JP2004155685A - 低減された色数を有するジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネートの製造方法 - Google Patents

低減された色数を有するジフェニルメタンジイソシアネート系ポリイソシアネートの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】低減された色数を有するポリイソシアネートを提供する。
【解決手段】アニリンとホルムアルデヒドを重縮合させて得られるポリアミンとホスゲンを反応させるポリイソシアネートの製造方法において、以下の(ア)〜(エ)の工程を経ることを特徴とする前記ポリイソシアネートの製造方法により解決する。
(ア)ポリアミンとホスゲンを溶媒中で反応させる工程。
(イ)ホスゲン化終了後の反応液に平均分子量が32〜10,000の活性水素化合物(B)を加え反応させる工程。
(ウ)pKa<6の酸性物質(C)を加え処理する工程。
(エ)ホスゲン化時の溶剤を完全に除去する工程。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低減された色数を有するジフェニルメタン系ポリイソシアネートの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリイソシアネートは、アニリンとホルムアルデヒドを重縮合させて得られるポリアミンをホスゲン化して得られる。そして得られた1分子中にベンゼン環2個を有するジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略称する)や、MDIと1分子中にベンゼン環3個以上有するジフェニルメタンジイソシアネート系多核縮合体との混合物(以下、ポリメリックMDIと略称する)等のMDI系ポリイソシアネートは、ポリオール類やアミン類等の活性水素含有化合物と反応させて、硬質や軟質のポリウレタンフォーム等のような発泡分野だけでなく、エラストマー、合成皮革、スパンデックス、塗料、接着剤等を製造するために産業的に広く使用されている。
【0003】
これまで、特にポリメリックMDIに関しては、製造工程上の種々の要因により、着色の高いことについてはやむを得ないものとされてきた。しかし、使用用途の拡大や付加価値の向上のためには、その着色低減の必要性が出てきて、その製造中に処理される課題として捉えられ、多くの検討がなされてきた。
【0004】
その技術としては、例えば、特許文献1は、ジフェニルメタンジアミン(以下、DAMと略称する)とポリフェニルポリメチレンポリアミンとの混合物(以下、DAM系ポリアミンと略称する)を過剰量のホスゲンでアミノ基をイソシアネート基に転化した後、低分子量アルカノール又は多価アルコールを反応させ、その後、過剰分のホスゲンを除去する、という方法である。特許文献2は、DAM系ポリアミンを過剰量のホスゲンでアミノ基をイソシアネート基に転化した後、1価又は3価のポリオキシアルキレンアルコールを反応させ、その後、過剰分のホスゲンを除去する、という方法である。特許文献3は、DAM系ポリアミンを過剰量のホスゲンでアミノ基をイソシアネート基に転化した後、水並びに1価又は3価のポリオキシアルキレンアルコールを反応させ、その後、過剰分のホスゲンを除去する、という方法である。特許文献4は、DAM系ポリアミンを過剰量のホスゲンでアミノ基をイソシアネート基に転化し、過剰分のホスゲンを除去した後、塩化水素ガスを吹き込み、加熱して塩化水素ガスを除去する、という方法である。特許文献5は、ポリアミンのホスゲン化生成物を、触媒の存在下で約3〜約150バールの圧力下で約100〜約180℃の温度にて約15分間〜約4時間にわたり水素処理を行う、という方法である。特許文献6は、ポリアミンのホスゲン化の後に得られたホスゲン含有ポリイソシアネートを担持型触媒の存在下で水素にて処理する、という方法である。
【0005】
上記の特許文献1〜4については、高着色ポリメリックMDIの脱色については不充分であり、更に、特許文献5、6は共に水素と触媒を用いた技術であるが、水素を使用することの危険性、使用される触媒が高価であること、更には触媒活性の持続性とその効果の点からは不充分であった。
【0006】
【特許文献1】
特開平4−211641号公報
【特許文献2】
特開平4−253952号公報
【特許文献3】
特開平9−100263号公報
【特許文献4】
特開平6−234724号公報
【特許文献5】
特開平6−9538号公報
【特許文献6】
特開平7−278087号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、低減された色数を有するMDI及びポリメリックMDIを提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本方法では、ポリアミンをホスゲン化することによって得られるポリイソシアネートの部分ウレタン化及び酸性物質による処理により、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)に示されるものである。
(1)アニリンとホルムアルデヒドを重縮合させて得られるポリアミンとホスゲンを反応させるポリイソシアネートの製造方法において、以下の(ア)〜(エ)の工程を経ることを特徴とする前記ポリイソシアネートの製造方法。
(ア)ポリアミンとホスゲンを溶媒中で反応させる工程。
(イ)ホスゲン化終了後の反応液に平均分子量が32〜10,000の活性水素化合物(B)を加え反応させる工程。
(ウ)pKa<6の酸性物質(C)を加え処理する工程。
(エ)ホスゲン化時の溶剤を完全に除去する工程。
【0010】
(2)アニリンとホルムアルデヒドを重縮合させて得られるポリアミンとホスゲンを反応させるポリメリックMDI(A1)及びMDI(A2)の製造方法において、以下の(ア)〜(カ)の工程を経ることを特徴とする前記ポリメリックMDI(A1)及びMDI(A2)の製造方法。
(ア)ポリアミンとホスゲンを溶媒中で反応させる工程。
(イ)ホスゲン化終了後の反応液に平均分子量が32〜10,000の活性水素化合物(B)を加え反応させる工程。
(ウ)pKa<6の酸性物質(C)を加え処理する工程。
(エ)ホスゲン化時の溶剤を完全に除去する工程。
(オ)溶剤が除去された反応液をポリメリックMDI(A1)とMDI(A2)に蒸留分離する工程。
