JP2004156754A - 防振マウント及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】両取付板10,20と弾性体30との接着構造を廃止して低コストで製作可能とする。
【解決手段】一方の取付板10の外筒部12と、他方の取付板20の内筒部22との間に、弾性体30が非接着で介在され、外筒部12及び内筒部22に互いに対応する位置で形成された隆起部12a,22aに倣って屈曲されている。弾性体30は、外筒部12と内筒部22との間に介在された後、内筒部22又は外筒部12を径方向に塑性変形させることによって、径方向の予圧縮が与えられている。
【選択図】 図2
【解決手段】一方の取付板10の外筒部12と、他方の取付板20の内筒部22との間に、弾性体30が非接着で介在され、外筒部12及び内筒部22に互いに対応する位置で形成された隆起部12a,22aに倣って屈曲されている。弾性体30は、外筒部12と内筒部22との間に介在された後、内筒部22又は外筒部12を径方向に塑性変形させることによって、径方向の予圧縮が与えられている。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステッピングモータ等、駆動に伴い振動を発生する振動体を防振支持する防振マウント及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリ、複写機などの紙送り用や、プリンタの印字ヘッド及び紙送りのサーボ駆動用としては、ステッピングモータが使用されるが、このステッピングモータは、駆動時に振動を発生することから、上記ファクシミリ等の機体内部のフレームに対して、防振用の防振マウントを介して取り付けられる。そして、従来の技術によるこの種の防振マウントとしては、下記の特許文献1又は特許文献2に記載されたものが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−14349号公報
【特許文献2】
特開平9−317824号公報
【0004】
すなわち、これらの特許文献1,2に記載された従来の防振マウントは、いずれも、複写機等の機体の内部壁面に螺子で緊結される一方の取付板と、これに対向配置されてステッピングモータ等の取付フランジに螺子で緊結される他方の取付板との間に、ゴム状弾性材料からなる環状の弾性体を介在させて一体的に接着した構造を有する。すなわち、ステッピングモータは防振マウントを介して機体内部壁面に取り付けられ、ステッピングモータにその駆動時に発生する振動は、弾性体の変形動作によって吸収・絶縁し、機体側への振動伝達が低減される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の防振マウントによれば、弾性体が双方の取付板に加硫接着された構造であるため、その製造に際して、金属製の取付板の接着面に、ショットブラスト、脱脂洗浄、ボンデ処理等の下地処理や、接着剤塗布等の工程が必要であり、製造コストが高いものとなっていた。
【0006】
また、弾性体は、双方の取付板に対して、軸方向両端が加硫接着されているため、ステッピングモータ等の重量による径方向荷重に対する大きな支持力を得るには、接着面積の増大等により接着強度を高めるしか、方法がなかった。
【0007】
そこで、接着工程を廃止することによる低コスト化を図り、あるいは取付板と弾性体との結合強度を高めるため、弾性体を、双方の取付板の全面を覆うように成形することも考えられるが、この場合は、弾性体の加硫成形の際に、ゴム状弾性材料の一部が螺子穴などに廻り込んで、取付用の螺子の挿入が困難になるため、螺子穴などに廻り込んだゴムバリの除去工程が必要になり、しかも、取付板とステッピングモータの取付フランジとの間にゴム膜が介在することになるため、ステッピングモータの発熱によってこのゴム膜にヘタリを生じると、螺子による緊結力が損なわれて、ステッピングモータの位置決め精度が悪化するおそれがあった。
【0008】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、両取付板と弾性体との接着構造を廃止して低コストで製作することができ、しかも優れた性能を発揮することのできる防振マウント及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
