JP2004161927A - プロピレン−エチレンブロック共重合体及びその製造方法 - Google Patents

プロピレン−エチレンブロック共重合体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低弾性率で低温特性に優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体及びその製造方法を提供する。
【解決手段】下記の(1)〜(4)の条件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体である。
(1)エチレン含量が0.5〜50モル%、(2)昇温分別クロマトグラフ(TREF)において、50℃未満の溶出成分が95%以上、(3)プロピレンの反応性比をr1、エチレンの反応性比をr2とした場合、r1・r2≧0.5、(4)極限粘度〔η〕が0.1〜5.0dl/g。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プロピレン−エチレンブロック共重合体に関し、更に詳しくは、低弾性率で低温特性に優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
軟質塩化ビニル分野においては、環境意識の高まりから焼却してもダイオキシン発生がなく、しかも可塑剤を配合しないためエンドクリン問題のないオレフィン系軟質材料が代替材料として注目されている。
しかしながら、オレフィン系軟質材料は、軟質塩化ビニルのような優れた物性バランスを持つに至っておらず、普及率が低いのが現状である。
一方、プロピレン−エチレンブロック共重合体は、剛性が高く、耐衝撃性も優れていることから自動車用バンパー材料に用いられてきた。
しかしながら、プロピレン−エチレンブロック共重合体は、物性バランスに優れているものの、剛性が高く透明性に劣るため軟質塩化ビニル代替材料としては課題が多い。
剛性の高いポリプロピレンを軟質化するために、立体規則性を低下させる技術が公開されている(特許文献1及び2参照)が、ホモポリプロピレンであるため0℃未満では脆化して実用に耐えない。
又、これまでメタロセン触媒を用いたプロピレン系ブロック重合技術が公開されている(特許文献3参照)が、自動車用バンパー材料に用いるには適当であるが、軟質塩化ビニル代替材料としては剛性が高過ぎるため用いることができなかった。
【0003】
【特許文献1】
特表平9−510745号公報
【特許文献2】
特表平2002−511503号公報
【特許文献3】
特開平2001−310921号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、低弾性率で低温特性に優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体及びその製造方法に関するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記の目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、通常、メタロセン触媒を用いて、プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造するためには、高規則性ポリプロピレンを与えるメタロセン触媒を用いなければならなかったが、低規則性ポリプロピレンを与えるメタロセン触媒を用いることにより、軟質領域における弾性率の制御を容易ならしめ、低温特性に優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
即ち、本発明は、以下のプロピレン−エチレンブロック共重合体とその製造方法に関するものである。
1.下記の(1)〜(4)の条件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体。
(1)エチレン含量が0.5〜50モル%、(2)昇温分別クロマトグラフ(TREF)において、50℃未満の溶出成分が95質量%以上、(3)プロピレンの反応性比をr1、エチレンの反応性比をr2とした場合、r1・r2≧0.5、(4)極限粘度〔η〕が0.1〜5.0dl/g
2.示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下230℃で3分間溶融した後、10℃/分で0℃まで降温後、0℃で3分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−P)が観測されない上記1記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体
3.固体粘弾性において、−10℃以下にtanδピーク温度を示す上記1記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体
4.二架橋メタロセン触媒を用いてプロピレンとエチレンを共重合させる上記1〜3のいずれかに記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法
5.二架橋メタロセン触媒が、(A)一般式(I)
【化2】
Figure 2004161927
〔式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、E及びEはそれぞれ置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基,ホスフィド基,炭化水素基及び珪素含有基の中から選ばれた配位子であって、A及びAを介して架橋構造を形成しており、又それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E,E又はYと架橋していてもよい。
Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY,E,E又はXと架橋していてもよく、A及びAは二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−Se−、−NR−、−PR−、−P(O)R−、−BR−又は−AlR−を示し、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕で表される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(B−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含有する上記4に記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳しく説明する。
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体は、昇温分別クロマトグラフ(TREF)における50℃未満の溶出成分が、95質量%以上、好ましくは99質量%以上である。
50℃未満の溶出成分が95質量%未満であると、共重合体の剛性が大きくなり軟質性が損なわれる。
50℃未満の溶出成分を95質量%以上とするには、ホモ重合時に高結晶性プロピレン重合体が得られないようなメタロセン触媒、例えば、後述する一般式(1)で表される遷移金属化合物を用いればよい。
又、共重合時のエチレン仕込み量を増やすことも有効である。
非晶部の量は60質量%以下であり、好ましくは80質量%以下であり、更に好ましくは90質量%以下である。
非晶部の量が60質量%を超えると、共重合体のべたつきが多くなり、フィルムやペレットのブロッキングが発生するようになる。
尚、非晶部の測定法は、下記の昇温分別クロマトグラフの測定において、室温可溶部量を非晶部量とした。
昇温分別クロマトグラフの測定は、以下のようにして行なった。
【0008】
[昇温分別クロマトグラフの測定]
140℃のオルトジクロロベンゼンに完全に溶解させた試料溶液を、温度135℃に調節した昇温分別クロマトグラフ(TREF)カラムに導入し、次いで速度5℃/hrにて徐々に0℃まで降温し、試料を充填剤に吸着させた。
0℃にて30分間保持した後、カラムにオルトジクロロベンゼンを流通させ、0℃のまま10分間保持して充填剤に吸着されない成分を溶出させた。
その後、オルトジクロロベンゼンを流通させながら速度40℃/hrにて135℃まで昇温し、順次ポリマー成分を溶出させた。
このとき、溶出ポリマーの濃度を測定することによって溶出曲線を得た。
Figure 2004161927
【0009】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体のエチレン含量は、0.5〜50モル%であり、好ましくは5〜50モル%であり、更に好ましくは8〜45モル%である。
