JP5360982B2 - 二酸化チタン系デバイス、多針体二酸化チタン粒子の製造方法、および多針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法 - Google Patents

二酸化チタン系デバイス、多針体二酸化チタン粒子の製造方法、および多針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、二酸化チタン系デバイス、多針体二酸化チタン粒子の製造方法、および針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法に関するものである。更に詳しくは、本発明は、複数の針状結晶からなるアナターゼ型二酸化チタン粒子および多針体二酸化チタン粒子コーティングに関するもので、粒子中心からアナターゼ二酸化チタンのc軸方向に沿って針状結晶が放射状に伸びた多針体粒子およびこの粒子を構成要素とするコーティングあるいは膜に関するものである。
二酸化チタンは、電子材料、光学材料、色素増感型太陽電池など、さまざまな分野への応用が期待されており、多くの研究がなされている。二酸化チタンは、アプリケーションが豊富で、かつ、結晶サイズ、形状、分散状態、結晶性などによって特性が異なることから、様々な形態の二酸化チタン粒子および粒子膜が開発されてきた(特許文献1〜6参照)。
二酸化チタンは、色素増感型太陽電池、分子センサー、ガスセンサー、光触媒、触媒、リチウムイオン電池、化粧品、医薬品などの分野において、大きな注目を集めている。二酸化チタンの形態は、表面積や、表面に露出している結晶面、分子吸着特性、電子移動度などに直接影響を及ぼす。これらは、太陽電池における光電変換効率や、センサーの感度、光学デバイスでのフォトルミネッセンス特性、光触媒効果などの特性向上において、重要なファクターとなる。そのため、様々なアプリケーションにおいて、二酸化チタンナノマイクロ構造体のさらなる開発が強く求められている。
二酸化チタンの粒子や薄膜は、火炎合成(flame synthesis,非特許文献1,2参照)、超音波照射(ultrasonic irradiation,非特許文献3,4参照)、化学気相合成(chemical vapor synthesis,非特許文献5参照)、ゾルゲル法(sol−gel methods,非特許文献6〜10参照)等の手法で合成されてきた。
しかし、高温加熱処理によりナノマイクロ構造の変形や、粒子の凝集、表面積の低下が引き起こされていた。近年、複数の手法により、ユニークな二酸化チタンナノ構造体が合成されている。例えば、溶液中において、チタン化合物から二酸化チタンナノシートが剥離されている(非特許文献11)。太陽電池やセンサー向けに、二酸化チタンナノロッド(非特許文献12)、ナノウォール(非特許文献12)、ナノチューブ(非特許文献13)も基板上に形成されている。
特開2008−189497号公報 特開2007−176753号公報 特開2008−195551号公報 特表2008−516880号公報 特開2000−191325号公報 特開2002−274851号公報
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球形二酸化チタン粒子では、表面への物質吸着特性が低い。ナノサイズ粒子では、単結晶部分の領域が小さくなるため、特性が劣化する。また、ナノサイズ粒子は表面にアモルファス層や表面汚染層、他物質による第二層が形成していることが多い。粒子の凝集により特性が劣化するとともに、表面積が減少する。分散したナノ粒子の電子・光デバイス応用においては、各粒子の固定が困難であり、デバイス応用の障害となることがある。また、飛散したナノ粒子による健康被害が懸念されているため、化粧品等への応用の障害、あるいは製造過程の複雑化の原因となることもある。一方、構造体を大型化した際には、表面の凹凸構造や表面積が減少するため、色素増感型太陽電池、光学材料、化粧品などの用途において、特性が劣化してしまう。
本発明は上記従来の事情を鑑みてなされたものであり、二酸化チタン系デバイス、多針体二酸化チタン粒子の製造方法、および針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法を提供することを解決すべき課題とする。
本発明によれば、二酸化チタン系デバイス、多針体二酸化チタン粒子の製造方法、および針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法が提供される。
[1] 複数の針状の二酸化チタン結晶が集積化した多針体二酸化チタン粒子と、該多針体二酸化チタン粒子が基板上に付着した多針体二酸化チタン粒子コーティングと、を備え、前記二酸化チタン結晶が、アナターゼ型であり、前記二酸化チタン結晶にフッ素がドープされ、前記複数の針状の二酸化チタン結晶が、粒子中心で結合して花弁状形態を形成している二酸化チタン系デバイス
[2] pHが1〜6で、10mM以下のフッ化チタン酸アンモニウム水溶液を作製し、前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液を50〜99℃に保持し、前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液にて二酸化チタン結晶を析出させ、複数の針状の二酸化チタン結晶が集積化した多針体二酸化チタン粒子を製造し、前記複数の針状の二酸化チタン結晶を花弁状形態となるように析出させる多針体二酸化チタン粒子の製造方法。
