JP2007140098A - ディスプレイ用光学フィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】優れた光学特性と取扱い性とを具備し、プラズマディスプレイの前面フィルターとして好適に使用することができるディスプレイ用光学フィルムを提供すること。
【解決手段】基材フィルムの少なくとも片面に、表面の平均表面粗さが10nm以上で最大突起高さが500nm以上であり、かつ、得られる光学フィルムのヘイズ値が2%以下となる近赤外線吸収層を設けることにより、ディスプレイ用光学フィルムを得る。
【選択図】なし

Description

本発明はディスプレイ用光学フィルムに関するものでる。さらに詳しくは、プラズマディスプレイ用の前面フィルターとして好適に使用することができるディスプレイ用光学フィルムに関するものである。
近年、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイは家庭用テレビとして著しく普及が進んでおり、中でも対角40インチ以上の画面サイズにおいては技術面からの大型化の容易さからプラズマディスプレイが注目されている。プラズマディスプレイはキセノンガスを主成分とした希ガスを放電励起させ、これにより蛍光体を励起して発光させているが、キセノンガスを放電励起する際に近赤外線も発生する。この近赤外線による外部リモコン機器などの誤動作の問題が指摘されている。
この対策としてプラズマディスプレイの前面に前面フィルターを設置し、プラズマディスプレイからの近赤外線の放射を低減する技術が検討されている。特にバインダー樹脂中に近赤外線吸収色素を分散させた近赤外線吸収層を基材フィルム上に積層した構造の近赤外線吸収性のディスプレイ用光学フィルムは、軽量化、加工性、コストの点で好適であり、このようなディスプレイ用光学フィルムをプラズマディスプレイの前面に設置する前面フィルターに用いることが提案されている(特許文献1〜3)。しかしながら、上記のような近赤外線吸収層を基材フィルム上に積層した近赤外線吸収性のディスプレイ用光学フィルムは、近赤外線吸収層と基材フィルムの反対面、あるいは基材フィルムの反対面に加工してある機能層(たとえばハードコート層や反射防止層)との間でブロッキングが発生しやすいため、巻取り性を確保するための対策が要求されている。一つの手法として、近赤外線吸収層の塗工・乾燥後かつ巻取り前に、近赤外線吸収層上あるいは基材フィルムの反対面に保護フィルムを貼り合せることで巻取り性を確保しようとする方法がある。しかしこの方法では、巻取り性を確保することは可能であるものの、保護フィルムの材質(保護フィルムに用いられる基材フィルムや粘着剤の種類)によってはその後の工程に温度制約をうけることがあり、加工工程の自由度の観点から好ましくない。他方、近赤外線吸収層自体に微粒子を添加することで表面の粗さを形成し、巻取り性を確保することが考えられるが、巻取り性を向上させようと粒子の添加量を増やした場合には近赤外線吸収層のヘイズ値が高くなってしまうという問題がある。
特開2002−123180号公報 特開2002−132176号公報 特開2003−222721号公報
本発明は、上記背景技術を鑑みなされたもので、その目的は、優れた光学特性と取扱い性とを具備し、プラズマディスプレイの前面フィルターとして好適に使用することができるディスプレイ用光学フィルムを提供することにある。
本発明者は、上記の課題を達成するため鋭意検討した結果、近赤外線吸収層に平均粒径が0.5nm以上の比較的大きな微粒子を含有させ、該微粒子の平均粒径と該近赤外線吸収層の膜厚との関係を制御し、さらに該近赤外線吸収層を構成する樹脂バインダーと微粒子の屈折率差を制御することにより、光学用フィルムの透明性と取扱い性とを同時に満足させ得ることを見出し、さらに検討を重ねて本発明に到達した。
かくして本発明によれば、「基材フィルムの少なくとも片面に近赤外線吸収層が形成されたディスプレイ用光学フィルムにおいて、該近赤外線吸収層表面の平均表面粗さが10nm以上、最大突起高さが500nm以上で、かつ光学フィルムのヘイズ値が2%以下であることを特徴とするディスプレイ用光学フィルム。」が提供される。
また好ましい態様として、近赤外線吸収層の膜厚dが5.0〜10μmであり、かつ近赤外線吸収層中には下記aおよびbを同時に満足する平均粒径rが0.5〜5.0μmの微粒子を含有すること、
a)近赤外線吸収層を構成するバインダー樹脂との屈折率差が0.03以下、
b)該近赤外線吸収層の膜厚dと微粒子の平均粒径rとの比d/rが2.0〜10、
近赤外線吸収層中に、下記一般式で表され、アニオン部分とカチオン部分の両方にフッ素原子を同時に有する近赤外線吸収色素が少なくとも1種類含有され、該フィルムの波長450〜650nmにおける光線透過率が45%以上で、波長820〜1100nmにおける光線透過率が15%以下であること、
Figure 2007140098
(式中、R〜Rはそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基または部分/全フッ化アルキル基を表し、R〜R12はそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基またはアルコキシル基を表し、Xは陰イオンを表す。)
基材フィルムと近赤外線吸収層との間にアンカーコート層を設けたこと、
近赤外線吸収層の上側または基材フィルムの近赤外線吸収層を設けた側と反対側の面にハードコート層を設けたこと、
ハードコート層の上側にさらに反射防止層を設けたこと、
の少なくともいずれか一つを具備するディスプレイ用光学フィルムが提供される。
本発明のディスプレイ用光学フィルムは、近赤外線吸収層には最大表面突起高さが500nmといった高い突起が形成されているので、光学特性や透明性を低下させることなく巻取性および滑り性などが十分に確保されている。したがって、プラズマディスプレイ用前面フィルターを初めとして、種々のディスプレイ用光学フィルムに好適に使用することができる。
本発明のディスプレイ用光学フィルムを、まず図面を用いて説明する。図1は、本発明のディスプレイ用光学フィルムの断面図、すなわち層構成の一例を示すものである。図1中、符号1は基材フィルム、符号2はアンカーコート層、符号3は近赤外線吸収層、符号4はハードコート層、符号5は高屈折率層(反射防止層)、符号6は低屈折率層(反射防止層)を示す。図1から容易に理解できるように、本発明のディスプレイ用光学フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に近赤外線吸収層が積層されたものであり、このような構成を有するものであれば、例えばアンカーコート層、ハードコート層、反射防止層などの他の機能層が、本発明の目的を損なわない限りにおいて、さらに形成されていてもよい。
このように本発明のディスプレイ用光学フィルムは、基材フィルムの少なくとも片面に、近赤外線吸収層が形成されており、さらに、該近赤外線吸収層表面の平均表面粗さが10nm以上、最大突起高さが500nm以上で、かつ光学フィルムのヘイズ値が2%以下である必要がある。この平均表面粗さが10nm未満の場合または最大突起高さが500nm未満の場合には、ブロッキングが発生しやすくなったり、滑り性が低下してロールとして、巻き取ることが困難になったり加工工程での工程安定性が低下するので好ましくない。一方、ヘイズ値が2%を超える場合には、光学フィルム用としては透明性が不十分となり、本発明の目的を達成することができない。なお、ブロッキング性および滑り性の観点からは平均表面粗さおよび最大突起高さは大きいほうがよいが、大きくしすぎるとヘイズ値が大きくなる傾向にあるので、平均表面粗さは10〜100nm、特に12〜70nmの範囲とするのが好ましく、最大突起高さは500〜3000nm、特に600〜2000nmの範囲とするのが好ましい。
