JP2004152870A - 圧電基板の製造方法、圧電基板及び表面波装置 - Google Patents

圧電基板の製造方法、圧電基板及び表面波装置 Download PDF

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康浩 倉谷
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Abstract

【課題】煩雑な雰囲気の調整を必要とすることなく、表面抵抗率が低いLiNbOまたはLiTaOからなる圧電基板を製造する方法を提供する。
【解決手段】LiNbO基板を用意する工程と、該LiNbO基板を10Pa以下の減圧雰囲気中において550℃〜LiNbO基板のキュリー温度の範囲の温度で熱処理する工程とを含む圧電基板の製造方法、並びにLiTaO基板を用意する工程と、該LiTaO基板を、20Pa以下の減圧雰囲気で、550℃〜LiTaO基板のキュリー温度の範囲の温度で熱処理する工程とを備える圧電基板の製造方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面波装置に好適に用いられる圧電基板の製造方法及び圧電基板に関し、より詳細には、LiNbOまたはLiTaOからなる圧電基板の製造方法、圧電基板及び該圧電基板を用いた表面波装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波装置などに用いられている圧電基板では、(a)温度変化に伴う圧電基板の焦電性により表面に生じる電荷、あるいは(b)サージ電圧が印加された際に誘起される電荷などにより、インターデジタルトランスデューサ(IDT)の異なる電位に接続される電極間で放電が生じることがあった。放電量が大きい場合、電極が劣化したり、破壊したりする。そのため、弾性表面波装置の特性が損なわれることになる。
【0003】
上記放電による電極の損傷を抑制するには、圧電基板表面の抵抗率を低くすればよい。基板表面の抵抗率が低くなると、突発的に生じた基板表面の電荷が基板表面を移動し、電位差が速やかに緩和され、局所的な電荷の蓄積による放電現象を抑制することができる。従って、圧電基板を用いた弾性表面波フィルタなどのデバイスの耐焦電破壊性及び耐電力性を高めることができる。
【0004】
従来、基板の表面抵抗を低くする方法としては、Feなどのキャリアとなり得る物質を基板表面からドープする方法、あるいは減圧下において特定のガスを用いた還元雰囲気中で基板を熱処理する方法などが知られている。
【0005】
例えば、下記の特許文献1には、表面電荷を減少させる能力が増大するように状態調節されたLiNbOもしくはLiTaO結晶及びその調節方法が開示されいる。特許文献1では、より具体的には、減圧下において、還元雰囲気中で500〜1140℃の温度でLiNbOもしくはLiTaO結晶を熱処理する方法が示されている。もっとも、特許文献1では、減圧雰囲気における具体的な減圧条件は示されていない。また、上記還元雰囲気を構成するために、アルゴン、水、水素、窒素、二酸化炭素、一酸化炭素、酸素及びこれらの組み合わせからなるガスを用いることが示されている。
【0006】
他方、下記の特許文献2には、光学導波路デバイス用の基板として、基板の少なくとも1部のバルク抵抗率が1013Ω・cm以下、好ましくは1011〜1013Ω・cm、より好ましくは3×1012〜1013Ω・cmであるLiNbOもしくはLiTaOからなる基板が開示されている。ここでは、減圧雰囲気中で、基板の少なくとも1部のバルク抵抗率が1013Ω・cm以下となるような時間及び温度で基板を熱処理する方法が開示されている。この熱処理に際しての温度は具体的には、350〜800℃、熱処理時間は10分〜10時間とされている。また、特許文献2では、減圧雰囲気中で加熱することは示されているものの、減圧雰囲気の具体的な圧力値については何ら示されていない。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−92147号公報
