JP2004148289A - フッ素またはリン含有水処理装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】フッ素および/またはリンを効率よく除去する。
【解決手段】原水を金属反応槽10に導入し、不溶化剤を添加混合する。これによって、金属化合物とフッ素またはリンを不溶化する。次に、凝集槽12で、不溶化物を粗大化し、沈殿槽14に不溶化物を沈殿分離する。不溶化剤としては塩化ジルコニル水溶液のほか他のZr化合物並びにTi、Hf、V、Nb、Ta、および希土類金属(例えばCe、Laなど)の水溶性金属化合物を用いることができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フッ素またはリンの除去装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
半導体や、液晶などを製造するエレクトロニクス産業においては、その製造工程でフッ素を使用するため、エレクトロニクス産業排水にはフッ素が含有される場合が多い。このフッ素含有水からフッ素を除去する方法としては、原水にカルシウム剤を添加して、フッ化カルシウムの微細粒子を析出させ、これらの微細粒子をAl、Fe系の無機凝集剤もしくは有機高分子凝集剤で凝集させて、沈殿分離する方法が採用されている。この方法によると処理水フッ素は、10〜20mg/lに低減できる。ところが、日本においては、2001月7月にフッ素についての排出基準値が15mg/lから8mg/lに強化され、フッ素をさらに高度に処理する必要が出てきた。
【0003】
フッ素を高度に処理する方法としては、上記凝集沈殿処理における凝集剤の添加量を増加させたり、上記凝集沈殿処理の後段でさらにもう一度凝集沈殿処理を行う方法が採用される。このような処理における凝集剤使用量は2000〜5000mg/lであり、AlやFeの水酸化物にフッ素を吸着させてフッ素除去率を向上させている。この方法によって、処理水フッ素濃度が2〜8mg/lに低減できる。
【0004】
他の方法として、ZrやCeの含水酸化物を樹脂に担持させたり、高分子物質で造粒したフッ素吸着剤を使用して、フッ素除去率を向上させることが提案されている(特許文献1(特公平6−79665)、特許文献2(特公昭61−47134))。これらの方法により、処理水フッ素濃度が0〜1mg/lに低減できるとされている。
【0005】
ここで、上記の吸着剤は、希土類元素やTi、Zrの塩類にアルカリを添加するか加熱して加水分解して生成した含水酸化物MO・XHO(≒M(OH))で表されるような物質がPO 3−、F、SO 2−等の陰イオンと酸性側で陰イオン交換し、アルカリ側で陽イオン交換する性質を利用している(特許文献3(特公平2−17220)、特許文献4(特開昭60−172353))。なお、Mは金属、X,m,nは任意の数である。
【0006】
また、エレクトロニクス産業排水には、リンも含有される場合が多く、またリンは家庭からの排水中にも含まれている。閉鎖性水域における富栄養化防止の観点などからリン除去を行う必要があり、多くの地域でリンは上乗せ規制の対象になっている。このリンの除去には、フッ素の場合と同様に、カルシウム剤を添加してリン酸カルシウムとして凝集沈殿する処理の他、AlやFe系の無機凝集剤を用い、リン酸アルミニウムや、リン酸鉄として凝集沈殿処理されている。さらに、上述の吸着剤は、フッ素イオン(F)だけでなくリン酸イオン(PO 3−)も処理できる。そこで、これら吸着剤をリン除去に使用することも可能である。
【0007】
【特許文献1】
特公平6−79665号公報
【特許文献2】
特公昭61−47134号公報
【特許文献3】
特公平2−17220号公報
【特許文献4】
特開昭60−172353号公報
【特許文献5】
特許2911506号公報
【特許文献6】
特開平9−168786号公報
【特許文献7】
特公平1−40677号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
上記凝集沈殿法では、フッ素を低減させるためにAl、Fe系の凝集剤を数千mg/l添加する。このような凝集汚泥は、そのフロック内部に水分子を取り込んでいるため、汚泥の脱水性が悪く、また凝集剤添加量が多いため汚泥発生量が非常に多くなる。従って、汚泥処分費が嵩むという問題がある。また、このような大量の廃棄物を生成する処理は、廃棄物量を削減するという社会的要請に逆行する技術である。
【0009】
一方、フッ素吸着剤は、汚泥の増加はないものの、吸着速度が遅く吸着剤使用量が大きくなる。このため、処理コストが非常に高いという問題がある。また、エレクトロニクス産業排水に含まれる過酸化水素のような酸化剤や原水中のフッ酸により吸着剤が劣化し、母材が崩壊し流れ出してしまうという問題もある。
【0010】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、フッ素および/またはリン含有水から、フッ素および/またはリンを効率よく除去できるフッ素またはリン除去剤または除去方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、フッ素またはリン含有水からフッ素またはリンを除去するフッ素またはリン含有水処理装置であって、フッ素またはリン含有水にジルコニル塩を添加し、フッ素またはリンの不溶化物を生成するジルコニル塩添加手段と、このジルコニル塩添加手段により生成された前記不溶化物を固形物として分離除去する固液分離手段と、を有し、前記固液分離手段からフッ素またはリンが除去されて処理水を得ることを特徴とする。
【0012】
ジルコニル塩は、フッ素またはリンを不溶化する。そして、ジルコニル塩は、フッ素またはリンに対しほぼ反応当量の添加でフッ素またはリンを低濃度にできる。そこで、このフッ素またはリンの不溶化物を固液分離することで、水中のフッ素またはリンを効果的に除去することができる。特に、フッ素やリンを低濃度(例えば、フッ素8mg/L以下)にするには、通常行われているカルシウム剤による処理ではその添加量が大量になり、汚泥発生量が多くなってしまうが、本発明によりこのような欠点を解消できる。
【0013】
さらに、本発明は、フッ素またはリン含有水からフッ素またはリンを除去するフッ素またはリン含有水処理装置であって、フッ素またはリン含有水にTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、希土類金属のうち少なくとも1つの元素を含む水溶性金属化合物を添加し、フッ素またはリンの不溶化物を生成する金属塩添加手段と、この金属塩添加手段により生成された前記不溶化物を固形物として分離除去する固液分離手段と、前記固液分離手段により分離された固形物の一部について、前記固液分離手段よりも上流へ返送する返送手段と、を有することを特徴とする。
【0014】
固液分離された固形物は主に金属の含水酸化物とフッ素またはリンの化合物である。固形物は、固液分離手段よりも上流へ返送されることで反応処理系内を循環する。このような循環の結果、固形物中の含水酸化物の比率が減少して、フッ素またはリンの化合物の比率が向上するという脱水縮合反応が進行する。この脱水縮合反応は固形物をより高密度にすることができ、固形物の体積量を減少させることができる。また、固形物は種結晶となり、新たに生じた反応生成物を取り込みやすくなる。この結果、固形物が大きく成長しやすくなり、固形物を固液分離しやすくなるので固液分離性が向上する。
【0015】
また、前記固液分離手段により分離された固形物の一部について、酸またはアルカリを添加してフッ素を溶出させた後、前記金属塩添加手段へ返送することが好適である。これによって、添加した金属化合物を回収利用することができ、金属化合物の使用量を減少でき、また使用量を維持した場合にはフッ素またはリンの除去率を向上させることができる。
【0016】
また、前記固形物に酸またはアルカリを添加する際、または添加した後に、カルシウム化合物を添加し、溶出したフッ素またはリンを不溶化することが好適である。これによって、酸またはアルカリにより金属化合物から遊離したフッ素またはリンを不溶化することができる。
【0017】
また前記固形物の返送先が、金属塩添加手段であることが好適である。
【0018】
また、前記金属塩添加手段と、固液分離手段の間に、金属塩添加手段の処理水に対し高分子凝集剤を添加しフッ素またはリン不溶化物を凝集処理する高分子凝集槽をさらに有することが好適である。これによって、フッ素またはリンの不溶化物の固液分離が容易になる。
【0019】
さらに、前記金属塩添加手段において、無機凝集剤を水溶性金属化合物と併用することが好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態について、図面に基づいて説明する。なお、下記実施形態では、原水にはフッ素含有排水を用い、フッ素またはリンの不溶化剤として添加する水溶性金属化合物にはZrの金属化合物である塩化ジルコニルを用いて説明する。添加する水溶性金属化合物はTi、Hf、V、Nb、Ta、希土類金属(例えばLa、Ceなど)の金属化合物でも以下と同様に実施できる。また、金属化合物の形態としては、硝酸塩、硫酸塩、塩化物、塩化酸化物、硫酸酸化物等が考えられるがこれらに限定されない。好ましくは塩化ジルコニル、硫酸ジルコニル、硝酸ジルコニル、硫酸チタニル、四塩化チタン、塩化ランタン、硫酸ランタン、塩化セリウム、硫酸セリウム等が用いられる。