(カ)蒸留分離されたポリメリックMDI(A1)を濾過により精製する工程。
【0011】
(3)アニリンとホルムアルデヒドを重縮合させて得られるポリアミンとホスゲンを反応させるポリメリックMDI(A1)及びMDI(A2)の製造方法において、以下の(ア)〜(カ)の工程を経ることを特徴とする前記ポリメリックMDI(A1)及びMDI(A2)の製造方法。
(ア)ポリアミンとホスゲンを溶媒中で反応させる工程。
(イ)ホスゲン化終了後の反応液に平均分子量が32〜10,000の活性水素化合物(B)を加え反応させる工程。
(ウ)pKa<6の酸性物質(C)を加え処理する工程。
(エ)ホスゲン化時の溶剤を完全に除去する工程。
(オ)溶剤が除去された反応液をポリメリックMDI(A1)とMDI(A2)に蒸留分離する工程。
(カ)蒸留分離されたMDI(A2)を蒸留又は晶出により精製する工程。
【0012】
(4)ポリアミンが、1分子中にベンゼン環を2個有するDAMが30〜80質量%、1分子中にベンゼン環3個以上有するDAM系ポリアミンが70〜20質量%からなる前記(1)〜(3)のいずれかのポリメリックMDI(A1)とMDI(A2)の製造方法。
【0013】
(5)亜リン酸エステルを添加する工程を含むことを特徴とする前記(1)〜(4)記載の製造方法。
【0014】
【発明の実施の形態】
最初に本発明に用いられる原料について説明する。
本発明に用いられるポリアミン(DAM系ポリアミン)は、アニリンとホルマリンとの重縮合反応によって得られるものである。重縮合時の触媒の種類や量、原料組成比や温度等の反応条件を変えることによって、ポリアミンの核体分布や異性体構成比、すなわち最終的に得られるポリメリックMDIの組成(核体分布や異性体構成比)を変えることができ、ひいては様々な特性を有するポリイソシアネートを得ることができる。
【0015】
DAM系ポリアミンは、以下の化合物から構成される。
すなわち、2,2′−ジフェニルメタンジアミン(以下、2,2′−DAMと略称する)、2,4′−ジフェルメタンジアミン(以下、2,4′−DAMと略称する)、4,4′−ジフェニルメタンジアミン(以下、4,4′−DAMと略称する)、1分子中にベンゼン環3個以上有するジフェニルメタンジアミン系多核縮合体(以下、3核体以上のDAM系ポリアミンと略称する)から構成される。又、以下の説明において、DAMという用語は、異性体を区別しない1分子中にベンゼン環を2個有するジフェニルメタンジアミンであり、2,2′−DAM+2,4′−DAM+4,4′−DAMを意味する。
【0016】
本発明において、好ましいDAM系ポリアミンの組成は、得られるポリイソシアネートの性状、更にはこのポリイソシアネートを用いて得られるポリウレタン樹脂の性能等を考慮すると、DAM/3核体以上のDAM系ポリアミン=30〜80/70〜20(質量%比)である。
【0017】
ホスゲンは、一般的には一酸化炭素と塩素を反応させることによって得られる反応性の高い常温気体の化合物である。ホスゲンは、公知の方法によって得られる。
【0018】
本発明に用いられる不活性有機溶剤は、イソシアネート基やアミノ基に対して不活性なものであれば特に制限はなく、例えばトルエン、キシレン等の芳香族炭化水素、モノクロロトルエン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素、酢酸ブチル、酢酸アミル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチル等のケトン類等が挙げられる。
【0019】
本発明に用いられる活性水素基含有化合物は、数平均分子量が32〜10,000であれば制限はなく、(数平均)分子量600未満の低分子モノオール、低分子ポリオール、低分子モノアミン、低分子アミノアルコール、低分子ポリアミン、数平均分子量600以上の高分子モノオール、高分子ポリオール等が挙げられる。本発明では、(数平均)分子量600未満の低分子モノオール、低分子ポリオール、低分子モノアミン、低分子アミノアルコールが好ましい。
【0020】
低分子モノオールとしては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、オクタノール等の低分子脂肪族モノオール類が挙げられる。
【0021】
低分子ポリオールとしては、エチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、3,3−ジメチロールヘプタン、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−ノルマルプロピル−1,3−プロパンジオール、2−イソプロピル−1,3−プロパンジオール、2−ノルマルブチル−1,3−プロパンジオール、2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2−ターシャリーブチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルプロピル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ノルマルブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−3−エチル−1,4−ブタンジオール、2−メチル−3−エチル−1,4−ブタンジオール、2,3−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール、2,3,4−トリエチル−1,5−ペンタンジオール、トリメチロールプロパン、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、ダイマー酸ジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、ビスフェノールAのアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。
【0022】
低分子モノアミンとしては、プロピルアミン、ブチルアミン等の第一モノアミン類、ジエチルアミン、ジブチルアミン等の第二モノアミン類が挙げられる。
【0023】
低分子アミノアルコールとしては、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N−フェニルジプロパノールアミン等が挙げられる。
