JP2004161885A - 蓄熱性組成物及びその成形品 - Google Patents
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Abstract
【課題】加工が容易で優れた蓄熱性を有する蓄熱性組成物及びその成形品を提供する。
【解決手段】以下の蓄熱材料(A)〜(C)を合成樹脂に配合してなる蓄熱性組成物の成形品。これらの蓄熱材料は、所望の温度範囲において、相変化(融解、凝固)して大きな潜熱を放出又は吸収する。従って、外気温度が上昇すると熱を吸収して融解し、外気温度が低下すると熱を放出して凝固するので、蓄熱材料としての機能を発揮する。
(A)式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマー
(B)蓄熱材料(A)の架橋体
(C)ポリエーテルである主鎖と、結晶化し得る側鎖とを有するユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマー
【化1】
【選択図】 図1
【解決手段】以下の蓄熱材料(A)〜(C)を合成樹脂に配合してなる蓄熱性組成物の成形品。これらの蓄熱材料は、所望の温度範囲において、相変化(融解、凝固)して大きな潜熱を放出又は吸収する。従って、外気温度が上昇すると熱を吸収して融解し、外気温度が低下すると熱を放出して凝固するので、蓄熱材料としての機能を発揮する。
(A)式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマー
(B)蓄熱材料(A)の架橋体
(C)ポリエーテルである主鎖と、結晶化し得る側鎖とを有するユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマー
【化1】
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種省エネルギー部材分野等に使用される蓄熱性組成物及びその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、外気温度の変化に対し、温度調節機能を付与するものとして、蓄熱材料が使用されている。
例えば、高分子の主鎖の相転移を利用した蓄熱性高分子が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
しかし、このような蓄熱性高分子は、融点が高く実用化に適さなかった。例えば、高密度ポリエチレンの場合は、融点が120℃である。
【0003】
また、炭素数18〜28のα−オレフィンの蓄熱材料が開示され、その用途例として、蓄熱材料の凝固熱を利用した省エネ型暖房システムが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、フッ素樹脂又はシリコン樹脂のマイクロカプセルに蓄熱材料を封入した、多層射出成形による保温食器が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、0〜30℃の温度範囲で相変化する蓄熱材料を利用した複合断熱パネルを、結露防止に利用することが提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0004】
最近では、マイクロカプセル化潜熱蓄熱材料を配合した、蓄熱構造を有するセメント系建材が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
また、潜熱蓄熱性粒子材料としてパラフィン粒子を用いた熱交換器等が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
また、潜熱蓄熱材が内包されたマイクロカプセルを含む調温調湿材料及びそれを配合した調温調湿フォームが提案されている(例えば、特許文献8参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−76078号公報
【特許文献2】
特開昭58−27773号公報
【特許文献3】
特開平5−214328号公報
【特許文献4】
特開平8−224754号公報
【特許文献5】
特開平9−174741号公報
【特許文献6】
特開2002−114553号公報
【特許文献7】
特許第3306482号公報
【特許文献8】
特開2002−211967号公報
【0006】
しかし、上記の公報で開示された技術は、下記のような欠点を有していた。
▲1▼ 通常のプラスチック成形、例えば、射出成形、中空成形、圧縮成形を行うと、圧力がかかってマイクロカプセルが破壊されてしまうため、効果的な成形を行うことができない。
▲2▼ パラフィン系の材料の場合、成形時に蓄熱成分が揮散してしまうため、蓄熱効果が発現しにくい。
▲3▼ 蓄熱材料の相転移温度が高く、実用に適さない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題に鑑み、加工が容易で優れた蓄熱性を有する蓄熱性組成物及びその成形品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様によれば、融点が100℃以下であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー又はオリゴマーからなる蓄熱材料と、合成樹脂とからなる蓄熱性組成物が提供される。
ここで、合成樹脂は、好ましくは、少なくともポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂のうちいずれか1からなる。また、ポリマー又はオリゴマーの構造としては、直鎖状、側鎖状、枝分かれ状、三次元網目構造等が挙げられるが、特に制限されない。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーを合成樹脂に配合してなる蓄熱性組成物の成形品が提供される。
【化6】
【0010】
本発明の第三の態様によれば、上記式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーの架橋体を合成樹脂に配合してなる蓄熱性組成物が提供される。
【0011】
本発明の第四の態様によれば、ポリエーテルである主鎖と、結晶化し得る側鎖とを有するユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーを合成樹脂に配合してなる蓄熱性組成物が提供される。
【0012】
本発明の第五の態様によれば、上記の蓄熱性組成物の成形品が提供される。
【0013】
本発明の第六の態様によれば、上記の成形品を含む省エネルギー部材又は過熱・過冷防止部材が提供される。
【0014】
【発明の実施の態様】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明に関する蓄熱性組成物について説明する。
蓄熱材料としては、外気温度及び日常的利用温度の変化に対応し、その固有の融解熱又は凝固熱により、成形品に蓄熱機能を発現させ得るものが有用である。このような蓄熱材料としては、融点が100℃以下であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー又はオリゴマーからなる材料が挙げられる。この材料は、好ましくは、側鎖結晶型で、潜熱が50J/g以上である。
具体的には、下記(A)〜(C)に示す材料が挙げられる。
(A)式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマー
【化7】
(B)上記式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーの架橋体(架橋蓄熱材料)
(C)ポリエーテルである主鎖と、結晶化し得る側鎖とを有するユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマー(ポリエーテル蓄熱材料)
【0015】
これらの蓄熱材料は、所望の温度範囲において、材料(A)及び(B)にあっては、側鎖Zの非結晶化又は結晶化により相変化(融解、凝固)し、また、材料(C)にあっては、側鎖の凝集解離により相変化(融解、凝固)し、その際、大きな潜熱を放出又は吸収する。従って、これらの蓄熱材料は、外気温度が上昇すると熱を吸収して融解し、外気温度が低下すると熱を放出して凝固するので、外気温度の変動を和らげ、一定の温度が保たれやすく、蓄熱材料としての機能を発揮する。また、材料(A)及び(B)では、式(1)の主鎖Xが、上記の温度範囲では融解せず、さらに、材料(B)では、架橋によって三次元網目構造となるので、高分子全体が流出することなく形状は保持される。また、これらの蓄熱材料(A)、(B)及び(C)は、側鎖の長さを調節することにより、融点を容易に調節できる。
