JP2004166588A - 練り製品の製造法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明では、大豆たん白と鶏肉に、食品添加物を使用しない弱足魚肉すり身を用いて、食品添加物の入った弱足魚肉すり身と同等の品質を作り出す製造法を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明は、ソルビトールなどの食品添加物を含有しない弱足魚肉すり身、大豆たん白及び鶏肉(むね)を用いて練り製品を製造する方法において、弱足魚肉すり身を2分し、カッティング工程に供する量が全体の40〜80%を添加し、残りの弱足魚肉すり身をニーダー工程に添加する練り製品の製造法である。
【選択図】 なし。
【解決手段】本発明は、ソルビトールなどの食品添加物を含有しない弱足魚肉すり身、大豆たん白及び鶏肉(むね)を用いて練り製品を製造する方法において、弱足魚肉すり身を2分し、カッティング工程に供する量が全体の40〜80%を添加し、残りの弱足魚肉すり身をニーダー工程に添加する練り製品の製造法である。
【選択図】 なし。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は弱足魚肉すり身を2分割して別々に添加し、練り製品に関する製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍魚肉すり身は、使用法が簡単で、貯蔵がしやすいことから水産練り製品の原料として幅広く活用されている。魚肉すり身として活用される魚種として、スケソウダラ、ミナミダラ、ホキ、シログチ、ハモ、キンメダイ、イトヨリダイ、パシフィックホワイティング、マアジなどが一般的に使用されており、この他にも、イワシ、ホッケ、タチウオ、サメ、サケなどが使用されている。特に、後者の原料は、ゲル強度が低い為単独では使用されず、スケソウダラなどのゲル強度の高い魚肉すり身と併用されている程度である。また、すり身の蛋白質は、筋原線維蛋白質と細胞外蛋白質の小型のものが混ざりあったものといえる。質の良い上級すり身の場合は、筋原線維蛋白質の割合が多く蒲鉾ゲルはしなやかで滑らかな弾力を形成する。
【0003】
通常、魚肉すり身を冷凍保存すると蛋白変性が生じる可能性があり、このような魚肉すり身を用いて練り製品を製造するとその製品の弾力の低下を引き起こす問題がある。従来は、冷凍保存している間に凍結変性を引き起こす可能性があるので、通常、砂糖・ソルビトール及びリン酸塩を添加及び混合し、蛋白質の周りの遊離状の自由水や蛋白質分子に結合している結合水の離脱を防止するすなわち凍結変性を防ぐ方法が行われている。また、魚肉すり身に食品添加物であるソルビトールを入れないで、食品添加物でない砂糖のみを入れた特殊な冷凍魚肉すり身を加工している物がある。
【0004】
練り製品に関する特許公報等は数多く、公開されている。従来では、練り製品の製造法が数多く知られているが、弱足魚肉すり身を製造工程上2分割して食感を良好にさせる方法については、知られていない。
【0005】
主な先願として、魚肉練製品についてであり、この発明は、白身の魚肉、油脂、及び大豆加工品を含有する第1の魚肉すり身の外周を、赤身の魚肉を含有する第2の魚肉すり身で覆い、全体を覆い、全体を湯中浸漬してゲル化させてなることを特徴とする発明である(例えば、特許文献1参照)。また、練り製品及びその風味改良法は、豚ペースト、チキンペースト、魚肉の落し身、いわしすり身、植物性たん白等の風味の強い原材料を含む練り製品の生地に湯葉を練り込むことを特徴とする練り製品の製造法である(例えば、特許文献2参照)。さらに、魚肉加工品の製造法においては、製造工程において低粘度の大豆たん白溶液を魚肉塊の組織内に浸透させることを特徴とする魚肉加工品の製造法である(例えば、特許文献3参照)。一方、魚肉加工品の製造法では、大豆たん白及び具材を混合成型して得られた生地を湿式加熱し、次に焼成することを特徴とする魚肉加工品の製造法に関するものである(例えば、特許文献4参照)。しかし、本発明の練り製品の製造法は、弱足魚肉すり身を2分し、1部をカッティング工程に残部をニーダー工程に添加することを特徴とする製造法であり、従来技術にはなかった製造法である。