【0024】
低分子ポリアミンとしては、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、トルエンジアミン、DAM、キシレンジアミン、イソホロンジアミン、ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。
【0025】
高分子モノオールには、ポリエステルモノオール、ポリエーテルモノオール等が挙げられる。ポリエステルモノオールは、例えば前述の低分子モノオールやフェノール、第二アミンを開始剤として、ε−カプロラクトン等の環状エステルを開環付加させたものが挙げられる。ポリエーテルモノオールとしては、例えば前述の低分子モノオールやフェノール、第二アミンを開始剤として、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを開環付加させたものが挙げられる。
【0026】
高分子ポリオールには、ポリエステルポリオール、ポリエステル・アミドポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリエーテル・エステルポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリオレフィンポリオール等が挙げられる。
【0027】
ポリエステルポリオール、ポリエステル・アミドポリオールとしては、ポリカルボン酸、酸エステル、酸無水物、酸ハライド等のポリカルボン酸誘導体と、前述の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールとの反応により得られるものである。また、前述の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールを開始剤として、ε−カプロラクトン等の環状エステルを開環付加させたものが挙げられる。
【0028】
ポリカルボン酸としては、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ヘキサヒドロテレフタル酸、ヘキサヒドロイソフタル酸等が挙げられる。
【0029】
ポリエーテルポリオールとしては、前述の低分子ポリオール、低分子ポリアミン、低分子アミノアルコールを開始剤として、エチレンオキサイドやプロピレンオキサイド等のアルキレンオキサイドを開環付加させたものが挙げられる。
【0030】
ポリエーテル・エステルポリオールとしては、上記のポリエーテルポリオールと上記したポリカルボン酸誘導体から製造されるポリエステルポリオールが挙げられる。
【0031】
ポリカーボネートポリオールとしては、一般には低分子ポリオールとジエチルカーボネートの脱エタノール縮合反応、あるいは低分子ポリオールとジフェニルカーボネートの脱フェノール縮合反応、あるいは低分子ポリオールとエチレンカーボネートの脱エチレングリコール縮合反応等で得られ、この低分子ポリオールとしては、前述のポリエステルポリオールを得るのに用いられる低分子ポリオールが挙げられる。
【0032】
ポリオレフィンポリオールとしては、水酸基末端ポリブタジエンやその水素添加物、水酸基含有塩素化ポリオレフィン等が挙げられる。
【0033】
pKa<6の酸性物質としては、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸類、ギ酸、酢酸、乳酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類等が挙げられる。本発明では、系外へ除去されやすい塩酸が好ましい。
【0034】
次に本発明の各工程について説明する。
(ア)工程は、DAM系ポリアミンを過剰量のホスゲンにより、不活性有機溶剤中で反応させて(以下、ホスゲン化と略称する)、ホスゲン含有ポリイソシアネート溶液を得る工程である。ホスゲン化の方法も特に制限はなく、バッチ法、塩酸塩法、冷熱2段法、ホスゲン加圧法等が挙げられる。なお、ホスゲン化時の系内の圧力は特に限定されない。
【0035】
(イ)工程は、(ア)工程で得られたポリイソシアネート溶液に活性水素基含有化合物(B)を反応させて(以下、部分ウレタン化と略称する)、部分ウレタン化ポリイソシアネート溶液を得る工程である。(イ)工程に移る前にホスゲン化反応時の溶剤を一部除去する工程が入ってもよい。
【0036】
(イ)工程の目的は、MDI系ポリイソシアネートの着色低減(色数低減)である。MDI系ポリイソシアネートの着色原因としては、MDIは芳香族環を有しているためその二重結合が共役構造をとりやすく、キノイド構造を形成しやすいためと考えられている。キノイド構造は発色団であり、その形成により着色すると考えられている。
【0037】
この着色低減を図るための方法としては、まずは前記のキノイド構造の形成を抑制することであり、それにはイソシアネート基を後述するような活性水素化合物により部分ウレタン化することにより共役構造の形成を回避することができる。なお、必ずしも全てのイソシアネート基をウレタン化する必要はなく、一部変性することにより着色低減効果は発現される。
【0038】
部分ウレタン化の反応条件としては、温度:30〜130℃で時間:1〜5時間が好ましい。また、前記生成ポリイソシアネートと、活性水素基含有化合物と反応させる際のポリイソシアネートと活性水素基含有化合物との反応において、イソシアネート基と活性水素基との当量比(イソシアネート基/活性水素基)は10〜3,000が好ましい。本発明においては、アニリンまたはDAM系ポリアミンに対する量に換算し、アニリン又はDAM系ポリアミンに対して0.005〜2.0質量%が好ましく、特に0.01〜1.0質量%が好ましい。
【0039】
(ウ)工程は、(イ)工程後の反応液に、pKa<6の酸性物質を加え加熱処理する(以下、酸処理と略称する)工程である。部分ウレタン化させることにより、キノイド構造の発生を抑えることができるが、それだけでは不充分である。着色は、着色源が微量でも十分視認できるほどの発現性があるため、本発明では酸性物質(C)により酸処理することで、キノイド構造を分解させ、その結果得られるポリイソシアネートの着色をより効果的に低減することができる。
【0040】
なお、(ウ)工程は(イ)工程の後が好ましいが、同時工程でも効果の発現性に変わりはない。
