JP2004149367A - 酸化亜鉛粒子又は膜製造用水溶液及び酸化亜鉛粒子又は膜の製造方法 - Google Patents

酸化亜鉛粒子又は膜製造用水溶液及び酸化亜鉛粒子又は膜の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】従来から知られている水溶液からの酸化亜鉛粉末や膜の製造法では、沈澱生成が溶液全体で起きるため酸化亜鉛粒子の生成を基板表面などに限定しにくい。また、溶液の混合過程の進行に伴って沈澱粒子が生成するため粒径分布の制御などが難しい。さらに、電解析出法による酸化亜鉛膜の製造方法では電圧の印加が可能な金属板などしか基板として用いることが出来ない。
【構成】テトラヒドロキシ亜鉛酸イオン[Zn(OH) 2−]を0.01mol/l以上含有するpH8以上の水溶液からなることを特徴とする酸化亜鉛粒子又は膜製造用水溶液。アルコールや亜鉛塩以外の他の金属塩を共に含有するとよい。この溶液はpH8以上で高い安定性を有しており、室温程度以下の温度で沈澱の生成を起こさせずに長期に安定に保存できる。この水溶液を30℃以上100℃未満で加熱することにより水溶液から酸化亜鉛を直接析出させる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光触媒、透明導電性薄膜、蛍光表示管、冷陰極管の電子線源などに適する酸化亜鉛粒子又は酸化亜鉛膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、酸化亜鉛薄膜は主に化学気相蒸着法(CVD法)により製造されている。このCVD法では基板の加熱処理温度や亜鉛源として用いる亜鉛化合物の種類によって膜の緻密さ、配向などを制御することが出来る。しかし、プロセス全体を超高真空が保てる装置で行わなければならず、また、基板も数百℃以上の加熱処理に耐えることの出来るものでなくてはならない。したがって、CVD法は高品質な膜を製造することは出来るが、省エネルギー・工程の簡便化・成膜可能な基板材料という点で大きな改善の余地を有する技術である。
【0003】
化学的な手法としてゾルゲル法による酸化亜鉛膜の製造方法も開発されている。この方法の場合、コーティング液を基板に塗布した後、400℃以上の温度で焼成しなければ酸化亜鉛膜を形成することが出来ない。また、1マイクロメートル以上の膜厚を有する膜を調製することが難しいという問題点がある。
【0004】
以前より、水溶液からの酸化亜鉛粒子の析出沈殿現象を利用した酸化亜鉛粉末の製造方法がいくつか報告されている(例えば、特許文献1〜3)。亜鉛塩をアルコール溶液中又はアルコールと水との混合溶液中で、最終pH9以上のアルカリ性下で加水分解させて平均粒径0.05μm以下の酸化亜鉛微粒子を製造する方法も知られている(特許文献4)。また、水溶液からの酸化亜鉛粒子の析出現象を利用した酸化亜鉛膜の製造方法についても、例えば、金属のフッ化物溶液からの金属酸化物粒子の析出現象を応用した金属酸化物薄膜の製造方法(特許文献5)や亜鉛イオンとボラン−アミンコンプレクッスを含有する水溶液を用いた酸化亜鉛膜の製膜方法(特許文献6)が報告されている。
【0005】
また、近年、電解析出法による酸化亜鉛膜の製造方法が報告されている(特許文献7,8)。この方法は、亜鉛イオンを含有する水溶液中で基板に電圧を印加することにより酸化亜鉛膜を電解析出させるものである。
【0006】
【特許文献1】
特開昭53−116296号公報(特公昭55−10546号公報)
【特許文献2】
特開平04−164813号公報
【特許文献3】
特開平04−164814号公報
【特許文献4】
特開平04−357114号公報
【特許文献5】
特開平01−301514号公報(特許第2541269号公報)
【特許文献6】
特開平09−278437号公報(特許第3256776号公報)
【特許文献7】
特開平10−259497号公報
【特許文献8】
特開2002−167695号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
水溶液からの酸化亜鉛粒子の析出現象を利用した方法により酸化亜鉛膜を製造することが出来るが、CVD法を用いた時の様なウイスカー状の酸化亜鉛結晶粒子を得ることや数μm以上の大きさに成長した酸化亜鉛結晶粒子を得ることは出来なかった。特に、酸化亜鉛の結晶性は、その物性に大きな影響を与えるため電子材料としての応用を考える場合には、高い結晶性を有する酸化亜鉛粒子又は膜を製造できなければならない。
【0008】
