JP2004167100A - 褥瘡防止クッション - Google Patents
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Abstract
【解決手段】複数の弾性材料を積層した積層弾性材製の主体部1に、窓孔2…を該主体部1の上下面に貫通させて形成するとともに、該窓孔2…に嵌合部材3…を取り外し自在に嵌合させてなる緩衝体a,a′を、上面に開口させた取出窓孔9を蓋材10によって開閉自在にしたクッションカバーbに収容してなる褥瘡防止クッション。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は褥瘡防止クッションに関する。
【0002】
【従来の技術】
褥瘡(いわゆる床擦れ)は、ベッドや椅子の上で頻繁に姿勢を変えることができないときに、身体の特定の部位が長時間にわたって圧迫されることによって発生する。
この褥瘡を防止するためのクッションとして、環状の緩衝体からなるドーナツ状のものが知られている。
このクッションは、上記緩衝体によって身体の特定の部位、特に患部に加わる体圧を緩衝して褥瘡の発生や悪化を防止することができるものと認められる(たとえば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
登録実用新案第3031011号公報(第1,3図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特に患部は、緩衝体に所要の緩衝作用があるとしても、その緩衝体に当接すること自体で痛みを感じるようなことがあるが、上記ドーナツ状のクッションでは、上記患部を中央孔に一致する状態にして使用しない限り、その他の部分では上記患部に当接せざるを得ないから使用上不都合であった。
また、上記ドーナツ状のクッションのように中央孔を備えていない形状のものでも、緩衝体が患部の全体に当接することとなるから、同様の不都合があった。
【0005】
そこで本発明は、上記の不都合を解消して患部に緩衝体が当接しないようにした褥瘡防止クッションを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明褥瘡防止クッションは、複数の弾性材料を積層した積層弾性材製の主体部1に、窓孔2…を該主体部1の上下面に貫通させて形成するとともに、該窓孔2…に嵌合部材3…を取り外し自在に嵌合させてなる緩衝体a,a′を、上面に開口させた取出窓孔9を蓋材10によって開閉自在にしたクッションカバーbに収容してなる。
【0007】
請求項2記載の本発明は、積層弾性材が、上層4,中層6および下層5からなり、それらのうち中層6の硬度が最も高い請求項1記載の褥瘡防止クッションである。
【0008】
請求項3記載の本発明は、積層弾性材の上層4の硬度が下層5の硬度よりも低い請求項2記載の褥瘡防止クッションである。
【0009】
請求項4記載の本発明は、積層弾性材の任意の層に多数の細孔15…を穿設した請求項1,2または3記載の褥瘡防止クッションである。
【0010】
請求項5記載の本発明は、上下面の柔軟材料の間に肉薄の弾性材料を内包してなる底敷材13を、上記緩衝体a,a′の下側に収容してなる請求項1,2,3または4記載の褥瘡防止クッションである。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、まず本発明の第1実施形態に係る褥瘡防止クッションについて図1〜4を参照し詳しく説明する。
【0012】
aはスポンジ等の弾性材料を積層した積層弾性材製で肉厚方形板状の主体部1に開設した複数の円形状の窓孔2…を該主体部1の上下面に貫通させて形成するとともに、その窓孔2…の各々に該窓孔2…と同形同大の嵌合部材3…を取り外し自在に嵌合させてなる緩衝体である。
【0013】
上記積層弾性材は、互いに硬度を異にする板状の弾性材料を3層に積層するとともに、それらを接着し一体化してなるもので、上記の3層は、上層4の硬度を下層5の硬度よりも低くし、中層6の硬度をその下層5の硬度よりも高くしてある。
このように硬度を異にする弾性材料を積層しているので、下層5,中層6が変形しない程度の小さな押圧力が外部から加えられたときには上層4のみがその押圧力に応じて変形して緩衝作用をする一方、上,下層4,5が完全に圧潰されるような大きな押圧力が加えられたときには中層6がその押圧力に応じて変形して緩衝作用をする。
上記積層弾性材は、上記の各層4〜6の硬度および厚さを適宜変更することよって、所要の硬度のものを作製することができる。
【0014】
