JP2004162260A - 構造物入口の防水装置 - Google Patents

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順 浦崎
Kazunori Okubo
一徳 大久保
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Abstract

【課題】防水板を用いた構造物入口の防水装置において,防水板を平時は排水溝の溝蓋として有効に活用できるようにして,防水板の平時における収納保管場所の確保を不要とする。
【解決手段】構造物BLの入口I側に開放した単一の溝状凹部Maを有して該入口Iの相対向する左右両側壁面Wに沿設された左右一対の主支柱Mと,その左右一対の主支柱M側に各々開放した互いに逆向きの一対の溝状凹部Saを有して,その両主支柱M間の床面F上に着脱可能に立設し得る補助支柱Sと,相隣なる2個の支柱の溝状凹部Ma,Sa;Sa,Sa間に左右両端部を嵌合支持し得る複数の防水板Tとを備え,それら防水板Tは,平時は構造物入口Iの周辺の排水溝1の溝蓋として機能すべく,該排水溝1の長手方向に沿って互いに縦列配置され且つ該排水溝1の開口部両側縁に各々係合載置されて床面と面一である。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,各種ビル,地下鉄,地下街,地下道,地下駐車場等の構造物の入口の防水装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年,都市部等の一部地域における集中豪雨,洪水等に因り,ビル,地下鉄,地下街,地下道,地下駐車場等の構造物内にその入口から水が急激に流入,浸水して多大の被害を及ぼすケースが問題となっている。
【0003】
このような構造物入口からの水の急激な流入に対しては,土嚢の積み上げ等の対策では間に合わない場合が多く,そこで上記構造物の入口に,これを横切るように防水板を取付けできるようにした防水装置が,例えば特許文献1に記載されるように既に提案されている。
【0004】
【特許文献1】
特開平2001−98792号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが従来の上記防水板は,非常時しか使用しないものであったため,平時の収納保管場所の確保が問題であった。そして,この問題は,特に構造物の入口幅が広く多数の防水板が必要な場合には,一層大きくなる。
【0006】
本発明は,斯かる事情に鑑みてなされたものにおいて,上記防水板を平時は排水溝の溝蓋に兼用できるようにして,従来の上記問題を解決した構造物入口の防水装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1の発明は,構造物入口の防水装置において,構造物の入口側に開放し鉛直方向に延びる単一の溝状凹部を各々有して該入口の相対向する左右両側壁面にそれぞれ沿設された左右一対の主支柱と,その左右一対の主支柱側に各々開放し鉛直方向に延びる互いに逆向きの一対の溝状凹部を有して,その両主支柱間の床面上に着脱可能に立設し得る少なくとも1個の補助支柱と,相隣なる2個の支柱の溝状凹部間に左右両端部を上方より抜差可能に嵌合支持し得る矩形状の複数の防水板とを備え,その複数の防水板は,平時は構造物の入口周辺の床面に凹設される排水溝の溝蓋として機能すべく,該排水溝の長手方向に沿って互いに縦列配置され且つ該排水溝の開口部両側縁に各々係合載置されて床面と面一であることを特徴としている。
【0008】
上記特徴によれば,構造物入口への水侵入の虞れがある非常時には,左右の主支柱間の床面上に補助支柱を立てると共に,排水溝より溝蓋を取り外し,その溝蓋,即ち防水板を相隣なる支柱の溝状凹部間に嵌合,支持させる。これにより,それら防水板(溝蓋)が構造物入口への水侵入を防止する。この場合,排水溝は,溝蓋が防水板として使用されることに伴い,必然的に該溝の開口部が開放(従ってその有効開口面積が拡大)されることになるため,排水溝の排水効率を自動的に高めることができ,構造物入口へ向かう水量の低減を図る上で有効である。またそれら防水板は,平時は構造物の入口周辺の床面に配した排水溝の溝蓋として有効に活用できるため,該防水板の平時における収納保管場所の確保が不要となり,特に構造物の入口幅が広く多数の防水板が必要な場合には,一層有利である。
