JP2004148221A - アルデヒド吸着剤及びその用途 - Google Patents
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Abstract
【課題】ホルムアルデヒドの吸着性能に非常に優れるうえ、接着剤としての接着性能にも優れたアルデヒド吸着剤を提供すること。
【解決手段】アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂からなるアルデヒド吸着剤、及びそれを用いた接着剤。
【解決手段】アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂からなるアルデヒド吸着剤、及びそれを用いた接着剤。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルデヒド吸着剤に関するものであり、更に詳しくは各種基材から発生するホルムアルデヒドを吸着するアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂からなるアルデヒド吸着剤、特には接着剤、とりわけ床用接着剤として有用なアルデヒド吸着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ホルムアルデヒドは低分子の合成原料や高分子樹脂の製造原料としても多量に使用されている。
そして、これらから得られた樹脂、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂やメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン−ホルムアルデヒド樹脂等は接着加工、成形加工、紙加工、繊維加工、塗料、化粧板等の広汎な用途に使用されている。
しかしながら、かかる樹脂を製造する際あるいは樹脂を加工する際に、しばしばホルムアルデヒドが僅かながら雰囲気中に逸散し刺激臭が漂うという問題が発生し、更には、かかる樹脂を使用して得られる各種加工もホルムアルデヒドを発生する傾向があり問題とされている。
【0003】
又、上記樹脂からなる接着剤等を使用しない建材等にもホルムアルデヒドが含まれており、かかる建材からも微量のホルムアルデヒドが気中に放散することが知られている。
ホルムアルデヒドは人体に有害であり、空気中10ppm以上存在するとその刺激臭に耐えられなくなるものであり、加工製品や日常生活と密接に関連している建材、機器、衣料、自動車、衛生材、雑貨、食品等から発生するホルムアルデヒドを低減させる方法が強く求められている。
【0004】
かかる対策の一つとしてホルムアルデヒド捕捉剤の利用が汎用的に行われている。ホルムアルデヒド捕捉剤としては従来、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジシアンジアミド、グリオキザールモノウレタン等が知られており、上記ホルムアルデヒドを含む樹脂と同浴で処理するか、あるいはホルムアルデヒドを含む樹脂による加工後、ホルムアルデヒド捕捉剤をスプレー等により付着させる方法等がある。
又、ホルムアルデヒド捕捉剤を必要としない方法として、アセトアセチル基含有アクリル系樹脂からなるアルデヒド吸着剤を使用する方法も提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
【特許文献1】
特開平11−89920号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等が詳細に検討した結果、上記方法では、ホルムアルデヒド吸着能力の点で、まだまだ満足のいくものではないことが判明した。
更に、特許文献1開示技術においては、ホルムアルデヒド吸着能力は良好であるものの、アクリル系モノマーを主体としてなるアクリル系樹脂であるため、接着剤、とりわけ床用接着剤として用いた場合に接着性等の点でまだまだ満足のいくものではなく更なる改良が求められるものであった。
【0007】
そこで、本発明ではこのような背景下において、ホルムアルデヒドの吸着性能に優れるうえ、接着剤としての接着性能にも優れ、特に床用接着剤として有用なアルデヒド吸着剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]からなるアルデヒド吸着剤が上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明では特に、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]が、酢酸ビニル(a)50〜99.5重量%、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)0.5〜30重量%、及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)0〜45重量%を共重合成分として含む酢酸ビニル系樹脂であることが接着性能及びホルムアルデヒド吸着性能の点で好ましい。
【0010】
更に本発明では、共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)を共重合成分全体に対して0.5〜45重量%含むことが接着剤としての接着性能に優れる点で好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0012】
本発明のアルデヒド吸着剤は、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]からなることが最大の特徴であり、かかる酢酸ビニル系樹脂[I]は、例えば次のようにして製造される。
【0013】
▲1▼アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)を製造し、これを酢酸ビニル(a)、又は酢酸ビニル(a)及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)と共重合する。ここでアセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)は、例えば次の方法によって取得される。
【0014】
▲1▼−1 官能基含有エチレン性不飽和単量体にジケテンを反応させる。
▲1▼−2 官能基含有エチレン性不飽和単量体とアセト酢酸エステルとをエステル交換反応する。
【0015】
▲1▼−1の場合の官能基としてはヒドロキシル基、アミド基、ウレタン基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。官能基含有エチレン性不飽和単量体のうち好適なものは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート等である。
【0016】
▲2▼上述の官能基含有エチレン性不飽和単量体と、酢酸ビニル(a)、又は酢酸ビニル(a)及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)を共重合成分として含む共重合体にジケテンを反応させる。反応は例えば溶液状の共重合体にジケテンを添加して加熱撹拌すればよい。