このような表面粗さ特性とヘイズ値特性とは、後述するように近赤外線吸収層中に含有させる微粒子の平均粒径、屈折率および近赤外線吸収層の膜厚を選定することにより容易に調整できる。
以下、本発明のディスプレイ用光学フィルムを形成する各層について、さらに詳しく説明する。
[近赤外線吸収層]
本発明における近赤外線吸収層は、近赤外線吸収性能を有していれば特に限定されないが、近赤外線吸収色素、特に下記一般式で表されるジイモニウム塩化合物であって、カチオン部分とアニオン部分の両方にフッ素原子を同時に有する近赤外線吸収色素を少なくとも1種類含有することが好ましい。
Figure 2007140098
(式中、R〜Rはそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基または部分/全フッ化アルキル基を表し、R〜R12はそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基またはアルコキシル基を表し、Xは陰イオンを表す。)
上記式中のR〜Rにおける(I)アルキル基、(II)アリール基、(III)アルケニル基、(IV)アラルキル基、(V)アルキニル基、(VI)部分/全フッ化アルキル基中の水素原子は、ヒドロキシ基、シアノ基、アルコキシ基、アミノ基、ハロゲン原子などに置換されていてもよく、それぞれ例えば以下の基を例示することができる。
(I)アルキル基:メチル基、エチル基、n−プロピル基、iso−プロピル基、n−ブチル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、n−アミル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、3−シアノプロピル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、ブトキシエチル基など、
(II)アリール基:フェニル基、フルオロフェニル基、クロロフェニル基、トリル基、ジエチルアミノフェニル基、ナフチル基など、
(III)アルケニル基:ビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基など、
(IV)アラルキル基:ベンジル基、p−フルオロベンジル基、p−クロロフェニル基、フェニルプロピル基、ナフチルエチル基など、
(V)アルキニル基:エチニル基、プロピニル基、ブチニル基など、
(VI)全フッ化アルキル基:パーフルオロメチル基、パーフルオロエチル基、n−パーフルオロプロピル基、iso−パーフルオロプロピル基、n−パーフルオロブチル基など、
部分フッ化アルキル基:化学式−CHCF、−(CHCF、−(CHCF、−(CHCF、−CHCH(CFなどで表されるフルオロアルキル基。これらのなかでは2,2,2−トリフルオロエチル基が、最大吸収波長の観点から好ましい。
また前記式中のR〜R12における(VII)ハロゲン原子、(VIII)アミノ基、(IX)アルキル基、(X)アルコキシル基としては、それぞれ以下の基を例示することができる。
(VII)ハロゲン原子:フッ素、塩素、臭素など、
(VIII)アミノ基:ジエチルアミノ基、ジメチルアミノ基など、
(IX)アルキル基:メチル基、エチル基、プロピル基など、
(X)アルコキシル基:メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基など、
また前記式中におけるフッ素原子を有するアニオン部分Xとしては、例えばフッ素イオン、ヘキサフルオロアンチモン酸イオン、ヘキサフルオロリン酸イオン、テトラフルオロホウ酸イオン、ビス(トリフルオロメタンスルフォニル)イミド酸イオンなどが挙げられる。
前記一般式で表されるジイモニウム塩系化合物のうち、カチオン部分とアニオン部分のいずれかにフッ素原子を有するものは、近赤外線領域の吸収が大きくかつ吸収しうる波長域も広く、さらには可視光線領域の透過率も高いという特徴を有している。しかし、上述のような、カチオン部分とアニオン部分の両方にフッ素原子を同時に有するジイモニウム塩系化合物を含有する近赤外線吸収層は、高温下(温度105℃湿度40%下)に長時間保持しても可視光から近赤外線にわたって透過率の変化が少なく、プラズマディスプレイ用前面フィルターとして好適な耐熱性を有するので好ましい。
本発明においては、近赤外線吸収層に近赤外線吸収色素が少なくとも1種類含有されていれば、さらに広い吸収波長を確保する目的で他の色素を併用しても構わない。
上記ジイモニウム塩系化合物と併用しうる他の近赤外線吸収色素としては、フタロシアニン系化合物、ジチオール金属錯体化合物、シアニン系化合物、ナフタロシアニン系化合物、スクアリリウム塩系化合物、ピリリウム系化合物、チオペリリウム系化合物、クロコニウム系化合物、アゾ系色素、アゾキレート系色素、アミニウム塩系色素、キノン系色素、アントラキノン系色素、ポリメチン系色素、トリフェニルメタン系色素などが挙げられる。
これらのうち、フタロシアニン系化合物の具体例としては、Excolor IR−1、IR−2、IR−3、IR−4、IR−10、IR−12、IR−14、TXEX−805K、TXEX−809K、TXEX−810K、TXEX−811K、TXEX−812K、TXEX−813K、TXEX−814K(以上、日本触媒社製)、MIR−369、MIR−389(以上、三井化学社製)などの市販品を、好適な物として例示することができる。
また、ジチオール金属錯体系化合物の具体例としては、例えばSIR−128、SIR−130、SIR−132,SIR−159(以上、三井化学社製)などの市販品を例示することができる。
また、シアニン系化合物の具体例としては、例えばTZ−103、TZ−104、TZ−105、TZ−109、TZ−111、TZ−114(以上、旭電化社製)、CY−9、CY−10、CY−20、CY−30(以上、日本化薬社製)、IR−301(山田化学社製)などの市販品が好適である。
さらに、本発明のディスプレイ用光学フィルムの近赤外線吸収層には、かかるフィルムをプラズマディスプレイ用前面フィルターに用いたときの色バランスを向上させるために、プラズマディスプレイから発光されるネオン光を吸収する色補正色素を近赤外線吸収層に含有させることが好ましい。具体的には、570〜620nmの波長域における光線透過率が10〜60%、かつ820〜1100nmの波長域における光線透過率が15%以下となるように、波長570〜605nmの範囲に極大吸収を有する色補正色素を、近赤外線吸収層に含有させることが好ましい。
使用できる補正色素としては特には制限されないが、最大吸収ピークの半値幅が60nm以下、好ましくは50nm以下のものを用いるのが好ましい。また、前記赤外線吸収色素と相互作用が無いか、あるいは小さいことが好ましい。特に好ましい色素としては、シアニン系、ポリメチン系、スクアリリウム塩系、フタロシアニン系、ナフタロシアニン系、キノン系、アゾ系、ポルフィリン系、アザポルフィリン系、アゾキレート系、アズレニウム系、ピリリウム系、クロコニウム系、ジチオール金属錯体系、ピロメテン系、アゾメチン系、キサンテン系、オキソノール系などの色素が挙げられる。これらの色補正色素の中には、前記の近赤外線吸収色素と同じ種類の物があるが、例えば導入する置換基の種類を選択することにより、波長570〜605nmの範囲に極大吸収波長を有するものとすることができる。