従来の技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る防振マウントは、互いに軸方向に対向配置された一対の取付板のうち、一方に外筒部が形成されると共に、他方に前記外筒部の内周に遊挿された内筒部が形成され、前記外筒部と内筒部の間に、ゴム状弾性材料からなる弾性体が径方向に予圧縮された状態で非接着で介在され、前記外筒部及び内筒部に、互いに対応する隆起部が形成されたものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成を具える防振マウントを製造する方法であって、一方の取付板に形成された外筒部と、その内周にあって他方の取付板に形成された内筒部との間に、ゴム状弾性材料からなる弾性体を介在させた後、前記弾性体を径方向へ予圧縮するように、前記内筒部又は外筒部を径方向へ塑性変形させるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る防振マウントの好ましい実施の形態を、その取付状態で示す断面図、図2は、図1の防振マウントを未装着状態で示す断面図、図3は、図1の防振マウントの組立過程を示す断面図である。まず図1において、参照符号1は本発明の形態に係る防振マウント、参照符号2は、防振マウント1によるマウンティング対象のステッピングモータ、参照符号3は、複写機等の機体内部のフレームである。そして、この形態による防振マウント1は、互いに対向配置された一方の取付板10と他方の取付板20を、環状の弾性体30を介して連結した構造を備える。
【0012】
一方の取付板10及び他方の取付板20は、いずれも、鋼鈑等、金属板を打ち抜きプレス成形することにより製作したものであって、このうち、一方の取付板10は、図2に示されるように、螺子挿通孔11aが開設されたフランジ11と、その内周から他方の取付板2との対向方向へ円筒状に突出した外筒部12とを有し、フランジ11は、外筒部12の円周方向180度間隔で一対形成されている。また、他方の取付板20は、雌螺子孔21aがタッピングされたフランジ21と、その内周から一方の取付板10との対向方向へ円筒状に延びて一方の取付板10の外筒部12の内周へ挿入された内筒部22とを有し、フランジ21は、内筒部22の円周方向180度間隔で一対形成されている。
【0013】
なお、一方の取付板10のフランジ11と、他方の取付板20のフランジ21は、一方の取付板10におけるフランジ11に開設された螺子挿通孔11aへ、螺子4を容易に挿通することができるように、円周方向に対して互いに90度ずれて配置されている。
【0014】
一方の取付板10における外筒部12には、その軸方向中間位置に、外周側へ膨らんだ隆起部12aが、円周方向へ連続して形成されている。また、他方の取付板20における内筒部22にも、その軸方向中間位置に、外周側へ膨らんだ隆起部22aが、円周方向へ連続して形成されており、両隆起部12a,22aは、径方向に互いに対応するように並んでいる。
【0015】
弾性体30はゴム状弾性材料で環状に成形されたものであって、一方の取付板10の外筒部12と他方の取付板20の内筒部22との対向周面間に、径方向へ適宜圧縮された状態で介在している。また、この弾性体30の軸方向一部30aは、外筒部12に形成された隆起部12aと、内筒部22に形成された隆起部22aとの間に挟まれることによって、径方向へうねった形状となっている。
【0016】
図1に示されるように、一方の取付板10は、フランジ11の各螺子挿通孔11aに挿通される螺子4によって、複写機等の機体内部のフレーム3に固定される。また、他方の取付板20は、ステッピングモータ2の取付フランジ2aに開設された螺子挿通孔2bから挿通した螺子5を、フランジ21の雌螺子孔21aにねじ込んで螺合させることによって、ステッピングモータ2の取付フランジ2aに結合されるものである。このため、ステッピングモータ2は、防振マウント1を介してフレーム3に取り付けられることになる。また、ステッピングモータ2の出力軸2cは、フレーム3の開口部3aに挿通され、図示されていない動力伝達機構に接続される。
【0017】
図1に示される取付状態において、ステッピングモータ2の駆動に伴い発生する振動は、一方の取付板10の外筒部12と、他方の取付板20の内筒部22との間で弾性体30の変形動作によって吸収されるので、フレーム3への振動伝達が有効に低減される。