【0017】
▲3▼アセト酢酸エステルとエステル交換可能な官能基(ヒドロキシル基やエステル基)を含有するエチレン性不飽和単量体と、酢酸ビニル(a)、又は酢酸ビニル(a)及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)を共重合成分として含む共重合体とアセト酢酸エステルとをエステル交換反応する。
【0018】
▲4▼酢酸ビニル(a)、又は酢酸ビニル(a)及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)を共重合成分として含む(共)重合体に、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体をグラフト重合又は共存重合する。
【0019】
上記▲1▼−1又は▲2▼の場合のジケテンの反応は無触媒の他、第3級アミン、酸(硫酸等)、塩基性塩(酢酸ナトリウム等)、有機金属化合物(ジブチルスズラウレート等)の触媒存在下に行うことができる。
上記▲1▼−2又は▲3▼の場合のアセト酢酸エステルの反応は、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酸化鉛等のエステル交換触媒の存在下に行うことが好ましい。
上記のアセトアセチル基を含有させる方法のうち、工業的には▲1▼又は▲2▼の方法が好ましく、特には▲1▼の方法が簡便かつ品質の安定性の点で好ましい。
【0020】
即ち、本発明において、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]は、酢酸ビニル(a)、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)、必要に応じて更にその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)を共重合成分として含む酢酸ビニル系樹脂であることが好ましい。
【0021】
かかる共重合成分の含有割合としては、酢酸ビニル(a)50〜99.5重量%、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)0.5〜30重量%、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)0〜45重量%であることが好ましく、更に好ましくは酢酸ビニル(a)60〜99重量%、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)1〜20重量%、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)0〜39重量%であり、特に好ましくは酢酸ビニル(a)68〜98重量%、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)2〜15重量%、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)0〜30重量%である。
【0022】
かかる含有割合において、酢酸ビニル(a)が50重量%未満では接着剤としての接着性能が低下することとなり、99.5重量%を越えるとアセトアセチル基の導入量が少なくなりホルムアルデヒド吸着性能が低下することとなり好ましくなく、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)が0.5未満ではホルムアルデヒドの吸着性能が劣りとなり、30重量%を越えると樹脂の保存安定性が不良となり好ましくなく、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)が45重量%を越えるとアセトアセチル基の導入量が少なくなりホルムアルデヒド吸着性能が低下することとなり好ましくない。
【0023】
上記の酢酸ビニル(a)、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)以外の、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)や、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸(又はその無水物)、マレイン酸(又はその無水物)、フマール酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。
【0024】
本発明では、上記共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)の中でも接着剤としての接着性能の点で、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)が好適である。
【0025】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)としては、特にアルキル基の炭素数1〜12程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)の含有割合としては、特に限定されないが、共重合成分全体(酢酸ビニル(a)、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)の合計)に対して、0.5〜45重量%であることが好ましく、更には1〜40重量%、特には5〜30重量%であることが好ましい。かかる含有割合が上記範囲外では接着性能が劣る傾向となり好ましくない。
【0027】
かくして本発明で用いられるアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]が得られ、該酢酸ビニル系樹脂[I]が、ホルムアルデヒドを含有する樹脂あるいは基材に対するアルデヒド吸着剤として非常に有効であり、ホルムアルデヒドの低減に優れた効果を発揮するのである。
【0028】
本発明においては、上記アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]からなるアルデヒド吸着剤に、従来公知のホルムアルデヒド吸着剤、例えば尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジシアンジアミド、グリオキザールモノウレタン等を併用することも可能である。該公知のホルムアルデヒド吸着剤を併用する場合は酢酸ビニル系樹脂100重量部に対して30重量部以下、好ましくは20重量部以下配合するのが適当である。
【0029】
又、本発明のアルデヒド吸着剤は、そのまま塗料、粘着剤、接着剤に使用したり、接着剤等のホルムアルデヒドを含有する樹脂又は化合物等の対象物に添加して加工製品としたり、紙や繊維(織布、不織布)、木材(接着剤や塗料等がコーティングされているものも含む)等の基材に塗布又は含浸させて、ホルムアルデヒドの低減を図ることができるが、特には接着剤としての利用が建材、特に床材より放散されるホルムアルデヒドの吸着性能の点で有効であり、中でも床用接着剤としての利用が最も好ましい。
