JP2004164707A - 再生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来の再生装置におけるサーチ方法では、テープ上の位置検出精度が悪くロケートまたは頭出しなどのアクセスが遅くなるといった問題があった。
【解決手段】1はヘッドが搭載された回転ドラム、2は磁気テープ、3は磁気テープ2を送るキャプスタンモータ、4は磁気テープ2を供給する供給側リールモータ、5は磁気テープ2を巻き取る巻き取り側リールモータ、13は記録再生信号処理部14から出力される付帯情報、回転ドラム1のFG信号、キャプスタンモータ3のFG信号あるいはリールモータ4,5のFG信号に基づいてそれぞれのモータに駆動信号を出力して回転ドラム1の回転速度と磁気テープ2の送り速度を協調制御するサーチ制御部とで構成され、回転ドラム1が複数回回転する間に少なくとも1回は付帯情報を得るようにしたものである。
【選択図】 図1
【解決手段】1はヘッドが搭載された回転ドラム、2は磁気テープ、3は磁気テープ2を送るキャプスタンモータ、4は磁気テープ2を供給する供給側リールモータ、5は磁気テープ2を巻き取る巻き取り側リールモータ、13は記録再生信号処理部14から出力される付帯情報、回転ドラム1のFG信号、キャプスタンモータ3のFG信号あるいはリールモータ4,5のFG信号に基づいてそれぞれのモータに駆動信号を出力して回転ドラム1の回転速度と磁気テープ2の送り速度を協調制御するサーチ制御部とで構成され、回転ドラム1が複数回回転する間に少なくとも1回は付帯情報を得るようにしたものである。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ信号あるいは映像・音声信号が記録されたテープを再生する再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
データ信号あるいは映像・音声信号を記録して再生する再生装置の機能の一つに、磁気テープ上に記録された信号の中から所望信号の記録箇所を探すサーチ機能がある。例えば、テープドライブにおいてはロケート動作、ビデオテープレコーダにおいては頭出し動作などがある。近年、記録トラック幅の狭トラック化や記録波長の短波長化、ロングテープ長化などにより、磁気テープの記録容量が増加しており、このような中、サーチ機能の高速アクセス性が問題となっている。従来のサーチ方法では狭トラック化や短波長化によるサーチ時のデータ取れ率の低下、またこれに伴いテープ速度を制限することによりアクセス性が悪くなるという欠点があった。
【0003】
以下、従来の再生装置について、その一例を挙げて説明する。
【0004】
図11は従来の再生装置の構成を示すブロック図である。図11において、1はヘッド10a,10b,10c,10dが搭載された回転ドラムである。ヘッド10aは第1のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドL1と記す。ヘッド10bは第2のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドR1と記す。ヘッド10cは第1のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドL2と記す。ヘッド10dは第2のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドR2と記す。また、ヘッドL1とヘッドL2は回転ドラム上で対向して同じ高さに取り付けられている。また、ヘッドR1とヘッドR2も回転ドラム上で対向して同じ高さに取り付けられている。また、ヘッドL1とヘッドR1はトラック幅が一定となるように高さを異にして取り付けられている。また、ヘッドL2とヘッドR2も同様にして高さを異にして取り付けられている。15は回転ドラム1の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力する回転ドラムモータFG検出器、16は回転ドラム1を回転駆動させる回転ドラムモータ駆動部、40は回転ドラムモータFG検出器15から出力されるFG信号に基づいて駆動信号を回転ドラムモータ駆動部16に出力することで回転ドラム1の回転速度を制御する回転ドラム制御部、2は磁気テープ、3は磁気テープ2を送るキャプスタンモータ、6はキャプスタンモータ3の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するキャプスタンモータFG検出器、9はキャプスタンモータ3を回転駆動させるキャプスタンモータ駆動部、4は通常記録再生時や早送り時に磁気テープ2を供給する供給側リールモータ(以下、Sリールモータと記す)、7はSリールモータ4の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するSリールモータFG検出器、11はSリールモータ4を回転駆動させるSリールモータ駆動部、5は通常記録再生時や早送り時に磁気テープ2を巻き取る巻き取り側リールモータ(以下、Tリールモータと記す)、8はTリールモータ5の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するTリールモータFG検出器、12はTリールモータ5を回転駆動させるTリールモータ駆動部、14はデータや映像・音声などの主情報(以下では、メインデータと記す)とテープ上の位置情報などの付帯情報(以下では、サブコードと記す)を磁気テープ2に記録処理を行うあるいは磁気テープ2から再生処理を行う記録再生信号処理部、41は記録再生信号処理部14から出力されるサブコード、キャプスタンモータFG検出器6から出力されるFG信号、SリールモータFG検出器7から出力されるFG信号、TリールモータFG検出器8から出力されるFG信号に基づいて、キャプスタンモータ駆動部9,Sリールモータ駆動部11,Tリールモータ駆動部12のそれぞれに駆動信号を出力して磁気テープ2の送り速度を制御するテープ送り制御部である。
【0005】
以上のように構成された再生装置について、その動作を以下に説明する。まず、記録時の動作について、図11,図12,図13を参照しながら説明する。図12は、メインデータ・サブコードの記録タイミング図である。図13は、メインデータエリア・サブコードエリアのトラック上の配置図である。回転ドラムモータ検出器15から出力されるFG信号に基づいて、ヘッドL1,ヘッドL2のヘッドスイッチング信号(HSW_L)とヘッドR1,ヘッドR2のヘッドスイッチング信号(HSW_R)を記録再生信号処理部14で生成して、磁気テープ2の所定高さに来た時点でスイッチング動作するようにあらかじめ調整されているものとする。テープ送り制御部41では、記録時にはキャプスタンモータFG検出器から出力されるFG信号が通常速度に相当する周波数になるようにキャプスタンモータ駆動部9を通じてキャプスタンモータの回転速度を制御し、テープ送り速度が通常速度に制御する。また、一定のテープテンションがかかるように巻径に応じた駆動信号をSリールモータ駆動部11及びTリールモータ駆動部12に出力しSリールモータ及びTリールモータ5を制御する。この状態で、記録再生信号処理部14では、図12に示すタイミングでLch記録信号及びRch記録信号を各ヘッドに出力して、磁気テープ2にトラックパターンを形成する。図13に示すように磁気テープ2上にメインデータエリアとサブコードエリアとから成るトラックが形成される。図13において各ヘッドのトラックに対する配置を示し、ヘッドの各矢印は通常速度におけるヘッドの走査方向を示す。
【0006】
次にサーチ時の動作について、図11,図14を参照しながら説明する。図14は、サーチ方法の動作説明図である。なお、分かりやすく説明するために、RchのサブコードエリアとヘッドR1及びヘッドR2を除いて、LchだけのサブコードエリアとヘッドL1及びヘッドL2を記載している。テープ送り制御部41では、テープ速度を通常速度とは異ならせて走行させるなどして、すでに記録されたサブコードをヘッドにより再生して記録再生信号処理部14にてサブコードに含まれたテープ位置情報に基づいてテープ上の目的の位置をサーチする。このとき、テープ速度が速い場合には、一定のテープテンションがかかるように巻径に応じた駆動信号をSリールモータ駆動部11及びTリールモータ駆動部12に出力するとともに、それぞれのFG検出器7及び8から出力されるFG信号の周波数が巻径に応じた周波数になるようにSリールモータ4及びTリールモータ5を制御する。従来の方式では、テープ速度及び回転ドラムの回転速度をサブコードの取れ率を良くするという観点で制御されていなかったため、極端な例を示せば図14(a)に示すように、ヘッドL1及びヘッドL2では走査毎にサブコードエリアを取得できるテープ位相も存在するが、図14(b)に示すようにテープ位相がトラック幅分ずれた場合には、ヘッドL1及びヘッドL2では走査毎にサブコードエリアを取得することができないという問題を生じる。なお、Sリールモータ4とTリールモータ5のそれぞれの巻径に応じた制御については、特開平5−166257号公報に詳細な記述がある。また、サブコードエリアを再生してテープ上の目標位置にサーチする従来例として特開2000−90513号公報がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−90513号公報(段落番号[0067])
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の再生装置のサーチ方法では、アクセス性を良くするために高速でテープを走行させると、テープ上の位置情報の読み取り精度が悪いためにテープ上の目的の位置へ位置付けするときにオーバーラン量が大きくなる。特に、テープの巻始めや巻終わりでは、リーダーテープが走行系に引き出されるくらいにオーバーランしてしまう、または始終端に突入してしまう場合も考えられ、装置としての信頼性が著しく損なわれる。このために、テープ速度を制限するなどしてテープ上の位置情報を読み取るようにしてアクセス性能を落とす必要があった。
【0009】
本発明は、これらの課題を解決するもので、サブコードエリア等に記載された所望の情報の取得率を大幅に改善させることができる再生装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、第1の発明は、磁気テープに斜めに記録されたトラックを再生するヘッドが搭載された回転ドラムと、前記磁気テープを送る磁気テープ駆動手段と、前記回転ドラムの回転駆動を行う回転ドラム駆動手段と、前記磁気テープの送り速度が通常速度以外において前記回転ドラムがm(mは自然数)回転に少なくとも1回所望の情報を読み出すように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御する協調制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によって、回転ドラム上に搭載されたヘッドによる所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0012】
第2の発明は、前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、
vt=n1・k・vs0(ただし、n1は奇数またはそれに近似した値、kは装置の物理的な諸元で決まる定数)
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とするものである。
【0013】