エチレン含量を0.5〜50モル%とするには、エチレンとの共重合時間を十分にとるか、エチレン供給量(圧)を増やせばよい。
エチレン含量が0.5モル%未満であると、共重合体の軟質性及び低温特性が損なわれ、50モル%を超えると、透明性が損なわれる。
【0010】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体は、プロピレンの反応性比をr1、エチレンの反応性比をr2とした場合、r1・r2≧0.5であり、好ましくは0.8以上であり、更に好ましくは1.0以上である。
尚、r1・r2は、ホモ重合量とランダム共重合量との割合により制御することができる。
従って、r1・r2を0.5以上とするには、例えば、ホモ重合量を5質量%以上とすればよい。
0.5未満であると、共重合体のブロック性が低下し、耐熱性が悪化する。
【0011】
本発明のプロピレン(P)−エチレン(E)ブロック共重合体の〔PPP〕のトリアド(triad)連鎖分率fPPPが40モル%以上であり、好ましくは50モル%以上であり、更に好ましくは70モル%以上である。
〔PPP〕のトリアド(triad)連鎖分率fPPPを40モル%以上とするには、例えば、ホモ重合量を10質量%以上とすれば良い。
40モル%未満であると、共重合体の耐熱性が損なわれる。
【0012】
エチレン含量、fPPP及びr1・r2は、下記のようにして求めることができる。
本発明のプロピレン(P)−エチレン(E)ブロック共重合体において、以下の三連鎖は、A.Zambelliらにより「Macromolecules,,687(1975)」で提案された13C−NMRのピークの帰属に従い、次式で計算することができる。
EPE=I
PPE=I+(I10/2)+I11
EEE=(EEE/2)+(PEE/4)=(I12/2)+(I13/4)
PPP=I14+(I10/2)
PEE=I15
PEP=I16+(I17+I18)/4
ここで、I=33.3ppmの強度、I=31.1ppmの強度、I10=31.2ppmの強度、I11=34.1ppmの強度、I12=30.0ppmの強度、I13=30.4ppmの強度、I14=29.2ppmの強度、I15=27.3ppmの強度、I16=24.7ppmの強度、I17=34.9ppmの強度,I18=34.6ppmの強度である。
T=EPE+PPE+EEE+PPP+PEE+PEPとおくと
各トリアド連鎖分率(モル%)は次式で計算できる。
EPE=(EPE/T)×100
PPE=(PPE/T)×100
EEE=(EEE/T)×100
PPP=(PPP/T)×100
PEE=(PEE/T)×100
PEP=(PEP/T)×100
ジアド(dyad)連鎖分率は、上記トリアド連鎖分率から次式で計算することができる。
PP=fPPP+〔fPPE/2〕
PE=fEPE+fPEP+〔(fPPE+fPEE)/2〕
EE=fEEE+〔fPEE/2〕
又、r1・r2(プロピレンとエチレンの反応性比の積)は、ジアド連鎖分率から次式で計算できる。
r1・r2=(4fEE・fPP)/(fEP・fEP
更に、エチレン含量(モル%)は、次式で計算することができる。
エチレン含量(モル%)=fEE+(fPE/2)
【0013】
13C−NMRの測定]
試料220mgを10mm径NMR試料管に採取し、1,2,4−トリクロロベンゼン/重ベンゼン(90/10容量%)混合溶媒3mLを添加する。
アルミブロックヒーターを用いて、140℃で均一に溶解後、13CNMRスペクトルを測定する。
NMR測定条件は、次の通り。
NMR装置 日本電子製 EX400(400MHzNMR装置)
パルス幅 7.5μs(45度パルス)
パルス繰り返し時間 4秒
積算回数 1,000回
測定温度 130℃
【0014】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体の極限粘度〔η〕は、0.1〜5.0dl/gであり、好ましくは1.0〜5.0dl/gであり、更に好ましくは1.7〜5.0dl/gである。
極限粘度〔η〕が0.1dl/g未満であると、共重合体の機械強度が低下し、5.0を超えると、溶融時の流動性が低下し、成形性が悪化する。
極限粘度〔η〕の測定は、以下のようにして行なった。
[極限粘度〔η〕の測定] (株)離合社製VMR−053型自動粘度計を用い、デカリン溶媒中、温度135℃において測定した。
【0015】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体は、示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下230℃で3分間溶融した後、10℃/分で0℃まで降温し、0℃で3分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−P)℃が観測されないものである。
即ち、示差走査型熱量計(パーキン・エルマー社製、DSC−7)を用い、試料10mgを窒素雰囲気下230℃で3分間溶融した後、10℃/分で0℃まで降温し、0℃で3分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られる融解吸熱量をΔH−P(J/g)とした。
又、このとき得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを融点Tm−P(℃)とした。
更に、前記において、窒素雰囲気下230℃で3分間溶融した後、10℃/分で0℃まで降温する操作なしに、10℃/分で昇温させることにより得られる融解吸熱量をΔH−D(J/g)とした。
又、このとき得られる融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップを融点Tm−D(℃)とした。
融点(Tm−P)が観測されないようにするには、後述する一般式(1)で表される遷移金属化合物を用い、プロピレン重合体の規則性〔mmmm〕を50%以下とすればよい。
融点(Tm−P)が観測されると、柔軟性が損なわれることがある。
【0016】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体は、固体粘弾性のtanδピーク温度が−10℃以下のものであり、好ましくは−15℃以下であり、更に好ましくは−25℃以下である。
尚、tanδピーク温度は、エチレン含量が多いほど低下する。
tanδピーク温度が−10℃を超えると、低温での対衝撃性が悪化する。
〔固体粘弾性tanδの測定〕
レオメトリック社製のRSA−II型を用い、周波数10Hz,歪み10%以下、測定温度−150℃〜100℃、昇温速度2℃/分で測定した。
得られたtanδのピークの値をtanδピーク温度とした。
尚、測定試料は、プレス成形で1mm厚みのシートを作成し、幅4mm、長さ50mmの短冊上に切り出したものを用いた。
【0017】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法としては、二架橋メタロセン触媒を用いる方法が挙げられる。
【0018】
二架橋メタロセン触媒は、メタロセン触媒のなかでも、2個の架橋基を介して架橋構造を形成している遷移金属化合物と助触媒を組み合わせて得られるメタロセン触媒である。
具体的に例示すれば、(A)一般式(I)
【0019】
【化3】
Figure 2004161927
【0020】
〔式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、E及びEはそれぞれ置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基,ホスフィド基,炭化水素基及び珪素含有基の中から選ばれた配位子であって、A及びAを介して架橋構造を形成しており、又それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E,E又はYと架橋していてもよい。
Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY,E,E又はXと架橋していてもよく、A及びAは二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−Se−、−NR−、−PR−、−P(O)R−、−BR−又は−AlR−を示し、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕で表される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(B−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含有する触媒が挙げられる。
【0021】