【0030】
床用接着剤の調製にあたっては、更に充填剤を含有させることが好ましく、無機充填剤や有機充填剤等が含有される。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、酸化チタン等が挙げられ、有機充填剤としては木粉、殻粉等が挙げられる。
【0031】
かかる充填剤の含有量は、酢酸ビニル系樹脂[I]100重量部に対して、最大400重量部程度までというように多量に含有することができる。
【0032】
本発明では、必要に応じて更に、繊維類、着色剤、可塑剤、界面活性剤、揺変剤、安定剤、可使時間延長剤、架橋剤(メラミン系樹脂、イソシアネート系化合物、金属キレート化合物、有機金属化合物、ヒドラジド化合物、エポキシ系化合物、イミン系化合物、不飽和化合物等)、接着性樹脂(ロジン、ロジン誘導体等)などを適宜配合することができる。
【0033】
上記接着剤、特に床用接着剤は、有機溶剤溶液または含水有機溶剤溶液の形態で用いるのが通常である。この場合の接着剤の固形分濃度は、塗工性等の作業性の観点から50〜90重量%とすることが多い。
【0034】
かくして本発明のアルデヒド吸着剤は、種々の用途に適用できるが、中でも接着剤、殊に建材用の接着剤、なかんずくポリ塩化ビニル等でできたタイルやシートを床に接着する床用接着剤として非常に有用である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0036】
実施例1
[アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)の製造]
2−ヒドロキシエチルメタクリレート150部を仕込み、ジケテン付加反応の触媒としてトリエチレンジアミン0.05部を加え、60℃まで昇温後、ジケテン96.9部(2−ヒドロキシエチルメタクリレートに対し当量)を2時間にわたって撹拌下に滴下し、更に5時間反応を続行して2−ヒドロキシエチルメタクリレートのヒドロキシル基をアセトアセチル化し、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのヒドロキシル基の全てがアセトアセチル化したアセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレートを得た。
【0037】
[アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]の製造]
酢酸ビニル(a)80部、上記アセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレート(b)10部、メチルアクリレート(c)10部及びメタノール110部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.17部を加え、メタノール還流温度で12時間反応後、メタノールにて希釈することによりアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−1]のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について以下の評価を行った。
【0038】
(ホルムアルデヒド吸着力)
ガラス板(15×20cm)に上記樹脂溶液を塗布量130g/m2で塗工して、1時間放置し、試験片を作製した。
内容量10Lのデシケーター2個をコックの付いた連結管にて接続し、一方のデシケーターの底部に、300mlの蒸留水を入れた直径12cm、高さ6cmの結晶皿を置き、もう一方のデシケーターには試験片及びパーチクルボード(50×150mm)を固定して載せ、コックを閉じた状態で20±1℃にて24時間放置後、コックを開けさらに20±1℃にて24時間放置して、放出されるホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させた。試験溶液中のホルムアルデヒドの濃度はアセチルアセトン法によって、光電分光光度計を用いて吸光度から定量し、ホルムアルデヒド濃度(mg/l)を測定した。
【0039】
[接着剤の製造]
上記得られたアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−1]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、タルク20部、シリカ10部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について以下の評価を行った。
【0040】
(接着性)
得られた接着剤溶液を25mm巾のフレキシブル板の端から25mmのところまでクシ目ゴテにて塗工し、その接着剤塗工部に25mm巾のビニル床タイルを圧着して、温度25℃で7日間養生した。このようにして得た試験片につき、引張速度20mm/minで引張剪断強度(N/cm2)を測定した。
【0041】
実施例2
[アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)の製造]
実施例1と同様のアセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレートを得た。
【0042】
[アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]の製造]
酢酸ビニル(a)75部、上記アセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレート(b)5部、エチルアクリレート(c)20部及び酢酸エチル65部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアセチルパーオキサイド0.06部を加え、酢酸エチル還流温度で8時間反応後、メタノールにて希釈することによりアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−2]の酢酸エチル/メタノール溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様の評価を行った。
【0043】
[接着剤の製造]
上記得られたアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−2]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム15部、シリカ15部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について実施例1と同様の評価を行った。
【0044】
実施例3
[アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)の製造]
