JP2004167718A - インクジェットプリンタ - Google Patents
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Abstract
【課題】光硬化性のインクを使用したインクジェットプリンタにおいて、プリンタの小型化を図る。
【解決手段】光源ユニット2−1内に、インクに照射される紫外線の光源であるLD6とシリンドリカルレンズ7とが設けられる。光源ユニット2−1は、記録媒体4上を矢印X方向に移動する。シリンドリカルレンズ7は、LD6が発した紫外線を、矢印X方向にコリメートさせる。LD6が発する紫外線の拡がり角の小さい方向が、矢印X方向と同じになるように、LD6が配置される。光源ユニットに複数のLD6が備えられる場合には、矢印X方向と垂直な矢印Y方向に並べられ、隣接する2つのLD6が発する紫外線が重ねられてインクの硬化エネルギー以上のエネルギーを与えられるように配置される。
【選択図】 図2
【解決手段】光源ユニット2−1内に、インクに照射される紫外線の光源であるLD6とシリンドリカルレンズ7とが設けられる。光源ユニット2−1は、記録媒体4上を矢印X方向に移動する。シリンドリカルレンズ7は、LD6が発した紫外線を、矢印X方向にコリメートさせる。LD6が発する紫外線の拡がり角の小さい方向が、矢印X方向と同じになるように、LD6が配置される。光源ユニットに複数のLD6が備えられる場合には、矢印X方向と垂直な矢印Y方向に並べられ、隣接する2つのLD6が発する紫外線が重ねられてインクの硬化エネルギー以上のエネルギーを与えられるように配置される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光硬化性のインクを使用したインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インクジェットプリンタは印刷時の騒音が比較的小さく、印字の品質が良好であるため、現在、数多く使用されている。インクジェットプリンタは、例えばピエゾ素子やヒータ素子等を用いて、記録ヘッドのノズルからインクを微小な液滴として紙等の記録媒体に向けて吐出し、該記録媒体にインクを浸透若しくは定着させながら、記録ヘッドと記録媒体の相対的な位置を移動させることにより、該記録媒体に画像を形成する。
【0003】
インクジェットプリンタには、例えば、記録媒体上で記録ヘッドを往復移動させ、記録ヘッドの走査方向と直交する方向に記録媒体を搬送させることにより画像を形成するシリアルヘッド方式のものや、記録媒体の幅方向(記録媒体の搬送方向と直交する方向)にわたる記録ヘッドを持ち、記録媒体を搬送させることにより画像を形成するラインヘッド方式のものがある。
【0004】
ところで、インクジェットプリンタには、光硬化性のインクを記録媒体上に吐出して付着させた後、紫外線等の光を照射することでインクを硬化定着させて画像を得る光硬化方式のものがある。この場合、記録媒体の記録ヘッドに対する移動方向に光源が配置される。
【0005】
従来の光硬化方式のインクジェットプリンタでは、光源として、蛍光管や高圧水銀灯が使用されていた。しかし、蛍光管や高圧水銀灯は発熱が大きいため、消費電力が大きく、コストが増大してしまうという問題があった。また、蛍光管や高圧水銀灯はサイズが大きいため、光源ユニットの小型化が困難であった。さらに、蛍光管や高圧水銀灯はちらつきがあり、光源としての安定性が悪かった。また、蛍光管や高圧水銀灯は光の強度を変えにくいという問題もあった。
【0006】
近年、光硬化方式のインクジェットプリンタにおいて、レーザ光線等の指向性のある光を照射する光源を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。具体的に、指向性のある光を照射する光源としては、半導体レーザや発光ダイオード等が知られている。
半導体レーザや発光ダイオードを用いることによって、照射の際の発熱量が小さくなり、消費電力が低減される。また、蛍光管や高圧水銀灯と比較して、光源ユニットが小型化される。また、半導体レーザや発光ダイオードは、安定性が良いとともに光の強度の調整が容易である。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−310454号公報(第4頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1のように、光源から指向性のある光を照射する場合、実際、光は拡がり角をもって照射されるため、照射された光が記録媒体上のインクの硬化に効率的に寄与するように、光の照射範囲を調節することは困難であった。すなわち、半導体レーザや発光ダイオードから発せられた光は、方向によって異なる拡がり角をもち、断面略楕円形状に拡がる。記録ヘッドから吐出される前のインクや記録ヘッドに付着したインクに光が照射されると、着弾前のインクが硬化してしまうため、光源と記録ヘッドとを、着弾前のインクに光が照射されない程度の距離まで離さなくてはならなかった。従って、プリンタが大型化してしまうという問題がある。
また、この光源と記録ヘッドとの離間距離は、光源から記録媒体までの距離に依存するため、光源の設置高さの精度が求められるとともに、光源ユニットの異機種間の共用を難しくする。
また、光束が拡がりをもっているので、照射強度が弱まる。そのため、インク硬化までに必要な照射時間が長くなり、作業効率が悪くなる。
【0009】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、光硬化性のインクを使用したインクジェットプリンタにおいて、プリンタの小型化を図ること及びインクを硬化させる光を作業効率良く照射することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、
光が照射されることにより硬化するインクを記録媒体に吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録媒体の前記記録ヘッドに対する相対走査方向に配置され、前記記録媒体に付着した前記インクに光を照射する光源ユニットとを備え、
前記光源ユニットには、前記インクに照射される光の光源と光学部材とが設けられ、
前記光源は、半導体レーザ又は発光ダイオードであり、
前記光学部材は、前記光源が発した光を前記相対走査方向にコリメートさせることを特徴とするインクジェットプリンタである。
【0011】
ここで、「前記記録媒体の前記記録ヘッドに対する相対走査方向」は、画像形成時の記録媒体の記録ヘッドに対する相対的移動方向と同義であり、シリアルヘッド方式の場合は記録媒体上で記録ヘッドが画像形成時に移動する方向と逆方向であり、ラインヘッド方式の場合は記録ヘッドに対して記録媒体が搬送される方向である。
したがって請求項1記載の発明によれば、光源が発した光を記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向にコリメートさせるので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えることができる。そのため、記録ヘッドと光源ユニットとの距離をより近づけることができ、プリンタを小型化することができる。
また、光を前記相対走査方向にコリメートさせるので、照射強度が強められる。そのため、インク硬化までに必要な照射時間が短くなり、光を作業効率よく照射することができる。したがって、印刷の高速化を阻害しない。
また、光源が発した光を前記相対走査方向にコリメートさせるので、光源と記録ヘッドとの離間距離を、光源から記録媒体までの距離に依存せずに設定することができる。そのため、光源の設置高さの精度が厳しく求められることがないとともに、光源ユニットの異機種間の共用を可能とする。
半導体レーザ(Laser Diode:LD)は半導体を光増幅媒質としたレーザである。電流注入によってレーザ発振が得られるので、電流のオン・オフによってレーザ光を容易に制御することができる。
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)はpn接合に順方向電流を流して接合領域に少数キャリアを注入し、少数キャリアが多数キャリアと再結合する際に光を放射するダイオードである。
【0012】
請求項2記載の発明は、
前記ノズルが連続して設けられてノズル列が形成され、
前記ノズル列の方向が前記相対走査方向と直交するように前記記録ヘッドが配置されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタである。
【0013】
記録ヘッドには、ノズルが複数連続して設けられる場合がある。その場合、ノズル列の方向が記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向と直交するように配置される。ノズル列の長さを幅としてインクが吐出されるので、光源ユニットにより照射される範囲もノズル列方向にノズル列の長さが必要である。
しかし、請求項2記載の発明によれば、光源が発した光を記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向にコリメートさせるので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、ノズル列の方向には光の照射範囲を広く維持することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、
前記光学部材は、前記光源が発した光を前記相対走査方向と垂直な方向に、光学的方向を変化させないことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタである。
【0015】
ここで、「光学的方向を変化させない」とは、光学部材の前後で入射光と透過光の方向を変化させないという意味であり、レンズ内で屈折により光が方向を変えることは含まない。
したがって請求項3記載の発明によれば、記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に垂直な方向には集光しないので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を広く維持することができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、
前記光学部材は、前記光源が発した光を前記相対走査方向と垂直な方向に拡大することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタである。
【0017】
したがって請求項4記載の発明によれば、記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に垂直な方向に光を拡大するので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を拡げることができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、
