JP2004149656A - 微小球状ロジン変性フェノール樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】球状微粒子のロジン変性フェノール樹脂およびそれを合成する方法を提供する。
【解決手段】平均粒径が0.1μm〜10μmであることを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂であり、球状ロジン変性フェノール樹脂を得る方法は、有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする。球状ロジン変性フェノール樹脂は、軟化温度が100〜200℃であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】平均粒径が0.1μm〜10μmであることを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂であり、球状ロジン変性フェノール樹脂を得る方法は、有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする。球状ロジン変性フェノール樹脂は、軟化温度が100〜200℃であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、球状微粒子のロジン変性フェノール樹脂およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、球状の樹脂微粒子を合成する方法として、懸濁重合、エマルジョン重合による方法が試みられてきた。これらのプロセスは安価なものであるため、汎用プラスチックであるポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル樹脂等の製造分野などで利用されてきた。
【0003】
近年、ソープフリー乳化重合やシード乳化重合が注目されてきている。これは、懸濁重合や乳化重合とは異なり、懸濁剤や乳化剤、界面活性剤を一切使用しないため、後工程の洗浄が省略できるという非常に大きなメリットがあるためである。また、数μmから数十nm程度の非常に径の小さな粒子の合成が容易であり、さらに粒度分布がシャープな微粒子を合成することが可能である。これらソープフリー乳化重合は主にポリメチルメタクリレートやその他特殊なモノマーでなければ重合できない。
【0004】
一方、フェノール樹脂の懸濁重合プロセスによる球状硬化物の合成も様々なところで行われている。また、懸濁重合プロセスによりフェノール樹脂微粒子を得る方法も知られていて、平均粒径が5〜1000μmの球状樹脂を得ている(例えば、特許文献1,2参照)。この球状樹脂は主として加熱成形を行うためのバインダーとして使用している。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−127719号公報
【特許文献2】
特開昭62−235312号公報
【0006】
上記の例のように、重合プロセスにおいて、エマルジョンの系を利用してモノマーから樹脂を合成するのが一般的であるが、球状樹脂を得るために、合成された樹脂をエマルジョン化し、それを固液分離することで球状微粒子を得るという検討はなされていない。その理由として、エマルジョンであることを前提として製品設計を行っていたり、固液分離が困難であったり、球状樹脂であることの利点が明らかにされていなかった為である。
【0007】
一方、ロジン変性フェノール樹脂においては、ゴム系接着剤や粘着テープなどの粘着性が要求される分野で使用されている。これらの分野における使用方法は、ロジン変性フェノール樹脂を有機溶媒で溶解させ、ゴム系接着剤の場合はゴムと混練する、粘着テープの場合はゴム等の配合剤をテープ材に塗布することで最終製品を得ていた。また、ロジン変性フェノール樹脂のエマルジョンに関する検討も盛んに行われているが、近年、有機溶剤などが環境へ与える影響が注目され、溶剤を使用しない方向での研究開発が進んでいる。
【0008】
究極的には、溶剤を使用せずに球状微粒子の樹脂を製造することが環境の観点から最も好ましいが、ロジン変性フェノール樹脂の分野に関しては、樹脂を球状化する検討及びそれを用いた製品を製造する検討については殆どなされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、球状微粒子のロジン変性フェノール樹脂およびそれを合成する方法を提供するものである。本発明による球状樹脂微粒子は、優れた粘着性を有することから粘着助剤として直接使用できる。また、その他にバインダー性能があることから、各種接着剤の添加剤としての利用も可能である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明(1)〜(5)により達成される。
(1) 平均粒径が0.1μm〜10μmであることを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂。
(2) 有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
(3) 得られた球状ロジン変性フェノール樹脂が平均粒径0.1μm〜10μmのものである上記(2)に記載の球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