上記のような従来から知られている水溶液からの酸化亜鉛粉末や膜の製造法では、亜鉛塩溶液と塩基溶液を混合中又は混合完了後直ちに酸化亜鉛の沈澱が生じるか、又は亜鉛化合物沈澱が生じた後に速やかに酸化亜鉛へ結晶構造が変化することにより酸化亜鉛粒子が生成している。これらの従来技術では、沈澱生成が溶液全体で起きるため酸化亜鉛粒子の生成を基板表面などに限定しにくい。また、溶液の混合過程の進行に伴って沈澱粒子が生成するため粒径分布の制御などが難しいという問題点がある。さらに、電解析出法による酸化亜鉛膜の製造方法では電圧の印加が可能な金属板などしか基板として用いることが出来ない。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、pH8以上で安定なテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する水溶液を酸化亜鉛粒子又は酸化亜鉛膜製造のための前駆体として用いることで前記の問題点を解決できることを見出した。この水溶液中で100℃未満の温度での加熱処理により一次粒子径が1μm以上の酸化亜鉛粒子又は酸化亜鉛膜を製造することができる。
【0010】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
(1)テトラヒドロキシ亜鉛酸イオン[Zn(OH) 2−]を0.01mol/l以上含有するpH8以上の水溶液からなることを特徴とする酸化亜鉛粒子又は膜製造用水溶液。
(2)アルコールを混合したことを特徴とする上記(1)の酸化亜鉛粒子又は膜製造用水溶液。
(3)亜鉛塩以外の他の金属塩を共に含有することを特徴とする上記(1)又は(2)の酸化亜鉛粒子又は膜製造用水溶液。
(4)亜鉛塩を含有する溶液に塩基性溶液を加えて沈澱を生成させる工程と、さらに塩基性溶液を加えて沈澱を溶解させる工程とからなることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかの水溶液の調製方法。
(5)pHが10以上の塩基溶液に亜鉛塩又は亜鉛塩溶液を加え溶解させることを特徴とする上記(1)ないし(3)のいずれかの水溶液の調製方法。
(6)上記(1)ないし(3)のいずれかの水溶液を30℃以上100℃未満で加熱することにより水溶液から酸化亜鉛を直接析出させることを特徴とする酸化亜鉛粒子又は膜の製造方法。
(7)水溶液中に基体を浸漬し、該基体上に酸化亜鉛を直接析出させることを特徴とする上記(6)の酸化亜鉛粒子又は膜の製造方法。
【0011】
テトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する溶液はpH8以上で高い安定性を有しており、室温程度以下の温度で沈澱の生成を起こさせずに長期に安定に保存することが可能である。この溶液を室温以下でより安定に保存するためには溶液のpHは11以上であることがさらに望ましい。
【0012】
テトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する溶液は、30℃以上の温度に加熱することによって所定の温度に達してから30分以上の沈澱の析出などが全く見られない誘導期間を経た後に酸化亜鉛粒子の析出が生じる。また、従来法では、溶液温度が低い場合や反応時間が短い場合、水酸化亜鉛や塩基性亜鉛化合物などの副生成物を伴う場合があるが、テトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する溶液を用いる場合はそのような副生成物は全く生じない。
【0013】
そして、テトラヒドロキシ亜鉛酸を含有する溶液を加熱すると、テトラヒドロキシ亜鉛酸イオンから酸化亜鉛結晶粒子が直接生成するため、溶液中に浸した基体上に密着した形で酸化亜鉛結晶粒子を析出させることが出来る。さらに、水溶液中のテトラヒドロキシ亜鉛酸の濃度と水溶液の加熱温度によって簡単に酸化亜鉛結晶粒子の形態を制御することが出来る。長軸方向が10μm以上ある酸化亜鉛ウイスカーを得ることも可能である。
【0014】
本発明の方法は、従来からある水溶液からの析出法とは得られる酸化亜鉛の結晶性、粒子形態の点で全く異なる。本発明の方法で得られるような一次粒子径が1μm以上で、酸化亜鉛ウイスカーが中心から放射状に突出した形態を有する酸化亜鉛の溶液からの析出法についてはこれまで報告例がない。この様な粒子形態は、従来の多面体ないし球状の粒子の集合体とは異なる粒界状態を作り出し酸化亜鉛のガスセンサーやバリスターとしての機能の改良が期待される。
【0015】
本発明の酸化亜鉛膜の製造方法を用いることで、簡便に大表面積のガラス基板上へのコーティングが可能になる。そこで、窓用ガラスなどへの酸化亜鉛膜のコーティングよる紫外線遮断用ガラスや酸化亜鉛の光触媒活性を利用した除汚性のセルフクリーニングガラスなどの製造が可能になる。
【0016】
