JP2004148635A - 耐ピンホール性を有する包装材料 - Google Patents

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Abstract

【課題】輸送工程において輸液外装材にピンホールが開くことによる内容液の変質を防ぐことを目的とする耐ピンホール性を有する包装材料を提供すること。
【解決手段】シーラント層(5)になりうるポリオレフィン系樹脂フィルムとガスバリア性を有するガスバリア層(3)が、この2層と接着性を有する材料と接着性の発現しない材料とが任意の割合で混合分散された接着層(2、4)を介して積層され、接着性を有する材料が被着体表面上を50%以上占有している。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガスバリア性を有する積層透明包装材料において、高い酸素バリア性を有し、厚みと重みのある物を包装した時にピンホールが発生しにくい包装材料に関するものである。
【0002】
本発明は、医療、医薬品や、食品などの分野において、酸素の進入により品質を容易に劣化させるような包装材料に利用することができ、とりわけ、500ミリリットル〜1000ミリリットルと大容量の注射剤を柔軟なプラスチック容器に充填してなる、輸液バックの外装材料として有用である。
【0003】
【従来の技術】
比較的大容量の注射剤が充填される輸液バックは、近年、ハンドリング(取り扱い)性の良さや、輸液バックの軽量化、ゴミの減量化などの点から、柔軟なプラスチック包装袋に充填されたものが増えている。
【0004】
輸液バックに充填されるアミノ酸液や糖・電解質液などの薬剤は、酸素によって著しく変質しやすく、更には直接体内に薬剤を注入することからも、輸液バックの最内層は無添加のプラスチック包装材料が多く、酸素バリア性は必ずしも充分とは言えない。そのため、輸液バックを大気中に放置しておくと、大気中の酸素が輸液バックを透過し経時的に薬剤を変質させてしまう。そこで、近年は輸液バックを酸素バリア性の高い包装材料で2次包装することが行われている。
【0005】
この輸液バック外装材には上記しているように酸素バリア性が高く要求されるため、外的要素によってピンホールなどの微小貫通孔が空かない耐ピンホール性などが要求される。現在、高い酸素バリア性を有するために、ガスバリア層としてポリ塩化ビニリデン(PVDC)コートを施したプラスチックフィルムや、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルム、無機金属やシリカゲルなどを蒸着した蒸着フィルムなどが中間層などに用いられた積層包装材料が用いられている。
【0006】
これらの輸液外装材は、PVDCコートや蒸着することにより剛性が上がり、あるいは接着剤を介したラミネーションをする事により外装材の腰が硬くなるために、輸液バックを輸液外装材に入れ、更に段ボール箱中で積載輸送する工程中の振動により、輸液外装材にピンホールが生じ易く、そのため高い酸素バリア性が維持できなくなる。
【0007】
ピンホールは3つの要素が加味して発生することが多く、▲1▼屈曲疲労によるピンホール、▲2▼輸液バックと輸液外装材が摩耗することによる摩耗ピンホール、▲3▼輸液バックの突起部が内面から外装材を突き刺すことによる突き刺しピンホールに大別され、通常の輸送工程では四方向がヒートシールされた平袋を段ボール箱に積載、梱包されて輸送するために、平袋の縁端部が折られて積載されたまま輸送されることが多く、輸送中におこる振動によって屈曲、摩耗を繰り返し、ピンホールが生じ易くなる(図2のB参照)。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記輸送工程上での実情を鑑みて従来技術の問題点を解決するために成されたものであり、輸送工程において輸液外装材にピンホールが開くことによる、内容液の変質を防ぐことを目的とする耐ピンホール性を有する包装材料を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、請求項1の発明は、少なくともシーラント層になる得るポリオレフィン系樹脂フィルムと、ガスバリア性を有するガスバリア層とが、この2層と接着性を有する材料と接着性の発現しない材料とが任意の割合で混合分散された接着層を介して積層され、前記接着性を有する材料が被着体表面上を50%以上占有していることを特徴とする、耐ピンホール性を有する包装材料である。
【0010】