pHが1〜6で、10mM以下のフッ化チタン酸アンモニウム水溶液を作製し、前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液を50〜99℃に保持し、基板を前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、前記基板上に複数の針状の二酸化チタン結晶が集積化した多針体二酸化チタン粒子を付着させて、多針体二酸化チタン粒子コーティングを製造し、前記複数の針状の二酸化チタン結晶を花弁状形態となるように析出させる多針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法。
] 前記基板を1日以上14日以下、前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液に浸漬する前記[3]に記載の多針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法。
] 前記基板はシリコン基板であり、前記基板を真空紫外光照射によって表面処理した後、前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液に浸漬する前記[または4]に記載の多針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法。
本発明の製造方法によれば、複数の針状結晶からなる多針体二酸化チタン粒子を製造することができる。また、針体二酸化チタン粒子が基板上に付着した多針体二酸化チタン粒子コーティング、さらにこれらを構成要素として含む二酸化チタン系デバイスを製造することができる。
多針体二酸化チタン粒子は、水等に分散したコロイド溶液としても、乾燥粉末としても得ることができる。また、本発明の製造方法によれば、物質、形状、サイズを問わず、様々な基材、基板上に多針体二酸化チタン粒子の膜を形成することができる。そして、有機物の添加を用いていないため、不純物の混入を回避することができる。
本発明の多針体二酸化チタン粒子は、複数の針状結晶が集積化しているため、表面に凹凸構造を有し、デバイス等に応用することができる。
多針体二酸化チタン粒子のTEM像を示す写真である。a,bは、粒子の低倍率像である。cは、粒子中心から成長した針状結晶の拡大像で、dは、針状結晶表面の拡大像である。eは、cの電子回折パターンである。 多針体二酸化チタン粒子のXRDパターンを示す図である。挿入図は、アナターゼ二酸化チタンの結晶構造の単位格子を示す図である。 (a)多針体二酸化チタン粒子及び(b)TiO particles (P25, Degussa)のラマンスペクトルを示す図である。挿入図は、アナターゼ二酸化チタン結晶中のチタンイオン及び周囲の酸素イオンを示す図である。 (1a)多針体二酸化チタン粒子及び(1b)KBrのFT−IR吸収スペクトルを示す図である。(2a)及び(2b)は、(1a)及び(1b)の拡大スペクトルを示す図である。 多針体粒子のUV−Visスペクトルを示す図である。挿入図は、バンドギャップ見積もりである。 (a)は、凹凸基板上の粒子コーティングのSEM像(合成時間7日間)の写真であり、(b1)〜(b3)は、凹凸基板の凸部領域の拡大写真であり、(c1)〜(c3)は、凹凸基板の凹部領域の拡大写真である。 (a)は、凹凸基板上の粒子コーティングのSEM像(合成時間19時間)の写真であり、(b1)〜(b3)は、凹凸基板の凸部領域の拡大写真であり、(c1)〜(c3)は、基板凹部領域である。 凹凸基板上の粒子コーティングのXPSスペクトル(合成時間7日間。(1a),(1b)は、ワイドスキャンである。(1a)は、最表面、(1b)は、アルゴンスパッタリング後の表面である。)を示す図である。 凹凸基板上の粒子コーティングのXPSスペクトル(合成時間7日間。(2a),(2b)は、Ti 2pである。(2a)は、最表面、(2b)は、アルゴンスパッタリング後の表面である。)を示す図である。 凹凸基板上の粒子コーティングのXPSスペクトル(合成時間7日間。(3a),(3b)は、O 1sである。(3a)は、最表面、(3b)は、アルゴンスパッタリング後の表面である。)を示す図である。 凹凸基板上の粒子コーティングのXPSスペクトル(合成時間7日間。(4a),(4b)は、C 1sである。(4a)は、最表面、(4b)は、アルゴンスパッタリング後の表面である。)を示す図である。 凹凸基板上の粒子コーティングのXPSスペクトル(合成時間7日間。(5a),(5b)は、F 1sである。(5a)は、最表面、(5b)は、アルゴンスパッタリング後の表面である。)を示す図である。 凹凸基板上の粒子コーティングのXPSスペクトル(合成時間7日間。(6a),(6b)は、Si 2pである。(6a)は、最表面、(6b)は、アルゴンスパッタリング後の表面である。)を示す図である。
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。本発明は、以下の実施形態に限定されるものではなく、発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、変更、修正、改良を加え得るものである。