【0018】
弾性体30は、両取付板10,20に対して非接着であるが、外筒部12に形成された隆起部12aと、内筒部22に形成された隆起部22aとの間で、径方向へうねっていることによって確実に固定されているため、ステッピングモータ2の重量やトルクによる荷重に対する十分な支持強度を有する。したがって、弾性体30と一方の取付板10及び他方の取付板20との結合状態が損なわれてステッピングモータ2が脱落してしまうようなことはない。しかも、弾性体30は、外筒部12と内筒部22の間で全体として円筒状に挟み込まれた形状であるため、径方向の荷重に対する支持力が大きく、ステッピングモータ2の重量を安定的に支持することができる。
【0019】
上述の構成を具える防振マウント1の製造においては、まず図3(A)に示されるように、一方の取付板10及び他方の取付板20を、鋼鈑等の金属板を打ち抜きプレス成形することによって製作すると共に、弾性体30を、ゴム状弾性材料で環状に加硫成形する。ここで、弾性体30の外径φ1は、一方の取付板10における外筒部12の内径φ2とほぼ同等又はそれ以下であり、弾性体30の内径φ3は、他方の取付板20における内筒部22の外径φ4以上である。
【0020】
ここで、弾性体30は、一方の取付板10及び他方の取付板20とは独立して加硫成形され、すなわち加硫接着は行われないため、両取付板10,20には、ショットブラスト、脱脂洗浄、ボンデ処理等の下地処理工程や、接着剤塗布等の工程が不要である。
【0021】
次に、図3(B)に示されるように、弾性体30の内周に、他方の取付板20における内筒部22を嵌め込むと共に、外筒部12が他方の取付板20側を向くように同心配置した一方の取付板10を、弾性体30の外周に嵌め込む。上述のように、弾性体30と外筒部12及び内筒部22との間には締め代が殆どないため、この嵌め込み作業を容易に行うことができる。なお、このとき、一方の取付板10のフランジ11と、他方の取付板20のフランジ21が、円周方向に対して互いに90度ずれた位置になるように、位置決めされる。
【0022】
次に、図3(C)に矢印Fで示されるように、他方の取付板20における内筒部22を内周側からしごいて、拡径方向へ塑性変形させる。これによって、弾性体30は、一方の取付板10における外筒部12との間で径方向に適当な予圧縮を受けると共に、外筒部12の隆起部22aと内筒部22の隆起部22aの間で挟圧されることにより屈曲変形を受ける。このため、弾性体30は、前記外筒部12の内周面及び内筒部22の外周面に対してしっかりと圧接固定される。
【0023】
なお、他方の取付板20における内筒部22のしごき工程には、例えば図示されていないポンチ及びダイスを用いるか、あるいはロールによるスピニング法が採用される。また、内筒部22の隆起部22aは、このしごき工程によって形成することもできる。
【0024】
また、このしごき工程では、内筒部22に対するしごき量によって、弾性体30の予圧縮量を自在に調整できるので、弾性体30のばね定数を、ステッピングモータ2の重量や回転速度などの条件に応じて設定し、最適な支持力及び防振効果を得ることができる。
【0025】
上述の製造方法においては、先に説明したように、弾性体30の接着工程やその前処理工程を含まず、弾性体30を加硫成形するための金型構造も、取付板10,20と加硫接着する場合に比較して簡素なものとすることができるので、低コストで生産可能である。また、取付板10,20を弾性体30の一部で覆うように成形する場合のようなゴム膜等は形成されないため、図1に示される取付状態において、ステッピングモータ2の取付フランジ2aと、他方の取付板20におけるフランジ21の座面との間には、ゴム膜等は存在せず、ステッピングモータ2が発熱しても、ゴム膜のヘタリに起因する位置決め精度の悪化等は生じ得ない。しかも、螺子挿通孔11aや雌螺子孔21aには、ゴムの廻り込みもなく、したがってゴムバリの除去工程も不要であり、ステッピングモータ2の取付作業に際して、螺子4,5のねじ込みが困難になるようなことはない。
【0026】
なお、図示の形態においては、ステッピングモータ2を防振支持するものとして説明したが、本発明は、他のモータや振動体を支持対象とする防振マウントについても実施可能である。