前記光源の拡がり角の小さい方向が、前記相対走査方向と同じになるように、前記光源が配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタである。
【0019】
半導体レーザや発光ダイオードが発した光は、方向によって異なる拡がり角をもって、断面略楕円形状に拡がる。
請求項5記載の発明によれば、光源の拡がり角の小さい方向にコリメートさせるので、効果的に記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に光が拡がることを抑えることができる。そのため、記録ヘッドと光源ユニットとの距離をより近づけることができ、プリンタを小型化することができる。これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を広く確保することができる。
【0020】
請求項6記載の発明は、
前記光源ユニットに複数の光源が前記記録媒体に平行かつ前記相対走査方向に垂直な方向に並べて備えられてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタである。
【0021】
したがって請求項6記載の発明によれば、光源ユニットが複数の光源を備えるので、1つの光源による照射範囲がインクの付着範囲よりも狭い場合にも、インクを硬化させるのに必要な範囲に照射することができる。
ラインヘッド方式にしても、シリアルヘッド方式にしても、ノズル列が長い場合において、単一の光源により必要な照射範囲を得ることができない場合には、本発明を適用することが有効となる。
【0022】
請求項7記載の発明は、
1つの光源からの光によって前記記録媒体上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域を単光源有効照射領域と呼び、
1つの光源からの光によって前記記録媒体上のインクに硬化エネルギー未満の照射エネルギーが与えられる照射領域を単光源端部照射領域と呼ぶとして、
一の光源の単光源有効照射領域とこれと隣接する他の光源の単光源有効照射領域とを離間する離間領域が設けられて、
前記一の光源の単光源端部照射領域と前記他の光源の単光源端部照射領域が重ねられることにより、前記離間領域が有効照射領域となるように、該2つの光源が配置されて前記光源ユニットが構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタである。
【0023】
ここで、「硬化エネルギー」とは、インクが硬化するために必要な光エネルギーである。
したがって請求項7記載の発明によれば、一の光源の単光源端部照射領域と他の光源の単光源端部照射領域が重ねられることにより、離間領域が有効照射領域となるように、2つの光源が配置されるので、記録媒体上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域を効率よく連続させて長く設けることができる。
また、光源の照射領域のうち外側ほど与えられる照射エネルギーが小さくなるが、隣接する2つの光源の単光源端部照射領域同士が重ねられることにより、照射エネルギーの場所による差が小さくなり、記録媒体上のインクを均一的に硬化させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施の形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0025】
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態につき、図1及び図2を参照して説明する。
図1を参照して、本実施形態のインクジェットプリンタのインクヘッドと光源ユニットと記録媒体の位置関係を説明する。図1(a)はインクジェットプリンタ10の平面図であり、図1(b)はインクジェットプリンタ10の正面図である。
インクジェットプリンタ10は、紫外線硬化性のインク滴を記録媒体4に向けて吐出し、その後、記録媒体4のうちインク滴が着弾した領域に紫外線を照射することで、記録媒体4に画像を形成するものである。
【0026】
図1(a)、(b)に示すように、インクジェットプリンタ10は、インクヘッド1a,1b,1c,1dと、光源ユニット2a,2b,2c,2dと、インクヘッド1a,1b,1c,1dと光源ユニット2a,2b,2c,2dを搭載し、矢印X方向に沿って移動可能なキャリッジ3と、キャリッジ3をキャリッジレール5に沿って移動させる機構(図示せず)と、記録媒体4を矢印Y方向に搬送する機構(図示せず)とを備える。
【0027】
本実施形態では、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクを吐出できるよう、4個のインクヘッド1a,1b,1c,1dがキャリッジ3に設置される。各インクヘッド1a,1b,1c,1dは、各色のインクを吐出するノズル(図示せず)を備え、各インクに対応するインクタンク(図示せず)から供給されたインクをインク滴として記録媒体4に吐出する。ノズルはインクヘッド1a,1b,1c,1dに矢印Y方向に連続して列をなして設けられている。
【0028】
画像形成時の記録媒体4のインクヘッド1aに対する相対走査方向(矢印X方向と逆方向)にインクヘッド1aにより吐出されたインクを硬化させる光源ユニット2aが設置される。光源ユニット2aは、インクヘッド1aにより吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線を照射する。同様に、画像形成時の記録媒体4の各インクヘッド1b,1c,1dに対する相対走査方向(矢印X方向と逆方向)に各インクヘッド1b,1c,1dに対応するインクを硬化させる各光源ユニット2b,2c,2dが設置される。各光源ユニット2b,2c,2dは、対応するインクヘッド1b,1c,1dにより吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線を照射する。
【0029】
キャリッジ3は、記録媒体4に対して矢印X方向に往復移動が可能である。キャリッジ3がキャリッジレール5に沿って矢印X方向に移動する一方で、インクヘッド1a,1b,1c,1dが記録媒体4にインク滴を吐出し、光源ユニット2a,2b,2c,2dが記録媒体4に着弾したインクに紫外線を照射することで、画像が形成される。矢印X方向に画像形成が終了すると、キャリッジ3はキャリッジレール5に沿って矢印X方向と逆方向に移動する。矢印X方向の画像形成の進行に応じて、記録媒体4は矢印Y方向に搬送される。
【0030】
次に、光源ユニット内でのLDとシリンドリカルレンズの配置を説明する。図2(a)は、図1(a)において、光源ユニット2a,2b,2c,2dを矢印Y方向に見た模式図である。図2(b)は、図1(a)において、光源ユニット2a,2b,2c,2dを矢印X方向と逆方向に見た模式図である。図2(a)、(b)に示す光源ユニット2−1が、図1(a)、(b)における光源ユニット2a,2b,2c,2dに適用される。
【0031】
図2(a)、(b)に示すように、光源ユニット2−1は、光源としてLD6と、光学部材としてシリンドリカルレンズ7とを備える。光源ユニット2−1内で、LD6とシリンドリカルレンズ7は距離L1だけ離して配置されている。L1はシリンドリカルレンズ7の焦点距離fと等しくする。また、シリンドリカルレンズ7と記録媒体4の距離をL2とする。LD6が発した紫外線は、断面略楕円状に拡がる。つまり、図2(a)におけるLD6が発する紫外線の矢印X方向の拡がり角θ1と、図2(b)におけるLD6が発する紫外線の矢印Y方向の拡がり角θ2は異なり、θ1<θ2である。
【0032】
図2(a)に示すように、LD6が発した紫外線はシリンドリカルレンズ7により、矢印X方向にコリメートされる。LD6が発した紫外線は、拡がり角の小さい方向にコリメートされるので、より効果的に紫外線が拡がることを抑えることができる。そのため、例えば、図1において、光源ユニット2aとインクヘッド1a,1bとの距離を小さくすることができる。これにより、プリンタを小型化することができる。一方、図2(b)に示すように、シリンドリカルレンズ7はLD6が発した紫外線を矢印Y方向には光学的方向を変化させない。つまり、矢印Y方向にはシリンドリカルレンズ7の前後で入射光と透過光の方向が同じである。矢印Y方向には光学的方向を変化させないので、矢印Y方向に紫外線の照射範囲を広く維持することができる。
また、光を矢印X方向にコリメートさせるので、照射強度が強められる。そのため、インク硬化までに必要な照射時間が短くなり、紫外線を作業効率よく照射することができる。したがって、印刷の高速化を阻害しない。
また、光源ユニット2−1とインクヘッドとの離間距離を、LD6から記録媒体4までの距離に依存せずに設定することができる。そのため、光源ユニット2−1は、その設置高さの精度を厳しく求められることがないとともに、設置高さの異なる異機種への適用が可能である。
【0033】
シリンドリカルレンズ7を通った後の紫外線は矢印X方向には、平行光となる。矢印X方向に紫外線が拡がっている場合は、記録媒体4で反射した反射光により、光源ユニット2−1の前後のインクヘッド(例えば、図1において、光源ユニット2aについてはインクヘッド1a,1b)の着弾前のインクを硬化させてしまうおそれがある。反射光による着弾前のインクの照射を防ぐためには、矢印X方向には平行光又はより内側に絞った状態にするのが好ましい。
図2(a)、(b)では、シリンドリカルレンズ7がLD6が発した紫外線を矢印Y方向に光学的方向を変化させない場合を示したが、LD6が発した紫外線を矢印Y方向に拡大する光学部材を用いてもよい。この場合、矢印Y方向に紫外線の照射範囲を拡げることができる。
【0034】
次に、図2を参照して紫外線の照射エネルギーについて、近似計算を行う。実際には、LD6が発する紫外線は断面略楕円状に拡がり、シリンドリカルレンズ7により一方向にコリメートされた後も断面略楕円状に拡がるが、ここでは、簡単のため、照射される範囲を幅D1、D2の長方形とする。また、照射強度は場所によらず一定であると近似する。また、シリンドリカルレンズ7内の矢印Y方向の屈折は無視する。
【0035】
記録媒体4上のX方向、Y方向の照射幅D1、D2は
D1=2×L1×tanθ1(cm)
D2=2×(L1+L2)×tanθ2(cm)
であるから、記録媒体4上の照射面積Sは近似的に
S=D1×D2(cm2)
で表される。LD6の定格出力をP(mW)とすると、紫外線照射強度Iは
I=(P×k)/(D1×D2)(mW/cm2)
となる。ここで、kは光学効率であり、シリンドリカルレンズ7の特性による定数である。紫外線照射時間Tは近似的に
T=D1/v(sec)
で表される。ここで、vは光源ユニット2−1と記録媒体4の相対走査速度である。ここでは、記録媒体4に対するキャリッジ速度であるが、ラインヘッド方式の場合には、記録媒体が搬送される速度となる。したがって紫外線照射エネルギーQは