【特許文献2】
特開2000−352700号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1,2に記載のような減圧下における熱処理条件では、基板の抵抗率を十分に低めることはできなかった。
【0009】
すなわち、特許文献1に開示されている還元雰囲気中で熱処理を行う方法では、キュリー温度以下の温度で熱処理した場合、表面抵抗率の低下の程度が小さかった。例えば、LiNbO基板を650℃の温度で特許文献1に記載の方法で熱処理したとしても、表面抵抗値は1.8×1012Ω程度にしかならなかった。
【0010】
加えて、特許文献1に記載の方法では、還元性雰囲気を必要とするため、上述した各種ガスを用いて雰囲気調整を行わねばならなかった。従って、安定な効果を得るためには、ガスの濃度を適切に制御しなければならなかった。よって、工程が煩雑であり、かつコストが高くつかざるを得なかった。また、ガスの種類によっては、作業上の危険を伴う可能性もあった。
【0011】
加えて、使用するガスによっては、LiNbO結晶やLiTaO結晶の表面状態が悪くなり、圧電性が低下するおそれがあった。さらに、熱処理温度がキュリー点より高い場合には、高温によりこれらの結晶が損傷を受けることもあった。
【0012】
他方、特許文献2の熱処理条件においても、LiNbOの表面抵抗はさほど低下しない。すなわち、特許文献2では、バルク抵抗率が1013Ω・cm以下となるように減圧雰囲気中でLiNbO基板やLiTaO基板が熱処理されているが、この方法においても、表面抵抗率は十分に低下しない。
【0013】
また、特許文献2は、光学導波路デバイス用の基板に関するものであるため、温度変動に起因するバイアス電界の不安定を解消するために、該基板のバルク抵抗率が1013Ω・cm以下とされている。光学導波路デバイスに用いられる基板であるため、透明性が要求される。他方、バルク抵抗率が低くなりすぎると、LiNbOやLiTaO基板は非透明となる。そのため、特許文献2に記載の方法では、光学導波路デバイス用基板を構成するものであるため、バルク抵抗率をさほど低くすることができず、最小でも1011Ω・cm程度までの範囲とされる。そのため、表面波装置などの圧電装置における電極間の放電に起因する特性の劣化を防止する程度に、十分に基板の表面抵抗率を低下させることはできない。
【0014】
なお、特許文献2のバルク抵抗率1011Ω・cmは、基板全体が1011Ω・cmのバルク抵抗率を有すると仮定して、本明細書の表面抵抗率に換算すると、2.1×1012Ωとなる。
【0015】
加えて、特許文献2では、減圧下で熱処理されることは示されているものの、減圧条件については具体的には何ら示されていない。
上記のように、特許文献1,2のいずれにおいても、表面波装置のような圧電装置に用いられるLiNbO基板やLiTaO基板における電極間の放電を抑制し得る程の低い表面抵抗率、すなわち1012Ω以下を実現する方法は示されていない。
【0016】
本発明の目的は、上述した従来技術の現状に鑑み、表面抵抗をより一層低めることができ、従って電極間の放電に起因する特性の劣化を確実に抑制することができる、LiNbOまたはLiTaOからなる圧電基板の製造方法、該圧電基板及び該圧電基板を用いた表面波装置を提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的は、煩雑な雰囲気制御を必要とすることなく、表面抵抗がより一層低められたLiNbOまたはLiTaO圧電単結晶基板を容易にかつ安価に得ることを可能とする圧電基板の製造方法、該圧電基板及び圧電基板を用いた表面波装置を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明は、圧電基板の製造方法であって、LiNbO基板を用意する工程と、前記LiNbO基板を10Pa以下の減圧雰囲気中において550℃〜LiNbO基板のキュリー温度の範囲の温度で熱処理する工程とを備える、圧電基板の製造方法である。
