JP2004060785A - モータ用ダイナミックダンパ - Google Patents
モータ用ダイナミックダンパ Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004060785A JP2004060785A JP2002220705A JP2002220705A JP2004060785A JP 2004060785 A JP2004060785 A JP 2004060785A JP 2002220705 A JP2002220705 A JP 2002220705A JP 2002220705 A JP2002220705 A JP 2002220705A JP 2004060785 A JP2004060785 A JP 2004060785A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- boss
- peripheral surface
- mass body
- motor
- dynamic damper
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Withdrawn
Links
Images
Landscapes
- Connection Of Motors, Electrical Generators, Mechanical Devices, And The Like (AREA)
Abstract
【課題】生産性を向上させると共に、特性変更の容易なモータ用ダイナミックダンパ1の構造を提供する。
【解決手段】モータ3の回転軸31に取り付けられるボス11の外周面11aと、その外周側に同心的に配置された環状の質量体12の内周面12aとの間に、ゴム状弾性材料からなる環状弾性体13が圧入され、ボス11の外周面11aに円周方向へ連続した凹部11bが形成されると共に、質量体12の内周面12aに、凹部11bと対応して円周方向へ連続した凸部12bが形成される。
【選択図】 図1
【解決手段】モータ3の回転軸31に取り付けられるボス11の外周面11aと、その外周側に同心的に配置された環状の質量体12の内周面12aとの間に、ゴム状弾性材料からなる環状弾性体13が圧入され、ボス11の外周面11aに円周方向へ連続した凹部11bが形成されると共に、質量体12の内周面12aに、凹部11bと対応して円周方向へ連続した凸部12bが形成される。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、防音及び防振技術に係るものであり、モータ、特にステッピングモータから発生する振動を防止するためのモータ用ダイナミックダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリ、複写機などの紙送り用や、プリンタの印字ヘッド及び紙送りのサーボ駆動用としては、ステッピングモータが使用されるが、このステッピングモータは、駆動時に振動を発生し、これが機体に伝達されて、騒音の原因となっていることから、その回転軸には、振動低減のためにダイナミックダンパが装着される。
【0003】
図4は、従来の技術によるモータ用ダイナミックダンパを、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。すなわち従来のモータ用ダイナミックダンパは、図4に示されるように、ステッピングモータ等の回転軸に外挿固定されるボス1101と、その外周側に同心的に配置された環状の質量体102と、これらボス1101及び質量体102の双方に一体的に加硫接着されたゴム状弾性材料からなる環状の弾性体103とを備え、回転軸の所定周波数の振動がボス1101から入力された時に、弾性体103と質量体102からなるばね−質量系(副振動系)が共振し、その共振による振動変位が、入力振動と逆位相の振動波形で生じることによって、動的吸振効果を発揮するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のモータ用ダイナミックダンパによれば、ボス1101及び質量体102と弾性体103を加硫接着しているため、成形の際にボス1101及び質量体102を金型にセットする必要があり、したがって、一回の成形工程で得られる個数が少なく、生産性が低かった。しかも、一つの金型で一度に複数個の成形(多数個取り)をし、かつ金型内での未加硫ゴムのゴム廻りを考慮したり、バリの形成を抑えるために、部品寸法の公差を厳しくする必要があった。
【0005】
