JP2004162145A - 陰極線管の色選別機構用支持バネ - Google Patents

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芳郎 堀内
Osamu Suzuki
治 鈴木
Yuji Ikegami
雄二 池上
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Abstract

【課題】高熱膨張高強度特性を備えたオーステナイト系ステンレス鋼を用いた陰極線管内に装着される色選別機構の支持スプリン部材を提供する。
【解決手段】色選別機構のフレームを構成する枠部材の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を備えた、色選別機構を陰極線管内に支持し、部材の有する熱膨張特性を利用して色ずれを防止するための板バネ状の支持スプリング部材であって、C:0.10〜0.30wt%、Si:3.0wt%以下、Mn:3.0wt%以下、Ni:5.0〜12.0wt%、Cr:18.0〜30.0wt%、N:0.05〜0.30wt%、残部がFe及び不可避的不純物からなるステンレス鋼材であり、金属組織中に析出した炭化物および炭窒化物の占める面積率が3%未満、24.2C+13.7N+0.35Si+0.5Mn+Ni+0.65Crで示されるNi当量が24.0〜30.0wt%である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高熱膨張高強度特性を備えたオーステナイト系ステンレス鋼を用いた陰極線管内に装着される色選別機構の支持スプリン部材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、カラー陰極線管は図7に示すように、R(赤)、G(緑)、B(緑)の色蛍光体からなる蛍光面が内側に形成された蛍光体パネル11と、この蛍光体パネルにフリットシール部12を介して接合されたファンネル13と、このファンネルのネック部に封着された電子銃14と、蛍光体パネルの内側に装着された色選別機構とを備えて構成されている。
【0003】
色選別機構は、図8に示すように、電子ビーム透過孔(スリット孔)がパターン配列された薄板状の色選別マスク21と、この色選別マスクを支持する方形枠上のフレーム22と、から構成されている。
【0004】
また、フレームには、ホルダー23を介して、板バネ状の支持スプリング部材24a、24bが取り付けられている。この支持スプリング部材は、蛍光体パネルに色選別機構を装着するためのもので、その一端側に係止孔を嵌め込むことで、色選別機構が蛍光体パネルの内側面に装着されるようになっている。
【0005】
このようにして装着される色選別機構は、電子銃から放射された電子ビームの影響によって熱膨張を起こす。色選別機構の熱膨張は、色選別マスクのスリット孔21aと蛍構体パネルの蛍光面との相対位置の変位を招き、色ズレ等の画像劣化が生じる要因となる。
【0006】
色選別機構における支持スプリング部材の取り付けは、通常、例えば図9(a)に示すように互いに対向するもの同士が対称となっていたり、又、例えば図9(b)に示すように全てが同一回転方向に向く、いわゆる風車タイプであったりする。
【0007】
しかしながら、いずれのものも、特に色選別機構の長辺方向(図9中のX方向)において、支持スプリング部材24aとフレーム22の長辺枠部材との接合箇所が、色選別機構の中心位置(図9中のY軸上)に設けられておらずオフセットしている。
【0008】
そのため、フレームの長辺枠部材が熱的影響によって膨張すると、色選別マスク全体が図中矢印X方向にシフト(以下「Xシフト」という)し、その結果、色ズレ等の画像劣化が生じる要因となる。特に、色選別マスクのスリットがストライプ状である場合には、そのスリットの長手方向と直交する方向へのXシフトは大きな問題となる。
【0009】
このXシフト量の抑制には、熱膨張率が色選別機構の長辺枠部材より大きい材料を支持スプリング24aに使用しており、具体的にはオーステナイト系ステンレス鋼が用いられている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ステンレス鋼を高強度化するには、主としてSUS301、SUS304に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼を、冷間圧延あるいは冷間圧延と時効処理によって高強度化を図る手法と、SUS420、SUS403に代表されるマルテンサイト系ステンレス鋼を焼入れ、焼戻しして高強度化を図る手法に分けられる。
【0011】
