性酸化セリウムスラリーを純水で固形分濃度10重量%に希釈し、研磨液を作成した。
〔表1〕
第1表
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
BET法 レーザー回折法 研磨速度 目視観察
換算粒子径 粒子径 D50
(nm) (nm) (nm/分)
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実施例5 39 285 111 スクラッチなし
比較例2 37 530 90 スクラッチ及び
欠陥あり
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
第1表から、実施例5と比較例2を比較した場合、比較例は、BET法換算粒子径が小さいにも拘らず、レーザー回折法での平均粒子径が大きい。このため比較例2は、研磨速度が遅く、しかも目視観察で微小なスクラッチが観察された。一方、実施例5は研磨速度が速く、スクラッチのない優れた研磨特性が得られている。
Claims (8)
- セリウム化合物を常温から昇温して400〜1200℃の温度範囲まで加熱を行い酸化セリウム粒子を製造する方法であり、昇温過程で加湿したガスを供給しながら加熱する段階を経由する酸化セリウム粒子の製造方法。
- 加湿したガスが0.5〜0.8のH2O/(H2O+ガス)分圧比を有する請求項1に記載の酸化セリウム粒子の製造方法。
- ガスが酸素ガス、酸素と窒素の混合ガス、又は空気である請求項1又は請求項2に記載の酸化セリウム粒子の製造方法。
- 加湿したガスの供給が、100℃以上の温度で供給を開始し200〜350℃の温度範囲に達するまで続けられる請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の酸化セリウム粒子の製造方法。
- セリウム化合物が炭酸セリウム水和物である請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の酸化セリウム粒子の製造方法。
- 請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法に基づき雰囲気調整型焼成炉で製造した酸化セリウム粒子からなる粉末であり、該粉末のレーザー回折法による測定粒子径の値(D50−D10)/(D90−D50)の比が0.1〜0.3となる酸化セリウム粉末。
- シリカを主成分とする基板の研磨に使用される請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の方法で製造された酸化セリウム粒子を含む水性酸化セリウムスラリー。
- シリカを主成分とする基板の研磨が、水晶、フォトマスク用石英ガラス、半導体デバイスの有機膜、低誘電率膜、層間絶縁膜の研磨、トレンチ分離、及びガラス製ハードディスク基板の研磨である請求項7に記載の水性酸化セリウムスラリー。
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