また、多数個取りにおいて、特性変更のためにダイナミックダンパのサイズを変更する場合、金型の大きさの変更も必要になり、その都度、大きさの異なる金型を製作することもコストアップの原因となっていた。これに対し、ダイナミックダンパのサイズを変更せずに特性を変更する場合は、新たな金型製作は不要になるが、弾性体103のゴム材質(硬度)の変更でしか特性変更ができないため、変更の自由度が小さくなる問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、生産性を向上させると共に、特性変更の容易なモータ用ダイナミックダンパの構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
従来の技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係るモータ用ダイナミックダンパは、モータの回転軸に取り付けられるボスの外周面と、その外周側に同心的に配置された環状の質量体の内周面との間に、ゴム状弾性材料からなる環状弾性体が圧入され、前記ボスの外周面と前記質量体の内周面のうち一方に凸部が形成され、他方に前記凸部と対応する凹部が形成されたものである。
【0008】
請求項2の発明に係るモータ用ダイナミックダンパは、請求項1に記載の構成において、ボス及び質量体の表面がゴム−金属カップリング剤層で被覆されたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るモータ用ダイナミックダンパの好ましい実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す装着状態の断面図、図2は同じく分離状態の断面図である。まず図1において、参照符号1は、本形態のモータ用ダイナミックダンパ、2は複写機等の機体のフレーム、3はフレーム2に複数のネジ等により取り付けられたステッピングモータ、4はこのステッピングモータ3の回転軸31のうち、フレーム2に開設された軸孔2aを貫通した一端31aに設けられたギヤである。
【0010】
本形態のモータ用ダイナミックダンパ1は、ステッピングモータ3の回転軸31におけるギヤ4と反対側の端部31bに外挿固定されるボス11と、その外周側に同心的に配置された質量体12との間を、弾性体13を介して弾性的に連結した構造を有する。
【0011】
ボス11は金属からなるものであって、内径がステッピングモータ3の回転軸31の軸端外径と対応する円筒状に形成されている。また、質量体12も金属からなるものであって、動的吸振効果を得るための所要の質量を有し、内径がボス11の外径よりも適宜大径の環状に形成されている。ボス11の外周面11aにおける軸方向中間部には、円周方向に連続した凹部11bが形成され、質量体12の内周面12aには、ボス11の凹部11bと対応する凸部12bが円周方向に連続して形成されている。
【0012】
弾性体13は、ゴム状弾性材料で環状に成形されたものであって、ボス11の外周面11aと質量体12の内周面12aとの間に圧入嵌着されたものである。この弾性体13は、ボス11の外周面11aに形成された凹部11bと、質量体12の内周面12aに形成された凸部12bによって、軸方向中間部が内周側へ蛇行した断面形状をなすと共に、ボス11と質量体12の間で径方向へ適宜圧縮された状態にある。
【0013】
互いに圧接している弾性体13とボス11の外周面11a及び質量体12の内周面12aとの界面には、シラン系カップリング剤層(不図示)が介在している。このシラン系カップリング剤層は、ゴム材料と金属との圧接面における摩擦力の増大に優れた効果を発揮するものである。また、このシラン系カップリング剤層は、弾性体13との圧接面を含むボス11及び質量体12の表面全体を覆うように被着されている。
【0014】
弾性体13と質量体12は、動的吸振効果を発揮するばね−質量系(副振動系)を構成している。すなわち、弾性体13は、回転軸31の駆動に伴う振動がボス11を介して入力されることによって、相対変位されるボス11と質量体12との間で変形を受けて、前記ばね−質量系におけるばね機能を奏するものであり、質量体12は、前記ばね−質量系における質量部となるものである。そしてこのばね−質量系の共振周波数は、弾性体13の捩り方向剪断ばね定数と、質量体12の慣性質量とによって、回転軸31における捩り振動の振幅が最大となる周波数域に設定されている。
【0015】
上述の構成を備えるモータ用ダイナミックダンパ1の製造においては、弾性体13はボス11及び質量体12とは別部品として加硫成形されるので、金型自体を大きくしなくても、一回の成形工程で成形可能な弾性体13の数を大幅に増やすことができる。しかも、成形と同時にボス11及び質量体12に加硫接着する場合のように、金型内でのゴム廻りを考慮する必要がないので、部品の公差を拡大することができる。
【0016】
また、このダイナミックダンパ1は、弾性体13のゴム材質(硬度)だけでなく、質量体12の外径寸法等による慣性質量の変更によっても特性(共振周波数)の変更が可能となるため、変更の自由度を大きくして、ステッピングモータ3の仕様変更等に伴う特性変更の要求に、容易に対応することができる。
