JP2004160720A - 感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】感熱転写記録方式において加工性や印字性、給紙性に優れ、カールを起こしにくい受容シート用白色ポリエステルフイルムを提供すること。
【解決手段】微細気泡を含有する白色ポリエステル層を有する積層フイルムであって、見かけ比重が0.5以上1.2以下、面内の100℃における熱収縮率が−1.0〜+1.0%であり、かつ最大熱収縮率を示す方向が、フイルムの縦方向もしくは横方向に対して15度以内である感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルム。
【選択図】なし
【解決手段】微細気泡を含有する白色ポリエステル層を有する積層フイルムであって、見かけ比重が0.5以上1.2以下、面内の100℃における熱収縮率が−1.0〜+1.0%であり、かつ最大熱収縮率を示す方向が、フイルムの縦方向もしくは横方向に対して15度以内である感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルム。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムに関する。詳しくは、カール性、印字性、耐折れじわ性、給紙性などに優れ、各種印刷記録、特に感熱転写記録に好適な白色ポリエステルフイルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハードコピー技術における記録方法の一つとして、ノンインパクト、操作、保守が容易、低コスト、小型化が可能等の特徴を持つ感熱転写記録が注目されている。
【0003】
感熱転写記録方式とは、色材含有層であるインキ層を有する転写シート(インクリボン)と受容シートを重ね合わせ、インクリボン側からのサーマルヘッドの加熱に応じて、溶融または昇華して移行する色材含有成分または色材を、受容シート上に微細な網点(ドット)状に転写して印字するものである。このような感熱転写記録用の受容シートとして、従来より、紙、あるいはフィルムを支持体とし、支持体表面に受容層を設けたものが使用されている。支持体である紙としては、普通紙、上質紙、コート紙、アート紙などが主に用いられ、フィルムとしては、ポリエステルもしくはポリオレフィンを主体とした層中に、非相溶の熱可塑性樹脂、発泡剤の添加、あるいは無機系微粒子の大量添加によって内部に微細な気泡(ボイド)を含有せしめた白色フィルムが適用されている。
【0004】
特に、ポリエステルを主体とした白色フィルムは、耐熱性、強度、剛性などの点で優れたものである。紙あるいは該白色フィルムが用いられているのは、いずれも内部に空隙部分を有しているため、感熱転写記録方式による印字の際、サーマルヘッドの加熱に対する断熱効果により印字部分に効率よく熱が伝わること、あるいはクッション性の発現によりサーマルヘッドと印字面との密着性が高いこと等が挙げられる。
【0005】
さらに近年では、より高階調かつ高精細な画像を得るため、サーマルヘッドの微細化や、加熱のための印加エネルギーを微妙にコントロールするなどの改良が進められている。このような装置面での改良に対し、受容シートについてもさまざまな提案がなされており、特に支持体の改良が進められている。例えば、(1)表面の平滑性を高めるため、少なくとも、表層に実質的なボイド未含有層、内層にボイド含有層とした積層構成を有する白色積層フィルムや、(2)ボイド未含有フィルムと紙との積層体等である。
【0006】
このような支持体に受容層を設けた受容シートの具体例としては、特許文献1〜4等に開示されている発明があげられる。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−87390号公報
【0008】
【特許文献2】特開平5−64988号公報
【0009】
【特許文献3】特開平5−246153号公報
【0010】
【特許文献4】特開平3−211089号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような受容シートを用いた場合、依然として、次のような問題があった。
【0012】
すなわち、支持体が上記(1)または(2)の態様では、受容シート加工時や実際の熱転写印刷時の熱によって、シート自身が熱収縮によってカールしたり、ねじれてしまい、印刷された画像が見えにくくなるばかりか、印刷の連続給紙時に紙詰まりとなったり、できあがった受容シートの突き揃え性が悪く作業効率が悪くなるなどの問題もあった。
【0013】
本発明は、感熱転写記録方式において加工性や印字性、給紙性に優れ、カールを起こしにくい受容シート用白色ポリエステルフイルムを提供することを課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムは、主として次の構成を有する。すなわち、
微細気泡を含有する白色ポリエステル層(A)を有する積層フイルムであって、見かけ比重が0.5以上1.2以下、面内の100℃における熱収縮率が−1.0〜+1.0%であり、かつ最大熱収縮率を示す方向が、フイルムの縦方向もしくは横方向に対して15度以内であることを特徴とする感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムである。
【0015】
また、本発明の感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムの製造方法は、主として次の構成を有する。すなわち、
ポリエステルを同時二軸延伸することを特徴とする感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムの製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において白色積層ポリエステルフィルムの主たる構成成分であるポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーである。ジカルボン酸とは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等で代表されるものであって、ジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等で代表されるものである。このようなポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ポリエチレンナフタレート)等を使用することができる。
【0017】
もちろん、これらのポリエステルは、ホモポリエステルであってもコポリエステルであってもよく、共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることができる。
【0018】
また、このポリエステルの中には、必要に応じて本発明の効果が損なわれない量で適宜な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、耐侯安定剤、有機の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
【0019】
本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが耐水性、耐久性、耐薬品性等の点で優れているため好ましいものである。
【0020】
本発明の白色ポリエステルフイルムの見かけ比重は、0.5以上1.2以下であり、好ましくは0.6〜1.2、更には0.7〜1.0が好ましい。見かけ比重が0.5未満であると内部の微細気泡の量が多すぎるため、フイルム製造時に破れやすく安定しないばかりか、フイルムに折れジワが起こりやすいとか、積層フイルムにおいて劈開がおこりやすいといった問題が生じる。また、見かけ比重が1.2を越えると熱転写受容シートとして使用した時に、印字性が悪く画像がかすれたり、印字濃度にムラが生じるといった問題が出てくる。
【0021】
また、本発明においては、白色ポリエステル層(A)のボイド数は8×103〜3×105個/mm2が好ましく、より好ましくは、1×104〜2×105 個/mm2 、更には2×104 〜1×105 個/mm2 が最も好ましい。ボイド数がかかる好ましい範囲の場合、個々のボイドが適切な大きさであって、白色度、透過濃度が十分で白色フィルムとしての白さに優れるため、印字画像の鮮明性が向上する。また、フィルム面のクッション性や断熱効果が均一であるため高速印字、高精細印字においてもドットの周囲の一部が欠けたりすることはなく、印字画像に抜けやムラが発生せず、印字性にも優れる。一方、フィルム強度が低下することはなく製膜中に破れにくく、サーマルヘッドとの接触時に表面が変形しにくく、印字ドットがつぶれにくい。
