JP5263750B2 - ナノ針状アナターゼTiO2結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO2結晶膜の作製方法 - Google Patents

ナノ針状アナターゼTiO2結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO2結晶膜の作製方法 Download PDF

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Description

本発明は、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜の作製方法に関するものであり、更に詳しくは、本発明は、アナターゼ型TiO結晶を含む多孔質膜(モル比30%以上)及びナノ針状結晶集積粒子の作製方法に関するものである。本発明は、分子センサー、ガスセンサー、溶液センサー、色素増感型太陽電池、光触媒等の電子デバイス材料として有用な高比表面積を有するアナターゼTiO結晶膜の作製方法を提供するものである。
最近、アナターゼ型TiO結晶は、電子デバイス材料としての利用が注目されており、例えば、分子センサー、ガスセンサー、溶液センサー、色素増感型太陽電池、光触媒等の様々な分野において、アナターゼ型TiOに注目が集まっている。特に、センサーや色素増感型太陽電池向け材料としては、高比表面積を有する多孔質アナターゼTiO膜が必要とされている。また、これらの電子デバイスにおいては、透明導電性基板であるフッ素ドープ酸化スズ膜(FTO基板)や、ITO基板、導電性ポリマー基板等の上への多孔質アナターゼTiO電極層の形成が求められている。
従来、先行技術として、例えば、ゾルゲル法により色素増感型太陽電池向けTiO電極を形成する方法が提案されている(非特許文献1)。しかし、アナターゼ微粉末を塗布した後に焼結を行う手法やゾルゲル法によってゲル膜を形成した後に焼結する手法では、高比表面積を有するアナターゼTiO膜の実現が困難であった。また、これらの手法では、アナターゼ型TiOへの結晶化を行うために加熱処理が必要であり、低耐熱性導電性ポリマー基板を用いることができない他、ITOやFTO基板においても、透明導電膜(ITO層やFTO層)の導電率の低下が起こり、電極としての特性を大幅に劣化させてしまう問題があった。
更に、焼結にともない微細構造が崩れるため、加熱処理前の高比表面積構造を維持することも困難であった。また、加熱処理にともなう組成、組織、表面構造、表面官能基等の変化が、電極特性を劣化させる原因となっていた。また、加熱処理に伴う、高エネルギー消費、高CO排出、有機溶媒の使用、プロセスの複雑化なども問題となっていた。
Srikanth K, Rahman MM, Tanaka H, et al.,Investigation of the effect of sol processing parameters on the photoelectrical properties of dye−sensitized TiO2 solar cells,SOLAR ENERGY MATERIALS AND SOLAR CELLS 65(1−4):171−177 JAN(2001)
このような状況の中で本発明者らは、上記従来技術に鑑みて、上述の従来技術の問題点を解消することを可能とする高比表面積を有するアナターゼTiO膜の製造技術及びその製品を開発することを目標として鋭意研究開発を積み重ねた結果、溶液合成プロセスからなる特定の合成法を採用することにより所期の目的を達成し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。本発明は、高比表面積を実現したナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜の作製方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するための本発明は、以下の技術的手段から構成される。
(1)溶液プロセスを使用して、比表面積を向上させた電子デバイス材料としてのアナターゼ型TiO結晶膜を基板上に作製する方法であって、
酸化チタン結晶が析出するチタン含有水溶液又はチタン含有非水溶液反応系として、ホウ酸と、フッ化チタン(IV)酸塩を含む反応系を用いて、基板として、FTO、ITO、シリコン、ガラス、金属セラミックス、又は導電性ポリマーの基板を使用し、該反応系の温度を50−99℃に設定し、原料濃度及び/又はpH条件をアナターゼTiO結晶の結晶成長と析出を実現するように調整し、アナターゼ型TiO への結晶化を行うための加熱処理を必要とせず、溶液中に分散したナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子を合成し、該粒子を徐々に沈降させることで、基板上にアナターゼTiO結晶を析出させることにより、該基板上へ粒子表面の針状結晶による凹凸構造を有し、膜全面に渡って白色を有する多孔質アナターゼTiO結晶膜を合成することを特徴とする多孔質アナターゼTiO結晶膜の作製方法。