【0041】
酸性物質(C)の添加量はDAM系ポリアミンの0.1〜20質量%が好ましく、特に1〜10質量%が好ましい。酸処理時の温度は50〜150℃が好ましく、特に70〜130℃が好ましい。添加量が少なすぎる場合や処理温度が低すぎる場合は、酸処理の効果が得られにくい。また、添加量が多すぎる場合や処理温度が高すぎる場合は、正常なポリイソシアネート分子まで処理されてしまい、得られるMDI系ポリイソシアネートの品質が低下しやすい。
【0042】
(ウ)工程において、公知の触媒を使用することができる。例えば、パラジウム、亜鉛、スズ、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銀、白金、金及びその混合物等が挙げられる。
【0043】
(エ)工程は、(ウ)工程で得られたホスゲン含有部分ウレタン化ポリイソシアネート溶液から、ホスゲン及び不活性有機溶剤を除去する工程である。また、酸処理の際、反応に関与しなかった過剰の酸も除去される。更に、ホスゲン化の際副生成物として、着色原因の一つと考えられている酸分及び加水分解性塩素含有化合物、及び、酸性物質(C)による酸処理の際に生成すると考えられるキノイド構造分解に伴う副生成物も(エ)工程により、過剰量のホスゲン、不活性有機溶剤等と同時に除去できる。なお、酸分とは室温でアルコールと反応し遊離する酸成分を塩酸として示したものであり、加水分解性塩素含有化合物とは水沸点下で加水分解して塩酸を遊離する化合物であり塩素として示したものである。
【0044】
具体的な除去方法としては100〜160℃に加熱して、窒素、ヘリウム、アルゴン等の不活性ガスを装入する方法や、減圧下で溶媒の沸点まで加熱する方法があるが、加熱減圧法が効率がよいので好ましい。
【0045】
本発明では、必要に応じて(エ)工程後、以下に示す(オ)工程、(カ)工程を施すことができる。(オ)工程は、(エ)工程後のポリイソシアネートから、MDIを一部蒸留分離してMDI(A2)とポリメリックMDI(A1)を得る工程であり、(カ)工程は、(オ)工程で得られたMDI又はポリメリックMDIを、更に精製する工程である。ポリメリックMDIの場合は、高沸分や夾雑分を濾過により分離除去することにより精製できる。MDIの場合は、蒸留又は晶出により精製するが、蒸留分離は、薄膜蒸留法が効率がよいので好ましい。
【0046】
このようにして得られたMDIあるいはポリメリックMDIは、着色が従来のものより大幅に低減されている。ポリメリックMDIのイソシアネート含量(以下、NCO含量と略称する)は、29〜32質量%が好ましい。
【0047】
更にまた、本発明においては、有機亜リン酸エステル系化合物、フェノール系化合物を添加することにより、より一層、色数低減の効果を発現することができる。
【0048】
有機亜リン酸エステル系化合物としては、亜リン酸基の酸素原子に結合した炭化水素基の炭素原子の合計が亜リン酸基1個当り12〜60個である亜リン酸トリエステルが好ましく、特に例えば、トリフェニルホスファイト等のようなトリアリールホスファイト、アルキル基の炭素数が4〜20であるアルキルジアリールホスファイト、アルキル基の炭素数が4〜20であるジアルキルアリールホスファイト、アルキル基の炭素数が4〜20であるトリアルキルホスファイト、亜リン酸基の酸素原子の少なくとも1個にジ(tert−ブチル)フェニル構造を有する炭化水素基が付いた亜リン酸トリエステル、例えばトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(以下、24Pと略称する)やビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールホスファイト等がある(以下、26Pと略称する)、1分子中に2個の亜リン酸基を有し亜リン酸基を結ぶ骨格がビスフェノールA構造であるもの、例えば、テトラブチル−4,4′−イソプロピリデンジフェニルジホスファイト、1分子中に2個又は4個の亜リン酸基を有し、亜リン酸基を結ぶ骨格がペンタエリスリトール構造であるもの、例えばジイソデシルペンタエリスリトールジホスファイト、テトラフェニルテトラデシルペンタエリスリトールテトラホスファイト等が挙げられる。これらの亜リン酸エステルは2種以上混合して用いてもよい。特に好ましい有機亜リン酸エステルは24Pと26Pである。亜リン酸基の酸素原子に結合した炭化水素基の炭素原子の合計が亜リン酸基1個当り11個以下では、沸点が低いためポリメリックMDIの製造途中で揮発し易く、着色防止効果が小さい。これらの有機亜リン酸エステルには、更に前記のようなフェノール系酸化防止剤を併用してもよい。
【0049】
また、フェノール系化合物としては、ビス[2−ヒドロキシ−5−メチル−3−tert−ブチルフェニル]メタン、2,2−ビス[4−ヒドロキシフェニル]プロパン、4,4′−ジヒドロキシビフェニル、3,3′−ジアルキル−もしくは3,3′,5,5′−テトラアルキル−4,4′−ジヒドロキシビフェニル、ビス[4−ヒドロキシ−2−メチル−5−tert−ブチルフェニル]スルフィド、ヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチルハイドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルハイドロキノン、4−メトキシフェノール、4−tert−ブトキシフェノール又は4−ベンジルオキシフェノール、あるいは4−メトキシ−2−もしくは−3−tert−ブチルフェノール、2,5−ジヒドロキシ−1−tert−ブチルベンゼン、4−メトキシ−2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(以下、BHTと略称する)、モノ(又はジ又はトリ)(α−メチルベンジル)フェノール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)等が好ましい。
【0050】
これらの添加剤を添加する工程は、原料のアニリンへの添加でも、縮合反応前の反応系でも、DAM系ポリアミンや不活性溶媒のそれぞれ又はその一方への添加でも、ホスゲン化反応直前の反応系でもよく、ホスゲン化反応前ならいつでもよい。添加量は、製造工程の滞留時間、どの工程で添加するか等によっても異なるが、アニリン又はDAM系ポリアミンの0.0010〜1質量%が好ましく、特に0.005〜0.5質量%が好ましい。