【0022】
本発明における白色ポリエステル層(A)は、ポリエステルからなる層中に微細な無機粒子もしくはポリエステルと非相容の熱可塑性樹脂を含有せしめ、さらにフィルム製膜時の延伸により層中に微細な気泡(ボイド)を発生させ、この気泡によって光を散乱させることにより白色不透明とし、かつクッション性をも付与せしめた層である。従って、本発明における気泡とは、基本的にはポリエステル中に含有せしめた無機粒子もしくは該熱可塑性樹脂を核として生成されたものであり、白色不透明化、クッション性付与に寄与するものである。具体的には、気泡の断面積の平均値が好ましくは0.5〜25μm2 、より好ましくは1〜20μm2 、更には2〜15μm2 の範囲内にあるものである。
【0023】
本発明でいうポリエステルと非相容の熱可塑性樹脂とは、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂であって、示差走査熱量計(DSC)等の方法での測定において、ポリエステルと該熱可塑性樹脂とを溶融した系において、ポリエステルに相当するガラス転移温度(以後、Tg)以外に該熱可塑性樹脂に相当するTgが観察される樹脂である。
【0024】
ポリエステルに対して非相溶な熱可塑性樹脂は、ポリエステル中では粒子状に分散し、延伸によりポリエステルフィルム中に空隙部分、すなわちボイドを形成せしめる効果が大きい。このような熱可塑性樹脂の融点は、ポリエステルの融点よりも低温であり、かつ白色積層ポリエステルフィルムを配向させるのに用いる温度よりも高温であることが好ましい。かかる点から該熱可塑性樹脂の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなオレフィン、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ(メタ)アクリル酸などが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよい。これらの中でも臨界表面張力の小さなオレフィンが好ましく、更にはポリプロピレン、ポリメチルペンテンが好ましい。特にポリメチルペンテンは、ポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、延伸の際に微細気泡を作りやすいので特に好ましい。
【0025】
さらに、該熱可塑性樹脂に、カルボキシル基やエポキシ基等の極性基やポリエステルと反応性のある官能基をもったオレフィン系の重合体及び共重合体、ポリアルキレングリコール等を併用した場合、熱可塑性樹脂の分散径が小さくなり、ひいては延伸により生成するボイドをより微細化でき製膜安定性が向上するとともに、白色度、透過濃度、あるいは耐折れじわ性がさらに優れたものとなるので好ましい。
【0026】
またポリエステルに対して非相溶な熱可塑性樹脂は、ポリエステル中の分散径をできるだけ均一化するために、溶融押出温度域における粘度が、ポリエステルと大きくかけ離れないことが望ましい。
【0027】
本発明においては、白色ポリエステル層(A)における、ポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されないが1〜35重量%が好ましく、より好ましくは2〜30重量%、更には3〜25重量%の範囲にあるものが最も好ましい。
【0028】
本発明においては、受容シートとしての白色性(白色度)、隠蔽性(透過濃度)等を向上させるため、白色積層ポリエステルフィルムを構成する白色ポリエステル層(A)、(B)のうち少なくとも一層に無機系微粒子を添加することが好ましい。無機系微粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫化亜鉛、アルミナ、リン酸カルシウム、マイカ、セリサイト、スメクタイトなどを用いることができる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
【0029】
本発明においては、これらの微粒子の中でも、特に、白色度、透過濃度など総合的効果の点から、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムの適用がより好ましく、特に酸化チタン系のものが最も好ましい。また、該無機系微粒子は多孔質や中空多孔質等の形態であってもよく、さらには、本発明の効果が損なわれない範囲内において、樹脂に対する分散性を良化せしめるために、さらに表面処理が施されていてもよい。
【0030】
本発明に用いる無機系微粒子の平均粒子径は、0.05〜3μmが好ましく、0.07〜1μmの範囲にあるものがより好ましい。平均粒子径が上記好ましい範囲の場合、均一分散化が容易で、フィルム表面の平滑性が向上することにより受容シート表面の平滑性が向上し、更には白色度、光沢度が向上する。また、無機系微粒子の添加量は、特に限定されないが、1〜30重量%が好ましく、より好ましくは3〜25重量%、さらには5〜20重量%の範囲にあるものが最も好ましい。添加量が上記好ましい範囲の場合場合、受容シートの白色度、透過濃度等の特性を向上させることが容易で、一方、製膜中のフィルム破れが起きにくく、後加工の際に粉発生等の不都合を生じることがない。
【0031】
ここで、上述の無機系微粒子を添加した場合にも、非相溶の熱可塑性樹脂と同様にして気泡(ボイド)が生成され得る。しかし、このような気泡は通常、該熱可塑性樹脂によるものと比べて、小さいものであって白色不透明化には寄与しても、クッション性付与にはあまり寄与しないものである。ただし、平均粒子径の大きな無機系微粒子、具体的には平均粒子径が0.5〜3μmのものを使用した場合には、クッション性付与にも寄与することがある。したがって、本発明では無機系微粒子により生成されたボイドの断面積の平均値が前述の範囲内、すなわち0.5〜25μm2 であるものはボイドとして数え、0.5μm2 以下のものはボイドとして数えないものとする。
【0032】
本発明では受容シートの特性として、白さを表す白色度をより高く、青味を表す色調b値(色差Labのb)をより小さくして、より鮮明で青味のある白色性を与え、高級なイメージを持たせるために、白色積層ポリエステルフィルムを構成する白色ポリエステル層(A)、(B)のうち少なくとも一層に蛍光増白剤を含有せしめることが望ましい。
【0033】
本発明において、蛍光増白剤とは、太陽光中や人工光中の紫外線を吸収し、これを紫〜青色の可視光線に変え輻射する機能を保持し、その蛍光作用により高分子物質の明度を低下させることなく白色度、青味指数(色調b値)を助長させる化合物である。このような蛍光増白剤としては、スチルベン誘導体、ジアミノスチルベンジカルボン酸誘導体、チオフェン誘導体、クマリン誘導体、ピラゾリン誘導体、ビスベンゾオキサゾリル誘導体、ナフタルイミド誘導体、ビススチリルビフェニル誘導体、さらにはこれらの複合誘導体であるビス(ベンゾオキサゾリル)チオフェン誘導体、ビス(ベンゾオキサゾリル)スチルベン誘導体などの化合物が用いられる。具体的な商品名を挙げれば、“ユビテック”(チバガイギー社)、“OB−1”(イーストマン社)、“TBO”(住友精化(株))、“ケイコール”(日本曹達(株))、“カヤライト”(日本化薬(株))、“リューコプア”EGM(クライアントジャパン(株))等を用いることができる。
【0034】
蛍光増白剤は、特に限定されるものではなく、単独、場合によっては2種以上の併用であってもよいが、本発明では、特に耐熱性に優れ、前述のポリエステルとの相溶性がよく均一分散できるとともに、着色が少なく、樹脂に悪影響を及ぼさないものを選択することが望ましい。
【0035】
白色ポリエステル層(B)中における蛍光増白剤の含有量は、0.005〜1重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%の範囲にあるものがより好ましい。含有量が上記好ましい範囲の場合、充分な増白効果を得ることができ、一方均一分散性が向上し、いわゆる「濃度消光」と呼ばれる増白効果の低下は起きず、着色による白色度の低下等を招きにくい。
【0036】
本発明においては白色度、色調b値、透過濃度などを向上させるためには、白色ポリエステル層(A)、(B)のうち少なくとも一層に無機系微粒子および/または蛍光増白剤が含有せしめられていることが好ましいが、より白色度、色調b値を高めるためには少なくとも一層に無機系微粒子と蛍光増白剤を併用添加することが好ましい。さらに白色ポリエステル層(A)、(B)の各層に無機系微粒子および蛍光増白剤を添加する場合には、蛍光増白剤の含有量を白色ポリエステル層(A)よりも白色ポリエステル層(B)の方を多くしたものが、効果の点で更に好ましい。