上記一般式(I)において、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、具体例としてはチタン,ジルコニウム,ハフニウム,イットリウム,バナジウム,クロム,マンガン,ニッケル,コバルト,パラジウム及びランタノイド系金属等が挙げられるが、これらの中ではオレフィン重合活性等の点からチタン,ジルコニウム及びハフニウムが好適である。
及びEはそれぞれ、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基(−N<),ホスフィン基(−P<),炭化水素基〔>CR−,>C<〕及び珪素含有基〔>SiR−,>Si<〕(但し、Rは水素又は炭素数1〜20の炭化水素基あるいはヘテロ原子含有基である)の中から選ばれた配位子を示し、A及びAを介して架橋構造を形成している。
又、E及びEは互いに同一でも異なっていてもよい。
このE及びEとしては、置換シクロペンタジエニル基,インデニル基及び置換インデニル基が好ましい。
【0022】
又、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E,E又はYと架橋していてもよい。
該Xの具体例としては、ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数1〜20のアミド基,炭素数1〜20の珪素含有基,炭素数1〜20のホスフィド基,炭素数1〜20のスルフィド基,炭素数1〜20のアシル基等が挙げられる。
一方、Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のYやE,E又はXと架橋していてもよい。
該Yのルイス塩基の具体例としては、アミン類,エーテル類,ホスフィン類,チオエーテル類等を挙げることができる。
【0023】
次に、A及びAは二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−Se−、−NR−、−PR−、−P(O)R−、−BR−又は−AlR−を示し、Rは水素原子、ハロゲン原子又は炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
このような架橋基としては、例えば、一般式
【0024】
【化4】
Figure 2004161927
【0025】
(Dは炭素、ケイ素又はスズ、R及びRはそれぞれ水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基で、それらは互いに同一でも異なっていてもよく、又、互いに結合して環構造を形成していてもよい。eは1〜4の整数を示す。)
で表されるものが挙げられ、その具体例としては、メチレン基,エチレン基,エチリデン基,プロピリデン基,イソプロピリデン基,シクロヘキシリデン基,1,2−シクロヘキシレン基,ビニリデン基(CH=C=),ジメチルシリレン基,ジフェニルシリレン基,メチルフェニルシリレン基,ジメチルゲルミレン基,ジメチルスタニレン基,テトラメチルジシリレン基,ジフェニルジシリレン基等を挙げることができる。
これらの中で、エチレン基,イソプロピリデン基及びジメチルシリレン基が好適である。
qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。
このような一般式(I)で表される遷移金属化合物の中では、一般式(II)
【0026】
【化5】
Figure 2004161927
【0027】
で表される二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物が好ましい。
上記一般式(II)において、M,A,A,q及びrは上記と同じである。Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX又はYと架橋していてもよい。
このXの具体例としては、一般式(I)のXの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
はルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY又はXと架橋していてもよい。
このYの具体例としては、一般式(I)のYの説明で例示したものと同じものを挙げることができる。
〜Rはそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20の炭化水素基,炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基,珪素含有基又はヘテロ原子含有基を示すが、その少なくとも一つは水素原子でないことが必要である。
又、R〜Rはたがいに同一でも異なっていてもよく、隣接する基同士がたがいに結合して環を形成していてもよい。
なかでも、RとRは環を形成していること及びRとRは環を形成していることが好ましい。
及びRとしては、酸素、ハロゲン、珪素等のヘテロ原子を含有する基が重合活性が高くなり好ましい。
【0028】
この二重架橋型ビスシクロペンタジエニル誘導体を配位子とする遷移金属化合物は、配位子間の架橋基にケイ素を含むものが好ましい。
一般式(I)で表される遷移金属化合物の具体例としては、(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4,7−ジイソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(3−メチル−4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−エチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(4,5−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(4−イソプロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(5,6−ジメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(4,7−ジ−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(4−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−メチル−4−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(5,6−ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)−ビス(3−フェニルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(インデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−メチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−i−プロピルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−n−ブチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジフェニルシリレン)(2,1’−メチレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチルシクロペンタジエニル)(3’−メチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−イソプロピリデン)(2,1’−イソプロピリデン)(3,4−ジメチルシクロペンタジエニル)(3’,4’−ジメチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−イソプロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−イソプロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−エチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−エチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−エチルシクロペンジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−n−ブチルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−n−ブチルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−フェニルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−フェニルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−エチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−メチレン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド,(1,2’−メチレン)(2,1’−イソプロピリデン)(3−メチル−5−i−プロピルシクロペンタジエニル)(3’−メチル−5’−i−プロピルシクロペンタジエニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)−ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)−ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)−ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)−ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジイソプロピルシリレン)−ビスインデニルジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレンインデニル)(2,2’−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレンインデニル)(2,2’−ジフェニルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレンインデニル)(2,2’−ジメチルシリレン−3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジイソプロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジイソブロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジフェニルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジフェニルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジメチルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジメチルシリレン)(2,2’−ジイソプロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド、(1,1’−ジイソプロピルシリレン)(2,2’−ジイソプロピルシリレン)(インデニル)(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロリド等及びこれらの化合物におけるジルコニウムをチタン又はハフニウムに置換したものを挙げることができる。勿論、これらに限定されるものではない。
又、他の族又はランタノイド系列の金属元素の類似化合物であってもよい。
又、上記化合物において、(1,1’−)(2,2’−)が(1,2’−)(2,1’−)であってもよく、(1,2’−)(2,1’−)が(1,1’−)(2,2’−)であってもよい。
【0029】
次に、(B)成分のうちの(B−1)成分としては、上記(A)成分の遷移金属化合物と反応して、イオン性の錯体を形成しうる化合物であれば、いずれのものでも使用できるが、次の一般式(III)又は(IV)
(〔L−R10k+(〔Z〕 ・・・(III)
(〔Lk+(〔Z〕 ・・・(IV)
(但し、Lは、M、R1112、R13 C又はR14である。)
〔(III),(IV)式中、Lはルイス塩基、〔Z〕は、非配位性アニオン〔Z及び〔Z、ここで〔Zは複数の基が元素に結合したアニオン、即ち〔M・・・G(ここで、Mは周期律表第5〜15族元素、好ましくは周期律表第13〜15族元素を示す。G〜Gはそれぞれ水素原子,ハロゲン原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数2〜40のジアルキルアミノ基,炭素数1〜20のアルコキシ基,炭素数6〜20のアリール基,炭素数6〜20のアリールオキシ基,炭素数7〜40のアルキルアリール基,炭素数7〜40のアリールアルキル基,炭素数1〜20のハロゲン置換炭化水素基,炭素数1〜20のアシルオキシ基,有機メタロイド基、又は炭素数2〜20のヘテロ原子含有炭化水素基を示す。G〜Gのうち2つ以上が環を形成していてもよい。fは〔(中心金属Mの原子価)+1〕の整数を示す。)、
〔Zは、酸解離定数の逆数の対数(pKa)が−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基、又は一般的に超強酸と定義される酸の共役塩基を示す。又、ルイス塩基が配位していてもよい。
又、R10は、水素原子,炭素数1〜20のアルキル基,炭素数6〜20のアリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示し、R11及びR12はそれぞれシクロペンタジエニル基,置換シクロペンタジエニル基,インデニル基又はフルオレニル基、R13は炭素数1〜20のアルキル基,アリール基,アルキルアリール基又はアリールアルキル基を示す。
14は、テトラフェニルポルフィリン,フタロシアニン等の大環状配位子を示す。
kは、〔L−R10〕,〔L〕のイオン価数で1〜3の整数、aは1以上の整数、b=(k×a)である。
は、周期律表第1〜3、11〜13、17族元素を含むものであり、Mは、周期律表第7〜12族元素を示す。〕
で表されるものを好適に使用することができる。
【0030】
ここで、Lの具体例としては、アンモニア,メチルアミン,アニリン,ジメチルアミン,ジエチルアミン,N−メチルアニリン,ジフェニルアミン,N,N−ジメチルアニリン,トリメチルアミン,トリエチルアミン,トリ−n−ブチルアミン,メチルジフェニルアミン,ピリジン,p−ブロモ−N,N−ジメチルアニリン,p−ニトロ−N,N−ジメチルアニリン等のアミン類、トリエチルホスフィン,トリフェニルホスフィン,ジフェニルホスフィン等のホスフィン類、テトラヒドロチオフェン等のチオエーテル類、安息香酸エチル等のエステル類、アセトニトリル,ベンゾニトリル等のニトリル類等を挙げることができる。
【0031】
10の具体例としては水素,メチル基,エチル基,ベンジル基,トリチル基等を挙げることができ、R11,R12の具体例としては、シクロペンタジエニル基,メチルシクロペンタジエニル基,エチルシクロペンタジエニル基,ペンタメチルシクロペンタジエニル基等を挙げることができる。
13の具体例としては、フェニル基,p−トリル基,p−メトキシフェニル基等を挙げることができ、R14の具体例としてはテトラフェニルポルフィン,フタロシアニン,アリル,メタリル等を挙げることができる。
又、Mの具体例としては、Li,Na,K,Ag,Cu,Br,I,I等を挙げることができ、Mの具体例としては、Mn,Fe,Co,Ni,Zn等を挙げることができる。
【0032】
又、〔Z、即ち〔M・・・G〕において、Mの具体例としてはB,Al,Si,P,As,Sb等、好ましくはB及びAlが挙げられる。
又、G,G〜Gの具体例としては、ジアルキルアミノ基として、ジメチルアミノ基,ジエチルアミノ基等、アルコキシ基又はアリールオキシ基としてメトキシ基,エトキシ基,n−ブトキシ基,フェノキシ基等、炭化水素基としてメチル基,エチル基,n−プロピル基,イソプロピル基,n−ブチル基,イソブチル基,n−オクチル基,n−エイコシル基,フェニル基,p−トリル基,ベンジル基,4−t−ブチルフェニル基,3,5−ジメチルフェニル基等、ハロゲン原子としてフッ素,塩素,臭素,ヨウ素,ヘテロ原子含有炭化水素基としてp−フルオロフェニル基,3,5−ジフルオロフェニル基,ペンタクロロフェニル基,3,4,5−トリフルオロフェニル基,ペンタフルオロフェニル基,3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル基,ビス(トリメチルシリル)メチル基等、有機メタロイド基としてペンタメチルアンチモン基、トリメチルシリル基,トリメチルゲルミル基,ジフェニルアルシン基,ジシクロヘキシルアンチモン基,ジフェニル硼素等が挙げられる。
【0033】