【0051】
【発明の効果】
本発明による技術を用いることにより、着色していないかあるいはこれまでより著しく着色の低減されたMDI系ポリイソシアネート(MDIやポリメリックMDI)製造することができることが明らかとなった。
【0052】
【実施例】
次に、本発明のポリイソシアネート組成物を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はかかる実施例のみに限定されるものではない。特に記載がない限り、これらの実施例中の全てパーセントは質量パーセントである。
【0053】
(実施例−1)
撹拌機のついた反応容器にアニリン、36%塩酸、更にこの中に37%ホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ表1に記載の量を加えた。130℃で120分間反応させて縮合し、この縮合生成物を取り出して苛性ソーダで中和した後、薄膜蒸発器を通過させて水及び未反応のアニリンを除去し、DAMと3核体以上のDAM系ポリアミンとからなるDAM系ポリアミンを得た。このポリアミントリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト(24P)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール(BHT)(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1に両者の添加量を記載した)及びモノクロロベンゼン(MCB)を添加した後、DAM系ポリアミンに対して過剰当量のホスゲンを吹き込み、160KPa、60〜80℃で90分間、更に100〜120℃で90分間ホスゲン化反応を行なった。反応終了後、1,3−ブタンジオール(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1にその添加量を記載した)を添加して更に2時間反応させた。その後、ホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを除去した。そして、その反応液にギ酸を添加(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1にその添加量を記載した)した後、110〜130℃で2時間処理した後、0.2〜0.5kPa、110〜130℃の条件でMCBを完全に除去した。MCBを除去したポリイソシアネートを1,000gとり、蒸留によりMDIとポリメリックMDIに分離した。そして、MDIは更に蒸留により精製し、ポリメリックMDIは更に濾過により精製した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表1に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表1に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表1に示す。
【0054】
(実施例−2)
撹拌機のついた反応容器にアニリン、36%塩酸、更にこの中に37%ホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ表1に記載の量を加えた。130℃で120分間反応させて縮合し、この縮合生成物を取り出して苛性ソーダで中和した後、薄膜蒸発器を通過させて水及び未反応のアニリンを除去し、DAMと3核体以上のDAM系ポリアミンとからなるDAM系ポリアミンを得た。このポリアミンに24P、BHT(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1に両者のの添加量を記載した)及びMCBを表1に記載の量を添加した後、DAM系ポリアミンに対して過剰当量のホスゲンを吹き込み、160KPa、60〜80℃で90分間、更に100〜120℃で90分間ホスゲン化反応を行なった。反応終了後、メタノールと塩酸を添加(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1に両者の添加量を記載した)した後、110〜130℃で2時間反応、処理した。その後、ホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを除去した。そして、その後、0.2〜0.5kPa、100〜120℃の条件でMCBを完全に除去した。MCBを除去したポリイソシアネートを1,000gとり、蒸留によりMDIとポリメリックMDIに分離した。MDIは蒸留により精製し、ポリメリックMDIは濾過により精製した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表1に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表1に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表1に示す。
【0055】
(実施例−3)
撹拌機のついた反応容器にアニリン、36%塩酸、更にこの中に37%ホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ表1に記載の量を加えた。130℃で120分間反応させて縮合し、この縮合生成物を取り出して苛性ソーダで中和した後、薄膜蒸発器を通過させて水及び未反応のアニリンを除去し、DAMと3核体以上のDAM系ポリアミンとからなるDAM系ポリアミンを得た。このポリアミンに24P(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1にその添加量を記載した)及びMCBを表1に記載の量を添加した後、DAM系ポリアミンに対して過剰当量のホスゲンを吹き込み、160KPa、60〜80℃で90分間、更に100〜120℃で90分間ホスゲン化反応を行なった。その反応終了後、0.2〜0.5kPa、100〜120℃の条件でホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを完全に除去した。その後、クラレポリオールP−510と硫酸を添加(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1に両者の添加量を記載した)した後、110〜130℃で2時間反応、処理した。そして、得られたポリイソシアネートを1,000gとり、蒸留によりMDIとポリメリックMDIに分離した。MDIは蒸留により精製し、ポリメリックMDIは濾過により精製した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表1に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表1に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表1に示す。