【0021】
「第1実施形態」
図1は、本発明の第1実施形態に係る処理装置を示す図である。
【0022】
フッ酸などのフッ素を含有する原水は、金属反応槽10に導入される。この金属反応槽10には、不溶化剤が供給されるとともに水酸化ナトリウムなどのpH調整剤(原水のpHを下げる場合には酸、上げる場合にはアルカリ)が供給される。この金属反応槽10には、撹拌機などが設けられ、これによって急速撹拌(回転速度は例えば、150rpm)されることによって金属化合物と原水が撹拌混合される。なお、撹拌は、曝気などによって行ってもよい。
【0023】
これによって、下式に示すような反応が生起され、
【化1】
ZrOCl+2F→ZrOF+2Cl
フッ素が不溶化される。また、水酸化ナトリウム等によって、金属反応槽10内のpHを3.5〜7の範囲に調整する。これによって、上述の反応が速やかに進行する。
【0024】
金属反応槽10の処理水は、凝集槽12に供給される。この凝集槽12には、高分子凝集剤が供給され、内部は撹拌機などによって緩速撹拌(例えば、40rpm)されており、金属反応槽10で生成したフッ素の不溶化物が凝集粗大化される。高分子凝集剤は、カチオン系、アニオン系、ノニオン系のいずれでもよく、凝集効果のよいものを適宜採用する。さらに、高分子凝集剤に代えて、アルミ系や鉄系の無機凝集剤を採用することもでき、また両者を併用してもよい。
【0025】
凝集槽12からの凝集処理水は、沈殿槽14に導入され、ここで固形物が沈殿分離される。すなわち、上述したZrOFの凝集物が沈殿分離され、上澄み液としてフッ素濃度の低い処理水が得られる。なお、固液分離手段としては、沈殿槽14に限定されることなく、膜分離装置など各種の装置を利用することができる。特に、膜分離装置を採用した場合には、高分子凝集剤による凝集処理を省略することもできる。
【0026】
不溶化剤としての塩化ジルコニルの添加量は、原水フッ素(F)に対してZrとして反応当量以上であることが好適である。すなわち、モル比として、Zr/F=1/2以上となるように添加するとよい。また、原水のフッ素濃度としては、経済的観点から20mg/l以下の原水に適用するのがよく、Zr濃度としては200mg/l以下が良い。反応のpHとしては、3.5〜7でよいが、4.0〜5.5がより好ましい。
【0027】
また、被処理水の性状に応じて無機凝集剤を併用することも好適である。無機凝集剤の種類は特に限定するものではないが、例えばアルミニウム系(PAC、硫酸バンド)、鉄系(塩化鉄、ポリ硫酸鉄)が挙げられる。添加方法は、金属反応槽10に直接添加してもよいし、別途、無機凝集剤反応槽を設けてもよい。無機凝集剤反応槽を新たに設ける場合は、金属反応槽10の前後(高分子凝集槽12との間)のいずれでもよい。
【0028】
「第2実施形態」
図2は、第2実施形態の構成を示す図であり、この例では、汚泥反応槽16を有している。すなわち、沈殿槽14で沈殿分離された沈殿汚泥の一部は、汚泥反応槽16に導入される。この汚泥反応槽16には、pH調整剤として酸またはアルカリが添加されるとともに、カルシウム剤が添加混合される。そして、pH調整剤により、汚泥反応槽16内は、pHが8以上(好ましくは8〜11)または3より低く調整される。なお、汚泥反応槽16内も撹拌機などによって急速撹拌されている。
【0029】
フッ素と塩化ジルコニルの反応により生じた沈殿汚泥(ジルコニル化合物含有汚泥)はpH3以下で溶解し、pH8以上でジルコニル化合物が水酸化物を形成する。従って、pHの高低でメカニズムは異なるものの、いずれの場合もフッ素とジルコニル化合物は分離する。そして、分離されたフッ素イオンは、カルシウム剤と反応し、フッ化カルシウムとして不溶化される。
【0030】
このように、汚泥反応槽16内でフッ素から分離されたジルコニル化合物を含有する汚泥は、金属反応槽10に導入される。この金属反応槽10内のpH3.5〜7であり、この状態において、返送されたジルコニル化合物は、再びフッ素と反応して不溶化物を形成する。
【0031】