4−ヒドロキシブチルアクリレート150部を仕込み、ジケテン付加反応の触媒としてトリエチレンジアミン0.05部を加え、60℃まで昇温後、ジケテン87.5部(4−ヒドロキシブチルアタクリレートに対し当量)を2時間にわたって撹拌下に滴下し、更に5時間反応を続行して4−ヒドロキシブチルアクリレートのヒドロキシル基をアセトアセチル化し、4−ヒドロキシブチルアクリレートのヒドロキシル基の全てがアセトアセチル化したアセトアセチル化4−ヒドロキシブチルアクリレートを得た。
【0045】
[アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]の製造]
酢酸ビニル(a)65部、上記アセトアセチル化4−ヒドロキシブチルアクリレート(b)15部、ブチルアクリレート(c)20部及びエタノール100部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.05部を加え、エタノール還流温度で15時間反応後、エタノールにて希釈することによりアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−3]のエタノール溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様の評価を行った。
【0046】
[接着剤の製造]
上記得られたアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−3]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、タルク15部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について実施例1と同様の評価を行った。
【0047】
実施例4
[アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)の製造]
実施例1と同様のアセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレートを得た。
【0048】
[アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]の製造]
酢酸ビニル(a)95部、上記アセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレート(b)5部及びメタノール70部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.20部を加え、メタノール還流温度で16時間反応後、メタノールにて希釈することによりアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−4]のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様の評価を行った。
【0049】
[接着剤の製造]
上記得られたアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−4]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム15部、タルク20部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について実施例1と同様の評価を行った。
【0050】
比較例1
実施例1において、アセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレート(b)を含有させず、酢酸ビニル(a)70部、ブチルアクリレート(c)30部及びメタノール110部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.17部を加え、メタノール還流温度で17時間反応後、メタノールにて希釈することにより酢酸ビニル系樹脂[I’−1]のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様の評価を行った。
【0051】
[接着剤の製造]
上記得られた酢酸ビニル系樹脂[I’−1]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、タルク20部、シリカ10部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について、実施例1と同様の評価を行った。
【0052】
比較例2
比較例1において、更にホルムアルデヒド吸着剤としてアセチルアセトンを5部配合した以外は同様に樹脂溶液及び接着剤溶液を得た。
得られた樹脂溶液及び接着剤について、実施例1と同様の評価を行った。
尚、かかる接着剤は、臭気のひどいものであり、実用に際して問題となるものであった。
【0053】
比較例3
酢酸ビニル(a)40部、上記実施例1と同様のアセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレート(b)5部、ブチルアクリレート(c)50部、エチルアクリレート(c)5部及び酢酸エチル80部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.07部を加え、酢酸エチル還流温度で7時間反応後、トルエンにて希釈することによりアセトアセチル基を含有するアクリル系樹脂[I’−2]の酢酸エチル/トルエン溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様の評価を行った。
【0054】
上記得られたアセトアセチル基を含有するアクリル系樹脂[I’−2]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、シリカ10部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について実施例1と同様の評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0055】
【0056】
【発明の効果】
本発明のアルデヒド吸着剤は、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]からなるため、ホルムアルデヒドを含有する対象物、あるいは基材から発生するホルムアルデヒドの吸着性能に非常に優れるうえ、接着剤、特に建材用の接着剤としての接着性能にも優れ、特に床用接着剤として非常に有用である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、アルデヒド吸着剤に関するものであり、更に詳しくは各種基材から発生するホルムアルデヒドを吸着するアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂からなるアルデヒド吸着剤、特には接着剤、とりわけ床用接着剤として有用なアルデヒド吸着剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、ホルムアルデヒドは低分子の合成原料や高分子樹脂の製造原料としても多量に使用されている。