【0027】
また、図示の製造方法では、一方の取付板10と弾性体30と他方の取付板20とを組み合わせた後で、他方の取付板20における内筒部22を内周側からしごいて拡径方向へ塑性変形させたが、逆に、一方の取付板10における外筒部12を外周側からしごいて縮径方向へ塑性変形させることによっても、弾性体30に径方向の適当な予圧縮を与えて、上述と同様に構成することもできる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る防振マウントによれば、一方の取付板の外筒部と、他方の取付板の内筒部との間に、弾性体が径方向に予圧縮された状態で介在されると共に、前記外筒部及び内筒部に形成された隆起部に倣って屈曲されたことによって固定されているので、前記外筒部及び内筒部と非接着であっても十分な支持力が得られる。また、弾性体の一部で取付板を膜状に覆ったものでもないので、ゴム膜のヘタリによる位置決め精度の不安定が発生せず、弾性体が外筒部と内筒部の間で径方向に挟着されているため、径方向の荷重に対して優れた支持力を発揮することができる。
【0029】
請求項2の発明に係る防振マウントの製造方法によれば、一方の取付板及び他方の取付板との弾性体の接着工程及びその前処理工程を含まないため、防振マウントを低コストで製作することができる。しかも、内筒部又は外筒部に対する変形量によって、弾性体の予圧縮量、すなわちばね定数を自在に設定することができるので、条件に応じて最適な支持力及び防振効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防振マウントの好ましい実施の形態を、その取付状態で示す断面図である。
【図2】図1の防振マウントを未装着状態で示す断面図である。
【図3】図1の防振マウントの組立過程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 防振マウント
2 ステッピングモータ
2a 取付フランジ
2b,11a 螺子挿通孔
2c 出力軸
3 フレーム
3a 開口部
4,5 螺子
10 一方の取付板
11,21 フランジ
12 外筒部
12a,22a 隆起部
20 他方の取付板
21a 雌螺子孔
22 内筒部
30 弾性体
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステッピングモータ等、駆動に伴い振動を発生する振動体を防振支持する防振マウント及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリ、複写機などの紙送り用や、プリンタの印字ヘッド及び紙送りのサーボ駆動用としては、ステッピングモータが使用されるが、このステッピングモータは、駆動時に振動を発生することから、上記ファクシミリ等の機体内部のフレームに対して、防振用の防振マウントを介して取り付けられる。そして、従来の技術によるこの種の防振マウントとしては、下記の特許文献1又は特許文献2に記載されたものが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平9−14349号公報
【特許文献2】
特開平9−317824号公報
【0004】
すなわち、これらの特許文献1,2に記載された従来の防振マウントは、いずれも、複写機等の機体の内部壁面に螺子で緊結される一方の取付板と、これに対向配置されてステッピングモータ等の取付フランジに螺子で緊結される他方の取付板との間に、ゴム状弾性材料からなる環状の弾性体を介在させて一体的に接着した構造を有する。すなわち、ステッピングモータは防振マウントを介して機体内部壁面に取り付けられ、ステッピングモータにその駆動時に発生する振動は、弾性体の変形動作によって吸収・絶縁し、機体側への振動伝達が低減される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の防振マウントによれば、弾性体が双方の取付板に加硫接着された構造であるため、その製造に際して、金属製の取付板の接着面に、ショットブラスト、脱脂洗浄、ボンデ処理等の下地処理や、接着剤塗布等の工程が必要であり、製造コストが高いものとなっていた。
【0006】
また、弾性体は、双方の取付板に対して、軸方向両端が加硫接着されているため、ステッピングモータ等の重量による径方向荷重に対する大きな支持力を得るには、接着面積の増大等により接着強度を高めるしか、方法がなかった。