【特許文献1】特開平11−196822号公報
【特許文献2】特開平11−332516号公報
【特許文献3】特開2000−287646号公報
【特許文献4】特開2002−153243号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、食品添加物であるソルビトールあるいはリン酸塩を使用しているため、健康志向ブームの中で好まれない一面を持っている。そこで、食品添加物無しの原料を使用することにより健康志向にそった配慮が必要である。
また、食品添加物を使用しないで、砂糖のみで凍結変性防止の働きをさせているが、食品添加物を入れた時と比べれば、凍結変性防止が弱い事が指摘されている。
そこで、本発明では、大豆たん白、鶏肉に食品添加物を使用しないすり身を用いて、食品添加物の入ったすり身と同等の品質を作り出す製造法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、弱足魚肉すり身を含む練り製品を製造する方法において、弱足魚肉すり身を2分し、1部をカッティング工程に、残部をニーダー工程に添加することを特徴とする練り製品の製造法に関する。より詳しくは、弱足魚肉すり身に大豆たん白、鶏肉を添加しても良いし、弱足魚肉すり身が食品添加物を含有しない冷凍すり身であって、すり身を使用する中のカッティング工程に供する量が全体の40〜80%が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる弱足魚肉すり身とは、足の弱い魚(弱足魚肉)のすり身であり、赤身の魚類が多い。例えば、サケ、マス、いわし、メバチや淡水魚などが挙げられる。本発明で使用する弱足魚肉すり身は、坐りの強さのゲル強度においては、概ね1000g/cm2以下のものである。この事から、魚肉すり身の足の強さは、ゲル強度が大きく関連していると言える。一般的にゲル強度は、高い強度は約3000g/cm2で、低い強度は約200g/cm2である。
練り製品は、魚肉すり身に食塩、砂糖や調味料を加え、好みに応じて大豆たん白や鶏肉を加えてカッティングして練り合わせた後、成型、加熱、殺菌したものである。かまぼこ、魚肉のソーセージ、ちくわ、フィッシュハンバーグ、はんぺん、だて巻きなどがある。
すり身を2分するとは、魚肉すり身を2分割することであり、本発明では重要な意味を持ち、2分された中の1部をカッティング工程に、残部をニーダー工程に添加する。
【0009】
本発明に用いるカッティング工程とは、丸型の形の多数(例えば6枚)の刃がついたサイレントカッター等の機械で、原料の大豆たん白、水、油をカッティングしてエマルジョンを調製したり、更にすり身や鶏肉や食塩などを加えてカッティングしてつなぎ部を調製する工程をいう。これは、主に大豆たん白などを乳化させたり、魚肉すり身を練りこむ際に使用する。
本発明に用いるニーダー工程とは、主に野菜などの具材をつなぎ材と混合させる工程をいう。
【0010】
大豆たん白とは、大豆の採油用の種実若しくはその脱脂物に加工処理を施してたん白含有率を高めた物に、加熱、加圧等の物理作用によりゲル形成性、乳化性等の機能またはかみごたえを与え、粉末状、ペースト状、粒状または繊維状にしたものであって、主原料に由来するたん白質含有率が50%を超えた物である。ただし、粉末状大豆たん白では60%以上、粒状大豆たん白では、52%以上、繊維状大豆たん白では60%以上含有する(昭和63年3月9日 官報 農林省告示第228号)。本発明に用いる大豆たん白は乳化力の強い粉末状大豆たん白が好ましく、油と水を乳化させることが出来、鶏肉と弱足魚肉すり身とをつなぎ合わせる役割を果たす。鶏肉はどの部位の鳥肉でも良いが、好ましくはむね肉が好ましく、風味や食感を向上させる働きをする。
【0011】