そして、これらから得られた樹脂、例えばフェノール−ホルムアルデヒド樹脂やメラミン−ホルムアルデヒド樹脂、尿素−ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン−ホルムアルデヒド樹脂等は接着加工、成形加工、紙加工、繊維加工、塗料、化粧板等の広汎な用途に使用されている。
しかしながら、かかる樹脂を製造する際あるいは樹脂を加工する際に、しばしばホルムアルデヒドが僅かながら雰囲気中に逸散し刺激臭が漂うという問題が発生し、更には、かかる樹脂を使用して得られる各種加工もホルムアルデヒドを発生する傾向があり問題とされている。
【0003】
又、上記樹脂からなる接着剤等を使用しない建材等にもホルムアルデヒドが含まれており、かかる建材からも微量のホルムアルデヒドが気中に放散することが知られている。
ホルムアルデヒドは人体に有害であり、空気中10ppm以上存在するとその刺激臭に耐えられなくなるものであり、加工製品や日常生活と密接に関連している建材、機器、衣料、自動車、衛生材、雑貨、食品等から発生するホルムアルデヒドを低減させる方法が強く求められている。
【0004】
かかる対策の一つとしてホルムアルデヒド捕捉剤の利用が汎用的に行われている。ホルムアルデヒド捕捉剤としては従来、尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジシアンジアミド、グリオキザールモノウレタン等が知られており、上記ホルムアルデヒドを含む樹脂と同浴で処理するか、あるいはホルムアルデヒドを含む樹脂による加工後、ホルムアルデヒド捕捉剤をスプレー等により付着させる方法等がある。
又、ホルムアルデヒド捕捉剤を必要としない方法として、アセトアセチル基含有アクリル系樹脂からなるアルデヒド吸着剤を使用する方法も提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0005】
【特許文献1】
特開平11−89920号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等が詳細に検討した結果、上記方法では、ホルムアルデヒド吸着能力の点で、まだまだ満足のいくものではないことが判明した。
更に、特許文献1開示技術においては、ホルムアルデヒド吸着能力は良好であるものの、アクリル系モノマーを主体としてなるアクリル系樹脂であるため、接着剤、とりわけ床用接着剤として用いた場合に接着性等の点でまだまだ満足のいくものではなく更なる改良が求められるものであった。
【0007】
そこで、本発明ではこのような背景下において、ホルムアルデヒドの吸着性能に優れるうえ、接着剤としての接着性能にも優れ、特に床用接着剤として有用なアルデヒド吸着剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
しかるに、本発明者等はかかる事情に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]からなるアルデヒド吸着剤が上記目的に合致することを見出し、本発明を完成した。
【0009】
本発明では特に、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]が、酢酸ビニル(a)50〜99.5重量%、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)0.5〜30重量%、及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)0〜45重量%を共重合成分として含む酢酸ビニル系樹脂であることが接着性能及びホルムアルデヒド吸着性能の点で好ましい。
【0010】
更に本発明では、共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)を共重合成分全体に対して0.5〜45重量%含むことが接着剤としての接着性能に優れる点で好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について具体的に説明する。
【0012】
本発明のアルデヒド吸着剤は、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]からなることが最大の特徴であり、かかる酢酸ビニル系樹脂[I]は、例えば次のようにして製造される。
【0013】
▲1▼アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)を製造し、これを酢酸ビニル(a)、又は酢酸ビニル(a)及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)と共重合する。ここでアセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)は、例えば次の方法によって取得される。
【0014】
▲1▼−1 官能基含有エチレン性不飽和単量体にジケテンを反応させる。
▲1▼−2 官能基含有エチレン性不飽和単量体とアセト酢酸エステルとをエステル交換反応する。
【0015】
▲1▼−1の場合の官能基としてはヒドロキシル基、アミド基、ウレタン基、アミノ基、カルボキシル基等が挙げられる。官能基含有エチレン性不飽和単量体のうち好適なものは、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−クロロプロピルアクリレート等である。
【0016】
▲2▼上述の官能基含有エチレン性不飽和単量体と、酢酸ビニル(a)、又は酢酸ビニル(a)及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)を共重合成分として含む共重合体にジケテンを反応させる。反応は例えば溶液状の共重合体にジケテンを添加して加熱撹拌すればよい。
【0017】
▲3▼アセト酢酸エステルとエステル交換可能な官能基(ヒドロキシル基やエステル基)を含有するエチレン性不飽和単量体と、酢酸ビニル(a)、又は酢酸ビニル(a)及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)を共重合成分として含む共重合体とアセト酢酸エステルとをエステル交換反応する。
【0018】
▲4▼酢酸ビニル(a)、又は酢酸ビニル(a)及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)を共重合成分として含む(共)重合体に、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体をグラフト重合又は共存重合する。
【0019】
上記▲1▼−1又は▲2▼の場合のジケテンの反応は無触媒の他、第3級アミン、酸(硫酸等)、塩基性塩(酢酸ナトリウム等)、有機金属化合物(ジブチルスズラウレート等)の触媒存在下に行うことができる。