【0017】
モータ用ダイナミックダンパ1の組立は、まず、鋳造及び切削等によって製作したボス11及び質量体12を、エタノール水溶液などで希釈したシラン系カップリング剤を貯留した液槽中で浸漬して引き上げ、十分に乾燥させてから、図2に示されるように、環状に加硫成形した弾性体13を、ボス11の外周面11aと質量体12の内周面12aとの間に圧入することによって行われる。
【0018】
本形態のモータ用ダイナミックダンパ1は、図1に示される装着状態において、ステッピングモータ3の振動を低減するものである。すなわち、ステッピングモータ3の回転軸31の駆動に伴って生じる捩り振動が、ダイナミックダンパ1に、ボス11を介して入力されると、その振幅が最大となる周波数域では、弾性体13と質量体12によって構成されるばね−質量系が共振する。そして、その共振による振動波形は入力振動による振動波形と逆位相となり、入力振動によるトルクを相殺する方向に生じるので、回転軸31の振幅のピークを有効に低減する動的吸振効果を発揮する。このため、ステッピングモータ3から機体のフレーム2へ伝達される振動が低減され、騒音の発生を抑制することができる。
【0019】
また、ボス11及び質量体12と弾性体13は非接着であるが、その互いの嵌着面には、シラン系カップリング剤層(不図示)が介在していることによって、この嵌着面におけるスベリトルクが著しく高いものとなっている。このため、回転軸31の起動による初期トルクや、弾性体13及び質量体12からなるばね−質量系の動的吸振動作等による大トルク入力時に、ボス11又は質量体12と弾性体13の嵌合面間で円周方向の滑りが発生するのを有効に防止することができる。したがって、質量体12と弾性体13の相対的な滑りによって動的吸振効果が損なわれることがない。
【0020】
ボス11の外周面11aに形成された凹部11bと、質量体12の内周面12aに形成された凸部12bは、弾性体13を、その軸方向中間部が内周側へ蛇行した断面形状として、軸方向への抜け止めを図っているものであるが、凸部12bは、質量体12の径方向の寸法は同一でも、その慣性質量を増大させる作用を有する。また、ボス11及び質量体12の表面を被覆しているシラン系カップリング剤層は、このボス11及び質量体12に対して、ある程度の防錆効果を有する。
【0021】
次に図3は、本発明に係るモータ用ダイナミックダンパ1の好ましい他の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。この形態においては、図1とは逆に、ボス11の外周面11aにおける軸方向中間部に、円周方向に連続した凸部11cが形成され、質量体12の内周面12aに、ボス11の凸部11cと対応する凹部12cが円周方向に連続して形成されており、その他の部分は、図1に示される形態と同様である。
【0022】
したがって、図3の形態によるダイナミックダンパ1も、図1と同様に、ステッピングモータ3の回転軸31の軸端に装着されて、その質量体12と弾性体13からなるばね−質量系の共振による動的吸振作用によって、回転軸31の捩り振動、ひいてはフレーム2への伝達振動による騒音を低減するものである。
【0023】
また、ボス11の外周面11aに形成された凸部11cと、質量体12の内周面12aに形成された凹部12cは、弾性体13を、その軸方向中間部が外周側へ蛇行した断面形状として、軸方向への抜け止めを図っているものであるが、凹部12cは、質量体12の径方向の寸法は同一でも、その慣性質量を減少させる作用を有する。
【0024】
【発明の効果】
請求項1の発明に係るモータ用ダイナミックダンパによれば、弾性体がボスと質量体の間に圧入されるものであるため、弾性体の成形において多数個取りが容易になり、しかも、部品の公差を拡大することができるので、生産性を向上してコストの引き下げを図ることができる。また、特性変更の自由度が大きくなるため、機器の仕様変更等に伴う特性変更の要求に、容易に対応することができる。
【0025】
請求項2の発明に係るモータ用ダイナミックダンパによれば、請求項1による効果に加えて、ボス及び質量体の表面がゴム−金属カップリング剤層で被覆されたことによって、ボス及び質量体と弾性体との嵌合面のスリップトルクを向上できるばかりでなく、ボス及び質量体の防錆を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るモータ用ダイナミックダンパの好ましい実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す装着状態の断面図である。
【図2】本発明に係るモータ用ダイナミックダンパの好ましい実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す分離状態の断面図である。