本発明における近赤外線吸収層は、上記の近赤外線吸収色素がバインダー樹脂中に分散した形態であることが好ましい。なおバインダー樹脂に対する近赤外線吸収色素含有量は、得られる光学フィルムの波長450〜550nmにおける光線透過率が45%以上、好ましくは50%以上、特に好ましくは55%以上で、かつ波長820〜1100nmにおける光線透過率が15%以下、好ましくは10%以下となるようにすることが望ましく、0.5〜7重量%、好ましくは1〜6重量%、最も好ましくは1.5〜5.5重量%の範囲とするのが適当である。ここで波長450〜550nmにおける光線透過率が45%未満となる割合では、このディスプレイ用光学フィルムを用いてプラズマディスプレイの前面フィルターを形成した際の可視光線透過率が低くなりすぎてしまう。一方、波長820〜1100nmにおける近赤外線透過率が15%を超える割合では、同じくプラズマディスプレイの前面フィルターを形成した際の赤外線放射遮蔽効果が低下してリモコンなどの誤動作を引き起こしてしまう可能性がある。
なお、バインダー樹脂に対する前記式で表されるジイモニウム塩系色素の含有量が上記範囲より多い場合には、バインダー樹脂中での近赤外線吸収色素の濃度が高くなって色素間距離が短くなる。その結果、近赤外線吸収色素同士、特に前記式で表されるジイモニウム塩系色素と他の色素間の相互作用により耐熱性などの低下が生じやすくなる。一方、前記式で表される色素の含有量が上記範囲より少ない場合には、赤外線放射遮蔽効果が小さくなる。
本発明においては、前記式で表されるジイモニウム塩系色素以外の色素の含有量は、バインダー樹脂に対して0.01〜10重量%、特に0.05〜8重量%の範囲とすることが好ましい。
近赤外線吸収色素がバインダー樹脂中に分散した形態の近赤外線吸収層を形成する方法は特に限定する必要はなく、例えば、近赤外線吸収色素とバインダー樹脂を溶剤に溶解または分散させたコーティング液を調整し、これを基材フィルム上に塗布・乾燥する方法を採用することが好ましい。
近赤外線吸収層に用いるバインダー樹脂は、ガラス転移温度(Tg)の高いものが好ましく、具体的にはTgが80〜250℃の範囲にあるものが好適である。Tgが上記範囲を下回る樹脂をバインダーに用いた場合には、高温高湿下において近赤外線吸収色素が動きやすくなるため、かかる色素同士の相互作用が生じやすくなって色素の変性が起こりやすくなる。その結果、得られるディスプレイ用光学フィルムの分光特性や色調の変化が生じやすくなる場合がある。一方、Tgが上記範囲を超える樹脂をバインダーに用いた場合には、近赤外線吸収層を塗布・乾燥により形成しようとした場合の溶剤の揮発がうまく行われず、形成された近赤外線吸収層中に溶剤が残留して十分な膜強度が得られない場合がある。その結果、近赤外線吸収層の耐熱性や耐湿熱性が低下してしまう場合がある。
近赤外線吸収層用のバインダー樹脂としては、例えばポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリスチレン系樹脂などの合成樹脂、ゼラチン、セルロース誘導体などの天然樹脂などから上記範囲のTgを有する樹脂を選択して用いればよい。具体的には、フルオレン環を有する共重合ポリエステル(例えば、カネボウ社製「O−PET」)、非極性シクロオレフィンポリマー(例えば、日本ゼオン製「ZEONEX」)、側鎖に極性基を有するノルボルネン骨格の樹脂(例えばJSR製、「ARTON」)、脂環式アクリル樹脂(例えば、日立化成社製、「オプトレッツ」)などを用いることができる。
かかるバインダー樹脂には、光学フィルム自体または近赤外線吸収層の耐光性を向上させる目的で、紫外線吸収剤を含有させても構わない。含有させる形態は特に限定されず、例えば低分子量の紫外線吸収剤をバインダー樹脂中に分散させても、紫外線吸収剤をバインダー樹脂のポリマー主鎖中もしくは側鎖中に共重合させても構わない。
本発明においては、該近赤外線吸収層に前記平均表面粗さ、最大突起高さ、および、ヘイズ値の条件を満足させるため、例えば以下を満足する微粒子を含有させることが好ましい。すなわち、微粒子の平均粒径rは0.5〜5μmが好ましく、さらに好ましくは0.7〜4μm、最も好ましくは1.0〜3μmとし、さらに、近赤外線吸収層の膜厚dに関して、d/rが2.0〜10となるようにするのが好ましく、さらに好ましくは2.2〜7.0の範囲となるようにする。該平均粒径が大きくなりすぎたり、近赤外線吸収層の膜厚に対して大きくなりすぎると、ヘイズ値を2%以下にすることが難しくなり、逆にこれらが小さくなりすぎると、ブロッキング性や滑り性が低下して十分な巻取り性を確保することが難しくなる。
また、上記微粒子の屈折率は、近赤外線吸収層に用いられるバインダー樹脂の屈折率との差が0.03以下、特に0.02以下であることが好ましい。かくすることにより、ヘイズ値を抑制しながら、近赤外線吸収層の平均表面粗さや最大突起高さの要件を満足させることが容易となる。好ましく用いられる微粒子は、用いられるバインダー樹脂によって変わるが、例えばシリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、酸化チタン、チタン酸バリウムなどの無機系微粒子、アクリル、ポリエステル、ポリウレタンなどの有機系微粒子などを例示することができる。
近赤外線吸収層を、近赤外線吸収色素、バインダー樹脂および微粒子を溶解または分散させたコーティング液により形成する場合、かかるコーティング液に使用できる溶媒は、上記近赤外線吸収色素および色補正色素、並びにバインダー樹脂を十分に溶解できる溶媒であれば特には限定されない。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シンクロヘキサノンなどのケトン類、酢酸エチル、酢酸プロピルなどのエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブタノールなどのアルコール類、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブなどのセロソルブ類、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、テトラヒドロフランなどのフラン類、ジメトキシエタン、n−ヘキサン、n−ヘプタンなどの脂肪族炭化水素類、N,N−ジメチルホルムアミドなどのアミド類、水などが挙げられる。
このような近赤外線吸収層を形成するためのコーティング液には、形成される塗膜のハジキ欠点、凹み欠点、スジ状のムラ欠点、白化などを防ぐ目的で界面活性剤を添加することができる。かかる界面活性剤としては、カチオン系、アニオン系、ノニオン系のいずれの形態であっても使用できるが、界面活性能に優れるシリコーン系またはフッ素系の界面活性剤が好ましく、また近赤外線吸収色素の劣化の観点から極性基を有していないノニオン系が好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、例えばヒドロキシ変性シロキサン、アミノ変性シロキサン、カルボキシル変性シロキサン、アルキレンオキシド変性シロキサンなどが挙げられる。またフッ素系界面活性剤としては、パーフルオロアルキルアンモニウム塩、パーフルオロアルキルスルホン酸アミド、パーフルオロアルキルスルホン酸ナトリウム、パーフルオロアルキルスルホン酸カリウム、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物、パーフルオロアルキルアミノスルホン酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル塩、パーフルオロアルキル/パーフルオロエーテル共重合物、部分フッ化アルキル/部分フッ化エーテル共重合物、パーフルオロアルキル変性シロキサン、部分フッ化アルキル変性シロキサン、パーフルオロエーテル変性シロキサン、部分フッ化エーテル変性シロキサンなどが挙げられる。