このように、本実施形態によれば、汚泥反応槽16においてジルコニル化合物含有汚泥を酸もしくはアルカリ処理して金属反応槽10へ戻すことによって、系内のZr濃度を高く保持することができ、結果的に不溶化剤の使用量を削減することができる。
【0032】
「第3実施形態」
図3は、第3実施形態の構成を示す図であり、汚泥反応槽16にカルシウム剤を添加していないことが図2の第2実施形態と異なっている。ただし、この第3実施形態では、原水中に十分なカルシウム剤が含有されていることを前提として、汚泥反応槽16にカルシウム剤の添加を省略しているだけであり、反応自体は、第2実施形態と同一である。
【0033】
「第4実施形態」
図4は、第4実施形態の構成を示す図であり、この例では、図1の第1実施形態の金属反応槽10の前段にカルシウム剤が添加されるカルシウム反応槽18が追加されている。すなわち、原水は、まずカルシウム反応槽18に導入され、ここでカルシウム剤と混合される。なお、このカルシウム反応槽18のpHは4〜11程度に維持する必要があり、この範囲内でなかった場合には、酸またはアルカリによってpHをこの範囲内に調整する。なお、カルシウム反応槽18内も、急速撹拌されている。
【0034】
そして、このカルシウム反応槽18において、原水中のフッ素がカルシウムイオンと反応し、不溶性のフッ化カルシウムが生成される。そして、このフッ化カルシウムを含むカルシウム反応槽18の処理水が金属反応槽10に導入され、残留するフッ素がジルコニル化合物によって不溶化される。
【0035】
従って、この第4実施形態の構成によれば、比較的高濃度のフッ素含有排水に対し、効率的な処理を行うことができる。
【0036】
「第5実施形態」
図5は、第5実施形態の構成を示す図であり、この例では、図4の第4実施形態のカルシウム反応槽18に沈殿槽14の沈殿汚泥の一部が導入される。そして、このカルシウム反応槽18には、pH調整剤が添加され、内部のpHは8〜11に設定されている。このpHにすることによって、返送された汚泥中のジルコニル化合物は水酸化物になりフッ素が遊離する。一方、フッ化カルシウムは不溶化するpHであるため、フッ素は注入されたカルシウム剤とフッ化カルシウムを形成する。そして、このカルシウム反応槽18の処理水は金属反応槽10に供給され、ここでカルシウム反応槽18で遊離されたジルコニル化合物は、新規に注入された不溶化剤とともにカルシウム反応槽18で残留したフッ素と反応する。このように、汚泥を循環することによりZr濃度が高い状態となり、より高度な処理水が得られる。
【0037】
また、汚泥は返送されることで図5の反応処理系内を循環する。このような循環の結果、汚泥中の含水酸化物の比率が減少して、フッ素化合物の比率が向上するという脱水縮合反応が進行する。この脱水縮合反応は汚泥をより高密度・低体積にすることができる。その結果、汚泥排出量を減少できる。すなわち固液分離手段である沈殿槽14に投入される以前のフッ素含有排水に投入されるようにすればよく、返送される場所は限定されない。
【0038】
「第6実施形態」
図6は、第6実施形態の構成を示す図であり、この例では、図5の第5実施形態の構成にさらに汚泥反応槽16が設けられている。すなわち、沈殿槽14の沈殿汚泥の一部がpH8〜11または3より低い汚泥反応槽16に導入され、ここでジルコニル化合物からフッ素を遊離させた後、カルシウム反応槽18に供給している。このカルシウム反応槽18のpHは、pH4〜11であればよい。
【0039】
この構成により、汚泥反応槽16において、ジルコニル化合物からフッ素が遊離され、遊離したフッ素はカルシウム反応槽18においてフッ化カルシウムとなり、遊離したジルコニル化合物は金属反応槽10においてカルシウム反応槽18の処理水に残留するフッ素の除去に利用される。
【0040】
「第7実施形態」
図7は、第7実施形態の構成を示す図であり、この例では、図6の第6実施形態の汚泥反応槽16にもカルシウム剤が添加される。これによって、汚泥反応槽16においてジルコニル化合物から遊離したフッ素が、添加されたカルシウム剤と反応しフッ化カルシウムが生成される。
【0041】
「第8実施形態」
図8は、第8実施形態の構成を示す図であり、この例では、図6の第6実施形態と同様のカルシウム剤が添加される汚泥反応槽16からの処理汚泥が、金属反応槽10に返送される。そして、この金属反応槽10にもカルシウム剤が添加される。
【0042】
これによって、汚泥反応槽16においてジルコニル化合物から遊離したフッ素がここに添加されたカルシウム剤と反応しフッ化カルシウムが生成されるとともに、金属反応槽10においてもフッ化カルシウムが生成される。