【0007】
そこで、接着工程を廃止することによる低コスト化を図り、あるいは取付板と弾性体との結合強度を高めるため、弾性体を、双方の取付板の全面を覆うように成形することも考えられるが、この場合は、弾性体の加硫成形の際に、ゴム状弾性材料の一部が螺子穴などに廻り込んで、取付用の螺子の挿入が困難になるため、螺子穴などに廻り込んだゴムバリの除去工程が必要になり、しかも、取付板とステッピングモータの取付フランジとの間にゴム膜が介在することになるため、ステッピングモータの発熱によってこのゴム膜にヘタリを生じると、螺子による緊結力が損なわれて、ステッピングモータの位置決め精度が悪化するおそれがあった。
【0008】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、両取付板と弾性体との接着構造を廃止して低コストで製作することができ、しかも優れた性能を発揮することのできる防振マウント及びその製造方法を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
従来の技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る防振マウントは、互いに軸方向に対向配置された一対の取付板のうち、一方に外筒部が形成されると共に、他方に前記外筒部の内周に遊挿された内筒部が形成され、前記外筒部と内筒部の間に、ゴム状弾性材料からなる弾性体が径方向に予圧縮された状態で非接着で介在され、前記外筒部及び内筒部に、互いに対応する隆起部が形成されたものである。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載の構成を具える防振マウントを製造する方法であって、一方の取付板に形成された外筒部と、その内周にあって他方の取付板に形成された内筒部との間に、ゴム状弾性材料からなる弾性体を介在させた後、前記弾性体を径方向へ予圧縮するように、前記内筒部又は外筒部を径方向へ塑性変形させるものである。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る防振マウントの好ましい実施の形態を、その取付状態で示す断面図、図2は、図1の防振マウントを未装着状態で示す断面図、図3は、図1の防振マウントの組立過程を示す断面図である。まず図1において、参照符号1は本発明の形態に係る防振マウント、参照符号2は、防振マウント1によるマウンティング対象のステッピングモータ、参照符号3は、複写機等の機体内部のフレームである。そして、この形態による防振マウント1は、互いに対向配置された一方の取付板10と他方の取付板20を、環状の弾性体30を介して連結した構造を備える。
【0012】
一方の取付板10及び他方の取付板20は、いずれも、鋼鈑等、金属板を打ち抜きプレス成形することにより製作したものであって、このうち、一方の取付板10は、図2に示されるように、螺子挿通孔11aが開設されたフランジ11と、その内周から他方の取付板2との対向方向へ円筒状に突出した外筒部12とを有し、フランジ11は、外筒部12の円周方向180度間隔で一対形成されている。また、他方の取付板20は、雌螺子孔21aがタッピングされたフランジ21と、その内周から一方の取付板10との対向方向へ円筒状に延びて一方の取付板10の外筒部12の内周へ挿入された内筒部22とを有し、フランジ21は、内筒部22の円周方向180度間隔で一対形成されている。
【0013】
なお、一方の取付板10のフランジ11と、他方の取付板20のフランジ21は、一方の取付板10におけるフランジ11に開設された螺子挿通孔11aへ、螺子4を容易に挿通することができるように、円周方向に対して互いに90度ずれて配置されている。
【0014】
一方の取付板10における外筒部12には、その軸方向中間位置に、外周側へ膨らんだ隆起部12aが、円周方向へ連続して形成されている。また、他方の取付板20における内筒部22にも、その軸方向中間位置に、外周側へ膨らんだ隆起部22aが、円周方向へ連続して形成されており、両隆起部12a,22aは、径方向に互いに対応するように並んでいる。
【0015】