界面活性剤の含有量は、上記近赤外線吸収層中に0.01〜2.0質量%の範囲とするのが適当である。界面活性剤の量が下限より少ない場合には、塗工外観や滑り性の改善効果が低下する場合がある。一方界面活性剤の量が上限よりも多い場合には、近赤外線吸収層が水分を吸着して色素の劣化を促進する場合がある。
近赤外線吸収層形成用の上記コーティング液の濃度は色素、バインダー樹脂、微粒子、さらには界面活性剤などの添加物を含む固形分濃度で5.0〜50質量%の範囲、特に10〜40質量%の範囲とするのが好ましい。
なお、上記のコーティング液を基材フィルムに塗布するに際しては、任意の公知の方法を採用することができ、例えばリップダイレクト法、コンマコーター法、スリットリバース法、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、バーコーター法などが挙げられる。熱硬化性樹脂をバインダー樹脂として用いる場合には、コーティング液を基材フィルム上に塗布し、加熱乾燥・硬化させて塗膜を形成させればよい。加熱条件としては80〜160℃で10〜120秒間、特に100〜150℃で20〜60秒間が好ましい。UV硬化性樹脂またはEB硬化性樹脂をバインダー樹脂として用いる場合には、一般的には予備乾燥を行った後、紫外線照射または電子線照射を行なって硬化させればよい。
また、必要に応じて、基材フィルムへの密着性、塗工性を向上させるための予備処理として、フィルム表面にコロナ放電処理、プラズマ放電処理などの物理的表面処理を施してもよく、また、フィルムの製膜中または製膜後に表面にアンカーコート層を形成する化学的表面処理を施すことが好ましい。
本発明の近赤外線吸収層の厚み(塗布・乾燥後の厚み)は、5〜10μm、特に6〜8μmの範囲であることが好ましい。該厚みが下限を下回る場合には、該吸収層の平均表面粗さの要件と最大突起高さの要件を同時に満足させることが難しくなるだけでなく、近赤外線域に十分な吸収性能を発現させるためのバインダー樹脂に対する色素の比率を大きくせざるを得なくなり、その結果として、耐熱性や耐湿熱性の低下を招くことがある。他方、塗膜厚みが上限を超える場合には、平均表面粗さの要件と最大突起高さの要件を同時に満足させることが難しくなる。
一般的には、フィルム表面にコーティングにより塗膜を形成する場合には、巻取り時のブロッキングが生じないように十分に乾燥を行う必要があるが、通常残留溶剤濃度が7%以下であれば見かけ上乾燥していてブロッキングは生じない。しかしながら、近赤外線吸収層を有するディスプレイ用光学フィルムを高温高湿下に長時間放置した場合には、残留溶剤の影響により見かけのTgが低下するため、バインダー樹脂−近赤外線吸収色素間、近赤外線吸収色素同士間、さらには残留溶剤−近赤外線吸収色素間で相互作用が生じやすくなって近赤外線吸収色素が変性しやすくなる。したがって、近赤外線吸収層の残留溶剤濃度は5%以下とするのが好ましい。なお、残留溶剤濃度は低いほど上記の現象は起こり難くなるが、0.1%未満まで低減するためには乾燥熱処理の温度を高くするか、または処理時間を長くすることが必要となり、その結果、該該乾燥熱処理工程中で近赤外線吸収色素が変性してしまうことがあるので、0.1%以上とするのが好ましい。
本発明においては、基材フィルムと近赤外線吸収層の密着性を向上させる目的でアンカーコート層を設けてもよい。かかるアンカーコート層は透明性を備えるものであれば特に制限はされないが、特にポリエステル樹脂とオキサゾリン基およびポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリル樹脂の両方を含むことが望ましい。
ここで用いられるポリエステル樹脂も特に制限はなく、以下に示す多塩基酸とポリオールとからなるポリエステルを例示することができるが、特に水(多少の有機溶剤を含有していてもよい)に可溶性または分散性のポリエステルが好ましい。
ポリエステル樹脂の多塩基酸成分としては例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸等を挙げることができる。なかでも、これら酸成分を2種類以上含有する共重合ポリエステルが好ましい。なお、若干量であればマレイン酸、イタコン酸等の不飽和多塩基酸成分や、p−ヒドロキシ安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸成分が含まれていてもよい。
またポリオール成分としては例えば、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシリレングリコール、ジメチロールプロパン等や、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを挙げることができるがこれらに限定されるものではない。
一方オキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂も、水(多少の有機溶剤を含有していてもよい)に可溶性または分散性のアクリル樹脂が好ましい。かかるオキサゾリン基とポリアルキレンオキシ鎖とを有するアクリル樹脂としては例えば、以下に示すモノマーを共重合成分として含むものをあげることができる。
まずオキサゾリン基を有するモノマーとしては、例えば2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリン等を挙げることができ、これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中で2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手しやすく好適である。かかるオキサゾリン基を有するアクリル樹脂を用いることによりアンカーコート層の凝集力が向上し、近赤外線吸収層との密着性がより強固になる。さらにフィルム製膜工程内や近赤外線吸収層加工工程における金属ロールに対する耐擦傷性を基材フィルム表面に付与できる。なお、オキサゾリン基を含有するモノマーの含有量は、該アクリル樹脂中の含有量として2〜40重量%、好ましくは3〜35重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。
次にポリアルキレンオキシド鎖を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたものを挙げることができる。ポリアルキレンオキシド鎖はポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドなどを挙げることができる。ポリアルキレンオキシド鎖の繰返し単位は3〜100であることが好ましい。かかるポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリル樹脂を用いることによりアンカーコート層中のポリエステル樹脂とアクリル樹脂の相溶性がポリアクリレンオキシド鎖を含有しないアクリル樹脂と比較してよくなり、アンカーコート層の透明性を向上させることができる。ここでポリアルキレンオキシド鎖の繰返し単位が3より小さいとポリエステル樹脂とアクリル樹脂との相溶性が低下してアンカーコート層の透明性が悪くなり、逆に100より大きいとアンカーコート層の耐湿熱性が下がり、高湿度、高温下での近赤外線吸収層との密着性が悪化する。なお、ポリアルキレンオキシド鎖を有するモノマーの含有量は、該アクリル樹脂中の含有量として3〜40重量%、好ましくは4〜35重量%、さらに好ましくは5〜30重量%である。