食品添加物とは、食品衛生法で「食品の製造過程で、または加工、保存の目的で使用するもの」と定められているが、本発明では、凍結変性防止剤を指し、具体的には冷凍魚肉すり身などの品質を安定させることを目的としているソルビトールやリン酸ナトリウム等を云う。そのほか凍結変性を防止する目的で、食品添加物ではない砂糖なども用いられている。通常使用している弱足魚肉すり身は、4〜8%の食品添加物が使用されている。しかし、今回使用している弱足魚肉すり身(いわし)は、砂糖のみ添加されているが、食品添加物は使用していないすり身である。
【0012】
本発明に用いる原材料は、油、卵、魚肉すり身、食塩、砂糖、香辛料等の調味料、鶏肉、豚肉等の畜肉類、粉末状植物性たん白や粒状植物性たん白等の大豆たん白及びパン粉等の加工穀物類等が用いられる。
練り製品は、魚肉すり身単独又は魚肉すり身と大豆たん白又は魚肉すり身と大豆たん白及び鶏肉を用いて調製する。弱足魚肉すり身の中、40〜80%をカッティング工程に供して、残部の60〜20%をニーダー工程に添加するのが望ましい。具材は、約5mmのダイス状のものが望ましく、豆腐などを入れるのも好ましい。また、つなぎ材は具材と合わせ、混合して生地とし、必要に応じて成型し、加熱殺菌する。また、成型は、シャッター式成型、絞り出し成型など任意である。
【0013】
加熱方法は特に限定されないが、油中加熱は、油温度が160℃以上、蒸し加熱は、中心温度が80℃以上、焼き加熱は、うすく焼き色がつく程度で実施するのが望ましい。油中加熱は、油温が160℃以上でないと表面の固化の程度が不十分である。蒸し加熱は、中心温度が80℃以上でないと、製品状態での具材が火の通りの良い状態ならない。焼き加熱は、焼き色がつきすぎると焦げくさくなる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明の実施様態を具体的に説明するが、本発明がこれらによってその技術範囲が限定されるものではない。
(実施例1)
粉末状大豆たん白10重量部(以下、部と記す)、水45部、菜種油13部をサイレントカッターでカッティングしエマルジョンを調整した。このエマルジョンに鶏肉(むね)30部、いわしすり身(半解凍状態)45部、最後に食塩を2部加えたつなぎ材を得た。ミキサーに半解凍いわしすり身35部(これは、6mmチョッパーで処理したもの)、粒状大豆たん白20部と水25部、しょうが4部、豚脂20部、鶏卵20部、調味料15部を投入し、さらに上記のつなぎ材145部を加え混合しさらにたまねぎ80部、パン粉10部、豆腐20部、でん粉5部を混合し、生地を得た。この生地を85gのはんぺん型に成型し、油温度160℃で50秒フライし、更に90℃で10分間蒸煮後、冷却、急速凍結した。尚、実施例1に用いた冷凍いわしすり身は、食品添加物は含有しないすり身で、ゲル強度は447g/cm2とゲル強度の比較的低い弱足魚肉すり身である。
【0015】
(比較例1)
サイレントカッターでカッティングする時、いわしすり身45部の代わりに80部(全量)に置き換え、ミキサーには入れなかった以外は実施例1と同様に実施した。
尚、使用したすり身は、いわし96%、砂糖4%の食品添加物(ソルビトール)が添加されていない弱足魚肉すり身を使用した。
【0016】
【0017】
電子レンジ調理後の加工されたすり身の品質評価を熟練したパネラー10名で5点評価法(5点なめらか、4点ややなめらか、3点普通、2点ややべとつく、1点べとつく)で行い、平均値とった結果を表2に示した。電子レンジ調理は、電子レンジで約2分間暖めた。
実施例1の加工されたすり身は、比較例1と比べ電子レンジ調理後は、明らかになめらかな食感であった。比較例1は明らかにべとついていた。
【0018】
(実施例2)
カッターに入れるすり身45部の代わりに40部とし、ミキサーに入れるすり身35部の代わりに40部にした以外は実施例1と同様に実施した。
【0019】
(実施例3)
カッターに入れるすり身45部の代わりに30部とし、ミキサーに入れるすり身35部の代わりに50部にした以外は実施例1と同様に実施した。
【0020】
【0021】
実施例2の加工されたすり身は、実施例3に比べ電子レンジ調理後はややなめらかな食感であった。実施例3は、なめらかな食感でもなく、べとついていた食感もしなかった。