【0009】
また請求項2の発明は,請求項1の上記特徴に加えて,前記左右一対の主支柱間の床面には,構造物入口の横幅一杯に亘って延び内部に前記補助支柱を収納可能な収納ボックスを,該ボックスの開閉蓋が床面と面一となるように埋設し,この収納ボックスの底面には,前記補助支柱を所定位置に位置決めし且つ起立支持するための支持手段を設けたことを特徴とする。この特徴によれば,平時は床面下の収納ボックス内に補助支柱を収納しておくことにより,補助支柱の収納保管場所を構造物の入口周辺に特別に確保する必要はなくなり,しかも非常時には収納ボックスより補助支柱を取出し,そのボックス底面上の定位置に迅速に起立支持させることができて,作業性が頗る良好である。
【0010】
また請求項3の発明は,請求項2の上記特徴に加えて,前記収納ボックスの底面には,各防水板の下端部に当接してその当接部をシールするための底部パッキンが設けられ,また各支柱の溝状凹部一方の内側壁には,各防水板の左右両端部に当接してその当接部をシールするための側部パッキンが設けられることを特徴とし,この特徴によれば,防水板の左右端部と各支柱との間や,防水板の下端部と床面(ボックス底面)と間からの漏水防止に効果的である。
【0011】
また請求項4の発明は,請求項3の上記特徴に加えて,各支柱の溝状凹部の他方の内側壁には,各防水板の左右両端部を対応する側部パッキンを介して前記一方の内側壁に押圧する押圧手段が設けられることを特徴とし,この特徴によれば,側部パッキンによるシール性能が高められ,防水板の左右端部と各支柱との間の漏水防止に一層効果的であり,また防水板の各支柱への取付強度も向上し,水の流動圧で防水板が外れるのを効果的に防止できる。
【0012】
また請求項5の発明は,構造物入口の防水装置において,構造物の入口側に開放し鉛直方向に延びる単一の溝状凹部を各々有して該入口の相対向する左右両側壁面にそれぞれ沿設された左右一対の主支柱と,その両支柱の溝状凹部間に左右両端を上方より抜差可能に嵌合支持し得る長方形状の単一の防水板とを備え,その防水板は,平時は構造物の入口周辺の床面に凹設される排水溝の溝蓋として機能すべく,該排水溝の開口部両側縁に各々係合載置されて床面と面一であることを特徴とし,この特徴によれば,構造物入口への水侵入の虞れがある非常時には,排水溝より溝蓋を取り外し,その溝蓋,即ち防水板を左右の主支柱の溝状凹部間に嵌合,支持させ,これにより,その防水板(溝蓋)が構造物入口への水侵入を防止する。この場合,排水溝は,溝蓋が防水板として使用されることに伴い,必然的に該溝の開口部が開放されることになるため,排水溝の排水効率を自動的に高めることができ,構造物入口へ向かう水量の低減を図る上で有効である。またそれら防水板は,平時は構造物の入口周辺の床面に配した排水溝の溝蓋として有効に活用できるため,該防水板の平時における収納保管場所の確保が不要となる。さらに補助支柱を特別に立てる必要がないため,それだけ装置の構造が簡素化されコスト節減が図られると共に,溝蓋から防水板への切換え作業も簡便且つ迅速化する。
【0013】
また請求項6の発明は,請求項1〜5の何れかの上記特徴に加えて,前記排水溝は,構造物の入口前の床面に該入口を横切るように形成されることを特徴とし,この特徴によれば,排水溝と防水板立設位置とが直近となるため,溝蓋を取り外して防水板を立てる際の作業能率が一層向上する。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を,添付図面に例示した本発明の実施例に基づいて以下に具体的に説明する。
【0015】
添付図面において,図1〜図9は本発明の第1実施例を示すものであって,図1は,防水装置の防水板取付状態を示す構造物入口の縦断面図,図2は図1の2−2線拡大断面図,図3は図2の3−3線拡大断面図,図4は図1の4−4線拡大断面図,図5は図4の5−5線拡大断面図,図6は図4の6−6線拡大断面図,図7は補助支柱の単体斜視図,図8は,前記防水装置の防水板格納状態を示す図4対応図,図9は構造物入口の床面の斜視図である。また図10は,第2実施例を示す図9対応図,図11は,第3実施例を示す図1対応図である。