上記嵌合部材3…は、上記主体部1と同じく積層弾性材からなるものであって、上記窓孔2…をたとえば打ち抜き形成するときに得られる打ち抜き片をもってあてることができる。それらの一側面には取出用溝7…を刻設し、それらを上記窓孔2…から取り出す際には、そこに指をかけて簡単に取り出すことができるようにしてある。
【0015】
上記主体部1および各嵌合部材3…の下面には、係止手段として、たとえばベルベットファスナー(いわゆるマジックテープ(登録商標))の掛け側ベルベット8…を取り付けてある。その取付けは、上記嵌合部材3…を上記窓孔2…に嵌合させたときに、該掛け側ベルベット8…が全体としてX字状となる配置にして行っている。
【0016】
なお、上記窓孔2…および嵌合部材3…の数,大きさ,形状は任意のものとすることができ、たとえば、図4に示した緩衝体a′のように、大きく開口させた窓孔2内に大きさ,形状の異なる複数の嵌合部材3…を嵌合させたものとすることができる。
【0017】
bは布帛,皮革等の柔軟材料、より好ましくは任意の方向に伸縮自在な伸縮性材料からなるクッションカバーであり、本発明褥瘡防止クッションcは、上記緩衝体aを該クッションカバーbに収容してなるものである。
【0018】
このクッションカバーbは上記緩衝体aを収容できる大きさにした平面方形の袋状のもので、その上面中央に該緩衝体aを出し入れするための方形状の取出窓孔9を開口させている。
10は、その1辺を上記取出窓孔9の縁部に縫合することによって該クッションカバーbに取り付けてある方形状の蓋材である。該蓋材10の残り3辺は、その蓋材10の縁部と上記取出窓孔9の縁部とに取り付けた一対のベルベットファスナー11で止着できるようになっており、上記取出窓孔9はこの蓋材10によって開閉自在とされている。
なお、上記の縫合した1辺にもベルベットファスナーを取り付けて4辺すべてをベルベットファスナーで止着してもよい。
【0019】
このクッションカバーb内には、該緩衝体aの主体部1および各嵌合部材3…の下面に取り付けた掛け側ベルベット8…と対になるベルベットファスナーの受け側ベルベット12…が該掛け側ベルベット8…と対応するX字状の配置で取り付けられている。
【0020】
このクッションカバーbへの上記緩衝体aの収容は、前者の受け側ベルベット12…に後者の掛け側ベルベット8…を係合させ、前者によって後者の底面,側面および上面外周部分を被覆するとともに、前者の取出窓孔9を蓋材10で閉じて後者の上面中央部分を被覆するようにして行う。
【0021】
上記構成の本発明褥瘡防止クッションcは、通常は上記収容状態において床やベッドあるいは各種の椅子に横臥したり座ったりするときに、マットあるいは座布団として敷いて使用することができるものであるが、特に、クッションカバーb内の上記緩衝体aが患部に当接しないように、その患部に対応する位置の嵌合部材3…を取り外し、窓孔2…を開口させることができるようにしたことを重要な点とする。
また、上記蓋材10を伸縮性材料からなるものとすれば、該蓋材10は開口させた上記窓孔2…に対応する箇所において突っ張ることなく、患部とともにその窓孔2…内に伸長するので、その患部を圧迫することがない。
さらに、その嵌合部材3…の取り外しは、蓋材10を開けて、上面に開口した取出窓孔9を通じて行うことができるので簡単である。
【0022】
次に、本発明の第2実施形態に係る褥瘡防止クッションについて図5,6を参照して説明する。
本実施形態に係る褥瘡防止クッションdは、上記第1実施形態の褥瘡防止クッションcのクッションカバーb内の底面に取り付けていた受け側ベルベット12…を省略し、上記緩衝体aの下側に底敷材を収容していることにおいて相違するのみである。そこで、同一の部分には同一符号を付して説明を省略し、以下にはその相違する点についてだけ説明する。
【0023】
13は、上下面の柔軟材料の間に上記主体部1にくらべてはるかに肉薄のスポンジ等の弾性材料を内包してなる方形状の底敷材である。その上面には、上記緩衝体aの主体部1および各嵌合部材3…の下面に取り付けた掛け側ベルベット8…と対になるベルベットファスナーの受け側ベルベット14…が、該掛け側ベルベット8…に対応するX字状の配置で取り付けられている。
【0024】
この底敷材13は、上記受け側ベルベット14…と掛け側ベルベット8…を係合させ、上記緩衝体aをその上側に重合した状態で上記クッションカバーb内に収容されているもので、これにより、褥瘡防止クッションdは、緩衝体aのみを収容した上記第1実施形態のものよりその緩衝作用を高めたものとなる。
また、この底敷材13は、上記窓孔2…の底を塞ぐ状態となるので、この褥瘡防止クッションdを、その所要位置の嵌合部材3…を取り外して使用している場合において、緩衝体aが体重等で極度に圧潰されたときにもなお、所要の緩衝作用をする。
【0025】