本発明の多針体二酸化チタン粒子は、複数の針状の二酸化チタン結晶が集積化したものである。そして、複数の針状の二酸化チタン結晶が、粒子中心で結合し、中心から放射状に成長している。このため、表面に凹凸構造を有する。なお、針状の二酸化チタン結晶は、アスペクト比(縦横比)が1以上である。
より具体的には、本発明における、多針体二酸化チタン粒子とは、二酸化チタンを主成分(モル比50%以上)とする固体物質を意味し、2個以上の針状形態結晶からなる。そして、複数の針状結晶が粒子中心で結合し、複数の針状結晶が集積化している。つまり、複数の針状結晶が粒子中心より成長している構造を有する。また、本発明の多針体二酸化チタン粒子は、アナターゼ型二酸化チタンを主成分とする。
本発明における、二酸化チタンとは、二酸化チタン結晶およびアモルファス二酸化チタン、ならびにその関連物質を意味する。針状結晶はアナターゼ型二酸化チタンのc軸方向に沿って長く伸びて異方成長したものである。針状結晶は先端に行くにしたがい先細りになっている。針状結晶はアナターゼ型二酸化チタンのa面で囲まれている。針状結晶の表面には、アモルファス層やルチル型アナターゼ層などの第二層は存在しておらず、アナターゼ二酸化チタンが露出している。本発明の多針体二酸化チタン粒子は、水溶性プロセスで製造することができ、水溶性プロセスで製造すると、直接イオン原料から二酸化チタンの結晶成長がもたらされるため、結晶性が向上する。
また、本発明の多針体二酸化チタン粒子コーティング(以下、単に粒子コーティングということがある)は、多針体二酸化チタン粒子が基板上に付着したものである。粒子コーティングは、上記多針体二酸化チタン粒子を構成要素とする。基板や基材上に多針体二酸化チタン粒子が固着または付着したものである。結晶成長により、多針体二酸化チタン粒子間は結合している。また、結晶成長により、針体二酸化チタン粒子と基板間は結合している。ただし、これらの複数を同時に兼ね備えることは必要としない。
さらに、二酸化チタン系デバイスは、多針体二酸化チタン粒子、または多針体二酸化チタン粒子コーティングを構成要素として含む。二酸化チタン系デバイスとしては、例えば、色素増感型太陽電池、分子センサー、溶液センサー、ガスセンサー、光触媒、化粧品、DNAセンサー、フィルター、触媒等が挙げられる。本発明の多針体二酸化チタンは、表面に凹凸構造があるため、表面積が大きい。また、結晶性が高く、アナターゼ相であるため、デバイスとして好適に利用することができる。
本発明の多針体二酸化チタン粒子、多針体二酸化粒子コーティングの製造方法は、水溶液プロセスを用いる。チタン含有溶液を作製し、チタン含有溶液中でのイオン濃度、温度、結晶成長環境を精密に制御することにより、アナターゼ二酸化チタンの結晶成長を制御して、多針体二酸化チタン粒子および粒子コーティングを形成することを最も主要な特徴とする。すなわち、多針体二酸化チタン粒子の製造方法は、チタンイオンを含むチタン含有溶液を作製し、前記チタン含有溶液にて二酸化チタン結晶を析出させ、複数の針状の二酸化チタン結晶が集積化した多針体二酸化チタン粒子を製造する方法である。チタン含有溶液を、0〜99℃、好ましくは50〜99℃に保持し、二酸化チタン結晶を析出させる。
例えば、フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)、ホウ酸(HBO)を蒸留水に溶解して、フッ化チタン酸アンモニウム水溶液、ホウ酸水溶液を作製する。そして、ホウ酸水溶液をフッ化チタン酸アンモニウム水溶液に混合し、酸化チタン結晶を析出させる。
チタン含有溶液には、フッ化チタン酸アンモニウムの他、ヘキサフルオロチタン(IV)酸ナトリウム(NaTiF)、ヘキサフルオロチタン(IV)酸カリウム(K[TiF])、チタン酸ナトリウム(NaTi)、アセチルアセトンチタニル(TiO(CHCOCHCOCH)、しゅう酸チタン(IV)アンモニウム(n水和物)((NH[TiO(C]・nHO)、しゅう酸チタン(IV)カリウム(2水和物)(K[TiO(C]・2HO)、硫酸チタン(III)(n水和物)〔第一〕(Ti(SO・nHO)、硫酸チタン(IV)(n水和物)〔第二〕(Ti(SO・nHO)等を用いることができる。
また、酸化チタン結晶が析出する反応系であれば、有機溶液等の、非水溶液反応系も用いることができる。酸化チタン結晶が析出する反応系であれば、水熱反応等も用いることができる。ホウ酸を添加せず、温度や原料濃度、pHを変化させて、アナターゼTiO結晶を析出させることもできる。この場合、原料濃度を調整することにより過飽和度を下げ、結晶成長を遅くすることが好ましい。すなわち、原料濃度を低い濃度とし、合成することが好ましい。ここで、低い濃度とは、フッ化チタン酸アンモニウム水溶液が10mM以下をいう。
温度も、原料濃度、添加剤、pH等に合わせて、水溶液の凝固点以上かつ沸点以下(およそ0〜99℃)の範囲で用いることができる。多針体二酸化チタン粒子を製造するためには、析出温度を下げて反応速度を遅くすることも好ましいが、下げすぎると結晶性が低下するため、50℃以上であることが好ましい。すなわち、チタン含有溶液を0〜99℃、好ましくは50〜99℃に保持し、結晶を析出させる。さらに、HCl等の酸を反応系に加えることにより、pHを下げて反応速度を遅くすることもできるが、下げすぎると明瞭な多針体が得られなくなる。このため、pHは、1〜6が好ましい。