Q=I×T=(P×k×D1)/(D1×D2×v)(mJ/cm2)
と表される。紫外線照射エネルギーQがインクの硬化エネルギーより大きい場合には、インクが硬化される。
【0036】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態につき、図3を参照して説明する。図3に、図1に示すインクジェットプリンタ10の光源ユニット2a,2b,2c,2d内にLDが複数設置されている場合を示す。
図3(a)は光源ユニット2−2にLDが3個設置された場合を示す斜視図である。LD6a,6b,6cが光源ユニット2−2の記録媒体4に対する移動方向である矢印X方向と垂直な方向に並べられている。図3(a)に示す矢印X及び矢印Yは、図1(a)に示す矢印X及び矢印Yに対応している。図3(a)に示す光源ユニット2−2が、図1(a)、(b)のインクジェットプリンタ10の光源ユニット2a,2b,2c,2dに適用される。
【0037】
LD6a,6b,6cが発した紫外線はシリンドリカルレンズ7により、矢印X方向にコリメートされるため、記録媒体4上での照射範囲は矢印Y方向に長い楕円形状をなす。それぞれの照射範囲の端部は互いに重なり合っている。図3(b)は、図3(a)において、記録媒体4上のある点に与えられる照射エネルギーの矢印Y方向の分布を示すグラフである。各グラフQ1,Q2,Q3は各LD6a,6b,6cから受ける照射エネルギー、グラフQ4はLD6a,6b,6cから受ける総照射エネルギーを示す。図3(b)に示すE0はインクの硬化エネルギーであり、インクが硬化するために必要な光エネルギーである。
【0038】
図3(b)の各グラフQ1,Q2,Q3に示すように、各LD6a,6b,6cから受ける照射エネルギーは、各LD6a,6b,6cの位置を中心としたピークをもち、各LD6a,6b,6cから離れるにしたがって小さくなる。
図3(b)のグラフQ1に示すように、LD6aのみによって紫外線が照射された場合、記録媒体4上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域は、LD6aの単光源有効照射領域A1である。グラフQ1において、LD6aの単光源有効照射領域A1の外側は、LD6aによって記録媒体4上のインクに与えられる照射エネルギーがインクの硬化エネルギー未満のLD6aの単光源端部照射領域である。また、グラフQ2に示すように、LD6bのみによって紫外線が照射された場合、記録媒体4上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域は、LD6bの単光源有効照射領域A2である。グラフQ2において、LD6bの単光源有効照射領域A2の外側は、LD6bの単光源端部照射領域である。また、グラフQ3に示すように、LD6cのみによって紫外線が照射された場合、記録媒体4上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域は、LD6cの単光源有効照射領域A3である。グラフQ3において、LD6cの単光源有効照射領域A3の外側は、LD6cの単光源端部照射領域である。
【0039】
LD6aの単光源有効照射領域A1とLD6bの単光源有効照射領域A2とを離間する離間領域B1は、LD6aの単光源端部照射領域とLD6bの単光源端部照射領域が重なった領域である。同様に、LD6bの単光源有効照射領域A2とLD6cの単光源有効照射領域A3とを離間する離間領域B2は、LD6bの単光源端部照射領域とLD6cの単光源端部照射領域が重なった領域である。例えば、グラフQ1に示すように、離間領域B1内の位置y1において、LD6aから受ける照射エネルギーはE1であり、インクの硬化エネルギーE0より小さい。また、グラフQ2に示すように、位置y1において、LD6bから受ける照射エネルギーはE1であり、インクの硬化エネルギーE0より小さい。グラフQ4に示すように、位置y1におけるLD6aとLD6bから受ける総照射エネルギーE2がインクの硬化エネルギーE0より大きくなるようにLD6a,6bが配置されている。同様に、離間領域B1のすべての位置が、LD6aの単光源端部照射領域とLD6bの単光源端部照射領域が重ねられることにより、有効照射領域となるようにLD6a,6bが配置されている。離間領域B2においても、LD6bの単光源端部照射領域とLD6cの単光源端部照射領域が重ねられることにより、有効照射領域となるようにLD6b,6cが配置されている。
これにより、矢印Y方向にインクを硬化させることが可能な領域を効率よく連続して長く設けることができ、有効照射領域Cにおいてインクを硬化させることが可能となる。また、照射光の場所による強度の差を小さくし、記録媒体4上のインクを均一的に硬化させることができる。
【0040】
LD6a,6b,6cによる記録媒体4上の照射範囲は略楕円形状であるので、隣接する2つのLDの照射光の重なる部分は照射幅が短くなる。そのため、LDの照射光が重ねられた部分の照射強度を高めにすることで、照射範囲の中心部との照射エネルギー差を小さくすることができる。
【0041】
なお、本実施形態では紫外線光源としてLDを用いたが、紫外線光源としてLEDを用いてもよい。
【0042】
上記第1の実施形態における光源ユニット2−1又は第2の実施形態における光源ユニット2−2と同じものを、以下のインクジェットプリンタ11〜13に使用することもできる。
【0043】
まず、図4を参照して、シリアルヘッド方式でインクヘッドが記録媒体上を双方向に画像を形成するインクジェットプリンタのインクヘッドと光源ユニットの配置を説明する。図4は、インクジェットプリンタ11の平面図である。図4に示すように、インクジェットプリンタ11は、インクヘッド1a,1b,1c,1dと、光源ユニット2a,2b,2c,2d,2eと、インクヘッド1a,1b,1c,1dと光源ユニット2a,2b,2c,2d,2eを搭載し、矢印X1方向に沿って移動可能なキャリッジ3と、キャリッジ3をキャリッジレール5に沿って移動させる機構(図示せず)と、記録媒体4を矢印Y方向に搬送する機構(図示せず)とを備える。光源ユニット2a,2b,2c,2d,2eは、図2に示す光源ユニット2−1又は図3に示す光源ユニット2−2と同じものを用いる。
【0044】
図4において、キャリッジ3が矢印X1方向に移動する場合には、記録媒体4のインクヘッド1aに対する相対走査方向に設置された光源ユニット2aにより、インクヘッド1aから吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線が照射される。同様に、記録媒体4のインクヘッド1b,1c,1dに対する相対走査方向設置された光源ユニット2b,2c,2dにより、インクヘッド1b,1c,1dから吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線が照射される。
図4において、キャリッジ3が矢印X2方向に移動する場合には、記録媒体4のインクヘッド1aに対する相対走査方向に設置された光源ユニット2eにより、インクヘッド1aから吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線が照射される。同様に、記録媒体4のインクヘッド1b,1c,1dに対する相対走査方向に設置された光源ユニット2a,2b,2cにより、インクヘッド1b,1c,1dから吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線が照射される。
キャリッジ3が矢印X1、矢印X2のどちらの方向に移動する場合にも記録媒体4の各インクヘッド1a,1b,1c,1dに対する相対走査方向に光源ユニット2a,2b,2c,2d,2eが位置するように、各インクヘッド1a,1b,1c,1dが光源ユニット2a,2b,2c,2d,2eに挟まれて配置されている。矢印X1方向に移動する場合と矢印X2方向に移動する場合とで、光源ユニット2a,2b,2cが共用できるようになっている。インクヘッド1a,1b,1c,1dが記録媒体4上を双方向に画像を形成するので、印刷を高速化することができる。
【0045】
次に、ラインヘッド方式の場合のインクヘッドと光源ユニットの配置を示す。図5(a)は、インクジェットプリンタ12の平面図である。インクジェットプリンタ12は、インクヘッド1a,1b,1c,1dと、光源ユニット2a,2b,2c,2dと、記録媒体4を矢印Z方向に搬送する機構(図示せず)とを備える。光源ユニット2a,2b,2c,2dは、図2に示す光源ユニット2−1又は図3に示す光源ユニット2−2と同じものを用いる。
図5(a)に示すように、記録媒体4の各インクヘッド1a,1b,1c,1dに対する相対走査方向に各光源ユニット2a,2b,2c,2dが設置されている。記録媒体4が矢印Z方向に搬送される一方で、記録媒体4に各インクヘッド1a,1b,1c,1dからインクが吐出され、各光源ユニット2a,2b,2c,2dにより紫外線が照射されることで画像が形成される。インクが記録媒体4に着弾した後すぐ紫外線が照射されることによりインクが硬化されるので、ドットを小さくすることができる。
【0046】
図5(b)は、インクジェットプリンタ13の平面図である。インクジェットプリンタ13は、インクヘッド1a,1b,1c,1dと、光源ユニット2と、記録媒体4を矢印Z方向に搬送する機構(図示せず)とを備える。光源ユニット2は、図2に示す光源ユニット2−1又は図3に示す光源ユニット2−2と同じものを用いる。
図5(b)に示すように、記録媒体4のインクヘッド1a,1b,1c,1dに対する相対走査方向に1つの光源ユニット2が設置されている。記録媒体4が矢印Z方向に搬送される一方で、記録媒体4に各インクヘッド1a,1b,1c,1dからインクが吐出され、光源ユニット2により紫外線が照射されることで画像が形成される。光源ユニット2が1つでよいので、インクジェットプリンタ13を小型化することができる。
【0047】
シリアルヘッド方式の場合にも、図5(b)に示すように、複数のインクヘッドに対して光源ユニットを1つにすることができる。また、シリアルヘッド方式、ラインヘッド方式どちらの場合も、4つのインクヘッドに対して、2つの光源ユニットを用い、2色ずつインクを硬化させることも可能である。
【0048】
以上説明したように、上記の各実施形態によれば、LD6が発した紫外線はシリンドリカルレンズ7により、記録媒体4のインクヘッド1a,1b,1c,1dに対する相対走査方向にコリメートされるので、例えば、図1において、光源ユニット2aとインクヘッド1a,1bを近接させても、着弾前のインクに紫外線が照射されることはない。そのため、光源ユニット2a,2b,2c,2dとインクヘッド1a,1b,1c,1dとを、より高密度にキャリッジ3に搭載することができる。したがって、キャリッジが小型化され、ひいてはプリンタが小型化される。図1においては、例えば、光源ユニット2aとインクヘッド1a,1bとを間隔を設けて図示しているが、光源ユニット2aとインクヘッド1a,1bとを間隔を開けずに設置することも可能である。