【0016】
まず、蓄熱材料(A)及び(B)について説明する。
蓄熱材料(A)及び(B)において、式(1)の主鎖部Xは、側鎖Zの結晶化を阻害する構造でなければ特に限定されないが、好ましくは、
【化8】
から選択される少なくとも一種類である。
結合部Yは、主鎖部Xと側鎖Zを結合する部であり、1原子ユニットを意味する。結合部Yは、好ましくは、−CO―、―O―、―CH2−から選択される少なくとも一種類である。
側鎖Zは、結晶化できれば特に限定はされないが、好ましくは、炭素数9以上の炭化水素基から選択される少なくとも一種類であり、さらに好ましくは、炭素数9以上の直鎖アルキル基である。
【0017】
特に好ましい、主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zからなる結晶性ユニットは、以下に示す、ポリメタクリレート系、ポリアクリレート系、ポリビニルエステル系、ポリビニルエーテル系又は炭化水素系である。
【化9】
【0018】
好ましい蓄熱材料(A)の例として、メタクリル酸又はアクリル酸の長鎖アルキル炭化水素エステル等の重合体が挙げられる。具体例としては、ポリドコシルメタクリレート、ポリヘンエイコシルメタクリレート、ポリエイコシルアクリレート、ポリノナデシルアクリレート、ポリヘプタデシルアクリレート、ポリパルミチルアクリレート、ポリペンタデシルアクリレート、ポリステアリルアクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリミリスチルアクリレート、ポリミリスチルメタクリレート、ポリペンタデシルメタクリレート、ポリパルミチルメタクリレート、ポリヘプタデシルメタクリレート、ポリノナデシルメタクリレート、ポリエイコシルメタクリレート、ポリステアリルメタクリレート、ポリ(パルミチル/ステアリル)メタクリレート、ポリビニルラウレート、ポリビニルミリステート、ポリビニルパルミテート、ポリビニルステアレート、ポリラウリルビニルエーテル、ポリミリスチルビニルエーテル、ポリパルミチルビニルエーテル、ポリステアリルビニルエーテル等が挙げられる。
特に好ましいのは、ポリドコシルメタクリレート、ポリヘンエイコシルメタクリレート、ポリエイコシルメタクリレート、ポリステアリルメタクリレート、ポリノナデシルメタクリレート、ポリヘプタデシルメタクリレート、ポリパルミチルメタクリレート、ポリペンタデシルメタクリレート、ポリミリスチルメタクリレートである。
【0019】
また、好ましい蓄熱材料(B)の例として、上記蓄熱材料(A)の具体例の架橋体が挙げられる。特に好ましいのは、上記蓄熱材料(A)の好適例の架橋体である。
【0020】
好ましくは、主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zの重量は、以下の式を満たす。
Z/(X+Y+Z)≧0.75
即ち、側鎖Zの結晶性ユニットに占める割合は75重量%以上である。75重量%未満では、側鎖Zが結晶化できなくなり、蓄熱性を発揮することができない場合がある。
【0021】
蓄熱材料(A)及び(B)は、その特性を損なわない範囲において、他のユニットを含むことにより、所望の機能を発揮させることもできる。
【0022】
例えば、蓄熱材料(A)及び(B)は、親水性ユニットを含むことができる。これらの蓄熱材料は、側鎖として長鎖炭化水素基を有するため疎水性が高いが、親水性ユニットを含ませることにより、親水性を高めることができる。
このような親水性ユニットを形成するモノマーは、特に限定されないが、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等があり、好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
親水性ユニットの含有量は、好ましくは、50重量%以下であり、より好ましくは、30重量%以下である。50重量%を越えると、側鎖Zの結晶性が低下する場合がある。
【0023】
蓄熱材料(A)及び(B)の重量平均分子量Mwは、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは10,000〜1,000,000である。Mwが1,000未満では、製品強度が弱く、製品のベトツキ等の原因となる場合がある。一方、2,000,000を超えると、製造が困難となる場合がある。
【0024】
蓄熱材料(A)及び(B)の融点、即ち、側鎖Zが非結晶化する温度は、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは10〜50℃である。
融点が100℃を超えると、これらの材料は、日常の使用雰囲気下において、常に固体状態で存在するため、昇温時に結晶化熱を吸収する性質を利用することができないため、蓄熱材料としての機能を十分に果たし難くなる。
また、融点が−10℃未満では、日常の使用雰囲気下において、これらの材料は、常に液体状態で存在するため、凝固時に熱を放出する性質を利用できないため、蓄熱材料としての機能を十分に果たし難くなる。即ち、上記範囲外の温度では、日常的に使用される温度より低く又は高くなるため、蓄熱性能上の機能を発揮しない場合がある。
【0025】
蓄熱材料(A)及び(B)の融点と凝固点の差は、好ましくは15℃以内である。15℃より大きくなると、吸熱、放熱する間隔が広いため、蓄熱材料として所望の狭い温度範囲で機能を発揮し難くなる。
【0026】
蓄熱材料(A)及び(B)の潜熱は、好ましくは30J/g以上、より好ましくは50J/g以上、さらに好ましくは70J/g以上である。潜熱が30J/g未満では、蓄熱材料としての効果が不十分となる場合がある。また、通常、200J/g以下である。
【0027】
蓄熱材料(A)及び(B)は、所定の温度範囲で、側鎖Zが大きな潜熱を伴って可逆的に結晶化、非結晶化の相転移をするが、主鎖Xはかかる相転移はしない。
【0028】
ここで、融点、凝固点及び潜熱とは、それぞれ示差走査熱量測定(DSC)で測定し、融点は、融解ピークの頂点の温度を、凝固点は、結晶化ピークの頂点の温度を意味する(JIS K 7121)。尚、融点は、一度融解ピーク終了時より高い温度まで加熱し、所定温度まで冷却した後、再度加熱した時に得られる融解ピークの頂点の温度を融点とした。これらの定義は、後述する蓄熱材料(C)においても同様である。
【0029】
蓄熱材料(A)及び(B)の製造方法は、特に限定されない。
例えば、材料(A)は、結晶性ユニットを形成し得るモノマー、又は結晶性ユニット及び親水性ユニットを形成し得るモノマーを重合することにより製造できる。
【0030】
また、材料(B)は、結晶性ユニットを形成し得るモノマー、又は結晶性ユニット及び親水性ユニットを形成し得るモノマーを、架橋剤と共に重合することにより製造できる。
架橋を形成する架橋剤(モノマー)としては、ポリエチレングリコール(1000)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等があり、好ましくは、ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートである。
架橋剤の量は、結晶性ユニット及び親水性ユニットを形成し得るモノマーに対し、好ましくは、0.1〜20重量%であり、より好ましくは、0.2〜3重量%である。0.1重量%未満では、架橋効果がほとんど表れない。一方、20重量%を越えてもほとんど効果に差がない。
【0031】
次に、蓄熱材料(C)について説明する
蓄熱材料(C)は、上述したように、ポリエーテルである主鎖と、結晶化し得る側鎖とを有するユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーである。
蓄熱材料(C)において、側鎖は、結晶化できれば特に限定はされない。
具体的な蓄熱材料(C)としては、式(2)に示すユニットを有するポリグリセリン系、又は式(3)に示すユニットを有するポリアルキレングリコール系が挙げられる。
【0032】
【化10】
(式中、R1は、炭素数11以上の炭化水素基から選択される少なくとも一種類であり、R2は、炭素数14以上の炭化水素基から選択される少なくとも一種類である。)
【0033】
R1又はR2は、好ましくは上記の炭素数を有する直鎖アルキル基である。具体例としては、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基等が挙げられる。
特に好ましいのは、トリデシル基(C13)、ペンタデシル基(C15)、ヘプタデシル基(C17)、ヘンエイコシル基(C21)である。
【0034】