【0056】
(実施例−4)
撹拌機のついた反応容器にアニリン、36%塩酸、更にこの中に37%ホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ表1に記載の量を加えた。130℃で120分間反応させて縮合し、この縮合生成物を取り出して苛性ソーダで中和した後、薄膜蒸発器を通過させて水及び未反応のアニリンを除去し、DAMと3核体以上のDAM系ポリアミンとからなるDAM系ポリアミンを得た。このポリアミンに24P(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1にその添加量を記載した)及びMCBを表1に記載の量を添加した後、DAM系ポリアミンに対して過剰当量のホスゲンを吹き込み、160KPa、60〜80℃で90分間、更に100〜120℃で90分間ホスゲン化反応を行なった。その反応終了後、0.2〜0.5kPa、100〜120℃の条件でホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを完全に除去した。その後、N,N−ジメチルエタノールアミンと乳酸を添加(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1に両者の添加量を記載した)した後、110〜130℃で2時間反応、処理した。そして、得られたポリイソシアネートを1,000gとり、蒸留によりMDIとポリメリックMDIに分離した。MDIは蒸留により精製し、ポリメリックMDIは濾過により精製した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表1に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表1に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表1に示す。
【0057】
(実施例−5)
撹拌機のついた反応容器にアニリン、36%塩酸、更にこの中に37%ホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ表1に記載の量を加えた。130℃で120分間反応させて縮合し、この縮合生成物を取り出して苛性ソーダで中和した後、薄膜蒸発器を通過させて水及び未反応のアニリンを除去し、DAMと3核体以上のDAM系ポリアミンとからなるDAM系ポリアミンを得た。このポリアミンにBHT(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1にその添加量を記載した)及びMCBを表1に記載の量を添加した後、DAM系ポリアミンに対して過剰当量のホスゲンを吹き込み、160KPa、60〜80℃で90分間、更に100〜120℃で90分間ホスゲン化反応を行なった。その反応終了後、0.2〜0.5kPa、100〜120℃の条件でホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを完全に除去した。その後、シクロヘキサンジメタノールとギ酸を添加(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1に両者の添加量を記載した)した後、110〜130℃で2時間反応、処理した。そして、得られたポリイソシアネートを1,000gとり、蒸留によりMDIとポリメリックMDIに分離した。MDIは蒸留により精製し、ポリメリックMDIは濾過により精製した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表1に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表1に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表1に示す。
【0058】
(実施例−6)
撹拌機のついた反応容器にアニリン、36%塩酸、更にこの中に37%ホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ表1に記載の量を加えた。130℃で120分間反応させて縮合し、この縮合生成物を取り出して苛性ソーダで中和した後、薄膜蒸発器を通過させて水及び未反応のアニリンを除去し、DAMと3核体以上のDAM系ポリアミンとからなるDAM系ポリアミンを得た。このポリアミンにMCBを表1に記載の量を添加した後、DAM系ポリアミンに対して過剰当量のホスゲンを吹き込み、160KPa、60〜80℃で90分間、更に100〜120℃で90分間ホスゲン化反応を行なった。その反応終了後、0.2〜0.5kPa、100〜120℃の条件でホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを完全に除去した。その後、シクロヘキサンジメタノールとギ酸を添加(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1に両者の添加量を記載した)した後、110〜130℃で2時間反応、処理した。そして、得られたポリイソシアネートを1,000gとり、蒸留によりMDIとポリメリックMDIに分離した。MDIは蒸留により精製し、ポリメリックMDIは濾過により精製した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表1に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表1に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表1に示す。