【0049】
次に、本発明の実施形態として採用可能な技術事項につき項を分けて説明する。
<射出量>
1ドットあたりの射出量は2pl(ピコリットル)〜20plである。好ましくは4pl〜10plである。1ドットあたり20plを超えると高精細印字が難しく、また、1ドットあたり2pl未満では形成される画像の濃度が低くなってしまう。
【0050】
<ドット径>
記録媒体上に形成されるドット径は50μm〜200μmである。好ましくは50μm〜150μmであり、さらに好ましくは55μm〜100μmである。50μm未満では形成される画像の濃度が低くなってしまい、また、200μmよりも大きければ高精細印字が難しい。
【0051】
<インク>
用いられるインクは、実質的に水及び有機溶媒を含有しないことが望ましい。実質的に含有しないとは、水及び有機溶媒の含有量が1重量%未満であることをいう。
【0052】
<インクジェット方式>
インクジェットプリンタのインク吐出の駆動力として、インクに対しての適用範囲が広く、高速射出が可能な圧電体の圧電作用を利用する方式が好ましい。具体的には、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、さらに絶縁膜で覆われてインク流路が構成されるインクジェットヘッド方式である。
【0053】
<照射線源>
紫外線、電子線、X線、可視光、赤外光などを照射する様々な線源を用いることが可能であるが、硬化性、線源のコスト等を考慮すると、紫外線を照射する線源が好ましい。
【0054】
<照射タイミング>
上記インクを用い、一定温度にインクを加温するとともに、着弾から照射までの時間を0.01秒〜0.5秒、好ましくは0.01秒〜0.3秒、さらに好ましくは0.01秒〜0.15秒後に照射線を照射することすることができる。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前にインクを硬化させることができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、高粘度のインクを用いることで大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が35mPa・s〜500mPa・sのインクを用いると大きな効果を得ることができる。このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクを重ねると、下部のインクまで照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加及び臭気の発生、密着性の劣化が生じやすい。
【0055】
<インク加熱、ヘッド温調>
インクを30℃〜150℃に加熱し、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。さらに好ましくは40℃〜100℃である。30℃以下及び150℃以上では、射出が困難になる。光硬化性のインクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅は設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。インクジェットプリンタには、インク温度の安定化手段を備えるが、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0056】
<インク吸収性のない記録媒体>
本発明の実施形態として、インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)を用いることができる。インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)とは、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる記録媒体、あるいはインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる表面層(画像形成層)を有する記録媒体であり、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)は、例えば各種の樹脂や金属である。
【0057】
<粘度>
本発明の実施形態におけるインクは、30℃での粘度が10mPa・s〜500mPa・sの液体である。より好ましくは、40mPa・s〜500mPa・sである。10mPa・s未満では滲みが劣化、また500mPa・sを超えると、画質の平滑性が失われる。また、このインクは60℃で3mPa・s〜30mPa・sの液体であることが好ましく、より好ましくは、3mPa・s〜20mPa・sである。3mPa・s以下では、高速射出に不具合を生じ、また30mPa・sでは、射出性が劣化する。
【0058】
【発明の効果】
上述したように、請求項1記載の発明によれば、光源が発した光を記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向にコリメートさせるので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えることができる。そのため、記録ヘッドと光源ユニットとの距離をより近づけることができ、プリンタを小型化することができるという効果がある。
また、光を前記相対走査方向にコリメートさせるので、照射強度が強められる。そのため、インク硬化までに必要な照射時間が短くなり、光を作業効率よく照射することができる。したがって、印刷の高速化を阻害しないという効果があるという効果がある。
また、光源が発した光を前記相対走査方向にコリメートさせるので、光源と記録ヘッドとの離間距離を、光源から記録媒体までの距離に依存せずに設定することができる。そのため、光源の設置高さの精度が厳しく求められることがないとともに、光源ユニットの異機種間の共用を可能とするという効果がある。
【0059】
上述したように、請求項2記載の発明によれば、光源が発した光を記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向にコリメートさせるので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、ノズル列の方向には光の照射範囲を広く維持することができるという効果がある。
【0060】
上述したように、請求項3記載の発明によれば、記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に垂直な方向には集光しないので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を広く維持することができるという効果がある。
【0061】
上述したように、請求項4記載の発明によれば、記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に垂直な方向に光を拡大するので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を拡げることができるという効果がある。
【0062】
上述したように、請求項5記載の発明によれば、光源の拡がり角の小さい方向にコリメートさせるので、効果的に記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に光が拡がることを抑えることができる。そのため、記録ヘッドと光源ユニットとの距離をより近づけることができ、プリンタを小型化することができる。これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を広く確保することができるという効果がある。
【0063】
上述したように、請求項6記載の発明によれば、光源ユニットが複数の光源を備えるので、1つの光源による照射範囲がインクの付着範囲よりも狭い場合にも、インクを硬化させるのに必要な範囲に照射することができるという効果がある。
【0064】
上述したように、請求項7記載の発明によれば、一の光源の単光源端部照射領域と他の光源の単光源端部照射領域が重ねられることにより、離間領域が有効照射領域となるように、2つの光源が配置されるので、記録媒体上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域を効率よく連続させて長く設けることができるという効果がある。
また、光源の照射領域のうち外側ほど与えられる照射エネルギーが小さくなるが、隣接する2つの光源の単光源端部照射領域同士が重ねられることにより、照射エネルギーの場所による差が小さくなり、記録媒体上のインクを均一的に硬化させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態のインクジェットプリンタ10の平面図である。
(b)は本発明の第1の実施形態のインクジェットプリンタ10の正面図である。
【図2】(a)は、図1(a)において、光源ユニット2a,2b,2c,2dを矢印Y方向に見た模式図である。
(b)は、図1(a)において、光源ユニット2a,2b,2c,2dを矢印X方向と逆方向に見た模式図である。
【図3】(a)は本発明の第2の実施形態のインクジェットプリンタの光源ユニット2−2にLDが3個設置された場合を示す斜視図である。
(b)は、図3(a)において、記録媒体4上のある点に与えられる照射エネルギーの矢印Y方向の分布を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態のインクジェットプリンタ11の平面図である。
【図5】(a)は、本発明の一実施形態のインクジェットプリンタ12の平面図である。
(b)は、本発明の一実施形態のインクジェットプリンタ13の平面図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d…インクヘッド 2…光源ユニット 2a,2b,2c,2d,2e…光源ユニット 2−1,2−2…光源ユニット 3…キャリッジ4…記録媒体 5…キャリッジレール 6…LD(光源) 6a,6b,6c…LD(光源) 7…シリンドリカルレンズ(光学部材) 10…インクジェットプリンタ 11…インクジェットプリンタ 12…インクジェットプリンタ 13…インクジェットプリンタ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光硬化性のインクを使用したインクジェットプリンタに関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、インクジェットプリンタは印刷時の騒音が比較的小さく、印字の品質が良好であるため、現在、数多く使用されている。インクジェットプリンタは、例えばピエゾ素子やヒータ素子等を用いて、記録ヘッドのノズルからインクを微小な液滴として紙等の記録媒体に向けて吐出し、該記録媒体にインクを浸透若しくは定着させながら、記録ヘッドと記録媒体の相対的な位置を移動させることにより、該記録媒体に画像を形成する。
