JP2004149747A - 金属箔サポート材樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明は、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対し、多官能アクリレート化合物が10〜40重量部の割合で含有することを特徴とする樹脂組成物で、ポリビニルブチラールの平均重合度が1,000〜3,000であることを特徴とする金属箔サポート材樹脂組成物で、20〜40μmのフィルム状にした場合の全光線透過率が、80%以上で、金属箔に塗付して用いるサポート材樹脂組成物に関する。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、主にプラズマディスプレーなどの電磁波を遮蔽する層(EMI)に用いる、金属箔メッシュのハンドリングを改善するために用いられる、光線透過率および耐エッチング汚染性に優れた金属箔サポート材樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
プラズマディスプレーなどの電子機器からは、高レベルの電磁波が発生するため、何らかの方法でこの電磁波を遮蔽する層が必要になる。特にCRTやプラズマディスプレーなどは、電磁波を遮蔽する層を画面の前面に設ける必要があるため、電磁波を遮蔽する層には、高い光線透過率が必要となる。このため、一般的に用いられるような金属箔をそのまま用いるなどの方法は使用できない。このようなケースで近年行われている電磁波を遮蔽する手段には、銅箔やアルミ箔などの導電性金属箔をメッシュ状にエッチング加工したものを、画面のガラスに貼り付けて用いる方法がある。その際、メッシュ状に加工した金属箔は、ハンドリングが難しいため、あらかじめPETなどの高透明フィルムをサポート材として、これにドライラミネートした導電性金属箔をエッチング加工することで、光線透過率を維持しながらハンドリング性を改善した電磁波を遮蔽する層が用いられている(特開2002−268565)。この方法は、高い電磁波を遮蔽する機能と光線透過率を維持できるため、好適に用いられているが、高価な高透明グレードのフィルムを用いるため、コスト面に課題がある。高透明グレードのフィルムを用いる替わりに導電性金属箔に、光線透過率に優れるサポート材樹脂組成物を直接塗布する方法がある。この方法は、高価な高透明グレードのフィルムを使用する必要がないため、コストの面で有利となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記サポート材樹脂組成物としては、エチレンビニルアセテート系樹脂や、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂などをホットメルトコーティングする方法が挙げられる。しかしながら、ホットメルトコーティングでは、固化の過程で樹脂層が曇ったり、平滑な塗布表面を得ることが難しくなるため、優れた光線透過率が要求される本用途においては、不向きと言わざるを得ない。また、ポリエステル系樹脂やポリウレタン系樹脂などのドライラミネートに用いられる溶剤系樹脂コーティング方法も考えられるが、熱処理の影響や金属箔をエッチングする際に汚染され、色相が画面の全部または一部で変化するなどの問題が発生することがある。本発明では、上記電磁波を遮蔽する層の製法において、高い光線透過率を有し、エッチングを行った際でも色相の変化がないサポート材樹脂組成物を提供することを目的とする。
【0004】
上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、金属箔サポート材に使用する樹脂組成物として、ポリビニルブチラールとアクリレートを特定の比率で混合し、それぞれの樹脂の物性を限定することで、上記課題を達成しうることを見いだした。
【0005】
すなわち本発明は、ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対し、多官能アクリレート化合物が10〜40重量部の割合で含有することを特徴とする樹脂組成物で、ポリビニルブチラールの平均重合度が1,000〜3,000であることを特徴とする金属箔サポート材樹脂組成物に関する。
【0006】
本発明に用いるポリビニルブチラールは、平均重合度が1,000〜3,000のものを使用する。平均重合度が1,000より低いと、充分な皮膜の強度が得られず、サポート材としてのハンドリング性が低下し、3,000より高いと、溶液の粘度調整が難しく、固形分比が必然的に低下するため、サポート材として必要な膜厚を確保することが難しくなる。市販のものとしては、デンカブチラール#4000−2、#5000A、#6000C(電気化学工業(株)社製)、エスレックBX−1、BX−3(積水化学工業(株)社製)などが挙げられる。これらの樹脂は単体もしくは、2種以上を混合して用いても良い。
【0007】