請求項2の発明は、印刷基材層となり得るプラスチックフィルムと、前記ガスバリア性を有するガスバリア層の間に、この2層と接着性を有する材料と接着性の発現しない材料とが混合分散され積層していることを特徴とする、耐ピンホール性を有する包装材料である。
【0011】
請求項3の発明は、シーラント層になる得るポリオレフィン系樹脂フィルムと、ガスバリア性を有するガスバリア層と、印刷基材層となり得るプラスチックフィルムとが、この順序で、前記接着層を介して積層されていることを特徴とする、耐ピンホール性を有する包装材料である。
【0012】
請求項4の発明は、請求項1、2、又は3の発明において、前記接着層は、接着層を構成する樹脂を加熱溶融して押し出す溶融押し出し法により形成されていることを特徴とする、耐ピンホール性を有する包装材料である。
【0013】
請求項5の発明は、請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐ピンホール性を有する包装材料を用いた輸液バッグ外装袋である。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について具体的に説明する。図1は、本発明の耐ピンホール性を有する包装材料の一例であり、その構成は印刷基材層(1)/接着層(2)/ガスバリア層(3)/接着層(4)/シーラント層(5)から成る。
【0015】
印刷基材層(1)には、印刷基材となり得る全てのフィルムを使用でき、2軸延伸ナイロン(ONy)フィルム、2軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム、ポリエステルテレフタレート(PET)フィルム等が使用できる。
【0016】
ガスバリア層(3)には、エチレン‐ビニルアルコール共重合体(EVOH)フィルム、ポリビニルアルコール(PVA)フィルムや、上記のONyフィルム、OPPフィルム、PETフィルムにアルミナなどの無機金属や、シリカゲルなどを蒸着した蒸着フィルムなどが使用でき、内容物に要求される酸素バリア性と、内容物の重量、包装形態などによっては、印刷基材層(1)とガスバリア層(3)を共有化させガスバリア層(3)/接着層(4)/シーラント層(5)の構成に簡略化することも可能である。
【0017】
シーラント層(5)には、熱融着(ヒートシール)性を有するフィルムなら全てのフィルムを使用でき、代表的なものとしてポリエチレン(PE)、未延伸ポリプロピレン(CPP)などのポリオレフィン系フィルム等が使用できる。
【0018】
接着層(2)、(4)は、例えば、三菱化学(株)などから上市されている、ポリオレフィンに極性基を導入することで異種素材との接着性を発現するMODIC(三菱化学(株))のような材料と、通常のポリオレフィン材料とを任意の量でブレンドさせ、高温で押し出すことで熱融着させる押し出しラミネーションを用いて両側のフィルムを接着させる。
【0019】
上記の極性基を導入したポリオレフィン材料は、PEやPPなどのポリオレフィン系フィルムとは分子相溶性によって接着し、Nyフィルム、EVOHフィルム、PETフィルム、蒸着フィルムとは極性基が化学結合することによって接着する。しかし、極性基の導入されていない通常のポリオレフィン系材料は、同種の物とは分子相溶性によって接着するものの、極性基を持った材料とは全く接着しない。
【0020】
(2)、(4)のそれぞれの接着層は、異なる材料で、異なるブレンド比率で行っても良いが、生産工程上、同じ物を使用した方が簡便になり、望ましい。
【0021】
上記のブレンド方法は、樹脂ペレット状態で2種類を混合(ドライブレンド)し押し出す方法も可能であるが、均一に分散させるためには2種類の樹脂ペレットを熱で溶融させ、再び冷却させ再ペレット化し、このペレットを押し出す方法の方が望ましい。
【0022】
極性基を持たない通常のポリオレフィン材料を多く含有させると、極性材料と未接着の部分が多くなり、生産工程において、品質管理工程において不具合が生じるために、通常のポリオレフィン材料の混合率は5%以上〜50%未満であることが望ましい。
【0023】
図2に示すように実際には、上記のシーラント層(5)同士が4方向において熱融着された袋形状となる。
【0024】
【実施例】
以下に、本発明の実施例についてさらに具体的に説明する。
<実施例1>
印刷基材層(1):OPPフィルム(30μm)
接着層(2)、(4):極性基を付与した接着性樹脂(含有量70%)+低密度ポリエチレン樹脂(含有量30%)をペレット状でドライブレンドし、340°Cで20μmの厚みで押し出しラミネーションした。
ガスバリア層(3):アルミナ蒸着ONyフィルム(15μm)