また、酸化亜鉛は近年透明導電性薄膜への応用の可能性やCVD法の水素ドープによる紫外線領域の蛍光発光が大きな注目を集めているが、本発明の方法で得られる膜はこれらの膜として使用できる。
【0017】
また、本発明の方法により、酸化亜鉛の蛍光特性を利用した蛍光表示管などの低コストな製造が可能である。
【0018】
本発明の方法では、酸化亜鉛結晶粒子の形態を粒子状、ウイスカー状に制御することができる。そこで、これらの酸化亜鉛結晶粒子の形態を利用し電子線源などへの応用も可能である。
【0019】
【作用】
亜鉛の塩基性溶液から酸化亜鉛粒子や膜を得る従来の方法では、溶液から水酸化亜鉛が沈澱し、この水酸化亜鉛が速やかに酸化亜鉛に結晶化するものと考えられる。事実、水酸化亜鉛は10℃以上の温度では比較的容易に酸化亜鉛へ変化する。テトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する水溶液を酸化亜鉛を析出させる前駆体として用い、この水溶液を加熱処理すると、以下の平衡反応が酸化亜鉛の生成に傾くと考えられる。したがって、水酸化亜鉛を実質的に形成せずに、水溶液から直接酸化亜鉛が析出する。
Zn(OH) 2− ⇔(加熱)⇔ZnO + HO + 2OH−
この反応で高い結晶性の酸化亜鉛が得られ、また粒子形態が特徴ある形態を呈するのは、溶液から中間体を経ずに直接酸化亜鉛が析出するので、一度核となる酸化亜鉛結晶粒子が生成するとその表面でエピタキシャルな結晶成長が起こり、さらに結晶粒子の表面で新しい結晶核が発生しやすくなるためであると考えられる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明において、テトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する溶液は、次のようにして製造することが出来る。
第一の方法として、亜鉛塩水溶液に塩基を加え水酸化亜鉛[Zn(OH)]の沈澱を得た後、水酸化亜鉛の沈澱が全部溶解して透明で均一なテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する溶液になるまで塩基をさらに加える。この様にして得られた溶液のpHは8以上である。
【0021】
第二の方法として、pHが10以上の塩基溶液に亜鉛塩又は亜鉛塩溶液を加え溶解させることにより透明で均一なテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する溶液を調製することができる。この様にして得られた溶液のpHは8以上である。
この第二の方法で水溶液を調製する場合、塩基溶液のpHが10未満であると亜鉛塩又は亜鉛塩溶液を加えたときに水酸化亜鉛の沈澱が生成して均一な溶液を得ることが出来ない。
【0022】
亜鉛塩としては、硝酸亜鉛、塩化亜鉛、酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、硫酸亜鉛などを用いることが出来る。塩基は、LiOH,NaOH,KOH,Ba(OH)2,Ca(OH),NH水,NaCO3,COなどを用いることが出来る。また、亜鉛塩に対する塩基のモル量は、5倍以上が適している。これよりも塩基量が少ないと水酸化亜鉛の沈澱が生成し、テトラヒドロキシ亜鉛酸イオンが生成しない場合がある。
【0023】
テトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する水溶液を調製する際に用いる亜鉛塩や塩基の種類を変えることで溶液から析出する酸化亜鉛結晶粒子の形状をコントロールすることが出来る。
【0024】
この水溶液中に存在するテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンの濃度は0.01mol/l以上とする。これより低い濃度であると加熱処理温度を上げても酸化亜鉛粒子の析出が起こらない。
【0025】
この水溶液にマンニトール、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、グリセリン、エチレングリコール、プロパノール、ブタノールなどのアルコールを溶液中の亜鉛イオンと当モル量程度添加することによって析出する酸化亜鉛粒子の粒子形態の均一性をよくすることができる。
【0026】
さらに、前記溶液に亜鉛塩の他に、Li+, Na+, K+, Cs+, Ni2+, Cu2+, Al3+,Fe3+, Fe2+, Ti4+, Zr4+などの金属塩を亜鉛に対してモル量で10%以下の僅かな量を添加してこれらの金属イオンを共存させると、得られる酸化亜鉛粒子の粒径をより小さくしたり、粒子形態を変化させるすることが出来る。