【0003】
インクジェットプリンタには、例えば、記録媒体上で記録ヘッドを往復移動させ、記録ヘッドの走査方向と直交する方向に記録媒体を搬送させることにより画像を形成するシリアルヘッド方式のものや、記録媒体の幅方向(記録媒体の搬送方向と直交する方向)にわたる記録ヘッドを持ち、記録媒体を搬送させることにより画像を形成するラインヘッド方式のものがある。
【0004】
ところで、インクジェットプリンタには、光硬化性のインクを記録媒体上に吐出して付着させた後、紫外線等の光を照射することでインクを硬化定着させて画像を得る光硬化方式のものがある。この場合、記録媒体の記録ヘッドに対する移動方向に光源が配置される。
【0005】
従来の光硬化方式のインクジェットプリンタでは、光源として、蛍光管や高圧水銀灯が使用されていた。しかし、蛍光管や高圧水銀灯は発熱が大きいため、消費電力が大きく、コストが増大してしまうという問題があった。また、蛍光管や高圧水銀灯はサイズが大きいため、光源ユニットの小型化が困難であった。さらに、蛍光管や高圧水銀灯はちらつきがあり、光源としての安定性が悪かった。また、蛍光管や高圧水銀灯は光の強度を変えにくいという問題もあった。
【0006】
近年、光硬化方式のインクジェットプリンタにおいて、レーザ光線等の指向性のある光を照射する光源を用いることが提案されている(例えば、特許文献1参照。)。具体的に、指向性のある光を照射する光源としては、半導体レーザや発光ダイオード等が知られている。
半導体レーザや発光ダイオードを用いることによって、照射の際の発熱量が小さくなり、消費電力が低減される。また、蛍光管や高圧水銀灯と比較して、光源ユニットが小型化される。また、半導体レーザや発光ダイオードは、安定性が良いとともに光の強度の調整が容易である。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−310454号公報(第4頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特許文献1のように、光源から指向性のある光を照射する場合、実際、光は拡がり角をもって照射されるため、照射された光が記録媒体上のインクの硬化に効率的に寄与するように、光の照射範囲を調節することは困難であった。すなわち、半導体レーザや発光ダイオードから発せられた光は、方向によって異なる拡がり角をもち、断面略楕円形状に拡がる。記録ヘッドから吐出される前のインクや記録ヘッドに付着したインクに光が照射されると、着弾前のインクが硬化してしまうため、光源と記録ヘッドとを、着弾前のインクに光が照射されない程度の距離まで離さなくてはならなかった。従って、プリンタが大型化してしまうという問題がある。
また、この光源と記録ヘッドとの離間距離は、光源から記録媒体までの距離に依存するため、光源の設置高さの精度が求められるとともに、光源ユニットの異機種間の共用を難しくする。
また、光束が拡がりをもっているので、照射強度が弱まる。そのため、インク硬化までに必要な照射時間が長くなり、作業効率が悪くなる。
【0009】
本発明は以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであって、光硬化性のインクを使用したインクジェットプリンタにおいて、プリンタの小型化を図ること及びインクを硬化させる光を作業効率良く照射することを課題とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
以上の課題を解決するための請求項1記載の発明は、
光が照射されることにより硬化するインクを記録媒体に吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録媒体の前記記録ヘッドに対する相対走査方向に配置され、前記記録媒体に付着した前記インクに光を照射する光源ユニットとを備え、
前記光源ユニットには、前記インクに照射される光の光源と光学部材とが設けられ、
前記光源は、半導体レーザ又は発光ダイオードであり、
前記光学部材は、前記光源が発した光を前記相対走査方向にコリメートさせることを特徴とするインクジェットプリンタである。
【0011】
ここで、「前記記録媒体の前記記録ヘッドに対する相対走査方向」は、画像形成時の記録媒体の記録ヘッドに対する相対的移動方向と同義であり、シリアルヘッド方式の場合は記録媒体上で記録ヘッドが画像形成時に移動する方向と逆方向であり、ラインヘッド方式の場合は記録ヘッドに対して記録媒体が搬送される方向である。
したがって請求項1記載の発明によれば、光源が発した光を記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向にコリメートさせるので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えることができる。そのため、記録ヘッドと光源ユニットとの距離をより近づけることができ、プリンタを小型化することができる。
また、光を前記相対走査方向にコリメートさせるので、照射強度が強められる。そのため、インク硬化までに必要な照射時間が短くなり、光を作業効率よく照射することができる。したがって、印刷の高速化を阻害しない。
また、光源が発した光を前記相対走査方向にコリメートさせるので、光源と記録ヘッドとの離間距離を、光源から記録媒体までの距離に依存せずに設定することができる。そのため、光源の設置高さの精度が厳しく求められることがないとともに、光源ユニットの異機種間の共用を可能とする。
半導体レーザ(Laser Diode:LD)は半導体を光増幅媒質としたレーザである。電流注入によってレーザ発振が得られるので、電流のオン・オフによってレーザ光を容易に制御することができる。
発光ダイオード(Light Emitting Diode:LED)はpn接合に順方向電流を流して接合領域に少数キャリアを注入し、少数キャリアが多数キャリアと再結合する際に光を放射するダイオードである。
【0012】
請求項2記載の発明は、
前記ノズルが連続して設けられてノズル列が形成され、
前記ノズル列の方向が前記相対走査方向と直交するように前記記録ヘッドが配置されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタである。
【0013】
記録ヘッドには、ノズルが複数連続して設けられる場合がある。その場合、ノズル列の方向が記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向と直交するように配置される。ノズル列の長さを幅としてインクが吐出されるので、光源ユニットにより照射される範囲もノズル列方向にノズル列の長さが必要である。
しかし、請求項2記載の発明によれば、光源が発した光を記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向にコリメートさせるので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、ノズル列の方向には光の照射範囲を広く維持することができる。
【0014】
請求項3記載の発明は、
前記光学部材は、前記光源が発した光を前記相対走査方向と垂直な方向に、光学的方向を変化させないことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタである。
【0015】
ここで、「光学的方向を変化させない」とは、光学部材の前後で入射光と透過光の方向を変化させないという意味であり、レンズ内で屈折により光が方向を変えることは含まない。
したがって請求項3記載の発明によれば、記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に垂直な方向には集光しないので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を広く維持することができる。
【0016】
請求項4記載の発明は、
前記光学部材は、前記光源が発した光を前記相対走査方向と垂直な方向に拡大することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタである。
【0017】
したがって請求項4記載の発明によれば、記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に垂直な方向に光を拡大するので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を拡げることができる。
【0018】
請求項5記載の発明は、
前記光源の拡がり角の小さい方向が、前記相対走査方向と同じになるように、前記光源が配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタである。
【0019】
半導体レーザや発光ダイオードが発した光は、方向によって異なる拡がり角をもって、断面略楕円形状に拡がる。
請求項5記載の発明によれば、光源の拡がり角の小さい方向にコリメートさせるので、効果的に記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に光が拡がることを抑えることができる。そのため、記録ヘッドと光源ユニットとの距離をより近づけることができ、プリンタを小型化することができる。これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を広く確保することができる。
【0020】
請求項6記載の発明は、
前記光源ユニットに複数の光源が前記記録媒体に平行かつ前記相対走査方向に垂直な方向に並べて備えられてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタである。
【0021】
したがって請求項6記載の発明によれば、光源ユニットが複数の光源を備えるので、1つの光源による照射範囲がインクの付着範囲よりも狭い場合にも、インクを硬化させるのに必要な範囲に照射することができる。
ラインヘッド方式にしても、シリアルヘッド方式にしても、ノズル列が長い場合において、単一の光源により必要な照射範囲を得ることができない場合には、本発明を適用することが有効となる。
【0022】
請求項7記載の発明は、
1つの光源からの光によって前記記録媒体上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域を単光源有効照射領域と呼び、
1つの光源からの光によって前記記録媒体上のインクに硬化エネルギー未満の照射エネルギーが与えられる照射領域を単光源端部照射領域と呼ぶとして、
一の光源の単光源有効照射領域とこれと隣接する他の光源の単光源有効照射領域とを離間する離間領域が設けられて、
