JP2004149683A - 酢酸ビニル系樹脂及びそれを用いた樹脂組成物、及び接着剤組成物 - Google Patents

酢酸ビニル系樹脂及びそれを用いた樹脂組成物、及び接着剤組成物 Download PDF

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年孝 岡部
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Abstract

【課題】ホルムアルデヒドの発生が抑制され、樹脂からのホルムアルデヒドの放散量が低減できる酢酸ビニル系樹脂を提供すること。
【解決手段】メタノール溶剤中、反応系内の水分率が1.0重量%以下の雰囲気下において、好ましくは更に不活性ガス雰囲気下において、10時間半減期分解温度が50〜70℃であるラジカル発生触媒の存在下に、酢酸ビニル又は、酢酸ビニル及びその他の共重合性モノマーを重合してなる酢酸ビニル系樹脂、及びそれを用いた樹脂組成物、及び接着剤組成物。

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤、とりわけ床用接着剤や樹脂改質剤等に用いられる酢酸ビニル系樹脂に関するものであり、更に詳しくはホルムアルデヒドの放散量が低減できる酢酸ビニル系樹脂、及びそれを用いた樹脂組成物、更には接着剤組成物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、塩ビシートやタイル等の床用接着剤等では、酢酸ビニル系樹脂が用いられることが多いが、かかる酢酸ビニル系樹脂は、主として、メタノール溶媒中で酢酸ビニルを重合して製造され、メタノールペーストとして使用されるため、メタノールの酸化或いは残存酢酸ビニルモノマーの分解等によりホルムアルデヒドが雰囲気中に逸散し刺激臭が漂うという問題が生じている。
【0003】
ホルムアルデヒドは人体に有害であり、空気中10ppm以上存在するとその刺激臭に耐えられなくなるものであり、シックハウス症候群等の原因物質にも挙げられており、ホルムアルデヒドの規制が益々厳しくなっているため、上記酢酸ビニル系樹脂から放散されるホルムアルデヒド量をできるだけ低減させることが望ましい。
【0004】
かかる対策として、▲1▼酢酸ビニルの重合溶媒をメタノールから酢酸エチルやアセトン等の他の種類に変更する方法や、▲2▼ホルムアルデヒドが放散しないようにホルムアルデヒド捕集剤をメタノールペーストに配合する方法が汎用的に行われている。ホルムアルデヒド捕集剤としては従来、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジシアンジアミド、グリオキザールモノウレタン等が知られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等が詳細に検討した結果、上記▲1▼の方法では、物性面への影響が大きいうえ、乾燥性に問題が生じるものとなり、又、上記▲2▼の方法では、捕集剤のメタノール溶媒への溶解性が問題となる他、ホルムアルデヒド捕集剤の添加量が多くなると物性面への影響が大きくなり、いずれも酢酸ビニル系樹脂が本来有している物性を損なうことなく、ホルムアルデヒドの放散量を低減させることができないのが実状である。
【0006】
そこで、本発明ではこのような背景下において、ホルムアルデヒドの発生が抑制され、樹脂からのホルムアルデヒドの放散量が低減させられた酢酸ビニル系樹脂、及びそれを用いた樹脂組成物、更には接着剤組成物を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、メタノール溶剤中、反応系内の水分率が1.0重量%以下の雰囲気下において、好ましくは更に不活性ガス雰囲気下において、10時間半減期分解温度が50〜70℃であるラジカル発生触媒の存在下に、酢酸ビニル又は、酢酸ビニル及びその他の共重合性モノマーを重合してなる酢酸ビニル系樹脂が上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
本発明では、上記酢酸ビニル系樹脂に、更にホルムアルデヒド捕集剤を含有させるとき、ホルムアルデヒドの放散量の低減効果が一層顕著に得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0009】
本発明の酢酸ビニル系樹脂は、メタノール溶剤中、反応系内の水分率が1.0重量%以下の雰囲気下において、好ましくは更に不活性ガス雰囲気下において、10時間半減期分解温度が50〜70℃であるラジカル発生触媒の存在下に、酢酸ビニル又は、酢酸ビニル及びその他の共重合性モノマーを重合して得られる。