【図3】本発明に係るモータ用ダイナミックダンパの好ましい他の実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図4】従来の技術によるモータ用ダイナミックダンパを、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【符号の説明】
1 モータ用ダイナミックダンパ
11 ボス
11a 外周面
11b 凹部
11c 凸部
12 質量体
12a 内周面
12b 凸部
12c 凹部
13 環状弾性体
2 フレーム
3 ステッピングモータ
31 回転軸
4 ギヤ
【発明の属する技術分野】
本発明は、防音及び防振技術に係るものであり、モータ、特にステッピングモータから発生する振動を防止するためのモータ用ダイナミックダンパに関する。
【0002】
【従来の技術】
ファクシミリ、複写機などの紙送り用や、プリンタの印字ヘッド及び紙送りのサーボ駆動用としては、ステッピングモータが使用されるが、このステッピングモータは、駆動時に振動を発生し、これが機体に伝達されて、騒音の原因となっていることから、その回転軸には、振動低減のためにダイナミックダンパが装着される。
【0003】
図4は、従来の技術によるモータ用ダイナミックダンパを、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。すなわち従来のモータ用ダイナミックダンパは、図4に示されるように、ステッピングモータ等の回転軸に外挿固定されるボス1101と、その外周側に同心的に配置された環状の質量体102と、これらボス1101及び質量体102の双方に一体的に加硫接着されたゴム状弾性材料からなる環状の弾性体103とを備え、回転軸の所定周波数の振動がボス1101から入力された時に、弾性体103と質量体102からなるばね−質量系(副振動系)が共振し、その共振による振動変位が、入力振動と逆位相の振動波形で生じることによって、動的吸振効果を発揮するものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のモータ用ダイナミックダンパによれば、ボス1101及び質量体102と弾性体103を加硫接着しているため、成形の際にボス1101及び質量体102を金型にセットする必要があり、したがって、一回の成形工程で得られる個数が少なく、生産性が低かった。しかも、一つの金型で一度に複数個の成形(多数個取り)をし、かつ金型内での未加硫ゴムのゴム廻りを考慮したり、バリの形成を抑えるために、部品寸法の公差を厳しくする必要があった。
【0005】
また、多数個取りにおいて、特性変更のためにダイナミックダンパのサイズを変更する場合、金型の大きさの変更も必要になり、その都度、大きさの異なる金型を製作することもコストアップの原因となっていた。これに対し、ダイナミックダンパのサイズを変更せずに特性を変更する場合は、新たな金型製作は不要になるが、弾性体103のゴム材質(硬度)の変更でしか特性変更ができないため、変更の自由度が小さくなる問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述のような問題に鑑みてなされたもので、その技術的課題は、生産性を向上させると共に、特性変更の容易なモータ用ダイナミックダンパの構造を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
従来の技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係るモータ用ダイナミックダンパは、モータの回転軸に取り付けられるボスの外周面と、その外周側に同心的に配置された環状の質量体の内周面との間に、ゴム状弾性材料からなる環状弾性体が圧入され、前記ボスの外周面と前記質量体の内周面のうち一方に凸部が形成され、他方に前記凸部と対応する凹部が形成されたものである。
【0008】
請求項2の発明に係るモータ用ダイナミックダンパは、請求項1に記載の構成において、ボス及び質量体の表面がゴム−金属カップリング剤層で被覆されたものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係るモータ用ダイナミックダンパの好ましい実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す装着状態の断面図、図2は同じく分離状態の断面図である。まず図1において、参照符号1は、本形態のモータ用ダイナミックダンパ、2は複写機等の機体のフレーム、3はフレーム2に複数のネジ等により取り付けられたステッピングモータ、4はこのステッピングモータ3の回転軸31のうち、フレーム2に開設された軸孔2aを貫通した一端31aに設けられたギヤである。
【0010】