【0037】
また、本発明においては、白色ポリエステル層(A)と白色ポリエステル層(B)の各層は同一のポリエステル組成物であっても、異なったポリエステル組成物であってもよい。特に異なったポリエステル組成物、例えば、白色ポリエステル層(A)がホモポリエステル、白色ポリエステル層(B)がコポリエステルからなる場合、易接着性などの付帯特性が得られる点でより好ましい。また、白色ポリエステル層(B)に用いられるポリエステルがポリエチレンナフタレートで白色ポリエステル層(A)に用いられるポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合、耐候性、剛性などの向上効果が得られるため、より好ましい。
【0038】
なお本発明においては、白色ポリエステル層(A)と白色ポリエステル層(B)を積層する方法としては溶融製膜中の共押出により複合化する方法、あるいはそれぞれ別々に製膜した後、ラミネートする方法のいずれでもよいが、コストなどの点で前者の方法がより好ましい。
【0039】
また本発明においては、白色ポリエステル層(B)の積層厚みとしては、1〜10μmが好ましい。積層厚みがかかる好ましい範囲であると、白色ポリエステル層(A)との界面で剥離が起こりにくくなり、また印字感度が向上する一方、内部の微細気泡(ボイド)の影響によってもフイルム表面がうねりにくく、平面性が向上して、印字時にサーマルヘッドとの接触が安定し、画像がかすれたり階調性が低下することがない。
【0040】
本発明では、白色ポリエステルフイルム面内の100℃における熱収縮率が−1.0〜+1.0%であり、−0.5〜+0.6%が好ましく、−0.3〜+0.5%が更に好ましい。フイルムの熱収縮率が−1.0%より小さくても、+1.0%より大きくても、受容シートは加工時や印字時に熱変形し、カールしたり平面性を悪化させることになる。
【0041】
また面内の熱収縮率の最大熱収縮率と最少熱収縮率の差は、0.6%以下が好ましく、0.5%以下が更には好ましく、0.4%以下が特に好ましい。面内の熱収縮率の差がかかる好ましい範囲であると、受容シートがねじれてカールする問題が生じない。
【0042】
更に面内の最大熱収縮率を示す方向が、フイルムの縦方向もしくは横方向に対して15度以内であることが必要であり、好ましくは10度以内、更に好ましくは8度以内である。最大熱収縮率を示す方向がフイルムの縦方向もしくは横方向に対して15度を超えると、受容シートのカールは著しく悪化し、受容シート加工時の搬送性や印字時の搬送性を低下させるばかりか、できあがった画像が歪むという問題が生じることになる。
【0043】
次に、本発明の受容シートの製造方法について、いくつかの例を説明する。
【0044】
まず、白色積層ポリエステルフィルムの製造方法についてであるが、押出機(A)と押出機(B)を有する複合製膜装置において、ポリエステルのチップおよびポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂のマスターチップを、非相溶の熱可塑性樹脂の含有量が1〜35重量%となるよう混合し、充分に真空乾燥した後に、270〜300℃に加熱された押出機(A)に供給する。また、白色ポリエステル層(B)を積層するため、ポリエステルのチップおよび無機粒子のマスターチップを混合し、充分に真空乾燥したものを押出機(B)に供給し、Tダイ複合口金内で押出機(B)のポリマーが押出機(A)のポリマーの表層(片面)あるいは両表層(両面)にくるように積層してシート状に成形し、溶融された積層シートを得る。
【0045】
この溶融された積層シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気で密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸積層フィルムを80〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわち、フィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。上述の熱収縮率や最大熱収縮率やその角度を目的の範囲内におさめるためには、ボイド率の程度を調整しながら、延伸倍率を低めにしてやることが好ましい。
【0046】
続いて、長手方向に延伸した積層フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜140℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向に横延伸する。
【0047】
延伸倍率は、縦、横それぞれ2〜5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面積倍率がかかる好ましい範囲の場合、得られるフィルムの白色度、透過濃度が十分となり、一方延伸時に破れを生じにくい。
【0048】
こうして得られた二軸延伸フィルムの平面性、寸法安定性を付与するために、ステンター内で150〜230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取り、白色積層ポリエステルフィルムを作製する。熱固定後にフイルムが均一に徐冷されると、フイルム中に残存する歪みが少なく、熱収縮率が上がるのを防止でき、最大熱収縮率を示す方向が縦または横方向に対し15度以内におさめることが容易で、また、最大熱収縮率と最少熱収縮率の差を小さくできる。
【0049】
上述の熱収縮率や最大熱収縮率やその角度を目的の範囲に入れるためには、同時二軸延伸法を採用する場合、縦方向や横方向の配向や熱収縮率バランスを取りやすいため、より好ましい方法といえる。
【0050】
得られた白色積層ポリエステルフイルムの厚みは通常、15〜300μmであり、厚いフイルムの場合は、そのまま単体で使用するが、75μm以下程度の薄いフイルムの場合は他の基材、例えば別のフイルム基材や紙製基材と貼り合わせることが多い。
【0051】
例えば他の基材と接着して貼合せるのであれば、白色ポリエステル層(A)の片面に白色ポリエステル層(B)を積層した場合には、白色ポリエステル層(A)側に貼合せ、両面に白色ポリエステル層(B)を積層した場合にはいずれかの面に貼合せる。他基材の両面に本発明の白色ポリエステルフイルムを貼り合わせるのは、基材のカールを抑えるという意味で好ましい。
【0052】
さらに、他の基材を積層した後、白色積層ポリエステルフィルムの、他の基材を貼合せた側とは反対面に、オフラインコート法により受容層形成塗液を塗布、乾燥して受容層を形成することによって、本発明の受容シートを得ることができる。
【0053】
上述の方法は、オフラインコート法により受容層を形成するものであって、インラインコート法による場合には、白色積層ポリエステルフィルム製膜工程内の縦延伸積層フィルムの白色ポリエステル層(B)側に、必要に応じてコロナ放電処理、プラズマ処理などを施した後、受容層形成塗液を塗布し、横延伸時にテンター内で乾燥させる。さらに、受容層を形成した白色積層ポリエステルフィルムの、受容層形成側と反対面に、他の基材を貼合せることにより本発明の受容シートが得られる。
【0054】
このようにして作製した受容シートは、クッション性、給紙性に優れるため、各種印刷記録に適しており、特にサーマルヘッドの加熱に対する断熱効果や耐折れじわ性に優れることにより感熱転写記録用の受容シートとして好適に用いられる。
[物性の測定方法および効果の評価方法]
(1)熱収縮率
フイルムにコンパスを用いて、直径200mmの円を書き、そのフイルムを100℃の熱風オーブン中で30分処理し、室温まで冷却させたのち、フイルムの円の径を測定し、最も収縮した軸、最も収縮しなかった軸をそれぞれ求め、その径と角度を測定した。
(2)見かけ比重
ASTM D−1505−68により測定した5個の平均値を用いた。
(3)極限粘度
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
(4)ボイド含有率およびボイド数