粒子コーティングを作製する場合、シリコン、ガラス、金属、セラミックス、ポリマー等の種々の基板を用いることができる。また、基板の形状としては、平板状基板以外に、粒子基材、繊維基材、複雑形状基材等も用いることができる。
本発明の多針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法は、チタンイオンを含むチタン含有溶液を作製し、基板をチタン含有溶液に浸漬し、基板上に複数の針状の二酸化チタン結晶が集積化した多針体二酸化チタン粒子を付着させて、多針体二酸化チタン粒子コーティングを製造する方法である。チタン含有溶液を、0〜99℃、好ましくは50〜99℃に保持し、二酸化チタン結晶を析出させて、基板に付着させる。
基板としてシリコン基板を用いる場合は、基板を真空紫外光照射によって表面処理した後、チタン含有溶液に浸漬することが好ましい。このような表面処理を行うことにより、基板表面を超親水性と変性させることができ、多針体二酸化チタン粒子により基板をコーティングしやすくすることができる。また、基板のチタン含有溶液への浸漬は、1日以上14日以下が好ましい。1日未満であると、基板を完全にコーティングすることができない。14日を超えても、結晶成長がほぼ停止する。本発明の多針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法によれば、平板へのコーティングよりも難しい凹凸構造をもつ基板へのコーティングも可能である。なお、本発明でコーティングが可能な凹凸構造とは、幅0.01μm以上、高さ0.01μm以上の溝構造である。
本発明では、初めて多針体アナターゼ二酸化チタン粒子を水溶液中において合成した。これらは、コアや有機バインダー、有機溶媒を含まない純水なアナターゼ二酸化チタン結晶である。
以下、本発明を実施例に基づいてさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例では、多針体アナターゼ二酸化チタン粒子および粒子コーティングを作製した。さらに、水溶液中において、多針体二酸化チタン粒子により表面凹凸構造を有するシリコンウェハーを均一にむらなく覆うことができる均一コーティングを実現した。また、結晶成長や物理化学特性に関する詳細な評価を行った。
(1)表面凹凸構造を有するシリコンウェハーおよびその超親水化
シリコンウェハーの表面に機械加工により溝を掘った凹凸構造を形成した。溝の幅は、500μm、高さ200μmであった。エアーブローにより表面の汚れを除去した後、低圧水銀ランプ(商品名:PL16−110,SEN Lights Co.(セン特殊光源)製)による真空紫外光照射を大気中にて10分間行った。
照射前の基板は付着有機物により汚染されており、疎水性を示すが、真空紫外光照射により、水に対する静的接触角が0−1度の超親水性へと変性された。
(2)二酸化チタンの合成条件
フッ化チタン酸アンモニウム([NHTiF)(Morita Chemical Industries Co.,Ltd.,分子量:197.95,purity 96.0%)(206.20mg)および、ホウ酸(HBO)(Kishida Chemical Co.,Ltd.,分子量:61.83,purity 99.5%)(186.42mg)をそれぞれ50℃の蒸留水(100mL)に溶解し、フッ化チタン酸アンモニウム水溶液、ホウ酸水溶液を作製した。
次に、ホウ酸水溶液をフッ化チタン酸アンモニウム水溶液に混合した。混合後の濃度は、ホウ酸水溶液が15mM、フッ化チタン酸アンモニウム水溶液が5mMであった。
凹凸構造を有するシリコン基板(上記、シリコンウェハー)を、ホウ酸水溶液とフッ化チタン酸アンモニウム水溶液との混合溶液中の中央に斜め下向きに浸漬した。下向き角度は約15度であった。
乾燥機(Yamato Scientific Co.,Ltd.,DKN402)を用いて、50℃にて19時間または7日間、攪拌なしにて溶液を保持した。シリコン基板を混合溶液内に浸漬し19時間後または7日間後、シリコン基板を混合溶液から取り出し基板を流水にて洗浄し、エアーブローにて乾燥させた。以上により、基板上に多針体二酸化チタン粒子が付着した多針体二酸化粒子コーティングが得られた。
シリコン基板を取り出した後、溶液の遠心分離(回転数4000rpm、10分間、Model 8920,Kubota Corp.)を行い、沈殿粒子を60℃にて12時間乾燥させた。さらに、粒子を蒸留水に分散させた後、遠心分離および沈殿粒子の乾燥を行い、不純物を除去した。以上により、多針体二酸化チタン粒子が得られた。
(3)評価方法
二酸化チタンの形態は、走査型電子顕微鏡(FE−SEM;JSM−6335F,JEOL Ltd.)および透過型電子顕微鏡(TEM;H−9000UHR,加速電圧:300kV,Hitachi)にて観察した。
結晶構造は、透過型電子顕微鏡に取り付けた電子線回折および粉末X線回折装置(XRD;RINT−2100V,Rigaku,CuKα radiation,管球電圧:40kV,フィラメント電流:30mA)により評価した。
また、ラマン分光、フーリエ変換赤外分光(FT−IR)、紫外可視分光(UV−Vis)、蛍光分光(フォトルミネッセンス)、X線光電子分光(XPS)により二酸化チタンを評価した。
比較として、市販二酸化チタン(商品名:Aeroxide P25,BET 50m/g,21nm in diameter,anatase 80%+rutile 20%,Degussa製)粒子の評価を行った。