アクリル樹脂のその他の共重合成分としては、例えば以下のモノマーを挙げることができる。すなわちアルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ基含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテルなどのエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸およびその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩など)などのカルボキシ基またはその塩を有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリルアミド(アルキル基としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基など)、アクリロイルモルフォリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマル酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエンなどであるが、これらのモノマーに限定されるものではない。
アンカーコート層を形成するポリエステル樹脂のアンカーコート層中の含有割合は5〜95重量%であることが好ましく、特に50〜90重量%であることが好ましい。アンカーコート層を形成するオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂のアンカーコート層中の含有割合は5〜90重量%であることが好ましく、特に10〜50重量%であることが好ましい。ポリエステル樹脂が95重量%を超える、もしくはオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂が5重量%未満になるとアンカーコート層の凝集力が低下し、近赤外線吸収層の密着性が不十分になる場合がある。
アンカーコート層中には、脂肪族ワックスを0.5〜30重量%含有させることができ、特に1〜10重量%含有させることが好ましい。この割合が0.5重量%未満の場合にはフィルム表面の滑性向上効果が低下する。一方、30重量%を越える場合には、フィルム基材への密着や、近赤外線吸収層に対するアンカーコート性が不足する場合がある。
上記の脂肪族ワックスの具体例としてはカルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバオイル、パームワックス、ロジン変性ワックス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エスパルトワックス、バークワックスなどの植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、セラックワックスなどの動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックスなどの鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタムなどの石油系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなどの合成炭化水素系ワックスなどである。さらに滑性が良好なことから、カルナバワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスがより好ましい。これらのワックスは、特に環境問題の観点および取り扱いの容易さから、水分散体を用いるのが好ましい。
アンカーコート層中には、本発明の目的を阻害しない範囲内で、平均粒子系が0.005〜0.5μmの範囲のフィラーを0.1〜20重量%含有させることが好ましい。アンカーコート層中のフィラーの含有量が0.1重量%未満である場合には、フィルムの滑性が不足しやすく、ロール状に巻取ることが困難になることがある。一方、20重量%を超える場合には、アンカーコート層の透明性が不足して、ディスプレイ用光学フィルムとして用いることが困難になることがある。上記のフィラーとしては例えば炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、酸化ケイ素、ケイ酸ソーダ、水酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、酸化チタン、酸化錫、酸化アンチモンなどの無機微粒子、アクリル系架橋重合体、スチレン系架橋重合体、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、ポリエチレンワックスなどの有機微粒子を挙げることができる。これらのうち、水不溶性の固体物質は水分散液中で沈降するのを防ぐため、比重が3を超えない微粒子を選ぶことが好ましい。
アンカーコート層(以下「塗膜」ということがある)の塗工に用いられるコーティング液は、水溶液、水分散液あるいは乳化液などの水性塗液の形態で使用されることが好ましい。塗膜を形成するために、必要に応じて上述以外の成分、例えば帯電防止剤、着色剤、界面活性剤、紫外線吸収剤などの添加剤を併用しても構わない。
アンカーコート層の塗工に用いる水性塗液の固形分濃度は通常20重量%以下であるが特に1〜10重量%であることが好ましい。この割合が1重量%未満であると、基材フィルムへの濡れ性が不足することがあり、一方20重量%を超えると塗液の貯蔵安定性やアンカーコート層の外観が悪化することがある。
アンカーコート層の膜厚は、十分な密着向上効果を発現しかつ透明性を損なわない範囲であれば特に制限されないが、通常は0.001〜0.10μm、好ましくは0.005〜0.090μm、特に好ましくは0.01〜0.085μmの範囲が適当ある。
本発明におけるアンカーコート層は少なくとも片面に形成することで、基材フィルムと近赤外線吸収層、または、基材フィルムと、近赤外線吸収層とは反対面に形成するその他の機能層との密着性を上げることができるが、もちろん両面に塗工しても構わない。基材フィルムの両面にアンカーコート層を形成する場合には、両面同種の材料を塗布してもよいし、表面と裏面に異なる成分の材料を塗布してもよい。
次に本発明における基材フィルムは特に制限する必要はないが、(メタ)アクリル系樹脂、ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレンやポリプロピレンのようなポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリイミド、ポリアミド、ポリスルホン、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート(以下、PETと称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下、PENと称することがある。)などのポリエステル(全酸成分を基準として20モル%以下、好ましくは10モル%以下の第3成分を共重合していてもよい)やアミノ基、エポキシ基、ヒドロキシル基、カルボニル基等の官能基で一部変性した樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などからなるフィルムが好適である。これらの基材フィルムのうち、機械特性や透明性、生産コストの点からポリエステル(PET、PENおよびそれらの共重合ポリエステル)フィルムが特に好ましい。基材フィルムの厚みも特に制限されないが、500μm以下が好ましい。500μmより厚い場合には剛性が強すぎて、得られたフィルムをディスプレイなどに貼付ける際の取扱い性が低下しやすい。