【0010】
本発明で用いられるラジカル発生触媒としては、10時間半減期分解温度が50〜70℃であるものであればよく、例えば、2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、2,2−アゾビス−2−メチルブチロニトリル(AMBN)、2,2−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(ADVN)、ラウロイルパーオキサイド(LPO)、アセチルパーオキサイド(APO)、1,1−アゾビス−1−アセトキシ−1−フェニルエタン等が挙げられる。
【0011】
10時間半減期分解温度が50℃未満のラジカル発生触媒では触媒の取り扱いや重合制御が困難となり、70℃を越えるラジカル発生触媒ではメタノール中での重合反応においてホルムアルデヒドの発生量が多くなる恐れがある。
【0012】
更に、重合反応を行うに当たっては、反応系内の水分率を1.0重量%以下の雰囲気下に調整する必要があり、かかる水分率が1.0重量%を越えるとメタノール中での重合反応においてホルムアルデヒド発生量が多くなる。
反応系内の水分率を1.0重量%以下に調整する方法としては、低含水率の触媒や低含水率のメタノール溶剤を用いたり、大気からの吸湿を防止すること等が挙げられる。
又、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下、好ましくは窒素雰囲気下にて反応することにより、大気からの吸湿防止と大気中の酸素によるラジカル発生触媒の不活性化の防止及びメタノールの酸化防止の効果が得られる。
【0013】
尚、反応系内の水分率とは、反応液中に含まれる水分のことであり、カールフィッシャー滴定等の公知の方法により測定される。
【0014】
かくして本発明では、酢酸ビニル又は、酢酸ビニル及びその他の共重合性モノマーを重合するわけであるが、その他の共重合性モノマーとしては、特に限定されることはなく、(メタ)アクリル酸アルキルエステルや、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸(又はその無水物)、マレイン酸(又はその無水物)、フマール酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられ、50重量%以下、特には40重量%以下含有させることができる。
【0015】
本発明では、上記共重合性モノマーの中でも接着剤としての利用を目的とした時には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好適であり、(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、特にアルキル基の炭素数1〜12程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0016】
酢酸ビニル又は、酢酸ビニル及びその他の共重合性モノマーを重合するに当たり、上記メタノール溶剤の使用量は、酢酸ビニル及びその他の共重合性モノマーの合計100重量部に対して20〜80重量部、特には30〜60重量部であることが好ましく、20重量部未満では反応熱の除去が困難となり、80重量部を越えると樹脂の重合度が小さくなり接着剤用途等に供したときに接着物性が不十分となり好ましくない。
【0017】
更に、上記ラジカル発生触媒の使用量は、酢酸ビニル及びその他の共重合性モノマーの合計100重量部に対して0.2〜5.0重量部、特には0.5〜4.0重量部であることが好ましく、0.2重量部未満では重合反応が進まず残存モノマーが多くなり、5.0重量部を越えると重合反応が暴走して発熱が多くなって危険であり好ましくない。
【0018】
又、重合反応における反応温度については、特に限定されないが、50〜70℃であることが好ましく、特には55〜65℃であることが好ましい。かかる反応温度が50℃未満では反応に長時間を費やすこととなり、70℃を越えるとメタノール溶剤中での反応においてホルムアルデヒド発生量が多くなり好ましくない。
【0019】
上記で得られる酢酸ビニル系樹脂は、その重合度が300〜3000であることが接着剤とした時の接着強度や作業性の点で好ましく、特には400〜2500であることが好ましい。該重合度が300未満では接着剤としての接着強度が不足し、3000を越えると接着剤としての粘度が高くなり作業性が悪くなり好ましくない。
【0020】
かくして本発明では、酢酸ビニル系樹脂の製造時におけるホルムアルデヒドの発生が特に抑制されるため、酢酸ビニル系樹脂からのホルムアルデヒドの放散量を低減できるものである。
【0021】