【0043】
例えば、カルシウム反応槽18のpHが4〜7の時、汚泥をカルシウム反応槽18に返送すると、汚泥反応槽16でフッ素フリーになったジルコニル化合物の一部がカルシウム反応槽18で流入水中のフッ素と反応し、カルシウム剤との競合反応となり、ジルコニル化合物の一部を消費してしまう可能性がある。これを避けるために汚泥返送を金属反応槽10にすることで、不溶化剤の添加量をさらに低減できる。このときカルシウム剤添加は、汚泥反応槽16とカルシウム反応槽18の双方にすることが好ましく、金属反応槽10にも分けて注入することが好適である。
【0044】
「その他」
さらに、上述の説明では、フッ素含有水の処理のみを対象とした。しかし、塩化ジルコニル等の水溶性金属化合物は、リンに対しても、フッ素と同様の不溶化反応を起こす。そこで、上述の処理をそのままリン含有水に適用することができる。なお、リンは、リン酸カルシウムとして除去できるため、カルシウム剤による処理もそのままリン含有水に適用することができる。なお、リンは次の反応により不溶化される。なお、リンの形態はpH等によって変化する。
【化2】
ZrOCl+2HPO →ZrO(HPO+2Cl
ZrOCl+HPO 2−→ZrOHPO+2Cl
【0045】
【実施例】
図1〜8に示した第1〜第8実施形態の処理装置により、処理実験を行った。これら各処理に共通な事項を次に示す。
【0046】
原水流量:100L/h、金属反応槽10および凝集槽12の容量:30L、汚泥反応槽16:8L、沈殿槽14容量:約100Lである。また、原水:合成排水で、フッ化ナトリウムを所定濃度になるように純水に溶解して調製した。pHは6.5〜7.0であった。不溶化剤:塩化ジルコニル8水和物(ZrOCl・8HO)をZrとして10%(重量/容量)になるように純水に溶解したものを使用した。カルシウム剤:10%消石灰スラリーまたは35%塩化カルシウム溶液を使用した。pH調整剤:各反応槽pHは、塩酸または10%水酸化ナトリウム溶液で調整した。
【0047】
沈殿槽14の沈殿汚泥は、随時引き抜きを行ったが、図2、3、5、6、7、8においては、沈殿部汚泥の一部を循環ラインを通じて各実施例中に示した流量で、汚泥反応槽16を介しまたは直接カルシウム反応槽18、金属反応槽10へ返送した。
【0048】
「実施例1」
フッ素として、15mg/L含有(以下15mg−F/L)するフッ化ナトリウム溶液を原水として図1に示したフローにより処理実験を行った。金属反応槽10に不溶化剤を25mg−Zr/L(原水基準)となるように添加し、水酸化ナトリウム溶液を添加してpH5に調整した。その結果処理水は、フッ素として、4.9mg/Lとなり、排水基準値である8mg/Lをクリアできた。
【0049】
「実施例2」
15mg−F/L含有水を原水として図2に示したフローにより、次の条件で処理実験を行った。
【0050】
(条件1)
金属反応槽10における不溶化剤添加量は25mg−Zr/Lとした。また、金属反応槽10内はpH5に調整した。汚泥反応槽16への汚泥循環率は原水基準で2%(2L/h)、ここへの添加カルシウム剤は消石灰とし、汚泥循環量基準で800mg/L(添加量1600mg−Ca/h)、ここでのpHは塩酸でpH10に調整した。
【0051】
(条件2)
金属反応槽10における不溶化剤添加量は10mg−Zr/Lとした。また、金属反応槽10内はpH5に調整した。汚泥反応槽16への汚泥循環率は原水基準で2%(2L/h)、ここへの添加カルシウム剤は消石灰とし、汚泥循環量基準で800mg/L(添加量1600mg−Ca/h)、ここでのpHは塩酸でpH10に調整した。
【0052】
条件1においては、実施例1と同等の不溶化剤添加量としたが、処理水フッ素が1.7mg/Lとなり、より高度な処理が可能になった。汚泥反応槽16では、汚泥中のジルコニル化合物とフッ素が遊離し、フッ素は添加したカルシウム剤と反応してフッ化カルシウムを生成、一方フッ素フリーとなったジルコニル化合物は新規に注入された不溶化剤とともに金属反応槽10において流入フッ素と反応する。すなわち、金属反応槽10内のZr濃度が高く保持されたことにより、処理水質が向上したと考えられる。
【0053】
次に条件2において、不溶化剤添加量を10mg−Zr/Lに減少させたが、処理水フッ素濃度は4.8mg/Lとなり、実施例1と同等の処理水質を得ることができ、新規に注入する不溶化剤の量を低減することが可能であった。
【0054】