本発明のサポート材樹脂組成物は、上記ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対し多官能アクリレート化合物を10〜40重量部の割合で混合して用いる。上記多官能アクリレート化合物の配合量が、10重量部よりも低いと、金属箔の寸法変化に追従できなくなり、熱処理時、もしくは、金属箔塗工時のカールなどの問題が生じる。40重量部よりも多いと、皮膜の強度が低下し、ハンドリング性や耐エッチング性が低下する。
【0008】
上記多官能アクリレート化合物は、ポリビニルブチラールとの相溶性が良好であれば特に限定されるものではない。多官能アクリレート化合物は、分子内に2個以上のアクリロイル基もしくはメタクリロイル基を有する化合物であり、具体的にはビスフェノールFアクリレート、ビスフェノールAアクリレート、ペンタエリスリトールアクリレート、トリメチロールプロパンアクリレート等が挙げられ、市販のものとしては、アロニックスM208、M211B、M305、M310、M320(東亞合成株式会社)等が挙げられる。これらの多官能アクリレート化合物は、単体または、2種以上を混合して用いても良い。
【0009】
本発明には、この他、必要に応じて、充填材、酸化防止剤、紫外線吸収剤などを、特性を低下させない範囲で適宜添加することができる。
【0010】
本発明のサポート材樹脂組成物は、金属箔に5〜100μmの厚みになるように塗付し、金属箔をエッチングによりメッシュ状に加工した電磁波を遮蔽する層に用いられる。このとき、5〜100μmのフィルムを形成したサポート材樹脂組成物の全光線透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは85%以上である。全光線透過率が80%以下になると、該電磁波を遮蔽する層を、プラズマディスプレーなどの前面に用いた場合、十分な光量が得られない。
【0011】
該サポート材樹脂組成物を混合する方法としては、特に限定しないが、ポリビニルブチラールを、有機溶剤に有効成分10〜20%程度となるように溶解し、多官能アクリレート化合物を添加する方法が一般的である。溶解に用いる有機溶剤は、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、などのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族類などがあり、これらを適宜組み合わせて使用する。
【0012】
該サポート材樹脂組成物を塗付する方法としては、特に限定しないが、塗付表面の平滑性から、ナイフコーターや、コンマコーター、ダイコーターが好ましい。該サポート材樹脂組成物の塗付厚としては、好ましくは、ドライ厚み5〜100μm、より好ましくは10〜50μmである。5μmより薄いと、充分なハンドリング性が得られず、100μmより厚いと、光線透過率を得ることが難しくなる。
【0013】
サポート材樹脂組成物を塗付した後は、乾燥工程を経た後に、コイル巻き状などにして提供する。
【0014】
【実施例】
以下に、本発明の実施例及び比較例を説明する。
(実施例1)エスレックBX−1(積水化学工業(株)ポリビニルブチラール、平均重合度1,700)をメタノールに有効成分20%になるように溶解したもの500重量部(有効成分100重量部)に対し、アロニックスM305(東亞合成(株)ペンタエリスリトールトリアクリレート)を25重量部を混合し、サポート材樹脂組成物とした。
【0015】
(実施例2)デンカブチラールPVB5000A(電気化学工業(株)ポリビニルブチラール、平均重合度2,000)をメタノールに有効成分20%になるように溶解したもの500重量部(有効成分100重量部)に対し、アロニックスM310(東亞合成(株) トリメチロールプロパンPO変性トリアクリレート)30重量部を混合し、サポート材樹脂組成物を得た。
【0016】
(実施例3)実施例1において、アロニックスM305(東亞合成(株)ペンタエリスリトールトリアクリレート)25重量部を15重量部とした以外は、実施例1と同様にして行なった。
【0017】
(比較例1)実施例1より、アロニックスM305(東亞合成(株)ペンタエリスリトールトリアクリレート)を削除した以外は、実施例1に沿った。
【0018】
(比較例2)実施例1において、アロニックスM305(東亞合成(株)ペンタエリスリトールトリアクリレート)25重量部を50重量部とした以外は、実施例1と同様に行なった。
【0019】
(比較例3)デンカブチラールPVB2000L(電気化学工業(株)平均重合度300)をメタノールに有効成分20%になるように溶解したもの500重量部(有効成分100重量部)に対し、アロニックスM305(東亞合成(株)ペンタエリスリトールトリアクリレート)30重量部を混合し、サポート材樹脂組成物を得た。
【0020】
(比較例4)ハイボンYA780−1(日立化成ポリマー(株)社製 熱可塑性ポリエステル樹脂 Tg−10℃ 数平均分子量約8,500 酢酸エチル溶液有効成分63%)159重量部(有効成分100重量部)に対し、コロネートHL(日本ポリウレタン(株)社製、脂肪族イソシアネート 酢酸エチル溶液 有効成分50%)を4重量部(有効成分3重量部)配合し、サポート材樹脂組成物とした。