上記▲1▼−2又は▲3▼の場合のアセト酢酸エステルの反応は、酢酸カルシウム、酢酸亜鉛、酸化鉛等のエステル交換触媒の存在下に行うことが好ましい。
上記のアセトアセチル基を含有させる方法のうち、工業的には▲1▼又は▲2▼の方法が好ましく、特には▲1▼の方法が簡便かつ品質の安定性の点で好ましい。
【0020】
即ち、本発明において、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]は、酢酸ビニル(a)、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)、必要に応じて更にその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)を共重合成分として含む酢酸ビニル系樹脂であることが好ましい。
【0021】
かかる共重合成分の含有割合としては、酢酸ビニル(a)50〜99.5重量%、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)0.5〜30重量%、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)0〜45重量%であることが好ましく、更に好ましくは酢酸ビニル(a)60〜99重量%、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)1〜20重量%、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)0〜39重量%であり、特に好ましくは酢酸ビニル(a)68〜98重量%、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)2〜15重量%、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)0〜30重量%である。
【0022】
かかる含有割合において、酢酸ビニル(a)が50重量%未満では接着剤としての接着性能が低下することとなり、99.5重量%を越えるとアセトアセチル基の導入量が少なくなりホルムアルデヒド吸着性能が低下することとなり好ましくなく、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)が0.5未満ではホルムアルデヒドの吸着性能が劣りとなり、30重量%を越えると樹脂の保存安定性が不良となり好ましくなく、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)が45重量%を越えるとアセトアセチル基の導入量が少なくなりホルムアルデヒド吸着性能が低下することとなり好ましくない。
【0023】
上記の酢酸ビニル(a)、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)以外の、その他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)としては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)や、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸(又はその無水物)、マレイン酸(又はその無水物)、フマール酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート、(メタ)アクリルアミド、メチロールアクリルアミド、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、スチレン等が挙げられる。
【0024】
本発明では、上記共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)の中でも接着剤としての接着性能の点で、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)が好適である。
【0025】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)としては、特にアルキル基の炭素数1〜12程度の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが好ましく、具体的にはメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0026】
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)の含有割合としては、特に限定されないが、共重合成分全体(酢酸ビニル(a)、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)の合計)に対して、0.5〜45重量%であることが好ましく、更には1〜40重量%、特には5〜30重量%であることが好ましい。かかる含有割合が上記範囲外では接着性能が劣る傾向となり好ましくない。
【0027】
かくして本発明で用いられるアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]が得られ、該酢酸ビニル系樹脂[I]が、ホルムアルデヒドを含有する樹脂あるいは基材に対するアルデヒド吸着剤として非常に有効であり、ホルムアルデヒドの低減に優れた効果を発揮するのである。
【0028】
本発明においては、上記アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]からなるアルデヒド吸着剤に、従来公知のホルムアルデヒド吸着剤、例えば尿素、チオ尿素、エチレン尿素、ジシアンジアミド、グリオキザールモノウレタン等を併用することも可能である。該公知のホルムアルデヒド吸着剤を併用する場合は酢酸ビニル系樹脂100重量部に対して30重量部以下、好ましくは20重量部以下配合するのが適当である。
【0029】
又、本発明のアルデヒド吸着剤は、そのまま塗料、粘着剤、接着剤に使用したり、接着剤等のホルムアルデヒドを含有する樹脂又は化合物等の対象物に添加して加工製品としたり、紙や繊維(織布、不織布)、木材(接着剤や塗料等がコーティングされているものも含む)等の基材に塗布又は含浸させて、ホルムアルデヒドの低減を図ることができるが、特には接着剤としての利用が建材、特に床材より放散されるホルムアルデヒドの吸着性能の点で有効であり、中でも床用接着剤としての利用が最も好ましい。
【0030】
床用接着剤の調製にあたっては、更に充填剤を含有させることが好ましく、無機充填剤や有機充填剤等が含有される。無機充填剤としては、炭酸カルシウム、クレー、カオリン、タルク、シリカ、酸化チタン等が挙げられ、有機充填剤としては木粉、殻粉等が挙げられる。
【0031】
かかる充填剤の含有量は、酢酸ビニル系樹脂[I]100重量部に対して、最大400重量部程度までというように多量に含有することができる。
【0032】