【0019】
第1の発明においては、好ましくは、上記減圧雰囲気が、5×10−3〜5.0Paの範囲とされ、それによって表面抵抗をより一層低めることができる。
また、第1の発明においては、好ましくは、上記熱処理温度が585℃〜LiNbO基板のキュリー温度の範囲にあり、かつ減圧雰囲気の圧力が20Pa以下とされ、それによってLiNbO基板の表面抵抗をより一層効果的に低めることができる。
【0020】
本願の第2の発明は、圧電基板の製造方法であって、LiTaO基板を用意する工程と、前記LiTaO基板を、20Pa以下の減圧雰囲気で、550℃〜該LiTaO基板のキュリー温度の範囲の温度で熱処理する工程とを備える、圧電基板の製造方法である。
【0021】
第2の発明のある特定の局面では、減圧雰囲気の圧力が5×10−3〜5.0Paの範囲とされ、かつ熱処理の温度が585℃〜キュリー温度の範囲とされ、それによってLiTaO基板の表面抵抗がより一層低くされる。
【0022】
第1,第2の発明では、好ましくは、熱処理は空気中で行われ、従って煩雑な雰囲気ガスのコントロールを必要としない。
本発明の他の特定の局面では、第1,第2の発明の圧電基板の製造方法に従って構成された圧電基板が提供される。
【0023】
本願の第3の発明は、LiNbOまたはLiTaOからなり、表面抵抗率が1.0×1012Ω以下であることを特徴とする、圧電基板である。
また、本発明に係る表面波装置は、第1または第2の発明の製造方法で得られた圧電基板と、圧電基板上に形成された少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサとを備えることを特徴とする。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施形態を説明することにより、本発明を明らかにする。
【0025】
(実験例1)
ZカットLiNbO単結晶基板を用意した。空気中に配置されたチューブ炉内を真空ポンプで減圧し、一定の圧力に保った状態で、チューブ炉内で、上記LiNbO基板に熱処理を施した。熱処理は、室温から7℃/分の速度で所望の処理温度まで昇温し、所望の処理温度に2時間維持した後、自然冷却で室温まで温度を低下させることにより行った。その後、表面に2.1mmの距離を隔てられた幅7.5mmの一対のパッド状電極を形成した。
【0026】
表面抵抗は、基板上に形成された1組のパッド状電極間の抵抗値をHigh Resistance Meterで測定した。測定値×7.5/2.1を表面抵抗率とした。
【0027】
上記減圧雰囲気における圧力を種々変化させ、かつ上記熱処理温度を種々変化させ、実験を行った。結果を図1及び図3に示す。なお、図1,図3並びに後述する図2,図4の縦軸の表面抵抗率のメモリにおける1En(nは整数)は、1×10であることを示す。例えば、1E8は、1×10であることを示す。
【0028】
図1において、横軸は、雰囲気の圧力値を、縦軸は表面抵抗率を示す。図1から明らかなように大気圧に近い圧力、すなわち10Paの雰囲気で熱処理した場合には、処理温度の如何に関わらず、熱処理後の基板の表面抵抗率は約1014Ωであり、熱処理前の値約1014Ωと差が見られない。これに対して、熱処理温度が550℃以上の場合には、圧力が低くなるに従って、熱処理後の基板の表面抵抗率が低くなることがわかる。特に、雰囲気圧力を10Pa以下として熱処理した場合、表面抵抗率が著しく低くなることがわかる。
【0029】
また、図3は、横軸を熱処理温度、縦軸を表面抵抗率とした場合の種々の圧力下における熱処理による表面抵抗率の変化を示す図である。図3から明らかなように、減圧雰囲気の圧力値が低くなれば、熱処理温度が550℃以上となった場合に、表面抵抗率が熱処理前の値1×1014よりも著しく低くなることがわかる。
【0030】
従って、図1及び図3から明らかなように、空気中において熱処理に際しての雰囲気の圧力を10Pa以下とし、かつ熱処理温度550℃以上とすれば、表面抵抗率を大幅に低め得ることがわかる。