例えば、R1が炭素数13のトリデシル基、R2が炭素数14のテトラデシル基であるときは、本発明の蓄熱材料は、それぞれ式(4)又は式(5)に示すユニットを有する。
【0035】
【化11】
【0036】
上記のような構成において、所定の温度で、主鎖は結晶化しないが、長い側鎖同士が互いに結晶化し得る。
【0037】
ポリグリセリン系蓄熱材料の例としては、デカグリセリン−ラウリン酸(C12)反応物、デカグリセリン−ミリスチン酸(C14)反応物、デカグリセリン−パルミチン酸(C16)反応物、デカグリセリン−ステアリン酸(C18)反応物、デカグリセリン−ベヘン酸(C22)反応物等が挙げられる。このうち、好ましいのは、デカグリセリン−ミリスチン酸反応物、デカグリセリン−パルミチン酸反応物、デカグリセリン−ステアリン酸反応物、デカグリセリン−ベヘン酸反応物である。
【0038】
また、ポリアルキレングリコール系蓄熱材料の例としては、ドデシレンオキシド、テトラデシレンオキシド、ヘキサデシレンオキシド、オクタデシレンオキシド等のアルキレンオキシドの重合物等が挙げられる。このうち、好ましいのは、ヘキサデシレンオキシド、オクタデシレンオキシド等の重合物である。
【0039】
蓄熱材料(C)は、その特性を損なわない範囲において、側鎖の官能基を変えることにより、所望の機能を発揮させることもできる。
例えば、蓄熱材料(C)は、側鎖として長鎖炭化水素基を有するため疎水性が高いが、アルコール等の親水性官能基を含ませることにより、親水性を高めることができる。その結果、蓄熱材料を基材等に塗布するとき、基材等に対する密着性が向上する。
【0040】
蓄熱材料(C)の重量平均分子量Mw、融点、融点と凝固点の差及び潜熱は、蓄熱材料(A)及び(B)と同様である。
【0041】
蓄熱材料(C)も、所定の温度範囲で、側鎖が可逆的に結晶化、非結晶化の相転移をするが、主鎖はかかる相転移はしない。
【0042】
蓄熱材料(C)は、TG−DTA測定装置で測定した空気中での5%重量減少温度が、好ましくは200℃以上、より好ましくは240℃以上である。200℃未満では、加熱加工処理時に蒸発する場合がある。尚、5%重量減少温度とは、蓄熱材料(C)を加熱して、全体の5重量%が減少したときの温度である。
【0043】
蓄熱材料(C)の製造方法は、特に限定されない。例えば、ポリグリセリン系蓄熱材料は、ポリグリセリン(ポリエーテル主鎖)に存在する水酸基と、直鎖アルキル基を有するカルボン酸(側鎖)のカルボキシル基とを、公知のエステル化反応を用いて反応させることにより製造できる。
一方、ポリアルキレングリコール系蓄熱材料は、アルキレンオキシドを開環重合することにより製造できる。
【0044】
蓄熱性組成物に用いる合成樹脂としては、融点が100℃以上のものが好ましい。具体的には、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、ポリカーボネート樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。このうち、好ましくは、上述した樹脂である。これらは、一種単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
蓄熱材料の配合量は、要求される温度調節機能により異なるが、合成樹脂に対して、好ましくは5〜90重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%である。5重量%未満では、その温度調節機能が十分に発揮されない場合がある。一方、90重量%を超えると、基材が硬く、脆くなり易くなる場合がある。
【0046】
蓄熱性組成物には、相溶性改良材として、エポキシ基含有アクリル系ポリマーや、アリルエーテルコポリマー等を配合することができる。これにより、合成樹脂間の相溶性が向上し、蓄熱材料の配合量を増加することが可能となる。
また、蓄熱性組成物には、その特性を損なわない範囲で、種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐光剤、無機充填剤(炭酸カルシウム、タルク等)、発泡剤(化学発泡材等)、老化防止剤、抗菌剤、防カビ剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤加工助剤、安定剤、可塑剤、架橋剤、反応促進剤等を配合することができる。
【0047】
蓄熱性組成物の潜熱は、蓄熱機能上、好ましくは1J/g以上であり、より好ましくは5J/g以上である。潜熱が1J/g未満では、蓄熱の効果が十分でない場合がある。
この特性により、外気温度等に対して、温度調節機能が十分に発揮できる。
このような蓄熱性組成物は、蓄熱材料と合成樹脂とを、公知の方法でブレンドし、混練することより製造することができる。
【0048】
本発明の成形品は、上記の蓄熱性組成物を成形したものである。このような成形品としては、例えば、射出成形品、中空成形品、スラッシュ成形品、カレンダー成形品、押出成形品、インフレーション成形品、発泡成形品、圧縮成形品等が挙げられる。これらの成形品は、公知の方法により成形することができる。
これらの成形品は、その蓄熱性能により、各種省エネルギー部材分野又は過熱・過冷防止部材分野、例えば、建築材料(例えば、断熱ボード、床暖房部材、保温式便座、住宅用壁、天井、床材等);家庭用品(例えば、保温食器、保温ボトル、家具、寝具等);自動車部品(例えば、エアコン部材、断熱材、ハンドル、シフトノブ等);家電OA部品;テレビ、コピー等の熱交換器部品;伝熱機器体(例えば、保温性転写ロール、電子部品冷却剤等)等に好適に利用することができる。
【0049】
本発明の成形品は、蓄熱材料を配合した組成物を利用しているため、エネルギー保有物に接触したとき、基材が低融点で融解し、その融解熱により基材の温度上昇を抑制することができる。また、成形品が低温領域に配置された場合、凝固熱を放出し、基材の温度低下を防止することができる。
【0050】
この他に、本発明の成形品及び蓄熱性組成物は、以下の効果を有し得る。
▲1▼ 通常のプラスチック成形、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、カレンダー成形、発泡成形、圧縮成形等により、容易に加工することができる。
▲2▼ 高分子物質であるため、蓄熱材料の揮散が少なく、優れた蓄熱性能を発現できる。
▲3▼ 日常的実用温度領域で、蓄熱性能を発揮できる。
▲4▼ 従来では、例えば、床暖房用途にパラフィン等の蓄熱材を用いる場合、流出防止のために容器に入れて、その容器を設置する必要があったが、本発明では、用途毎の形状に合わせてプラスチック成形品を作ればよいため、蓄熱材を含む各種部材の構造が簡単になる。
▲5▼ 高価な材料を用いていないため、コストメリットが高い。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、各例で得られた試料の評価は、下記の方法で行った。
(1)重量平均分子量:GPC測定装置(日本分光社製)にて、テトラヒドロフラン(以下、THF)を溶媒として測定した。尚、分子量はポリスチレン換算で計算した。
(2)融点、凝固点、潜熱:示差走査熱量計(DSC−7:パーキンエルマージャパン社製)にて、試料量:3mg、昇温、降温速度:10℃/分で測定した。(3)重量減少率:150℃で1時間保持したときの重量減少率を、TG−DTA装置(セイコーインスツルメント社)にて、試料量:3mg、Air流速:300ml/分の条件で測定した。
(4)粘度:融解後の動粘度(JIS−K2283)を、40℃で測定した。
(5)5%重量減少温度:TG−DTA装置(セイコーインスツルメント社)にて、試料量:3mg、Air流速:300ml/分の条件で測定した。
【0052】
製造例1
[蓄熱材料の合成]
ポリステアリルメタクリレートを、以下の方法により合成した。
3Lの4つ口セパラブルフラスコに窒素導入管、攪拌翼、還流器を付け、そのフラスコに、n−ステアリルメタクリレート800gを入れ、さらに溶媒としてTHF1.2Lを入れた。
窒素をゆっくり通気しながら、65℃の水浴中で約15分間攪拌しながらn−ステアリルメタクリレートを溶解した。その後、75℃にて重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)1.5gを入れ、8時間反応させた。
反応終了後、室温にて反応物を冷却し、反応物を、5Lビーカーに入れたメタノール4L中へ攪拌しながら加え、重合物を沈殿させた。2時間攪拌後、析出した重合物をろ過し、その後風乾し、ポリステアリルメタクリレートを得た。
この重合物の評価結果は以下の通りであった。
重量平均分子量:202,000、融点:38℃、凝固点:24℃、潜熱:84J/g
【0053】
製造例2
[架橋蓄熱材料の合成]