【0059】
(比較例−1)
撹拌機のついた反応容器にアニリン、36%塩酸、更にこの中に37%ホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ表2に記載の量を加えた。130℃で120分間反応させて縮合し、この縮合生成物を取り出して苛性ソーダで中和した後、薄膜蒸発器を通過させて水及び未反応のアニリンを除去し、DAMと3核体以上のDAM系ポリアミンとからなるDAM系ポリアミンを得た。このポリアミンに24P、BHT(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1に両者のの添加量を記載した)及びMCBを添加した後、DAM系ポリアミンに対して過剰当量のホスゲンを吹き込み、160KPa、60〜80℃で90分間、更に100〜120℃で90分間ホスゲン化反応を行なった。反応終了後、1,3−ブタンジオール(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1にその添加量を記載した)を添加して更に2時間反応させた。その後、ホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを除去した。MCBを除去したポリイソシアネートを1,000gとり、蒸留によりMDIとポリメリックMDIに分離した。そして、MDIは更に蒸留により精製し、ポリメリックMDIは更に濾過により精製した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表2に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表2に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表2に示す。
【0060】
(比較例−2)
撹拌機のついた反応容器にアニリン、36%塩酸、更にこの中に37%ホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ表2に記載の量を加えた。130℃で120分間反応させて縮合し、この縮合生成物を取り出して苛性ソーダで中和した後、薄膜蒸発器を通過させて水及び未反応のアニリンを除去し、DAMと3核体以上のDAM系ポリアミンとからなるDAM系ポリアミンを得た。このポリアミンにBHT(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1にその添加量を記載した)及びMCBを添加した後、DAM系ポリアミンに対して過剰当量のホスゲンを吹き込み、160KPa、60〜80℃で90分間、更に100〜120℃で90分間ホスゲン化反応を行なった。反応終了後、メタノールを添加(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1にその添加量を記載した)して更に2時間反応させた。その後、ホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを除去した。MCBを除去したポリイソシアネートを1,000gとり、蒸留によりMDIとポリメリックMDIに分離した。そして、MDIは更に蒸留により精製し、ポリメリックMDIは更に濾過により精製した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表2に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表2に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表2に示す。
【0061】
(比較例−3)
撹拌機のついた反応容器にアニリン、36%塩酸、更にこの中に37%ホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ表2に記載の量を加えた。130℃で120分間反応させて縮合し、この縮合生成物を取り出して苛性ソーダで中和した後、薄膜蒸発器を通過させて水及び未反応のアニリンを除去し、DAMと3核体以上のDAM系ポリアミンとからなるDAM系ポリアミンを得た。このポリアミンに24P(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1にその添加量を記載した)及びMCBを表2に記載の量を添加した後、DAM系ポリアミンに対して過剰当量のホスゲンを吹き込み、160KPa、60〜80℃で90分間、更に100〜120℃で90分間ホスゲン化反応を行なった。その反応終了後、0.2〜0.5kPa、100〜120℃の条件でホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを完全に除去した。その後、乳酸を添加(DAM系ポリアミン1,000gあたりの換算量として表1にその添加量を記載した)した後、110〜130℃で2時間反応、処理した。そして、得られたポリイソシアネートを1,000gとり、蒸留によりMDIとポリメリックMDIに分離した。MDIは蒸留により精製し、ポリメリックMDIは濾過により精製した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表2に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表2に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表2に示す。
【0062】
(比較例−4)