【0016】
先ず,第1実施例を示す図1〜図9において,構造物としてのビルBLの入口Iには,本発明の防水装置Aが設けられ,集中豪雨,洪水等の非常時に外部から入口Iを通してビルBL内に水が流入するのを防止できるようになっている。尚,この図1は,上記非常時に対応すべく防水装置Aを組み立てた状態を示しているが,該防水装置Aは,平時は後述するように入口Iにおける人等の通行の妨げとならないように格納されている。
【0017】
また前記入口Iの前の床面Fには,該入口Iを横切る方向に延びる排水溝1が凹設されており,該溝1は,図示しない外部の排水路に通じている。この排水溝1は,その長手方向に縦列配置されて該溝1の開口部を覆う複数の溝蓋Tを有しており,これら溝蓋Tは,その各々の両側縁が該溝1の開口部の左右両側縁に各々係合載置される。その各溝蓋Tは,扁平な長方形状をなしており,排水溝1への取付状態で床面Fと同一レベルにあって,床面Fの一部を構成している。而してこの溝蓋Tが,前記防水装置Aの主たる構成要素である防水板を構成する。尚,上記溝蓋Tは,これが上記のように前記入口Iの前に配設されていても,その周辺の床面Fと同様の床仕上げ材,例えば長尺シートやタイル等を貼ることが可能なため,排水溝1の存在を目立たせることはなく,意匠的に優れたものとなっている。
【0018】
ところで前記溝蓋Tは,これを防水板に兼用できるようにするために,本実施例では蓋自体に排水用開口部が形成されていない。その代わりに,排水溝1の開口部の左右両側縁に配設されて溝蓋Tの左右両側端縁をそれぞれ載置させる左右一対の受け枠8に排水用開口部が形成される。即ち,図示例の受け枠8は,排水溝1の開口部の左右両側縁にこれを縁取るように固定される横断面L字状の受け枠本体8aと,該本体8a上に支持脚8bを介して支持されて溝蓋Tの左右両側端縁と直接係合する横断面L字状の載置部8cとを備えており,該載置部8cと受け枠本体8aとの間には,外端が床面Fに開口し且つ内端が溝蓋T直下の排水溝1内に開口する排水用開口部9が形成される。尚,図示例では,この排水用開口部9の上半部が,平行に並ぶ複数の帯板8dによって複数条のスリット孔9sに区画されており,該複数の帯板8dは,前記支持部8cと受け枠本体8aとの間に亘って等間隔で配設,固定される。
【0019】
前記ビルBLの入口Iの左右両側の壁体Wには,各々鉛直方向に延びる平断面コ字状の左右一対の主支柱M,Mが,それらの開放面を相対向させるようにして一体的に沿設されている。而して主支柱Mは,ビルBLの入口I側に開放し鉛直方向に延びる単一の溝状凹部Maを有する。また,その主支柱Mの上端は上方に開口しており,また主支柱Mのビル内方側の側壁もビルBL内空間に露出している。尚,図3において,符号12は,主支柱Mの前記壁体Wへの結合強度を高めるためのアンカである。
【0020】
その左右一対の主支柱M間の床面Fには,少なくとも1個(図示例では2個)の平断面H字状の補助支柱Sが,その各々の2つの開放面を左右の主支柱M,M側に向かせるようにして着脱可能に立設される。而して補助支柱Sは,左右一対の主支柱M,M側に各々開放し鉛直方向に延びる互いに逆向きの一対の溝状凹部Sa,Saを有する。
【0021】
そして,相隣なる2個の支柱M,S;S,S;S,M間には,複数の前記防水板T・・が,その各々の防水板Tの左右両端部を対応する支柱M,Sの溝状凹部Ma,Saに上方より抜差可能に挿入させるようにして嵌合,支持される。
【0022】
前記左右一対の主支柱M,M間の床面には,ビルBLの入口Iの横幅一杯に亘って延び内部に前記補助支柱Sを収納可能な収納ボックスBが一体的に埋設される。この収納ボックスBは,床面F下のボックス本体Bmと,そのボックス本体Bmの開放上面を開閉すべく該本体Bmの上端に回動可能にヒンジ連結2された開閉蓋Btとより構成され,該蓋Btは,閉じ位置にあるときに床面Fと面一となって床面Fの一部を構成する。
【0023】