透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、受容シートの断面の白色ポリエステル層(A)部分を500〜50,000倍に拡大観察した断面写真から求めた。すなわち、計100個以上のボイドが撮影されている断面写真のボイド部分をマーキングして、そのボイド部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、白色ポリエステル層(A)の測定視野内のボイド面積の総和およびボイド総数を算出し、下記式よりボイド含有率、ボイド数を求めた。
【0055】
ただし、ボイド含有率、ボイド数の計算は、異なる任意の位置で計5回の測定を行い、その平均値として算出した。また、測定視野内のボイドについて2個以上の互いに隣接したボイド同士が連結している場合には、一つのボイドとして計算した。
【0056】
ボイド含有率(%)=[ボイド面積の総和(μm2)/測定視野面積(μm2)]×100
ボイド数(個/mm2)=[ボイド総数(個)/測定視野面積(μm2)]×100
(5)無機系微粒子の平均粒子径
透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、受容シートの断面の白色ポリエステル層(A)または白色ポリエステル層(B)の部分を3,000〜200,000倍に拡大観察した断面写真から求めた。すなわち、断面写真の粒子部分をマーキングして、その粒子部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、測定視野内の計100個の粒子を真円に換算したときの平均径を算出し、無機系微粒子の平均粒子径とした。
(6)受容シートのカール
[受容シートの作製]
紙製基材として厚み100μmの上質紙を用い、上質紙の表面に接着剤層として厚み3μmの、低Tgポリエステル系樹脂(Tg=4℃、軟化点=114℃)層を設けた後、110℃にて上質紙の両面に白色積層ポリエステルフィルムと均一に貼合せた。
[熱処理]
得られた受容シートを10cm×10cmに切り取り、100℃の熱風オーブン中に入れて30分間処理を行い、室温まで冷却した。
[カールの測定と評価]
熱処理した受容シートが反り上がるように平面台に置き、シートの角の部分の高さを測定し、対角線同士の平均を求めた。
【0057】
それぞれの対角線の平均値の差が、10mm以内ならカール合格(○)、10mmを越えるとカール不合格(×)と判断した。
【0058】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づいて説明するが必ずしもこれに限定されるものではない。
実施例1
極限粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレート(以後、PET)に平均粒径0.3μmのアナターゼ型酸化チタンを7重量%となるように添加した原料を180℃で5時間真空乾燥した後、押出機(B)に供給し、常法により285℃で溶融した。一方、上記PETチップにポリメチルペンテン(三井化学(株)製TPX DX820、以後、PMP)を5重量%、さらに相溶化剤として平均分子量4000のPEGを1重量%となるように添加したものを180℃で3時間真空乾燥した後に、押出機(A)に供給し、常法により285℃で溶融して、Tダイ複合口金内で白色ポリエステル層(B)が白色ポリエステル層(A)の両表層に積層されて成る積層溶融体シートを得た。
【0059】
該積層溶融体シートを表面温度20℃に保たれた冷却ドラム上に静電印加法で密着冷却固化させ未延伸積層フィルムとした。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い98℃に加熱されたロール群を用いて長手方向に3.2倍延伸し、20℃のロール群で冷却した。さらに該延伸積層フィルムをステンターに導き、125℃に加熱された雰囲気中で横方向に3.5倍延伸した。その後ステンター内で220℃、5秒の熱固定を行った後、180℃、130℃、80℃と段階的に徐冷後巻き取り、白色ポリエステル層(A)の厚み が32μm、白色ポリエステル層(B)の厚みが32μmの構成とし、全厚みtが40μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。
[紙製基材との積層]
ドライラミネート法により積層した。すなわち、紙製基材として厚み100μmの上質紙を用い、上質紙の表面に接着剤層として厚み3μmの、低Tgポリエステル系樹脂(Tg:4℃、軟化点:114℃)層を設けた後、110℃にて上質紙の両面において白色積層ポリエステルフィルムと均一に貼合せた。
[受容層の形成]
一方の白色積層ポリエステルフィルムの、紙製基材と貼合せた面と反対面の白色ポリエステル層(B)にコロナ放電処理を行った後、下記の受容層形成塗液を、乾燥後の厚みが0.1μmとなるようにバーコートにて塗布し、120℃で1分間乾燥させ、本発明の受容シートを得た。
[受容層形成塗液]
(A)変性ポリオレフィン:ウレタン変性ポリエチレン水分散体(ウレタン変性比率=20重量%、アンモニア水溶液中で加熱することにより乳化させ、水分散体としたもの)
(B)帯電防止剤:リン酸系イオン性高分子水分散体(予め水酸化カリウムで中和したアシッドホスホオキシ(ポリオキシエチレングリコール)モノメタクリレート(オキシエチレングリコールの繰り返し単位数n=5)/ブチルアクリレート/アクリル酸を70/25/5(重量%)の比率で乳化重合させたもの。分子量=約15万)
(A)/(B)を固形分重量比50/50で混合し、水で希釈して固形分濃度を3%とした。かくして得られた受容シートは、ツイストカールはなく、また印字性に優れると共に耐折れじわ性にも優れるものであった。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例2
実施例1と同様の製法であるが、そのうち積層ポリエステルフィルムは、未延伸積層フィルムを98℃に加熱されたロール群を用いて長手方向に2.9倍延伸し、20℃のロール群で冷却、さらに該延伸積層フィルムをステンターに導き、125℃に加熱された雰囲気中で横方向に3.5倍延伸した。その後ステンター内で215℃5秒の熱固定を行うと同時に1.08倍延伸し、その後180℃、130℃、80℃と段階的に徐冷を行った。かくして得られた受容シートは、ツイストカールはなく、また印字性に優れると共に耐折れじわ性にも優れるものであった。結果を表1に併せて示す。
実施例3
実施例1の内、ポリエステルA層のPMP量が10重量%、ポリエステルB層の微粒子が平均粒径0.3μmのアナターゼ型酸化チタンを7重量%、平均粒径1.1μmの炭酸カルシウムを1重量%添加し、未延伸積層フィルムを98℃に加熱されたロール群を用いて長手方向に2.8倍延伸し、20℃のロール群で冷却した。さらに該延伸積層フィルムをステンターに導き、125℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.5倍延伸した。その後ステンター内で215℃、5秒の熱固定を行い、その後180℃、130℃、80℃と段階的に徐冷を行った。かくして得られた受容シートは、ツイストカールはなく、また印字性に優れると共に耐折れじわ性にも優れるものであった。結果を表1に併せて示す。実施例4
実施例3と同様の未延伸積層ポリエステルを得たのち、同時二軸延伸機を用いて95℃で長手方向に3.0倍、横方向に3.6倍延伸し、続いて215℃5秒の熱固定を行い、その後180℃、130℃、80℃と段階的に徐冷を行った。かくして得られた受容シートは、ツイストカールはなく、また印字性に優れると共に耐折れじわ性にも優れるものであった。結果を表1に併せて示す。
比較例1
実施例1と同様の未延伸積層フイルムを得た後、98℃に加熱されたロール群を用いて長手方向に3.5倍延伸し、20℃のロール群で冷却、さらに該延伸積層フィルムをステンターに導き、125℃に加熱された雰囲気中で横方向に3.5倍延伸した。その後ステンター内で220℃、5秒の熱固定を行い、その後80℃まで急冷し巻き取った。かくして得られた受容シートは、カールが大きく、ツイストカールして受容シートとしては、使用不可であった。結果を表1に併せて示す。
比較例2
比較例1のうち、熱固定を190℃、5秒で行った。かくして得られた受容シートは、カールが大きく、ツイストカールして受容シートとしては、使用不可であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明の受容シート用白色ポリエステルフイルムは、印字特性に優れるだけでなく受容シートの実用特性であるカール性にも優れるものである。本発明の受容シートは、このような優れた特性を有するので、特に感熱転写記録に供される受容シートとして好適に用いられる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムに関する。詳しくは、カール性、印字性、耐折れじわ性、給紙性などに優れ、各種印刷記録、特に感熱転写記録に好適な白色ポリエステルフイルムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ハードコピー技術における記録方法の一つとして、ノンインパクト、操作、保守が容易、低コスト、小型化が可能等の特徴を持つ感熱転写記録が注目されている。