【0022】
(実施例4)
サイレントカッターに入れるいわしすり身45部の代わりに60部とし、ミキサーに入れるいわしすり身35部の代わりに20部にした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0023】
(実施例5)
サイレントカッターに入れるいわしすり身45部の代わりに70部とし、ミキサーに入れるいわしすり身35部の代わりに10部にした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0024】
【0025】
実施例4の加工されたすり身は、実施例5に比べ電子レンジ調理後にややなめらかな食感で、実施例1に近かった。実施例5においては実施例4よりもややべとついた食感が得られた。
【0026】
(比較例2)
サイレントカッターでカッティングする時、いわしすり身45部の代わりに80部(全量)に置き換え、ミキサーには入れなかった以外は実施例1と同様に実施した。
但し、使用した冷凍いわしすり身は、いわし96%、食品添加物(ソルビトール)4%が添加されている食品添加物入り弱足魚肉すり身を使用した。
【0027】
【0028】
比較例2の加工されたすり身は、電子レンジ調理後になめらかな食感で、実施例1に近かった。このことから、実施例1と比較例2は、同等の品質を得ることができた。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により食品添加物(ソルビトールなど)を使用しない弱足魚肉すり身を2分し、一部をカッティング工程、一部を混合工程に分けて添加することにより、製造した練り製品がなめらかな食感に仕上げることができた。
【発明の属する技術分野】
本発明は弱足魚肉すり身を2分割して別々に添加し、練り製品に関する製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
冷凍魚肉すり身は、使用法が簡単で、貯蔵がしやすいことから水産練り製品の原料として幅広く活用されている。魚肉すり身として活用される魚種として、スケソウダラ、ミナミダラ、ホキ、シログチ、ハモ、キンメダイ、イトヨリダイ、パシフィックホワイティング、マアジなどが一般的に使用されており、この他にも、イワシ、ホッケ、タチウオ、サメ、サケなどが使用されている。特に、後者の原料は、ゲル強度が低い為単独では使用されず、スケソウダラなどのゲル強度の高い魚肉すり身と併用されている程度である。また、すり身の蛋白質は、筋原線維蛋白質と細胞外蛋白質の小型のものが混ざりあったものといえる。質の良い上級すり身の場合は、筋原線維蛋白質の割合が多く蒲鉾ゲルはしなやかで滑らかな弾力を形成する。
【0003】
通常、魚肉すり身を冷凍保存すると蛋白変性が生じる可能性があり、このような魚肉すり身を用いて練り製品を製造するとその製品の弾力の低下を引き起こす問題がある。従来は、冷凍保存している間に凍結変性を引き起こす可能性があるので、通常、砂糖・ソルビトール及びリン酸塩を添加及び混合し、蛋白質の周りの遊離状の自由水や蛋白質分子に結合している結合水の離脱を防止するすなわち凍結変性を防ぐ方法が行われている。また、魚肉すり身に食品添加物であるソルビトールを入れないで、食品添加物でない砂糖のみを入れた特殊な冷凍魚肉すり身を加工している物がある。
【0004】
練り製品に関する特許公報等は数多く、公開されている。従来では、練り製品の製造法が数多く知られているが、弱足魚肉すり身を製造工程上2分割して食感を良好にさせる方法については、知られていない。
【0005】