又、非配位性のアニオン、即ちpKaが−10以下のブレンステッド酸単独又はブレンステッド酸及びルイス酸の組合わせの共役塩基〔Zの具体例としては、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン(CFSO,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)メチルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)ベンジルアニオン,ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミド,過塩素酸アニオン(ClO,トリフルオロ酢酸アニオン(CFCO,ヘキサフルオロアンチモンアニオン(SbF,フルオロスルホン酸アニオン(FSO,クロロスルホン酸アニオン(ClSO,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化アンチモン(FSO/SbF,フルオロスルホン酸アニオン/5−フッ化砒素(FSO/AsF,トリフルオロメタンスルホン酸/5−フッ化アンチモン(CFSO/SbF等を挙げることができる。
【0034】
このような前記(A)成分の遷移金属化合物と反応してイオン性の錯体を形成するイオン性化合物、即ち(B−1)成分化合物の具体例としては、テトラフェニル硼酸トリエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラフェニル硼酸メチル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸ジメチルジフェニルアンモニウム,テトラフェニル硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラフェニル硼酸トリメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸メチルピリジニウム,テトラフェニル硼酸ベンジルピリジニウム,テトラフェニル硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラ−n−ブチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラエチルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(トリ−n−ブチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルジフェニルアンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニル(メチル)アンモニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ジメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリメチルアニリニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジルピリジニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ベンジル(2−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸メチル(4−シアノピリジニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリフェニルホスホニウム,テトラキス〔ビス(3,5−ジトリフルオロメチル)フェニル〕硼酸ジメチルアニリニウム,テトラフェニル硼酸フェロセニウム,テトラフェニル硼酸銀,テトラフェニル硼酸トリチル,テトラフェニル硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸フェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸(1,1’−ジメチルフェロセニウム),テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸デカメチルフェロセニウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸銀、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸トリチル,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸リチウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸ナトリウム,テトラキス(ペンタフルオロフェニル)硼酸テトラフェニルポルフィリンマンガン,テトラフルオロ硼酸銀,ヘキサフルオロ燐酸銀,ヘキサフルオロ砒素酸銀,過塩素酸銀,トリフルオロ酢酸銀,トリフルオロメタンスルホン酸銀等を挙げることができる。
(B−1)は一種用いてもよく、又二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0035】
一方、(B−2)成分のアルミノキサンとしては、一般式(V)
【0036】
【化6】
Figure 2004161927
【0037】
(式中、R15は、炭素数1〜20、好ましくは1〜12のアルキル基,アルケニル基,アリール基,アリールアルキル基等の炭化水素基又はハロゲン原子を示し、wは平均重合度を示し、通常2〜50、好ましくは2〜40の整数である。
尚、各R15は同じでも異なっていてもよい。)
で示される鎖状アルミノキサン、及び一般式(VI)
【0038】
【化7】
Figure 2004161927
【0039】
(式中、R15及びwは前記一般式(V)におけるものと同じである。)
で示される環状アルミノキサンを挙げることができる。
【0040】
前記アルミノキサンの製造法としては、アルキルアルミニウムと水等の縮合剤とを接触させる方法が挙げられるが、その手段については特に限定はなく、公知の方法に準じて反応させればよい。
例えば、▲1▼有機アルミニウム化合物を有機溶剤に溶解しておき、これを水と接触させる方法、▲2▼重合時に当初有機アルミニウム化合物を加えておき、後に水を添加する方法、▲3▼金属塩等に含有されている結晶水、無機物や有機物への吸着水を有機アルミニウム化合物と反応させる方法、▲4▼テトラアルキルジアルミノキサンにトリアルキルアルミニウムを反応させ、更に水を反応させる方法等がある。
尚、アルミノキサンとしては、トルエン不溶性のものであってもよい。
【0041】
これらのアルミノキサンは一種用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A)触媒成分と(B)触媒成分との使用割合は、(B)触媒成分として(B−1)化合物を用いた場合には、モル比で好ましくは10:1〜1:100、より好ましくは2:1〜1:10の範囲が望ましく、上記範囲を逸脱する場合は、単位質量ポリマー当りの触媒コストが高くなり、実用的でない。
又、(B−2)化合物を用いた場合には、モル比で好ましくは1:1〜1:1000000、より好ましくは1:10〜1:10000の範囲が望ましい。
この範囲を逸脱する場合は、単位質量ポリマーあたりの触媒コストが高くなり、実用的でない。
又、触媒成分(B)としては(B−1),(B−2)を単独又は二種以上組み合わせて用いることもできる。
【0042】
又、プロピレン−エチレンブロック共重合体を製造する際の重合用触媒は、上記(A)成分及び(B)成分に加えて(C)成分として有機アルミニウム化合物を用いることができる。
ここで、(C)成分の有機アルミニウム化合物としては、一般式(VII)
16 AlJ3−v ・・・(VII)
〔式中、R16は炭素数1〜10のアルキル基、Jは水素原子、炭素数1〜20のアルコキシ基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン原子を示し、vは1〜3の整数である〕
で示される化合物が用いられる。
前記一般式(VII)で示される化合物の具体例としては、トリメチルアルミニウム,トリエチルアルミニウム,トリイソプロピルアルミニウム,トリイソブチルアルミニウム,ジメチルアルミニウムクロリド,ジエチルアルミニウムクロリド,メチルアルミニウムジクロリド,エチルアルミニウムジクロリド,ジメチルアルミニウムフルオリド,ジイソブチルアルミニウムヒドリド,ジエチルアルミニウムヒドリド,エチルアルミニウムセスキクロリド等が挙げられる。
【0043】
これらの有機アルミニウム化合物は一種用いてもよく、二種以上を組合せて用いてもよい。
プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法においては、上述した(A)成分、(B)成分及び(C)成分を用いて予備接触を行なうこともできる。
予備接触は、(A)成分に、例えば、(B)成分を接触させることにより行なうことができるが、その方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
これら予備接触により触媒活性の向上や、助触媒である(B)成分の使用割合の低減等、触媒コストの低減に効果的である。