【0003】
感熱転写記録方式とは、色材含有層であるインキ層を有する転写シート(インクリボン)と受容シートを重ね合わせ、インクリボン側からのサーマルヘッドの加熱に応じて、溶融または昇華して移行する色材含有成分または色材を、受容シート上に微細な網点(ドット)状に転写して印字するものである。このような感熱転写記録用の受容シートとして、従来より、紙、あるいはフィルムを支持体とし、支持体表面に受容層を設けたものが使用されている。支持体である紙としては、普通紙、上質紙、コート紙、アート紙などが主に用いられ、フィルムとしては、ポリエステルもしくはポリオレフィンを主体とした層中に、非相溶の熱可塑性樹脂、発泡剤の添加、あるいは無機系微粒子の大量添加によって内部に微細な気泡(ボイド)を含有せしめた白色フィルムが適用されている。
【0004】
特に、ポリエステルを主体とした白色フィルムは、耐熱性、強度、剛性などの点で優れたものである。紙あるいは該白色フィルムが用いられているのは、いずれも内部に空隙部分を有しているため、感熱転写記録方式による印字の際、サーマルヘッドの加熱に対する断熱効果により印字部分に効率よく熱が伝わること、あるいはクッション性の発現によりサーマルヘッドと印字面との密着性が高いこと等が挙げられる。
【0005】
さらに近年では、より高階調かつ高精細な画像を得るため、サーマルヘッドの微細化や、加熱のための印加エネルギーを微妙にコントロールするなどの改良が進められている。このような装置面での改良に対し、受容シートについてもさまざまな提案がなされており、特に支持体の改良が進められている。例えば、(1)表面の平滑性を高めるため、少なくとも、表層に実質的なボイド未含有層、内層にボイド含有層とした積層構成を有する白色積層フィルムや、(2)ボイド未含有フィルムと紙との積層体等である。
【0006】
このような支持体に受容層を設けた受容シートの具体例としては、特許文献1〜4等に開示されている発明があげられる。
【0007】
【特許文献1】特開昭62−87390号公報
【0008】
【特許文献2】特開平5−64988号公報
【0009】
【特許文献3】特開平5−246153号公報
【0010】
【特許文献4】特開平3−211089号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のような受容シートを用いた場合、依然として、次のような問題があった。
【0012】
すなわち、支持体が上記(1)または(2)の態様では、受容シート加工時や実際の熱転写印刷時の熱によって、シート自身が熱収縮によってカールしたり、ねじれてしまい、印刷された画像が見えにくくなるばかりか、印刷の連続給紙時に紙詰まりとなったり、できあがった受容シートの突き揃え性が悪く作業効率が悪くなるなどの問題もあった。
【0013】
本発明は、感熱転写記録方式において加工性や印字性、給紙性に優れ、カールを起こしにくい受容シート用白色ポリエステルフイルムを提供することを課題とするものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明の感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムは、主として次の構成を有する。すなわち、
微細気泡を含有する白色ポリエステル層(A)を有する積層フイルムであって、見かけ比重が0.5以上1.2以下、面内の100℃における熱収縮率が−1.0〜+1.0%であり、かつ最大熱収縮率を示す方向が、フイルムの縦方向もしくは横方向に対して15度以内であることを特徴とする感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムである。
【0015】
また、本発明の感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムの製造方法は、主として次の構成を有する。すなわち、
ポリエステルを同時二軸延伸することを特徴とする感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムの製造方法である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において白色積層ポリエステルフィルムの主たる構成成分であるポリエステルとは、ジオールとジカルボン酸とから縮重合によって得られるポリマーである。ジカルボン酸とは、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸等で代表されるものであって、ジオールとは、エチレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール等で代表されるものである。このようなポリエステルの具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−p−オキシベンゾエート、ポリ−1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート(ポリエチレンナフタレート)等を使用することができる。
【0017】
もちろん、これらのポリエステルは、ホモポリエステルであってもコポリエステルであってもよく、共重合成分としては、例えばジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ポリアルキレングリコール等のジオール成分、アジピン酸、セバシン酸、フタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等のジカルボン酸成分を用いることができる。
【0018】
また、このポリエステルの中には、必要に応じて本発明の効果が損なわれない量で適宜な添加剤、例えば、耐熱安定剤、耐酸化安定剤、紫外線吸収剤、耐侯安定剤、有機の易滑剤、有機系微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤、染料、分散剤、カップリング剤等が配合されていてもよい。
【0019】
本発明に用いられるポリエステルとしては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが耐水性、耐久性、耐薬品性等の点で優れているため好ましいものである。
【0020】
本発明の白色ポリエステルフイルムの見かけ比重は、0.5以上1.2以下であり、好ましくは0.6〜1.2、更には0.7〜1.0が好ましい。見かけ比重が0.5未満であると内部の微細気泡の量が多すぎるため、フイルム製造時に破れやすく安定しないばかりか、フイルムに折れジワが起こりやすいとか、積層フイルムにおいて劈開がおこりやすいといった問題が生じる。また、見かけ比重が1.2を越えると熱転写受容シートとして使用した時に、印字性が悪く画像がかすれたり、印字濃度にムラが生じるといった問題が出てくる。
【0021】
また、本発明においては、白色ポリエステル層(A)のボイド数は8×103〜3×105個/mm2が好ましく、より好ましくは、1×104〜2×105 個/mm2 、更には2×104 〜1×105 個/mm2 が最も好ましい。ボイド数がかかる好ましい範囲の場合、個々のボイドが適切な大きさであって、白色度、透過濃度が十分で白色フィルムとしての白さに優れるため、印字画像の鮮明性が向上する。また、フィルム面のクッション性や断熱効果が均一であるため高速印字、高精細印字においてもドットの周囲の一部が欠けたりすることはなく、印字画像に抜けやムラが発生せず、印字性にも優れる。一方、フィルム強度が低下することはなく製膜中に破れにくく、サーマルヘッドとの接触時に表面が変形しにくく、印字ドットがつぶれにくい。
【0022】
本発明における白色ポリエステル層(A)は、ポリエステルからなる層中に微細な無機粒子もしくはポリエステルと非相容の熱可塑性樹脂を含有せしめ、さらにフィルム製膜時の延伸により層中に微細な気泡(ボイド)を発生させ、この気泡によって光を散乱させることにより白色不透明とし、かつクッション性をも付与せしめた層である。従って、本発明における気泡とは、基本的にはポリエステル中に含有せしめた無機粒子もしくは該熱可塑性樹脂を核として生成されたものであり、白色不透明化、クッション性付与に寄与するものである。具体的には、気泡の断面積の平均値が好ましくは0.5〜25μm2 、より好ましくは1〜20μm2 、更には2〜15μm2 の範囲内にあるものである。
