JP2004162073A - 金属ラミネート用ポリエステル複合フィルムおよび該フィルムをラミネートしたラミネート金属板または金属容器 - Google Patents

金属ラミネート用ポリエステル複合フィルムおよび該フィルムをラミネートしたラミネート金属板または金属容器 Download PDF

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Abstract

【課題】 成形加工性および耐熱性に優れ、かつ耐フレーバー性の悪化等の問題のない金属ラミネート用ポリエステル複合フィルムを提供する。
【解決手段】 融点が236〜252℃のポリエステルからなる基材層と、融点が180〜235℃のポリエステルからなる接着層が積層されたポリエステル複合フィルムであって、該複合フィルム中のエチレンテレフタレート環状三量体含有量が0.70質量%以下である金属ラミネート用ポリエステル複合フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、金属ラミネート用ポリエステル複合フィルムに関し、さらに詳細には、特に飲料缶、食料缶等の金属缶の内面または外面保護用として利用されるラミネートフィルムに関する。
食料品や液体内容物を缶に密封した食料缶や飲料缶は、強度、耐熱性、耐寒性に優れていることから、ブリキ、ティンフリースチール等のスチール系やアルミニウム等の金属材料が用いられている。これらの金属缶には、その外面を保護する目的で塗料が使用されている。また内面においても、特に食品用途として用いる場合、金属臭が内容物である食料品や飲料に移行するいわゆるフレーバー不良や、内容物の変質および金属缶自体の内容物による腐食を防ぐ必要があり、この様な金属内外面保護用塗料としては、耐熱性の良い熱硬化性樹脂が用いられていた。
熱硬化性樹脂塗料は、一般的に溶剤型塗料を150〜250℃の高温で数分間加熱することによって塗工されるが、有機溶剤が飛散するという作業環境の問題や、ラインのスピードアップが制限されるという問題があった。また、この熱硬化性樹脂の塗膜には、残存有機溶剤や、硬化剤や硬化触媒やその他低分子量の添加剤が含まれているため、これらの物質が金属缶の内容物に移行し、食料品や飲料の味や匂い、あるいは安全性に悪影響を及ぼすという問題があった。
このため、熱可塑性フィルムを金属板にラミネートする方法が考案され、例えばポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルムを加熱したティンフリースチールにラミネートする方法が検討されている。この方法では、確かに作業環境問題や工程の簡素化は達成されるが、耐熱性の低いポリオレフィン系フィルムでは、製缶工程で必須的に行われる金属缶レトルト処理に耐えることができず、フィルムの白化や金属板からの剥離が起っていた。また、ポリオレフィン系フィルムは柔らかすぎて耐スクラッチ性が劣り、製缶工程における金属板移送工程や、巻締め加工工程でスクラッチ傷が発生し易い。
そこで、耐熱性の良いポリエステルフィルムが強度、耐食性、バリア性、耐フレーバー性を満たすものとして注目されてきた。特に、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムはバランスのとれた素材であり、二軸配向させたPETフィルムを低融点ポリエステル接着層を介して金属板にラミネートした製缶材料が特許文献1、2に開示されている。また、非晶性または極めて低結晶性の芳香族ポリエステルフィルムを利用する方法が特許文献3に提案されている。
しかしながらこれらの従来技術のものは、成形加工性や耐熱性の面で不充分であり、製缶加工工程や内容物充填前後の加熱処理工程で密着不良による缶とフィルムの層間剥離が生じるという問題があった。さらに、他の熱可塑性フィルムに比べ添加剤の必要のないPETフィルムにおいても、重合工程や成膜工程で低分子量化合物、いわゆるエチレンテレフタレート環状三量体を主体とするオリゴマーが生成し、これがラミネートフィルム表面に析出して外観を損ねたり、金属缶内容物の食品に移行して食味や匂いを変えてしまうという問題があった。
特開昭56−10451号 特開平1−192546号 特開平1−192545号