(4)多針体粒子の形態制御
水溶液プロセスにて、花弁状多針体二酸化チタン粒子の合成に成功した。図1は、多針体二酸化チタン粒子のTEM像を示す。図1のa,bは、粒子の低倍率像である。cは、粒子中心から成長した針状結晶の拡大像で、dは、針状結晶表面の拡大像である。eは、cの電子線回折パターンである。円は典型的な多針体粒子を示す。
図1に示すように、粒子の中心から針状結晶が成長していた。特に、粒子の中心から、TEMの観察方向と平行方向に成長した針状結晶が、図中の円において観察されている。これらの粒子は、針状結晶が全方位に向かって放射状に成長して花弁状形態を形成していることを示している。それぞれの粒子は、約6−10個の先細り針状結晶を有していた。
針状結晶の幅および長さは、それぞれ200nm、100nmであり、アスペクト比は、約2(200nm/100nm)であった。針状結晶は、成長方向に沿って幅が小さくなり、とがった先端を有していた。粒子の中心領域にはコアや空孔は存在しなかった。核生成および結晶成長が巧みに制御されたことにより、花弁状多針体粒子が合成されたのである。
図1のeに示すように、電子線回折により、粒子がアナターゼ二酸化チタンの単相であることが示された。(004)、(200)および(204)の各結晶面の面間隔はそれぞれ、0.243nm、0.201nm、0.151nmであった。これらの面からの回折ははっきりとしたスポットとして現れており、針状結晶が単結晶であることが示された。
針状結晶の長手方向(長軸方向)は(004)面に垂直であり、これは、アナターゼ二酸化チタン結晶がc軸方向に沿って成長し、針状の形態を形成したことを示している(図1のe)。そのため、針状結晶は、アナターゼ二酸化チタンのa面で囲まれた表面を有している。針状結晶の表面をさらに詳細に観察したところ、表面においてアモルファス層や他の層は観察されなかった(図1のc,d)。
太陽電池、光触媒、センシングデバイスなどにおいて、アナターゼ二酸化チタンは、アモルファス二酸化チタンやルチル型二酸化チタンよりも高い特性を示す。そのため、アモルファス二酸化チタンやルチル二酸化チタン、付着分子などの表面層により、アナターゼ二酸化チタンの特性が大幅に低減されることが報告されている。それゆえ、ピュアなアナターゼ二酸化チタン表面を持つ本構造体は、これらのデバイスにおいて、優位である。
図2に多針体二酸化チタン粒子のXRDパターンを示す。挿入図は、アナターゼ二酸化チタンの結晶構造の単位格子を示す。粉末X線回折により、粒子がアナターゼ二酸化チタン単相であることが示された。X線回折ピークは、2θ=25.12,36.8,37.7,47.7,53.7,54.7,62.4,68.5,69.8,74.7,82.2,93.7,94.4°の各位置に観察され、それらはアナターゼ二酸化チタンの101,103,004,200,105,211,204,116,220,215,224,305,321回折線に帰属された(JCPSD No. 21−1272,ICSD No.9852)。
本発明では、アナターゼチアニア単相が水溶液プロセスにより合成されたのである。多くの報告において、高温加熱処理によりアナターゼ二酸化チタンが合成されてきた。この高温加熱処理により、ナノマイクロ構造の変形や、粒子の凝集、表面積の低下が引き起こされてしまうのである。しかし、本発明では、50℃においてアナターゼ二酸化チタンの結晶化が実現されており、特性劣化の原因となる高温処理を回避することに成功している。
図3に多針体二酸化チタン粒子及びTiO particles (P25,Degussa)のラマンスペクトルを示す。挿入図は、アナターゼ二酸化チタン結晶中のチタンイオン及び周囲の酸素イオンを示す。多針体二酸化チタン粒子のラマン分光において、157cm−1,412cm−1,506cm−1,628cm−1の位置にピークが観察された(図3の(a)のスペクトル)。これらは、アナターゼ二酸化チタンの、Eg(ν6)mode(157cm−1),B1g mode(412cm−1),A1gとB1g modes(506cm−1),Eg(ν1) mode(628cm−1)に帰属された。ルチルや他の相に帰属されるピークは観察されなかった。
Eg(ν6) modeがアナターゼ二酸化チタンのバルク結晶や焼結粉末におけるピーク位置から大きくシフトしている点は特筆に値する。
アナターゼ二酸化チタンの単結晶に対して、Ohsakaらは、以下のピーク位置を報告している。144cm−1(Eg),197cm−1(Eg),399cm−1(B1g),513cm−1(A1g),519cm−1(B1g),639cm−1(Eg)(参考文献1)。
また、TiO粒子(P25,Degussa)は、143.3cm−1(Eg),196cm−1(Eg),396cm−1(B1g),516cm−1(A1g+B1g),638cm−1(Eg)の各位置にラマンピークを示した(図3の(b)のスペクトル)。
Eg(ν6) mode(144cm−1)は、結晶子サイズ(量子サイズ効果)(参考文献2,3)、温度(参考文献2)、圧力(参考文献4)などの影響によりピーク位置がシフトすることが報告されている。
また、窒素ドープしたアナターゼ二酸化チタン粒子(粒径8.40−9.80nm)は、151cm−1の位置にEg(ν6)modeを持つことが報告されている(参考文献5)。