また、定常時における汚泥は、SS濃度として、条件1では、約1.2%、条件2では約0.7%となり、これはフッ化カルシウム、およびフッ化ジルコニル、水酸化ジルコニルの混合物と考えられる。
【0055】
「実施例3」
15mg−F/L、800mg/L−Ca/L含有(塩化カルシウムで調整)する溶液を、水酸化ナトリウム溶液でpH7に調整したものを原水として図3に示したフローにより、処理実験を行った。原水にカルシウムを含むため、汚泥反応槽16へのカルシウム剤の添加は行わなかった。その他の条件は次の通りとした。
【0056】
金属反応槽10における不溶化剤添加量は25mg−Zr/L、金属反応槽10はpH5に調整した。汚泥反応槽16への汚泥循環率は原水基準で2%(2L/h)、ここでのpHは水酸化ナトリウム溶液でpH10に調整した。
【0057】
この結果、処理水フッ素が2.1mg/Lとなり、実施例2(条件1)とほぼ同等の処理水質を得ることができた。これは、原水中に含まれるカルシウムが汚泥反応槽16において汚泥から遊離したフッ素と反応し、実施例2と同様の効果を現したためと考えられる。
【0058】
「実施例4」
100mg−F/L含有液を原水として図4に示したフローにより、処理実験を行った。
【0059】
カルシウム反応槽18は、カルシウム剤として消石灰を400mg−Ca/L(原水基準)になるように添加し、塩酸でpH10に調整した。金属反応槽10には不溶化剤を25mg−Zr/L(原水基準)となるように添加し、水酸化ナトリウム溶液でpH5に調整した。
【0060】
この結果、処理水フッ素が3.9mg−F/Lとなった。すなわち、高濃度フッ素含有水についてもカルシウム剤を併用することで不溶化剤の添加量を増やすことなく、排水基準値である8mg/Lをクリアできた。
【0061】
「実施例5」
100mg−F/L含有液を原水として、図5に示したフローにより、処理実験を行った。
【0062】
(条件1)
沈殿槽14から汚泥循環ラインによりカルシウム反応槽18に直接汚泥を返送した。汚泥循環率は、原水基準で5%(5L/h)とし、それ以外の条件は実施例4と同様とした。
【0063】
この結果、フッ素が2.5mg/Lの処理水が得られ、実施例4よりよい水質を得ることができた。これは、カルシウム反応槽18において、返送された汚泥中のジルコニル化合物とフッ素が遊離し、フッ素は添加したカルシウム剤と反応してフッ化カルシウムを形成し、一方フッ素フリーとなったジルコニル化合物は金属反応槽10において、新規に注入された不溶化剤とともにカルシウム反応槽18で残留したフッ素と反応するが、この際汚泥循環の効果によりZr濃度が高い状態になり、より高度の処理水が得られたと考えられる。
【0064】
(条件2)
次に、金属反応槽10における不溶化剤添加量を10mg−Zr/Lに減少した。この結果、処理水フッ素は、4.1mg/Lとなり、実施例4とほぼ同等の処理水質を得ることができた。
【0065】
「実施例6」
100mg−F/L含有水を原水として、図6に示したフローにより、次の条件で処理実験を行った。
【0066】
(条件1)
カルシウム反応槽18におけるカルシウム剤として塩化カルシウムを採用し、400mg−Ca/L(原水基準)添加し、pHは4とした。金属反応槽10における不溶化剤添加量は10mg−Zr/Lとし、pH5に調整した。汚泥反応槽16への汚泥循環率は原水基準で5%(5L/h)とした。
【0067】
(条件2)
カルシウム反応槽18におけるカルシウム剤として塩化カルシウムを採用し、400mg−Ca/L(原水基準)添加し、pHは4とした。金属反応槽10における不溶化剤添加量は10mg−Zr/Lとし、pH5に調整した。汚泥反応槽16への汚泥循環率は原水基準で5%(5L/h)、10%消石灰でpH10に調整した。
【0068】
(条件3)
カルシウム反応槽18におけるカルシウム剤として塩化カルシウムを採用し、400mg−Ca/L(原水基準)添加し、pHは4とした。金属反応槽10における不溶化剤添加量は10mg−Zr/Lとし、pH5に調整した。汚泥反応槽16への汚泥循環率は原水基準で5%(5L/h)、塩酸でpH2に調整した。
【0069】
条件1においては、処理水フッ素が3.8mg/Lとなり、実施例5(条件2)と同様の処理水質が得られた。
【0070】
条件2において、汚泥反応槽16のpH調整剤を消石灰に変更したところ、処理水は2.8mgF−Lとなり、処理水質は若干向上した。これは、pH調整剤として使用した消石灰中のカルシウムが汚泥反応槽16において、フッ化カルシウム生成に一部寄与したためと考えられる。
【0071】