(4) 前記ロジン変性フェノール樹脂が、軟化温度100℃〜200℃のものである上記(2)または(3)に記載の球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
(5) 前記有機溶媒が芳香族炭化水素である上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、平均粒径0.1μm〜10μmの球状ロジン変性フェノール樹脂である。また、本発明は、有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法である。即ち、本発明者は、本発明に関して検討を行った結果、有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水及び乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離を行うことで平均粒径が0.1μm〜10μmの球状樹脂微粒子を製造することが可能であることを見いだした。
【0012】
まず、平均粒径0.1μm〜10μmの球状ロジン変性フェノール樹脂について説明する。本発明において、ロジン変性フェノール樹脂は、例えば、ロジンとフェノール樹脂とを触媒として酸を使用して反応させたものである。かかるロジン変性フェノール樹脂を平均粒径0.1μm〜10μmの球状とすることにより、ゴム配合剤や粘着テープ用として優れた性能を有するものとなる。平均粒径0.1μmを下回ると粒子が二次凝集しやすくなり、作業性が悪くなるようになる。10μmを上回ると粘着強度などの諸特性が低下するようになる。
【0013】
本発明において、ロジン変性フェノール樹脂は、特に限定されるものではないが、軟化点が100℃〜200℃の樹脂であることが好ましい。これにより、常温ないし50℃程度の温度において、優れた粘着強度を示す。軟化点が100℃未満では50℃という室温より高い温度での粘着強度が低下するようになる。また、軟化点が200℃を上回るとゴムあるいはアクリルエマルジョンなどの他の配合剤との親和性が低下し、粘着強度が低下するようになる。
【0014】
次に、有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法について説明する。本発明において、ロジン変性フェノール樹脂は、有機溶媒に溶解して使用される。有機溶媒は、ロジン変性フェノール樹脂を完全に溶解することができ、且つ水とほとんど相溶性がないものが適当である。具体的には、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系の有機溶媒が好ましいものである。脂肪族系の有機溶剤はロジン変性フェノール樹脂を溶解させることができない。樹脂濃度については、10〜60重量%が好ましい。10%未満では、収率が低くまた、トルエンを多く使用する必要がある。また、60%を超えると、粘度が非常に高くなり、撹拌操作が困難になることがある。さらには、乳化剤によるエマルジョン化を安定化させるために、オレイン酸等の不飽和カルボン酸を添加することができる。その添加量は、樹脂に対して1〜10重量%が好ましい。
【0015】
上記の方法で得られたエマルジョンにおいて、樹脂微粒子を、エマルジョンから分離するが、分離には遠心分離機を使用することができる。例えば、100mlの遠沈缶を4本使用し、5000rpmで10分間遠心分離を行う。分離した上澄みを除去した後、沈降物(ケーキ)を乾燥する。乾燥条件は、樹脂微粒子が固着や軟化しない温度、具体的には100℃以下が好ましく、例えば、50℃で24時間である。その後、遠心粉砕機等により解砕を行って目的の樹脂微粒子を得る。
【0016】
本発明で得られた樹脂微粒子の粒度は、例えば、レーザー散乱型粒度分布測定装置(堀場製作所製:LA920)を用いて測定することができる。粒度測定サンプルは乳化後のエマルジョンを用いて直接測定することができる。
【0017】
本発明で得られた樹脂微粒子は、優れた粘着性を有するものである。
樹脂微粒子の粘着強度の測定は、以下の方法で行うことができる。
測定装置は、ピクマタックテスタ(東洋精機(株)製)を使用した。粘着剤の調製は、樹脂微粒子とアクリルエマルジョン(ビニブラン2100:日本合成化学(株)製)をそれぞれ100重量部ずつホモディスパーで混合して得た。次に、幅10mm、長さ160mmのガラスクロス面に、この粘着剤2重量部を、スパーテルを用いて塗布した。その後、塗布したガラスクロスを50℃で3時間乾燥機にて乾燥を行い、試験片を作製した。
粘着強度測定装置にこの試験片を取りつけて粘着強度測定を行った。圧着荷重4.9N、圧着時間10秒、試験速度100mm/分、試験温度は50℃とした。
【0018】
【実施例】
次に、実施例により本発明を説明する。得られた樹脂微粒子の粒度および粘着強度の測定は、それぞれ上記の方法にて実施した。
【0019】
[実施例1]
市販のロジン変性フェノール樹脂(PR−12603:住友ベークライト(株)製)100重量部をトルエン50重量部に溶解し、次いで、安定した乳化を行うためにオレイン酸を5重量部加えて80℃にて撹拌した。その後、室温まで冷却して、水100重量部、カゼイン5重量部、トリエタノールアミン5重量部を添加し、攪拌混合して、平均粒径1μmのロジン変性フェノール樹脂エマルジョンを得た。