本発明における多針体粒子は、フッ素ドープおよび量子サイズ効果により、144cm−1から157cm−1への大きなピークシフトを示したものと考えられる。Eg(ν6)modeの大きなシフトは、多針体粒子の特徴のひとつと言える。
図4に多針体二酸化チタン粒子及びKBrのFT−IR吸収スペクトルを示す。(1a)は、多針体二酸化チタン粒子、(1b)は、KBr、(2a)及び(2b)は、(1a)及び(1b)の拡大スペクトルである。多針体二酸化チタン粒子は、赤外光領域において、907cm−1および773cm−1の位置に吸収を示した。これらは、二酸化チタンにおけるTi=O伸縮振動および−Ti−O−Ti−伸縮振動に帰属された。このことは、TEM、XRD、ラマンにおける評価と矛盾しない。
1400−1750cm−1の領域における吸収はO−H振動に帰属された(参考文献6)。600−450cm−1の周波数領域の吸収は二酸化チタン格子中のTi−F結合の伸縮振動によるものであると報告されている(参考文献7,8)。
また、xTiOF・yBaF・zMnFガラスは、513,532,540,558,568cm−1の位置に吸収が観察され、これらの吸収により結晶格子中の酸素イオンが部分的にフッ素イオンに置換されていることが示されたと報告されている(参考文献7)。実際、多針体粒子においても、455,488,505,520,552,567cm−1の各位置に吸収が観察されている(図4の2a参照)。
また、表面フッ素処理を施した二酸化チタンから、1080cm−1の位置にTi−F結合由来の振動が見られることが報告されている(参考文献9)。本研究の多針体粒子においても1058cm−1に吸収が観察されている(図4の1a参照)。これらの解析により、二酸化チタンにフッ素がドープされたことが示された。
図5に多針体粒子のUV−Visスペクトルを示す。挿入図は、バンドギャップの見積もりである。多針体二酸化チタン粒子の可視光透過率測定を行ったところ、波長の減少に伴い、透過率は徐々に減少した。間接遷移を仮定したバンドギャップの解析からは、3.18eVと見積もられた(図5の左挿入図)。また、直接遷移を仮定した際には、3.20eVと見積もられた(図5の右挿入図)。
これらは、以下に示す二酸化チタンナノ構造体のバンドギャップと同程度であった。アナターゼTiOナノロッド(3.2eV,間接遷移(IT))(非特許文献12)、アナターゼTiOナノウォール(3.2eV,IT)(非特許文献12)、アナターゼTiOナノチューブ(3.2eV,IT)(非特許文献13)、厚さ1nm以下の単層TiOナノシート(3.15eV)(参考文献10)、積層TiOナノシート(3.15eV)(参考文献10)、アナターゼTiO膜(3.2eV,IT)(参考文献11)である。
また、ルチルTiO膜(2.9eV,IT)(参考文献11)、ルチルTiOナノロッド(3.0eV,IT)(非特許文献12)、ルチルTiO単結晶(3.0eV,SHINKOSHA Co.,Ltd.)のバンドギャップより大きく、アモルファスTiO膜(3.5eV,IT)(参考文献11)よりも小さい値であった。
(5)凹凸基板の二酸化チタン粒子コーティング
真空紫外光照射により凹凸構造を有するシリコン基板表面を超親水性へと変性した。50℃の水溶液中に7日間浸漬することにより、凹凸基板表面の多針体二酸化チタン粒子コーティングに成功した。図6の(a)は、凹凸基板上の粒子コーティングのSEM像(合成時間7日間)の写真であり、(b1)〜(b3)は、凹凸基板の凸部領域の拡大写真であり、(c1)〜(c3)は、凹凸基板の凹部領域の拡大写真である。円は典型的な多針体粒子を示す。凸部および凹部の両領域とも、多針体粒子により均一にコーティングされた(図6の(b1),(c1))。
表面コーティング層が均一で約200−600nmの薄い層であることから、シリコン基板上の凹凸構造は表面コーティング後も、埋もれることなく維持されていた(図6の(b2),(c2))。コーティング層は、直径約200−400nmの花弁状多針体二酸化チタン粒子から構成されていた(図6の(b3),(c3),red circles)。粒子は、粒子中心から成長した複数の針状結晶を有しており、針状結晶は成長方向に沿った先細り形状であった。
図6の(b3)中の円で示された粒子は、アナターゼ二酸化チタンの正方晶の結晶構造により、4回対象の結晶成長がもたらされ、基板に平行方向に4つの針状結晶が成長したことを示している。また、この粒子におけるa軸およびc軸方向は、それぞれ、基板に対して平行および垂直方向であると考えられる。この形態が、本反応系における合成粒子の基本形態であり、図6の(c3)中の円で示されるように、他の針状結晶がさらに中心から成長することにより、多数の針状結晶を有する多針体形態へと成長すると考えられる。
多針体粒子は、流水による処理でも基板から剥離することはなかった。粒子は結晶成長の過程で、粒子間が連結され、また、粒子−基板間にも結合を形成したものと考えられる。超親水性表面を持つシリコン基板はアナターゼ二酸化チタンの結晶成長に有利であった。超親水性表面のOH基が、二酸化チタンの結晶成長過程において、二酸化チタン結晶と化学結合を形成するのである。そのため、二酸化チタン結晶は流水処理においても基板から剥離することがないのである。