シーラント層(5):直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)フィルム(60μm)
【0025】
<比較例1>
印刷基材層(1):OPPフィルム(30μm)
接着層(2)、(4):極性基を付与した接着性樹脂(含有量100%)を340°Cで20μmの厚みで押し出しラミネーションした。
ガスバリア層(3):アルミナ蒸着ONyフィルム(15μm)
シーラント層(5):LLDPEフィルム(60μm)
【0026】
<比較例2>
印刷基材層(1):OPPフィルム(30μm)
接着層(2)、(4):ウレタン系接着剤(3g/m、dry)を用いてドライラミネーションを行った。
ガスバリア層(3):アルミナ蒸着ONyフィルム(15μm)
シーラント層(5):LLDPEフィルム(60μm)
【0027】
〔実験1〕
上記3つの構成例に関して、ゲルボフレックステスターを用いて屈曲試験を行った。
検体サイズ:205mm×290mm
屈曲条件:440度(ねじり)×3.5インチ(直進)+2.5インチ(直進)、
屈曲環境:5°C×2000回
浸透液によりピンホール数を数えた。その結果を表1に示す。
【0028】
【表1】
Figure 2004148635
【0029】
実験1からも、印刷基材層とガスバリア層の間、ガスバリア層とシーラント層の間に、部分的に未接着部位を持つ構成(実施例1)がピンホールが最も少なく、接着層をすべてウレタン系の接着材を用いた構成(比較例2)がピンホール数が最も多い傾向となった。
【0030】
〔実験2〕
上記3つの構成例に関して、285mm×315mmの3方向ヒートシールされた平袋を作成し、実際に使用している輸液バックを充填し、残りの1方をヒートシールした図2のような平袋を作成し、ポリエチレンの内袋の入った段ボール箱に2行×5段で10袋を積載、梱包する。この段ボール箱を以下の条件で振動試験を行った。
振動条件:加速度±4G、周波数11Hz、垂直方向30分+縦15分+横15分
浸透液によりピンホール数を数えた。その結果を表2に示す。
【0031】
【表2】
Figure 2004148635
【0032】
実験2も、実験1と同様の傾向を示し、印刷基材層とガスバリア層、ガスバリア層とシーラント層の間の部分的な未接着部位が耐ピンホールに有用である。
【0033】
【発明の効果】
印刷基材層とガスバリア層、ガスバリア層とシーラント層の間の接着層に、部分的な未接着部位を施すことが、耐ピンホールには有用であり、内容物が酸化しやすい輸液バックの外装材としては好適である。
【0034】
更に、接着層を押し出しラミネーションとすることで、外装材の腰強度が柔らかくなり、主に屈曲疲労に伴うピンホールには有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の耐ピンホール性を有する包装材料の層構成を模式的に示す部分断面図である。
【図2】図1を袋形状にし、輸液バックを収納した状態を示す正面図である。
【図3】図2をA−A’で切断した時の、断面図である
【符号の説明】
1‥‥印刷基材層
2、4‥‥接着層
3‥‥ガスバリア層
5‥‥シーラント層
6‥‥ヒートシール部
7‥‥輸液バッグ

Claims (5)

  1. 少なくともシーラント層になる得るポリオレフィン系樹脂フィルムと、ガスバリア性を有するガスバリア層とが、この2層と接着性を有する材料と接着性の発現しない材料とが任意の割合で混合分散された接着層を介して積層され、前記接着性を有する材料が被着体表面上を50%以上占有していることを特徴とする、耐ピンホール性を有する包装材料。
  2. 印刷基材層となり得るプラスチックフィルムと、前記ガスバリア性を有するガスバリア層の間に、この2層と接着性を有する材料と接着性の発現しない材料とが混合分散され積層していることを特徴とする、耐ピンホール性を有する包装材料。
  3. シーラント層になる得るポリオレフィン系樹脂フィルムと、ガスバリア性を有するガスバリア層と、印刷基材層となり得るプラスチックフィルムとが、この順序で、前記接着層を介して積層されていることを特徴とする、耐ピンホール性を有する包装材料。
  4. 前記接着層は、接着層を構成する樹脂を加熱溶融して押し出す溶融押し出し法により形成されていることを特徴とする請求項1、2又は3記載の耐ピンホール性を有する包装材料。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐ピンホール性を有する包装材料を用いた輸液バッグ外装袋。
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