そこで本発明では、成形加工性および耐熱性に優れ、かつエチレンテレフタレート環状三量体の析出による耐フレーバー性の悪化等の問題のない金属ラミネート用ポリエステル複合フィルム、および該フィルムをラミネートした金属板および該金属板を利用した金属容器を提供することを目的とする。
本発明の金属ラミネート用ポリエステル複合フィルムは、融点が236〜252℃のポリエステルからなる基材層と、融点が180〜235℃のポリエステルからなる接着層が積層されたポリエステル複合フィルムであって、該複合フィルム中のエチレンテレフタレート環状三量体含有量が0.70質量%以下であるところに要旨を有する。エチレンテレフタレート環状三量体含有量が0.50質量%以下であることは、耐フレーバー性向上やレトルト処理後の外観低下を抑制する点で、本発明の好ましい実施態様である。また、該フィルムを、前記接着層側が金属板に接する様にラミネートしたラミネート金属板、および該ラミネート金属板を用いて成形した金属容器も本発明に含まれる。
本発明の金属ラミネート用ポリエステル複合フィルムは以上の様に構成されているので、熱接着可能であり、しかもラミネート後に熱履歴が加えられても収縮が起らず、良好な対金属密着性を有するフィルムである。従って、接着剤に起因する残存有機溶剤の悪影響を考慮することなく、種々の用途に使用できる。また本発明のフィルムは耐衝撃性にも優れているので、該フィルムをラミネートしたラミネート金属板は、絞り成形やストレッチドロー成形等の成形加工を受けてもクラックが入ることなく高速で製缶でき、耐食性に優れた金属缶を製造することが可能である。さらに本発明では、原料中のエチレンテレフタレート環状三量体の量を少なくしていることから、これらのオリゴマーが析出して本発明のラミネート金属板や金属容器の外観を悪化させることがない。また、金属容器内容物として飲料あるいは食料品を充填し、加熱レトルト処理を行った場合であっても、食味や匂いに悪影響を与えることがなく、高性能なレトルト食料品充填用金属容器としても利用できる。
本発明の金属ラミネート用ポリエステル複合フィルムは、融点236〜252℃のポリエステルからなる基材層(以下A層ということがある)と、融点180〜235℃のポリエステルからなる接着層(以下B層ということがある)を積層したものである。基材層および接着層は、主として、ポリカルボン酸と多価アルコールが重縮合されたポリエステルからなり、ホモポリエステル、共重合ポリエステル、あるいはこれらの混合物が利用される。特に、エチレングリコールとテレフタル酸を重縮合させたポリエチレンテレフタレート(PET)は結晶化度が高く260℃前後の高融点を示すので、PETを多く含むポリエステルは、高融点のA層の主たる構成成分として利用できる。
ポリエチレンテレフタレートと共に、ブレンドまたは共重合による導入が可能な他のポリエステル構成単位としては、1,4−ブタンジオールとテレフタル酸からなるブチレンテレフタレート、エチレングリコールとイソフタル酸からなるエチレンイソフタレート等を挙げることができる。
これらの構成単位は結晶化度を下げ、融点を低下させるので、これらの構成単位をポリエチレンテレフタレート(エチレングリコールとテレフタル酸)と共重合するか、あるいは上記構成単位を単独重合または複数の構成単位を共重合したポリマーの形でポリエチレンテレフタレートにブレンドすれば、得られるポリエステルの融点が低くなり、融点180〜235℃のB層として利用することができる。なお、該B層のポリエステルは接着強度等の理由から極限粘度で0.5以上のものであることが好ましい。
その他、ジカルボン酸成分として2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、アゼライン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等を用いることができる。また、ジオール成分としては、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、シクロヘキサンジメタノール、デカンジオール、ジ、トリおよびポリエチレングリコール、テトラメチレングリコール等を用いることができる。ポリエステルは、ジカルボン酸とグリコールとを直接反応させてから、ジカルボン酸のアルキルエステルとグリコールとをエステル交換反応させた後重縮合させるか、あるいはジカルボン酸のジグリコールエステルを重縮合させる等の公知の方法によって製造することができる。また、分子量を高めるために固相重合法で製造することも好ましく、固相重合法は後述の様に、エチレンテレフタレート環状三量体の生成を抑制する方法でもある。