【0027】
次に、酸化亜鉛を析出させる工程を説明する。以上のような方法によって得られたテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する水溶液を加熱処理温度30℃以上100℃未満で常圧下において30分から24hrs静置することによって酸化亜鉛結晶粒子が溶液から析出し、0.01μmから10μmの大きさを有する酸化亜鉛粒子や粒子の集合体を製造することができる。
【0028】
この水溶液の加熱処理温度は、高い方がより短い時間で酸化亜鉛粒子の析出が始まるので、70℃以上であることが望ましい。また加熱温度が100℃以上では溶液の蒸発が激しくなり製膜ができなくなるので100℃未満であることが望ましい。
【0029】
亜鉛塩濃度が高いほど得られる粒子の粒径は小さくなる。これは、溶液中での核発生頻度が高くなるためであると考えられる。溶液の温度に関しては余り大きな影響はなく、溶液の温度が60℃程度と95℃程度では粒子の形状と大きさはそれほど相違がないが、温度が低いと析出速度は遅くなる。
【0030】
この水溶液中にガラスや有機高分子などよりなる基体を浸漬したまま加熱処理することで、基体上に酸化亜鉛結晶粒子を堆積させ膜厚100μm程度までの均質な膜を密着性よく形成できる。膜が厚くなると当然剥離しやすくなる。特に、塩基としてアンモニア水や水酸化リチウムを用いた場合は他の塩基を用いた場合よりも密着性の優れた膜が得られ、50μm程度まで密着性の非常によい膜を形成できる。基体については、板状である必要はなく繊維状でもメッシュ状でも構わない。この様なものへ酸化亜鉛を析出させたものは光触媒フィルターなどへ応用できる。
【0031】
製膜方法に関しては、水溶液中に基体を浸漬して加熱処理するだけでなく、基体にテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する溶液を塗布又は噴霧した後で加熱する方法でテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する溶液から酸化亜鉛を析出させる方法でもよい。
【0032】
【実施例】
実施例1
ポリプロピレン製ビーカーからなる容器に入れた蒸留水に硝酸亜鉛6水和物を室温で溶解して0.1mol/lの濃度の亜鉛塩水溶液50mlを調製した。この亜鉛塩水溶液を室温で攪拌しながら1.5mol/lのアンモニア水50mlを加えた。アンモニア水を加えるとすぐに白色の水酸化亜鉛の沈澱の生成が見られたが、アンモニア水を全て加え終わったときには沈澱は再溶解し透明なテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する水溶液が得られた。
【0033】
この水溶液中にガラス基板(20mm×50mm×1mm)を入れ、容器の底に平行に置いた。溶媒の水の蒸発を防ぐために容器を密封し、95℃の恒温槽中に2時間静置した後、ガラス基板を取り出し蒸留水ですすいで乾燥することで酸化亜鉛膜が付着したガラス基板が得られた。
【0034】
得られた酸化亜鉛膜の膜厚は0.1mmであった。図1は、得られた酸化亜鉛膜表面のSEM像である。長さが5μmから10μmの酸化亜鉛ウイスカーが凝集した構造が見られた。図2に、X線回折パターンを示した。半値幅の狭いシャープなピークが見られる。
【0035】
実施例2
ポリプロピレン製ビーカーからなる容器に入れた蒸留水に硝酸亜鉛6水和物とマンニトール0.005molを室温で溶解し0.1mol/lの濃度の亜鉛塩水溶液50mlを調製した。この亜鉛塩水溶液を室温で攪拌しながらマンニトール0.005molを含有する1.5mol/lのアンモニア水50mlを加えた。アンモニア水を加えるとすぐに白色の水酸化亜鉛の沈澱の生成が見られたが、アンモニア水を全て加え終わったときには沈澱は再溶解し透明なテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する水溶液が得られた。
【0036】
この水溶液中にガラス基板(20mm×50mm×1mm)を入れ、容器の底に平行に置いた。溶媒の水の蒸発を防ぐために容器を密封し、95℃の恒温槽中に2時間静置した後、ガラス基板を取り出し蒸留水ですすいで乾燥することで酸化亜鉛膜が付着したガラス基板が得られた。
【0037】
得られた酸化亜鉛膜の膜厚は0.1mmであった。図3は、得られた酸化亜鉛膜表面のSEM像である。平均長さが10μmの酸化亜鉛ウイスカーが中心から放射状に突出した特徴ある形状を有する酸化亜鉛粒子が得られた。マンニトールを加えることにより粒子形態の均一性が高くなったことが分かる。図4に、X線回折パターンを示した。半値幅の狭いシャープなピークが見られる。
【0038】