ポリステアリルメタクリレート架橋体(1%架橋)を、以下の方法により合成した。
▲1▼ 2Lセパラブルフラスコ(4つ口)に、窒素導入管、攪拌装置、リフラックス装置を付けた。
▲2▼ このフラスコに、n−ステアリルメタクリレート(モノマー)743g(固体)と、架橋剤としてポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート(ポリエチレングリコール部平均分子量1,000)7.5gを仕込み、それに溶媒としてトルエンを450mL入れた。
▲3▼ フラスコ内に窒素をゆっくり流しながら、フラスコをオイルバス(90℃)につけ、ゆっくり攪拌(約200rpm)して固体を溶解させた。
▲4▼ 固体が溶解して均一な溶液になったら、フラスコの内温が70℃程度まで上昇するのを待ち、温度が70℃に達したら、重合開始剤としてAIBNを0.75g加え、攪拌を続けた。この際、窒素の量は、トルエンがリフラックスできる範囲にした。
▲5▼ フラスコの内温が80℃になる辺りから内容物が徐々に粘ちょうになり、20分程度後には餅状になってきたため、回転数を約20rpmまで下げ、攪拌棒を伝わって内容物が上昇するのを防いだ。この状態で、オイルバスのバス温を130℃まで上げ、そのまま3時間攪拌を続けた。
▲6▼ フラスコに付けたリフラックス装置と窒素導入管をはずし、減圧蒸留装置に付け替え、内容物が膨張して容器の中が詰まらないように徐々に減圧していき、トルエンと未反応の軽質分を除去した。最終的には、約2torrまで減圧した。
▲7▼ 約2時間、軽質分を除去した後、内容物をテフロン(登録商標)板上に取り出し、粗粉砕し、風乾、さらに減圧乾燥して、最終的に白色固体720gを得た。
NMR分析の結果、この白色固体がポリステアリルメタクリレート架橋体(1%架橋)であることが確認された。この架橋体を2バッチ製造した。
この架橋体の評価結果は、以下の通りであった。
融点:37℃、凝固点:24℃、ΔT(融点−凝固点):13℃、潜熱:83J/g、重量減少率:2%以下
【0054】
製造例3
[ポリエーテル蓄熱材料の合成]
デカグリセリン−ミリスチン酸(C14)反応物を、以下の方法により合成した。
▲1▼ 2Lセパラブルフラスコ(4つ口)に、窒素導入管、攪拌装置、ディーンスターク水分離装置を付けた。このとき、水分離装置は60−70℃に保温した。
▲2▼ フラスコに、デカグリセリン310gと、ミリスチン酸(固体)1,090gとを仕込んだ。
▲3▼ 窒素をゆっくり流しながら、マントルヒーター(100℃)で加熱し、ゆっくり攪拌して固体を溶解させた。
▲4▼ 溶解して均一な溶液になった後、ヒーターの温度を徐々に上げ、攪拌を続けた。このとき、160−170℃付近から水の流出が始まり、同時にミリスチン酸もトラップに出てくるため、固化して詰まらせないようにしながら水を除去した。そして、そのまま内温を180℃程度に調節しながら反応を続けた。
▲5▼ 5−6時間後、ヒーターの温度を、内温が240℃程度になるまで上げ、そのまま2−3時間攪拌を続けた。
▲6▼ 水の留出が認められなくなったら、水分離装置を減圧蒸留装置に付け替え、20mmHg程度で軽質分をカットした。
▲7▼ フラスコをヒーターからはずし、攪拌しながら80℃程度まで放冷した。
▲8▼ 内容物を金属製のパットにあけ、さらに冷却し、固化させた後、粉砕してフレーク状の固体1,210gを得た。
NMR分析の結果、デカグリセリンの反応点12個所に対し、平均10ユニットのミリスチン酸がエステル結合したものであることが確認された。分析データを表1(n=14)に示す。
また、この反応物の評価結果は、以下の通りであった。
重量平均分子量:2,750、融点:35℃、凝固点:25℃、ΔT:10℃、潜熱:84J/g、粘度:217.5mm2/s、5%重量減少温度:235℃
【0055】
【表1】
【0056】
実施例1
[射出成形品]
ポリプロピレン樹脂(IDEMITSU PP J466H(商品名)、出光石油化学(株)製、融点158℃、PP)70重量部に、製造例1で得たポリステアリルメタクリレート30重量部をドライブレンドした後、35mmφ押出機(池貝鐵工製)で200℃で混練し、蓄熱性PP組成物を得た。
次に、このPP組成物を、20tの小型射出成形機を使用し、210℃にて15cm角、4mm厚の平板に成形した。その後、この平板を50℃の恒温槽に0.5Hr、さらに5℃の恒温槽に0.5Hr放置し、基材の温度変化を表面温度計で測定し、蓄熱性を評価した。結果を図1に示す。また、本素材を用いて容器を作製し、空気と水を充填した際の、空気層と水層のそれぞれの内部温度を評価した。結果を図2及び図3に示す。また、本素材の蓄熱性の評価結果を表2に示す。
【0057】
比較例1
[射出成形品]
実施例1において、ポリステアリルメタクリレートを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして4mm厚のPP平板を作成し、蓄熱性を評価した。結果を図1に示す。また、本素材を用いて容器を作製し、空気と水を充填した際の、空気層と水層のそれぞれの内部温度を評価した。結果を図2及び図3に示す。
【0058】
実施例2
[中空成形品]
高密度ポリエチレン樹脂(IDEMITSU HD 520MB(商品名)、出光石油化学(株)製、融点130℃、HDPE)70重量部に、製造例1で得たポリステアリルメタクリレート30重量部をドライブレンドした後、35mmφ押出機(池貝鐵工製)で180℃で混練し、蓄熱性HDPE組成物を得た。
次に、2種3層小型中空成形機にて、温度180度で、上記HDPE組成物を中間層(2mm厚)、上記HDPEを内層及び外層(各1mm厚)とする200ccの多層中空ボトルを製造し、蓄熱性を評価した。結果を表2に示す。
【0059】
実施例3
[圧縮成形品]
実施例1で得た蓄熱性PP組成物を45g採取し、1mm厚の20cm角型枠を使用し、200℃予熱10分、脱気後、16MPaGで2分圧力をかけ、その後、室温の冷却プレス機で10MPaの圧力下で冷却し、蓄熱性PP組成物の圧縮成形品を得た。尚、この際通常使用されるPETフィルムを離型に、また、型枠上下に1mmAl板を使用した。蓄熱性の評価結果を表2に示す。
【0060】
実施例4
[圧縮成形品]
実施例1において、製造例1で得たポリステアリルメタクリレートの代わりに、製造例2で得たポリステアリルメタクリレート架橋体を用いた以外は、実施例1と同様にして蓄熱性PP組成物を得た。
次に、この蓄熱性PP組成物を用い、実施例3と同様にして、圧縮成形品を得た。蓄熱性の評価結果を表2に示す。
【0061】
実施例5
[圧縮成形品]
実施例1において、製造例1で得たポリステアリルメタクリレートの代わりに、製造例3で得たデカグリセリン−ミリスチン酸反応物を用いた以外は、実施例1と同様にして蓄熱性PP組成物を得た。
次に、この蓄熱性PP組成物を用い、実施例3と同様にして、圧縮成形品を得た。蓄熱性の評価結果を表2に示す。
【0062】
実施例6
[発泡成形品]
製造例1で得たポリステアリルメタクリレート、ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、触媒及び整泡剤を、下記に示す割合で配合して、定法により、30重量%の蓄熱成分を含む蓄熱性ウレタンフォームを作製し、蓄熱性を評価した。結果を表2に示す。
ダウポリウレタン社製、#3000(商品名)、ポリオール成分 100重量部
ダウポリウレタン社製、T−80(商品名)、イソシアネート成分 40重量部
水、発泡剤 2.9重量部
エアプロダクツ社製、33LV(商品名)、アミン系触媒 0.3重量部
エアプロダクツ社製、AT33(商品名)、アミン系触媒 0.3重量部
日東化成社製、T−9(商品名)、スズ系触媒 0.3重量部
日本ユニカー社製、L6202(商品名)、整泡剤 0.3重量部
ポリステアリルメタクリレート、蓄熱材 62重量部
【0063】
実施例7
[押出成形品]
実施例1で得た蓄熱性PP組成物を、40mmの小型押出機を使用して、200℃で多層押出成形し、30重量%の蓄熱成分を、中心の蓄熱材層に含有する3層の押出成形品を作製し、蓄熱性を評価した。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、加工が容易で優れた蓄熱性を有する蓄熱性組成物及びその成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の蓄熱性ポリプロピレン組成物、及び比較例1のポリプロピレンの各4mm厚平板(射出成形品)の蓄熱性を評価した図である。
【図2】実施例1の蓄熱性ポリプロピレン組成物、及び比較例1のポリプロピレンを用いて作製した容器の空気層の温度調節効果を評価した図である。