なお、上記複合フィルム原料ポリエステルには、必要に応じて公知の添加剤、酸化防止剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤、無機系粒子、無機・有機系滑材、顔料、帯電防止剤等を分散・配合させてもよい。
本発明では、基材層(A層)の融点を236〜252℃とし、接着層(B層)の融点は180〜235℃としなければならない。基材層の融点が236℃より低いと耐衝撃性が劣ったものとなり、製缶加工時にクラックが発生する。また接着層の融点が235℃を超えると金属に対する密着性が劣ってくるので、やはりクラックや剥離の発生が増える。接着層の融点が180℃より低いと基材層との融点の違いが大きくなり、製缶工程における熱履歴による収縮が起り易くなる他、耐熱性不足に起因するラミネート加工時のしわの発生、レトルト処理段階でのフィルム白化や剥離等の問題が多くなる。
従って各層が、上記融点範囲においてのみ、ラミネート後の耐衝撃性に優れ、製缶加工工程でのクラックの発生がなく、かつラミネート後の収縮の少ないフィルムを得ることができる。特に好ましいA層の融点は240〜250℃で、B層は190〜233℃である。
また、前記ポリエステルの中でも、耐フレーバー性が良好なものは、PETの他に、ポリエチレンテレフタレート・イソフタレート(PETI)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレン・ブチレンテレフタレート(PEBT)等であり、これらのポリエステル単独またはブレンド物、あるいはPETとこれらとのブレンド物を使用することが好ましく、共重合比あるいはブレンド比を調整し、前記融点を満足する様にして用いることが推奨される。
本発明において、A層B層の融点規定以外に重要な点は、複合フィルム中に含まれるエチレンテレフタレート環状三量体オリゴマーを全ポリエステルに対して0.7質量%以下にすることである。環状三量体オリゴマーが0.7質量%を超えると、金属缶とした後に充填される食品等の内容物に内面保護フィルムからオリゴマーが移行して、食味や匂いを悪化させてしまうため好ましくない。また、金属缶外面保護フィルムとして用いた時にもオリゴマーの析出によって外観が悪化する。より好ましくは、0.6質量%以下、さらに好ましくは0.5質量%以下に抑える。
複合フィルム中の環状三量体オリゴマーの含有量を0.7質量%以下に抑える手段としては、特に限定されないが、例えばポリエステル系フィルムを製膜後、フィルムから水または有機溶剤でオリゴマーを抽出除去する手段が挙げられる。この抽出操作は、ポリエステル原料重合製造時に行っても良い。ポリエステル原料を調製する段階で、オリゴマーの生成が少なくなる様に重合を行う方法も効果的であり、例えば、減圧加熱処理法、固相重合法、前記抽出法が挙げられ、これらの手段を単独で用いるかまたは組合せて原料を調製すればよい。特に、固相重合法でエチレンテレフタレート環状三量体の生成を低減させた後、更に水で抽出する方法が好ましく採用される。
本発明の複合フィルムにおける基材層であるA層の厚みは、3〜50μm、好ましくは5〜20μmとするのがよい。3μmより薄いと、フィルムの取扱性が難しくラミネート加工性が悪化したり、製缶工程でピンホールやクラックが発生し易くなって耐食性が下がる他、保護フィルムとしての耐衝撃性の確保が難しくなる。一方、50μmを超えると複合フィルム全体が厚過ぎて不経済であるし、製缶時の熱履歴による収縮や剥離が起り易くなったり、内部応力が大きくなり金属とのラミネート性に悪影響を及ぼす。
また、B層は1〜15μmとすることが好ましい。より好ましい厚みは2〜10μmである。1μm未満では金属板との密着性が不充分となり、接着層としての働きをなさない。15μmを超えると、接着層としての効果は飽和し、逆に複合フィルムとしての耐熱性を悪化させるため好ましくない。