(2)上記フッ化チタン(IV)酸塩として、フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)、ヘキサフルオロチタン(IV)酸ナトリウム(NaTiF)、ヘキサフルオロチタン(IV)酸カリウム(K[TiF)から選択された1種を用いる、前記(1)に記載の方法。
次に、本発明を更に詳細に説明する。
本発明は、溶液プロセスを使用して、比表面積を向上させたアナターゼ型TiO結晶膜を基板上に作製する方法であって、酸化チタン結晶が析出する反応系を用いて、該反応系の温度、原料濃度及び/又はpH条件を変化させることにより基板上にアナターゼTiO結晶を析出させることにより、多孔質アナターゼTiO結晶膜を合成することを特徴とするものである。
また、本発明は、溶液プロセスを使用して、比表面積を向上させたナノ針状アナターゼ型TiO結晶集積粒子を作製する方法であって、酸化チタン結晶が析出する反応系を用いて、該反応系の温度、原料濃度及び/又はpH条件を変化させることにより溶液中に分散したナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子を合成することを特徴とするものである。
本発明では、酸化チタン結晶が析出する反応系として、チタン含有水溶液反応系又は非水溶液反応系を用いること、反応系にホウ酸を共存させること、基板として、FTO、ITO、シリコン、ガラス、金属セラミックス、導電性ポリマーの基板を用いること、また、上記反応系に水熱反応を適用して、アナターゼTiO結晶を析出させること、を実施の態様としている。
また、本発明、溶液プロセスで基板上に合成された多孔質アナターゼTiO結晶膜、図2のX線回折パターンを示すこと、を特徴とするものである。更に、本発明、溶液プロセスで合成されたナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子、図8のX線回折パターンを示し、004回折強度を有し、101回折線(2θ=25°付近)4004回折線(2θ=38°付近)の相対強度比が1:06647であり、c軸配向を有していること、を特徴とするものである。
更に、本発明は、上記の多孔質アナターゼTiO結晶膜又はナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子を構成要素とするアナターゼTiO結晶電子デバイスを提供することを可能とするものある。
本発明では、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜の合成を可能とする水溶液プロセスを開発し、FTO基板等の基板上に多孔質アナターゼTiO結晶膜を作製することに成功した。本発明の水溶液プロセスでは、該水溶液プロセスにおいてアナターゼTiO結晶を析出させることが可能となるため、結晶化のための高温加熱処理を必要とせず、各種低耐熱性基板などへの展開が可能である。また、本発明の水溶液プロセスでは、水溶液中で、分散したナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子が得られる。
本発明では、使用したチタン含有水溶液条件において、例えば、共存させたホウ酸によりpHを3.9程度に調整することにより、速い結晶成長を実現し、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜を合成することが可能である。更に、温度を50℃以上とすることにより、アナターゼTiOの析出を実現することができる。尚、ホウ酸は反応溶液に共存するフッ素イオンを消費する作用を有する。
上記反応溶液の温度、原料濃度及び/又はpH条件は、用いる反応溶液に応じて適宜調整する。本発明では、アナターゼTiO結晶の異方成長を利用して、高いc軸配向を有するナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜を合成することができる。
本発明で用いるフッ化チタン(IV)酸塩としては、後記する実施例のフッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)の他、例えば、ヘキサフルオロチタン(IV)酸ナトリウム(NaTiF)、ヘキサフルオロチタン(IV)酸カリウム(K[TiF)によるチタン含有水溶液を用いることができる。
また、反応系としては、好適には、酸化チタン結晶が析出する反応系である、水溶液反応系が用いられる。温度や原料濃度を変化させて、アナターゼTiO結晶を析出させることもできる。
反応溶液の温度は、原料濃度、添加剤、pH条件等に合わせて、水溶液の凝固点以上かつ沸点以下(およそ0−99℃)の範囲に設定することができる。TiO膜作製の際、FTO基板以外に、シリコン、ガラス、金属、セラミックス、導電性ポリマー等の種々の基板を用いることができる。また、平板上基板以外に、粒子基材、繊維基材、複雑形状基材等も適宜用いることができる。