【図3】実施例1の蓄熱性ポリプロピレン組成物、及び比較例1のポリプロピレンを用いて作製した容器の水層の温度調節効果を評価した図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、各種省エネルギー部材分野等に使用される蓄熱性組成物及びその成形品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、外気温度の変化に対し、温度調節機能を付与するものとして、蓄熱材料が使用されている。
例えば、高分子の主鎖の相転移を利用した蓄熱性高分子が提案されている(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)。
しかし、このような蓄熱性高分子は、融点が高く実用化に適さなかった。例えば、高密度ポリエチレンの場合は、融点が120℃である。
【0003】
また、炭素数18〜28のα−オレフィンの蓄熱材料が開示され、その用途例として、蓄熱材料の凝固熱を利用した省エネ型暖房システムが提案されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、フッ素樹脂又はシリコン樹脂のマイクロカプセルに蓄熱材料を封入した、多層射出成形による保温食器が提案されている(例えば、特許文献4参照。)。
また、0〜30℃の温度範囲で相変化する蓄熱材料を利用した複合断熱パネルを、結露防止に利用することが提案されている(例えば、特許文献5参照。)。
【0004】
最近では、マイクロカプセル化潜熱蓄熱材料を配合した、蓄熱構造を有するセメント系建材が提案されている(例えば、特許文献6参照。)。
また、潜熱蓄熱性粒子材料としてパラフィン粒子を用いた熱交換器等が提案されている(例えば、特許文献7参照。)。
また、潜熱蓄熱材が内包されたマイクロカプセルを含む調温調湿材料及びそれを配合した調温調湿フォームが提案されている(例えば、特許文献8参照。)。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−76078号公報
【特許文献2】
特開昭58−27773号公報
【特許文献3】
特開平5−214328号公報
【特許文献4】
特開平8−224754号公報
【特許文献5】
特開平9−174741号公報
【特許文献6】
特開2002−114553号公報
【特許文献7】
特許第3306482号公報
【特許文献8】
特開2002−211967号公報
【0006】
しかし、上記の公報で開示された技術は、下記のような欠点を有していた。
▲1▼ 通常のプラスチック成形、例えば、射出成形、中空成形、圧縮成形を行うと、圧力がかかってマイクロカプセルが破壊されてしまうため、効果的な成形を行うことができない。
▲2▼ パラフィン系の材料の場合、成形時に蓄熱成分が揮散してしまうため、蓄熱効果が発現しにくい。
▲3▼ 蓄熱材料の相転移温度が高く、実用に適さない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題に鑑み、加工が容易で優れた蓄熱性を有する蓄熱性組成物及びその成形品を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の第一の態様によれば、融点が100℃以下であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー又はオリゴマーからなる蓄熱材料と、合成樹脂とからなる蓄熱性組成物が提供される。
ここで、合成樹脂は、好ましくは、少なくともポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂のうちいずれか1からなる。また、ポリマー又はオリゴマーの構造としては、直鎖状、側鎖状、枝分かれ状、三次元網目構造等が挙げられるが、特に制限されない。
【0009】
本発明の第二の態様によれば、式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーを合成樹脂に配合してなる蓄熱性組成物の成形品が提供される。
【化6】
【0010】
本発明の第三の態様によれば、上記式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーの架橋体を合成樹脂に配合してなる蓄熱性組成物が提供される。
【0011】
本発明の第四の態様によれば、ポリエーテルである主鎖と、結晶化し得る側鎖とを有するユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーを合成樹脂に配合してなる蓄熱性組成物が提供される。
【0012】
本発明の第五の態様によれば、上記の蓄熱性組成物の成形品が提供される。
【0013】
本発明の第六の態様によれば、上記の成形品を含む省エネルギー部材又は過熱・過冷防止部材が提供される。
【0014】
【発明の実施の態様】
以下、本発明について詳細に説明する。
まず、本発明に関する蓄熱性組成物について説明する。
蓄熱材料としては、外気温度及び日常的利用温度の変化に対応し、その固有の融解熱又は凝固熱により、成形品に蓄熱機能を発現させ得るものが有用である。このような蓄熱材料としては、融点が100℃以下であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー又はオリゴマーからなる材料が挙げられる。この材料は、好ましくは、側鎖結晶型で、潜熱が50J/g以上である。
具体的には、下記(A)〜(C)に示す材料が挙げられる。
(A)式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマー
【化7】
(B)上記式(1)に示される主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zから構成され、側鎖Zが結晶化し得る結晶性ユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーの架橋体(架橋蓄熱材料)
(C)ポリエーテルである主鎖と、結晶化し得る側鎖とを有するユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマー(ポリエーテル蓄熱材料)
【0015】
これらの蓄熱材料は、所望の温度範囲において、材料(A)及び(B)にあっては、側鎖Zの非結晶化又は結晶化により相変化(融解、凝固)し、また、材料(C)にあっては、側鎖の凝集解離により相変化(融解、凝固)し、その際、大きな潜熱を放出又は吸収する。従って、これらの蓄熱材料は、外気温度が上昇すると熱を吸収して融解し、外気温度が低下すると熱を放出して凝固するので、外気温度の変動を和らげ、一定の温度が保たれやすく、蓄熱材料としての機能を発揮する。また、材料(A)及び(B)では、式(1)の主鎖Xが、上記の温度範囲では融解せず、さらに、材料(B)では、架橋によって三次元網目構造となるので、高分子全体が流出することなく形状は保持される。また、これらの蓄熱材料(A)、(B)及び(C)は、側鎖の長さを調節することにより、融点を容易に調節できる。
【0016】
まず、蓄熱材料(A)及び(B)について説明する。
蓄熱材料(A)及び(B)において、式(1)の主鎖部Xは、側鎖Zの結晶化を阻害する構造でなければ特に限定されないが、好ましくは、
【化8】
から選択される少なくとも一種類である。
結合部Yは、主鎖部Xと側鎖Zを結合する部であり、1原子ユニットを意味する。結合部Yは、好ましくは、−CO―、―O―、―CH2−から選択される少なくとも一種類である。
側鎖Zは、結晶化できれば特に限定はされないが、好ましくは、炭素数9以上の炭化水素基から選択される少なくとも一種類であり、さらに好ましくは、炭素数9以上の直鎖アルキル基である。
【0017】
特に好ましい、主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zからなる結晶性ユニットは、以下に示す、ポリメタクリレート系、ポリアクリレート系、ポリビニルエステル系、ポリビニルエーテル系又は炭化水素系である。
【化9】
【0018】
好ましい蓄熱材料(A)の例として、メタクリル酸又はアクリル酸の長鎖アルキル炭化水素エステル等の重合体が挙げられる。具体例としては、ポリドコシルメタクリレート、ポリヘンエイコシルメタクリレート、ポリエイコシルアクリレート、ポリノナデシルアクリレート、ポリヘプタデシルアクリレート、ポリパルミチルアクリレート、ポリペンタデシルアクリレート、ポリステアリルアクリレート、ポリラウリルアクリレート、ポリミリスチルアクリレート、ポリミリスチルメタクリレート、ポリペンタデシルメタクリレート、ポリパルミチルメタクリレート、ポリヘプタデシルメタクリレート、ポリノナデシルメタクリレート、ポリエイコシルメタクリレート、ポリステアリルメタクリレート、ポリ(パルミチル/ステアリル)メタクリレート、ポリビニルラウレート、ポリビニルミリステート、ポリビニルパルミテート、ポリビニルステアレート、ポリラウリルビニルエーテル、ポリミリスチルビニルエーテル、ポリパルミチルビニルエーテル、ポリステアリルビニルエーテル等が挙げられる。