又、更に、(A)成分と(B−2)成分を接触させることにより、上記効果と共に、分子量向上効果も見られる。
又、予備接触温度は、通常−20℃〜200℃、好ましくは−10℃〜150℃、より好ましくは、0℃〜80℃である。
予備接触においては、溶媒の不活性炭化水素として、脂肪族炭化水素、芳香族炭化水素等を用いることができる。
これらの中で特に好ましいものは、脂肪族炭化水素である。
【0044】
前記(A)触媒成分と(C)触媒成分との使用割合は、モル比で好ましくは1:1〜1:10000、より好ましくは1:5〜1:2000、更に好ましくは1:10〜1:1000の範囲が望ましい。
該(C)触媒成分を用いることにより、遷移金属当たりの重合活性を向上させることができるが、あまり多いと有機アルミニウム化合物が無駄になると共に、重合体中に多量に残存し、好ましくない。
プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造においては、触媒成分の少なくとも一種を適当な担体に担持して用いることができる。
該担体の種類については特に制限はなく、無機酸化物担体、それ以外の無機担体及び有機担体のいずれも用いることができるが、特に無機酸化物担体又はそれ以外の無機担体が好ましい。
【0045】
無機酸化物担体としては、具体的には、SiO,Al,MgO,ZrO,TiO,FeO3 ,BO3 ,CaO,ZnO,BaO,ThOやこれらの混合物、例えば、シリカアルミナ,ゼオライト,フェライト,グラスファイバー等が挙げられる。
これらの中では、特にSiO,Alが好ましい。
尚、上記無機酸化物担体は、少量の炭酸塩,硝酸塩,硫酸塩等を含有してもよい。
【0046】
一方、上記以外の担体として、MgCl,Mg(OC等で代表される一般式MgR17 で表されるマグネシウム化合物やその錯塩等を挙げることができる。
ここで、R17は炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜20のアルコキシ基又は炭素数6〜20のアリール基、Xはハロゲン原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示し、xは0〜2、yは0〜2でり、かつx+y=2である。
各R17及び各Xはそれぞれ同一でもよく、又、異なってもいてもよい。
又、有機担体としては、ポリスチレン,スチレン−ジビニルベンゼン共重合体,ポリエチレン,ポリ1−ブテン,置換ポリスチレン,ポリアリレート等の重合体やスターチ,カーボン等を挙げることができる。
【0047】
プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造に用いられる触媒の担体としては、MgCl,MgCl(OC),Mg(OC等も好ましい。
又、担体の性状は、その種類及び製法により異なるが、平均粒径は通常1〜300μm、好ましくは10〜200μm、より好ましくは20〜100μmである。
粒径が小さいと重合体中の微粉が増大し、粒径が大きいと重合体中の粗大粒子が増大し嵩密度の低下やホッパーの詰まりの原因になる。
又、担体の比表面積は、通常1〜1000m/g、好ましくは50〜500m/g、細孔容積は通常0.1〜5cm/g、好ましくは0.3〜3cm/gである。
【0048】
比表面積又は細孔容積の何れかが上記範囲を逸脱すると、触媒活性が低下することがある。
尚、比表面積及び細孔容積は、例えば、BET法に従って吸着された窒素ガスの体積から求めることができる。
更に、上記担体が無機酸化物担体である場合には、通常150〜1000℃、好ましくは200〜800℃で焼成して用いることが望ましい。
触媒成分の少なくとも一種を前記担体に担持させる場合、(A)触媒成分及び(B)触媒成分の少なくとも一方を、好ましくは(A)触媒成分及び(B)触媒成分の両方を担持させるのが望ましい。
【0049】
該担体に、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方を担持させる方法については、特に制限されないが、例えば▲1▼(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体とを混合する方法、▲2▼担体を有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有ケイ素化合物で処理した後、不活性溶媒中で(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と混合する方法、▲3▼担体と(A)成分及び/又は(B)成分と有機アルミニウム化合物又はハロゲン含有ケイ素化合物とを反応させる方法、▲4▼(A)成分又は(B)成分を担体に担持させた後、(B)成分又は(A)成分と混合する方法、▲5▼(A)成分と(B)成分との接触反応物を担体と混合する方法、▲6▼(A)成分と(B)成分との接触反応に際して、担体を共存させる方法等を用いることができる。
【0050】
尚、上記▲4▼、▲5▼及び▲6▼の方法において、(C)成分の有機アルミニウム化合物を添加することもできる。
プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造に用いられる触媒の製造においては、前記(A),(B),(C)を接触させる際に、弾性波を照射させて触媒を調製してもよい。
弾性波としては、通常音波、特に好ましくは超音波が挙げられる。
具体的には、周波数が1〜1000kHzの超音波、好ましくは10〜500kHzの超音波が挙げられる。
【0051】
このようにして得られた触媒は、一旦、溶媒留去を行って固体として取り出してから重合に用いてもよいし、そのまま重合に用いてもよい。
又、プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造においては、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方の担体への担持操作を重合系内で行うことにより触媒を生成させることができる。
例えば、(A)成分及び(B)成分の少なくとも一方と担体と更に必要により前記(C)成分の有機アルミニウム化合物を加え、エチレン等のオレフィンを常圧〜2MPa(gauge)加えて、−20〜200℃で1分〜2時間程度予備重合を行い触媒粒子を生成させる方法を用いることができる。
【0052】
このプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造に用いられる触媒における(B−1)成分と担体との使用割合は、質量比で好ましくは1:5〜1:10000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましく、(B−2)成分と担体との使用割合は、質量比で好ましくは1:0.5〜1:1000、より好ましくは1:1〜1:50とするのが望ましい。
(B)成分として二種以上を混合して用いる場合は、各(B)成分と担体との使用割合が質量比で上記範囲内にあることが望ましい。
又、(A)成分と担体との使用割合は、質量比で、好ましくは1:5〜1:10000、より好ましくは1:10〜1:500とするのが望ましい。
【0053】
(B)成分〔(B−1)成分又は(B−2)成分〕と担体との使用割合、又は(A)成分と担体との使用割合が上記範囲を逸脱すると、活性が低下することがある。
このようにして調製された重合用触媒の平均粒径は、通常2〜200μm、好ましくは10〜150μm、特に好ましくは20〜100μmであり、比表面積は、通常20〜1000m/g、好ましくは50〜500m/gである。
平均粒径が2μm未満であると重合体中の微粉が増大することがあり、200μmを超えると重合体中の粗大粒子が増大することがある。
比表面積が20m/g未満であると活性が低下することがあり、1000m/gを超えると重合体の嵩密度が低下することがある。
又、プロピレン−エチレンブロック共重合体の製造に用いられる触媒において、担体100g中の遷移金属量は、通常0.05〜10g、特に0.1〜2gであることが好ましい。
遷移金属量が上記範囲外であると、活性が低くなることがある。
【0054】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法は、前記のオレフィン重合触媒の存在下、プロピレンを重合させてポリプロピレン成分を形成する工程と、エチレンとプロピレンとを共重合させてエチレン/プロピレン共重合体成分を形成する工程からなる製造方法である。
触媒の成分の使用量については、特に制限はないが、メタロセン触媒成分は、周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属原子に換算して、反応容積1リットル当たり、通常0.0001〜1ミリモルの範囲になるような量が用いられる。
【0055】