本発明では、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜の合成を可能とする上記の水溶液プロセスを開発し、FTO基板等の基板上に多孔質アナターゼTiO結晶膜を作製する。このプロセスでは、水溶液プロセスにおいて、アナターゼTiO結晶を析出させることができるため、結晶化のための高温加熱処理を必要とせず、各種低耐熱性基板などへの展開が可能である。また、水溶液中では、分散したナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子を作製することができる。
本発明では、使用した溶液条件にて、pHを3.9程度に調整することにより、速い結晶成長を実現し、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜の合成を可能としている。更に、温度を50℃以上とすることにより、アナターゼTiOの析出を実現している。
近年、電子デバイス材料、例えば、センサーや色素増感型太陽電池向け材料として、高比表面積を有する多孔質アナターゼTiO膜が必要とされている。これらのデバイスにおいては、透明導電性基板、例えば、フッ素ドープ酸化スズ膜(FTO)基板や、ITO基板、導電性ポリマー基板上への多孔質アナターゼTiO電極層形成が求められており、従来、基板にアナターゼ微粉末を塗布した後に焼成を行う手法やゾルゲル法によってゲル膜を形成した後に焼結する手法が報告されている。
しかし、これらの手法では、高比表面積の実現が困難であった。また、これらの手法では、アナターゼ型TiOへの結晶化を行うために高温加熱処理が必要であり、低耐熱性導電性ポリマー基板を用いることができない他、ITOやFTO基板においても、透明導電膜(ITO層やFTO層)の導電率の低下が起こり、電極としての特性を大幅に劣化させてしまうこと、また、焼結に伴い微細構造が崩れるため、加熱処理前の高比表面積構造を維持することが困難であること、また、加熱に伴う組成、組織、表面構造、表面官能基等の変化が、電極特性を劣化させる原因となること、更に、高温加熱処理により、高エネルギー消費、高CO排出、有機溶媒の使用、プロセスの複雑化が不可避的に伴うこと、等の問題があった。
これに対し、本発明は、溶液プロセスを用いて、アナターゼTiOの結晶化のための高温加熱処理を必要とせず、反応溶液の温度、原料濃度及び/又はpH条件等の条件を調整することで、高い結晶成長と析出を実現し、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜の合成を可能とし、透明導電性基板上への多孔質アナターゼTiO結晶膜の形成と、溶液中に分散したc軸配向を有するナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子の作成を可能としたものである。
本発明により、次のような効果が奏される。
(1)アナターゼTiO結晶の異方成長を利用することにより、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜を作製することができる。
(2)本発明では、有機物の添加を利用していないため、製品への不純物の混入を回避することができる。
(3)従来法のような数百℃での高温加熱処理を経ることなく、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜を得ることができる。
(4)上記アナターゼTiO結晶集積粒子又はアナターゼTiO結晶膜を用いたアナターゼTiO結晶電子デバイスを提供することができる。
次に、実施例に基づいて本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例によって何ら限定されるものではない。
本実施例では、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜を作製した。フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)(2.0096g)及びホウ酸(1.86422g)を、それぞれ50℃の蒸留水100mLに溶解した。両水溶液を混合し、FTO基板(FTO,SnO:F,Asahi Glass Co.,Ltd.,9.3−9.7Ω/□,26×50×1.1mm)を立てて浸漬した後、water bathを用いて50℃で所定時間(2−48時間)保持した。
フッ化チタン酸アンモニウム及びホウ酸の混合溶液中での濃度は、それぞれ0.15 M、0.05Mである。この溶液条件にて、pHは約3.9となる。溶液は、反応開始10分後程度から白濁しはじめた。その後、溶液中で生成した粒子は徐々に沈降し、数時間後には溶液上部は透明になった。浸漬後、蒸留水で基板を洗浄し、自然乾燥させた。