比較として、凹凸構造を有するシリコン基板を50℃の水溶液中に19時間浸漬した。図7の(a)は、凹凸基板上の粒子コーティングのSEM像(合成時間19時間)の写真であり、(b1)〜(b3)は、凹凸基板の凸部領域の拡大写真であり、(c1)〜(c3)は、基板凹部領域である。円は典型的な多針体粒子を示す。多針体粒子は凸部および凹部の両領域に形成した(図7の(a))。また、コーティング層が均一で薄い層であるため、表面凹凸構造は、コーティング後も維持された(図7の(b1),(c1))。しかし、表面被率は7日間浸漬した基板とは異なるものであり、凸部は約半分、凹部は約1/3の被覆率であった(図7の(b2),(c2))。
凹部は凸部に比べて奥まっているため、凹部の被率は凸部に比べて低い値であった。溶液中で生成した粒子やイオンが凹部には十分に供給されなかったのである。凸部表面と凹部表面の化学状態の違いではなく、基板の凹凸構造に起因した粒子やイオンの供給制限により、凹部での粒子の付着や成長が抑制されたのである。
粒子は中心から成長した複数の針状結晶を有していた(図7の(b3),(c3))。針状結晶の形態は、7日間浸漬して合成した針状結晶と類似であったが、そのサイズは約100−300nmとわずかに小さいものであった。粒子は流水処理においても基板から剥離することはなかった。これらの評価から以下の成長メカニズムが示唆される。粒子は溶液中で均一核生成により形成される。その後、基板表面に付着してコーティング層を形成する。さらに粒子は針状結晶の数や大きさを増やしながら結晶成長を続ける。また、結晶成長の過程で、粒子間、ならびに粒子基板間に結合を形成し、高い付着力を実現したと考えられる。
二酸化チタン粒子コーティングの表面をXPSにより評価した。図8A〜図8Fに、凹凸基板上の粒子コーティングのXPSスペクトル(合成時間7日間。図8Aの(1a),(1b)は、ワイドスキャン、図8Bの(2a),(2b)は、Ti 2p、図8Cの(3a),(3b)は、O 1s、図8Dの(4a),(4b)は、C 1s、図8Eの(5a),(5b)は、F 1s、図8Fの(6a),(6b)は、Si 2pであり、それぞれaは、最表面、bは、アルゴンスパッタリング後の表面である。)を示す。図8Cの(3a)のO 1sスペクトルは、バックグラウンド除去後、2つのピークに分離された。最表面(図8Aの(1a))およびアルゴンスパッタ後の表面(図8Aの(1b))において、チタン、酸素、炭素、シリコン、フッ素が検出された。
Ti 2p3/2の結合エネルギーは458.6eVであり(図8Bの(2a))、これはTi metal(454.0eV),TiC(454.6eV),TiO(455.0eV),TiN(455.7eV),Ti(456.7eV)の結合エネルギーよりも高く、TiO(458.4−458.7eV)(参考文献13,14)の結合エネルギーと同程度であった。このことは、粒子中のチタン原子が、酸素との結合形成により、金属チタンに比べて正にチャージしていることを示している。
スパッタリングにおいて、カチオン価数の減少により、Ti 2pスペクトルは大きく変形した(図8Bの(2b))。この現象は、二酸化チタンのスパッタリングにおいて、よく見られるものである。スパッタリングの際、チタンの価数が変化するため化学組成比がわずかに変化してしまう。そのため、スパッタリング後のスペクトルは化学組成比の算出には適さない。そこで、スパッタリング前のスペクトルを用いて、チタンと酸素の組成比の算出を行った。
O 1sスペクトルを、バックグラウンドの除去後、ガウス関数を用いて2つのピークに分離した(図8Cの(3a))。532.12eVのO 1sピークと529.85eVのO 1sピークの積分強度比は0.662:0.338であった。
529.85eVの結合エネルギーは、TiO中の酸素の結合エネルギーTiO(529.9eV(参考文献14),530.1eV(参考文献13))と同程度であり、このことは、酸素とチタン間の結合形成により、酸素分子の結合エネルギー(531.0eV)に比べて、粒子中の酸素が負にチャージしていることを示している。532.12eVの高エネルギー成分は、C−OやC=Oとして炭素と結合している酸素成分(532.8eV)であると考えられる。この成分は10秒間のスパッタリングにより減少した(図8Cの(3b))。これらのことから、表面のコンタミネーションによる酸素成分であると考えられる。スパッタリングにおいて、C 1sスペクトルが大きく減少したことも、このことを支持している(図8Dの(4a),(4b))。
458.6eVのTi 2pスペクトル(図8Bの(2a))および529.85eVのO 1sスペクトル(図8Cの(3a))を用いてチタンと酸素の組成比を見積もったところ、1:1.76であった。これは、二酸化チタンの組成よりも、酸素が少ない値であった。酸素空孔やフッ素ドーピングにより、酸素量が減少したものと考えられる。実際、表面からはフッ素(684.5eV)が検出されている(図8Eの(5a))。
化学組成比は、Ti:O:F=1:1.76:0.18と見積もられ、酸素とフッ素の組成の合計は1.94となり、二酸化チタンから予測される2に近い値であった。また、フッ素のスペクトル強度はスパッタリングにおいても減少することなく、スパッタリング後にTi:F=1:0.16の組成を示した(図8Eの(5b))。これらのことから、フッ素は表面コンタミネーションではなく、二酸化チタン粒子中に存在しているものと考えられる。