そのボックス本体Bmの底壁には,補助支柱Sを所定位置に位置決めし且つ起立支持するための支持手段が設けられる。この支持手段として図示例では,ボックス本体Bm直下の床面下に植設されて該本体Bmの底壁より上方に若干突出するスタッドボルト3と,これに螺合されるナット4とより構成される。このスタッドボルト3に,補助支柱Sの下端部に連設した外向きフランジSfの支持孔5を挿通させた後,前記ナット4をスタッドボルト3に螺合させてフランジSfを押さえ込むことにより,補助支柱Sを定位置に位置決め固定することが可能となる。
【0024】
前記ボックス本体Bmの底面には,各防水板Tの下端部に当接してその当接部をシールするための底部パッキンPbが一体的に接合され,この底部パッキンPbは,補助支柱Sに対応する位置で分断される。またこの底部パッキンPbの主支柱M側の端部は,該主支柱Mの下端部の溝状凹部Ma内に張り出すように延びている。
【0025】
また各支柱M,Sの溝状凹部Ma,Saの何れか一方(図示例では表側,即ちビル外側)の内側壁には,各防水板Tの左右両端部に当接してその当接部をシールするための側部パッキンPsが一体的に接合され,更に各補助支柱Sの底板上面にも補助底部パッキンPb′が一体的に接合され,この補助底部パッキンPb′は,該補助支柱Sのセット状態で前記底部パッキンPbと面一で連続するように形成される。
【0026】
また各支柱M,Sの溝状凹部Ma,Saの何れか他方(図示例では裏側,即ちビル内側)の内側壁には,各防水板Tの左右両端部を対応する側部パッキンPsを介して各支柱M,Sの溝状凹部Ma,Saの前記一方の内側壁に押圧する押圧手段が設けられる。この押圧手段として図示例では,前記他方(図示例では裏側)の内側壁に螺合された少なくとも1個の押圧ボルト6が用いられ,該ボルト6の先部を対応する防水板Tの左右端部に直接圧接させるようにする。
【0027】
次に第1実施例の作用を説明する。平時においてビルBLの入口Iの前にある排水溝1は,その開口部が複数の溝蓋Tで閉じられており,該溝蓋Tは,床面Fと面一となっていて,床面Fの一部を構成する。
【0028】
また集中豪雨,洪水等に因りビル入口Iへ多量の水が急激に侵入する虞れがある非常時には,左右の主支柱M,M間の床面F上にある収納ボックスBの開閉蓋Btを開けて,中に収納されていた補助支柱Sを該ボックスBの底面の定位置に立て,そして排水溝1より溝蓋Tを取り外し,その溝蓋T,即ち防水板を相隣なる支柱M,S;S,Sの溝状凹部Ma,Sa;Sa,Sa間に嵌合,支持させ,更に押圧ボルト6を締め込んで各防水板Tを対応する支柱M,Sに固定する。かくして,ビル入口Iを堰止めるように配列された防水板T(溝蓋)がビル入口Iへの水侵入を防止する。
【0029】
この場合において,排水溝1は,溝蓋Tが防水板として使用されることに伴い,必然的に該溝1の開口部が開放(従ってその有効開口面積が拡大)されることになるため,排水溝1の排水効率を自動的に高め,ビル入口Iへ向かう水量の低減を図る上で有効である。しかもそれら防水板Tは,平時はビル入口I近くの床面Fに配した排水溝1の溝蓋として有効に活用できるため,該防水板Tの平時における収納保管場所の確保が不要となり,特にビル入口の幅が広く多数の防水板Tが必要な場合には,一層有利である。
【0030】
ところで第1実施例では,溝蓋Tを防水板に兼用できるようにするために,蓋自体に排水用開口部が形成されず,その代わりに,排水溝1の開口部の左右両側縁に配設されて溝蓋Tの左右両側端縁をそれぞれ載置させる左右一対の受け枠8に排水用開口部9が形成されるが,図10に示した第2実施例では,第1実施例の排水用開口部9に代えて(或いは加えて),溝蓋T自体に多数の小孔よりなる排水用開口部9′が等ピッチで形成される。
【0031】
この第2実施例の溝蓋Tでは,その蓋本体Tmの裏面にスライド可能な開閉板10が摺動可能な密接状態で支持されており,この開閉板10には,多数の小孔よりなる前記排水用開口部9′と等ピッチの多数の小孔10aが形成される。而してこの開閉板10は,その小孔10aと前記排水用開口部9′とが合致する開放位置と,合致しない閉じ位置との間をスライドするものであり,特に溝蓋Tが本来の溝蓋として使用されるときは開放位置に置かれ,また防水板として使用されるときは閉じ位置に置かれる。
【0032】
而してこの第2実施例でも,第1実施例と同様の効果が期待できる。
【0033】