前記一の光源の単光源端部照射領域と前記他の光源の単光源端部照射領域が重ねられることにより、前記離間領域が有効照射領域となるように、該2つの光源が配置されて前記光源ユニットが構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタである。
【0023】
ここで、「硬化エネルギー」とは、インクが硬化するために必要な光エネルギーである。
したがって請求項7記載の発明によれば、一の光源の単光源端部照射領域と他の光源の単光源端部照射領域が重ねられることにより、離間領域が有効照射領域となるように、2つの光源が配置されるので、記録媒体上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域を効率よく連続させて長く設けることができる。
また、光源の照射領域のうち外側ほど与えられる照射エネルギーが小さくなるが、隣接する2つの光源の単光源端部照射領域同士が重ねられることにより、照射エネルギーの場所による差が小さくなり、記録媒体上のインクを均一的に硬化させることができる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一実施の形態につき図面を参照して説明する。以下は本発明の一実施形態であって本発明を限定するものではない。
【0025】
〔第1の実施形態〕
まず、本発明の第1の実施形態につき、図1及び図2を参照して説明する。
図1を参照して、本実施形態のインクジェットプリンタのインクヘッドと光源ユニットと記録媒体の位置関係を説明する。図1(a)はインクジェットプリンタ10の平面図であり、図1(b)はインクジェットプリンタ10の正面図である。
インクジェットプリンタ10は、紫外線硬化性のインク滴を記録媒体4に向けて吐出し、その後、記録媒体4のうちインク滴が着弾した領域に紫外線を照射することで、記録媒体4に画像を形成するものである。
【0026】
図1(a)、(b)に示すように、インクジェットプリンタ10は、インクヘッド1a,1b,1c,1dと、光源ユニット2a,2b,2c,2dと、インクヘッド1a,1b,1c,1dと光源ユニット2a,2b,2c,2dを搭載し、矢印X方向に沿って移動可能なキャリッジ3と、キャリッジ3をキャリッジレール5に沿って移動させる機構(図示せず)と、記録媒体4を矢印Y方向に搬送する機構(図示せず)とを備える。
【0027】
本実施形態では、ブラック(K)、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の4色のインクを吐出できるよう、4個のインクヘッド1a,1b,1c,1dがキャリッジ3に設置される。各インクヘッド1a,1b,1c,1dは、各色のインクを吐出するノズル(図示せず)を備え、各インクに対応するインクタンク(図示せず)から供給されたインクをインク滴として記録媒体4に吐出する。ノズルはインクヘッド1a,1b,1c,1dに矢印Y方向に連続して列をなして設けられている。
【0028】
画像形成時の記録媒体4のインクヘッド1aに対する相対走査方向(矢印X方向と逆方向)にインクヘッド1aにより吐出されたインクを硬化させる光源ユニット2aが設置される。光源ユニット2aは、インクヘッド1aにより吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線を照射する。同様に、画像形成時の記録媒体4の各インクヘッド1b,1c,1dに対する相対走査方向(矢印X方向と逆方向)に各インクヘッド1b,1c,1dに対応するインクを硬化させる各光源ユニット2b,2c,2dが設置される。各光源ユニット2b,2c,2dは、対応するインクヘッド1b,1c,1dにより吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線を照射する。
【0029】
キャリッジ3は、記録媒体4に対して矢印X方向に往復移動が可能である。キャリッジ3がキャリッジレール5に沿って矢印X方向に移動する一方で、インクヘッド1a,1b,1c,1dが記録媒体4にインク滴を吐出し、光源ユニット2a,2b,2c,2dが記録媒体4に着弾したインクに紫外線を照射することで、画像が形成される。矢印X方向に画像形成が終了すると、キャリッジ3はキャリッジレール5に沿って矢印X方向と逆方向に移動する。矢印X方向の画像形成の進行に応じて、記録媒体4は矢印Y方向に搬送される。
【0030】
次に、光源ユニット内でのLDとシリンドリカルレンズの配置を説明する。図2(a)は、図1(a)において、光源ユニット2a,2b,2c,2dを矢印Y方向に見た模式図である。図2(b)は、図1(a)において、光源ユニット2a,2b,2c,2dを矢印X方向と逆方向に見た模式図である。図2(a)、(b)に示す光源ユニット2−1が、図1(a)、(b)における光源ユニット2a,2b,2c,2dに適用される。
【0031】
図2(a)、(b)に示すように、光源ユニット2−1は、光源としてLD6と、光学部材としてシリンドリカルレンズ7とを備える。光源ユニット2−1内で、LD6とシリンドリカルレンズ7は距離L1だけ離して配置されている。L1はシリンドリカルレンズ7の焦点距離fと等しくする。また、シリンドリカルレンズ7と記録媒体4の距離をL2とする。LD6が発した紫外線は、断面略楕円状に拡がる。つまり、図2(a)におけるLD6が発する紫外線の矢印X方向の拡がり角θ1と、図2(b)におけるLD6が発する紫外線の矢印Y方向の拡がり角θ2は異なり、θ1<θ2である。
【0032】
図2(a)に示すように、LD6が発した紫外線はシリンドリカルレンズ7により、矢印X方向にコリメートされる。LD6が発した紫外線は、拡がり角の小さい方向にコリメートされるので、より効果的に紫外線が拡がることを抑えることができる。そのため、例えば、図1において、光源ユニット2aとインクヘッド1a,1bとの距離を小さくすることができる。これにより、プリンタを小型化することができる。一方、図2(b)に示すように、シリンドリカルレンズ7はLD6が発した紫外線を矢印Y方向には光学的方向を変化させない。つまり、矢印Y方向にはシリンドリカルレンズ7の前後で入射光と透過光の方向が同じである。矢印Y方向には光学的方向を変化させないので、矢印Y方向に紫外線の照射範囲を広く維持することができる。
また、光を矢印X方向にコリメートさせるので、照射強度が強められる。そのため、インク硬化までに必要な照射時間が短くなり、紫外線を作業効率よく照射することができる。したがって、印刷の高速化を阻害しない。
また、光源ユニット2−1とインクヘッドとの離間距離を、LD6から記録媒体4までの距離に依存せずに設定することができる。そのため、光源ユニット2−1は、その設置高さの精度を厳しく求められることがないとともに、設置高さの異なる異機種への適用が可能である。
【0033】
シリンドリカルレンズ7を通った後の紫外線は矢印X方向には、平行光となる。矢印X方向に紫外線が拡がっている場合は、記録媒体4で反射した反射光により、光源ユニット2−1の前後のインクヘッド(例えば、図1において、光源ユニット2aについてはインクヘッド1a,1b)の着弾前のインクを硬化させてしまうおそれがある。反射光による着弾前のインクの照射を防ぐためには、矢印X方向には平行光又はより内側に絞った状態にするのが好ましい。
図2(a)、(b)では、シリンドリカルレンズ7がLD6が発した紫外線を矢印Y方向に光学的方向を変化させない場合を示したが、LD6が発した紫外線を矢印Y方向に拡大する光学部材を用いてもよい。この場合、矢印Y方向に紫外線の照射範囲を拡げることができる。
【0034】
次に、図2を参照して紫外線の照射エネルギーについて、近似計算を行う。実際には、LD6が発する紫外線は断面略楕円状に拡がり、シリンドリカルレンズ7により一方向にコリメートされた後も断面略楕円状に拡がるが、ここでは、簡単のため、照射される範囲を幅D1、D2の長方形とする。また、照射強度は場所によらず一定であると近似する。また、シリンドリカルレンズ7内の矢印Y方向の屈折は無視する。
【0035】
記録媒体4上のX方向、Y方向の照射幅D1、D2は
D1=2×L1×tanθ1(cm)
D2=2×(L1+L2)×tanθ2(cm)
であるから、記録媒体4上の照射面積Sは近似的に
S=D1×D2(cm2)
で表される。LD6の定格出力をP(mW)とすると、紫外線照射強度Iは
I=(P×k)/(D1×D2)(mW/cm2)
となる。ここで、kは光学効率であり、シリンドリカルレンズ7の特性による定数である。紫外線照射時間Tは近似的に
T=D1/v(sec)
で表される。ここで、vは光源ユニット2−1と記録媒体4の相対走査速度である。ここでは、記録媒体4に対するキャリッジ速度であるが、ラインヘッド方式の場合には、記録媒体が搬送される速度となる。したがって紫外線照射エネルギーQは
Q=I×T=(P×k×D1)/(D1×D2×v)(mJ/cm2)
と表される。紫外線照射エネルギーQがインクの硬化エネルギーより大きい場合には、インクが硬化される。
【0036】
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態につき、図3を参照して説明する。図3に、図1に示すインクジェットプリンタ10の光源ユニット2a,2b,2c,2d内にLDが複数設置されている場合を示す。
図3(a)は光源ユニット2−2にLDが3個設置された場合を示す斜視図である。LD6a,6b,6cが光源ユニット2−2の記録媒体4に対する移動方向である矢印X方向と垂直な方向に並べられている。図3(a)に示す矢印X及び矢印Yは、図1(a)に示す矢印X及び矢印Yに対応している。図3(a)に示す光源ユニット2−2が、図1(a)、(b)のインクジェットプリンタ10の光源ユニット2a,2b,2c,2dに適用される。
【0037】
LD6a,6b,6cが発した紫外線はシリンドリカルレンズ7により、矢印X方向にコリメートされるため、記録媒体4上での照射範囲は矢印Y方向に長い楕円形状をなす。それぞれの照射範囲の端部は互いに重なり合っている。図3(b)は、図3(a)において、記録媒体4上のある点に与えられる照射エネルギーの矢印Y方向の分布を示すグラフである。各グラフQ1,Q2,Q3は各LD6a,6b,6cから受ける照射エネルギー、グラフQ4はLD6a,6b,6cから受ける総照射エネルギーを示す。図3(b)に示すE0はインクの硬化エネルギーであり、インクが硬化するために必要な光エネルギーである。
【0038】
図3(b)の各グラフQ1,Q2,Q3に示すように、各LD6a,6b,6cから受ける照射エネルギーは、各LD6a,6b,6cの位置を中心としたピークをもち、各LD6a,6b,6cから離れるにしたがって小さくなる。