主な先願として、魚肉練製品についてであり、この発明は、白身の魚肉、油脂、及び大豆加工品を含有する第1の魚肉すり身の外周を、赤身の魚肉を含有する第2の魚肉すり身で覆い、全体を覆い、全体を湯中浸漬してゲル化させてなることを特徴とする発明である(例えば、特許文献1参照)。また、練り製品及びその風味改良法は、豚ペースト、チキンペースト、魚肉の落し身、いわしすり身、植物性たん白等の風味の強い原材料を含む練り製品の生地に湯葉を練り込むことを特徴とする練り製品の製造法である(例えば、特許文献2参照)。さらに、魚肉加工品の製造法においては、製造工程において低粘度の大豆たん白溶液を魚肉塊の組織内に浸透させることを特徴とする魚肉加工品の製造法である(例えば、特許文献3参照)。一方、魚肉加工品の製造法では、大豆たん白及び具材を混合成型して得られた生地を湿式加熱し、次に焼成することを特徴とする魚肉加工品の製造法に関するものである(例えば、特許文献4参照)。しかし、本発明の練り製品の製造法は、弱足魚肉すり身を2分し、1部をカッティング工程に残部をニーダー工程に添加することを特徴とする製造法であり、従来技術にはなかった製造法である。
【特許文献1】特開平11−196822号公報
【特許文献2】特開平11−332516号公報
【特許文献3】特開2000−287646号公報
【特許文献4】特開2002−153243号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、食品添加物であるソルビトールあるいはリン酸塩を使用しているため、健康志向ブームの中で好まれない一面を持っている。そこで、食品添加物無しの原料を使用することにより健康志向にそった配慮が必要である。
また、食品添加物を使用しないで、砂糖のみで凍結変性防止の働きをさせているが、食品添加物を入れた時と比べれば、凍結変性防止が弱い事が指摘されている。
そこで、本発明では、大豆たん白、鶏肉に食品添加物を使用しないすり身を用いて、食品添加物の入ったすり身と同等の品質を作り出す製造法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決する為の手段】
本発明は、弱足魚肉すり身を含む練り製品を製造する方法において、弱足魚肉すり身を2分し、1部をカッティング工程に、残部をニーダー工程に添加することを特徴とする練り製品の製造法に関する。より詳しくは、弱足魚肉すり身に大豆たん白、鶏肉を添加しても良いし、弱足魚肉すり身が食品添加物を含有しない冷凍すり身であって、すり身を使用する中のカッティング工程に供する量が全体の40〜80%が好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる弱足魚肉すり身とは、足の弱い魚(弱足魚肉)のすり身であり、赤身の魚類が多い。例えば、サケ、マス、いわし、メバチや淡水魚などが挙げられる。本発明で使用する弱足魚肉すり身は、坐りの強さのゲル強度においては、概ね1000g/cm2以下のものである。この事から、魚肉すり身の足の強さは、ゲル強度が大きく関連していると言える。一般的にゲル強度は、高い強度は約3000g/cm2で、低い強度は約200g/cm2である。
練り製品は、魚肉すり身に食塩、砂糖や調味料を加え、好みに応じて大豆たん白や鶏肉を加えてカッティングして練り合わせた後、成型、加熱、殺菌したものである。かまぼこ、魚肉のソーセージ、ちくわ、フィッシュハンバーグ、はんぺん、だて巻きなどがある。
すり身を2分するとは、魚肉すり身を2分割することであり、本発明では重要な意味を持ち、2分された中の1部をカッティング工程に、残部をニーダー工程に添加する。
【0009】
本発明に用いるカッティング工程とは、丸型の形の多数(例えば6枚)の刃がついたサイレントカッター等の機械で、原料の大豆たん白、水、油をカッティングしてエマルジョンを調製したり、更にすり身や鶏肉や食塩などを加えてカッティングしてつなぎ部を調製する工程をいう。これは、主に大豆たん白などを乳化させたり、魚肉すり身を練りこむ際に使用する。
本発明に用いるニーダー工程とは、主に野菜などの具材をつなぎ材と混合させる工程をいう。
【0010】
大豆たん白とは、大豆の採油用の種実若しくはその脱脂物に加工処理を施してたん白含有率を高めた物に、加熱、加圧等の物理作用によりゲル形成性、乳化性等の機能またはかみごたえを与え、粉末状、ペースト状、粒状または繊維状にしたものであって、主原料に由来するたん白質含有率が50%を超えた物である。ただし、粉末状大豆たん白では60%以上、粒状大豆たん白では、52%以上、繊維状大豆たん白では60%以上含有する(昭和63年3月9日 官報 農林省告示第228号)。本発明に用いる大豆たん白は乳化力の強い粉末状大豆たん白が好ましく、油と水を乳化させることが出来、鶏肉と弱足魚肉すり身とをつなぎ合わせる役割を果たす。鶏肉はどの部位の鳥肉でも良いが、好ましくはむね肉が好ましく、風味や食感を向上させる働きをする。