本発明では、必要に応じて更に、繊維類、着色剤、可塑剤、界面活性剤、揺変剤、安定剤、可使時間延長剤、架橋剤(メラミン系樹脂、イソシアネート系化合物、金属キレート化合物、有機金属化合物、ヒドラジド化合物、エポキシ系化合物、イミン系化合物、不飽和化合物等)、接着性樹脂(ロジン、ロジン誘導体等)などを適宜配合することができる。
【0033】
上記接着剤、特に床用接着剤は、有機溶剤溶液または含水有機溶剤溶液の形態で用いるのが通常である。この場合の接着剤の固形分濃度は、塗工性等の作業性の観点から50〜90重量%とすることが多い。
【0034】
かくして本発明のアルデヒド吸着剤は、種々の用途に適用できるが、中でも接着剤、殊に建材用の接着剤、なかんずくポリ塩化ビニル等でできたタイルやシートを床に接着する床用接着剤として非常に有用である。
【0035】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明する。
尚、例中、「部」、「%」とあるのは、特に断りのない限り重量基準を意味する。
【0036】
実施例1
[アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)の製造]
2−ヒドロキシエチルメタクリレート150部を仕込み、ジケテン付加反応の触媒としてトリエチレンジアミン0.05部を加え、60℃まで昇温後、ジケテン96.9部(2−ヒドロキシエチルメタクリレートに対し当量)を2時間にわたって撹拌下に滴下し、更に5時間反応を続行して2−ヒドロキシエチルメタクリレートのヒドロキシル基をアセトアセチル化し、2−ヒドロキシエチルメタクリレートのヒドロキシル基の全てがアセトアセチル化したアセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレートを得た。
【0037】
[アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]の製造]
酢酸ビニル(a)80部、上記アセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレート(b)10部、メチルアクリレート(c)10部及びメタノール110部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.17部を加え、メタノール還流温度で12時間反応後、メタノールにて希釈することによりアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−1]のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について以下の評価を行った。
【0038】
(ホルムアルデヒド吸着力)
ガラス板(15×20cm)に上記樹脂溶液を塗布量130g/m2で塗工して、1時間放置し、試験片を作製した。
内容量10Lのデシケーター2個をコックの付いた連結管にて接続し、一方のデシケーターの底部に、300mlの蒸留水を入れた直径12cm、高さ6cmの結晶皿を置き、もう一方のデシケーターには試験片及びパーチクルボード(50×150mm)を固定して載せ、コックを閉じた状態で20±1℃にて24時間放置後、コックを開けさらに20±1℃にて24時間放置して、放出されるホルムアルデヒドを蒸留水に吸収させた。試験溶液中のホルムアルデヒドの濃度はアセチルアセトン法によって、光電分光光度計を用いて吸光度から定量し、ホルムアルデヒド濃度(mg/l)を測定した。
【0039】
[接着剤の製造]
上記得られたアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−1]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、タルク20部、シリカ10部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について以下の評価を行った。
【0040】
(接着性)
得られた接着剤溶液を25mm巾のフレキシブル板の端から25mmのところまでクシ目ゴテにて塗工し、その接着剤塗工部に25mm巾のビニル床タイルを圧着して、温度25℃で7日間養生した。このようにして得た試験片につき、引張速度20mm/minで引張剪断強度(N/cm2)を測定した。
【0041】
実施例2
[アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)の製造]
実施例1と同様のアセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレートを得た。
【0042】
[アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]の製造]
酢酸ビニル(a)75部、上記アセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレート(b)5部、エチルアクリレート(c)20部及び酢酸エチル65部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアセチルパーオキサイド0.06部を加え、酢酸エチル還流温度で8時間反応後、メタノールにて希釈することによりアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−2]の酢酸エチル/メタノール溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様の評価を行った。
【0043】
[接着剤の製造]
上記得られたアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−2]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム15部、シリカ15部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について実施例1と同様の評価を行った。
【0044】
実施例3
[アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)の製造]
4−ヒドロキシブチルアクリレート150部を仕込み、ジケテン付加反応の触媒としてトリエチレンジアミン0.05部を加え、60℃まで昇温後、ジケテン87.5部(4−ヒドロキシブチルアタクリレートに対し当量)を2時間にわたって撹拌下に滴下し、更に5時間反応を続行して4−ヒドロキシブチルアクリレートのヒドロキシル基をアセトアセチル化し、4−ヒドロキシブチルアクリレートのヒドロキシル基の全てがアセトアセチル化したアセトアセチル化4−ヒドロキシブチルアクリレートを得た。
【0045】
[アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]の製造]