【0031】
また、図1から明らかなように、雰囲気圧力が10Paよりも低くなると表面抵抗率が低下するが、0.5Pa付近で表面抵抗率が極小となり、0.5Paよりも低くなると、表面抵抗率は低いものの再度その値が大きくなっていくことがわかる。図1から明らかなように、表面抵抗率を熱処理していない場合に比べてオーダーを異ならせる程低くするには、圧力値は、好ましくは、5×10−5〜5.0Paの範囲、より好ましくは、5×10−3〜5.0Paの範囲とすればよいことがわかる。
【0032】
また、熱処理温度が550℃以上であれば、表面抵抗率が大幅に低められるが、より好ましくは、585℃以上とすることにより、表面抵抗率を熱処理していない場合に比べてそのオーダーが異なる程低め得ることがわかる。従って、好ましくは、熱処理温度は、585℃以上とすればよいことがわかる。特に、図3により、20Pa以下の圧力で、かつ温度が585℃以上の場合、表面抵抗率を1012Ω以下と大幅に低め得ることがわかる。
【0033】
なお、圧電基板として用いる場合、キュリー点以上の温度に加熱した場合には、圧電性が損なわれる。従って、熱処理温度の上限は、キュリー点未満であることが望ましい。なお、LiNbO基板の場合には、キュリー点は、定比組成(congruent組成)の単結晶の場合約1140℃、化学量論的組成(stoichiometric組成)の単結晶の場合約1200℃である。
【0034】
なお、585℃以上を越え、キュリー点までの温度範囲で熱処理した場合には、585℃で熱処理した場合と大きく変化しないことが本願発明者等により確かめられている。
【0035】
また、Zカット以外のLiNbO基板を用いた場合にも同様の結果が本願発明者により実験的に確かめられた。
よって、LiNbO基板を用いた場合には、10Pa以下の圧力で、かつ550℃〜キュリー温度の範囲の温度で熱処理すれば、表面抵抗率を効果的に低めることができ、より好ましくは、5×10−3〜5.0Paの圧力かつ550℃〜キュリー温度の温度範囲、あるいは20Pa以下の圧力かつ585℃〜キュリー温度の範囲の温度で熱処理をすれば、表面抵抗率を1012Ω以下とより一層低め得ることがわかる。
【0036】
(実験例2)
実験例2では、36°回転YカットLiTaO単結晶基板を用意し、実験例1と同様にして、雰囲気圧力及び熱処理温度を種々異ならせて、熱処理を施し、実験例1と同様にして表面抵抗率を測定した。結果を図2及び図4に示す。なお、実験例2においても、雰囲気ガスによる調整は行わず、空気中で熱処理を施した。
【0037】
図2から明らかなように、LiTaO基板を用いた場合には、熱処理に際しての圧力が20Pa以下、かつ熱処理温度が550℃以上であれば、熱処理を施していない場合の表面抵抗率1×1014Ωよりも表面抵抗率を大幅に低め得ることがわかる。また、図4から明らかなように、熱処理に際しての温度を550℃以上とすれば、熱処理を施していない場合に比べて、表面抵抗率を大幅に低め得ることがわかる。
【0038】
従って、図2及び図4の結果から、20Pa以下の圧力、かつ550℃以上の温度で熱処理を施せばよいことがわかる。LiTaO基板においても、キュリー温度以上に加熱した場合には、LiTaO基板の圧電性が損なわれる。従って、熱処理に際しての温度の上限値はキュリー温度である。
【0039】
また、図4から明らかなように、熱処理温度が550℃の場合に比べて、585℃の場合の方が表面抵抗率の低下が著しい。また、585℃以上の温度で、キュリー点未満の温度では、より一層表面抵抗率の低下が低いことが実験的に確かめられた。従って、好ましくは、熱処理に際しての処理温度は、585℃以上、キュリー点未満である。なお、LiTaO基板のキュリー点は、定比組成の単結晶で約600℃、化学量論的組成の単結晶で約680℃である。
【0040】
また、雰囲気の圧力が5×10−3〜5.0Paの範囲の場合に、表面抵抗率を大幅に低め得ることができ、特に0.5Paで極小となることがわかる。
【0041】