本発明の複合フィルムを製造する方法としては、基材層A層を構成するポリエステルと、接着層B層を構成するポリエステルを、独立した別々の押出機で押出し、ダイ外またはダイ内で2層化することによって未延伸複合フィルムが得られるので、その後公知の延伸工程を行えば良い。未延伸フィルムは、速度差を有するロール間でのロール延伸法、クリップに把持して拡げていくテンター延伸法、空気圧によって円周方向に拡げるインフレーション法等の公知の延伸法によって、少なくとも1軸に配向処理される。延伸条件としては、例えば70〜110℃で縦方向に2〜4倍延伸し、次いで80〜110℃で横方向に3〜5倍延伸することができるが、延伸方法に応じて適宜条件変更が可能である。さらに本発明においては、延伸後に120〜230℃で熱処理を行うことが好ましい。
金属ラミネート用ポリエステル複合フィルムは以上の工程を経て製造され、このフィルムのB層側を金属板にラミネートすることによって、本発明のラミネート金属板が得られる。対象金属としては特に限定されないが、金属缶用のブリキ(錫メッキ鋼板)、クロム処理鋼板(ティンフリースチール)、ニッケルメッキ鋼板、アルミ板等が例示される。ラミネート方法としては、接着剤を用いて接着させることもできるが、有機溶剤フリーが達成でき、残留溶剤による悪影響が回避できるサーマルラミネート法が好ましい。なかでも金属板の通電加熱によるサーマルラミネート法が特に推奨される。
本発明のラミネートフィルムは保護フィルムとして良好な耐食性を有しているので、金属缶の内面保護だけでなく外面保護にも好適に使用することができる。この場合は金属板の両面にラミネートするが、ラミネート順序は、同時であっても逐次であっても良い。
上記ラミネート金属板を成形することによって、本発明の金属容器が得られる。成形方法は特に限定されず、また金属容器の形状も特に限定されない。一般的には、絞り成形、絞りしごき成形、ストレッチドロー成形等の成形加工によって成形されるいわゆる2ピース缶として利用される。また、例えばレトルト食品やコーヒー飲料等の食料品を充填するのに好適な、天地蓋を巻締めて内容物を充填する、いわゆる3ピース缶としても適用可能である。
以下実施例によって本発明をさらに詳述するが、下記実施例は本発明を制限するものではなく、前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは全て本発明の技術範囲に包含される。
実施例で用いた測定・評価方法は次の通りである。
1)融点
各層の組成物を300℃で5分間加熱溶融し混合した後、液体窒素で急冷して得たサンプル10mgを用い、窒素気流中、示差走査型熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度でDSC曲線を測定し、融解に伴う吸熱ピークの頂点温度を融点とした。
2)耐衝撃性評価
複合フィルムの接着層B層側を、225℃に加熱したティンフリー鋼板(T−1、0.29mm)に水冷ロールで圧着した後、水中において急冷しラミネート鋼板を作成し、これをサンプルとしてデュポン式衝撃テストを行った。先端径12.7mm、質量1kgの衝撃子を用い、落下距離30cmで衝撃を与えた後、生じた微細クラックの有無を、図1に示した通電装置でチェックした。直径20mmの円筒の底にフィルム面を上側にして衝撃テスト後のサンプルラミネート鋼板を密着させ陽極とし、容器内に設けた白金電極を陰極として、1%の塩化ナトリウム水溶液を満たした後に6Vの直流電流を負荷し、流れた電流量を測定した。電流量が小さければ小さいほど、フィルムには衝撃子による生じたクラックが少なく、良好な耐衝撃性を示すことになる。
3)加熱による収縮量
上記耐衝撃性評価に用いたものと同様のラミネート鋼板を3cm×3cmに切断したサンプルのフィルム面に、カッターで対角線に切り目を入れ、230℃で10分間加熱した後のフィルムの収縮状態を図2に示した距離で評価した。
4)エチレンテレフタレート環状三量体の定量