【0021】
上記材料を充分に混合し、サポート材樹脂組成物を得た。これらサポート材樹脂組成物を、銅箔(日本電解(株)製、厚さ10μm、黒化処理箔)にドライ厚み25μmになるように連続的に塗付し、サポート材樹脂面に、離型フィルム50E8811−4(藤森工業製(株))に粘着剤SK1310(綜研化学(株)アクリル系粘着剤)をドライ厚み20μmになるように塗付したものを積層した試料(A)を作成した。また、全光線透過率、エッチング汚染性試験に供するため、銅箔の代わりに、高透明PET A4300(東洋紡績製、厚さ50μm)に、サポート材樹脂組成物を塗付して、試料(B)を作成した。
【0022】
(全光線透過率試験、エッチング汚染性試験)
試料(B)を50mm角に裁断したものを、50℃に調温したエッチング液(旭電化工業(株)製 塩化第2鉄 40°Be)に投入し、撹拌状態で3分間放置した。その後水道流水で3分間洗浄し、表面の水分を除去し、23℃24時間放置後、全光線透過率(東洋精機(株)製、ダイレクトリーディングヘーズメーター)および色差Lab系色差測定(ミノルタ製 色彩色差計)にてエッチング浸漬を行なわない試料(B)と比較した。
【0023】
(カール発生)
試料(A)を作成する際、銅箔にサポート材樹脂を塗付、乾燥した直後のカール状態を観察した。評価は、○・・・カールなし ×・・・カールして、円筒状になった で評価した。
【0024】
(ハンドリング性試験)
試料(A)を300mm角に裁断し、離型フィルムをはがしとり、23℃60%RH雰囲気中で、350mm角のガラス板に、試料(A)の一方の端部をセロテープで固定する。資料(A)のもう一方の端部を、手で保持しながら、ファーストラミネーターVAII−700(大成ラミネーター(株)社製)を用いて、速度2m/分、ロール温度40℃でラミネートした。この作業を、実施例、比較例各種サンプル各10枚ずつについて実施し、シワの入ったサンプル数をカウントした。
【0025】
以上、実施例1〜実施例3及び比較例1〜比較例4並びに上述した各評価項目
等を一覧して次の
【表1】に示した。
【0026】
【表1】
【0027】
【発明の効果】
表1の結果より、実施例1,2,3のものは、全光線透過率、エッチング汚染性、カール、ハンドリング性に優れており、本発明品が、電磁波遮蔽用金属箔のサポート材樹脂組成物として優れた特性を提供できることが分かる。
Claims (2)
- ポリビニルブチラール樹脂100重量部に対し、多官能アクリレート化合物が10〜40重量部の割合で含有することを特徴とする樹脂組成物で、ポリビニルブチラールの平均重合度が1,000〜3,000であることを特徴とする金属箔サポート材樹脂組成物。
- 請求項1の樹脂組成物で、5〜100μmのフィルム状にした場合の全光線透過率が、80%以上で、金属箔に塗付して用いるサポート材樹脂組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002350472A JP2004149747A (ja) | 2002-10-29 | 2002-10-29 | 金属箔サポート材樹脂組成物 |
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JP2004149747A true JP2004149747A (ja) | 2004-05-27 |
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ID=32463086
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JP (1) | JP2004149747A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007096218A (ja) * | 2005-09-30 | 2007-04-12 | Toppan Printing Co Ltd | 電磁波遮蔽板の製造方法及び表示装置 |
JP2008244064A (ja) * | 2007-03-27 | 2008-10-09 | Toppan Printing Co Ltd | 電磁波シールド部材、その製造方法および画像表示装置 |
JP2009054890A (ja) * | 2007-08-28 | 2009-03-12 | Panasonic Electric Works Co Ltd | 電磁波シールド性フィルム、電磁波シールド性フィルムの製造方法、ディスプレイ用光学シート体、及びディスプレイ装置 |
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2002
- 2002-10-29 JP JP2002350472A patent/JP2004149747A/ja active Pending
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