本発明によって、回転ドラム上に搭載された互いに同じ高さに取り付けられたヘッドによる所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0014】
第3の発明は、前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、
vt=(n2・k1+k2)・vs0(ただし、n2は奇数またはそれに近似した値、k1及びk2は装置の物理的な諸元で決まる定数)
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とするものである。
【0015】
本発明によって、回転ドラム上に搭載された互いに異なる高さに取り付けられたヘッドによる所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0016】
第4の発明は、前記回転ドラムには、磁気テープに斜めにトラックを形成するように記録を行う第1のヘッドと第2のヘッドの少なくとも2つのヘッドが搭載され、前記磁気テープの幅方向の所定高さに前記第1のヘッドが達してから第1のタイミングで前記第1のヘッドに所望の情報を出力し、前記磁気テープの幅方向の所定高さに前記第2のヘッドが達してから第2のタイミングで前記第2のヘッドに所望の情報を出力する記録信号処理手段を具備することを特徴とするものである。
【0017】
本発明によって、必要とするテープ速度において回転ドラム上に搭載された互いに異なる高さに取り付けられたヘッドによる所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0018】
第5の発明は、前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、
vt=n1・k・vs0(ただし、n1は奇数またはそれに近似した値、kは装置の物理的な諸元で決まる定数)
及び、
vt=(n2・k1+k2)・vs0(ただし、n2は奇数またはそれに近似した値、k1及びk2は装置の物理的な諸元で決まる定数)
が共に成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とするものである。
【0019】
本発明によって、テープ速度の速度偏差や変動の影響があった場合においても所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0020】
第6の発明は、前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、前記磁気テープの送り速度vtが小さい場合には、
vt=n1・k・vs0(ただし、n1は奇数またはそれに近似した値、kは装置の物理的な諸元で決まる定数)
あるいは、
vt=(n2・k1+k2)・vs0(ただし、n2は奇数またはそれに近似した値、k1及びk2は装置の物理的な諸元で決まる定数)
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御し、前記磁気テープの送り速度vtが大きい場合には、少なくとも
vt=(n2・k1+k2)・vs0
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とするものである。
【0021】
本発明によって、テープ速度の速度偏差や変動の影響があった場合においても所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる実施の形態を示す再生装置について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
最初に、本発明に係わる第1の実施の形態を示す再生装置について説明する。図1は第1の実施の形態における再生装置の構成を示すブロック図である。図1において、1はヘッド10a,10b,10c,10dが搭載された回転ドラムである。ヘッド10aは第1のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドL1と記す。ヘッド10bは第2のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドR1と記す。ヘッド10cは第1のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドL2と記す。ヘッド10dは第2のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドR2と記す。また、ヘッドL1とヘッドL2は回転ドラム上で対向して同じ高さに取り付けられている。また、ヘッドR1とヘッドR2も回転ドラム上で対向して同じ高さに取り付けられている。また、ヘッドL1とヘッドR1はトラック幅が一定となるように高さを異にして取り付けられている。また、ヘッドL2とヘッドR2も同様にして高さを異にして取り付けられている。15は回転ドラム1の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力する回転ドラムモータFG検出器、16は回転ドラム1を回転駆動させる回転ドラムモータ駆動部、2は磁気テープ、3は磁気テープ2を送るキャプスタンモータ、6はキャプスタンモータ3の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するキャプスタンモータFG検出器、9はキャプスタンモータ3を回転駆動させるキャプスタンモータ駆動部、4は通常記録再生時や早送り時に磁気テープ2を供給する供給側リールモータ(以下、Sリールモータと記す)、7はSリールモータ4の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するSリールモータFG検出器、11はSリールモータ4を回転駆動させるSリールモータ駆動部、5は通常記録再生時や早送り時に磁気テープ2を巻き取る巻き取り側リールモータ(以下、Tリールモータと記す)、8はTリールモータ5の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するTリールモータFG検出器、12はTリールモータ5を回転駆動させるTリールモータ駆動部、50はデータや映像・音声などの主情報(以下では、メインデータと記す)とテープ上の位置情報などの付帯情報(以下では、サブコードと記す)を磁気テープ2に記録処理を行うあるいは磁気テープ2から再生処理を行う記録再生信号処理部、13は記録再生信号処理部50から出力されるサブコード、回転ドラムモータFG検出器15から出力されるFG信号、キャプスタンモータFG検出器6から出力されるFG信号、SリールモータFG検出器7から出力されるFG信号、TリールモータFG検出器8から出力されるFG信号に基づいて、回転ドラムモータ駆動部16に駆動信号を出力して回転ドラムの回転制御を行い、キャプスタンモータ駆動部9,Sリールモータ駆動部11,Tリールモータ駆動部12のそれぞれに駆動信号を出力して磁気テープ2の送り速度を制御するサーチ制御部である。
【0024】
尚、本実施の形態の構成要素において、「特許請求の範囲」の「磁気テープ駆動手段」はキャプスタンモータ3及びキャプスタンモータ駆動部9、あるいはSリールモータ4及びSリールモータ駆動部11,Tリールモータ5及びTリールモータ駆動部12に相当し、「回転ドラム駆動手段」は回転ドラム駆動部16に相当し、「記録信号処理手段」は記録再生信号処理部50のそれぞれ相当する。
【0025】
以上のように構成された再生装置について、その動作を以下に説明する。まず、記録時の動作について、図1,図2,図3を参照しながら説明する。図2は、メインデータ・サブコードの記録タイミング図である。図3は、メインデータエリア・サブコードエリアのトラック上の配置図である。回転ドラムモータ検出器15から出力されるFG信号に基づいて、ヘッドL1,ヘッドL2のヘッドスイッチング信号(HSW_L)とヘッドR1,ヘッドR2のヘッドスイッチング信号(HSW_R)を記録再生信号処理部50で生成して、磁気テープ2の所定高さに来た時点でスイッチング動作するようにあらかじめ調整される。サーチ制御部13では、記録時にはキャプスタンモータFG検出器6から出力されるFG信号が通常速度に相当する周波数になるようにキャプスタンモータ駆動部9を通じてキャプスタンモータの回転速度を制御し、テープ送り速度が通常速度に制御する。また、一定のテープテンションがかかるように巻径に応じた駆動信号をSリールモータ駆動部11及びTリールモータ駆動部12に出力しSリールモータ及びTリールモータ5を制御する。この状態で、記録再生処理部50では、図2に示すタイミングでLch記録信号及びRch記録信号を各ヘッドに出力して、磁気テープ2にトラックパターンを形成する。図3に示すように磁気テープ2上にメインデータエリアとサブコードエリアとから成るトラックが形成される。図3において各ヘッドのトラックに対する配置を示し、ヘッドの各矢印は通常速度におけるヘッドの走査方向を示す。
【0026】
次にサーチ時の動作について、図1,図4,図5を参照しながら説明する。図4は、サーチ制御部の詳細なブロック図である。図5は、サーチ方法の動作説明図である。図4において、20は記録再生信号処理部50から出力される付帯情報が入力されテープ上の目的の位置までの距離に応じてテープ送り速度を求めたり、テープ上の目的の位置を検出してテープ送り速度を制御したりするサブコード処理部、21はテープ速度と回転ドラムの周速度とを協調して制御させる協調速度指令部である。ここでは、サブコード処理部20から出力されるテープ速度情報に基づいて、速度が遅い場合には、キャプスタンモータ制御部23に速度基準信号を出力し、キャプスタンモータ制御部23ではキャプスタンモータのFG信号と速度基準信号とを比較することによってキャプスタンモータ駆動信号を出力する。また、速度が速い場合には、キャプスタンモータのFG信号とTリールモータ回転速度検出信号、SリールモータのFG信号からあらかじめTリールモータとSリールモータの巻径を演算し、Tリールモータ制御部24及びSリールモータ制御部25にそれぞれのリールの巻径に応じたTリールモータ回転速度基準信号とSリールモータ回転速度基準信号を出力し、Tリールモータ制御部24及びSリールモータ制御部25ではTリールモータのFG信号とTリールモータ回転速度基準信号を比較することによってTリールモータ駆動信号を出力し、SリールモータのFG信号とSリールモータ回転速度基準信号を比較することによってSリールモータ駆動信号を出力する。なお、Sリールモータ4とTリールモータ5のそれぞれの巻径に応じた回転制御については、特開平5−166257号公報に詳細な記述がある。
【0027】
尚、本実施の形態の構成要素において、「特許請求の範囲」の「協調制御手段」はサーチ制御部13に含まれる協調速度司令部21に相当する。
【0028】
図5を参照しながらテープ速度と回転ドラムの周速度について以下に詳細に説明する。図5において、サーチ時のヘッドL1及びヘッドL2の走査軌跡とLchトラックの中心軌跡、スチル時のヘッド走査軌跡を示す。ここでは、分かりやすく説明するためにヘッドR1及びヘッドR2の走査軌跡とRchトラックの中心軌跡については除いている。図中の●はLchサブコードエリアの中心位置を表す。Tpはトラック幅、vs0はヘッドL1及びヘッドL2のスチル時の走査速度、vtはテープ速度、Y0はヘッドL1またはヘッドL2が回転ドラム上を半回転するテープ幅方向の距離、t0はヘッドL1またはヘッドL2がテープ幅方向にY0分走査するためにかかる時間、θtはテープ長手方向に対するトラック角、θlはテープ長手方向に対するヘッドL1及びヘッドL2のスチル時の走査角を表す。この例では、Lchサブコードエリアの中心とヘッドL1走査軌跡の始点が一致している場合で、ヘッドL2走査軌跡の始点が2つの隣り合うLchサブコードエリアの中心から等距離にある点と一致している場合を示している。つまり、ヘッドL2がサブコードのエリアを走査しない場合には、ヘッドL1がサブコードのエリアを走査する軌跡になっている例である。このようなヘッドの走査をさせることで、ヘッドL1あるいはヘッドL2のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することが可能になる。テープ速度vtまたはスチル時のヘッド走査速度vs0をパラメータとしたときに、具体的にvtとvs0の関係を求める。図5から式を算出すると、次式で表すことができる。