フッ素は二酸化チタンの特性を向上させることが報告されている。二酸化チタンのフッ素処理は、フッ素の高い電気陰性度のため、二酸化チタン表面の酸性度を増加させる(参考文献15)。また、二酸化チタンへのフッ素ドーピングにより、表面OHラジカルが増加し、光触媒特性や耐光腐食性が向上する(参考文献16−21)。これらの特性により、二酸化チタンの応用範囲はさらに広がるものと期待される。
Si 2p3/2スペクトルは98.6eVと102.7eVに観察された(図8Fの(6a))。これらは、二酸化チタン粒子で被覆されていないシリコン基板領域から検出されたものである。結合エネルギーはそれぞれ、シリコン基板(99.6eV)およびSiO(103.4eV)と同程度であった。SiO由来の高エネルギー成分は、スパッタリングにより減少した。これは、表面の自然酸化膜であるアモルファスSiO層が除去されたためである(図8Fの(6b))。XPSやスパッタリングの結果から、フッ素を含有していることが示された。
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13) Huang, D.; Xiao, Z.−D.; Gu, J.−H.; Huang, N.−P.; Yuan, C.−W. Thin Solid Films 1997, 305, 110−115.
14) Zhang, F.; Mao, Y.; Zheng, Z.; Chen, Y.; Liu, X.; Jin, S. Thin Solid Films 1997, 310, 29−33.
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18) Minero, C.; Mariella, G.; Maurino, V.; Vione, D.; Pelizzetti, E. Langmuir 2000, 16, 8964−8972.
19) Vohra, M. S.; Kim, S.; Choi, W. In International Symposium on Photochemistry at Interfaces; Elsevier Science Sa: Sapporo, Japan, 2002, p 55−60.
20) Fu, H. B.; Zhang, L. W.; Zhang, S. C.; Zhu, Y. F.; Zhao, J. C. Journal of Physical Chemistry B 2006, 110, 3061−3065.
21) Irie, H.; Watanabe, Y.; Hashimoto, K. Journal of Physical Chemistry B 2003, 107, 5483−5486.
本発明品は、色素増感型太陽電池、分子センサー、溶液センサー、ガスセンサー、光触媒、触媒、化粧品、DNAセンサー、フィルター等として利用できる。

Claims (5)

  1. 複数の針状の二酸化チタン結晶が集積化した多針体二酸化チタン粒子と、
    該多針体二酸化チタン粒子が基板上に付着した多針体二酸化チタン粒子コーティングと、を備え、
    前記二酸化チタン結晶が、アナターゼ型であり、
    前記二酸化チタン結晶にフッ素がドープされ、
    前記複数の針状の二酸化チタン結晶が、粒子中心で結合して花弁状形態を形成している二酸化チタン系デバイス。
  2. pHが1〜6で、10mM以下のフッ化チタン酸アンモニウム水溶液を作製し、
    前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液を50〜99℃に保持し、前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液にて二酸化チタン結晶を析出させ、
    複数の針状の二酸化チタン結晶が集積化した多針体二酸化チタン粒子を製造し、
    前記複数の針状の二酸化チタン結晶を花弁状形態となるように析出させる多針体二酸化チタン粒子の製造方法。
  3. pHが1〜6で、10mM以下のフッ化チタン酸アンモニウム水溶液を作製し、
    前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液を50〜99℃に保持し、基板を前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液に浸漬し、前記基板上に複数の針状の二酸化チタン結晶が集積化した多針体二酸化チタン粒子を付着させて、多針体二酸化チタン粒子コーティングを製造し、
    前記複数の針状の二酸化チタン結晶を花弁状形態となるように析出させる多針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法。
  4. 前記基板を1日以上14日以下、前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液に浸漬する請求項に記載の多針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法。
  5. 前記基板はシリコン基板であり、前記基板を真空紫外光照射によって表面処理した後、前記フッ化チタン酸アンモニウム水溶液に浸漬する請求項3または4に記載の多針体二酸化チタン粒子コーティングの製造方法。
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