本発明の酢酸ビニル系樹脂には、種々の添加剤を配合し、樹脂組成物とすることも好ましく、必要に応じて、繊維類、着色剤、可塑剤、界面活性剤、揺変剤、安定剤、可使時間延長剤、架橋剤(メラミン系樹脂、イソシアネート系化合物、金属キレート化合物、有機金属化合物、ヒドラジド化合物、エポキシ系化合物、イミン系化合物、不飽和化合物等)、接着性樹脂(ロジン、ロジン誘導体等)等を適宜配合することができる。
【0022】
又、本発明においては、ホルムアルデヒドの放散量を更に低減させる点から、上記酢酸ビニル系樹脂に、従来公知のホルムアルデヒド捕集剤を含有させることも好ましく、かかるホルムアルデヒド捕集剤の含有量は、酢酸ビニル系樹脂100重量部に対して20重量部以下、特には10重量部以下であることが好ましい。かかる含有量が20重量部を越えると接着剤とした場合の接着性能等、各種物性面での低下が起こり好ましくない。
【0023】
上記ホルムアルデヒド捕集剤としては、特に限定されず、公知のものが挙げられ、例えば、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジシアンジアミド、グリオキザールモノウレタンの他、イミン系化合物、ヒドラジン系化合物、アセト酢酸エステル系化合物等が挙げられる。
【0024】
又、本発明の酢酸ビニル系樹脂は、そのまま塗料、粘着剤、接着剤に使用することができるが、特には接着剤としての利用、中でも床用接着剤としての利用が最も好ましい。
【0025】
床用接着剤の調製にあたっては、更に充填剤を含有させることが好ましく、無機充填剤や有機充填剤等が含有される。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、酸化チタン等が挙げられ、有機充填剤としては木粉、殻粉等が挙げられる。
【0026】
かかる充填剤の含有量は、酢酸ビニル系樹脂100重量部に対して、最大400重量部程度までとすることができる。
【0027】
上記接着剤、特に床用接着剤は、有機溶剤溶液、特にメタノール溶剤溶液の形態で用いるのが通常である。この場合の接着剤の固形分濃度は、塗工性等の作業性の観点から50〜90重量%とすることが多い。
【0028】
かくして本発明の酢酸ビニル系樹脂は、種々の用途に適用できるが、中でも接着剤、殊にポリ塩化ビニル等でできたタイルやシートを床に接着する床用接着剤として非常に有用であり、かかる酢酸ビニル系樹脂を使用することにより、該樹脂からのホルムアルデヒドの放散量を低減することができる。
【0029】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0030】
実施例1
酢酸ビニル85部、エチルアクリレート15部及びメタノール(含水率0.1%以下)30部を仕込み、加熱還流開始後、窒素雰囲気下にて、ラジカル発生触媒としてアセチルパーオキサイド(10時間半減期分解温度68℃)1.8部を加え、反応温度65℃で12時間反応後、メタノールにて希釈することにより酢酸ビニル系樹脂(重合度1500)のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
尚、上記反応における反応系内の水分率は、カールフィッシャー滴定法により測定したところ、0.1%以下であった。
得られた樹脂溶液について以下の評価を行った。
【0031】
(ホルムアルデヒド放散量)
ガラス板(15×20cm)の両面に、上記樹脂溶液を塗布量130g/mで塗工して、試験片を作製した。
次いで、JIS A 6921に準じて、内容量10Lのデシケーターの底部に、300mlの蒸留水を入れた直径12cm、高さ6cmの結晶皿を置き、その上に上記試験片を支持金具を用いて固定して載せ、20±1℃で24時間放置して、放散されるホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させた。試験溶液中のホルムアルデヒドの濃度はアセチルアセトン法によって、光電分光光度計を用いて吸光度から定量し、ホルムアルデヒド量(mg/l)を測定した。
【0032】
[接着剤組成物の製造]
上記で得られた酢酸ビニル系樹脂の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、タルク20部、シリカ10部を配合し、撹拌して接着剤組成物溶液を得た。
得られた接着剤組成物について以下の評価を行った。
【0033】
(接着性)
得られた接着剤組成物溶液を25mm巾のフレキシブル板の端から25mmのところまでクシ目ゴテにて塗工し、その接着剤塗工部に25mm巾のビニル床タイルを圧着して、温度25℃で7日間養生した。このようにして得た試験片につき、引張速度20mm/minで引張剪断強度(N/cm)を測定した。