一般に、マルテンサイト系ステンレス鋼に比べ、オーステナイト系ステンレス鋼が高い熱膨張を備えており、色選別機構の支持スプリング部材24aにはオーステナイト系ステンレス鋼で熱膨張係数が14.0×10−6/℃(30〜100℃)程度が用いられている。
【0012】
しかし、カラー陰極線管の大画面化と高精細度化に伴い、色選別機構の熱的影響によるXシフト量も増大するために、支持スプリング部材24aの更なる高熱膨張率化と高強度化が必要となった。
【0013】
特開平06−207247号公報には、並設バイメタル用高強度高膨張合金、その製造方法、及び高強度並設バイメタルに関する技術について開示されている。開示内容によれば、上記発明では16.0×10−6/℃(30〜100℃)以上の高い熱膨張と引張強さ110kgf/mm以上の高い強度を実現している。
【0014】
ところが、上記発明ではC、Mn、Ni等のオーステナイト(γ)形成元素を必要以上に多量に含有させているので、凝固の際にγ凝固する。そのため、凝固割れ感受性が高く、又熱間加工性が悪いので、熱間圧延した際に耳割れが生じやすい等の製造上の問題があり、製造コストの上昇を招いている。また、Nb、Mo、W等の高価な元素を含有しているため、成分からもコスト高となっている。
【0015】
従って、本発明の目的は、オーステナイト系ステンレス鋼で高強度を維持しつつ、且つ熱膨張係数が15.5×10−6/℃(30〜100℃)以上を有する高強度高熱膨張特性を提供することにある。なお、熱膨張係数の好ましい下限は15.7×10−6/℃(30〜100℃)以上であり、より好ましい下限は、16.0×10−6/℃(30〜100℃)以上である。また、好ましい上限は、16.5×10−6/℃(30〜100℃)以下であり、より好ましい上限は16.2×10−6/℃(30〜100℃)以下である。
【0016】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明の第1の態様は、色選別機構のフレームを構成する枠部材の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を備えた、色選別機構を陰極線管内に支持し、部材の有する熱膨張特性を利用して色ずれを防止するための板バネ状の支持スプリング部材であって、下記の成分組成を備えたことを特徴とする高熱膨張特性の支持スプリング部材である。
(a)C:0.10〜0.30wt%、Si:3.0wt%以下、Mn:3.0wt%以下、Ni:5.0〜12.0wt%、Cr:18.0〜30.0wt%、N:0.05〜0.30wt%を含有し、かつ残部がFe及び不可避的不純物からなるステンレス鋼材であって、
(b)前記ステンレス鋼材の金属組織中に析出した炭化物および炭窒化物の占める面積率が3%未満であり、
(c)下記式(1)で表わされるNi当量が24.0〜30.0wt%である。
Ni当量=24.2C+13.7N+0.35Si+0.5Mn+Ni+0.65Cr−−−(1)
【0017】
本発明の第2の態様は、前記ステンレス鋼材は、成分組成として、さらに、Moは4.0wt%以下、Cuは3.0wt%以下の範囲で、いずれか1種以上を含有し、かつ、下記式で表わされるNi当量が24.0〜30.0wt%であることを特徴とする請求項1に記載の高熱膨張特性の支持スプリング部材である。
Ni当量=24.2C+13.7N+0.35Si+0.5Mn+Ni+0.65Cr+0.98Mo+0.6Cu−−−(2)
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について以下に説明する。本発明者は、まず、オーステナイト系ステンレス鋼の合金組成と強度や熱膨張との関係について検討した。その結果、高熱膨張特性を得るには、オーステナイトが安定になるように成分を設計し、冷間圧延によって形成されるマルテンサイト(加工誘起マルテンサイト)を抑制させる必要があることがわかった。
【0019】
しかし、マルテンサイトの形成を極度に抑えると、高強度化が困難となるため、強力なオーステナイトの固溶強化元素であるC、及びNを積極的に添加して、強度を確保する。
【0020】
製造性に関しては、凝固の際には、γマトリックスに適量のδフェライトを形成させ、凝固割れ防止及び熱間加工性を確保する。一般に、オーステナイト系ステンレス鋼において、凝固割れ防止及び熱間圧延での耳割れ防止には、5%程度のδフェライトが有効とされている。その為には、δフェライトの形成を助長するフェライト形成元素を積極的に添加する必要がある。
【0021】
そこで着目したのが強力なフェライト形成元素であるCrである。本発明では、Crの積極的な添加によりδフェライトの形成を助長し、割れ防止に有効に作用させたものである。
【0022】