【0029】
【数1】
【0030】
【数2】
【0031】
数1,数2からvtとvs0の関係式を求めると、
【0032】
【数3】
【0033】
として、
【0034】
【数4】
【0035】
あるいは、
【0036】
【数5】
【0037】
となる。このとき、Y0は次式で表される。
【0038】
【数6】
【0039】
数値例として、具体的な諸元値を代入して計算する。
トラック幅Tp=8.3[μm]
回転ドラム直径D=21.7[mm]
スチル角θl=9.1179[deg]
トラック角θt=9.1458[deg]
スチル時の走査速度vs0=πD×N/60[m/s]
(ただし、Nは回転ドラムの回転数[rpm])
通常速度では、テープ速度vt=45.952[mm/s]、回転ドラムの回転数N=13200[rpm]とする。例えばサーチ時のテープ速度が遅い場合のテープ速度vtを数5から求めると、N=13200[rpm],n1=7のときにvt=160.833[mm/s]となり、テープ速度3.5倍速にすればヘッドL1あるいはヘッドL2間のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。また、n1=9のときにvt=206.786[mm/s]となり、テープ速度4.5倍速にすればヘッドL1あるいはヘッドL2のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。また、サーチ時のテープ最高速度はリールモータの構成やリールモータ駆動回路、テープ走行系の制約で決まっていることがある。この場合に例えばテープ最高速度を105倍速にしたときに、スチル時の走査速度を数4から求めると、例えば表1では3通り示すように、n1をパラメータとしたスチル時の走査速度vs0または回転数Nが求められる。
【0040】
【表1】
【0041】
表に示すように回転ドラムの回転数Nを決めることでテープ速度の最高速度においてヘッドL1あるいはヘッドL2のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。
【0042】
なお、サーチ時のテープ速度が遅くキャプスタンモータでテープを走行させる場合(本実施の形態では5倍速未満)には、回転ドラムの回転数を通常とは変えずにサブコードエリアの走査率の良いテープ速度に設定することによって回転ドラムの制御引き込み特性の影響を受けずテープ速度の応答性を維持させることができる。また、テープ速度が早くリールモータでテープ走行させる場合(本実施の形態では5倍速以上)には、一般的にリールモータの制御引き込み特性は遅いため必要なテープ速度に合わせてサブコードエリアの走査率の良い回転ドラムの回転数を通常とは別に設定すればよい。
【0043】
次に図6、図7を参照しながら、ヘッドL1及びヘッドL2がサブコードエリアを走査してサブコードが読めるテープ位相範囲について説明する。図6はメインデータエリア・サブコードエリアが読み取れるテープ位相範囲の説明図である。図7はヘッドL1とヘッドL2とがサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲の説明図である。図6において、31,33はRchトラック、32はLchトラックを表し、TwはヘッドL1のヘッド幅、Tpはトラック幅、Wonはトラック32をヘッドL1で読み取るのに必要なオントラック再生幅、W1はトラック32に対してヘッドL1が左側から右側にかけてトラック32を読み取ることができる範囲を表す。
【0044】
W1は次式で表すことができる。
【0045】
【数7】
【0046】
ここで、W1>Tpが成り立つようにTwを設計することで、サーチ時にヘッドL1とヘッドL2の双方のヘッドでサブコードエリアが読めるテープ位相が存在し、テープ送り速度の偏差や変動によりヘッドとトラックとの位相が流れていてもヘッドL1またはヘッドL2のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。数7をW1>Tpに代入してTwを求めると、
【0047】
【数8】
【0048】
になる。
【0049】
このように第1の実施の形態においては、テープ速度と回転ドラムの回転数を協調して制御することで対向する2つのヘッド間(ここではヘッドL1とヘッドL2間)で少なくとも1つのヘッドがサブコードエリアを走査することができるので、安定したサブコード取れ率を確保することが可能でサーチ時におけるテープ上の位置情報の読み取り精度(読み出し率)を向上することができる。
【0050】
また、ヘッド幅を必要オントラック再生幅の2倍より広くすることでヘッドとトラックとの位相が流れていても対向する2つのヘッド間で、安定したサブコード取れ率を確保することができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、ヘッドL1及びヘッドL2を用いた場合を例にして説明したが、ヘッドR1及びヘッドR2を用いた場合でも同様である。
【0052】
さらに、本実施の形態では、ヘッドR1、R2に言及していないが、同時にサブコードエリアを走査するように設計しても良いし、しなくても良い。
【0053】
(第2の実施の形態)
本発明に係わる第2の実施の形態を示す再生装置について説明する。第2の実施の形態における再生装置の構成は、第1の実施の形態における再生装置の構成と同じ図1に示すブロック図で表される。なお、図1における各ブロックの説明は第1の実施の形態において先述したので省略する。
【0054】
また、記録時の動作及びサーチ時の基本動作についても第1の実施の形態と同様である。
【0055】
第2の実施の形態における再生装置において、サーチ動作におけるテープ速度と回転ドラムの周速度の制御について図8を参照しながら以下に説明する。図8において、サーチ時のヘッドR2及びヘッドL1、ヘッドR1及びヘッドL2の走査軌跡とLchトラックとRchトラックの中心軌跡、スチル時のヘッド走査軌跡を示す。LchトラックとRchトラックの中心軌跡はTp間隔で交互にある。図中の●はLchサブコードエリアの中心位置を表す。また図中の○はRchサブコードエリアの中心位置を表す。Tpはトラック幅、vs0は各ヘッド(ヘッドL1,ヘッドL2,ヘッドR1,ヘッドR2)のスチル時の走査速度、vtはテープ速度、Y0は各ヘッドが回転ドラム上を半回転するテープ幅方向の距離、Y1はヘッドR2とヘッドL1のテープ幅方向での距離あるいはヘッドR1とヘッドL2のテープ幅方向での距離、Y2はLchサブコードエリアの中心位置を変えて図中の点線で表す○に位置する場合におけるRchサブコードエリアの中心位置とのテープ幅方向の距離、t0は各ヘッドがテープ幅方向にY0分走査するためにかかる時間、θtはテープ長手方向に対するトラック角、θlはテープ長手方向に対する各ヘッドのスチル時の走査角、θsはテープ長手方向に対する各ヘッドのサーチ時の走査軌跡角を表す。この例では、Rchサブコードエリアの中心とヘッドR2の走査軌跡の終点が一致し、ヘッドL1走査軌跡の始点がRchトラックを隔てて2つの隣り合うLchサブコードエリアの中心から等距離にある点と一致しており、Lchサブコードエリアの中心とヘッドL2の走査軌跡の始点が一致し、ヘッドR1走査軌跡の終点がLchトラックを隔てて2つの隣り合うRchサブコードエリアの中心から等距離にある点と一致している場合を示している。つまり、ヘッドL1がサブコードのエリアを走査しない場合には、ヘッドR2がサブコードのエリアを走査する軌跡になっており、ヘッドL2がサブコードエリアを走査する場合には、ヘッドR1がサブコードエリアを走査しない軌跡になっている例である。テープ速度vtまたはスチル時のヘッド走査速度vs0をパラメータとしたときに、具体的にvtとvs0の関係を求める。図8から式を算出すると、次式で表すことができる。
【0056】
【数9】
【0057】
【数10】
【0058】
数9,数10からvtとvs0の関係式を求めると、
【0059】
【数11】
【0060】
【数12】
【0061】
として、
【0062】
【数13】
【0063】
あるいは、
【0064】
【数14】
【0065】
となる。このとき、Y0は次式で表される。
【0066】
【数15】
【0067】
数値例として、具体的な諸元値を代入して計算する。
トラック幅Tp=8.3[μm]
回転ドラム直径D=21.7[mm]
スチル角θl=9.1179[deg]
トラック角θt=9.1458[deg]
スチル時の走査速度vs0=πD×N/60[m/s]
(ただし、Nは回転ドラムの回転数[rpm])
ヘッドR2とヘッドL1とのテープ幅方向の距離Y1=43.692[mm]
通常速度では、テープ速度vt=45.952[mm/s]、回転ドラムの回転数N=13200[rpm]とする。例えばサーチ時のテープ速度が遅い場合のテープ速度vtを数14から求めると、N=13200[rpm],n2=1のときにvt=166.177[mm/s]となり、テープ速度3.62倍速にすればヘッドR2及びヘッドL1間、あるいはヘッドR1及びヘッドL2間のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。また、サーチ時のテープ最高速度を105倍速にしたときに、スチル時の走査速度を数13から求めると、例えば表2では3通り示すように、n2をパラメータとしたスチル時の走査速度vs0または回転数Nが求められる。
【0068】
【表2】
【0069】
表に示すように回転ドラムの回転数Nを決めることでテープ速度の最高速度においてヘッドR2及びヘッドL1間(あるいはヘッドR1及びヘッドL2間)のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。
【0070】
なお、サーチ時のテープ速度が遅くキャプスタンモータでテープを走行させる場合(本実施の形態では5倍速未満)には、回転ドラムの回転数を通常とは変えずにサブコードエリアの走査率の良いテープ速度に設定することによって回転ドラムの制御引き込み特性の影響を受けずテープ速度の応答性を維持させることができる。また、テープ速度が早くリールモータでテープ走行させる場合(本実施の形態では5倍速以上)には、一般的にリールモータの制御引き込み特性は遅いため必要なテープ速度に合わせてサブコードエリアの走査率の良い回転ドラムの回転数を通常とは別に設定すればよい。
【0071】
先に、第1の実施の形態において説明したようにサーチ時のテープ速度が遅い場合にはテープ速度を3.50倍速、4.50倍速に設定する例を示した。第2の実施の形態においては3.62倍速に設定する例を示した。しかしながら、第2の実施の形態においてテープ速度を4.5倍速に設定することができればサーチ時の応答速度を上げることが可能になり、かつ第1の実施の形態におけるサブコードエリアの取れ率の良い条件に合わせることも可能になる。ここでは、Lchサブコードエリアの中心位置を変更してテープ速度を4.5倍速付近に設定可能な例を示す。