図3(b)のグラフQ1に示すように、LD6aのみによって紫外線が照射された場合、記録媒体4上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域は、LD6aの単光源有効照射領域A1である。グラフQ1において、LD6aの単光源有効照射領域A1の外側は、LD6aによって記録媒体4上のインクに与えられる照射エネルギーがインクの硬化エネルギー未満のLD6aの単光源端部照射領域である。また、グラフQ2に示すように、LD6bのみによって紫外線が照射された場合、記録媒体4上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域は、LD6bの単光源有効照射領域A2である。グラフQ2において、LD6bの単光源有効照射領域A2の外側は、LD6bの単光源端部照射領域である。また、グラフQ3に示すように、LD6cのみによって紫外線が照射された場合、記録媒体4上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域は、LD6cの単光源有効照射領域A3である。グラフQ3において、LD6cの単光源有効照射領域A3の外側は、LD6cの単光源端部照射領域である。
【0039】
LD6aの単光源有効照射領域A1とLD6bの単光源有効照射領域A2とを離間する離間領域B1は、LD6aの単光源端部照射領域とLD6bの単光源端部照射領域が重なった領域である。同様に、LD6bの単光源有効照射領域A2とLD6cの単光源有効照射領域A3とを離間する離間領域B2は、LD6bの単光源端部照射領域とLD6cの単光源端部照射領域が重なった領域である。例えば、グラフQ1に示すように、離間領域B1内の位置y1において、LD6aから受ける照射エネルギーはE1であり、インクの硬化エネルギーE0より小さい。また、グラフQ2に示すように、位置y1において、LD6bから受ける照射エネルギーはE1であり、インクの硬化エネルギーE0より小さい。グラフQ4に示すように、位置y1におけるLD6aとLD6bから受ける総照射エネルギーE2がインクの硬化エネルギーE0より大きくなるようにLD6a,6bが配置されている。同様に、離間領域B1のすべての位置が、LD6aの単光源端部照射領域とLD6bの単光源端部照射領域が重ねられることにより、有効照射領域となるようにLD6a,6bが配置されている。離間領域B2においても、LD6bの単光源端部照射領域とLD6cの単光源端部照射領域が重ねられることにより、有効照射領域となるようにLD6b,6cが配置されている。
これにより、矢印Y方向にインクを硬化させることが可能な領域を効率よく連続して長く設けることができ、有効照射領域Cにおいてインクを硬化させることが可能となる。また、照射光の場所による強度の差を小さくし、記録媒体4上のインクを均一的に硬化させることができる。
【0040】
LD6a,6b,6cによる記録媒体4上の照射範囲は略楕円形状であるので、隣接する2つのLDの照射光の重なる部分は照射幅が短くなる。そのため、LDの照射光が重ねられた部分の照射強度を高めにすることで、照射範囲の中心部との照射エネルギー差を小さくすることができる。
【0041】
なお、本実施形態では紫外線光源としてLDを用いたが、紫外線光源としてLEDを用いてもよい。
【0042】
上記第1の実施形態における光源ユニット2−1又は第2の実施形態における光源ユニット2−2と同じものを、以下のインクジェットプリンタ11〜13に使用することもできる。
【0043】
まず、図4を参照して、シリアルヘッド方式でインクヘッドが記録媒体上を双方向に画像を形成するインクジェットプリンタのインクヘッドと光源ユニットの配置を説明する。図4は、インクジェットプリンタ11の平面図である。図4に示すように、インクジェットプリンタ11は、インクヘッド1a,1b,1c,1dと、光源ユニット2a,2b,2c,2d,2eと、インクヘッド1a,1b,1c,1dと光源ユニット2a,2b,2c,2d,2eを搭載し、矢印X1方向に沿って移動可能なキャリッジ3と、キャリッジ3をキャリッジレール5に沿って移動させる機構(図示せず)と、記録媒体4を矢印Y方向に搬送する機構(図示せず)とを備える。光源ユニット2a,2b,2c,2d,2eは、図2に示す光源ユニット2−1又は図3に示す光源ユニット2−2と同じものを用いる。
【0044】
図4において、キャリッジ3が矢印X1方向に移動する場合には、記録媒体4のインクヘッド1aに対する相対走査方向に設置された光源ユニット2aにより、インクヘッド1aから吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線が照射される。同様に、記録媒体4のインクヘッド1b,1c,1dに対する相対走査方向設置された光源ユニット2b,2c,2dにより、インクヘッド1b,1c,1dから吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線が照射される。
図4において、キャリッジ3が矢印X2方向に移動する場合には、記録媒体4のインクヘッド1aに対する相対走査方向に設置された光源ユニット2eにより、インクヘッド1aから吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線が照射される。同様に、記録媒体4のインクヘッド1b,1c,1dに対する相対走査方向に設置された光源ユニット2a,2b,2cにより、インクヘッド1b,1c,1dから吐出され、記録媒体4に着弾したインクに紫外線が照射される。
キャリッジ3が矢印X1、矢印X2のどちらの方向に移動する場合にも記録媒体4の各インクヘッド1a,1b,1c,1dに対する相対走査方向に光源ユニット2a,2b,2c,2d,2eが位置するように、各インクヘッド1a,1b,1c,1dが光源ユニット2a,2b,2c,2d,2eに挟まれて配置されている。矢印X1方向に移動する場合と矢印X2方向に移動する場合とで、光源ユニット2a,2b,2cが共用できるようになっている。インクヘッド1a,1b,1c,1dが記録媒体4上を双方向に画像を形成するので、印刷を高速化することができる。
【0045】
次に、ラインヘッド方式の場合のインクヘッドと光源ユニットの配置を示す。図5(a)は、インクジェットプリンタ12の平面図である。インクジェットプリンタ12は、インクヘッド1a,1b,1c,1dと、光源ユニット2a,2b,2c,2dと、記録媒体4を矢印Z方向に搬送する機構(図示せず)とを備える。光源ユニット2a,2b,2c,2dは、図2に示す光源ユニット2−1又は図3に示す光源ユニット2−2と同じものを用いる。
図5(a)に示すように、記録媒体4の各インクヘッド1a,1b,1c,1dに対する相対走査方向に各光源ユニット2a,2b,2c,2dが設置されている。記録媒体4が矢印Z方向に搬送される一方で、記録媒体4に各インクヘッド1a,1b,1c,1dからインクが吐出され、各光源ユニット2a,2b,2c,2dにより紫外線が照射されることで画像が形成される。インクが記録媒体4に着弾した後すぐ紫外線が照射されることによりインクが硬化されるので、ドットを小さくすることができる。
【0046】
図5(b)は、インクジェットプリンタ13の平面図である。インクジェットプリンタ13は、インクヘッド1a,1b,1c,1dと、光源ユニット2と、記録媒体4を矢印Z方向に搬送する機構(図示せず)とを備える。光源ユニット2は、図2に示す光源ユニット2−1又は図3に示す光源ユニット2−2と同じものを用いる。
図5(b)に示すように、記録媒体4のインクヘッド1a,1b,1c,1dに対する相対走査方向に1つの光源ユニット2が設置されている。記録媒体4が矢印Z方向に搬送される一方で、記録媒体4に各インクヘッド1a,1b,1c,1dからインクが吐出され、光源ユニット2により紫外線が照射されることで画像が形成される。光源ユニット2が1つでよいので、インクジェットプリンタ13を小型化することができる。
【0047】
シリアルヘッド方式の場合にも、図5(b)に示すように、複数のインクヘッドに対して光源ユニットを1つにすることができる。また、シリアルヘッド方式、ラインヘッド方式どちらの場合も、4つのインクヘッドに対して、2つの光源ユニットを用い、2色ずつインクを硬化させることも可能である。
【0048】
以上説明したように、上記の各実施形態によれば、LD6が発した紫外線はシリンドリカルレンズ7により、記録媒体4のインクヘッド1a,1b,1c,1dに対する相対走査方向にコリメートされるので、例えば、図1において、光源ユニット2aとインクヘッド1a,1bを近接させても、着弾前のインクに紫外線が照射されることはない。そのため、光源ユニット2a,2b,2c,2dとインクヘッド1a,1b,1c,1dとを、より高密度にキャリッジ3に搭載することができる。したがって、キャリッジが小型化され、ひいてはプリンタが小型化される。図1においては、例えば、光源ユニット2aとインクヘッド1a,1bとを間隔を設けて図示しているが、光源ユニット2aとインクヘッド1a,1bとを間隔を開けずに設置することも可能である。
【0049】
次に、本発明の実施形態として採用可能な技術事項につき項を分けて説明する。
<射出量>
1ドットあたりの射出量は2pl(ピコリットル)〜20plである。好ましくは4pl〜10plである。1ドットあたり20plを超えると高精細印字が難しく、また、1ドットあたり2pl未満では形成される画像の濃度が低くなってしまう。
【0050】
<ドット径>
記録媒体上に形成されるドット径は50μm〜200μmである。好ましくは50μm〜150μmであり、さらに好ましくは55μm〜100μmである。50μm未満では形成される画像の濃度が低くなってしまい、また、200μmよりも大きければ高精細印字が難しい。
【0051】
<インク>
用いられるインクは、実質的に水及び有機溶媒を含有しないことが望ましい。実質的に含有しないとは、水及び有機溶媒の含有量が1重量%未満であることをいう。
【0052】
<インクジェット方式>
インクジェットプリンタのインク吐出の駆動力として、インクに対しての適用範囲が広く、高速射出が可能な圧電体の圧電作用を利用する方式が好ましい。具体的には、圧電性基体上に形成された微細な溝の内部に電極膜が形成され、さらに絶縁膜で覆われてインク流路が構成されるインクジェットヘッド方式である。
【0053】
<照射線源>
紫外線、電子線、X線、可視光、赤外光などを照射する様々な線源を用いることが可能であるが、硬化性、線源のコスト等を考慮すると、紫外線を照射する線源が好ましい。
【0054】
<照射タイミング>
上記インクを用い、一定温度にインクを加温するとともに、着弾から照射までの時間を0.01秒〜0.5秒、好ましくは0.01秒〜0.3秒、さらに好ましくは0.01秒〜0.15秒後に照射線を照射することすることができる。このように着弾から照射までの時間を極短時間に制御することにより、着弾インクが硬化前に滲むことを防止することが可能となる。また、多孔質な記録媒体に対しても光源の届かない深部までインクが浸透する前にインクを硬化させることができるため、未反応モノマーの残留を抑えられ、臭気を低減できる。これは、高粘度のインクを用いることで大きな相乗効果をもたらすことになる。特に、25℃におけるインク粘度が35mPa・s〜500mPa・sのインクを用いると大きな効果を得ることができる。このような記録方法を取ることで、表面の濡れ性が異なる様々な記録媒体に対しても、着弾したインクのドット径を一定に保つことができ、画質が向上する。なお、カラー画像を得るためには、明度の低い色から順に重ねていくことが好ましい。明度の低いインクを重ねると、下部のインクまで照射線が到達しにくく、硬化感度の阻害、残留モノマーの増加及び臭気の発生、密着性の劣化が生じやすい。