複合フィルムをヘキサフルオロイソプロピルアルコール/クロロホルム=2/3(v/v)混合溶媒に溶解させた後、メタノールでポリエステルを沈殿させ、沈殿物を濾別する。濾液を蒸発乾固させ、この乾燥固化物ジメチルホルムアミドに溶解させ、液体クロマトグラフィーで展開してエチレンテレフタレート環状三量体の定量を行った。
5)エチレンテレフタレート環状三量体溶出の判定
10cm角のラミネート鋼板を500ccの蒸留水と共に、120℃で30分レトルト処理を行い、処理後のラミネート鋼板を風乾する。フィルム面をルーペで観察し、以下に示す基準でエチレンテレフタレート環状三量体オリゴマーの溶出の有無を判定した。
有:フィルム表面にオリゴマーの結晶が観察される
無:フィルム表面にオリゴマーの結晶が観察されない。
なお以下の実施例および比較例で用いたポリエステルの略号と内容は次の通りである。
PET :ポリエチレンテレフタレート
PBT :ポリブチレンテレフタレート
PETI−10:エチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体
(エチレンイソフタレートの繰り返し単位10モル%)
PETI−17:エチレンテレフタレート・エチレンイソフタレート共重合体
(エチレンイソフタレートの繰り返し単位17モル%)
PEBT−10:テレフタル酸とエチレングリコール/1,4−ブタンジオール
共重合体(グリコール成分中のブタンジオール10モル%)
PEBT−15:テレフタル酸とエチレングリコール/1,4−ブタンジオール
共重合体(グリコール成分中のブタンジオール15モル%)
PENT :テレフタル酸とエチレングリコール/ネオペンチルグリコール共
重合体(グリコール成分中のネオペンチルグリコール30モル%)
実施例1
基材層A層用レジンとして、トリメチロールプロパントリメタクリレートで架橋したポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径3.0μm、以下MMA微粒子と省略する)を0.15質量%含む極限粘度0.70のPETを40質量部と、PETI−10を60質量部混合したブレンド物を用いた。また、接着層B層用レジンとして、MMA微粒子0.1質量%含む極限粘度0.70のPETI−17を用いた。PET、PETI−10およびPETI−17は、予め水によってエチレンテレフタレート環状三量体(以下オリゴマーと省略する)を抽出して低減させてあり、PETのオリゴマー含量は0.33質量%、PETI-10では0.28質量%、PETI−17では0.28質量%であった。
上記A層用レジンおよびB層用レジンをそれぞれ別の押出し機で溶融させ、この溶融体をダイ間で合流させた後、冷却ドラム上に押出し、未延伸フィルムを得た。この未延伸フィルムを100℃で縦方向に3.5倍延伸し、次いで横方向に4.0倍延伸した後、180℃で熱固定することによって、A層が22μm、B層が3μm(総厚25μm)の金属ラミネート用ポリエステル複合フィルムを得た。
得られたフィルムの接着層のB層側を、225℃に加熱したティンフリー鋼板(T−1、0.29mm)に水冷ロールで圧着し、水中で急冷してラミネート鋼板を得た。得られた複合フィルムおよびラミネート鋼板について、前記測定手法で評価した特性結果を表2に示した。
実施例2
A層用レジンとして、平均粒径1.5μmの球状シリカを0.10質量%含みオリゴマー含有量0.30質量%のPEBT−15を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリエステル複合フィルムおよびラミネート鋼板を得た。特性評価結果を表2に示した。
実施例3
A層用レジンとして、実施例2におけるPEBT-15の代わりにPEBT−10(オリゴマー含有量0.30質量%)を用い、B層用レジンとして実施例1におけるPETI−10と同じものを用いた以外は実施例1〜2と同様にして、ポリエステル複合フィルムおよびラミネート鋼板を得た。特性評価結果を表2に示した。
実施例4
実施例3のA層、B層の組合せで、A層を12μm、B層を8μm(全体厚み20μm)のポリエステル複合フィルムおよびラミネート鋼板を得た。特性評価結果を表2に示した。
比較例1