上記の基材フィルムには、近赤外線吸収層の耐候性を向上させる目的で紫外線吸収剤を含有させることが好ましい。この紫外線吸収剤としては、その種類を特に限定する必要はないが、波長380nmにおける光線透過率が20%以下となるように紫外線吸収剤の種類および添加量を設定することが好ましい。なお基材フィルムがポリエステルフィルムの場合、下記式(I)で表わされる環状イミノエステルおよび下記式(II)で表わされる環状イミノエステルから選ばれる少なくとも1種の化合物を、未反応の形態で含有していることが好ましい。
Figure 2007140098
(式(I)で、Xは、上記式に表わされたXからの2本の結合手が1位、2位の位置関係にある、2価の芳香族残基であり、nは1、2または3であり、Rはn価の炭化水素残基で、これはさらにヘテロ原子を含有していてもよい、またはRはn=2のとき直接結合であることができる。)
Figure 2007140098
(式(II)で、Aは下記式(II)-aで表わされる基であるかまたは下記式(II)-bで表わされる基であり、RおよびRは同一もしくは異なり1価の炭化水素残基であり、Xは4価の芳香族残基で、これはさらにヘテロ原子を含有していてもよい。)
Figure 2007140098
Figure 2007140098
かかる環状イミノエステルは紫外線吸収剤として公知の化合物であり、例えば特開昭59−12952号公報に記載されている。
かかる環状イミノエステルは、ポリエステルに対して優れた相溶性を有するが、ポリエステルの末端水酸基と反応する能力を有する。そこで、これらの環状イミノエステルが実質的に未反応な状態で含有されるように、環状イミノエステルとポリエステルとを注意深く混合させることが求められる。ただし、ポリエステルとして、主たる割合の末端基がカルボキシル基であるポリエステルや、末端水酸基が該環状イミノエステルと反応性の無い末端封鎖剤で封鎖されているポリエステルを用いる場合、環状イミノエステルを未反応の状態で含有する組成物を製造するのに特別の注意を払う必要はない。末端基の主たる割合が水酸基であるポリエステルを用いる場合には、溶融混合の時間は、下記式を同時に満足するように、短時間で完了するようにするのが望ましい。
Logt≦−0.008T+4.8
Tm<T<320
(式中、tは溶融混合時間(秒)、Tは溶融混合温度(℃)、Tmはポリエステルの溶融温度(℃)である。)
この場合、環状イミノエステルとポリエステルとが少しの割合で反応する可能性があるが、この反応によってポリエステルの分子量は大きくなるので、この割合によっては可視光吸収剤によるポリエステルの劣化による分子量低下を防ぐことが可能である。
基材フィルムとしてポリエステルフィルムを用いる場合には、アンカーコート層を設けるための前述の水性塗料塗布は任意の段階で実施することができるが、ポリエステルフィルムの製造過程で実施するのが好ましい。特に配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムに塗布するのが好ましい。
ここで配向結晶化が完了する前のポリエステルフィルムとは、未延伸フィルム、未延伸フィルムを縦方向または横方向の何れか一方に配向せしめた一軸配向フィルム、さらには縦方向および横方向の二方向に低倍率延伸配向せしめたもの(最終的に縦方向、また横方向に再延伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フィルム)などを含むものである。
なかでも未延伸フィルムまたは一方向に配向せしめた一軸延伸フィルムにアンカーコート層を形成するための水性塗液を塗布し、そのまま縦延伸および/または横延伸と熱固定とを施すのが好ましい。
アンカーコート層を形成するための水性塗液を基材フィルムに塗布する際には、密着性や塗布性を向上させるための予備処理として、基材フィルム表面にコロナ処理、火炎処理、プラズマ処理などの物理処理を施すか、あるいは水性塗液にこれと化学的に不活性な界面活性剤を併用することが好ましい。
かかる界面活性剤は、上記アンカーコート層を形成する水性塗液の基材フィルムへの濡れを促進するものであり、例えば、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレン−脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪族エステル、グリセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩などのアニオン型、ノニオン型界面活性剤を挙げることができる。界面活性剤は塗膜を形成する組成物中に0.1〜10重量%含まれていることが好ましい。
アンカーコート層を形成する際の塗布方法としては、それ自体公知の方法を採用すればよい。例えばリップダイレクト法、コンマコーター法、スリットリバース法、ダイコーター法、グラビアロールコーター法、ブレードコーター法、スプレーコーター法、エアーナイフコート法、ディップコート法、バーコーター法などを例示することができ、これらの方法を単独または組み合わせて用いることができる。
以上に説明した本発明のディスプレイ用光学フィルムには、上記近赤外線吸収層以外の各種機能性付与のための層を、粘着剤層を介して/もしくは粘着剤層を介することなく形成してもよい。すなわち、これら機能性付与層は近赤外線吸収層の上に形成してもよく、近赤外線吸収層を設けていない面側に形成してもよい。
好ましく形成しうる機能性付与層について、例をあげて説明する。例えば、本発明のディスプレイ用光学フィルムを用いるディスプレイの種類によっては、デバイス自体から発生する電磁波を遮断する必要があり、その機能を実現するための導電性の層を設けることができる。導電層としては、金属メッシュ、スパッタリング法や真空蒸着法などによって形成された透明導電膜が挙げられる。
金属メッシュの場合、開口率50%以上のものを用いるのが好ましい。金属メッシュの開口率が低い場合は、電磁波遮断性は高くなるが、光線透過率が低くなる。金属メッシュの具体例としては電気伝導性の高い金属箔をエッチング処理してメッシュ状にしたもの、金属繊維や高分子繊維の表面に金属をメッキ法などで付着させた繊維を用いた織物状のメッシュなどが挙げられる。金属メッシュに用いる金属は特には限定されないが、加工性やコストの点で銅、ニッケル、タングステンなどが好ましく使用される。
透明導電膜の場合、透明導電膜の厚みは10nm以上であって、100nm以下、好ましくは50nm以下であることが望ましい。透明導電膜の厚みが下限を下回る場合には電磁波遮断の効果が十分に得られないことがある。一方、透明導電膜の厚みが上限を上回る場合は、光線透過率が不十分となることがある。なお、上記透明導電膜の導電率を高める場合には、金属酸化物/金属/金属酸化物のような3層以上の積層構造とすることが好ましい。金属を構成要素に含めることで高い可視光線透過率を維持しながら、優れた導電性を実現できる。積層する金属は特には限定されないが、導電性の観点から金、銀、およびこれらを含む化合物が好適である。この構成をとる場合も、トータルでの好ましい膜厚は前述の透明導電膜の好適な厚みの範囲とすることが好ましい。また、積層されている金属の厚みは5nm以上であって、20nm以下、好ましくは10nm以下であることが望ましい。金属の厚みが下限以下の場合は、導電性を向上させる効果が十分に得られない場合がある。一方で、金属の厚みが上限以上の場合は十分な光線透過率が得られない場合がある。