図1に、FTO基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜(浸漬時間5時間)の光学写真を示す。TiO薄膜形成箇所は、僅かに白く着色していた。これは、TiO膜表面及び内部における数百nmオーダーの凹凸や粒界によって可視光の一部が散乱されたことによるものと考えられる。また、着色した副生成物が存在しないことを示している。また、白色はTiO膜全面に渡って均一であり、膜厚の均一性を示している。この白色度は、浸漬時間の増加とともに増していった。これは、膜厚の増加による効果と考えられる。
上記TiO膜に対するアセトン中での超音波処理30分において、形成したTiO膜の剥離は見られなかった。FTO基板上に形成したTiO膜のXRD観察を行った際には、酸化スズ由来の強いXRDピークによりTiOからの回折線の評価が困難であったため、FTOコーティングなしのガラス基板上に形成したTiO膜のXRDパターンを評価した。図2に、ガラス基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜のX線回折パターンを示す。2θ=25.3,37.7,48.0,53.9,55.1及び62.7°の位置に弱い回折線が観察され、アナターゼTiO(ICSD No.9852)の101,004,200,105,211及び204回折線に帰属された。
004回折線の強度は非常に強く、高いc軸配向を示している。004回折線と101回折線の積分強度比(積分面積比)は2.6倍、強度高さ比は2.2倍であった。(004)面に垂直方向の結晶子サイズは、回折線半値幅よりシェラーの式を用いて17nmと見積もられた。また、ガラス基板由来のブロードなピークも2θ=25°に観察された。2時間浸漬した際の膜厚は、約260nmであった。図3に、FTO基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜のSEMによる二次電子像写真を示す。図3(a)は、多孔質アナターゼTiO結晶膜の断面を示す。
上部、凹凸の大きな白色中間部、均一な黒色下部は、それぞれTiO膜(TiO)、FTOコーティング層(FTO)、ガラス基板(glass)である。TiO膜は粒子から構成されており、表面には凹凸構造を有していた。図3(b)は、多孔質アナターゼTiO結晶膜の表面を示す。TiO膜を構成する粒子径は約100−600nmであり、粒界にはクラックも観察された。図3(c)は、多孔質アナターゼTiO結晶膜の表面の拡大写真を示す。
これらのクラックは、乾燥過程において、TiO膜の収縮にともなって形成されたものと考えられる。粒子は、表面に多くの針状結晶を有しており、多針体構造をとっていると考えられる。図3(d)は、多孔質アナターゼTiO結晶膜の表面の拡大写真を示す。TiO膜は、粒子から構成されていることによる大きな凹凸と、粒子表面の針状結晶による微細な凹凸構造を同時に有している。
TiOの膜厚は、浸漬時間の増加とともに、5、25、48時間において、それぞれ360nm、600nm、760nmと増加した。図4に、FTO基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜のSEMによる二次電子像写真(浸漬時間5時間)、図5に、同(浸漬時間25時間)、図6に、同(浸漬時間48時間)、を示す。図4(a)、図5(a)、図6(a)は、多孔質アナターゼTiO結晶膜の断面を示す。TiO膜の表面の粒子による大きな凹凸は、時間とともに徐々に平坦化していった。図4(b)、図5(b)、図6(b)は、多孔質アナターゼTiO結晶膜の表面を示す。それに伴い、SEM像における白黒コントラストも低下していった。
一方、クラックのサイズは浸漬時間の増加とともに増大した。厚いTiO膜は高い強度を有するため、応力の蓄積が起こり、小さなクラックの生成を抑制し、大きなクラックの成長を促しているものと考えられる。粒子膜の成長に従って、粒界の形状は変化し、次第に粒界の識別が困難になっていった。図4(c)、図5(c)、図6(c)は、多孔質アナターゼTiO結晶膜の表面の拡大写真を示す。
5、25、48時間における粒径は、約300−600nm、450−600nm、550−670nmと見積もられた。一方、粒子表面の針状結晶は、浸漬時間の増加とともに成長していった(図4(d)、図5(d)、図6(d))。浸漬時間の変化に伴うTiO膜厚を図7に示す。浸漬初期では、膜厚は急速に増加し、浸漬時間の増加とともに、成長速度は緩やかに変化していった。
溶液中において合成したアナターゼTiO結晶粉末(TiO結晶沈殿粉末)のXRDパターンを図8に示す。ICSD データ(No.9852)におけるTiOでは、101回折線(2θ=25°付近)と004回折線(2θ=38°付近)の相対強度比(高さ)が1:0.1915であるのに対し、合成したアナターゼTiO結晶粒子では、1:0.6647であった。合成したアナターゼTiO結晶粒子は、強い004回折強度を有しており、高いc軸配向を有していることが示された。