【0034】
又、上記で得られた酢酸ビニル系樹脂溶液100部(樹脂分50部)に、ホルムアルデヒド捕集剤として尿素を3.0部配合して、上記と同様にホルムアルデヒドの放散量及び接着性を評価した。
【0035】
実施例2
酢酸ビニル70部、エチルアクリレート30部及びメタノール(含水率0.1%以下)55部を仕込み、加熱還流開始後、窒素雰囲気下にて、ラジカル発生触媒として2,2−アゾビスイソブチロニトリル(10時間半減期分解温度65℃)2.5部を加え、反応温度60℃で12時間反応後、メタノールにて希釈することにより酢酸ビニル系樹脂(重合度1000)のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
尚、上記反応における反応系内の水分率は、実施例1と同様に測定したところ、0.1%以下であった。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様にしてホルムアルデヒド放散量の評価を行った。
【0036】
[接着剤組成物の製造]
上記で得られた酢酸ビニル系樹脂の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム15部、シリカ15部を配合し、撹拌して接着剤組成物溶液を得た。
得られた接着剤組成物について実施例1と同様にして接着性の評価を行った。
【0037】
又、上記で得られた酢酸ビニル系樹脂溶液100部(樹脂分50部)に、ホルムアルデヒド捕集剤として尿素を3.0部配合して、上記と同様にホルムアルデヒドの放散量及び接着性を評価した。
【0038】
実施例3
酢酸ビニル100部及びメタノール(含水率0.1%以下)80部を仕込み、加熱還流開始後、窒素雰囲気下にて、ラジカル発生触媒としてラウロイルパーオキサイド(10時間半減期分解温度68℃)3.5部を加え、反応温度65℃で12時間反応後、メタノールにて希釈することにより酢酸ビニル系樹脂(重合度600)のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
尚、上記反応における反応系内の水分率は、実施例1と同様に測定したところ、0.1%以下であった。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様にしてホルムアルデヒド放散量の評価を行った。
【0039】
[接着剤組成物の製造]
上記で得られた酢酸ビニル系樹脂の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、タルク15部を配合し、撹拌して接着剤組成物溶液を得た。
得られた接着剤組成物について実施例1と同様にして接着性の評価を行った。
【0040】
又、上記で得られた酢酸ビニル系樹脂溶液100部(樹脂分50部)に、ホルムアルデヒド捕集剤として尿素を3.0部配合して、上記と同様にホルムアルデヒドの放散量及び接着性を評価した。
【0041】
比較例1
酢酸ビニル70部、エチルアクリレート30部及びメタノール(含水率0.1%以下)55部を仕込み、加熱還流開始後、大気雰囲気下にて、ラジカル発生触媒としてベンゾイルパーオキサイドのトルエン40%溶液(日本油脂社製、「ナイパーBMT」)(10時間半減期分解温度73℃)3.0部を加え、反応温度72℃で12時間反応後、メタノールにて希釈することにより酢酸ビニル系樹脂(重合度1200)のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
尚、上記反応における反応系内の水分率は、実施例1と同様に測定したところ、0.5%であった。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様にしてホルムアルデヒド放散量の評価を行った。
【0042】
[接着剤組成物の製造]
上記で得られた酢酸ビニル系樹脂の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、タルク15部を配合し、撹拌して接着剤組成物溶液を得た。
得られた接着剤組成物について実施例1と同様にして接着性の評価を行った。
【0043】
又、上記で得られた酢酸ビニル系樹脂溶液100部(樹脂分50部)に、ホルムアルデヒド捕集剤として尿素を3.0部配合して、上記と同様にホルムアルデヒドの放散量及び接着性を評価した。
【0044】
比較例2
酢酸ビニル100部及びメタノール(含水率0.1%以下)80部を仕込み、加熱還流開始後、大気雰囲気下にて、ラジカル発生触媒として2,2−アゾビス−2−シクロプロピルプロピオニトリル(10時間半減期分解温度42℃)4.0部を加え、反応温度60℃で反応させたが、1時間後に発熱が激しく、突沸し、反応を続けることができなかった。