図2及び図4から明らかなように、温度が585℃以上、かつ圧力が5×10−3〜5.0Paの場合に、表面抵抗率が1012Ω以下とされ得ることがわかる。よって、好ましくは、585℃〜キュリー温度の温度、かつ5×10−3〜5.0Paの条件で熱処理を施すことが望ましい。
【0042】
なお、実験例1,2において、所望の圧力で上記熱処理を施されたLiTaO基板及びLiNbO基板は、元の状態の透明ではなく、明灰色から黒色の範囲の色に変化した。
【0043】
(実験例3)
実験例3では、表面抵抗率の低下による電極破壊抑制効果を評価した。実験例2で用意した36°回転YカットLiTaO基板を用いて実験を行った。
【0044】
まず、表面抵抗率が約1×1014Ωである熱処理前の36°回転YカットLiTaOからなるウエハAを用意した。このウエハAについて、実験例2に従って、熱処理を施し、表面抵抗率が1.3×1013ΩのウエハBと、表面抵抗率が1.0×1012ΩのウエハCとを用意した。
【0045】
上記ウエハA〜Cに、それぞれ、Alからなる表面波フィルタの電極パターンを形成した。この表面波フィルタの電極パターンでは、IDT及びIDTの両側に設けられた反射器が形成されている表面波フィルタ素子を400個形成した。なお、表面波フィルタ素子における異なる電位に接続される電極指間の最近接距離は0.5mmとした。
【0046】
室温環境におかれた上記ウエハA〜Cを、100℃の温度に設定されたオーブンに投入し、30分間放置した。しかる後、ウエハA〜Cを室温環境に取り出し、自然冷却した。
【0047】
上記100℃のオーブンに投入することにより温度変化を与えた場合の焦電性に起因すると考えられる電極破壊の割合を調べた。すなわち、各ウエハ上のフィルタ素子の数400個に対し、電極破壊が生じているフィルタ素子の個数を調べた。その結果、ウエハAでは、400個のフィルタ素子の全てにおいて電極破壊が生じており、ウエハBでは375個のフィルタ素子で電極破壊が生じており、ウエハCでは、2個のフィルタ素子で電極破壊が生じていた。
【0048】
従って、表面抵抗率が1.0×1012Ωであれば、耐焦電性が大幅に高められることがわかる。表面抵抗率が低くなる程、上記耐焦電性は低下する。従って、耐焦電性を高める上では、表面抵抗率が1.0×1012Ω以下であることが望ましいことがわかる。
【0049】
よって、表面抵抗率が1.0×1012Ω以下のLiNbO基板やLiTaO基板では、耐焦電性や耐電力性を大幅に高め得ることがわかる。
なお、表面抵抗率は低ければ低い程、耐焦電性を高めることができる。また、本発明の方法に従って表面抵抗率が低下されたLiNbO基板及びLiTaO基板では、表面波フィルタに適用した場合、挿入損失などの特性の劣化を招くことがないことが確かめられた。従って、本発明においては、表面抵抗率の下限は特に限定されるものではない。もっとも、実験例1,2では、表面抵抗率の下限は、LiNbOでは、1×10Ωであり、LiTaOでは、1×1011Ωである。
【0050】
なお、上記実験例1,2では、熱処理時間を2時間としたが、熱処理時間については、目的とする表面抵抗率低下量を緩和して、適宜定めることができ、2時間に限定されるものではない。
【0051】
(本発明が適用される表面波装置)
第1,第2の発明に係る圧電基板の製造方法により得られた圧電基板は、表面波装置などの様々な圧電装置に用いることができる。
【0052】
図5は、このような圧電装置の一例としての表面波フィルタ装置を示す模式的平面図である。ここでは、LiNbOまたはLiTaOからなり、本発明に従って製造された圧電基板1上に、電極膜を形成し、パターニングすることによりラダー型の表面波フィルタ装置が構成されている。すなわち、圧電基板1上に、直列腕共振子を構成する表面共振子2,3及び並列腕共振子を構成する表面共振子4,5,6が形成されている。表面波共振子2〜6は、ラダー型回路を構成するように電極膜により電気的接続されている。また、各表面波共振子2〜6は、それぞれ、1つのIDTと、IDTの表面波方向両側に配置された反射器とを備える。
【0053】