【0023】
本発明でいうポリエステルと非相容の熱可塑性樹脂とは、ポリエステル以外の熱可塑性樹脂であって、示差走査熱量計(DSC)等の方法での測定において、ポリエステルと該熱可塑性樹脂とを溶融した系において、ポリエステルに相当するガラス転移温度(以後、Tg)以外に該熱可塑性樹脂に相当するTgが観察される樹脂である。
【0024】
ポリエステルに対して非相溶な熱可塑性樹脂は、ポリエステル中では粒子状に分散し、延伸によりポリエステルフィルム中に空隙部分、すなわちボイドを形成せしめる効果が大きい。このような熱可塑性樹脂の融点は、ポリエステルの融点よりも低温であり、かつ白色積層ポリエステルフィルムを配向させるのに用いる温度よりも高温であることが好ましい。かかる点から該熱可塑性樹脂の中でも、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンのようなオレフィン、ポリスチレン、ポリフェニレンスルフィド、ポリ(メタ)アクリル酸などが好ましい。これらの熱可塑性樹脂は単独重合体であっても共重合体であってもよい。これらの中でも臨界表面張力の小さなオレフィンが好ましく、更にはポリプロピレン、ポリメチルペンテンが好ましい。特にポリメチルペンテンは、ポリエステルとの表面張力差が大きく、かつ融点が高いため、延伸の際に微細気泡を作りやすいので特に好ましい。
【0025】
さらに、該熱可塑性樹脂に、カルボキシル基やエポキシ基等の極性基やポリエステルと反応性のある官能基をもったオレフィン系の重合体及び共重合体、ポリアルキレングリコール等を併用した場合、熱可塑性樹脂の分散径が小さくなり、ひいては延伸により生成するボイドをより微細化でき製膜安定性が向上するとともに、白色度、透過濃度、あるいは耐折れじわ性がさらに優れたものとなるので好ましい。
【0026】
またポリエステルに対して非相溶な熱可塑性樹脂は、ポリエステル中の分散径をできるだけ均一化するために、溶融押出温度域における粘度が、ポリエステルと大きくかけ離れないことが望ましい。
【0027】
本発明においては、白色ポリエステル層(A)における、ポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂の含有量は、特に限定されないが1〜35重量%が好ましく、より好ましくは2〜30重量%、更には3〜25重量%の範囲にあるものが最も好ましい。
【0028】
本発明においては、受容シートとしての白色性(白色度)、隠蔽性(透過濃度)等を向上させるため、白色積層ポリエステルフィルムを構成する白色ポリエステル層(A)、(B)のうち少なくとも一層に無機系微粒子を添加することが好ましい。無機系微粒子としては、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、炭酸亜鉛、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化亜鉛、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、シリカ、タルク、クレー、カオリン、ホワイトカーボン、フッ化リチウム、フッ化カルシウム、硫化亜鉛、アルミナ、リン酸カルシウム、マイカ、セリサイト、スメクタイトなどを用いることができる。これらは単独でも2種以上を併用してもよい。
【0029】
本発明においては、これらの微粒子の中でも、特に、白色度、透過濃度など総合的効果の点から、酸化チタン、炭酸カルシウム、硫酸バリウムの適用がより好ましく、特に酸化チタン系のものが最も好ましい。また、該無機系微粒子は多孔質や中空多孔質等の形態であってもよく、さらには、本発明の効果が損なわれない範囲内において、樹脂に対する分散性を良化せしめるために、さらに表面処理が施されていてもよい。
【0030】
本発明に用いる無機系微粒子の平均粒子径は、0.05〜3μmが好ましく、0.07〜1μmの範囲にあるものがより好ましい。平均粒子径が上記好ましい範囲の場合、均一分散化が容易で、フィルム表面の平滑性が向上することにより受容シート表面の平滑性が向上し、更には白色度、光沢度が向上する。また、無機系微粒子の添加量は、特に限定されないが、1〜30重量%が好ましく、より好ましくは3〜25重量%、さらには5〜20重量%の範囲にあるものが最も好ましい。添加量が上記好ましい範囲の場合場合、受容シートの白色度、透過濃度等の特性を向上させることが容易で、一方、製膜中のフィルム破れが起きにくく、後加工の際に粉発生等の不都合を生じることがない。
【0031】
ここで、上述の無機系微粒子を添加した場合にも、非相溶の熱可塑性樹脂と同様にして気泡(ボイド)が生成され得る。しかし、このような気泡は通常、該熱可塑性樹脂によるものと比べて、小さいものであって白色不透明化には寄与しても、クッション性付与にはあまり寄与しないものである。ただし、平均粒子径の大きな無機系微粒子、具体的には平均粒子径が0.5〜3μmのものを使用した場合には、クッション性付与にも寄与することがある。したがって、本発明では無機系微粒子により生成されたボイドの断面積の平均値が前述の範囲内、すなわち0.5〜25μm2 であるものはボイドとして数え、0.5μm2 以下のものはボイドとして数えないものとする。
【0032】
本発明では受容シートの特性として、白さを表す白色度をより高く、青味を表す色調b値(色差Labのb)をより小さくして、より鮮明で青味のある白色性を与え、高級なイメージを持たせるために、白色積層ポリエステルフィルムを構成する白色ポリエステル層(A)、(B)のうち少なくとも一層に蛍光増白剤を含有せしめることが望ましい。
【0033】
本発明において、蛍光増白剤とは、太陽光中や人工光中の紫外線を吸収し、これを紫〜青色の可視光線に変え輻射する機能を保持し、その蛍光作用により高分子物質の明度を低下させることなく白色度、青味指数(色調b値)を助長させる化合物である。このような蛍光増白剤としては、スチルベン誘導体、ジアミノスチルベンジカルボン酸誘導体、チオフェン誘導体、クマリン誘導体、ピラゾリン誘導体、ビスベンゾオキサゾリル誘導体、ナフタルイミド誘導体、ビススチリルビフェニル誘導体、さらにはこれらの複合誘導体であるビス(ベンゾオキサゾリル)チオフェン誘導体、ビス(ベンゾオキサゾリル)スチルベン誘導体などの化合物が用いられる。具体的な商品名を挙げれば、“ユビテック”(チバガイギー社)、“OB−1”(イーストマン社)、“TBO”(住友精化(株))、“ケイコール”(日本曹達(株))、“カヤライト”(日本化薬(株))、“リューコプア”EGM(クライアントジャパン(株))等を用いることができる。
【0034】
蛍光増白剤は、特に限定されるものではなく、単独、場合によっては2種以上の併用であってもよいが、本発明では、特に耐熱性に優れ、前述のポリエステルとの相溶性がよく均一分散できるとともに、着色が少なく、樹脂に悪影響を及ぼさないものを選択することが望ましい。
【0035】
白色ポリエステル層(B)中における蛍光増白剤の含有量は、0.005〜1重量%が好ましく、0.01〜0.5重量%の範囲にあるものがより好ましい。含有量が上記好ましい範囲の場合、充分な増白効果を得ることができ、一方均一分散性が向上し、いわゆる「濃度消光」と呼ばれる増白効果の低下は起きず、着色による白色度の低下等を招きにくい。
【0036】
本発明においては白色度、色調b値、透過濃度などを向上させるためには、白色ポリエステル層(A)、(B)のうち少なくとも一層に無機系微粒子および/または蛍光増白剤が含有せしめられていることが好ましいが、より白色度、色調b値を高めるためには少なくとも一層に無機系微粒子と蛍光増白剤を併用添加することが好ましい。さらに白色ポリエステル層(A)、(B)の各層に無機系微粒子および蛍光増白剤を添加する場合には、蛍光増白剤の含有量を白色ポリエステル層(A)よりも白色ポリエステル層(B)の方を多くしたものが、効果の点で更に好ましい。
【0037】
また、本発明においては、白色ポリエステル層(A)と白色ポリエステル層(B)の各層は同一のポリエステル組成物であっても、異なったポリエステル組成物であってもよい。特に異なったポリエステル組成物、例えば、白色ポリエステル層(A)がホモポリエステル、白色ポリエステル層(B)がコポリエステルからなる場合、易接着性などの付帯特性が得られる点でより好ましい。また、白色ポリエステル層(B)に用いられるポリエステルがポリエチレンナフタレートで白色ポリエステル層(A)に用いられるポリエステルがポリエチレンテレフタレートの場合、耐候性、剛性などの向上効果が得られるため、より好ましい。