実施例1において、水での抽出操作をやめ、PET中のオリゴマー含有量を1.0質量%、PETI−10およびPETI−17中のオリゴマー含有量を0.9質量%としたものを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリエステル複合フィルムおよびラミネート鋼板を得た。特性評価結果を表2に示した。
比較例2
実施例1においてA層をPET単独とした以外は実施例1と同様にして、ポリエステル複合フィルムおよびラミネート鋼板を得た。特性評価結果を表2に示した。
比較例3
実施例1において、B層に用いたPETI−17をA層にも用いて厚さ25μmのポリエステルフィルムおよびラミネート鋼板を得た。特性評価結果を表2に示した。
比較例4
実施例1においてB層用レジンに替えてA層用レジンを用いた以外は実施例1と同様にして、ポリエステル複合フィルムを得た。得られたフィルムを実施例1と同様に鋼板にラミネートしようとしたが、接着力が低くラミネートできなかった。このため、鋼板の温度を240℃に上げてラミネートした。特性評価結果を表2に示した。
比較例5
実施例1において、B層用レジンとして、テレフタル酸とエチレングリコール/ネオペンチルグリコール(70/30モル比)の共重合ポリエステル(オリゴマー含有量0.30質量%)を用いた以外は実施例1と同様にして、ポリエステル複合フィルムおよびラミネート鋼板を得た。特性評価結果を表2に示した。
比較例6
実施例2において、オリゴマー含有量1.0質量%のPEBT−15を用いた以外は実施例2と同様にしてポリエステル複合フィルムおよびラミネート鋼板を得た。特性評価結果を表2に示した。
なお、各実施例および比較例で用いた原料と、複合フィルムの厚みをまとめて表1に示した。
Figure 2004162073
Figure 2004162073
表から明らかな様に、実施例1〜4の複合フィルムはいずれも、耐衝撃性に優れている上、加熱しても全く収縮を起こさず、オリゴマーの溶出も見られないことがわかる。なお、原料中のオリゴマー量より複合フィルム中のオリゴマー量が微増しているのは、成膜工程中にエチレンテレフタレート環状三量体が生成したためであると考えられる。
比較例1は、原料中からオリゴマーを充分抽出していないため、複合フィルム中のオリゴマー量が本発明の規定要件を超えており、レトルト処理後にオリゴマーの溶出が認められた。比較例2は、基材層A層の融点が高すぎるためクラックが発生し、耐衝撃性の電流値が悪化していた。また、加熱処理による収縮も認められた。比較例3は基材層A層の融点が低過ぎるため強度が小さく、結果として耐衝撃性に劣るものであった。比較例4は接着層の融点が高いためラミネート温度を高める必要があり、そのためにフィルムの収縮が起こる。また耐衝撃性もよくない。比較例5は接着層の融点が低過ぎるため耐熱性に劣り、加熱による収縮が大きいものであった。比較例6はオリゴマー量の多い原料を用いているので、レトルト処理後にやはりオリゴマーの溶出が認められた。
次に上記実施例および比較例で得られたラミネート鋼板を、絞り成形法で製缶した結果を表3に示す。また、実施例1〜4と比較例1および6で得られたラミネート鋼板を用いて成形した金属缶については、製缶後にウーロン茶を充填し、レトルト処理を行い、フレーバー移行性やオリゴマー溶出の有無をチェックし、併せて表3に示した。
Figure 2004162073
耐衝撃性テストにおける通電試験装置を示す説明図である。 熱収縮量の測定箇所を示す説明図である。

Claims (4)

  1. 融点が236〜252℃のポリエステルからなる基材層と、融点が180〜235℃のポリエステルからなる接着層が積層されたポリエステル複合フィルムであって、該複合フィルム中のエチレンテレフタレート環状三量体含有量が0.70質量%以下であることを特徴とする金属ラミネート用ポリエステル複合フィルム。
  2. エチレンテレフタレート環状三量体含有量が0.50質量%以下である請求項1に記載の金属ラミネート用複合フィルム。
  3. 請求項1または2に記載の複合フィルムを、前記接着層側が金属板に接する様にラミネートしたことを特徴とするラミネート金属板。
  4. 請求項3に記載のラミネート金属板を用いて成形したものであることを特徴とする金属容器。
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