尚、上記反応における反応系内の水分率は、実施例1と同様に測定したところ、0.2%であった。
【0045】
比較例3
酢酸ビニル100部及びメタノール(含水率5%)85部を仕込み、加熱還流開始後、窒素雰囲気下にて、ラジカル発生触媒としてラウロイルパーオキサイド(10時間半減期分解温度68℃)3.7部を加え、反応温度65℃で12時間反応後、メタノールにて希釈することにより酢酸ビニル系樹脂(重合度600)のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
尚、上記反応における反応系内の水分率は、実施例1と同様に測定したところ、2.3%であった。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様にしてホルムアルデヒド放散量の評価を行った。
【0046】
[接着剤組成物の製造]
上記で得られた酢酸ビニル系樹脂の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、タルク15部を配合し、撹拌して接着剤組成物溶液を得た。
得られた接着剤組成物について実施例1と同様にして接着性の評価を行った。
【0047】
又、上記で得られた酢酸ビニル系樹脂溶液100部(樹脂分50部)に、ホルムアルデヒド捕集剤として尿素を3.0部配合して、上記と同様にホルムアルデヒドの放散量及び接着性を評価した。
【0048】
比較例4
比較例1と同様の酢酸ビニル系樹脂のメタノール溶液(濃度50%)を得、かかる酢酸ビニル系樹脂溶液100部(樹脂分50部)に、ホルムアルデヒド捕集剤として尿素を100部配合して、上記実施例1と同様にホルムアルデヒドの放散量及び接着性を評価した。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0049】
Figure 2004149683
【0050】
【発明の効果】
本発明の酢酸ビニル系樹脂は、メタノール溶剤中、反応系内の水分率が1.0重量%以下の雰囲気下において、好ましくは更に不活性ガス雰囲気下において、10時間半減期分解温度が50〜70℃であるラジカル発生触媒の存在下に、酢酸ビニル又は、酢酸ビニル及びその他の共重合性モノマーを重合してなるため、ホルムアルデヒドの発生が抑制され、樹脂からのホルムアルデヒドの放散量が低減できる効果を示すものであり、更に接着剤、特に建材用の接着剤としての接着性能にも優れ、とりわけ床用接着剤として非常に有用である。

Claims (10)

  1. メタノール溶剤中、反応系内の水分率が1.0重量%以下の雰囲気下において、10時間半減期分解温度が50〜70℃であるラジカル発生触媒の存在下に、酢酸ビニル又は、酢酸ビニル及びその他の共重合性モノマーを重合してなることを特徴とする酢酸ビニル系樹脂。
  2. 更に、不活性ガス雰囲気下において、酢酸ビニル又は、酢酸ビニル及びその他の共重合性モノマーを重合してなることを特徴とする請求項1記載の酢酸ビニル系樹脂。
  3. 重合反応温度が50〜70℃であることを特徴とする請求項1又は2記載の酢酸ビニル系樹脂。
  4. 10時間半減期分解温度が50〜70℃であるラジカル発生触媒が、アゾ系触媒、過酸化物系触媒、レドックス系触媒から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載の酢酸ビニル系樹脂。
  5. 酢酸ビニル系樹脂の重合度が300〜3000であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載の酢酸ビニル系樹脂。
  6. 請求項1〜5いずれか記載の酢酸ビニル系樹脂を含有してなることを特徴とする樹脂組成物。
  7. ホルムアルデヒド捕集剤を、酢酸ビニル系樹脂100重量部に対して20重量部以下含有してなることを特徴とする請求項6記載の樹脂組成物。
  8. 請求項1〜5いずれか記載の酢酸ビニル系樹脂又は請求項6〜7いずれか記載の樹脂組成物からなることを特徴とする接着剤組成物。
  9. 床用接着剤組成物として用いることを特徴とする請求項8記載の接着剤組成物。
  10. 更に、充填剤を含有してなることを特徴とする請求項9記載の接着剤組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009500502A (ja) * 2005-07-15 2009-01-08 ウェンチュン ツォウ アルコール可溶性樹脂及びその調製方法

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