本発明において、高熱膨張特性を備えた色選別機構の支持スプリング部材は、以下で説明するような成分組成を備えており、本発明の成分組成を規定した理由について以下に説明する。
【0023】
Cは、強力な固溶強化元素であり、高強度化の為には多いほど好ましく、0.10wt%以上含有することが必要である。しかし、0.30wt%を超えて含有すると、粗大な未固溶炭化物が生成して耐食性が劣化するほか、冷間圧延時に破断の危険が高まって製造性を害する。そのため、0.10〜0.30wt%の範囲とする。好ましくは0.15〜0.25wt%の範囲とする。より好ましくは、0.17〜0.22wt%の範囲とする。
【0024】
Siは、脱酸に必要な元素であるとともに高強度化に有効な元素である。しかし、3.0wt%を超えて含有すると著しく脆化し、冷間圧延時に破断する危険が高まる。そのため、3.0wt%以下とすることが望ましい。
【0025】
Mnは、Si同様に脱酸に必要な元素である。しかし、3.0wt%を超えて含有すると焼鈍、酸洗時に異常酸化の原因を招いて、表面品質を劣化させるほか歩留まり低下につながるため、3.0wt%以下とすることが望ましい。
【0026】
Niは、時期割れ防止に有効であり、製造性の観点から、5.0wt%以上含有することが必要である。しかし、高価な元素であり、上限を12.0wt%とし、5.0〜12.0wt%の範囲とすることが望ましい。好ましくは、5.0〜10.0wt%の範囲であり、より好ましくは、5.0〜8.0wt%の範囲とする。
【0027】
Crは、耐食性向上、凝固割れ、及び熱間圧延での耳割れ防止にも有効なことから、18.0wt%以上含有することが必要である。しかし、30.0wt%を超えて含有すると、熱膨張係数が低下する他、σ相が析出し、逆に耐食性を害するほか、製造性も劣化させる、例えば、冷間圧延時に破断したりするので、上限を30.0wt%とし、18.0〜30.0wt%の範囲とすることが望ましい。好ましくは、20.0超〜25.0wt%とする。
【0028】
Moは、耐食性や耐高温へたり性向上に有効な元素であるが、非常に高価な元素であるため、4.0wt%以下の範囲とすることが望ましい。
【0029】
Cuは、スクラップ中に含有する元素であり、かつ精錬での除去が困難な元素である。3.0wt%を超えて含有すると熱間加工性が劣化し、熱間圧延においては耳割れの原因となって歩留まりを低下させ、製造コスト上昇を招くために3.0wt%以下の範囲とすることが望ましい。
【0030】
Nは,Cと同様に強力な固溶強化元素であり、高強度化に欠かせない元素である。0.05wt%以上含有させることが必要である。しかし、0.30wt%を超えると未固溶窒化物を形成し、逆に耐食性を劣化させるばかりでなく、冷間圧延時に破断の危険が高まる。そのため、上限は0.30wt%とし、0.05〜0.30wt%の範囲とすることが望ましい。好ましくは、0.10超〜0.20wt%no範囲であり、より好ましくは、0.10超〜0.15wt%の範囲とする。
【0031】
Ni当量=24.2C+13.7N+0.35Si+0.5Mn+Ni+0.65Cr−−−(1)
Ni当量=24.2C+13.7N+0.35Si+0.5Mn+Ni+0.65Cr+0.98Mo+0.6Cu−−−(2)
Ni当量は上記(1)又は(2)に示される式で計算される指数であり、冷間加工に対するオーステナイトの安定度を示す指標である。
【0032】
SUS301に代表されるオーステナイト系ステンレス鋼は、冷間圧延などの加工を行った場合、加工誘起マルテンサイトが生成するが、その生成量はNi当量が高いほど少なくなる。このマルテンサイトの生成を抑えることができれば高熱膨張特性を維持できる。そのためには、Ni当量が24.0wt%以上であることが必要である。
【0033】
しかし、Ni当量が30.0wt%以上となるとマルテンサイトが全く生成せず、高強度化が困難となる他、効果が飽和する。そのため、上限を30.0wt%とし、24.0〜30.0wt%の範囲とすることが望ましい。好ましくは、26.0〜28.0wt%とする。
【0034】
本発明では、炭化物および炭窒化物の占める面積率が3%未満である。本発明において、炭化物および炭窒化物の占める面積率を3%未満に限定する理由は、炭化物をほぼ完全に固溶させオーステナイト組織を安定化させる為である。炭化物および炭窒化物を3%以上含有すると、オーステナイト組織の組成が変化し、冷間圧延した際に多量のマルテンサイトが形成され、熱膨張率が低下する。そのため、3%未満とする。好ましくは、2%未満とする。
【0035】
【実施例】
本発明の実施例について、まず、図1として示した表1、及び図2として示した表2を用いて説明する。まず、表1に示した成分組成の鋼塊10kgを溶製した。表1のNo.1〜9が本発明例である。No.10〜14は比較例であり、成分、Ni当量、炭化物面積率等のうちのいずれかが、本発明に規定する範囲から外れたものである。また、No.15、16は従来鋼であり、No.15は、SUS304相当品で、No.16は、SUS301相当品である。