特に好ましいのは、ポリドコシルメタクリレート、ポリヘンエイコシルメタクリレート、ポリエイコシルメタクリレート、ポリステアリルメタクリレート、ポリノナデシルメタクリレート、ポリヘプタデシルメタクリレート、ポリパルミチルメタクリレート、ポリペンタデシルメタクリレート、ポリミリスチルメタクリレートである。
【0019】
また、好ましい蓄熱材料(B)の例として、上記蓄熱材料(A)の具体例の架橋体が挙げられる。特に好ましいのは、上記蓄熱材料(A)の好適例の架橋体である。
【0020】
好ましくは、主鎖部X、結合部Y及び側鎖Zの重量は、以下の式を満たす。
Z/(X+Y+Z)≧0.75
即ち、側鎖Zの結晶性ユニットに占める割合は75重量%以上である。75重量%未満では、側鎖Zが結晶化できなくなり、蓄熱性を発揮することができない場合がある。
【0021】
蓄熱材料(A)及び(B)は、その特性を損なわない範囲において、他のユニットを含むことにより、所望の機能を発揮させることもできる。
【0022】
例えば、蓄熱材料(A)及び(B)は、親水性ユニットを含むことができる。これらの蓄熱材料は、側鎖として長鎖炭化水素基を有するため疎水性が高いが、親水性ユニットを含ませることにより、親水性を高めることができる。
このような親水性ユニットを形成するモノマーは、特に限定されないが、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等があり、好ましくは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートである。
親水性ユニットの含有量は、好ましくは、50重量%以下であり、より好ましくは、30重量%以下である。50重量%を越えると、側鎖Zの結晶性が低下する場合がある。
【0023】
蓄熱材料(A)及び(B)の重量平均分子量Mwは、好ましくは1,000〜2,000,000、より好ましくは10,000〜1,000,000である。Mwが1,000未満では、製品強度が弱く、製品のベトツキ等の原因となる場合がある。一方、2,000,000を超えると、製造が困難となる場合がある。
【0024】
蓄熱材料(A)及び(B)の融点、即ち、側鎖Zが非結晶化する温度は、好ましくは−10〜100℃、より好ましくは0〜80℃、さらに好ましくは10〜50℃である。
融点が100℃を超えると、これらの材料は、日常の使用雰囲気下において、常に固体状態で存在するため、昇温時に結晶化熱を吸収する性質を利用することができないため、蓄熱材料としての機能を十分に果たし難くなる。
また、融点が−10℃未満では、日常の使用雰囲気下において、これらの材料は、常に液体状態で存在するため、凝固時に熱を放出する性質を利用できないため、蓄熱材料としての機能を十分に果たし難くなる。即ち、上記範囲外の温度では、日常的に使用される温度より低く又は高くなるため、蓄熱性能上の機能を発揮しない場合がある。
【0025】
蓄熱材料(A)及び(B)の融点と凝固点の差は、好ましくは15℃以内である。15℃より大きくなると、吸熱、放熱する間隔が広いため、蓄熱材料として所望の狭い温度範囲で機能を発揮し難くなる。
【0026】
蓄熱材料(A)及び(B)の潜熱は、好ましくは30J/g以上、より好ましくは50J/g以上、さらに好ましくは70J/g以上である。潜熱が30J/g未満では、蓄熱材料としての効果が不十分となる場合がある。また、通常、200J/g以下である。
【0027】
蓄熱材料(A)及び(B)は、所定の温度範囲で、側鎖Zが大きな潜熱を伴って可逆的に結晶化、非結晶化の相転移をするが、主鎖Xはかかる相転移はしない。
【0028】
ここで、融点、凝固点及び潜熱とは、それぞれ示差走査熱量測定(DSC)で測定し、融点は、融解ピークの頂点の温度を、凝固点は、結晶化ピークの頂点の温度を意味する(JIS K 7121)。尚、融点は、一度融解ピーク終了時より高い温度まで加熱し、所定温度まで冷却した後、再度加熱した時に得られる融解ピークの頂点の温度を融点とした。これらの定義は、後述する蓄熱材料(C)においても同様である。
【0029】
蓄熱材料(A)及び(B)の製造方法は、特に限定されない。
例えば、材料(A)は、結晶性ユニットを形成し得るモノマー、又は結晶性ユニット及び親水性ユニットを形成し得るモノマーを重合することにより製造できる。
【0030】
また、材料(B)は、結晶性ユニットを形成し得るモノマー、又は結晶性ユニット及び親水性ユニットを形成し得るモノマーを、架橋剤と共に重合することにより製造できる。
架橋を形成する架橋剤(モノマー)としては、ポリエチレングリコール(1000)ジアクリレート、ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート等があり、好ましくは、ポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレートである。
架橋剤の量は、結晶性ユニット及び親水性ユニットを形成し得るモノマーに対し、好ましくは、0.1〜20重量%であり、より好ましくは、0.2〜3重量%である。0.1重量%未満では、架橋効果がほとんど表れない。一方、20重量%を越えてもほとんど効果に差がない。
【0031】
次に、蓄熱材料(C)について説明する
蓄熱材料(C)は、上述したように、ポリエーテルである主鎖と、結晶化し得る側鎖とを有するユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーである。
蓄熱材料(C)において、側鎖は、結晶化できれば特に限定はされない。
具体的な蓄熱材料(C)としては、式(2)に示すユニットを有するポリグリセリン系、又は式(3)に示すユニットを有するポリアルキレングリコール系が挙げられる。
【0032】
【化10】
(式中、R1は、炭素数11以上の炭化水素基から選択される少なくとも一種類であり、R2は、炭素数14以上の炭化水素基から選択される少なくとも一種類である。)
【0033】
R1又はR2は、好ましくは上記の炭素数を有する直鎖アルキル基である。具体例としては、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基、トリコシル基等が挙げられる。
特に好ましいのは、トリデシル基(C13)、ペンタデシル基(C15)、ヘプタデシル基(C17)、ヘンエイコシル基(C21)である。
【0034】
例えば、R1が炭素数13のトリデシル基、R2が炭素数14のテトラデシル基であるときは、本発明の蓄熱材料は、それぞれ式(4)又は式(5)に示すユニットを有する。
【0035】
【化11】
【0036】
上記のような構成において、所定の温度で、主鎖は結晶化しないが、長い側鎖同士が互いに結晶化し得る。
【0037】
ポリグリセリン系蓄熱材料の例としては、デカグリセリン−ラウリン酸(C12)反応物、デカグリセリン−ミリスチン酸(C14)反応物、デカグリセリン−パルミチン酸(C16)反応物、デカグリセリン−ステアリン酸(C18)反応物、デカグリセリン−ベヘン酸(C22)反応物等が挙げられる。このうち、好ましいのは、デカグリセリン−ミリスチン酸反応物、デカグリセリン−パルミチン酸反応物、デカグリセリン−ステアリン酸反応物、デカグリセリン−ベヘン酸反応物である。
【0038】
また、ポリアルキレングリコール系蓄熱材料の例としては、ドデシレンオキシド、テトラデシレンオキシド、ヘキサデシレンオキシド、オクタデシレンオキシド等のアルキレンオキシドの重合物等が挙げられる。このうち、好ましいのは、ヘキサデシレンオキシド、オクタデシレンオキシド等の重合物である。
【0039】
蓄熱材料(C)は、その特性を損なわない範囲において、側鎖の官能基を変えることにより、所望の機能を発揮させることもできる。
例えば、蓄熱材料(C)は、側鎖として長鎖炭化水素基を有するため疎水性が高いが、アルコール等の親水性官能基を含ませることにより、親水性を高めることができる。その結果、蓄熱材料を基材等に塗布するとき、基材等に対する密着性が向上する。
【0040】
蓄熱材料(C)の重量平均分子量Mw、融点、融点と凝固点の差及び潜熱は、蓄熱材料(A)及び(B)と同様である。
【0041】
蓄熱材料(C)も、所定の温度範囲で、側鎖が可逆的に結晶化、非結晶化の相転移をするが、主鎖はかかる相転移はしない。
【0042】