実施例3
アンモニア水に代えて水酸化リチウム水溶液を用いた以外は実施例2と同じ条件で透明なテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンを含有する水溶液を得た。恒温槽中に3時間静置した以外は実施例2と同じ条件で酸化亜鉛膜が付着したガラス基板が得られた。
【0039】
得られた酸化亜鉛膜の膜厚は約30μmであった。図5は、得られた酸化亜鉛膜表面のSEM像である。平均粒径約2μmの粒子が集合して膜を形成していることが分かった。図6に、X線回折パターンを示した。塩基の種類により得られる酸化亜鉛粒子の形態が異なることが分かる。得られた酸化亜鉛膜にブラックライト(波長=365nm)を当てたところ緑色の蛍光発光が観測された。
【0040】
実施例4
金属イオンを共存させる金属塩として硝酸アルミニウム9水和物0.0005molを蒸留水に溶解した以外は実施例3と同じ条件で透明なテトラヒドロキシ亜鉛酸イオンとアルミニウムイオン(Al3+)を含有する水溶液を得た。
【0041】
実施例2と同じ条件で酸化亜鉛膜が付着したガラス基板が得られた。得られた酸化亜鉛膜の膜厚は約10μmであった。得られた酸化亜鉛粒子は0.5μmから1μmの粒径を有していた。金属イオンを共存させることにより実施例3で得られた粒子よりも粒径の小さい粒子が得られることが分かる。
【0042】
実施例5
ポリプロピレン製ビーカーからなる容器に入れた蒸留水に硝酸亜鉛6水和物を室温で溶解し0.1mol/lの濃度の亜鉛塩水溶液100mlを調製した。この亜鉛塩溶液を室温で攪拌しながら0.2mol/lの濃度の水酸化ナトリウム水溶液100mlを加えるとすぐに白色の水酸化亜鉛の沈澱が生成した。この沈澱を遠心分離機により水溶液から分離した。さらに、この沈澱を蒸留水200mlに分散し遠心分離した。この操作を3回繰り返し水酸化亜鉛の沈澱を洗浄し他の不純物イオンを取り除いた。この水酸化亜鉛に室温で濃アンモニア水を10ml加えて攪拌したところ溶解し、透明な水溶液が得られた。
次に、上記の透明な溶液にガラス基板を浸漬し実施例1と同じ条件で酸化亜鉛膜が付着したガラス基板が得られた。酸化亜鉛膜の厚みは20μmであった。
【0043】
【発明の効果】
本発明により、様々な機能を有する酸化亜鉛粒子又は膜を従来にない著しく簡便な方法により可能とし、大きな面積を有する光触媒や透明導電性薄膜などに好適なCVD法などに匹敵する膜の製造が可能になる。また、得られる酸化亜鉛粒子の形状はウイスカー状結晶から粒子状へ制御可能であり、特異な粒子形状を生かした冷陰極管の電子線源などへ応用も可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1により得られた酸化亜鉛膜表面のSEM像を示す図面代用写真である。
【図2】図2は、実施例1により得られた酸化亜鉛膜のX線回折パターンである。
【図3】図3は、実施例2により得られた酸化亜鉛膜表面のSEM像を示す図面代用写真である。
【図4】図4は、実施例2により得られた酸化亜鉛膜のX線回折パターンである。
【図5】図5は、実施例3により得られた酸化亜鉛膜表面のSEM像を示す図面代用写真である。
【図6】図6は、実施例3により得られた酸化亜鉛膜のX線回折パターンである。

Claims (7)

  1. テトラヒドロキシ亜鉛酸イオン[Zn(OH) 2−]を0.01mol/l以上含有するpH8以上の水溶液からなることを特徴とする酸化亜鉛粒子又は膜製造用水溶液。
  2. アルコールを混合したことを特徴とする請求項1記載の酸化亜鉛粒子又は膜製造用水溶液。
  3. 亜鉛塩以外の他の金属塩を共に含有することを特徴とする請求項1又は2記載の酸化亜鉛粒子又は膜製造用水溶液。
  4. 亜鉛塩を含有する溶液に塩基性溶液を加えて沈澱を生成させる工程と、さらに塩基性溶液を加えて沈澱を溶解させる工程とからなることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の水溶液の調製方法。
  5. pHが10以上の塩基溶液に亜鉛塩又は亜鉛塩溶液を加え溶解させることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の水溶液の調製方法。
  6. 請求項1ないし3記載の水溶液を30℃以上100℃未満で加熱することにより水溶液から酸化亜鉛を直接析出させることを特徴とする酸化亜鉛粒子又は膜の製造方法。
  7. 水溶液中に基体を浸漬し、該基体上に酸化亜鉛を直接析出させることを特徴とする請求項6記載の酸化亜鉛粒子又は膜の製造方法。
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