また、本発明のディスプレイ用光学フィルムを用いるディスプレイの種類によっては、デバイスの色再現性の不十分さを補うために、色補正層を設けることができる。
また、本発明のディスプレイ用光学フィルムがディスプレイ表面に用いられる場合の傷付き防止として、反射防止加工をする場合のアンカーコート層としてのハードコート層を形成することもできる。
ハードコート層は、透明性を有し、かつ適度な硬度を有していればその形成材料には特に限定はなく、例えば電離放射線や紫外線照射による硬化樹脂や熱硬化性樹脂を使用できる。特に、紫外線照射硬化型のアクリル系や有機珪素系樹脂や、熱硬化型のポリシロキサン樹脂が好適である。これらの樹脂は公知のものを用いることができる。さらに、このハードコート層は基材フィルムと屈折率が同等もしくは近似していることがより好ましいが、膜厚が3μm以上の場合には特に限定する必要はない。
ハードコート層を形成するに際しては、その塗布方法に制限はないが、表面平滑に且つ均一に形成することが好ましい。なお、ハードコート層には平均粒子径0.01〜1μmの透明な無機微粒子を混合分散させてもよい。これにより膜としての架橋収縮率が改良され、塗膜の平面性を向上させることができる。この無機微粒子によりハードコート層と近赤外線吸収層やアンカーコート層との密着性を高めることができる。無機微粒子としては、二酸化珪素粒子、二酸化チタン粒子、酸化ジルコニウム粒子、酸化アルミニウム粒子などが好ましい。
また、視認性の向上を目的として、近赤外線吸収層の上部、近赤外線吸収層に機能性付与層を設けた場合にはその上部、もしくは基材フィルムの近赤外線吸収層を設けた側とは反対面に反射防止層を形成することができる。
この反射防止層としては、高屈折率層と低屈折率層から構成され、低屈折率層が最表面になるように構成されたものが望ましい。低屈折率層を形成する手法としてはスパッタリング法や真空蒸着法、CVD法、イオンプレーティング法などの乾式法と、塗液の塗布、乾燥によって塗膜を得る湿式法がある。
低屈折率層を乾式法によって形成する場合に使用する材料としては特には限定されないが、例えば、CaF、MgF、NaAlF,SiO、などが挙げられる。
一方低屈折率層を湿式法によって形成する場合に使用する材料としては特には限定されないが、例えば、有機珪素モノマーを加水分解/脱水縮合させることによって形成される珪素系ポリマーや、全フッ素化/部分フッ素化されたアクリルポリマー、アルキルポリマー、エーテルポリマーおよびそれらの共重合物を好適に用いることができる。
高屈折層も低屈折層同様に乾式法、湿式法で形成することができる。用いる材料としては特には限定されないが、乾式法の場合は例えばZrO、TiO、ZnO、ITO、ATOなどを好適に用いることができる。このうち屈折率バランスおよびコストから考えると特にTiOが好ましい。乾式製膜の方法としては低屈折率層の場合と同様にスパッタリング法、真空蒸着法などを用いることができる。
一方湿式法の場合は、例えばチタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、亜鉛アルコキシドなど金属アルコキシドの加水分解/脱水縮合によって得られる無機系ポリマーや、アクリル系、ポリエステル系などの樹脂バインダーにZrO、TiO、ZnO、ITO、ATOなどの微粒子を分散させた塗液を塗設後、乾燥して得られる膜を用いることができる。後者の樹脂バインダーに微粒子を分散させた塗液を用いて高屈折率層を形成する場合は、微粒子の大きさは平均粒径で5〜50nm、好ましくは10〜40nmである。かかる微粒子の平均粒径が下限を下回る場合は、微粒子自体の安定性や屈折率が不十分になる場合がある。一方、微粒子の平均粒径が上限を超える場合は塗膜としての透明性が不足する場合がある。
本発明のディスプレイ用光学フィルムには、片面または両面に剥離可能な保護フィルムを積層したり、該フィルムの片面または両面に粘着剤層を形成し、さらに該粘着剤層に離型フィルムを積層してもよい。
以下、実施例をあげて本発明をさらに具体的に説明する。なお、実施例中における各評価は下記の方法にしたがった。
(1)膜厚および屈折率
近赤外線吸収層およびハードコート層の厚みは打点式の膜厚計によって測定し、任意に選んだ3点の平均値を用いた。
アンカーコート層、高屈折率層および低屈折層の厚みは、反射分光膜厚計(大塚電子製、商品名「FE−3000」)によって、300〜800nmの反射率を測定し、代表的な屈折率の波長分散の近似式としてn−k Cauchyの分散式を引用し、スペクトルの実測値とフィッティングさせることにより膜厚および屈折率を求めた。
(2)ガラス転移温度
サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(デュポン社製 V4.OB2000型DSC)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で5分間保持した後取り出し、直ちに氷の上に移して急冷する。このパンを再度示差熱量計に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させてガラス転移温度(Tg:℃)を測定する。
(3)固有粘度
固有粘度(〔η〕dl/g)は25℃のo−クロロフェノール溶液で測定する。
(4)ヘイズ
JIS K7150にしたがい、スガ試験機(株)製のヘイズメーターHCM−2Bにて測定した。
(5)表面粗さ
JIS B0601−1994にしたがい、(株)ミツトヨ製のSV−9634・3Dを用いて、200倍の倍率で1mm角を走査し、平均表面粗さRaと最大突起高さRtを測定した。
(6)巻取り性
実施例、比較例に示したような方法にてロール・ツー・ロールで塗工、乾燥、巻取りを行い、幅500mm、長さ300mのロールを作成し、そのロールを宙釣り状態で60℃×3日間のエージングを行った後に巻き出し部でのブロッキングの有無を確認し、以下の基準で判定を行った。
○:ブロッキングしていない
△:一部ブロッキングしているが、巻き出し時に塗膜は剥離しない
×:完全にブロッキングしており、巻き出し時に塗膜が剥離する
(7)耐熱性
温度60℃、湿度90%の雰囲気中に試料を240時間放置し、その処理前後の300〜1100nmの分光透過スペクトルを紫外可視分光光度計(「UVPC3100」、(株)島津製作所製)を用いて測定し、300〜1100nmの各波長における透過率の最大の変化量Tc(WL)max(%)を下記式を用いて算出した。
c(WL)=Tb(WL)−Ta(WL)
b(WL):高温下に放置する前の試料の各波長(1nm毎)における透過率
a(WL):高温下に放置した後の試料の各Tb(WL)に対応する波長における透過率
c(WL)のうち最大の値をTc(WL)maxとする。Tc(WL)maxが1より小さい時を耐熱性良好(図中では○で表記)とし、1より大きい時を耐熱性不良(図中では×で表記)と判定した。
(8)総合判定
上述の評価を行い表面粗さ10nm以上かつ最大突起高さが500nm以上であり、かつヘイズが2%以下である場合を総合判定○とし、どれか一つの項目が満たされていない場合を△、二つ以上の項目が満たされていない場合を×とする。
[実施例1]
<アンカーコート層形成用塗液の調整>
ポリエステル樹脂:酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸65モル%/イソフタル酸30モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=80℃、平均分子量13000)。