上記エマルジョンにさらに水を300重量部添加してエマルジョンを希釈して、遠心分離機で固液分離を行った。沈降物(ケーキ)を取り出して50℃の乾燥機で24時間乾燥を行った。乾燥した樹脂微粒子を、卓上粉砕機を用いて粉砕を行い、平均粒径1μmの球状ロジン変性フェノール樹脂90重量部を得た。
【0020】
[実施例2]
市販のロジン変性フェノール樹脂(PR−12603)100重量部、トルエン100重量部、カゼイン10重量部とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果平均粒径0.8μmの球状ロジン変性フェノール樹脂が得られた。
【0021】
[実施例3]
市販のロジン変性フェノール樹脂の種類を変更(PR−51732:住友ベークライト(株)製)した以外は実施例1と同様の方法で行った。
【0022】
[比較例1]
市販のロジン変性フェノール樹脂(PR−12603)を、自由ミルを用いて粉砕を行った。得られた粉末の平均粒径は20μmであった。
【0023】
得られた球状樹脂微粒子の平均粒径と粘着強度を、用いたロジン変性フェノール樹脂の軟化温度とともに表1に示す。実施例で得られた球状樹脂微粒子は、平均粒径が小さく、粘着強度の優れたものであった。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明による平均粒径0.1μm〜10μmの球状ロジン変性フェノール樹脂は、高温での粘着性が必要とされる分野で、優れた粘着強度を示す。また、粉末状であることから、有機溶剤を使用することなく粘着剤を製造することが可能であるため、作業環境が非常に良好になる効果が期待できる。
【0026】
さらに、本発明の、有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法により、微粒子状の、好ましくは平均粒径0.1μm〜10μmの球状ロジン変性フェノール樹脂を容易に得ることができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、球状微粒子のロジン変性フェノール樹脂およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、球状の樹脂微粒子を合成する方法として、懸濁重合、エマルジョン重合による方法が試みられてきた。これらのプロセスは安価なものであるため、汎用プラスチックであるポリスチレン、架橋ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリエステル樹脂等の製造分野などで利用されてきた。
【0003】
近年、ソープフリー乳化重合やシード乳化重合が注目されてきている。これは、懸濁重合や乳化重合とは異なり、懸濁剤や乳化剤、界面活性剤を一切使用しないため、後工程の洗浄が省略できるという非常に大きなメリットがあるためである。また、数μmから数十nm程度の非常に径の小さな粒子の合成が容易であり、さらに粒度分布がシャープな微粒子を合成することが可能である。これらソープフリー乳化重合は主にポリメチルメタクリレートやその他特殊なモノマーでなければ重合できない。
【0004】
一方、フェノール樹脂の懸濁重合プロセスによる球状硬化物の合成も様々なところで行われている。また、懸濁重合プロセスによりフェノール樹脂微粒子を得る方法も知られていて、平均粒径が5〜1000μmの球状樹脂を得ている(例えば、特許文献1,2参照)。この球状樹脂は主として加熱成形を行うためのバインダーとして使用している。
【0005】
【特許文献1】
特開昭61−127719号公報
【特許文献2】
特開昭62−235312号公報
【0006】
上記の例のように、重合プロセスにおいて、エマルジョンの系を利用してモノマーから樹脂を合成するのが一般的であるが、球状樹脂を得るために、合成された樹脂をエマルジョン化し、それを固液分離することで球状微粒子を得るという検討はなされていない。その理由として、エマルジョンであることを前提として製品設計を行っていたり、固液分離が困難であったり、球状樹脂であることの利点が明らかにされていなかった為である。
【0007】
一方、ロジン変性フェノール樹脂においては、ゴム系接着剤や粘着テープなどの粘着性が要求される分野で使用されている。これらの分野における使用方法は、ロジン変性フェノール樹脂を有機溶媒で溶解させ、ゴム系接着剤の場合はゴムと混練する、粘着テープの場合はゴム等の配合剤をテープ材に塗布することで最終製品を得ていた。また、ロジン変性フェノール樹脂のエマルジョンに関する検討も盛んに行われているが、近年、有機溶剤などが環境へ与える影響が注目され、溶剤を使用しない方向での研究開発が進んでいる。
【0008】
究極的には、溶剤を使用せずに球状微粒子の樹脂を製造することが環境の観点から最も好ましいが、ロジン変性フェノール樹脂の分野に関しては、樹脂を球状化する検討及びそれを用いた製品を製造する検討については殆どなされていない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的とするところは、球状微粒子のロジン変性フェノール樹脂およびそれを合成する方法を提供するものである。本発明による球状樹脂微粒子は、優れた粘着性を有することから粘着助剤として直接使用できる。また、その他にバインダー性能があることから、各種接着剤の添加剤としての利用も可能である。
【0010】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明(1)〜(5)により達成される。
(1) 平均粒径が0.1μm〜10μmであることを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂。
(2) 有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
(3) 得られた球状ロジン変性フェノール樹脂が平均粒径0.1μm〜10μmのものである上記(2)に記載の球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
(4) 前記ロジン変性フェノール樹脂が、軟化温度100℃〜200℃のものである上記(2)または(3)に記載の球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
(5) 前記有機溶媒が芳香族炭化水素である上記(2)ないし(4)のいずれかに記載の球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明は、平均粒径0.1μm〜10μmの球状ロジン変性フェノール樹脂である。また、本発明は、有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法である。即ち、本発明者は、本発明に関して検討を行った結果、有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水及び乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離を行うことで平均粒径が0.1μm〜10μmの球状樹脂微粒子を製造することが可能であることを見いだした。
【0012】
まず、平均粒径0.1μm〜10μmの球状ロジン変性フェノール樹脂について説明する。本発明において、ロジン変性フェノール樹脂は、例えば、ロジンとフェノール樹脂とを触媒として酸を使用して反応させたものである。かかるロジン変性フェノール樹脂を平均粒径0.1μm〜10μmの球状とすることにより、ゴム配合剤や粘着テープ用として優れた性能を有するものとなる。平均粒径0.1μmを下回ると粒子が二次凝集しやすくなり、作業性が悪くなるようになる。10μmを上回ると粘着強度などの諸特性が低下するようになる。
【0013】
本発明において、ロジン変性フェノール樹脂は、特に限定されるものではないが、軟化点が100℃〜200℃の樹脂であることが好ましい。これにより、常温ないし50℃程度の温度において、優れた粘着強度を示す。軟化点が100℃未満では50℃という室温より高い温度での粘着強度が低下するようになる。また、軟化点が200℃を上回るとゴムあるいはアクリルエマルジョンなどの他の配合剤との親和性が低下し、粘着強度が低下するようになる。
【0014】
次に、有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法について説明する。本発明において、ロジン変性フェノール樹脂は、有機溶媒に溶解して使用される。有機溶媒は、ロジン変性フェノール樹脂を完全に溶解することができ、且つ水とほとんど相溶性がないものが適当である。具体的には、トルエン、キシレン、スチレン、エチルベンゼンなどの芳香族炭化水素系の有機溶媒が好ましいものである。脂肪族系の有機溶剤はロジン変性フェノール樹脂を溶解させることができない。樹脂濃度については、10〜60重量%が好ましい。10%未満では、収率が低くまた、トルエンを多く使用する必要がある。また、60%を超えると、粘度が非常に高くなり、撹拌操作が困難になることがある。さらには、乳化剤によるエマルジョン化を安定化させるために、オレイン酸等の不飽和カルボン酸を添加することができる。その添加量は、樹脂に対して1〜10重量%が好ましい。
【0015】
上記の方法で得られたエマルジョンにおいて、樹脂微粒子を、エマルジョンから分離するが、分離には遠心分離機を使用することができる。例えば、100mlの遠沈缶を4本使用し、5000rpmで10分間遠心分離を行う。分離した上澄みを除去した後、沈降物(ケーキ)を乾燥する。乾燥条件は、樹脂微粒子が固着や軟化しない温度、具体的には100℃以下が好ましく、例えば、50℃で24時間である。その後、遠心粉砕機等により解砕を行って目的の樹脂微粒子を得る。
【0016】
本発明で得られた樹脂微粒子の粒度は、例えば、レーザー散乱型粒度分布測定装置(堀場製作所製:LA920)を用いて測定することができる。粒度測定サンプルは乳化後のエマルジョンを用いて直接測定することができる。
【0017】
本発明で得られた樹脂微粒子は、優れた粘着性を有するものである。
樹脂微粒子の粘着強度の測定は、以下の方法で行うことができる。
測定装置は、ピクマタックテスタ(東洋精機(株)製)を使用した。粘着剤の調製は、樹脂微粒子とアクリルエマルジョン(ビニブラン2100:日本合成化学(株)製)をそれぞれ100重量部ずつホモディスパーで混合して得た。次に、幅10mm、長さ160mmのガラスクロス面に、この粘着剤2重量部を、スパーテルを用いて塗布した。その後、塗布したガラスクロスを50℃で3時間乾燥機にて乾燥を行い、試験片を作製した。
粘着強度測定装置にこの試験片を取りつけて粘着強度測定を行った。圧着荷重4.9N、圧着時間10秒、試験速度100mm/分、試験温度は50℃とした。
【0018】
【実施例】
次に、実施例により本発明を説明する。得られた樹脂微粒子の粒度および粘着強度の測定は、それぞれ上記の方法にて実施した。
【0019】
[実施例1]