本形態のモータ用ダイナミックダンパ1は、ステッピングモータ3の回転軸31におけるギヤ4と反対側の端部31bに外挿固定されるボス11と、その外周側に同心的に配置された質量体12との間を、弾性体13を介して弾性的に連結した構造を有する。
【0011】
ボス11は金属からなるものであって、内径がステッピングモータ3の回転軸31の軸端外径と対応する円筒状に形成されている。また、質量体12も金属からなるものであって、動的吸振効果を得るための所要の質量を有し、内径がボス11の外径よりも適宜大径の環状に形成されている。ボス11の外周面11aにおける軸方向中間部には、円周方向に連続した凹部11bが形成され、質量体12の内周面12aには、ボス11の凹部11bと対応する凸部12bが円周方向に連続して形成されている。
【0012】
弾性体13は、ゴム状弾性材料で環状に成形されたものであって、ボス11の外周面11aと質量体12の内周面12aとの間に圧入嵌着されたものである。この弾性体13は、ボス11の外周面11aに形成された凹部11bと、質量体12の内周面12aに形成された凸部12bによって、軸方向中間部が内周側へ蛇行した断面形状をなすと共に、ボス11と質量体12の間で径方向へ適宜圧縮された状態にある。
【0013】
互いに圧接している弾性体13とボス11の外周面11a及び質量体12の内周面12aとの界面には、シラン系カップリング剤層(不図示)が介在している。このシラン系カップリング剤層は、ゴム材料と金属との圧接面における摩擦力の増大に優れた効果を発揮するものである。また、このシラン系カップリング剤層は、弾性体13との圧接面を含むボス11及び質量体12の表面全体を覆うように被着されている。
【0014】
弾性体13と質量体12は、動的吸振効果を発揮するばね−質量系(副振動系)を構成している。すなわち、弾性体13は、回転軸31の駆動に伴う振動がボス11を介して入力されることによって、相対変位されるボス11と質量体12との間で変形を受けて、前記ばね−質量系におけるばね機能を奏するものであり、質量体12は、前記ばね−質量系における質量部となるものである。そしてこのばね−質量系の共振周波数は、弾性体13の捩り方向剪断ばね定数と、質量体12の慣性質量とによって、回転軸31における捩り振動の振幅が最大となる周波数域に設定されている。
【0015】
上述の構成を備えるモータ用ダイナミックダンパ1の製造においては、弾性体13はボス11及び質量体12とは別部品として加硫成形されるので、金型自体を大きくしなくても、一回の成形工程で成形可能な弾性体13の数を大幅に増やすことができる。しかも、成形と同時にボス11及び質量体12に加硫接着する場合のように、金型内でのゴム廻りを考慮する必要がないので、部品の公差を拡大することができる。
【0016】
また、このダイナミックダンパ1は、弾性体13のゴム材質(硬度)だけでなく、質量体12の外径寸法等による慣性質量の変更によっても特性(共振周波数)の変更が可能となるため、変更の自由度を大きくして、ステッピングモータ3の仕様変更等に伴う特性変更の要求に、容易に対応することができる。
【0017】
モータ用ダイナミックダンパ1の組立は、まず、鋳造及び切削等によって製作したボス11及び質量体12を、エタノール水溶液などで希釈したシラン系カップリング剤を貯留した液槽中で浸漬して引き上げ、十分に乾燥させてから、図2に示されるように、環状に加硫成形した弾性体13を、ボス11の外周面11aと質量体12の内周面12aとの間に圧入することによって行われる。
【0018】
本形態のモータ用ダイナミックダンパ1は、図1に示される装着状態において、ステッピングモータ3の振動を低減するものである。すなわち、ステッピングモータ3の回転軸31の駆動に伴って生じる捩り振動が、ダイナミックダンパ1に、ボス11を介して入力されると、その振幅が最大となる周波数域では、弾性体13と質量体12によって構成されるばね−質量系が共振する。そして、その共振による振動波形は入力振動による振動波形と逆位相となり、入力振動によるトルクを相殺する方向に生じるので、回転軸31の振幅のピークを有効に低減する動的吸振効果を発揮する。このため、ステッピングモータ3から機体のフレーム2へ伝達される振動が低減され、騒音の発生を抑制することができる。
【0019】
また、ボス11及び質量体12と弾性体13は非接着であるが、その互いの嵌着面には、シラン系カップリング剤層(不図示)が介在していることによって、この嵌着面におけるスベリトルクが著しく高いものとなっている。このため、回転軸31の起動による初期トルクや、弾性体13及び質量体12からなるばね−質量系の動的吸振動作等による大トルク入力時に、ボス11又は質量体12と弾性体13の嵌合面間で円周方向の滑りが発生するのを有効に防止することができる。したがって、質量体12と弾性体13の相対的な滑りによって動的吸振効果が損なわれることがない。
【0020】