なお、上記各実施形態においては、緩衝体aの表面、すなわち上層4の表面に凹凸を設けることも好ましい。この凹凸により、身体への圧迫感を軽減でき、また、熱や湿気を逃がすことができる。
【0026】
また、上記緩衝体aの積層弾性材の構造も適宜変更することができる。上記では3層それぞれの硬度が異なるようにしたが、上層4と下層5とは、中層6よりも硬度の低いものであればよく、上,下層4,5の硬度を等しくしてもよい。
さらに、たとえば図7(a)に示すように任意の層に多数の細孔15…を穿設したものとすることにより、柔軟性を増すことができる。そのほか、図7(b)のように、たとえば4層を積層したものとするのも好ましい。
【0027】
上記嵌合部材3…は必ずしも積層弾性材製のものとする必要はなく、該積層弾性材よりも硬度の高い材料により製作することができる。
図8(a)に示した嵌合部材16は、図8(b)に示したパイプ状や中空球状に形成された数ミリ程度の大きさのプラスチック製充填材17…を袋材に多数充填して、上記窓孔2…に収容できる程度の大きさとしたもので、それは内部の充填材17…を流動させることにより自在に変形させることができるが、一つ一つの充填材17は押圧されてもほとんど弾性変形しない。
【0028】
したがって、褥瘡防止クッションc,dの使用時において、身体が過度に沈下してしまう場合に、この嵌合部材16…を患部以外の位置に当接するように窓孔2…に嵌合させておくことにより、身体を支持させて過度の沈下を防ぐことができる。
【0029】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように、本発明褥瘡防止クッションによれば次の効果を奏する。
緩衝体を、クッションカバーに収容してなるので、床やベッドあるいは各種の椅子に横臥したり座ったりするときに、マットあるいは座布団として敷いて使用することができる。
また、上記緩衝体は複数の弾性材料を積層した積層弾性材からなるので、各層の硬度および厚さを適宜決定することにより所要の硬度のものを作製することができ、その任意の層に多数の細孔を穿設すれば柔軟性を増すこともできる。
さらに、上記緩衝体が主体部に窓孔を上下面に貫通させて形成するとともに、その窓孔に嵌合部材を取り外し自在に嵌合させてなるので、上記緩衝体が患部に当接しないように、患部に対応する位置の上記嵌合部材を取り外して窓孔を開口させることができる。したがって褥瘡の発生の防止およびその悪化の防止に効果的である。
その嵌合部材の取り外しは、クッションカバーの上面に開口させた取出窓孔を通じて行えるので容易である。
【0030】
上記緩衝体の下側に底敷材を収容すれば、緩衝作用を高めることができる。その底敷材は上記窓孔の底を塞ぐ状態となるので、所要位置の嵌合部材を取り外して使用している場合において、緩衝体が体重等で極度に圧潰されたときにもなお、所要の緩衝作用をする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る褥瘡防止クッションの斜視図である。
【図2】図1のI−I線縦断端面図である。
【図3】本実施形態の緩衝体の斜視図である。
【図4】緩衝体の他の例の平面図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係る褥瘡防止クッションの縦断端面図である。
【図6】底敷材の斜視図である。
【図7】(a),(b)は、それぞれ緩衝体の他の例の要部縦断面図である。
【図8】(a)は嵌合部材の他の例の斜視図、(b)はその嵌合部材に充填される充填材の拡大斜視図である。
【符号の説明】
a,a′ 緩衝体
b クッションカバー
c,d 褥瘡防止クッション
1 主体部
2 窓孔
3 嵌合部材
4 上層
5 下層
6 中層
9 取出窓孔
10 蓋材
13 底敷材
Claims (5)
- 複数の弾性材料を積層した積層弾性材製の主体部に、窓孔を該主体部の上下面に貫通させて形成するとともに、該窓孔に嵌合部材を取り外し自在に嵌合させてなる緩衝体を、上面に開口させた取出窓孔を蓋材によって開閉自在にしたクッションカバーに収容してなることを特徴とする褥瘡防止クッション。
- 積層弾性材が、上層,中層および下層からなり、それらのうち中層の硬度が最も高いことを特徴とする請求項1記載の褥瘡防止クッション。
- 積層弾性材の上層の硬度が下層の硬度よりも低いことを特徴とする請求項2記載の褥瘡防止クッション。
- 積層弾性材の任意の層に多数の細孔を穿設したことを特徴とする請求項1,2または3記載の褥瘡防止クッション。
- 上下面の柔軟材料の間に肉薄の弾性材料を内包してなる底敷材を、上記緩衝体の下側に収容してなることを特徴とする請求項1,2,3または4記載の褥瘡防止クッション。
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