弾性体30はゴム状弾性材料で環状に成形されたものであって、一方の取付板10の外筒部12と他方の取付板20の内筒部22との対向周面間に、径方向へ適宜圧縮された状態で介在している。また、この弾性体30の軸方向一部30aは、外筒部12に形成された隆起部12aと、内筒部22に形成された隆起部22aとの間に挟まれることによって、径方向へうねった形状となっている。
【0016】
図1に示されるように、一方の取付板10は、フランジ11の各螺子挿通孔11aに挿通される螺子4によって、複写機等の機体内部のフレーム3に固定される。また、他方の取付板20は、ステッピングモータ2の取付フランジ2aに開設された螺子挿通孔2bから挿通した螺子5を、フランジ21の雌螺子孔21aにねじ込んで螺合させることによって、ステッピングモータ2の取付フランジ2aに結合されるものである。このため、ステッピングモータ2は、防振マウント1を介してフレーム3に取り付けられることになる。また、ステッピングモータ2の出力軸2cは、フレーム3の開口部3aに挿通され、図示されていない動力伝達機構に接続される。
【0017】
図1に示される取付状態において、ステッピングモータ2の駆動に伴い発生する振動は、一方の取付板10の外筒部12と、他方の取付板20の内筒部22との間で弾性体30の変形動作によって吸収されるので、フレーム3への振動伝達が有効に低減される。
【0018】
弾性体30は、両取付板10,20に対して非接着であるが、外筒部12に形成された隆起部12aと、内筒部22に形成された隆起部22aとの間で、径方向へうねっていることによって確実に固定されているため、ステッピングモータ2の重量やトルクによる荷重に対する十分な支持強度を有する。したがって、弾性体30と一方の取付板10及び他方の取付板20との結合状態が損なわれてステッピングモータ2が脱落してしまうようなことはない。しかも、弾性体30は、外筒部12と内筒部22の間で全体として円筒状に挟み込まれた形状であるため、径方向の荷重に対する支持力が大きく、ステッピングモータ2の重量を安定的に支持することができる。
【0019】
上述の構成を具える防振マウント1の製造においては、まず図3(A)に示されるように、一方の取付板10及び他方の取付板20を、鋼鈑等の金属板を打ち抜きプレス成形することによって製作すると共に、弾性体30を、ゴム状弾性材料で環状に加硫成形する。ここで、弾性体30の外径φ1は、一方の取付板10における外筒部12の内径φ2とほぼ同等又はそれ以下であり、弾性体30の内径φ3は、他方の取付板20における内筒部22の外径φ4以上である。
【0020】
ここで、弾性体30は、一方の取付板10及び他方の取付板20とは独立して加硫成形され、すなわち加硫接着は行われないため、両取付板10,20には、ショットブラスト、脱脂洗浄、ボンデ処理等の下地処理工程や、接着剤塗布等の工程が不要である。
【0021】
次に、図3(B)に示されるように、弾性体30の内周に、他方の取付板20における内筒部22を嵌め込むと共に、外筒部12が他方の取付板20側を向くように同心配置した一方の取付板10を、弾性体30の外周に嵌め込む。上述のように、弾性体30と外筒部12及び内筒部22との間には締め代が殆どないため、この嵌め込み作業を容易に行うことができる。なお、このとき、一方の取付板10のフランジ11と、他方の取付板20のフランジ21が、円周方向に対して互いに90度ずれた位置になるように、位置決めされる。
【0022】
次に、図3(C)に矢印Fで示されるように、他方の取付板20における内筒部22を内周側からしごいて、拡径方向へ塑性変形させる。これによって、弾性体30は、一方の取付板10における外筒部12との間で径方向に適当な予圧縮を受けると共に、外筒部12の隆起部22aと内筒部22の隆起部22aの間で挟圧されることにより屈曲変形を受ける。このため、弾性体30は、前記外筒部12の内周面及び内筒部22の外周面に対してしっかりと圧接固定される。
【0023】
なお、他方の取付板20における内筒部22のしごき工程には、例えば図示されていないポンチ及びダイスを用いるか、あるいはロールによるスピニング法が採用される。また、内筒部22の隆起部22aは、このしごき工程によって形成することもできる。
【0024】
また、このしごき工程では、内筒部22に対するしごき量によって、弾性体30の予圧縮量を自在に調整できるので、弾性体30のばね定数を、ステッピングモータ2の重量や回転速度などの条件に応じて設定し、最適な支持力及び防振効果を得ることができる。