【0072】
Lchサブコードエリアの中心とRchサブコードエリアの中心とのテープ幅方向での距離をY0として説明したが、Y0とは異なるY2とした場合でも同様の考えでテープ速度vtと回転ドラムの回転速度Nとの関係を求めることができる。
【0073】
【数16】
【0074】
【数17】
【0075】
として、
【0076】
【数18】
【0077】
あるいは、
【0078】
【数19】
【0079】
数値例として、Y2=51.309[mm]とすると、サーチ時のテープ速度が遅い場合のテープ速度vtを数19から求めると、N=13200[rpm],n2=1のときにvt=208.904[mm/s]となり、テープ速度4.55倍速にすればヘッドR2及びヘッドL1間(あるいはヘッドR1及びヘッドL2間)のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。また、サーチ時のテープ速度が最高速度の場合で105倍速にしたときに、スチル時の走査速度を数18から求めると、例えば表3では3通り示すように、n2をパラメータとしたスチル時の走査速度vs0または回転数Nが求められる。
【0080】
【表3】
【0081】
表に示すように回転ドラムの回転数Nを決めることでテープ速度の最高速度においてヘッドR2及びヘッドL1間あるいはヘッドR1及びヘッドL2間のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。
【0082】
次に図9を参照しながら、ヘッドR2及びヘッドL1がサブコードエリアを走査してサブコードが読めるテープ位相範囲について説明する。図9はヘッドL1とヘッドR2とがサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲の説明図である。なお、記号の説明は第1の実施の形態において先述したので省略する。また、同様にしてヘッド幅Twと必要オントラック再生幅Wonは数8を満たすものとする。サーチ時にヘッドR2とヘッドL1の双方のヘッドでサブコードが読めるテープ位相が存在し、テープ送り速度の偏差や変動によりヘッドとトラックとの位相が流れていてもヘッドR2またはヘッドL1のいずれかのヘッドあるいはヘッドR1またはヘッドL2のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。
【0083】
ここで、表1と表3を比較すると、回転ドラムの回転数は同じ13200[rpm]で表1におけるn1=9のときテープ速度は4.50倍速で、表3におけるn2=1のときテープ速度は4.55倍速で、比較的近いことが分かる。また、テープ速度は同じ105倍速で表1におけるn1=207のとき回転ドラムの回転数は13391[rpm]で、表3におけるn2=29のとき回転ドラム回転数は13348[rpm]で、比較的近いことが分かる。そこで、テープ速度4.50倍速で回転ドラムの回転数13200[rpm]、テープ速度105倍速で回転ドラムの回転数13391[rpm]に固定して、数16,数18,数19からn2を求めると表4に示す値になり、実際にはn2は奇数(自然数)ではなく0.99,28.91のような1、29の奇数に近似した値となる。
【0084】
表3,表4のn2それぞれの比較から、表4のテープ速度4.50倍速のときには表3のテープ速度4.55倍速時に比べてトラッキングずれ(n2の差)が0.01トラックで、表4のテープ速度105倍速のときには表3のテープ速度105倍速時に比べてトラッキングずれ(n2の差)が0.09トラックであり非常に小さく、第1の実施の形態における対向する同じ高さのヘッド間(例えばヘッドL1とヘッドL2間あるいはヘッドR1とヘッドR2間)でのサブコード取れ率が良いテープ速度及び回転ドラムの回転速度と、第2の実施の形態における対向しない異なる高さのヘッド間(例えばヘッドR2とヘッドL1間あるいはヘッドR1とヘッドL2間)でのサブコード取れ率が良いテープ速度及び回転ドラムの回転速度を同じにすることが可能で、サブコード取れ率をさらに良くすることができることを示している。
【0085】
【表4】
【0086】
このときのヘッドL1,ヘッドL2,ヘッドR1,ヘッドR2がサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲を図示すると図10のようになり、回転ドラム1回転にあたり少なくとも2つのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。
【0087】
このように第2の実施の形態においては、テープ速度と回転ドラムの回転数を協調して制御することで対向しない取り付け高さの異なる2つのヘッド間(ここではヘッドR2とヘッドL1間)で少なくとも1つのヘッドがサブコードエリアを走査することができるので、安定したサブコード取れ率を確保することが可能でサーチ時におけるテープ上の位置情報の読み取り精度を向上することができる。
【0088】
また、サブコードエリアの配置をトラック毎に異ならせることでサブコードの取れ率を良くする最適なテープ速度の設定が可能である。
【0089】
また、第1の実施の形態と同様にして、ヘッド幅を必要オントラック再生幅の2倍より広くすることでヘッドとトラックとの位相が流れていても対向する2つのヘッド間で、安定したサブコード取れ率を確保することができる。
【0090】
また、第1の実施の形態における数3と数5から、テープ速度vtの変化(Δvt)に対するトラッキングずれ(Δn1)をx1(=Δn1/Δvt)として求めると、
【0091】
【数20】
【0092】
となる。
【0093】
また、第2の実施の形態における数11、数12と数14から、テープ速度vtの変化(Δvt)に対するトラッキングずれ(Δn2)をx2(=Δn2/Δvt)として求めると、
【0094】
【数21】
【0095】
となる。x1とx2を比較すると明らかにx2<x1となり、テープ速度の目標速度に対する偏差や変動は、第1の実施の形態で説明した対向する同じ高さのヘッド間(例えばヘッドL1とヘッドL2間あるいはヘッドR1とヘッドR2間)でのサブコードの取れ率に影響を与えやすいことが分かる。したがって、速度変動や速度偏差の影響が大きいテープ速度が早い場合には、第2の実施の形態における対向しない異なる高さのヘッド間(例えばヘッドR2とヘッドL1間あるいはヘッドR1とヘッドL1間)でのサブコード取れ率が良いテープ速度と回転ドラムの回転速度に少なくとも設定すればよい。
【0096】
なお、本発明の実施の形態においては、サーチ時に早送り方向での例として説明したが、巻き戻し方向でも同様である。また、回転ドラム上に4ヘッドが搭載されている例として説明したが、本発明は回転ドラム上のヘッドの配置や数に制限されることはない。
【0097】
また、本発明の実施の形態においては、サブコードエリアの取れ率向上という観点で説明したが、これに限らず、MPEGなどのIフレームなどの特定エリアをサーチ時に読み取る手法としても有効である。
【0098】
以上、各実施の形態について説明したが、回転ドラムの回転数の設定に際しては、テープから再生される通常速度の再生クロック周波数あるいは再生レートに近くなることも考慮して、サブコードエリアが読み取れる回転ドラムの回転数を設定してもよい。この場合は、装置の再生回路系の動作周波数に制限がある場合などに有効である。
【0099】
【発明の効果】
以上のように、本発明における再生装置は、サブコードのエリアを適切な位置に配置し、かつ、テープ速度と回転ドラムの周速度を協調させ、回転ドラムが複数回回転する間に少なくとも1回はヘッドがサブコードエリアを走査するように制御することによりサブコード取得率を大幅に改善し、テープドライブにおけるロケート、イジェクト動作やビデオテープレコーダにおける頭出しなどのアクセス性能を向上させることができる。
【0100】
特に、サブコード取得率を改善することができるので、エンド・オブ・データ(EOD)などのエリア情報がサブコードエリアに記録されたフォーマットにおいてはエリア情報が記録されたトラック数を削減することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1の実施の形態における再生装置のブロック図
【図2】同実施の形態におけるメインデータ・サブコードの記録タイミング図
【図3】同実施の形態におけるメインデータエリア・サブコードエリアのトラック上の配置図
【図4】同実施の形態におけるサーチ制御部の詳細なブロック図
【図5】同実施の形態におけるサーチ方法の動作説明図
【図6】同実施の形態におけるメインデータエリア・サブコードエリアが読み取れるテープ位相範囲の説明図
【図7】同実施の形態におけるヘッドL1とヘッドL2とがサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲の説明図
【図8】本発明に関わる第2の実施の形態におけるサーチ方法の動作説明図
【図9】同実施の形態におけるヘッドR2とヘッドL1とがサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲の説明図
【図10】同実施の形態におけるヘッドL1,ヘッドL2,ヘッドR1,ヘッドR2がサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲の説明図
【図11】従来の再生装置のブロック図
【図12】従来の再生装置におけるメインデータ・サブコードの記録タイミング図
【図13】従来の再生装置におけるメインデータエリア・サブコードエリアのトラック上の配置図
【図14】従来の再生装置のサーチ方法の動作説明図
【符号の説明】
1 回転ドラム
2 磁気テープ
3 キャプスタンモータ
4 S(供給側)リールモータ
5 T(巻き取り側)リールモータ
6 キャプスタンモータFG検出器
7 SリールモータFG検出器
8 TリールモータFG検出器
9 キャプスタンモータ駆動部
10a,10b,10c,10d ヘッド
11 Sリールモータ駆動部
12 Tリールモータ駆動部
13 サーチ制御部
14 記録再生信号処理部
15 回転ドラムFG検出器
16 回転ドラムモータ駆動部
【発明の属する技術分野】
本発明は、データ信号あるいは映像・音声信号が記録されたテープを再生する再生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
データ信号あるいは映像・音声信号を記録して再生する再生装置の機能の一つに、磁気テープ上に記録された信号の中から所望信号の記録箇所を探すサーチ機能がある。例えば、テープドライブにおいてはロケート動作、ビデオテープレコーダにおいては頭出し動作などがある。近年、記録トラック幅の狭トラック化や記録波長の短波長化、ロングテープ長化などにより、磁気テープの記録容量が増加しており、このような中、サーチ機能の高速アクセス性が問題となっている。従来のサーチ方法では狭トラック化や短波長化によるサーチ時のデータ取れ率の低下、またこれに伴いテープ速度を制限することによりアクセス性が悪くなるという欠点があった。
【0003】
以下、従来の再生装置について、その一例を挙げて説明する。
【0004】