本発明の製造方法における重合形式については、特に制限はなく、溶液重合、スラリー重合、気相重合、バルク重合等のいずれにも適用可能であり、更に、重合方式としては回分式重合や連続式重合のどちらであってもよい。
回分式重合や連続式重合のいずれも、一般的には、先ずポリプロピレン成分、即ちプロピレン単独重合部を製造し、次いで、エチレンとプロピレンとを共重合させてエチレン/プロピレン共重合体成分を製造する。
例えば、連続式で製造する場合は、前段の重合槽に原料プロピレンガス(又は液状プロピレン)に分子量調整剤の水素ガス、触媒を供給し、重合時間で重合量をコントロールしてプロピレン単独重合部を製造し、次いで、後段の重合槽に移動して、更に、原料プロピレンガス(又は液状プロピレン)にエチレンガス、水素ガス、及び必要に応じて触媒を加え共重合部を製造し、ブロック共重合体を得ることができる。
【0056】
プロピレン単独重合における重合条件としては、その重合圧は、特に制限はなく、通常、大気圧〜8MPa、好ましくは0.2〜5MPa、重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは、30〜100℃の範囲で適宜選ばれる。
重合時間は、通常、5分〜20時間、好ましくは、10分〜10時間程度である。
共重合部の重合条件としては、その重合圧は、特に制限はなく、通常、大気圧〜8MPa、好ましくは0.2〜5MPa、重合温度は、通常、0〜200℃、好ましくは、20〜100℃の範囲で適宜選ばれる。
重合時間は、通常、1分〜20時間、好ましくは、1分〜10時間程度である。
供給するプロピレンとエチレンの比率はモル比で、0.01〜9、好ましくは0.05〜2.3である。
プロピレン単独重合部及び共重合部における重合体の分子量は、連鎖移動剤の添加、好ましくは水素の添加を行うことで調節することができる。
又、窒素等の不活性ガスを存在させてもよい。
【0057】
重合溶媒を用いる場合、例えば、ベンゼン,トルエン,キシレン,エチルベンゼン等の芳香族炭化水素、シクロペンタン,シクロヘキサン,メチルシクロヘキサン等の脂環式炭化水素、ペンタン,ヘキサン,ヘプタン,オクタン等の脂肪族炭化水素、クロロホルム,ジクロロメタン等のハロゲン化炭化水素等を用いることができる。
これらの溶媒は一種を単独で用いてもよく、二種以上のものを組み合わせてもよい。
尚、重合方法によっては無溶媒で行うことができる。
【0058】
重合に際しては、前記重合用触媒を用いて予備重合を行うことができる。
予備重合は、固体触媒成分に、例えば、少量のオレフィンを接触させることにより行うことができるが、その方法に特に制限はなく、公知の方法を用いることができる。
予備重合に用いるオレフィンについては特に制限はなく、前記に例示したものと同様のもの、例えば、エチレン、炭素数3〜20のα−オレフィン、又はこれらの混合物等を挙げることができるが、該重合において用いるエチレン又はプロピレンを用いることが有利である。
【0059】
又、予備重合温度は、通常−20〜200℃、好ましくは−10〜130℃、より好ましくは0〜80℃である。
予備重合においては、溶媒として、脂肪族炭化水素,芳香族炭化水素等を用いることができる。
これらの中で、特に好ましいのは脂肪族炭化水素である。又、予備重合は無溶媒で行ってもよい。
予備重合においては、予備重合生成物の極限粘度〔η〕(135℃デカリン中で測定)が0.2dl/g以上、特に0.5dl/g以上、触媒中の遷移金属成分1ミリモル当たりに対する予備重合生成物の量が1〜10000g、特に10〜1000gとなるように条件を調整することが望ましい。
【0060】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら制限されるものではない。
【0061】
本発明のプロピレン−エチレンブロック共重合体のエチレン含量、昇温分別クロマトグラフ(TREF)における50℃未満の溶出成分、r1・r2、極限粘度〔η〕、融点(Tm−P)等の樹脂特性及びプレス成形体の固体粘弾性は、明細書本文中に記載した方法により測定した。
【0062】
プロピレン−エチレンブロック共重合体の引張弾性率は、プロピレン−エチレンブロック共重合体をプレス成形して試験片を作成し、JIS K−7113に準拠し、測定した。
試験片(2号ダンベル)厚み:1mm
クロスヘッド速度:50mm/min
ロードセル:100kg
【0063】
実施例1
(1)(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチル−インデニル)ジルコニウムジクロリドの合成
▲1▼(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)の合成
窒素気流下、1L三つ口フラスコに、THF100mLとMg5.0g(206mmol)を加えた。
次に、1,2−ジブロモエタン0.1mLを加え、攪拌し、Mgを活性化した。
30分間攪拌後、溶媒を抜き出し、新たにTHF100mLを添加した。
更に、2−ブロモインデン10.0g(51.3mmol)のTHF250mL溶液を2時間かけて滴下した。
滴下終了後、室温で2時間攪拌した後、−78℃に冷却し、ジクロロジメチルシラン6.2mL(51.3mmol)のTHF100mL溶液を1時間で滴下した。
15時間攪拌後、溶媒を留去し、残渣をヘキサン300mLで抽出し、溶媒を留去することにより、2−クロロメチルシリルインデン9.6g(46.2mmol)を得た。(収率90%)
次に、窒素気流下、1L三つ口フラスコに、THF400mLと2−クロロメチルシリルインデン9.6gを加え−78℃に冷却し、LiN(トリメチルシリル)のTHF溶液(1.0M)を46.2mL(46.2mmol)滴下した。
室温で15時間攪拌後、溶媒を留去し、ヘキサン300mLで抽出し、溶媒を留去することにより、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)2.5g(7.2mmol)を得た。(収率31%)
H−NMR(90MHz,CDCl)の測定値
δ:−0.69,0.73(12H,ジメチルシリレン),3.66(4H,−CH−),7.17(8H,Ar−H)
▲2▼(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライドの合成
シュレンク瓶に、前記(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)2.5g(7.2mmol)とエーテル100mLを添加した。
−78℃に冷却し、n−BuLi(ヘキサン溶液1.6M)9.0mL(14.8mmol)を添加した後、室温で12時間攪拌した。
溶媒を留去し、得られた固体をヘキサン20mLで洗浄することにより、リチウム塩を定量的に得た。
シュレンク瓶に、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(インデン)のリチウム塩(6.97mmol)をTHF50mLに溶解し、−78℃に冷却した。
次に、ヨードメチルトリメチルシラン2.1mL(14.2mmol)をゆっくりと滴下し、室温で12時間攪拌した。
溶媒を留去し、エーテル50mLを添加して、飽和塩化アンモニウム溶液で洗浄した。
分液後、有機相を乾燥し、溶媒を除去し、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)3.04g(5.9mmol)を得た。(収率84%)
窒素気流下において、シュレンク瓶に、前記の(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデン)を3.04g(5.9mmol)とエーテル50mLを添加した。
−78℃に冷却し、n−BuLi(ヘキサン溶液1.54M)7.6mL(11.8mmol)を添加した後、室温で12時間攪拌した。
溶媒を留去し、得られた固体をヘキサン40mLで洗浄することにより、リチウム塩のエーテル付加体3.06g(5.1mmol)を得た。(収率86%)
H−NMR(90MHz,THF−d)の測定値
δ:0.04(s,18H,トリメチルシリル),0.48(s,12H,ジメチルシリレン),1.10(t,6H,メチル),2.59(s,4H,メチレン),3.38(q,4H,メチレン),6.2〜7.7(m,8H,Ar−H)
窒素気流下で、前記のリチウム塩のエーテル付加体をトルエン50mLに溶解した。
−78℃に冷却し、予め−78℃に冷却した四塩化ジルコニウム1.2g(5.1mmol)のトルエン懸濁液20mLを滴下した。
滴下後、室温で6時間攪拌し、反応溶液の溶媒を留去した。
得られた残渣をジクロロメタンにより再結晶化したところ、(1,2’−ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルメチルインデニル)ジルコニウムジクロライド0.9g(1.33mmol)を得た。(収率26%)