【0036】
次に、造塊後の鋼塊は、1250℃で30分間加熱し後、引続いて熱間鍛造を行って、断面が厚さ10mm、幅が60mmの板材を作製した。次に、1120℃で大気中に30分間保持する加熱処理を行った後、水冷した。
【0037】
次に、板材の表面研削を行って厚さが8mmの板材を得た。次に、冷間圧延を行って板厚を4mmとした。次に、1120℃で大気中に1分間保持する加熱処理を行った後、強制空冷した。次に、冷間圧延を行って板厚を2mmとした。次に、1120℃で大気中に30秒間保持する加熱処理を行った後、強制空冷した。
【0038】
次に、冷間圧延を行って板厚を0.8mmとした。この冷間圧延の圧下率は60%である。板厚0.8mmの板材は各種試験に供した。試験により、硬さ、マルテンサイト量、熱膨張特性、及び炭化物及び炭窒化物の析出の有無を確認した。その結果は、表2に示した。また、一部のサンプルについては、押さえばねに成形加工後、カラー陰極管に組み込んだ実装試験を行った。
【0039】
炭化物及び炭窒化物の面積率については以下の方法を用いて求めた。厚さ0.8mmまで冷間圧延した板材を、圧延方向に直角に切断して表面研磨し、次に塩酸とピクリン酸アルコールの混液を用いてエッチングを行った。得られた組織を電子顕微鏡により撮影した3000倍で写真撮影した。この写真を用い点算法で求めた。
【0040】
具体的には、写真視野上に縦、横が5mm間隔の桝目を設け、例えば、縦に10個、計100個の桝目の格子点に触れる、又は格子点上にある炭化物の数を求める。この作業を10視野繰り返し、その平均値を面積率とした。
【0041】
すなわち、面積率は以下の式で示されるものである。
n÷(p×f)×100=炭化物面積率(%)である。n、p、f、は以下に示すものである。
p:視野内の総格子点数
f:視野数
n:f個の視野における炭化物によって占められる格子点中心の数
【0042】
硬さは、JISZ2244で規定されるビッカース硬さ試験法により測定した。なお、測定位置は板表面であり、測定荷重は10kgとした。
【0043】
マルテンサイト量は、フィッシャー社製のフェライトスコープを用いて求めた。なお、板厚が2mm以下の場合には測定値が板厚に依存するので、板を3枚重ねて2.4mmの厚さとし、板厚の影響を無視できるようにして測定した。
【0044】
高温へたりの測定方法は以下のようである。第3図(a)に示すようなSUS310S製の治具1を用意し、厚さが0.8mm、幅が20mm、長さが100mmの平板試験片3に設けた孔にボルト5を通して治具にセットした。試験片の固定端から80mm離れた位置に高さが10mmのブロック7を設けている。試験片3をボルト5で固定することにより、強制的に曲げ応力が加えられる。次に、この状態を保持したまま、500℃に15分間保持後空冷する熱処理を行った。
【0045】
へたり量は、第3図(b)に示したように、ブロックをはずしで固定端から80mm離れた位置での高さからへたり量9を求めた。なお、熱処理を行わないものについても、試験片を治具に取りつけ、15分間保持後に取り外し、そのへたり量を測定したところ、大きなへたりは生じないことが確認できた。
【0046】
熱膨張係数は、厚さ0.8mm、幅5mm、長さ20mmに切り出した試験片を用いて求めた。このとき、圧延方向に直角方向が5mm、圧延方向が20mmとなるように試験片を切り出した。そして、測定を安定させるために550℃に1分間保持して均熱処理し、その後空冷して室温まで冷却する時効処理を行った。測定装置は、マックサイエンス社製のMTC1000Sである。測定方向は圧延平行方向とし、基準温度は30℃、昇温速度は5℃/分として200℃まで昇温する試験を行い、30〜100℃の平均熱膨張係数を測定値とした。
【0047】
試験結果は、図2としての表2に示した。なお、比較例のNo.14では、冷間圧延時に破断したため目標(0.8mm)の板厚に調整することができなかった。
【0048】
マルテンサイト量とNi当量との関係を図4に示した。マルテンサイト量は、Ni当量が24%付近(マルテンサイト量で約10%)になるまで急激に減少し、その後なだらかに減少して、30%付近でマルテンサイトは生成しなくなる。
【0049】
へたり量とNi当量との関係を図5に示した。へたり量は、Ni当量が24%付近になるまで急激に減少し、その後なだらかに減少した。つまり、Ni当量を24%以上とすることで、へたり量を抑えることができる。
【0050】