酢酸ビニル(a)65部、上記アセトアセチル化4−ヒドロキシブチルアクリレート(b)15部、ブチルアクリレート(c)20部及びエタノール100部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.05部を加え、エタノール還流温度で15時間反応後、エタノールにて希釈することによりアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−3]のエタノール溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様の評価を行った。
【0046】
[接着剤の製造]
上記得られたアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−3]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、タルク15部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について実施例1と同様の評価を行った。
【0047】
実施例4
[アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)の製造]
実施例1と同様のアセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレートを得た。
【0048】
[アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]の製造]
酢酸ビニル(a)95部、上記アセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレート(b)5部及びメタノール70部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.20部を加え、メタノール還流温度で16時間反応後、メタノールにて希釈することによりアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−4]のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様の評価を行った。
【0049】
[接着剤の製造]
上記得られたアセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I−4]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム15部、タルク20部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について実施例1と同様の評価を行った。
【0050】
比較例1
実施例1において、アセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレート(b)を含有させず、酢酸ビニル(a)70部、ブチルアクリレート(c)30部及びメタノール110部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてベンゾイルパーオキサイド0.17部を加え、メタノール還流温度で17時間反応後、メタノールにて希釈することにより酢酸ビニル系樹脂[I’−1]のメタノール溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様の評価を行った。
【0051】
[接着剤の製造]
上記得られた酢酸ビニル系樹脂[I’−1]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、タルク20部、シリカ10部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について、実施例1と同様の評価を行った。
【0052】
比較例2
比較例1において、更にホルムアルデヒド吸着剤としてアセチルアセトンを5部配合した以外は同様に樹脂溶液及び接着剤溶液を得た。
得られた樹脂溶液及び接着剤について、実施例1と同様の評価を行った。
尚、かかる接着剤は、臭気のひどいものであり、実用に際して問題となるものであった。
【0053】
比較例3
酢酸ビニル(a)40部、上記実施例1と同様のアセトアセチル化2−ヒドロキシエチルメタクリレート(b)5部、ブチルアクリレート(c)50部、エチルアクリレート(c)5部及び酢酸エチル80部を仕込み、加熱還流開始後、重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル0.07部を加え、酢酸エチル還流温度で7時間反応後、トルエンにて希釈することによりアセトアセチル基を含有するアクリル系樹脂[I’−2]の酢酸エチル/トルエン溶液(濃度50%)を得た。
得られた樹脂溶液について実施例1と同様の評価を行った。
【0054】
上記得られたアセトアセチル基を含有するアクリル系樹脂[I’−2]の溶液100部(樹脂分50部)に、充填剤として炭酸カルシウム20部、シリカ10部を配合し、撹拌して接着剤溶液を得た。
得られた接着剤について実施例1と同様の評価を行った。
実施例及び比較例の評価結果を表1に示す。
【0055】
【0056】
【発明の効果】
本発明のアルデヒド吸着剤は、アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]からなるため、ホルムアルデヒドを含有する対象物、あるいは基材から発生するホルムアルデヒドの吸着性能に非常に優れるうえ、接着剤、特に建材用の接着剤としての接着性能にも優れ、特に床用接着剤として非常に有用である。
Claims (6)
- アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]からなることを特徴とするアルデヒド吸着剤。
- アセトアセチル基を含有する酢酸ビニル系樹脂[I]が、酢酸ビニル(a)50〜99.5重量%、アセトアセチル基含有エチレン性不飽和単量体(b)0.5〜30重量%、及びその他の共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)0〜45重量%を共重合成分として含む酢酸ビニル系樹脂であることを特徴とする請求項1記載のアルデヒド吸着剤。
- 共重合可能なエチレン性不飽和単量体(c)として、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(c1)を共重合成分全体に対して0.5〜45重量%含むことを特徴とする請求項1又は2記載のアルデヒド吸着剤。
- 請求項1〜3いずれか記載のアルデヒド吸着剤を含むことを特徴とする接着剤。
- 更に、充填剤を含有してなることを特徴とする請求項4記載の床用接着剤。
- 充填剤が、炭酸カルシウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、酸化チタンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項5記載床用接着剤。
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