【0038】
なお本発明においては、白色ポリエステル層(A)と白色ポリエステル層(B)を積層する方法としては溶融製膜中の共押出により複合化する方法、あるいはそれぞれ別々に製膜した後、ラミネートする方法のいずれでもよいが、コストなどの点で前者の方法がより好ましい。
【0039】
また本発明においては、白色ポリエステル層(B)の積層厚みとしては、1〜10μmが好ましい。積層厚みがかかる好ましい範囲であると、白色ポリエステル層(A)との界面で剥離が起こりにくくなり、また印字感度が向上する一方、内部の微細気泡(ボイド)の影響によってもフイルム表面がうねりにくく、平面性が向上して、印字時にサーマルヘッドとの接触が安定し、画像がかすれたり階調性が低下することがない。
【0040】
本発明では、白色ポリエステルフイルム面内の100℃における熱収縮率が−1.0〜+1.0%であり、−0.5〜+0.6%が好ましく、−0.3〜+0.5%が更に好ましい。フイルムの熱収縮率が−1.0%より小さくても、+1.0%より大きくても、受容シートは加工時や印字時に熱変形し、カールしたり平面性を悪化させることになる。
【0041】
また面内の熱収縮率の最大熱収縮率と最少熱収縮率の差は、0.6%以下が好ましく、0.5%以下が更には好ましく、0.4%以下が特に好ましい。面内の熱収縮率の差がかかる好ましい範囲であると、受容シートがねじれてカールする問題が生じない。
【0042】
更に面内の最大熱収縮率を示す方向が、フイルムの縦方向もしくは横方向に対して15度以内であることが必要であり、好ましくは10度以内、更に好ましくは8度以内である。最大熱収縮率を示す方向がフイルムの縦方向もしくは横方向に対して15度を超えると、受容シートのカールは著しく悪化し、受容シート加工時の搬送性や印字時の搬送性を低下させるばかりか、できあがった画像が歪むという問題が生じることになる。
【0043】
次に、本発明の受容シートの製造方法について、いくつかの例を説明する。
【0044】
まず、白色積層ポリエステルフィルムの製造方法についてであるが、押出機(A)と押出機(B)を有する複合製膜装置において、ポリエステルのチップおよびポリエステルと非相溶の熱可塑性樹脂のマスターチップを、非相溶の熱可塑性樹脂の含有量が1〜35重量%となるよう混合し、充分に真空乾燥した後に、270〜300℃に加熱された押出機(A)に供給する。また、白色ポリエステル層(B)を積層するため、ポリエステルのチップおよび無機粒子のマスターチップを混合し、充分に真空乾燥したものを押出機(B)に供給し、Tダイ複合口金内で押出機(B)のポリマーが押出機(A)のポリマーの表層(片面)あるいは両表層(両面)にくるように積層してシート状に成形し、溶融された積層シートを得る。
【0045】
この溶融された積層シートを、表面温度10〜60℃に冷却されたドラム上で静電気で密着冷却固化し、未延伸積層フィルムを作製する。該未延伸積層フィルムを80〜120℃に加熱したロール群に導き、長手方向(縦方向、すなわち、フィルムの進行方向)に2〜5倍延伸し、20〜30℃のロール群で冷却する。上述の熱収縮率や最大熱収縮率やその角度を目的の範囲内におさめるためには、ボイド率の程度を調整しながら、延伸倍率を低めにしてやることが好ましい。
【0046】
続いて、長手方向に延伸した積層フィルムの両端をクリップで把持しながらテンターに導き90〜140℃に加熱した雰囲気中で長手方向に垂直な方向に横延伸する。
【0047】
延伸倍率は、縦、横それぞれ2〜5倍に延伸するが、その面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)は6〜20倍であることが好ましい。面積倍率がかかる好ましい範囲の場合、得られるフィルムの白色度、透過濃度が十分となり、一方延伸時に破れを生じにくい。
【0048】
こうして得られた二軸延伸フィルムの平面性、寸法安定性を付与するために、ステンター内で150〜230℃の熱固定を行い、均一に徐冷後、室温まで冷やして巻き取り、白色積層ポリエステルフィルムを作製する。熱固定後にフイルムが均一に徐冷されると、フイルム中に残存する歪みが少なく、熱収縮率が上がるのを防止でき、最大熱収縮率を示す方向が縦または横方向に対し15度以内におさめることが容易で、また、最大熱収縮率と最少熱収縮率の差を小さくできる。
【0049】
上述の熱収縮率や最大熱収縮率やその角度を目的の範囲に入れるためには、同時二軸延伸法を採用する場合、縦方向や横方向の配向や熱収縮率バランスを取りやすいため、より好ましい方法といえる。
【0050】
得られた白色積層ポリエステルフイルムの厚みは通常、15〜300μmであり、厚いフイルムの場合は、そのまま単体で使用するが、75μm以下程度の薄いフイルムの場合は他の基材、例えば別のフイルム基材や紙製基材と貼り合わせることが多い。
【0051】
例えば他の基材と接着して貼合せるのであれば、白色ポリエステル層(A)の片面に白色ポリエステル層(B)を積層した場合には、白色ポリエステル層(A)側に貼合せ、両面に白色ポリエステル層(B)を積層した場合にはいずれかの面に貼合せる。他基材の両面に本発明の白色ポリエステルフイルムを貼り合わせるのは、基材のカールを抑えるという意味で好ましい。
【0052】
さらに、他の基材を積層した後、白色積層ポリエステルフィルムの、他の基材を貼合せた側とは反対面に、オフラインコート法により受容層形成塗液を塗布、乾燥して受容層を形成することによって、本発明の受容シートを得ることができる。
【0053】
上述の方法は、オフラインコート法により受容層を形成するものであって、インラインコート法による場合には、白色積層ポリエステルフィルム製膜工程内の縦延伸積層フィルムの白色ポリエステル層(B)側に、必要に応じてコロナ放電処理、プラズマ処理などを施した後、受容層形成塗液を塗布し、横延伸時にテンター内で乾燥させる。さらに、受容層を形成した白色積層ポリエステルフィルムの、受容層形成側と反対面に、他の基材を貼合せることにより本発明の受容シートが得られる。
【0054】
このようにして作製した受容シートは、クッション性、給紙性に優れるため、各種印刷記録に適しており、特にサーマルヘッドの加熱に対する断熱効果や耐折れじわ性に優れることにより感熱転写記録用の受容シートとして好適に用いられる。
[物性の測定方法および効果の評価方法]
(1)熱収縮率
フイルムにコンパスを用いて、直径200mmの円を書き、そのフイルムを100℃の熱風オーブン中で30分処理し、室温まで冷却させたのち、フイルムの円の径を測定し、最も収縮した軸、最も収縮しなかった軸をそれぞれ求め、その径と角度を測定した。
(2)見かけ比重
ASTM D−1505−68により測定した5個の平均値を用いた。
(3)極限粘度
o−クロロフェノール溶媒を用い、25℃で測定した。
(4)ボイド含有率およびボイド数
透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、受容シートの断面の白色ポリエステル層(A)部分を500〜50,000倍に拡大観察した断面写真から求めた。すなわち、計100個以上のボイドが撮影されている断面写真のボイド部分をマーキングして、そのボイド部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、白色ポリエステル層(A)の測定視野内のボイド面積の総和およびボイド総数を算出し、下記式よりボイド含有率、ボイド数を求めた。
【0055】
ただし、ボイド含有率、ボイド数の計算は、異なる任意の位置で計5回の測定を行い、その平均値として算出した。また、測定視野内のボイドについて2個以上の互いに隣接したボイド同士が連結している場合には、一つのボイドとして計算した。
【0056】
ボイド含有率(%)=[ボイド面積の総和(μm2)/測定視野面積(μm2)]×100
ボイド数(個/mm2)=[ボイド総数(個)/測定視野面積(μm2)]×100
(5)無機系微粒子の平均粒子径
透過型電子顕微鏡HU−12型((株)日立製作所製)を用い、受容シートの断面の白色ポリエステル層(A)または白色ポリエステル層(B)の部分を3,000〜200,000倍に拡大観察した断面写真から求めた。すなわち、断面写真の粒子部分をマーキングして、その粒子部分をハイビジョン画像解析処理装置PIAS−IV((株)ピアス製)を用いて画像処理を行い、測定視野内の計100個の粒子を真円に換算したときの平均径を算出し、無機系微粒子の平均粒子径とした。