ボス11の外周面11aに形成された凹部11bと、質量体12の内周面12aに形成された凸部12bは、弾性体13を、その軸方向中間部が内周側へ蛇行した断面形状として、軸方向への抜け止めを図っているものであるが、凸部12bは、質量体12の径方向の寸法は同一でも、その慣性質量を増大させる作用を有する。また、ボス11及び質量体12の表面を被覆しているシラン系カップリング剤層は、このボス11及び質量体12に対して、ある程度の防錆効果を有する。
【0021】
次に図3は、本発明に係るモータ用ダイナミックダンパ1の好ましい他の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。この形態においては、図1とは逆に、ボス11の外周面11aにおける軸方向中間部に、円周方向に連続した凸部11cが形成され、質量体12の内周面12aに、ボス11の凸部11cと対応する凹部12cが円周方向に連続して形成されており、その他の部分は、図1に示される形態と同様である。
【0022】
したがって、図3の形態によるダイナミックダンパ1も、図1と同様に、ステッピングモータ3の回転軸31の軸端に装着されて、その質量体12と弾性体13からなるばね−質量系の共振による動的吸振作用によって、回転軸31の捩り振動、ひいてはフレーム2への伝達振動による騒音を低減するものである。
【0023】
また、ボス11の外周面11aに形成された凸部11cと、質量体12の内周面12aに形成された凹部12cは、弾性体13を、その軸方向中間部が外周側へ蛇行した断面形状として、軸方向への抜け止めを図っているものであるが、凹部12cは、質量体12の径方向の寸法は同一でも、その慣性質量を減少させる作用を有する。
【0024】
【発明の効果】
請求項1の発明に係るモータ用ダイナミックダンパによれば、弾性体がボスと質量体の間に圧入されるものであるため、弾性体の成形において多数個取りが容易になり、しかも、部品の公差を拡大することができるので、生産性を向上してコストの引き下げを図ることができる。また、特性変更の自由度が大きくなるため、機器の仕様変更等に伴う特性変更の要求に、容易に対応することができる。
【0025】
請求項2の発明に係るモータ用ダイナミックダンパによれば、請求項1による効果に加えて、ボス及び質量体の表面がゴム−金属カップリング剤層で被覆されたことによって、ボス及び質量体と弾性体との嵌合面のスリップトルクを向上できるばかりでなく、ボス及び質量体の防錆を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るモータ用ダイナミックダンパの好ましい実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す装着状態の断面図である。
【図2】本発明に係るモータ用ダイナミックダンパの好ましい実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す分離状態の断面図である。
【図3】本発明に係るモータ用ダイナミックダンパの好ましい他の実施の形態を、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【図4】従来の技術によるモータ用ダイナミックダンパを、その軸心を通る平面で切断して示す断面図である。
【符号の説明】
1 モータ用ダイナミックダンパ
11 ボス
11a 外周面
11b 凹部
11c 凸部
12 質量体
12a 内周面
12b 凸部
12c 凹部
13 環状弾性体
2 フレーム
3 ステッピングモータ
31 回転軸
4 ギヤ
Claims (2)
- モータ(3)の回転軸(31)に取り付けられるボス(11)の外周面(11a)と、その外周側に同心的に配置された環状の質量体(12)の内周面(12a)との間に、ゴム状弾性材料からなる環状弾性体(13)が圧入され、前記ボス(11)の外周面(11a)と前記質量体(12)の内周面(12a)のうち一方に凸部(12b,11c)が形成され、他方に前記凸部(12b,11c)と対応する凹部(11b,12c)が形成されたことを特徴とするモータ用ダイナミックダンパ。
- ボス(11)及び質量体(12)の表面がゴム−金属カップリング剤層で被覆されたことを特徴とする請求項1に記載のモータ用ダイナミックダンパ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002220705A JP2004060785A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | モータ用ダイナミックダンパ |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002220705A JP2004060785A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | モータ用ダイナミックダンパ |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004060785A true JP2004060785A (ja) | 2004-02-26 |