図11は従来の再生装置の構成を示すブロック図である。図11において、1はヘッド10a,10b,10c,10dが搭載された回転ドラムである。ヘッド10aは第1のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドL1と記す。ヘッド10bは第2のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドR1と記す。ヘッド10cは第1のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドL2と記す。ヘッド10dは第2のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドR2と記す。また、ヘッドL1とヘッドL2は回転ドラム上で対向して同じ高さに取り付けられている。また、ヘッドR1とヘッドR2も回転ドラム上で対向して同じ高さに取り付けられている。また、ヘッドL1とヘッドR1はトラック幅が一定となるように高さを異にして取り付けられている。また、ヘッドL2とヘッドR2も同様にして高さを異にして取り付けられている。15は回転ドラム1の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力する回転ドラムモータFG検出器、16は回転ドラム1を回転駆動させる回転ドラムモータ駆動部、40は回転ドラムモータFG検出器15から出力されるFG信号に基づいて駆動信号を回転ドラムモータ駆動部16に出力することで回転ドラム1の回転速度を制御する回転ドラム制御部、2は磁気テープ、3は磁気テープ2を送るキャプスタンモータ、6はキャプスタンモータ3の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するキャプスタンモータFG検出器、9はキャプスタンモータ3を回転駆動させるキャプスタンモータ駆動部、4は通常記録再生時や早送り時に磁気テープ2を供給する供給側リールモータ(以下、Sリールモータと記す)、7はSリールモータ4の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するSリールモータFG検出器、11はSリールモータ4を回転駆動させるSリールモータ駆動部、5は通常記録再生時や早送り時に磁気テープ2を巻き取る巻き取り側リールモータ(以下、Tリールモータと記す)、8はTリールモータ5の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するTリールモータFG検出器、12はTリールモータ5を回転駆動させるTリールモータ駆動部、14はデータや映像・音声などの主情報(以下では、メインデータと記す)とテープ上の位置情報などの付帯情報(以下では、サブコードと記す)を磁気テープ2に記録処理を行うあるいは磁気テープ2から再生処理を行う記録再生信号処理部、41は記録再生信号処理部14から出力されるサブコード、キャプスタンモータFG検出器6から出力されるFG信号、SリールモータFG検出器7から出力されるFG信号、TリールモータFG検出器8から出力されるFG信号に基づいて、キャプスタンモータ駆動部9,Sリールモータ駆動部11,Tリールモータ駆動部12のそれぞれに駆動信号を出力して磁気テープ2の送り速度を制御するテープ送り制御部である。
【0005】
以上のように構成された再生装置について、その動作を以下に説明する。まず、記録時の動作について、図11,図12,図13を参照しながら説明する。図12は、メインデータ・サブコードの記録タイミング図である。図13は、メインデータエリア・サブコードエリアのトラック上の配置図である。回転ドラムモータ検出器15から出力されるFG信号に基づいて、ヘッドL1,ヘッドL2のヘッドスイッチング信号(HSW_L)とヘッドR1,ヘッドR2のヘッドスイッチング信号(HSW_R)を記録再生信号処理部14で生成して、磁気テープ2の所定高さに来た時点でスイッチング動作するようにあらかじめ調整されているものとする。テープ送り制御部41では、記録時にはキャプスタンモータFG検出器から出力されるFG信号が通常速度に相当する周波数になるようにキャプスタンモータ駆動部9を通じてキャプスタンモータの回転速度を制御し、テープ送り速度が通常速度に制御する。また、一定のテープテンションがかかるように巻径に応じた駆動信号をSリールモータ駆動部11及びTリールモータ駆動部12に出力しSリールモータ及びTリールモータ5を制御する。この状態で、記録再生信号処理部14では、図12に示すタイミングでLch記録信号及びRch記録信号を各ヘッドに出力して、磁気テープ2にトラックパターンを形成する。図13に示すように磁気テープ2上にメインデータエリアとサブコードエリアとから成るトラックが形成される。図13において各ヘッドのトラックに対する配置を示し、ヘッドの各矢印は通常速度におけるヘッドの走査方向を示す。
【0006】
次にサーチ時の動作について、図11,図14を参照しながら説明する。図14は、サーチ方法の動作説明図である。なお、分かりやすく説明するために、RchのサブコードエリアとヘッドR1及びヘッドR2を除いて、LchだけのサブコードエリアとヘッドL1及びヘッドL2を記載している。テープ送り制御部41では、テープ速度を通常速度とは異ならせて走行させるなどして、すでに記録されたサブコードをヘッドにより再生して記録再生信号処理部14にてサブコードに含まれたテープ位置情報に基づいてテープ上の目的の位置をサーチする。このとき、テープ速度が速い場合には、一定のテープテンションがかかるように巻径に応じた駆動信号をSリールモータ駆動部11及びTリールモータ駆動部12に出力するとともに、それぞれのFG検出器7及び8から出力されるFG信号の周波数が巻径に応じた周波数になるようにSリールモータ4及びTリールモータ5を制御する。従来の方式では、テープ速度及び回転ドラムの回転速度をサブコードの取れ率を良くするという観点で制御されていなかったため、極端な例を示せば図14(a)に示すように、ヘッドL1及びヘッドL2では走査毎にサブコードエリアを取得できるテープ位相も存在するが、図14(b)に示すようにテープ位相がトラック幅分ずれた場合には、ヘッドL1及びヘッドL2では走査毎にサブコードエリアを取得することができないという問題を生じる。なお、Sリールモータ4とTリールモータ5のそれぞれの巻径に応じた制御については、特開平5−166257号公報に詳細な記述がある。また、サブコードエリアを再生してテープ上の目標位置にサーチする従来例として特開2000−90513号公報がある。
【0007】
【特許文献1】
特開2000−90513号公報(段落番号[0067])
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の再生装置のサーチ方法では、アクセス性を良くするために高速でテープを走行させると、テープ上の位置情報の読み取り精度が悪いためにテープ上の目的の位置へ位置付けするときにオーバーラン量が大きくなる。特に、テープの巻始めや巻終わりでは、リーダーテープが走行系に引き出されるくらいにオーバーランしてしまう、または始終端に突入してしまう場合も考えられ、装置としての信頼性が著しく損なわれる。このために、テープ速度を制限するなどしてテープ上の位置情報を読み取るようにしてアクセス性能を落とす必要があった。
【0009】
本発明は、これらの課題を解決するもので、サブコードエリア等に記載された所望の情報の取得率を大幅に改善させることができる再生装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、第1の発明は、磁気テープに斜めに記録されたトラックを再生するヘッドが搭載された回転ドラムと、前記磁気テープを送る磁気テープ駆動手段と、前記回転ドラムの回転駆動を行う回転ドラム駆動手段と、前記磁気テープの送り速度が通常速度以外において前記回転ドラムがm(mは自然数)回転に少なくとも1回所望の情報を読み出すように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御する協調制御手段とを備えることを特徴とするものである。
【0011】
本発明によって、回転ドラム上に搭載されたヘッドによる所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0012】
第2の発明は、前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、
vt=n1・k・vs0(ただし、n1は奇数またはそれに近似した値、kは装置の物理的な諸元で決まる定数)
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とするものである。
【0013】
本発明によって、回転ドラム上に搭載された互いに同じ高さに取り付けられたヘッドによる所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0014】
第3の発明は、前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、
vt=(n2・k1+k2)・vs0(ただし、n2は奇数またはそれに近似した値、k1及びk2は装置の物理的な諸元で決まる定数)
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とするものである。
【0015】
本発明によって、回転ドラム上に搭載された互いに異なる高さに取り付けられたヘッドによる所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0016】
第4の発明は、前記回転ドラムには、磁気テープに斜めにトラックを形成するように記録を行う第1のヘッドと第2のヘッドの少なくとも2つのヘッドが搭載され、前記磁気テープの幅方向の所定高さに前記第1のヘッドが達してから第1のタイミングで前記第1のヘッドに所望の情報を出力し、前記磁気テープの幅方向の所定高さに前記第2のヘッドが達してから第2のタイミングで前記第2のヘッドに所望の情報を出力する記録信号処理手段を具備することを特徴とするものである。
【0017】
本発明によって、必要とするテープ速度において回転ドラム上に搭載された互いに異なる高さに取り付けられたヘッドによる所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0018】
第5の発明は、前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、
vt=n1・k・vs0(ただし、n1は奇数またはそれに近似した値、kは装置の物理的な諸元で決まる定数)
及び、
vt=(n2・k1+k2)・vs0(ただし、n2は奇数またはそれに近似した値、k1及びk2は装置の物理的な諸元で決まる定数)
が共に成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とするものである。
【0019】
本発明によって、テープ速度の速度偏差や変動の影響があった場合においても所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0020】
第6の発明は、前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、前記磁気テープの送り速度vtが小さい場合には、
vt=n1・k・vs0(ただし、n1は奇数またはそれに近似した値、kは装置の物理的な諸元で決まる定数)
あるいは、
vt=(n2・k1+k2)・vs0(ただし、n2は奇数またはそれに近似した値、k1及びk2は装置の物理的な諸元で決まる定数)
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御し、前記磁気テープの送り速度vtが大きい場合には、少なくとも
vt=(n2・k1+k2)・vs0
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とするものである。
【0021】