【0011】
食品添加物とは、食品衛生法で「食品の製造過程で、または加工、保存の目的で使用するもの」と定められているが、本発明では、凍結変性防止剤を指し、具体的には冷凍魚肉すり身などの品質を安定させることを目的としているソルビトールやリン酸ナトリウム等を云う。そのほか凍結変性を防止する目的で、食品添加物ではない砂糖なども用いられている。通常使用している弱足魚肉すり身は、4〜8%の食品添加物が使用されている。しかし、今回使用している弱足魚肉すり身(いわし)は、砂糖のみ添加されているが、食品添加物は使用していないすり身である。
【0012】
本発明に用いる原材料は、油、卵、魚肉すり身、食塩、砂糖、香辛料等の調味料、鶏肉、豚肉等の畜肉類、粉末状植物性たん白や粒状植物性たん白等の大豆たん白及びパン粉等の加工穀物類等が用いられる。
練り製品は、魚肉すり身単独又は魚肉すり身と大豆たん白又は魚肉すり身と大豆たん白及び鶏肉を用いて調製する。弱足魚肉すり身の中、40〜80%をカッティング工程に供して、残部の60〜20%をニーダー工程に添加するのが望ましい。具材は、約5mmのダイス状のものが望ましく、豆腐などを入れるのも好ましい。また、つなぎ材は具材と合わせ、混合して生地とし、必要に応じて成型し、加熱殺菌する。また、成型は、シャッター式成型、絞り出し成型など任意である。
【0013】
加熱方法は特に限定されないが、油中加熱は、油温度が160℃以上、蒸し加熱は、中心温度が80℃以上、焼き加熱は、うすく焼き色がつく程度で実施するのが望ましい。油中加熱は、油温が160℃以上でないと表面の固化の程度が不十分である。蒸し加熱は、中心温度が80℃以上でないと、製品状態での具材が火の通りの良い状態ならない。焼き加熱は、焼き色がつきすぎると焦げくさくなる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明の実施様態を具体的に説明するが、本発明がこれらによってその技術範囲が限定されるものではない。
(実施例1)
粉末状大豆たん白10重量部(以下、部と記す)、水45部、菜種油13部をサイレントカッターでカッティングしエマルジョンを調整した。このエマルジョンに鶏肉(むね)30部、いわしすり身(半解凍状態)45部、最後に食塩を2部加えたつなぎ材を得た。ミキサーに半解凍いわしすり身35部(これは、6mmチョッパーで処理したもの)、粒状大豆たん白20部と水25部、しょうが4部、豚脂20部、鶏卵20部、調味料15部を投入し、さらに上記のつなぎ材145部を加え混合しさらにたまねぎ80部、パン粉10部、豆腐20部、でん粉5部を混合し、生地を得た。この生地を85gのはんぺん型に成型し、油温度160℃で50秒フライし、更に90℃で10分間蒸煮後、冷却、急速凍結した。尚、実施例1に用いた冷凍いわしすり身は、食品添加物は含有しないすり身で、ゲル強度は447g/cm2とゲル強度の比較的低い弱足魚肉すり身である。
【0015】
(比較例1)
サイレントカッターでカッティングする時、いわしすり身45部の代わりに80部(全量)に置き換え、ミキサーには入れなかった以外は実施例1と同様に実施した。
尚、使用したすり身は、いわし96%、砂糖4%の食品添加物(ソルビトール)が添加されていない弱足魚肉すり身を使用した。
【0016】
【0017】
電子レンジ調理後の加工されたすり身の品質評価を熟練したパネラー10名で5点評価法(5点なめらか、4点ややなめらか、3点普通、2点ややべとつく、1点べとつく)で行い、平均値とった結果を表2に示した。電子レンジ調理は、電子レンジで約2分間暖めた。
実施例1の加工されたすり身は、比較例1と比べ電子レンジ調理後は、明らかになめらかな食感であった。比較例1は明らかにべとついていた。
【0018】
(実施例2)