蓄熱材料(C)は、TG−DTA測定装置で測定した空気中での5%重量減少温度が、好ましくは200℃以上、より好ましくは240℃以上である。200℃未満では、加熱加工処理時に蒸発する場合がある。尚、5%重量減少温度とは、蓄熱材料(C)を加熱して、全体の5重量%が減少したときの温度である。
【0043】
蓄熱材料(C)の製造方法は、特に限定されない。例えば、ポリグリセリン系蓄熱材料は、ポリグリセリン(ポリエーテル主鎖)に存在する水酸基と、直鎖アルキル基を有するカルボン酸(側鎖)のカルボキシル基とを、公知のエステル化反応を用いて反応させることにより製造できる。
一方、ポリアルキレングリコール系蓄熱材料は、アルキレンオキシドを開環重合することにより製造できる。
【0044】
蓄熱性組成物に用いる合成樹脂としては、融点が100℃以上のものが好ましい。具体的には、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、塩化ビニル樹脂(PVC樹脂)、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエステル樹脂(例えば、PET)、ポリカーボネート樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、熱可塑性エラストマー樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ABS樹脂等が挙げられる。このうち、好ましくは、上述した樹脂である。これらは、一種単独で用いてもよく、また、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
蓄熱材料の配合量は、要求される温度調節機能により異なるが、合成樹脂に対して、好ましくは5〜90重量%、好ましくは10〜60重量%、さらに好ましくは15〜50重量%である。5重量%未満では、その温度調節機能が十分に発揮されない場合がある。一方、90重量%を超えると、基材が硬く、脆くなり易くなる場合がある。
【0046】
蓄熱性組成物には、相溶性改良材として、エポキシ基含有アクリル系ポリマーや、アリルエーテルコポリマー等を配合することができる。これにより、合成樹脂間の相溶性が向上し、蓄熱材料の配合量を増加することが可能となる。
また、蓄熱性組成物には、その特性を損なわない範囲で、種々の添加剤、例えば、酸化防止剤、耐光剤、無機充填剤(炭酸カルシウム、タルク等)、発泡剤(化学発泡材等)、老化防止剤、抗菌剤、防カビ剤、着色剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤加工助剤、安定剤、可塑剤、架橋剤、反応促進剤等を配合することができる。
【0047】
蓄熱性組成物の潜熱は、蓄熱機能上、好ましくは1J/g以上であり、より好ましくは5J/g以上である。潜熱が1J/g未満では、蓄熱の効果が十分でない場合がある。
この特性により、外気温度等に対して、温度調節機能が十分に発揮できる。
このような蓄熱性組成物は、蓄熱材料と合成樹脂とを、公知の方法でブレンドし、混練することより製造することができる。
【0048】
本発明の成形品は、上記の蓄熱性組成物を成形したものである。このような成形品としては、例えば、射出成形品、中空成形品、スラッシュ成形品、カレンダー成形品、押出成形品、インフレーション成形品、発泡成形品、圧縮成形品等が挙げられる。これらの成形品は、公知の方法により成形することができる。
これらの成形品は、その蓄熱性能により、各種省エネルギー部材分野又は過熱・過冷防止部材分野、例えば、建築材料(例えば、断熱ボード、床暖房部材、保温式便座、住宅用壁、天井、床材等);家庭用品(例えば、保温食器、保温ボトル、家具、寝具等);自動車部品(例えば、エアコン部材、断熱材、ハンドル、シフトノブ等);家電OA部品;テレビ、コピー等の熱交換器部品;伝熱機器体(例えば、保温性転写ロール、電子部品冷却剤等)等に好適に利用することができる。
【0049】
本発明の成形品は、蓄熱材料を配合した組成物を利用しているため、エネルギー保有物に接触したとき、基材が低融点で融解し、その融解熱により基材の温度上昇を抑制することができる。また、成形品が低温領域に配置された場合、凝固熱を放出し、基材の温度低下を防止することができる。
【0050】
この他に、本発明の成形品及び蓄熱性組成物は、以下の効果を有し得る。
▲1▼ 通常のプラスチック成形、例えば、射出成形、中空成形、押出成形、カレンダー成形、発泡成形、圧縮成形等により、容易に加工することができる。
▲2▼ 高分子物質であるため、蓄熱材料の揮散が少なく、優れた蓄熱性能を発現できる。
▲3▼ 日常的実用温度領域で、蓄熱性能を発揮できる。
▲4▼ 従来では、例えば、床暖房用途にパラフィン等の蓄熱材を用いる場合、流出防止のために容器に入れて、その容器を設置する必要があったが、本発明では、用途毎の形状に合わせてプラスチック成形品を作ればよいため、蓄熱材を含む各種部材の構造が簡単になる。
▲5▼ 高価な材料を用いていないため、コストメリットが高い。
【0051】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
尚、各例で得られた試料の評価は、下記の方法で行った。
(1)重量平均分子量:GPC測定装置(日本分光社製)にて、テトラヒドロフラン(以下、THF)を溶媒として測定した。尚、分子量はポリスチレン換算で計算した。
(2)融点、凝固点、潜熱:示差走査熱量計(DSC−7:パーキンエルマージャパン社製)にて、試料量:3mg、昇温、降温速度:10℃/分で測定した。(3)重量減少率:150℃で1時間保持したときの重量減少率を、TG−DTA装置(セイコーインスツルメント社)にて、試料量:3mg、Air流速:300ml/分の条件で測定した。
(4)粘度:融解後の動粘度(JIS−K2283)を、40℃で測定した。
(5)5%重量減少温度:TG−DTA装置(セイコーインスツルメント社)にて、試料量:3mg、Air流速:300ml/分の条件で測定した。
【0052】
製造例1
[蓄熱材料の合成]
ポリステアリルメタクリレートを、以下の方法により合成した。
3Lの4つ口セパラブルフラスコに窒素導入管、攪拌翼、還流器を付け、そのフラスコに、n−ステアリルメタクリレート800gを入れ、さらに溶媒としてTHF1.2Lを入れた。
窒素をゆっくり通気しながら、65℃の水浴中で約15分間攪拌しながらn−ステアリルメタクリレートを溶解した。その後、75℃にて重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(以下、AIBN)1.5gを入れ、8時間反応させた。
反応終了後、室温にて反応物を冷却し、反応物を、5Lビーカーに入れたメタノール4L中へ攪拌しながら加え、重合物を沈殿させた。2時間攪拌後、析出した重合物をろ過し、その後風乾し、ポリステアリルメタクリレートを得た。
この重合物の評価結果は以下の通りであった。
重量平均分子量:202,000、融点:38℃、凝固点:24℃、潜熱:84J/g
【0053】
製造例2
[架橋蓄熱材料の合成]
ポリステアリルメタクリレート架橋体(1%架橋)を、以下の方法により合成した。
▲1▼ 2Lセパラブルフラスコ(4つ口)に、窒素導入管、攪拌装置、リフラックス装置を付けた。
▲2▼ このフラスコに、n−ステアリルメタクリレート(モノマー)743g(固体)と、架橋剤としてポリエチレングリコール(1000)ジメタクリレート(ポリエチレングリコール部平均分子量1,000)7.5gを仕込み、それに溶媒としてトルエンを450mL入れた。
▲3▼ フラスコ内に窒素をゆっくり流しながら、フラスコをオイルバス(90℃)につけ、ゆっくり攪拌(約200rpm)して固体を溶解させた。
▲4▼ 固体が溶解して均一な溶液になったら、フラスコの内温が70℃程度まで上昇するのを待ち、温度が70℃に達したら、重合開始剤としてAIBNを0.75g加え、攪拌を続けた。この際、窒素の量は、トルエンがリフラックスできる範囲にした。
▲5▼ フラスコの内温が80℃になる辺りから内容物が徐々に粘ちょうになり、20分程度後には餅状になってきたため、回転数を約20rpmまで下げ、攪拌棒を伝わって内容物が上昇するのを防いだ。この状態で、オイルバスのバス温を130℃まで上げ、そのまま3時間攪拌を続けた。
▲6▼ フラスコに付けたリフラックス装置と窒素導入管をはずし、減圧蒸留装置に付け替え、内容物が膨張して容器の中が詰まらないように徐々に減圧していき、トルエンと未反応の軽質分を除去した。最終的には、約2torrまで減圧した。
▲7▼ 約2時間、軽質分を除去した後、内容物をテフロン(登録商標)板上に取り出し、粗粉砕し、風乾、さらに減圧乾燥して、最終的に白色固体720gを得た。
NMR分析の結果、この白色固体がポリステアリルメタクリレート架橋体(1%架橋)であることが確認された。この架橋体を2バッチ製造した。