本発明によって、テープ速度の速度偏差や変動の影響があった場合においても所望の情報の読み出し率を向上させることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係わる実施の形態を示す再生装置について、図面を参照しながら説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
最初に、本発明に係わる第1の実施の形態を示す再生装置について説明する。図1は第1の実施の形態における再生装置の構成を示すブロック図である。図1において、1はヘッド10a,10b,10c,10dが搭載された回転ドラムである。ヘッド10aは第1のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドL1と記す。ヘッド10bは第2のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドR1と記す。ヘッド10cは第1のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドL2と記す。ヘッド10dは第2のアジマス角を有するヘッドで以降ではヘッドR2と記す。また、ヘッドL1とヘッドL2は回転ドラム上で対向して同じ高さに取り付けられている。また、ヘッドR1とヘッドR2も回転ドラム上で対向して同じ高さに取り付けられている。また、ヘッドL1とヘッドR1はトラック幅が一定となるように高さを異にして取り付けられている。また、ヘッドL2とヘッドR2も同様にして高さを異にして取り付けられている。15は回転ドラム1の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力する回転ドラムモータFG検出器、16は回転ドラム1を回転駆動させる回転ドラムモータ駆動部、2は磁気テープ、3は磁気テープ2を送るキャプスタンモータ、6はキャプスタンモータ3の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するキャプスタンモータFG検出器、9はキャプスタンモータ3を回転駆動させるキャプスタンモータ駆動部、4は通常記録再生時や早送り時に磁気テープ2を供給する供給側リールモータ(以下、Sリールモータと記す)、7はSリールモータ4の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するSリールモータFG検出器、11はSリールモータ4を回転駆動させるSリールモータ駆動部、5は通常記録再生時や早送り時に磁気テープ2を巻き取る巻き取り側リールモータ(以下、Tリールモータと記す)、8はTリールモータ5の回転周波数に応じた周波数のFG信号を出力するTリールモータFG検出器、12はTリールモータ5を回転駆動させるTリールモータ駆動部、50はデータや映像・音声などの主情報(以下では、メインデータと記す)とテープ上の位置情報などの付帯情報(以下では、サブコードと記す)を磁気テープ2に記録処理を行うあるいは磁気テープ2から再生処理を行う記録再生信号処理部、13は記録再生信号処理部50から出力されるサブコード、回転ドラムモータFG検出器15から出力されるFG信号、キャプスタンモータFG検出器6から出力されるFG信号、SリールモータFG検出器7から出力されるFG信号、TリールモータFG検出器8から出力されるFG信号に基づいて、回転ドラムモータ駆動部16に駆動信号を出力して回転ドラムの回転制御を行い、キャプスタンモータ駆動部9,Sリールモータ駆動部11,Tリールモータ駆動部12のそれぞれに駆動信号を出力して磁気テープ2の送り速度を制御するサーチ制御部である。
【0024】
尚、本実施の形態の構成要素において、「特許請求の範囲」の「磁気テープ駆動手段」はキャプスタンモータ3及びキャプスタンモータ駆動部9、あるいはSリールモータ4及びSリールモータ駆動部11,Tリールモータ5及びTリールモータ駆動部12に相当し、「回転ドラム駆動手段」は回転ドラム駆動部16に相当し、「記録信号処理手段」は記録再生信号処理部50のそれぞれ相当する。
【0025】
以上のように構成された再生装置について、その動作を以下に説明する。まず、記録時の動作について、図1,図2,図3を参照しながら説明する。図2は、メインデータ・サブコードの記録タイミング図である。図3は、メインデータエリア・サブコードエリアのトラック上の配置図である。回転ドラムモータ検出器15から出力されるFG信号に基づいて、ヘッドL1,ヘッドL2のヘッドスイッチング信号(HSW_L)とヘッドR1,ヘッドR2のヘッドスイッチング信号(HSW_R)を記録再生信号処理部50で生成して、磁気テープ2の所定高さに来た時点でスイッチング動作するようにあらかじめ調整される。サーチ制御部13では、記録時にはキャプスタンモータFG検出器6から出力されるFG信号が通常速度に相当する周波数になるようにキャプスタンモータ駆動部9を通じてキャプスタンモータの回転速度を制御し、テープ送り速度が通常速度に制御する。また、一定のテープテンションがかかるように巻径に応じた駆動信号をSリールモータ駆動部11及びTリールモータ駆動部12に出力しSリールモータ及びTリールモータ5を制御する。この状態で、記録再生処理部50では、図2に示すタイミングでLch記録信号及びRch記録信号を各ヘッドに出力して、磁気テープ2にトラックパターンを形成する。図3に示すように磁気テープ2上にメインデータエリアとサブコードエリアとから成るトラックが形成される。図3において各ヘッドのトラックに対する配置を示し、ヘッドの各矢印は通常速度におけるヘッドの走査方向を示す。
【0026】
次にサーチ時の動作について、図1,図4,図5を参照しながら説明する。図4は、サーチ制御部の詳細なブロック図である。図5は、サーチ方法の動作説明図である。図4において、20は記録再生信号処理部50から出力される付帯情報が入力されテープ上の目的の位置までの距離に応じてテープ送り速度を求めたり、テープ上の目的の位置を検出してテープ送り速度を制御したりするサブコード処理部、21はテープ速度と回転ドラムの周速度とを協調して制御させる協調速度指令部である。ここでは、サブコード処理部20から出力されるテープ速度情報に基づいて、速度が遅い場合には、キャプスタンモータ制御部23に速度基準信号を出力し、キャプスタンモータ制御部23ではキャプスタンモータのFG信号と速度基準信号とを比較することによってキャプスタンモータ駆動信号を出力する。また、速度が速い場合には、キャプスタンモータのFG信号とTリールモータ回転速度検出信号、SリールモータのFG信号からあらかじめTリールモータとSリールモータの巻径を演算し、Tリールモータ制御部24及びSリールモータ制御部25にそれぞれのリールの巻径に応じたTリールモータ回転速度基準信号とSリールモータ回転速度基準信号を出力し、Tリールモータ制御部24及びSリールモータ制御部25ではTリールモータのFG信号とTリールモータ回転速度基準信号を比較することによってTリールモータ駆動信号を出力し、SリールモータのFG信号とSリールモータ回転速度基準信号を比較することによってSリールモータ駆動信号を出力する。なお、Sリールモータ4とTリールモータ5のそれぞれの巻径に応じた回転制御については、特開平5−166257号公報に詳細な記述がある。
【0027】
尚、本実施の形態の構成要素において、「特許請求の範囲」の「協調制御手段」はサーチ制御部13に含まれる協調速度司令部21に相当する。
【0028】
図5を参照しながらテープ速度と回転ドラムの周速度について以下に詳細に説明する。図5において、サーチ時のヘッドL1及びヘッドL2の走査軌跡とLchトラックの中心軌跡、スチル時のヘッド走査軌跡を示す。ここでは、分かりやすく説明するためにヘッドR1及びヘッドR2の走査軌跡とRchトラックの中心軌跡については除いている。図中の●はLchサブコードエリアの中心位置を表す。Tpはトラック幅、vs0はヘッドL1及びヘッドL2のスチル時の走査速度、vtはテープ速度、Y0はヘッドL1またはヘッドL2が回転ドラム上を半回転するテープ幅方向の距離、t0はヘッドL1またはヘッドL2がテープ幅方向にY0分走査するためにかかる時間、θtはテープ長手方向に対するトラック角、θlはテープ長手方向に対するヘッドL1及びヘッドL2のスチル時の走査角を表す。この例では、Lchサブコードエリアの中心とヘッドL1走査軌跡の始点が一致している場合で、ヘッドL2走査軌跡の始点が2つの隣り合うLchサブコードエリアの中心から等距離にある点と一致している場合を示している。つまり、ヘッドL2がサブコードのエリアを走査しない場合には、ヘッドL1がサブコードのエリアを走査する軌跡になっている例である。このようなヘッドの走査をさせることで、ヘッドL1あるいはヘッドL2のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することが可能になる。テープ速度vtまたはスチル時のヘッド走査速度vs0をパラメータとしたときに、具体的にvtとvs0の関係を求める。図5から式を算出すると、次式で表すことができる。
【0029】
【数1】
【0030】
【数2】
【0031】
数1,数2からvtとvs0の関係式を求めると、
【0032】
【数3】
【0033】
として、
【0034】
【数4】
【0035】
あるいは、
【0036】
【数5】
【0037】
となる。このとき、Y0は次式で表される。
【0038】
【数6】
【0039】
数値例として、具体的な諸元値を代入して計算する。
トラック幅Tp=8.3[μm]
回転ドラム直径D=21.7[mm]
スチル角θl=9.1179[deg]
トラック角θt=9.1458[deg]
スチル時の走査速度vs0=πD×N/60[m/s]
(ただし、Nは回転ドラムの回転数[rpm])
通常速度では、テープ速度vt=45.952[mm/s]、回転ドラムの回転数N=13200[rpm]とする。例えばサーチ時のテープ速度が遅い場合のテープ速度vtを数5から求めると、N=13200[rpm],n1=7のときにvt=160.833[mm/s]となり、テープ速度3.5倍速にすればヘッドL1あるいはヘッドL2間のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。また、n1=9のときにvt=206.786[mm/s]となり、テープ速度4.5倍速にすればヘッドL1あるいはヘッドL2のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。また、サーチ時のテープ最高速度はリールモータの構成やリールモータ駆動回路、テープ走行系の制約で決まっていることがある。この場合に例えばテープ最高速度を105倍速にしたときに、スチル時の走査速度を数4から求めると、例えば表1では3通り示すように、n1をパラメータとしたスチル時の走査速度vs0または回転数Nが求められる。
【0040】
【表1】
【0041】
表に示すように回転ドラムの回転数Nを決めることでテープ速度の最高速度においてヘッドL1あるいはヘッドL2のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。
【0042】
なお、サーチ時のテープ速度が遅くキャプスタンモータでテープを走行させる場合(本実施の形態では5倍速未満)には、回転ドラムの回転数を通常とは変えずにサブコードエリアの走査率の良いテープ速度に設定することによって回転ドラムの制御引き込み特性の影響を受けずテープ速度の応答性を維持させることができる。また、テープ速度が早くリールモータでテープ走行させる場合(本実施の形態では5倍速以上)には、一般的にリールモータの制御引き込み特性は遅いため必要なテープ速度に合わせてサブコードエリアの走査率の良い回転ドラムの回転数を通常とは別に設定すればよい。