アクリル樹脂:メチルメタクリレート25モル%/2−イソプロペニル−2−オキサゾリン35モル%/ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリレート10モル%/アクリルアミド30モル%で構成されている(Tg=50℃)。
添加剤:カルナバワックス(中京油脂株式会社製 商品名セロゾール524)
上述のポリエステル樹脂分散液をポリエステル樹脂成分として65部、アクリル樹脂分散液をアクリル樹脂成分として30部、添加剤をカルバナワックスとして5部を混合し、イオン交換水で固形分濃度を8重量%調整にし、アンカーコート層用塗工液を得た。
<基材フィルムおよびアンカーコート層の形成>
溶融ポリエチレンテレフタレート(〔η〕=0.62dl/g、Tg=78℃)をダイより押し出し、常法により冷却ドラムで冷却して未延伸フィルムとし、次いで縦方向に3.4倍延伸した後、その両面に上述の水性塗液をロールコーターで均一に塗布した。次いで塗工後にこのフィルムを横方向に125℃で3.6倍延伸し、220℃で幅方向に3%収縮させ熱固定を行い、アンカーコート層が形成された、厚さ188μmの基材フィルムを得た。なお、塗膜の厚さは0.15μmであった。
<近赤外線吸収層の形成>
表1記載の(A−1)組成の近赤外線吸収層形成用コーティング液を調整した。この成分中、日本カーリット社製「CIR−1085F」が前記化学式[化1]で表される近赤外線吸収色素である。また微粒子の屈折率および平均粒径は、表2に記載のとおりである。この液を上述のアンカーコートが形成された基材フィルムの片面にグラビアコート法にて、乾燥後の塗布厚みで7μmになるように塗布し、130℃で1分間熱風乾燥してディスプレイ用光学フィルム1を得た。得られたディスプレイ用光学フィルムの特性を表3に示した。
Figure 2007140098
Figure 2007140098
[実施例2]
近赤外線吸収層形成用コーティング液を、表1の(A−2)組成に変更した以外は実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルム2を得た。得られたディスプレイ用光学フィルムの特性を表3に示した。
[実施例3]
近赤外線吸収層形成用コーティング液を、表1の(A−14)組成に変更した以外は実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルム3を得た。得られたディスプレイ用光学フィルムの特性を表3に示した。
[実施例4、実施例5]
下記の手順にしたがって、近赤外線吸収層の反対面にハードコート層および高屈折率層、低屈折率層を設けた以外は実施例1または2と同様にしてディスプレイ用光学フィルム4〜5を得た。得られたディスプレイ用光学フィルムの特性を表3に示した。
<ハードコートの形成>
アクリル系ハードコート塗料(荒川化学工業株式会社製 商品名ビームセット700)を、マイヤーバー法にて塗工を行い、60℃×30秒の予備乾燥を行った後、500mJ/cmのエネルギーでUVを照射してハードコート層を得た。なお、ハードコート層の膜厚は5μmになるように調整した。
<高屈折率層の形成>
チタンテトラブトキシド(日本曹達製:B−4)を2−ブタノールにて固形分濃度10%に希釈し、マイヤーバー法にて上記のハードコート層上に塗工し、150℃×1分の条件で乾燥して、膜厚100nmの高屈折率層を得た。得られた塗膜の屈折率は1.81であった。
<低屈折率層の形成>
テトラエトキシシランをエタノール/水=2/1の溶媒によって固形分濃度15%に調整し、2時間静置して加水分解させた二酸化珪素ゾルをマイクログラビアコーティングにより塗工し、145℃×1分の条件で乾燥して、膜厚100nmの低屈折率層を得た。得られた塗膜の屈折率は1.47であった。
[実施例6、実施例7]
近赤外線吸収層形成用コーティング液を塗布した乾燥後の厚さを、表1に記載のとおりに変更した以外は実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルム6〜7を得た。得られたディスプレイ用光学フィルムの特性を表3に示した。
[比較例1〜13]
近赤外線吸収層形成用コーティング液を、表1に示した組成にそれぞれ変更あるいは塗膜厚みを変更した以外は実施例1と同様にしてディスプレイ用光学フィルム8〜21を得た。得られたディスプレイ用光学フィルムの特性を表3に示した。
Figure 2007140098
表3から、本発明が規定している要件を満たしているディスプレイ用光学フィルムは、良好な透明性を維持しながら巻取性に優れていること、また、化学式[化1]で表される近赤外線吸収色素を用いると耐熱性に優れていることがわかる。
以上に説明した本発明のディスプレイ用光学フィルムは、光学特性や透明性を低下させることなく巻取性および滑り性などが十分に確保され、取扱い性が向上している。したがって、プラズマディスプレイ用前面フィルターを初めとして、種々のディスプレイ用光学フィルムとして好適に使用することができる。
(a)および(b)は、それぞれ本発明のディスプレイ用光学フィルムの一例を示す断面図である。
符号の説明
1 基材フィルム
2 近赤外線吸収層
3 アンカーコート層
4 ハードコート層
5 高屈折率層
6 低屈折率層

Claims (6)

  1. 基材フィルムの少なくとも片面に近赤外線吸収層が形成されたディスプレイ用光学フィルムにおいて、該近赤外線吸収層表面の平均表面粗さが10nm以上、最大突起高さが500nm以上で、かつ光学フィルムのヘイズ値が2%以下であることを特徴とするディスプレイ用光学フィルム。
  2. 該近赤外線吸収層の膜厚dが5.0〜10μmであり、かつ該近赤外線吸収層中には下記aおよびbを同時に満足する平均粒径rが0.5〜5.0μmの微粒子を含有する請求項1記載のディスプレイ用光学フィルム。
    a)近赤外線吸収層を構成するバインダー樹脂との屈折率差が0.03以下、
    b)該近赤外線吸収層の膜厚dと微粒子の平均粒径rとの比d/rが2.0〜10、
  3. 該近赤外線吸収層中には、下記一般式で表され、アニオン部分とカチオン部分の両方にフッ素原子を同時に有する近赤外線吸収色素が少なくとも1種類含有され、該フィルムの波長450〜550nmにおける光線透過率が45%以上で、波長820〜1100nmにおける光線透過率が15%以下である請求項1または2に記載のディスプレイ用光学フィルム。
    Figure 2007140098
    (式中、R〜Rはそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、アルキル基、アリール基、アルケニル基、アラルキル基、アルキニル基または部分/全フッ化アルキル基を表し、R〜R12はそれぞれ同一または異なっていてもよい、水素原子、ハロゲン原子、アミノ基、シアノ基、ニトロ基、カルボキシル基、アルキル基またはアルコキシル基を表し、Xは陰イオンを表す。)
  4. 基材フィルムと近赤外線吸収層との間にアンカーコート層を設けた請求項1〜3のいずれかに記載のディスプレイ用光学フィルム。
  5. 近赤外線吸収層の上側または基材フィルムの近赤外線吸収層を設けた側と反対側の面にハードコート層を設けた請求項1〜4のいずれかに記載のディスプレイ用光学フィルム。
  6. ハードコート層の上側にさらに反射防止層を設けた請求項5記載のディスプレイ用光学フィルム。
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