Family
ID=31941220
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002220705A Withdrawn JP2004060785A (ja) | 2002-07-30 | 2002-07-30 | モータ用ダイナミックダンパ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004060785A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100443347C (zh) * | 2005-07-28 | 2008-12-17 | 三菱电机株式会社 | 电动动力转向装置 |
KR200453376Y1 (ko) | 2009-10-14 | 2011-04-29 | 효성전기주식회사 | 모터용 브러시카드 댐퍼 |
JP2013526683A (ja) * | 2010-05-11 | 2013-06-24 | ジーイー エナジー パワー コンバージョン テクノロジー リミティド | 電気機器用ロータ |
-
2002
- 2002-07-30 JP JP2002220705A patent/JP2004060785A/ja not_active Withdrawn
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN100443347C (zh) * | 2005-07-28 | 2008-12-17 | 三菱电机株式会社 | 电动动力转向装置 |
US7576457B2 (en) | 2005-07-28 | 2009-08-18 | Mitsubishi Electric Corporation | Electric power steering apparatus |
KR200453376Y1 (ko) | 2009-10-14 | 2011-04-29 | 효성전기주식회사 | 모터용 브러시카드 댐퍼 |
JP2013526683A (ja) * | 2010-05-11 | 2013-06-24 | ジーイー エナジー パワー コンバージョン テクノロジー リミティド | 電気機器用ロータ |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4632044B2 (ja) | トルク変動吸収ダンパ | |
JP4662044B2 (ja) | トルク変動吸収ダンパ | |
JP2004156674A (ja) | 中空回転軸用ダイナミックダンパ | |
JP2018105497A (ja) | アイソレーション付きプーリ | |
JP2004060785A (ja) | モータ用ダイナミックダンパ | |
JP2012241822A (ja) | 中空軸用ダイナミックダンパ | |
JP6100070B2 (ja) | トルク変動吸収ダンパ | |
JP4743391B2 (ja) | トルク変動吸収ダンパ | |
JP5003882B2 (ja) | トーショナルダンパ | |
JP2006194265A (ja) | トルク変動吸収ダンパ | |
WO2017006621A1 (ja) | 回転変動吸収ダンパ | |
JP7390872B2 (ja) | ダイナミックダンパおよびその製造方法 | |
JP2007100852A (ja) | トルク変動吸収ダンパ | |
JP2004286077A (ja) | トルク変動吸収ダンパ | |
JP2004340170A (ja) | ダンパ | |
JP3994278B2 (ja) | トルク変動吸収ダンパ | |
JP2006090528A (ja) | 回転軸用制振装置 | |
JP2001241508A (ja) | 電磁クラッチ用カップリング | |
JP2013007437A (ja) | トルク変動吸収ダンパ | |
JP4479903B2 (ja) | トルク変動吸収ダンパ | |
JP2007232165A (ja) | トーショナルダンパ | |
JP2004347044A (ja) | ダンパ | |
JP2004052955A (ja) | ダンパプーリの製造方法 | |
JP2008002552A (ja) | ダイナミックダンパ | |
JP6280345B2 (ja) | 回転変動吸収ダンパ |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20051004 |