【0043】
次に図6、図7を参照しながら、ヘッドL1及びヘッドL2がサブコードエリアを走査してサブコードが読めるテープ位相範囲について説明する。図6はメインデータエリア・サブコードエリアが読み取れるテープ位相範囲の説明図である。図7はヘッドL1とヘッドL2とがサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲の説明図である。図6において、31,33はRchトラック、32はLchトラックを表し、TwはヘッドL1のヘッド幅、Tpはトラック幅、Wonはトラック32をヘッドL1で読み取るのに必要なオントラック再生幅、W1はトラック32に対してヘッドL1が左側から右側にかけてトラック32を読み取ることができる範囲を表す。
【0044】
W1は次式で表すことができる。
【0045】
【数7】
【0046】
ここで、W1>Tpが成り立つようにTwを設計することで、サーチ時にヘッドL1とヘッドL2の双方のヘッドでサブコードエリアが読めるテープ位相が存在し、テープ送り速度の偏差や変動によりヘッドとトラックとの位相が流れていてもヘッドL1またはヘッドL2のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。数7をW1>Tpに代入してTwを求めると、
【0047】
【数8】
【0048】
になる。
【0049】
このように第1の実施の形態においては、テープ速度と回転ドラムの回転数を協調して制御することで対向する2つのヘッド間(ここではヘッドL1とヘッドL2間)で少なくとも1つのヘッドがサブコードエリアを走査することができるので、安定したサブコード取れ率を確保することが可能でサーチ時におけるテープ上の位置情報の読み取り精度(読み出し率)を向上することができる。
【0050】
また、ヘッド幅を必要オントラック再生幅の2倍より広くすることでヘッドとトラックとの位相が流れていても対向する2つのヘッド間で、安定したサブコード取れ率を確保することができる。
【0051】
なお、本実施の形態では、ヘッドL1及びヘッドL2を用いた場合を例にして説明したが、ヘッドR1及びヘッドR2を用いた場合でも同様である。
【0052】
さらに、本実施の形態では、ヘッドR1、R2に言及していないが、同時にサブコードエリアを走査するように設計しても良いし、しなくても良い。
【0053】
(第2の実施の形態)
本発明に係わる第2の実施の形態を示す再生装置について説明する。第2の実施の形態における再生装置の構成は、第1の実施の形態における再生装置の構成と同じ図1に示すブロック図で表される。なお、図1における各ブロックの説明は第1の実施の形態において先述したので省略する。
【0054】
また、記録時の動作及びサーチ時の基本動作についても第1の実施の形態と同様である。
【0055】
第2の実施の形態における再生装置において、サーチ動作におけるテープ速度と回転ドラムの周速度の制御について図8を参照しながら以下に説明する。図8において、サーチ時のヘッドR2及びヘッドL1、ヘッドR1及びヘッドL2の走査軌跡とLchトラックとRchトラックの中心軌跡、スチル時のヘッド走査軌跡を示す。LchトラックとRchトラックの中心軌跡はTp間隔で交互にある。図中の●はLchサブコードエリアの中心位置を表す。また図中の○はRchサブコードエリアの中心位置を表す。Tpはトラック幅、vs0は各ヘッド(ヘッドL1,ヘッドL2,ヘッドR1,ヘッドR2)のスチル時の走査速度、vtはテープ速度、Y0は各ヘッドが回転ドラム上を半回転するテープ幅方向の距離、Y1はヘッドR2とヘッドL1のテープ幅方向での距離あるいはヘッドR1とヘッドL2のテープ幅方向での距離、Y2はLchサブコードエリアの中心位置を変えて図中の点線で表す○に位置する場合におけるRchサブコードエリアの中心位置とのテープ幅方向の距離、t0は各ヘッドがテープ幅方向にY0分走査するためにかかる時間、θtはテープ長手方向に対するトラック角、θlはテープ長手方向に対する各ヘッドのスチル時の走査角、θsはテープ長手方向に対する各ヘッドのサーチ時の走査軌跡角を表す。この例では、Rchサブコードエリアの中心とヘッドR2の走査軌跡の終点が一致し、ヘッドL1走査軌跡の始点がRchトラックを隔てて2つの隣り合うLchサブコードエリアの中心から等距離にある点と一致しており、Lchサブコードエリアの中心とヘッドL2の走査軌跡の始点が一致し、ヘッドR1走査軌跡の終点がLchトラックを隔てて2つの隣り合うRchサブコードエリアの中心から等距離にある点と一致している場合を示している。つまり、ヘッドL1がサブコードのエリアを走査しない場合には、ヘッドR2がサブコードのエリアを走査する軌跡になっており、ヘッドL2がサブコードエリアを走査する場合には、ヘッドR1がサブコードエリアを走査しない軌跡になっている例である。テープ速度vtまたはスチル時のヘッド走査速度vs0をパラメータとしたときに、具体的にvtとvs0の関係を求める。図8から式を算出すると、次式で表すことができる。
【0056】
【数9】
【0057】
【数10】
【0058】
数9,数10からvtとvs0の関係式を求めると、
【0059】
【数11】
【0060】
【数12】
【0061】
として、
【0062】
【数13】
【0063】
あるいは、
【0064】
【数14】
【0065】
となる。このとき、Y0は次式で表される。
【0066】
【数15】
【0067】
数値例として、具体的な諸元値を代入して計算する。
トラック幅Tp=8.3[μm]
回転ドラム直径D=21.7[mm]
スチル角θl=9.1179[deg]
トラック角θt=9.1458[deg]
スチル時の走査速度vs0=πD×N/60[m/s]
(ただし、Nは回転ドラムの回転数[rpm])
ヘッドR2とヘッドL1とのテープ幅方向の距離Y1=43.692[mm]
通常速度では、テープ速度vt=45.952[mm/s]、回転ドラムの回転数N=13200[rpm]とする。例えばサーチ時のテープ速度が遅い場合のテープ速度vtを数14から求めると、N=13200[rpm],n2=1のときにvt=166.177[mm/s]となり、テープ速度3.62倍速にすればヘッドR2及びヘッドL1間、あるいはヘッドR1及びヘッドL2間のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。また、サーチ時のテープ最高速度を105倍速にしたときに、スチル時の走査速度を数13から求めると、例えば表2では3通り示すように、n2をパラメータとしたスチル時の走査速度vs0または回転数Nが求められる。
【0068】
【表2】
【0069】
表に示すように回転ドラムの回転数Nを決めることでテープ速度の最高速度においてヘッドR2及びヘッドL1間(あるいはヘッドR1及びヘッドL2間)のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。
【0070】
なお、サーチ時のテープ速度が遅くキャプスタンモータでテープを走行させる場合(本実施の形態では5倍速未満)には、回転ドラムの回転数を通常とは変えずにサブコードエリアの走査率の良いテープ速度に設定することによって回転ドラムの制御引き込み特性の影響を受けずテープ速度の応答性を維持させることができる。また、テープ速度が早くリールモータでテープ走行させる場合(本実施の形態では5倍速以上)には、一般的にリールモータの制御引き込み特性は遅いため必要なテープ速度に合わせてサブコードエリアの走査率の良い回転ドラムの回転数を通常とは別に設定すればよい。
【0071】
先に、第1の実施の形態において説明したようにサーチ時のテープ速度が遅い場合にはテープ速度を3.50倍速、4.50倍速に設定する例を示した。第2の実施の形態においては3.62倍速に設定する例を示した。しかしながら、第2の実施の形態においてテープ速度を4.5倍速に設定することができればサーチ時の応答速度を上げることが可能になり、かつ第1の実施の形態におけるサブコードエリアの取れ率の良い条件に合わせることも可能になる。ここでは、Lchサブコードエリアの中心位置を変更してテープ速度を4.5倍速付近に設定可能な例を示す。
【0072】
Lchサブコードエリアの中心とRchサブコードエリアの中心とのテープ幅方向での距離をY0として説明したが、Y0とは異なるY2とした場合でも同様の考えでテープ速度vtと回転ドラムの回転速度Nとの関係を求めることができる。
【0073】
【数16】
【0074】
【数17】
【0075】
として、
【0076】
【数18】
【0077】
あるいは、
【0078】
【数19】
【0079】
数値例として、Y2=51.309[mm]とすると、サーチ時のテープ速度が遅い場合のテープ速度vtを数19から求めると、N=13200[rpm],n2=1のときにvt=208.904[mm/s]となり、テープ速度4.55倍速にすればヘッドR2及びヘッドL1間(あるいはヘッドR1及びヘッドL2間)のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。また、サーチ時のテープ速度が最高速度の場合で105倍速にしたときに、スチル時の走査速度を数18から求めると、例えば表3では3通り示すように、n2をパラメータとしたスチル時の走査速度vs0または回転数Nが求められる。
【0080】
【表3】
【0081】
表に示すように回転ドラムの回転数Nを決めることでテープ速度の最高速度においてヘッドR2及びヘッドL1間あるいはヘッドR1及びヘッドL2間のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。
【0082】
次に図9を参照しながら、ヘッドR2及びヘッドL1がサブコードエリアを走査してサブコードが読めるテープ位相範囲について説明する。図9はヘッドL1とヘッドR2とがサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲の説明図である。なお、記号の説明は第1の実施の形態において先述したので省略する。また、同様にしてヘッド幅Twと必要オントラック再生幅Wonは数8を満たすものとする。サーチ時にヘッドR2とヘッドL1の双方のヘッドでサブコードが読めるテープ位相が存在し、テープ送り速度の偏差や変動によりヘッドとトラックとの位相が流れていてもヘッドR2またはヘッドL1のいずれかのヘッドあるいはヘッドR1またはヘッドL2のいずれかのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。
【0083】
ここで、表1と表3を比較すると、回転ドラムの回転数は同じ13200[rpm]で表1におけるn1=9のときテープ速度は4.50倍速で、表3におけるn2=1のときテープ速度は4.55倍速で、比較的近いことが分かる。また、テープ速度は同じ105倍速で表1におけるn1=207のとき回転ドラムの回転数は13391[rpm]で、表3におけるn2=29のとき回転ドラム回転数は13348[rpm]で、比較的近いことが分かる。そこで、テープ速度4.50倍速で回転ドラムの回転数13200[rpm]、テープ速度105倍速で回転ドラムの回転数13391[rpm]に固定して、数16,数18,数19からn2を求めると表4に示す値になり、実際にはn2は奇数(自然数)ではなく0.99,28.91のような1、29の奇数に近似した値となる。
【0084】