市販のロジン変性フェノール樹脂(PR−12603:住友ベークライト(株)製)100重量部をトルエン50重量部に溶解し、次いで、安定した乳化を行うためにオレイン酸を5重量部加えて80℃にて撹拌した。その後、室温まで冷却して、水100重量部、カゼイン5重量部、トリエタノールアミン5重量部を添加し、攪拌混合して、平均粒径1μmのロジン変性フェノール樹脂エマルジョンを得た。
上記エマルジョンにさらに水を300重量部添加してエマルジョンを希釈して、遠心分離機で固液分離を行った。沈降物(ケーキ)を取り出して50℃の乾燥機で24時間乾燥を行った。乾燥した樹脂微粒子を、卓上粉砕機を用いて粉砕を行い、平均粒径1μmの球状ロジン変性フェノール樹脂90重量部を得た。
【0020】
[実施例2]
市販のロジン変性フェノール樹脂(PR−12603)100重量部、トルエン100重量部、カゼイン10重量部とした以外は、実施例1と同様の方法で行った。その結果平均粒径0.8μmの球状ロジン変性フェノール樹脂が得られた。
【0021】
[実施例3]
市販のロジン変性フェノール樹脂の種類を変更(PR−51732:住友ベークライト(株)製)した以外は実施例1と同様の方法で行った。
【0022】
[比較例1]
市販のロジン変性フェノール樹脂(PR−12603)を、自由ミルを用いて粉砕を行った。得られた粉末の平均粒径は20μmであった。
【0023】
得られた球状樹脂微粒子の平均粒径と粘着強度を、用いたロジン変性フェノール樹脂の軟化温度とともに表1に示す。実施例で得られた球状樹脂微粒子は、平均粒径が小さく、粘着強度の優れたものであった。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】
本発明による平均粒径0.1μm〜10μmの球状ロジン変性フェノール樹脂は、高温での粘着性が必要とされる分野で、優れた粘着強度を示す。また、粉末状であることから、有機溶剤を使用することなく粘着剤を製造することが可能であるため、作業環境が非常に良好になる効果が期待できる。
【0026】
さらに、本発明の、有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法により、微粒子状の、好ましくは平均粒径0.1μm〜10μmの球状ロジン変性フェノール樹脂を容易に得ることができる。
Claims (5)
- 平均粒径が0.1μm〜10μmであることを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂。
- 有機溶媒に溶解したロジン変性フェノール樹脂を、水、乳化剤を用いて乳化し、その後、固液分離することを特徴とする球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
- 得られた球状ロジン変性フェノール樹脂が平均粒径0.1μm〜10μmのものである請求項2に記載の球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
- 前記ロジン変性フェノール樹脂が、軟化温度100℃〜200℃のものである請求項2または3に記載の球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
- 前記有機溶媒が芳香族炭化水素である請求項2ないし4のいずれかに記載の球状ロジン変性フェノール樹脂の製造方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002315826A JP2004149656A (ja) | 2002-10-30 | 2002-10-30 | 微小球状ロジン変性フェノール樹脂及びその製造方法 |
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Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008047702A1 (fr) | 2006-10-20 | 2008-04-24 | Air Water Inc. | Résine phénolique granulaire, son procédé de fabrication et liquide de dispersion de résine phénolique granulaire |
-
2002
- 2002-10-30 JP JP2002315826A patent/JP2004149656A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2008047702A1 (fr) | 2006-10-20 | 2008-04-24 | Air Water Inc. | Résine phénolique granulaire, son procédé de fabrication et liquide de dispersion de résine phénolique granulaire |
US8362187B2 (en) | 2006-10-20 | 2013-01-29 | Air Water Inc. | Phenol resin powder, method for producing the same, and phenol resin powder dispersion liquid |
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