また図11には,本発明の第3実施例が示される。この実施例では,構造物としてのビルBLの入口Iの幅が比較的狭いような場合に,単一の溝蓋T′だけを防水板に兼用し,その防水板の左右両端部を,入口Iの左右一対の支柱Mの溝状凹部Ma間に嵌合支持させるようにしている。この実施例では,先の実施例の補助支柱Sが省略可能となり,即ち,溝蓋T′を防水板として用いる場合に補助支柱Sを特別に立てる必要がないため,それだけ防水装置Aの構造が簡素化されコスト節減が図られると共に,溝蓋T′から防水板への切換え作業も簡便且つ迅速に行うことができる。尚,この第3実施例では,補助支柱Sが不要であるため,収納ボックスBを省略してよく,その場合には,床面Fに,防水板(溝蓋T′)の下端を嵌合させる比較的幅狭の溝状凹部を形成して,その溝状凹部の底面に前記底部パッキンPbと同様のパッキンを接合させるようにする。
【0034】
以上,本発明の実施例について説明したが,本発明はその実施例に限定されることなく,本発明の範囲内で種々の実施例が可能である。例えば,前記実施例では,構造物としてビルを示したが,本発明は,その他の構造物,例えば地下街,地下道,地下駐車場等の入口にも実施可能である。
【0035】
また前記実施例では,排水溝1を構造物の入口Iを横切る方向に配置したものを示したが,排水溝1は,入口Iの周辺(近く)であれば,特に図示例の位置に限定されず,例えば,図示例の延び方向と直交する方向に延びるように配置してもよい。
【0036】
また前記実施例において,溝蓋Tの通常の使用状態における排水をスムーズに行わせるために,第1実施例では受け枠8に排水用開口部9を設け,また第2実施例では溝蓋T自体に開閉可能な排水用開口部9aを設けたものを示したが,本発明では,そのような排水用開口部を省略することも可能であり,その場合は,溝蓋Tと受け枠8との隙間から排水させるようにする。
【0037】
【発明の効果】
以上のように各請求項の発明によれば,構造物入口への水侵入の虞れがある非常時には,排水溝より溝蓋を取り外して,これを該入口に対する防水板として使用できるようにしたので,構造物入口への水侵入防止対策を迅速にとることができ,また排水溝は,溝蓋が防水板として使用されることで必然的に該溝の開口部が開放されるため,排水溝の排水効率を自動的に高めることができて,構造物入口へ向かう水量の低減を図る上で有効である。また防水板は,平時は排水溝の溝蓋として有効に活用できるため,該防水板の平時における収納保管場所の確保が不要となる。
【0038】
また特に請求項2の発明によれば,平時は床面下の収納ボックス内に,防水板を立てるための補助支柱を収納しておくことができるので,補助支柱の収納保管場所を構造物入口周辺に特別に確保する必要はなくなり,しかも非常時には収納ボックスより補助支柱を取出し,支持手段を用いて補助支柱をボックス底面上の定位置に迅速に起立支持させることが可能なため,作業性が頗る良好である。
【0039】
また特に請求項3の発明によれば,収納ボックスの底面には,各防水板の下端部に当接してその当接部をシールするための底部パッキンが設けられ,また各支柱の溝状凹部の一方の内側壁には,各防水板の左右両端部に当接してその当接部をシールするための側部パッキンが設けられるので,防水板の左右端部と各支柱との間や,防水板の下端部と床面(ボックス底面)と間からの漏水防止に効果的である。
【0040】
また特に請求項4の発明によれば,各支柱の溝状凹部の他方の内側壁には,各防水板の左右両端部を対応する側部パッキンを介して前記一方の内側壁に押圧する押圧手段が設けられるので,側部パッキンによるシール性能が高められ,防水板の左右端部と各支柱との間の漏水防止に一層効果的であり,また防水板の各支柱への取付強度も向上する。
【0041】
また特に請求項5の発明によれば,防水板が単一で済み,補助支柱を特別に立てる必要がないため,それだけ装置の構造が簡素化されコスト節減が図られると共に,溝蓋から防水板への切換え作業も簡便且つ迅速化する。
【0042】
また特に請求項6の発明によれば,排水溝は,構造物入口の前の床面に該入口を横切るように形成されるので,排水溝と防水板立設位置とが直近となり,溝蓋を取り外して防水板を立てる際の作業能率が一層向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る防水装置の防水板取付状態を示す構造物入口の縦断面図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】図2の3−3線拡大断面図