この架橋体の評価結果は、以下の通りであった。
融点:37℃、凝固点:24℃、ΔT(融点−凝固点):13℃、潜熱:83J/g、重量減少率:2%以下
【0054】
製造例3
[ポリエーテル蓄熱材料の合成]
デカグリセリン−ミリスチン酸(C14)反応物を、以下の方法により合成した。
▲1▼ 2Lセパラブルフラスコ(4つ口)に、窒素導入管、攪拌装置、ディーンスターク水分離装置を付けた。このとき、水分離装置は60−70℃に保温した。
▲2▼ フラスコに、デカグリセリン310gと、ミリスチン酸(固体)1,090gとを仕込んだ。
▲3▼ 窒素をゆっくり流しながら、マントルヒーター(100℃)で加熱し、ゆっくり攪拌して固体を溶解させた。
▲4▼ 溶解して均一な溶液になった後、ヒーターの温度を徐々に上げ、攪拌を続けた。このとき、160−170℃付近から水の流出が始まり、同時にミリスチン酸もトラップに出てくるため、固化して詰まらせないようにしながら水を除去した。そして、そのまま内温を180℃程度に調節しながら反応を続けた。
▲5▼ 5−6時間後、ヒーターの温度を、内温が240℃程度になるまで上げ、そのまま2−3時間攪拌を続けた。
▲6▼ 水の留出が認められなくなったら、水分離装置を減圧蒸留装置に付け替え、20mmHg程度で軽質分をカットした。
▲7▼ フラスコをヒーターからはずし、攪拌しながら80℃程度まで放冷した。
▲8▼ 内容物を金属製のパットにあけ、さらに冷却し、固化させた後、粉砕してフレーク状の固体1,210gを得た。
NMR分析の結果、デカグリセリンの反応点12個所に対し、平均10ユニットのミリスチン酸がエステル結合したものであることが確認された。分析データを表1(n=14)に示す。
また、この反応物の評価結果は、以下の通りであった。
重量平均分子量:2,750、融点:35℃、凝固点:25℃、ΔT:10℃、潜熱:84J/g、粘度:217.5mm2/s、5%重量減少温度:235℃
【0055】
【表1】
【0056】
実施例1
[射出成形品]
ポリプロピレン樹脂(IDEMITSU PP J466H(商品名)、出光石油化学(株)製、融点158℃、PP)70重量部に、製造例1で得たポリステアリルメタクリレート30重量部をドライブレンドした後、35mmφ押出機(池貝鐵工製)で200℃で混練し、蓄熱性PP組成物を得た。
次に、このPP組成物を、20tの小型射出成形機を使用し、210℃にて15cm角、4mm厚の平板に成形した。その後、この平板を50℃の恒温槽に0.5Hr、さらに5℃の恒温槽に0.5Hr放置し、基材の温度変化を表面温度計で測定し、蓄熱性を評価した。結果を図1に示す。また、本素材を用いて容器を作製し、空気と水を充填した際の、空気層と水層のそれぞれの内部温度を評価した。結果を図2及び図3に示す。また、本素材の蓄熱性の評価結果を表2に示す。
【0057】
比較例1
[射出成形品]
実施例1において、ポリステアリルメタクリレートを使用しなかった以外は、実施例1と同様にして4mm厚のPP平板を作成し、蓄熱性を評価した。結果を図1に示す。また、本素材を用いて容器を作製し、空気と水を充填した際の、空気層と水層のそれぞれの内部温度を評価した。結果を図2及び図3に示す。
【0058】
実施例2
[中空成形品]
高密度ポリエチレン樹脂(IDEMITSU HD 520MB(商品名)、出光石油化学(株)製、融点130℃、HDPE)70重量部に、製造例1で得たポリステアリルメタクリレート30重量部をドライブレンドした後、35mmφ押出機(池貝鐵工製)で180℃で混練し、蓄熱性HDPE組成物を得た。
次に、2種3層小型中空成形機にて、温度180度で、上記HDPE組成物を中間層(2mm厚)、上記HDPEを内層及び外層(各1mm厚)とする200ccの多層中空ボトルを製造し、蓄熱性を評価した。結果を表2に示す。
【0059】
実施例3
[圧縮成形品]
実施例1で得た蓄熱性PP組成物を45g採取し、1mm厚の20cm角型枠を使用し、200℃予熱10分、脱気後、16MPaGで2分圧力をかけ、その後、室温の冷却プレス機で10MPaの圧力下で冷却し、蓄熱性PP組成物の圧縮成形品を得た。尚、この際通常使用されるPETフィルムを離型に、また、型枠上下に1mmAl板を使用した。蓄熱性の評価結果を表2に示す。
【0060】
実施例4
[圧縮成形品]
実施例1において、製造例1で得たポリステアリルメタクリレートの代わりに、製造例2で得たポリステアリルメタクリレート架橋体を用いた以外は、実施例1と同様にして蓄熱性PP組成物を得た。
次に、この蓄熱性PP組成物を用い、実施例3と同様にして、圧縮成形品を得た。蓄熱性の評価結果を表2に示す。
【0061】
実施例5
[圧縮成形品]
実施例1において、製造例1で得たポリステアリルメタクリレートの代わりに、製造例3で得たデカグリセリン−ミリスチン酸反応物を用いた以外は、実施例1と同様にして蓄熱性PP組成物を得た。
次に、この蓄熱性PP組成物を用い、実施例3と同様にして、圧縮成形品を得た。蓄熱性の評価結果を表2に示す。
【0062】
実施例6
[発泡成形品]
製造例1で得たポリステアリルメタクリレート、ポリオール成分、イソシアネート成分、発泡剤、触媒及び整泡剤を、下記に示す割合で配合して、定法により、30重量%の蓄熱成分を含む蓄熱性ウレタンフォームを作製し、蓄熱性を評価した。結果を表2に示す。
ダウポリウレタン社製、#3000(商品名)、ポリオール成分 100重量部
ダウポリウレタン社製、T−80(商品名)、イソシアネート成分 40重量部
水、発泡剤 2.9重量部
エアプロダクツ社製、33LV(商品名)、アミン系触媒 0.3重量部
エアプロダクツ社製、AT33(商品名)、アミン系触媒 0.3重量部
日東化成社製、T−9(商品名)、スズ系触媒 0.3重量部
日本ユニカー社製、L6202(商品名)、整泡剤 0.3重量部
ポリステアリルメタクリレート、蓄熱材 62重量部
【0063】
実施例7
[押出成形品]
実施例1で得た蓄熱性PP組成物を、40mmの小型押出機を使用して、200℃で多層押出成形し、30重量%の蓄熱成分を、中心の蓄熱材層に含有する3層の押出成形品を作製し、蓄熱性を評価した。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】
【発明の効果】
本発明によれば、加工が容易で優れた蓄熱性を有する蓄熱性組成物及びその成形品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1の蓄熱性ポリプロピレン組成物、及び比較例1のポリプロピレンの各4mm厚平板(射出成形品)の蓄熱性を評価した図である。
【図2】実施例1の蓄熱性ポリプロピレン組成物、及び比較例1のポリプロピレンを用いて作製した容器の空気層の温度調節効果を評価した図である。
【図3】実施例1の蓄熱性ポリプロピレン組成物、及び比較例1のポリプロピレンを用いて作製した容器の水層の温度調節効果を評価した図である。
Claims (16)
- 融点が100℃以下であって、潜熱が30J/g以上であるポリマー又はオリゴマーからなる蓄熱材料と、合成樹脂とからなる蓄熱性組成物。
- 前記合成樹脂が、少なくともポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリスチレン樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂のうちいずれか1からなる請求項1に記載の蓄熱性組成物。
- 前記蓄熱材料が、側鎖結晶型である請求項1又は2に記載の蓄熱性組成物。
- 前記合成樹脂の融点が100℃以上である請求項1〜3のいずれか一項に記載の蓄熱性組成物。
- 前記ポリマー又はオリゴマーの潜熱が50J/g以上である請求項1〜4のいずれか一項に記載の蓄熱性組成物。
- ポリエーテルである主鎖と、結晶化し得る側鎖とを有するユニットを、主構成成分とするポリマー又はオリゴマーを合成樹脂に配合してなる蓄熱性組成物。
- 潜熱が1J/g以上である請求項1〜5及び8〜11のいずれか一項に記載の蓄熱性組成物。
- 請求項1〜5及び8〜12のいずれか一項に記載の蓄熱性組成物の成形品。
- 射出成形品、中空成形品、スラッシュ成形品、カレンダー成形品、押出成形品、インフレーション成形品、発泡成形品又は圧縮成形品である請求項6、7、13のいずれか一項に記載の成形品。
- 請求項6、7、13、14のいずれか一項に記載の成形品を含む省エネルギー部材又は過熱・過冷防止部材。
- 前記省エネルギー部材又は過熱・過冷防止部材が、建築材料、家庭用品、自動車部品、家電OA部品、熱交換器部品、又は伝熱機器体である請求項15に記載の省エネルギー部材又は過熱・過冷防止部材。
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