H−NMR(90MHz,CDCl)の測定値
δ:0.0(s,18H,トリメチルシリル),1.02,1.12(s,12H,ジメチルシリレン),2.51(dd,4H,メチレン),7.1−7.6(m,8H,Ar−H)
【0064】
(2)重合
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、ヘプタン400mL、トリイソブチルアルミニウム0.25mmol、アルベマール社製メチルアルミノキサン0.2mmol、上記錯体(1,2’―ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド0.2μmolを加え、水素を0.03MPa導入した。
その後、攪拌しながらプロピレンをゆっくりと0.6MPaまで導入すると共に温度を60℃に昇温した。
15分間攪拌した後、プロピレンの供給を停止し、エチレンをその時の重合圧力よりも0.2MPa高くなるように、エチレンを供給した。
その後、圧力が一定となるようにエチレンを供給し続けた。エチレンを供給して5分後、メタノール3mLを加え脱圧後、重合溶液を減圧乾燥することによりプロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。
得られた重合体の樹脂特性評価結果を表1に示す。
【0065】
実施例2
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、ヘプタン400mL、トリイソブチルアルミニウム0.25mmol、アルベマール社製メチルアルミノキサン0.4mmol、上記錯体(1,2’―ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド0.4μmolを加え、水素を0.03MPa導入した。
その後、攪拌しながらプロピレンをゆっくりと0.85MPaまで導入すると共に温度を60℃に昇温した。
10分間攪拌した後、プロピレンの供給を停止し、エチレンをその時の重合圧力よりも0.5MPa高くなるように、エチレンを供給した。
その後、圧力が一定となるようにエチレンを供給し続けた。エチレンを供給して8分後、メタノール3mLを加え脱圧後、重合溶液を減圧乾燥することによりプロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。
得られた重合体の樹脂特性評価結果を表1に示す。
【0066】
実施例3
エチレンの供給圧力をその時の重合圧力よりも1.2MPa高くなるようにした以外は、実施2と同様に重合を行ない、プロピレン−エチレンブロック共重合体を得た。
得られた重合体の樹脂特性評価結果を表1に示す。
【0067】
比較例1
加熱乾燥した1Lオートクレーブに、ヘプタン400mL、トリイソブチルアルミニウム0.25mmol、アルベマール社製メチルアルミノキサン0.2mmol、上記錯体(1,2’―ジメチルシリレン)(2,1’−ジメチルシリレン)−ビス(3−トリメチルシリルインデニル)ジルコニウムジクロリド0.2μmolを加え、水素を0.03MPa導入した。
その後、攪拌しながらプロピレンをゆっくりと0.6MPaまで導入すると共に温度を60℃に昇温した。
30分間攪拌した後、メタノール3mLを加え脱圧後、重合溶液を減圧乾燥することによりホモプロピレンを得た。
得られた重合体の樹脂特性評価結果を表1に示す。
【0068】
比較例2
1Lオートクレーブに、液体プロピレン500mLを投入し、室温下でトリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(2M、1.0mmol、0.5mL)を触媒投入管よりヘプタン5mLと共に投入し、次に、水素を0.03MPa投入した。
一方、50mLのシュレンク瓶に、窒素気流下、脱気ヘプタン5mL、トリイソブチルアルミニウムのヘプタン溶液(2M、0.5mmol、0.25mL)、ウィトコ(Witco)社製シリカ担持メチルアルミノキサン(MAO)のヘプタンスラリー(Al担持量:22.8質量%、0.9mmol、2.4mL、0.38mmol/mL)及びジメチルシリレンビス(ベンゾインデニル)ジルコニウムジクロライド(0.2μmol、0.01mL)を加え、室温で3分間攪拌した。
次に、生成した触媒スラリー2.5mLを、触媒投入管より高圧窒素を用いて攪拌下(400rpm)、50℃でオートクレーブに投入した。
更に、触媒投入管の洗浄を目的にヘプタン10mLを触媒投入管に仕込み、高圧窒素でオートクレーブに投入した。
次に、5分間かけてオートクレーブを55℃まで昇温し、そのまま10分間ホモ重合を行った。
その後、エチレン分圧が0.25MPaとなるようにエチレンを投入した。
15分後、メタノール3mLを触媒投入管より投入し、ゆっくりと未反応ガスを排出し、得られた重合体パウダーを加熱乾燥した。
得られた重合体の樹脂特性評価結果を表1に示す。
【0069】
【表1】
Figure 2004161927
【0070】
【発明の効果】
本発明は、低規則性ポリプロピレンを与えるメタロセン触媒を用いることにより、軟質領域における弾性率の制御を容易ならしめ、低温特性に優れたプロピレン−エチレンブロック共重合体を工業的に有利に製造することができる。
従って、本発明のプロピレン系ブロック共重合体は、おむつのギャザーやラップフィルム、洗濯槽に衣類と一緒に投入し洗浄効果を高める成形物等に好適に用いることができる。

Claims (5)

  1. 下記の(1)〜(4)の条件を満たすプロピレン−エチレンブロック共重合体。
    (1)エチレン含量が0.5〜50モル%、(2)昇温分別クロマトグラフ(TREF)において、50℃未満の溶出成分が95質量%以上、(3)プロピレンの反応性比をr1、エチレンの反応性比をr2とした場合、r1・r2≧0.5、(4)極限粘度〔η〕が0.1〜5.0dl/g
  2. 示差走査型熱量計(DSC)を用い、試料を窒素雰囲気下230℃で3分間溶融した後、10℃/分で0℃まで降温後、0℃で3分間保持した後、10℃/分で昇温させることにより得られた融解吸熱カーブの最も高温側に観測されるピークのピークトップとして定義される融点(Tm−P)が観測されない請求項1記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体。
  3. 固体粘弾性において、−10℃以下にtanδピーク温度を示す請求項1記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体。
  4. 二架橋メタロセン触媒を用いてプロピレンとエチレンを共重合させる請求項1〜3のいずれかに記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法。
  5. 二架橋メタロセン触媒が、(A)一般式(I)
    Figure 2004161927
    〔式中、Mは周期律表第3〜10族又はランタノイド系列の金属元素を示し、E及びEはそれぞれ置換シクロペンタジエニル基,インデニル基,置換インデニル基,ヘテロシクロペンタジエニル基,置換ヘテロシクロペンタジエニル基,アミド基,ホスフィド基,炭化水素基及び珪素含有基の中から選ばれた配位子であって、A及びAを介して架橋構造を形成しており、又それらは互いに同一でも異なっていてもよく、Xはσ結合性の配位子を示し、Xが複数ある場合、複数のXは同じでも異なっていてもよく、他のX,E,E又はYと架橋していてもよい。
    Yはルイス塩基を示し、Yが複数ある場合、複数のYは同じでも異なっていてもよく、他のY,E,E又はXと架橋していてもよく、A及びAは二つの配位子を結合する二価の架橋基であって、炭素数1〜20の炭化水素基、炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基、珪素含有基、ゲルマニウム含有基、スズ含有基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−Se−、−NR−、−PR−、−P(O)R−、−BR−又は−AlR−を示し、Rは水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数1〜20のハロゲン含有炭化水素基を示し、それらは互いに同一でも異なっていてもよい。
    qは1〜5の整数で〔(Mの原子価)−2〕を示し、rは0〜3の整数を示す。〕で表される遷移金属化合物、及び(B)(B−1)該(A)成分の遷移金属化合物又はその派生物と反応してイオン性の錯体を形成しうる化合物及び(B−2)アルミノキサンから選ばれる成分を含有する請求項4に記載のプロピレン−エチレンブロック共重合体の製造方法。
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