硬さは、Ni当量及びC、N量の影響を受ける。図6には、硬さとNi当量の関係を示した。硬さはNi当量が高くなるに従い低下する。また、図6中の各データにばらつきがあるのは、各データについてのC、N含有量が異なるためである。例えば、本発明のNo.2と比較例No.13を比較すると、N量、Ni量はほぼ同じである。ところが、C量が0.18%(No.2)、0.06%(No.12)と異なることに対応して、硬さは446(No.2)、417(No.13)となり、Cを多く含有するNo.2の方が硬さの値が大きい。
【0051】
また、発明例No.2と比較例No.12と比較すると、C量、Ni当量はほぼ同じであるが、N量が0.12%(No.2)、0.04%(No.12)と異なり、硬さは446(No.2)、422(No.12)とNを多く含有するNo.2の方が硬さの値が大きい。つまり、高強度を得るにはNi当量を低くすること、C、N含有量を高くする必要があることがわかる。
【0052】
熱膨張について、本発明鋼は、従来鋼であるSUS301及びSUS304に比べ高い熱膨張特性を示した。
【0053】
カラー陰極管実装試験については、本発明例については、表1のNo.2合金を用い、従来例については、表1のNo.16に示したSUS301合金を用い、ばねに加工したものについて行った。その結果、本発明合金は色ずれ評価が良好であったが、SUS301合金では、やや不良という評価となった。
【0054】
以上から、発明鋼では高強度、高熱膨張特性を備え、かつ優れた耐高温へたり性を兼ね備えており、カラー陰極管に組み込んだ場合において、色選別機構のXシフト量が緩和され、色ズレが減少して優れた画像特性が得られることがわかった。
【0055】
【発明の効果】
以上のことから明らかなように、本発明によれば、高強度、高熱膨張特性を備え、耐高温へたり性にも優れるオーステナイト系ステンレス鋼を提供でき、それらの特性が要求される色選別機構の支持スプリング部材に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1として示した表1であり、本発明品および比較品等の成分組成を示した一覧表である。
【図2】図2として示した表2であり、本発明品および比較品等の試験結果を示した一覧表である。
【図3】へたり試験方法を示した図である。
【図4】マルテンサイト量とNi当量との関係を示す図である。
【図5】へたり量とNi当量との関係を示す図である。
【図6】硬さとNi当量との関係を示す図である
【図7】カラー陰極線管の概略図である。
【図8】カラー陰極管の色選別機構概略図である。
【図9】色選別機構の支持スプリング部材の取り付け概略図である。
【符号の説明】
1 へたり測定治具
3 試験片
5 ボルト
7 ブロック
9 へたり量(mm)
11 蛍光体パネル
12 フリットシール部
14 電子銃
21 色選別マスク
21a 色選別マスクのスリット孔
22 フレーム
23 ホルダー
24a、b 板バネ状支持スプリング部材

Claims (2)

  1. 色選別機構のフレームを構成する枠部材の熱膨張係数よりも大きい熱膨張係数を備えた、色選別機構を陰極線管内に支持し、部材の有する熱膨張特性を利用して色ずれを防止するための板バネ状の支持スプリング部材であって、下記の成分組成を備えたことを特徴とする高熱膨張特性の支持スプリング部材。
    (a)C:0.10〜0.30wt%、Si:3.0wt%以下、Mn:3.0wt%以下、Ni:5.0〜12.0wt%、Cr:18.0〜30.0wt%、N:0.05〜0.30wt%を含有し、かつ残部がFe及び不可避的不純物からなるステンレス鋼材であって、
    (b)前記ステンレス鋼材の金属組織中に析出した炭化物および炭窒化物の占める面積率が3%未満であり、
    (c)下記式(1)で表わされるNi当量が24.0〜30.0wt%である。
    Ni当量=24.2C+13.7N+0.35Si+0.5Mn+Ni+0.65Cr−−−(1)
  2. 前記ステンレス鋼材は、成分組成として、さらに、Moは4.0wt%以下、Cuは3.0wt%以下の範囲で、いずれか1種以上を含有し、かつ、下記式で表わされるNi当量が24.0〜30.0wt%であることを特徴とする請求項1に記載の高熱膨張特性の支持スプリング部材。
    Ni当量=24.2C+13.7N+0.35Si+0.5Mn+Ni+0.65Cr+0.98Mo+0.6Cu−−−(2)
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JP2009041072A (ja) * 2007-08-09 2009-02-26 Nisshin Steel Co Ltd Ni節減型オーステナイト系ステンレス鋼

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