条件3においては、汚泥反応槽pHを酸性側にしたところ、処理水フッ素が4.2mg/Lとなり、アルカリにした条件2とほぼ同様の処理水質が得られた。
【0072】
「実施例7」
図7に示したように、実施例6(条件1)におけるカルシウム剤の添加位置をカルシウム反応槽18から汚泥反応槽16に変更した。添加量は、実施例6で添加したカルシウム剤と同様(原水基準で400mg−Ca/L=40g/h)の全量を汚泥反応槽16に添加した。その結果、処理水は3.1mg−F/Lとなり、若干処理水質は向上した。これはカルシウム剤をカルシウム反応槽18に添加するよりも、フッ素濃度が高い汚泥反応槽16に添加する方が反応速度が速くなることが原因と考えられる。
【0073】
以上のことから、汚泥反応槽pHがCaF生成pH域(理論上はpH3〜12、好ましくは4〜11だが、実排水においては、その範囲内の特定pHでしか、CaF2生成が進まないこともあり、原水の種類により異なる)ならば、フッ素濃度が高い汚泥反応槽16にカルシウム剤を添加した方が反応効率がよく、原水の濃度変動などに対しても処理の安定化が図れる。従って、カルシウム反応槽18をより小さくすることも可能である。カルシウム剤添加は、全量汚泥反応槽に添加してもよいし、カルシウム反応槽18に分けて注入してもよい。
【0074】
上述のような実施例1〜7の結果を表1にまとめて示す。
【表1】
Figure 2004148289
【0075】
「基礎実験」
ここで、ジルコニル化合物とフッ素の基本的反応を調べた基礎実験の結果を以下に説明する。
【0076】
図9に、200mg−Zr/Lの塩化ジルコニル溶液に酸またはアルカリを添加して、固形物の生成する割合を調べた結果を示す。ここで、固形物生成率は、生成した固形物中のZr量/添加Zr量で算出している。この実験ではフッ素は存在しないため、生成した固形物は水酸化ジルコニルと考えられるが、pH=7以上で生成量が多かった。これより、pHを7以上にすると、水酸化ジルコニルの固形物が生じてしまい、フッ素除去には適していないことが推察される。特に、pHを6以下に調整することで、固形物の生成を確実に防止できる。
【0077】
「実験例(フッ素)」
次に、フッ素含有水の処理実験を行った。不溶化剤として、20%塩化ジルコニル溶液を調製した。フッ化ナトリウムを希釈調整して20mg−F/lのフッ素模擬水1L(リットル)に不溶化剤をZrとして50mg−Zr/L添加し、pHを3〜10に調整した。生成した固形物を0.45μmフィルターでろ過し、ろ液のフッ素濃度を測定した。結果を図10に示す。
【0078】
このように、pH3.5〜7の範囲で、処理水フッ素濃度が7mg/L以下になっている。そして、pH4.0〜5.5の範囲では、フッ素2mg/L以下と非常に低濃度になっている。
【0079】
なお、pHが高い場合には、水酸化ジルコニルが生成してしまい、フッ素を不溶化できず、pHが低い場合には、上述のような反応によるフッ素の不溶化が行われないためと考えられる。
【0080】
一方、フッ化ナトリウムを希釈調整して20mg−F/Lのフッ素模擬水1Lに不溶化剤をZrとして10〜200mg/L添加しpH=5に調整し、同様にろ液のフッ素濃度を測定した。結果を図11に示す。
【0081】
このように、処理水フッ素濃度が2.5mg/Lまでは、不溶化剤の添加に対し、理論量通りのフッ素除去がなされている。すなわち、F(19×2=38)/Zr(91)のカーブで不溶化剤添加量に従って、フッ素が減少している。従って、除去したいフッ素に対し、反応当量以上の不溶化剤を添加すればよいことが分かる。
【0082】
「実験例(リン)」
次に、リン含有水の処理実験を行った。不溶化剤として、20%塩化ジルコニル溶液を調製した。リン酸水素カリウムを希釈調整して10mg−P/lのリン酸模擬水1L(リットル)に不溶化剤をZrとして25mg−Zr/L添加し、pHを3〜10に調整した。生成した固形物を0.45μフィルターでろ過し、ろ液のリン濃度を測定した。結果を図12に示す。
【0083】
このように、pH3.5〜7の範囲で、処理水リン濃度が2mg/L以下になっている。そして、pH4〜6の範囲では、リン濃度1mg/L以下と非常に低濃度になっている。
【0084】
一方、リン酸水素カリウムを希釈調整して10mg−P/Lのリン酸模擬水1Lに不溶化剤をZrとして50〜100mg/L添加しpH=5に調整し、同様にろ液のリン濃度を測定した。結果を図13に示す。
【0085】