【0025】
上述の製造方法においては、先に説明したように、弾性体30の接着工程やその前処理工程を含まず、弾性体30を加硫成形するための金型構造も、取付板10,20と加硫接着する場合に比較して簡素なものとすることができるので、低コストで生産可能である。また、取付板10,20を弾性体30の一部で覆うように成形する場合のようなゴム膜等は形成されないため、図1に示される取付状態において、ステッピングモータ2の取付フランジ2aと、他方の取付板20におけるフランジ21の座面との間には、ゴム膜等は存在せず、ステッピングモータ2が発熱しても、ゴム膜のヘタリに起因する位置決め精度の悪化等は生じ得ない。しかも、螺子挿通孔11aや雌螺子孔21aには、ゴムの廻り込みもなく、したがってゴムバリの除去工程も不要であり、ステッピングモータ2の取付作業に際して、螺子4,5のねじ込みが困難になるようなことはない。
【0026】
なお、図示の形態においては、ステッピングモータ2を防振支持するものとして説明したが、本発明は、他のモータや振動体を支持対象とする防振マウントについても実施可能である。
【0027】
また、図示の製造方法では、一方の取付板10と弾性体30と他方の取付板20とを組み合わせた後で、他方の取付板20における内筒部22を内周側からしごいて拡径方向へ塑性変形させたが、逆に、一方の取付板10における外筒部12を外周側からしごいて縮径方向へ塑性変形させることによっても、弾性体30に径方向の適当な予圧縮を与えて、上述と同様に構成することもできる。
【0028】
【発明の効果】
請求項1の発明に係る防振マウントによれば、一方の取付板の外筒部と、他方の取付板の内筒部との間に、弾性体が径方向に予圧縮された状態で介在されると共に、前記外筒部及び内筒部に形成された隆起部に倣って屈曲されたことによって固定されているので、前記外筒部及び内筒部と非接着であっても十分な支持力が得られる。また、弾性体の一部で取付板を膜状に覆ったものでもないので、ゴム膜のヘタリによる位置決め精度の不安定が発生せず、弾性体が外筒部と内筒部の間で径方向に挟着されているため、径方向の荷重に対して優れた支持力を発揮することができる。
【0029】
請求項2の発明に係る防振マウントの製造方法によれば、一方の取付板及び他方の取付板との弾性体の接着工程及びその前処理工程を含まないため、防振マウントを低コストで製作することができる。しかも、内筒部又は外筒部に対する変形量によって、弾性体の予圧縮量、すなわちばね定数を自在に設定することができるので、条件に応じて最適な支持力及び防振効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る防振マウントの好ましい実施の形態を、その取付状態で示す断面図である。
【図2】図1の防振マウントを未装着状態で示す断面図である。
【図3】図1の防振マウントの組立過程を示す断面図である。
【符号の説明】
1 防振マウント
2 ステッピングモータ
2a 取付フランジ
2b,11a 螺子挿通孔
2c 出力軸
3 フレーム
3a 開口部
4,5 螺子
10 一方の取付板
11,21 フランジ
12 外筒部
12a,22a 隆起部
20 他方の取付板
21a 雌螺子孔
22 内筒部
30 弾性体
Claims (2)
- 互いに軸方向に対向配置された一対の取付板(10,20)のうち、一方に外筒部(12)が形成されると共に、他方に前記外筒部(12)の内周に遊挿された内筒部(22)が形成され、前記外筒部(12)と内筒部(22)の間に、ゴム状弾性材料からなる弾性体(30)が径方向に予圧縮された状態で非接着で介在され、前記外筒部(12)及び内筒部(22)に、互いに対応する隆起部(12a,22a)が形成されたことを特徴とする防振マウント。
- 一方の取付板(10)に形成された外筒部(12)と、その内周にあって他方の取付板(20)に形成された内筒部(22)との間に、ゴム状弾性材料からなる弾性体(30)を介在させた後、前記弾性体(30)を径方向へ予圧縮するように、前記内筒部(22)又は外筒部(12)を径方向へ塑性変形させることを特徴とする請求項1に記載の防振マウントの製造方法。
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