表3,表4のn2それぞれの比較から、表4のテープ速度4.50倍速のときには表3のテープ速度4.55倍速時に比べてトラッキングずれ(n2の差)が0.01トラックで、表4のテープ速度105倍速のときには表3のテープ速度105倍速時に比べてトラッキングずれ(n2の差)が0.09トラックであり非常に小さく、第1の実施の形態における対向する同じ高さのヘッド間(例えばヘッドL1とヘッドL2間あるいはヘッドR1とヘッドR2間)でのサブコード取れ率が良いテープ速度及び回転ドラムの回転速度と、第2の実施の形態における対向しない異なる高さのヘッド間(例えばヘッドR2とヘッドL1間あるいはヘッドR1とヘッドL2間)でのサブコード取れ率が良いテープ速度及び回転ドラムの回転速度を同じにすることが可能で、サブコード取れ率をさらに良くすることができることを示している。
【0085】
【表4】
【0086】
このときのヘッドL1,ヘッドL2,ヘッドR1,ヘッドR2がサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲を図示すると図10のようになり、回転ドラム1回転にあたり少なくとも2つのヘッドでサブコードエリアを走査することができる。
【0087】
このように第2の実施の形態においては、テープ速度と回転ドラムの回転数を協調して制御することで対向しない取り付け高さの異なる2つのヘッド間(ここではヘッドR2とヘッドL1間)で少なくとも1つのヘッドがサブコードエリアを走査することができるので、安定したサブコード取れ率を確保することが可能でサーチ時におけるテープ上の位置情報の読み取り精度を向上することができる。
【0088】
また、サブコードエリアの配置をトラック毎に異ならせることでサブコードの取れ率を良くする最適なテープ速度の設定が可能である。
【0089】
また、第1の実施の形態と同様にして、ヘッド幅を必要オントラック再生幅の2倍より広くすることでヘッドとトラックとの位相が流れていても対向する2つのヘッド間で、安定したサブコード取れ率を確保することができる。
【0090】
また、第1の実施の形態における数3と数5から、テープ速度vtの変化(Δvt)に対するトラッキングずれ(Δn1)をx1(=Δn1/Δvt)として求めると、
【0091】
【数20】
【0092】
となる。
【0093】
また、第2の実施の形態における数11、数12と数14から、テープ速度vtの変化(Δvt)に対するトラッキングずれ(Δn2)をx2(=Δn2/Δvt)として求めると、
【0094】
【数21】
【0095】
となる。x1とx2を比較すると明らかにx2<x1となり、テープ速度の目標速度に対する偏差や変動は、第1の実施の形態で説明した対向する同じ高さのヘッド間(例えばヘッドL1とヘッドL2間あるいはヘッドR1とヘッドR2間)でのサブコードの取れ率に影響を与えやすいことが分かる。したがって、速度変動や速度偏差の影響が大きいテープ速度が早い場合には、第2の実施の形態における対向しない異なる高さのヘッド間(例えばヘッドR2とヘッドL1間あるいはヘッドR1とヘッドL1間)でのサブコード取れ率が良いテープ速度と回転ドラムの回転速度に少なくとも設定すればよい。
【0096】
なお、本発明の実施の形態においては、サーチ時に早送り方向での例として説明したが、巻き戻し方向でも同様である。また、回転ドラム上に4ヘッドが搭載されている例として説明したが、本発明は回転ドラム上のヘッドの配置や数に制限されることはない。
【0097】
また、本発明の実施の形態においては、サブコードエリアの取れ率向上という観点で説明したが、これに限らず、MPEGなどのIフレームなどの特定エリアをサーチ時に読み取る手法としても有効である。
【0098】
以上、各実施の形態について説明したが、回転ドラムの回転数の設定に際しては、テープから再生される通常速度の再生クロック周波数あるいは再生レートに近くなることも考慮して、サブコードエリアが読み取れる回転ドラムの回転数を設定してもよい。この場合は、装置の再生回路系の動作周波数に制限がある場合などに有効である。
【0099】
【発明の効果】
以上のように、本発明における再生装置は、サブコードのエリアを適切な位置に配置し、かつ、テープ速度と回転ドラムの周速度を協調させ、回転ドラムが複数回回転する間に少なくとも1回はヘッドがサブコードエリアを走査するように制御することによりサブコード取得率を大幅に改善し、テープドライブにおけるロケート、イジェクト動作やビデオテープレコーダにおける頭出しなどのアクセス性能を向上させることができる。
【0100】
特に、サブコード取得率を改善することができるので、エンド・オブ・データ(EOD)などのエリア情報がサブコードエリアに記録されたフォーマットにおいてはエリア情報が記録されたトラック数を削減することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる第1の実施の形態における再生装置のブロック図
【図2】同実施の形態におけるメインデータ・サブコードの記録タイミング図
【図3】同実施の形態におけるメインデータエリア・サブコードエリアのトラック上の配置図
【図4】同実施の形態におけるサーチ制御部の詳細なブロック図
【図5】同実施の形態におけるサーチ方法の動作説明図
【図6】同実施の形態におけるメインデータエリア・サブコードエリアが読み取れるテープ位相範囲の説明図
【図7】同実施の形態におけるヘッドL1とヘッドL2とがサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲の説明図
【図8】本発明に関わる第2の実施の形態におけるサーチ方法の動作説明図
【図9】同実施の形態におけるヘッドR2とヘッドL1とがサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲の説明図
【図10】同実施の形態におけるヘッドL1,ヘッドL2,ヘッドR1,ヘッドR2がサブコードエリアを読み取れるテープ位相範囲の説明図
【図11】従来の再生装置のブロック図
【図12】従来の再生装置におけるメインデータ・サブコードの記録タイミング図
【図13】従来の再生装置におけるメインデータエリア・サブコードエリアのトラック上の配置図
【図14】従来の再生装置のサーチ方法の動作説明図
【符号の説明】
1 回転ドラム
2 磁気テープ
3 キャプスタンモータ
4 S(供給側)リールモータ
5 T(巻き取り側)リールモータ
6 キャプスタンモータFG検出器
7 SリールモータFG検出器
8 TリールモータFG検出器
9 キャプスタンモータ駆動部
10a,10b,10c,10d ヘッド
11 Sリールモータ駆動部
12 Tリールモータ駆動部
13 サーチ制御部
14 記録再生信号処理部
15 回転ドラムFG検出器
16 回転ドラムモータ駆動部
Claims (6)
- 磁気テープに斜めに記録されたトラックを再生するヘッドが搭載された回転ドラムと、前記磁気テープを送る磁気テープ駆動手段と、前記回転ドラムの回転駆動を行う回転ドラム駆動手段と、前記磁気テープの送り速度が通常速度以外において前記回転ドラムがm(mは自然数)回転に少なくとも1回所望の情報を読み出すように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御する協調制御手段とを備えることを特徴とする再生装置。
- 前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、
vt=n1・k・vs0(ただし、n1は奇数またはそれに近似した値、kは装置の物理的な諸元で決まる定数)
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。 - 前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、
vt=(n2・k1+k2)・vs0(ただし、n2は奇数またはそれに近似した値、k1及びk2は装置の物理的な諸元で決まる定数)
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。 - 前記回転ドラムには、磁気テープに斜めにトラックを形成するように記録を行う第1のヘッドと第2のヘッドの少なくとも2つのヘッドが搭載され、前記磁気テープの幅方向の所定高さに前記第1のヘッドが達してから第1のタイミングで前記第1のヘッドに所望の情報を出力し、前記磁気テープの幅方向の所定高さに前記第2のヘッドが達してから第2のタイミングで前記第2のヘッドに所望の情報を出力する記録信号処理手段を具備することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の再生装置。
- 前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、
vt=n1・k・vs0(ただし、n1は奇数またはそれに近似した値、kは装置の物理的な諸元で決まる定数)
及び、
vt=(n2・k1+k2)・vs0(ただし、n2は奇数またはそれに近似した値、k1及びk2は装置の物理的な諸元で決まる定数)
が共に成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。 - 前記協調制御手段は、前記回転ドラムの周速度をvs0、磁気テープの送り速度をvtとしたときに、前記磁気テープの送り速度vtが小さい場合には、
vt=n1・k・vs0(ただし、n1は奇数またはそれに近似した値、kは装置の物理的な諸元で決まる定数)
あるいは、
vt=(n2・k1+k2)・vs0(ただし、n2は奇数またはそれに近似した値、k1及びk2は装置の物理的な諸元で決まる定数)
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御し、前記磁気テープの送り速度vtが大きい場合には、少なくとも、
vt=(n2・k1+k2)・vs0
が成り立つように前記回転ドラムの周速度と前記磁気テープの送り速度を制御することを特徴とする請求項1に記載の再生装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002326475A JP2004164707A (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | 再生装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002326475A JP2004164707A (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | 再生装置 |
Publications (1)
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JP2004164707A true JP2004164707A (ja) | 2004-06-10 |
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ID=32805378
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002326475A Pending JP2004164707A (ja) | 2002-11-11 | 2002-11-11 | 再生装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2004164707A (ja) |
-
2002
- 2002-11-11 JP JP2002326475A patent/JP2004164707A/ja active Pending
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