撹拌機のついた反応容器にアニリン、36%塩酸、更にこの中に37%ホルムアルデヒド水溶液をそれぞれ表2に記載の量を加えた。130℃で120分間反応させて縮合し、この縮合生成物を取り出して苛性ソーダで中和した後、薄膜蒸発器を通過させて水及び未反応のアニリンを除去し、DAMと3核体以上のDAM系ポリアミンとからなるDAM系ポリアミンを得た。このポリアミンにMCBを表2に記載の量を添加した後、DAM系ポリアミンに対して過剰当量のホスゲンを吹き込み、160KPa、60〜80℃で90分間、更に100〜120℃で90分間ホスゲン化反応を行なった。その反応終了後、0.2〜0.5kPa、100〜120℃の条件でホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを完全に除去した。得られたポリイソシアネートを蒸留によりMDIとポリメリックMDIに分離した。MDIは蒸留により精製し、ポリメリックMDIは濾過により精製した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表2に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表2に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表2に示す。表2に記載の原料を用いて、実施例1と同様の条件によりDAM系ポリアミンのホスゲン化を行った。その後、実施例−1と同様の条件にてホスゲン化反応液から蒸留によりMCBを完全に除去した。そして、その後、実施例−1と同様に1,000gとり、同様の条件によりMDIとポリメリックMDIを分離した。得られたMDI、ポリメリックMDIの量を表2に記載する。ホスゲン化後の反応液(MCB除去後)、MDI、ポリメリックMDIの着色の程度を色数(ハーゼン色数)にて表2に示す。MDI及びポリメリックMDIのNCO含量を表2に示す。
【0063】
なお、ホスゲン化後の反応液の色数は、MCB除去後の液の色数である。また、ポリメリックMDIの色数はアセトンによる200倍(質量/質量)希釈品をJIS K0071−1に準拠した方法により測定したハーゼン単位の色数である。また、MDIは80℃×1時間の条件で溶解させ、その液体状態の色数を同様の方法により測定し、ハーゼン単位の色数で表した。
【0064】
【表1】
Figure 2004155685
【0065】
【表2】
Figure 2004155685
【0066】
表1、2において
DAM系ポリアミンの核体分布:
GPCチャートのピーク面積比による
クラレポリオールP−510:
クラレ製ポリエステルポリオール
数平均分子量=500
公称官能基数=2
24P:
トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト
BHT:
2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール
【0067】
本発明の製造方法によって得られた特にポリメリックMDIは、着色が非常に低いものであった。一方、酸処理や部分ウレタン化せずに得られたポリメリックMDIは着色が大きいものであった。

Claims (5)

  1. アニリンとホルムアルデヒドを重縮合させて得られるポリアミンとホスゲンを反応させるポリイソシアネートの製造方法において、以下の(ア)〜(エ)の工程を経ることを特徴とする前記ポリイソシアネートの製造方法。
    (ア)ポリアミンとホスゲンを溶媒中で反応させる工程。
    (イ)ホスゲン化終了後の反応液に平均分子量が32〜10,000の活性水素化合物(B)を加え反応させる工程。
    (ウ)pKa<6の酸性物質(C)を加え処理する工程。
    (エ)ホスゲン化時の溶剤を完全に除去する工程。
  2. アニリンとホルムアルデヒドを重縮合させて得られるポリアミンとホスゲンを反応させるポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(A1)及びジフェニルメタンジイソシアネート(A2)の製造方法において、以下の(ア)〜(カ)の工程を経ることを特徴とする前記ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(A1)及びジフェニルメタンジイソシアネート(A2)の製造方法。
    (ア)ポリアミンとホスゲンを溶媒中で反応させる工程。
    (イ)ホスゲン化終了後の反応液に平均分子量が32〜10,000の活性水素化合物(B)を加え反応させる工程。
    (ウ)pKa<6の酸性物質(C)を加え処理する工程。
    (エ)ホスゲン化時の溶剤を完全に除去する工程。
    (オ)溶剤が除去された反応液をポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(A1)とジフェニルメタンジイソシアネート(A2)に蒸留分離する工程。
    (カ)蒸留分離されたポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(A1)を濾過により精製する工程。
  3. アニリンとホルムアルデヒドを重縮合させて得られるポリアミンとホスゲンを反応させるポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(A1)及びジフェニルメタンジイソシアネート(A2)の製造方法において、以下の(ア)〜(カ)の工程を経ることを特徴とする前記ポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(A1)及びジフェニルメタンジイソシアネート(A2)の製造方法。
    (ア)ポリアミンとホスゲンを溶媒中で反応させる工程。
    (イ)ホスゲン化終了後の反応液に平均分子量が32〜10,000の活性水素化合物(B)を加え反応させる工程。
    (ウ)pKa<6の酸性物質(C)を加え処理する工程。
    (エ)ホスゲン化時の溶剤を完全に除去する工程。
    (オ)溶剤が除去された反応液をポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(A1)とジフェニルメタンジイソシアネート(A2)に蒸留分離する工程。
    (カ)蒸留分離されたジフェニルメタンジイソシアネート(A2)を蒸留又は晶出により精製する工程。
  4. ポリアミンが、1分子中にベンゼン環を2個有するジフェニルメタンジアミンが30〜80質量%、1分子中にベンゼン環3個以上有するジフェニルメタンジアミン系ポリアミンが70〜20質量%からなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリメチレンポリフェニレンポリイソシアネート(A1)とジフェニルメタンジイソシアネート(A2)の製造方法。
  5. 亜リン酸エステルを添加する工程を含むことを特徴とする請求項1〜4記載の製造方法。
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