【0055】
<インク加熱、ヘッド温調>
インクを30℃〜150℃に加熱し、インク粘度を下げて射出することが射出安定性の点で好ましい。さらに好ましくは40℃〜100℃である。30℃以下及び150℃以上では、射出が困難になる。光硬化性のインクは、概して水性インクより粘度が高いため、温度変動による粘度変動幅が大きい。粘度変動はそのまま液滴サイズ、液滴射出速度に大きく影響を与え、画質劣化を起こすため、インク温度をできるだけ一定に保つことが必要である。インク温度の制御幅は設定温度±5℃、好ましくは設定温度±2℃、さらに好ましくは設定温度±1℃である。インクジェットプリンタには、インク温度の安定化手段を備えるが、一定温度にする部位はインクタンク(中間タンクがある場合は中間タンク)からノズル射出面までの配管系、部材の全てが対象となる。
温度コントロールのため、温度センサーを各配管部位に複数設け、インク流量、環境温度に応じた加熱制御をすることが好ましい。また、加熱するヘッドユニットは、装置本体や外気からの温度の影響を受けないよう、熱的に遮断もしくは断熱されていることが好ましい。加熱に要するプリンタ立ち上げ時間を短縮するため、また熱エネルギーのロスを低減するために、他部位との断熱を行うとともに、加熱ユニット全体の熱容量を小さくすることが好ましい。
【0056】
<インク吸収性のない記録媒体>
本発明の実施形態として、インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)を用いることができる。インク吸収性のない記録媒体ないしインク吸収性の低い記録媒体(あるいは、インク非吸収性記録媒体)とは、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる記録媒体、あるいはインク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)からなる表面層(画像形成層)を有する記録媒体であり、インク吸収性のない材料ないしインク吸収性の低い材料(あるいはインク非吸収性材料)は、例えば各種の樹脂や金属である。
【0057】
<粘度>
本発明の実施形態におけるインクは、30℃での粘度が10mPa・s〜500mPa・sの液体である。より好ましくは、40mPa・s〜500mPa・sである。10mPa・s未満では滲みが劣化、また500mPa・sを超えると、画質の平滑性が失われる。また、このインクは60℃で3mPa・s〜30mPa・sの液体であることが好ましく、より好ましくは、3mPa・s〜20mPa・sである。3mPa・s以下では、高速射出に不具合を生じ、また30mPa・sでは、射出性が劣化する。
【0058】
【発明の効果】
上述したように、請求項1記載の発明によれば、光源が発した光を記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向にコリメートさせるので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えることができる。そのため、記録ヘッドと光源ユニットとの距離をより近づけることができ、プリンタを小型化することができるという効果がある。
また、光を前記相対走査方向にコリメートさせるので、照射強度が強められる。そのため、インク硬化までに必要な照射時間が短くなり、光を作業効率よく照射することができる。したがって、印刷の高速化を阻害しないという効果があるという効果がある。
また、光源が発した光を前記相対走査方向にコリメートさせるので、光源と記録ヘッドとの離間距離を、光源から記録媒体までの距離に依存せずに設定することができる。そのため、光源の設置高さの精度が厳しく求められることがないとともに、光源ユニットの異機種間の共用を可能とするという効果がある。
【0059】
上述したように、請求項2記載の発明によれば、光源が発した光を記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向にコリメートさせるので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、ノズル列の方向には光の照射範囲を広く維持することができるという効果がある。
【0060】
上述したように、請求項3記載の発明によれば、記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に垂直な方向には集光しないので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を広く維持することができるという効果がある。
【0061】
上述したように、請求項4記載の発明によれば、記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に垂直な方向に光を拡大するので、前記相対走査方向に光が拡がることを抑えつつ、これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を拡げることができるという効果がある。
【0062】
上述したように、請求項5記載の発明によれば、光源の拡がり角の小さい方向にコリメートさせるので、効果的に記録媒体の記録ヘッドに対する相対走査方向に光が拡がることを抑えることができる。そのため、記録ヘッドと光源ユニットとの距離をより近づけることができ、プリンタを小型化することができる。これに対し、前記相対走査方向に垂直な方向には光の照射範囲を広く確保することができるという効果がある。
【0063】
上述したように、請求項6記載の発明によれば、光源ユニットが複数の光源を備えるので、1つの光源による照射範囲がインクの付着範囲よりも狭い場合にも、インクを硬化させるのに必要な範囲に照射することができるという効果がある。
【0064】
上述したように、請求項7記載の発明によれば、一の光源の単光源端部照射領域と他の光源の単光源端部照射領域が重ねられることにより、離間領域が有効照射領域となるように、2つの光源が配置されるので、記録媒体上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域を効率よく連続させて長く設けることができるという効果がある。
また、光源の照射領域のうち外側ほど与えられる照射エネルギーが小さくなるが、隣接する2つの光源の単光源端部照射領域同士が重ねられることにより、照射エネルギーの場所による差が小さくなり、記録媒体上のインクを均一的に硬化させることができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明の第1の実施形態のインクジェットプリンタ10の平面図である。
(b)は本発明の第1の実施形態のインクジェットプリンタ10の正面図である。
【図2】(a)は、図1(a)において、光源ユニット2a,2b,2c,2dを矢印Y方向に見た模式図である。
(b)は、図1(a)において、光源ユニット2a,2b,2c,2dを矢印X方向と逆方向に見た模式図である。
【図3】(a)は本発明の第2の実施形態のインクジェットプリンタの光源ユニット2−2にLDが3個設置された場合を示す斜視図である。
(b)は、図3(a)において、記録媒体4上のある点に与えられる照射エネルギーの矢印Y方向の分布を示すグラフである。
【図4】本発明の一実施形態のインクジェットプリンタ11の平面図である。
【図5】(a)は、本発明の一実施形態のインクジェットプリンタ12の平面図である。
(b)は、本発明の一実施形態のインクジェットプリンタ13の平面図である。
【符号の説明】
1a,1b,1c,1d…インクヘッド 2…光源ユニット 2a,2b,2c,2d,2e…光源ユニット 2−1,2−2…光源ユニット 3…キャリッジ4…記録媒体 5…キャリッジレール 6…LD(光源) 6a,6b,6c…LD(光源) 7…シリンドリカルレンズ(光学部材) 10…インクジェットプリンタ 11…インクジェットプリンタ 12…インクジェットプリンタ 13…インクジェットプリンタ
Claims (7)
- 光が照射されることにより硬化するインクを記録媒体に吐出するノズルを有する記録ヘッドと、
前記記録媒体の前記記録ヘッドに対する相対走査方向に配置され、前記記録媒体に付着した前記インクに光を照射する光源ユニットとを備え、
前記光源ユニットには、前記インクに照射される光の光源と光学部材とが設けられ、
前記光源は、半導体レーザ又は発光ダイオードであり、
前記光学部材は、前記光源が発した光を前記相対走査方向にコリメートさせることを特徴とするインクジェットプリンタ。 - 前記ノズルが連続して設けられてノズル列が形成され、
前記ノズル列の方向が前記相対走査方向と直交するように前記記録ヘッドが配置されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。 - 前記光学部材は、前記光源が発した光を前記相対走査方向と垂直な方向に、光学的方向を変化させないことを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記光学部材は、前記光源が発した光を前記相対走査方向と垂直な方向に拡大することを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記光源の拡がり角の小さい方向が、前記相対走査方向と同じになるように、前記光源が配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
- 前記光源ユニットに複数の光源が前記記録媒体に平行かつ前記相対走査方向に垂直な方向に並べて備えられてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
- 1つの光源からの光によって前記記録媒体上のインクに硬化エネルギー以上の照射エネルギーが与えられる有効照射領域を単光源有効照射領域と呼び、
1つの光源からの光によって前記記録媒体上のインクに硬化エネルギー未満の照射エネルギーが与えられる照射領域を単光源端部照射領域と呼ぶとして、
一の光源の単光源有効照射領域とこれと隣接する他の光源の単光源有効照射領域とを離間する離間領域が設けられて、
前記一の光源の単光源端部照射領域と前記他の光源の単光源端部照射領域が重ねられることにより、前記離間領域が有効照射領域となるように、該2つの光源が配置されて前記光源ユニットが構成されたことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェットプリンタ。
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