析出反応に関してまとめると、反応初期の溶液の白濁からも示される様に、まず、アナターゼTiO粒子の均一核生成及び成長が起こり、TiO粒子が生成した。TiO粒子は更に成長し、サイズも増大し、緩やかに沈降する。それらの粒子は、基板上へも付着する。そのため、速いTiO膜の成長を引き起こしている。基板上での不均一核生成も同時に進行する。反応初期は、溶液中のイオン濃度も高いため、TiOの結晶成長速度も速く、TiO膜厚の増加を促進する。
溶液中のイオン濃度は、TiO粒子の生成やTiO膜の成長によって徐々に減少するため、TiO膜厚の増加も、徐々に緩やかとなっていく。浸漬約2時間以降では、均一核生成による粒子生成量は少なく、イオンの取り込みによるTiO膜の結晶成長が支配的と考えられる。TiO膜表面の観察では、TiO膜の成長に伴い、粒子による凹凸は平滑化し、粒界が不鮮明になる様子が観察された。
以上詳述したように、本発明は、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜の作製方法に係るものであり、本発明により、アナターゼTiO結晶の異方成長を利用することにより、高いc軸配向を有するナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜を作製することができる。また、本発明は、溶液プロセスにより、従来法のような数百℃での高温加熱処理を経ることなく、高い結晶成長と析出を実現し、ナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子と多孔質アナターゼTiO結晶膜を得ることができる。本発明は、例えば、分子センサー、ガスセンサー、溶液センサー、色素増感型太陽電池、光触媒等の電子デバイス材料として有用な、高比表面積を有するアナターゼTiO結晶膜の作製方法を提供するものとして有用である。
FTO基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜の光学写真を示す。浸漬時間5時間。 ガラス基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜のX線回折パターンを示す。 FTO基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜のSEMによる二次電子像写真を示す。浸漬時間2時間。(a):多孔質アナターゼTiO結晶膜の断面。(b):多孔質アナターゼTiO結晶膜の表面。(c)−(d):(b)の拡大写真。 FTO基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜のSEMによる二次電子像写真を示す。浸漬時間5時間。(a):多孔質アナターゼTiO結晶膜の断面。(b):多孔質アナターゼTiO結晶膜の表面。(c)−(d):(b)の拡大写真。 FTO基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜のSEMによる二次電子像写真を示す。浸漬時間25時間。(a):多孔質アナターゼTiO結晶膜の断面。(b):多孔質アナターゼTiO結晶膜の表面。(c)−(d):(b)の拡大写真。 FTO基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜のSEMによる二次電子像写真を示す。浸漬時間48時間。(a):多孔質アナターゼTiO結晶膜の断面。(b):多孔質アナターゼTiO結晶膜の表面。(c)−(d):(b)の拡大写真。 FTO基板上に形成した多孔質アナターゼTiO結晶膜の浸漬時間に伴う膜厚変化を示す。 アナターゼTiO結晶粒子のXRDパターンを示す。

Claims (2)

  1. 溶液プロセスを使用して、比表面積を向上させた電子デバイス材料としてのアナターゼ型TiO結晶膜を基板上に作製する方法であって、
    酸化チタン結晶が析出するチタン含有水溶液又はチタン含有非水溶液反応系として、ホウ酸と、フッ化チタン(IV)酸塩を含む反応系を用いて、基板として、FTO、ITO、シリコン、ガラス、金属セラミックス、又は導電性ポリマーの基板を使用し、該反応系の温度を50−99℃に設定し、原料濃度及び/又はpH条件をアナターゼTiO結晶の結晶成長と析出を実現するように調整し、アナターゼ型TiO への結晶化を行うための加熱処理を必要とせず、溶液中に分散したナノ針状アナターゼTiO結晶集積粒子を合成し、該粒子を徐々に沈降させることで、基板上にアナターゼTiO結晶を析出させることにより、該基板上へ粒子表面の針状結晶による凹凸構造を有し、膜全面に渡って白色を有する多孔質アナターゼTiO結晶膜を合成することを特徴とする多孔質アナターゼTiO結晶膜の作製方法。
  2. 上記フッ化チタン(IV)酸塩として、フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)、ヘキサフルオロチタン(IV)酸ナトリウム(NaTiF)、ヘキサフルオロチタン(IV)酸カリウム(K[TiF)から選択された1種を用いる、請求項1に記載の方法。
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