カッターに入れるすり身45部の代わりに40部とし、ミキサーに入れるすり身35部の代わりに40部にした以外は実施例1と同様に実施した。
【0019】
(実施例3)
カッターに入れるすり身45部の代わりに30部とし、ミキサーに入れるすり身35部の代わりに50部にした以外は実施例1と同様に実施した。
【0020】
【0021】
実施例2の加工されたすり身は、実施例3に比べ電子レンジ調理後はややなめらかな食感であった。実施例3は、なめらかな食感でもなく、べとついていた食感もしなかった。
【0022】
(実施例4)
サイレントカッターに入れるいわしすり身45部の代わりに60部とし、ミキサーに入れるいわしすり身35部の代わりに20部にした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0023】
(実施例5)
サイレントカッターに入れるいわしすり身45部の代わりに70部とし、ミキサーに入れるいわしすり身35部の代わりに10部にした以外は、実施例1と同様に実施した。
【0024】
【0025】
実施例4の加工されたすり身は、実施例5に比べ電子レンジ調理後にややなめらかな食感で、実施例1に近かった。実施例5においては実施例4よりもややべとついた食感が得られた。
【0026】
(比較例2)
サイレントカッターでカッティングする時、いわしすり身45部の代わりに80部(全量)に置き換え、ミキサーには入れなかった以外は実施例1と同様に実施した。
但し、使用した冷凍いわしすり身は、いわし96%、食品添加物(ソルビトール)4%が添加されている食品添加物入り弱足魚肉すり身を使用した。
【0027】
【0028】
比較例2の加工されたすり身は、電子レンジ調理後になめらかな食感で、実施例1に近かった。このことから、実施例1と比較例2は、同等の品質を得ることができた。
【0029】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明により食品添加物(ソルビトールなど)を使用しない弱足魚肉すり身を2分し、一部をカッティング工程、一部を混合工程に分けて添加することにより、製造した練り製品がなめらかな食感に仕上げることができた。
Claims (4)
- 弱足魚肉すり身を含む練り製品を製造する方法において、弱足魚肉すり身を2分し、1部をカッティング工程に、残部をニーダー工程に添加することを特徴とする練り製品の製造法。
- 弱足魚肉すり身と大豆たん白、鶏肉を含む請求項1記載の製造法。
- 弱足魚肉すり身が食品添加物を含有しない冷凍すり身である請求項1又は2に記載の製造法
- 弱足魚肉すり身を使用する中のカッティング工程に供する量が全体の40〜80%である請求項1乃至3のいずれかに記載の製造法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002336038A JP2004166588A (ja) | 2002-11-20 | 2002-11-20 | 練り製品の製造法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2010233522A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Fuji Oil Co Ltd | 練り製品用つなぎ生地及びこれを用いた練り製品 |
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2002
- 2002-11-20 JP JP2002336038A patent/JP2004166588A/ja active Pending
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JP2010233522A (ja) * | 2009-03-31 | 2010-10-21 | Fuji Oil Co Ltd | 練り製品用つなぎ生地及びこれを用いた練り製品 |
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