【図4】図1の4−4線拡大断面図
【図5】図4の5−5線拡大断面図
【図6】図4の6−6線拡大断面図
【図7】補助支柱の単体斜視図
【図8】前記防水装置の防水板格納状態を示す図4対応図
【図9】構造物入口の床面の斜視図
【図10】第2実施例を示す図9対応図
【図11】第3実施例を示す図1対応図
【符号の説明】
A・・・防水装置
BL・・ビル(構造物)
B・・・収納ボックス
Bt・・開閉蓋
I・・・構造物入口
F・・・床面
M・・・主支柱
Ma・・溝状凹部
Pb・・底部パッキン
Ps・・側部パッキン
S・・・補助支柱
Sa・・溝状凹部
T・・・防水板
T′・・防水板
1・・・排水溝
3・・・スタッドボルト(支持手段)
4・・・ナット(支持手段)
6・・・押圧ボルト(押圧手段)

Claims (6)

  1. 構造物入口の防水装置において,
    構造物(BL)の入口(I)側に開放し鉛直方向に延びる単一の溝状凹部(Ma)を各々有して該入口(I)の相対向する左右両側壁面(W)にそれぞれ沿設された左右一対の主支柱(M,M)と,
    その左右一対の主支柱(M,M)側に各々開放し鉛直方向に延びる互いに逆向きの一対の溝状凹部(Sa,Sa)を有して,その両主支柱(M,M)間の床面(F)上に着脱可能に立設し得る少なくとも1個の補助支柱(S)と,
    相隣なる2個の支柱(M,S;S,S)の溝状凹部(Ma,Sa;Sa,Sa)間に左右両端部を上方より抜差可能に嵌合支持し得る矩形状の複数の防水板(T)とを備え,
    その複数の防水板(T)は,平時は構造物(BL)の入口(I)周辺の床面(F)に凹設される排水溝(1)の溝蓋として機能すべく,該排水溝(1)の長手方向に沿って互いに縦列配置され且つ該排水溝(1)の開口部両側縁に各々係合載置されて床面(F)と面一であることを特徴とする,構造物入口の防水装置。
  2. 前記左右一対の主支柱(M,M)間の床面には,構造物入口(I)の横幅一杯に亘って延び内部に前記補助支柱(S)を収納可能な収納ボックス(B)を,該ボックス(B)の開閉蓋(Bt)が床面(F)と面一となるように埋設し,この収納ボックス(B)の底面には,前記補助支柱(S)を所定位置に位置決めし且つ起立支持するための支持手段(3,4)を設けたことを特徴とする,請求項1に記載の構造物入口の防水装置。
  3. 前記収納ボックス(B)の底面には,各防水板(T)の下端部に当接してその当接部をシールするための底部パッキン(Pb)が設けられ,また各支柱(M,S)の溝状凹部(Ma,Sa)の一方の内側壁には,各防水板(T)の左右両端部に当接してその当接部をシールするための側部パッキン(Ps)が設けられることを特徴とする,請求項2に記載の構造物入口の防水装置。
  4. 各支柱(M,S)の溝状凹部(Ma,Sa)の他方の内側壁には,各防水板(T)の左右両端部を対応する側部パッキン(Ps)を介して前記一方の内側壁に押圧する押圧手段(6)が設けられることを特徴とする,請求項3に記載の構造物入口の防水装置。
  5. 構造物入口の防水装置において,
    構造物(BL)の入口(I)側に開放し鉛直方向に延びる単一の溝状凹部(Ma)を各々有して該入口(I)の相対向する左右両側壁面(W)にそれぞれ沿設された左右一対の主支柱(M,M)と,
    その両支柱(M,M)の溝状凹部(Ma,Ma)間に左右両端部を上方より抜差可能に嵌合支持し得る長方形状の単一の防水板(T′)とを備え,
    その防水板(T′)は,平時は構造物(BL)の入口(I)周辺の床面(F)に凹設される排水溝(1)の溝蓋として機能すべく,該排水溝(1)の開口部両側縁に各々係合載置されて床面(F)と面一であることを特徴とする,構造物入口の防水装置。
  6. 前記排水溝(1)は,構造物(BL)の入口(I)前の床面(F)に該入口(I)を横切るように形成されることを特徴とする,請求項1〜5の何れかに記載の構造物入口の防水装置。
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