(6)受容シートのカール
[受容シートの作製]
紙製基材として厚み100μmの上質紙を用い、上質紙の表面に接着剤層として厚み3μmの、低Tgポリエステル系樹脂(Tg=4℃、軟化点=114℃)層を設けた後、110℃にて上質紙の両面に白色積層ポリエステルフィルムと均一に貼合せた。
[熱処理]
得られた受容シートを10cm×10cmに切り取り、100℃の熱風オーブン中に入れて30分間処理を行い、室温まで冷却した。
[カールの測定と評価]
熱処理した受容シートが反り上がるように平面台に置き、シートの角の部分の高さを測定し、対角線同士の平均を求めた。
【0057】
それぞれの対角線の平均値の差が、10mm以内ならカール合格(○)、10mmを越えるとカール不合格(×)と判断した。
【0058】
【実施例】
次に本発明を実施例に基づいて説明するが必ずしもこれに限定されるものではない。
実施例1
極限粘度0.64dl/gのポリエチレンテレフタレート(以後、PET)に平均粒径0.3μmのアナターゼ型酸化チタンを7重量%となるように添加した原料を180℃で5時間真空乾燥した後、押出機(B)に供給し、常法により285℃で溶融した。一方、上記PETチップにポリメチルペンテン(三井化学(株)製TPX DX820、以後、PMP)を5重量%、さらに相溶化剤として平均分子量4000のPEGを1重量%となるように添加したものを180℃で3時間真空乾燥した後に、押出機(A)に供給し、常法により285℃で溶融して、Tダイ複合口金内で白色ポリエステル層(B)が白色ポリエステル層(A)の両表層に積層されて成る積層溶融体シートを得た。
【0059】
該積層溶融体シートを表面温度20℃に保たれた冷却ドラム上に静電印加法で密着冷却固化させ未延伸積層フィルムとした。続いて、該未延伸積層フィルムを常法に従い98℃に加熱されたロール群を用いて長手方向に3.2倍延伸し、20℃のロール群で冷却した。さらに該延伸積層フィルムをステンターに導き、125℃に加熱された雰囲気中で横方向に3.5倍延伸した。その後ステンター内で220℃、5秒の熱固定を行った後、180℃、130℃、80℃と段階的に徐冷後巻き取り、白色ポリエステル層(A)の厚み が32μm、白色ポリエステル層(B)の厚みが32μmの構成とし、全厚みtが40μmの白色積層ポリエステルフィルムを得た。
[紙製基材との積層]
ドライラミネート法により積層した。すなわち、紙製基材として厚み100μmの上質紙を用い、上質紙の表面に接着剤層として厚み3μmの、低Tgポリエステル系樹脂(Tg:4℃、軟化点:114℃)層を設けた後、110℃にて上質紙の両面において白色積層ポリエステルフィルムと均一に貼合せた。
[受容層の形成]
一方の白色積層ポリエステルフィルムの、紙製基材と貼合せた面と反対面の白色ポリエステル層(B)にコロナ放電処理を行った後、下記の受容層形成塗液を、乾燥後の厚みが0.1μmとなるようにバーコートにて塗布し、120℃で1分間乾燥させ、本発明の受容シートを得た。
[受容層形成塗液]
(A)変性ポリオレフィン:ウレタン変性ポリエチレン水分散体(ウレタン変性比率=20重量%、アンモニア水溶液中で加熱することにより乳化させ、水分散体としたもの)
(B)帯電防止剤:リン酸系イオン性高分子水分散体(予め水酸化カリウムで中和したアシッドホスホオキシ(ポリオキシエチレングリコール)モノメタクリレート(オキシエチレングリコールの繰り返し単位数n=5)/ブチルアクリレート/アクリル酸を70/25/5(重量%)の比率で乳化重合させたもの。分子量=約15万)
(A)/(B)を固形分重量比50/50で混合し、水で希釈して固形分濃度を3%とした。かくして得られた受容シートは、ツイストカールはなく、また印字性に優れると共に耐折れじわ性にも優れるものであった。結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
実施例2
実施例1と同様の製法であるが、そのうち積層ポリエステルフィルムは、未延伸積層フィルムを98℃に加熱されたロール群を用いて長手方向に2.9倍延伸し、20℃のロール群で冷却、さらに該延伸積層フィルムをステンターに導き、125℃に加熱された雰囲気中で横方向に3.5倍延伸した。その後ステンター内で215℃5秒の熱固定を行うと同時に1.08倍延伸し、その後180℃、130℃、80℃と段階的に徐冷を行った。かくして得られた受容シートは、ツイストカールはなく、また印字性に優れると共に耐折れじわ性にも優れるものであった。結果を表1に併せて示す。
実施例3
実施例1の内、ポリエステルA層のPMP量が10重量%、ポリエステルB層の微粒子が平均粒径0.3μmのアナターゼ型酸化チタンを7重量%、平均粒径1.1μmの炭酸カルシウムを1重量%添加し、未延伸積層フィルムを98℃に加熱されたロール群を用いて長手方向に2.8倍延伸し、20℃のロール群で冷却した。さらに該延伸積層フィルムをステンターに導き、125℃に加熱された雰囲気中で長手に垂直な方向に3.5倍延伸した。その後ステンター内で215℃、5秒の熱固定を行い、その後180℃、130℃、80℃と段階的に徐冷を行った。かくして得られた受容シートは、ツイストカールはなく、また印字性に優れると共に耐折れじわ性にも優れるものであった。結果を表1に併せて示す。実施例4
実施例3と同様の未延伸積層ポリエステルを得たのち、同時二軸延伸機を用いて95℃で長手方向に3.0倍、横方向に3.6倍延伸し、続いて215℃5秒の熱固定を行い、その後180℃、130℃、80℃と段階的に徐冷を行った。かくして得られた受容シートは、ツイストカールはなく、また印字性に優れると共に耐折れじわ性にも優れるものであった。結果を表1に併せて示す。
比較例1
実施例1と同様の未延伸積層フイルムを得た後、98℃に加熱されたロール群を用いて長手方向に3.5倍延伸し、20℃のロール群で冷却、さらに該延伸積層フィルムをステンターに導き、125℃に加熱された雰囲気中で横方向に3.5倍延伸した。その後ステンター内で220℃、5秒の熱固定を行い、その後80℃まで急冷し巻き取った。かくして得られた受容シートは、カールが大きく、ツイストカールして受容シートとしては、使用不可であった。結果を表1に併せて示す。
比較例2
比較例1のうち、熱固定を190℃、5秒で行った。かくして得られた受容シートは、カールが大きく、ツイストカールして受容シートとしては、使用不可であった。
【0062】
【発明の効果】
本発明の受容シート用白色ポリエステルフイルムは、印字特性に優れるだけでなく受容シートの実用特性であるカール性にも優れるものである。本発明の受容シートは、このような優れた特性を有するので、特に感熱転写記録に供される受容シートとして好適に用いられる。
Claims (7)
- 微細気泡を含有する白色ポリエステル層(A)を有する積層フイルムであって、見かけ比重が0.5以上1.2以下、面内の100℃における熱収縮率が−1.0〜+1.0%であり、かつ最大熱収縮率を示す方向が、フイルムの縦方向もしくは横方向に対して15度以内であることを特徴とする感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルム。
- 白色ポリエステルフイルムの面内の熱収縮率の最大熱収縮率と最少熱収縮率の差が0.6%以下であることを特徴とする請求項1記載の感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルム。
- 白色ポリエステル層(A)の少なくとも片面にポリエステル層(B)を積層してなることを特徴とする請求項1または2記載の感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルム。
- ポリエステル層(A)が微細気泡形成性の無機粒子および/または熱可塑性樹脂を含有してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルム。
- ポリエステル(B)が微細粒子を含有してなることを特徴とする請求項3〜4のいずれかに記載の感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルム。
- 微細粒子の含有量が1〜30重量%であることを特徴とする請求項5記載の感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルム。
- ポリエステルを同時二軸延伸することを特徴とする感熱転写受容シート用白色ポリエステルフイルムの製造方法。
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