なお、本発明が適用される表面波装置は、図5に示した電極構造を有するものに限定されるものではなく、様々な表面波共振子や表面波フィルタなどに本発明を適用することができる。
【0054】
【発明の効果】
第1の発明に係る圧電基板の製造方法では、LiNbO基板が、10Pa以下の減圧雰囲気中において、かつ550℃〜キュリー温度の範囲の温度で熱処理が施されるため、表面抵抗率が低いLiNbO基板を提供することができる。
【0055】
同様に、第2の発明に係る圧電基板の製造方法では、LiTaO基板を、20Pa以下の減圧雰囲気で、550℃〜キュリー温度の範囲の温度で熱処理するため、表面抵抗率が低いLiTaO基板を提供することができる。
【0056】
そして、第1,第2の発明に係る圧電基板の製造方法では、上記のように熱処理の圧力及び温度を制御するだけで、表面抵抗率を確実に低下させることができ、煩雑な雰囲気ガスによる雰囲気調整を行う必要がない。従って、表面抵抗率が低く、耐焦電性や耐電力性が高められた圧電装置を構成し得る、表面抵抗率の低い圧電基板を安価に提供することが可能となる。また、雰囲気ガスによる圧電基板の損傷や圧電性の低下も生じ難い。
【0057】
第3の発明によれば、LiNbOまたはLiTaOからなり、表面抵抗率が1.0×1012Ω以下とされているため、該圧電基板を用いて表面波装置などの圧電基板を構成することにより、耐焦電性及び耐電力性が高められ、電極の破壊等が生じ難い信頼性に優れた圧電装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実験例1において、種々の条件で熱処理が施されたLiNbO基板の表面抵抗率の変化を横軸を雰囲気圧力として示す図。
【図2】実験例2において、種々の条件で熱処理されたLiTaO基板の表面抵抗率の変化を横軸を雰囲気圧力として示す図。
【図3】実験例1において、種々の条件で熱処理されたLiNbO基板の表面抵抗率の変化を、横軸を熱処理温度として示す図。
【図4】実験例2において、種々の条件で熱処理されたLiTaO基板の表面抵抗率の変化を、横軸を熱処理温度として示す図。
【図5】本発明の表面波装置の一例を説明するための模式的平面図。
【符号の説明】
1…圧電基板
2〜6…表面波共振子

Claims (9)

  1. 圧電基板の製造方法であって、
    LiNbO基板を用意する工程と、
    前記LiNbO基板を10Pa以下の減圧雰囲気中において550℃〜LiNbO基板のキュリー温度の範囲の温度で熱処理する工程とを備える、圧電基板の製造方法。
  2. 前記減圧雰囲気が、5×10−3〜5.0Paの範囲である、請求項1に記載の圧電基板の製造方法。
  3. 前記熱処理の温度が585℃〜LiNbO基板のキュリー温度であり、前記減圧雰囲気の圧力が20Pa以下である、請求項1に記載の圧電基板の製造方法。
  4. 圧電基板の製造方法であって、
    LiTaO基板を用意する工程と、
    前記LiTaO基板を、20Pa以下の減圧雰囲気で、550℃〜該LiTaO基板のキュリー温度の範囲の温度で熱処理する工程とを備える、圧電基板の製造方法。
  5. 前記減圧雰囲気の圧力が5×10−3〜5.0Paの範囲にあり、前記熱処理の温度が585℃〜キュリー温度の範囲にある、請求項4に記載の圧電基板の製造方法。
  6. 空気中において前記熱処理が行われる、請求項1〜5のいずれかに記載の圧電基板の製造方法。
  7. 請求項1〜6のいずれかに記載の圧電基板の製造方法により得られた圧電基板。
  8. LiNbOまたはLiTaOからなり、表面抵抗率が1.0×1012Ω以下であることを特徴とする、圧電基板。
  9. 請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法で得られた圧電基板と、
    前記圧電基板上に形成された少なくとも1つのインターデジタルトランスデューサとを備える、表面波装置。
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