このように、不溶化剤の添加に対し、ほぼ理論上の反応当量通りのリン除去がなされている。すなわち、P(31×2=62)/Zr(91)のカーブで不溶化剤添加量に従って、リンが減少している。従って、除去したいリンに対し、反応当量以上の不溶化剤を添加すればよいことが分かる。
【0086】
また、本発明は、フッ素とリンの両方を含有する排水にも好適に適用できる。この場合、フッ素とリンの合計量に対し反応当量以上の不溶化剤を添加すればよい。
【0087】
次に汚泥返送の有無、返送汚泥のアルカリまたは酸処理の有無に対する実験を行った。図4〜6に示した第4〜第6実施形態の処理装置を用いた。これら各処理に共通な事項を次に示す。
【0088】
原水流量:100L/h、カルシウム反応槽18、金属反応槽10および凝集槽12の容量:30L、汚泥反応槽16:8L、沈殿槽14容量:約100Lである。また、原水:合成排水で、フッ化ナトリウムを濃度100mg/Lになるように純水に溶解して調整した。pHは6.5〜7.0であった。不溶化剤:塩化ジルコニル8水和物(ZrOCl・8HO)をZrとして10%になるように純水に溶解したものを使用した。カルシウム剤:10%消石灰スラリーまたは35%塩化カルシウム溶液を使用した。pH調整剤:各反応槽pHは、塩酸または10%水酸化ナトリウム溶液で調整した。カルシウム反応槽18:消石灰スラリーによりCaとして500mg/L添加し、塩酸でpH10に調整した。金属反応槽10:不溶化剤をZrとして15mg/Lになるように添加し、塩酸でpH5となるように調整した。凝集槽12:高分子凝集剤オルフロックOA−23を2mg/Lとなるように添加した。沈殿槽14の沈殿汚泥は、随時引き抜きを行った。図5の比較例を除き沈殿部汚泥の一部(原水基準で5%の流量)を循環ラインを通じて、汚泥反応槽16を介しまたは直接カルシウム反応槽18または金属反応槽10へ返送した。なお、処理水中の全含有フッ素は処理水中のSS中に含まれるフッ素も含めた処理水中の全体のフッ素の濃度を示したものである。
【0089】
「実施例9」
図4のフローにより汚泥を返送せず、処理を行った。一週間後、処理水中の全含有フッ素は8.5mg/L、処理水中のSSは5mg/Lであった。排水基準である8mg/Lをクリアすることができなかった。発生した汚泥の含水率を測定したところ60%であった。
【0090】
「実施例10」
図5に示されるフローにより、汚泥の一部を酸またはアルカリ処理せずにそのままカルシウム反応槽18に返送した。その結果、1週間後の処理水は、全含有フッ素は7.3mg/L、SSは3mg/Lとなり、全含有フッ素およびSSは比較例に比べ減少し、排水基準値である8mg/Lをクリアできた。汚泥含水率は54%であった。
【0091】
「実施例11」
図6に示されるフローにより、次式で実験を行った。汚泥の一部をアルカリ処理して、フッ素を遊離させた後、カルシウム反応槽18に返送した。すなわち、汚泥反応槽16を設け、消石灰の添加によりpH10にした。その結果、1週間後の処理水は、全含有フッ素4.5mg/L、SSは3mg/Lとなり、全含有フッ素およびSSは比較例に比べ減少し、排水基準値である8mg/Lをクリアできた。汚泥含水率は52%であった。
【0092】
「実施例12」
図6に示されるフローにより、次式で実験を行った。汚泥の一部を酸処理して、フッ素を遊離させた後、カルシウム反応槽18に返送した。すなわち、汚泥反応槽16を設け、塩酸の添加によりpH2.5にした。その結果、一週間後の処理水は、全含有フッ素6.2mg/L、SSは3mg/Lとなり、全含有フッ素およびSSは比較例に比べ減少し、排水基準値である8mg/Lをクリアできた。汚泥含水率は53%であった。
【0093】
以上のことから、汚泥を返送しない実施例9に比べ実施例10〜12では汚泥の返送により、処理水中の全含有フッ素およびSSの量を減少させることができた。これにより汚泥の返送によって全含有フッ素量の低減と沈殿槽14における固液分離性の向上を図れることがわかった。また、汚泥の含水率が低下したことから、汚泥返送によって、発生汚泥量を減少できることがわかった。また、実施例10と実施例11若しくは12との比較により、汚泥を酸またはアルカリ処理して返送するとさらに全含有フッ素およびSSの量を減少させることができることがわかった。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、水溶性金属化合物により、フッ素またはリンを不溶化することができる。水溶性金属化合物は、フッ素またはリンに対しほぼ反応当量の添加でフッ素またはリンを低濃度にできる。そこで、このフッ素またはリンの不溶化物を固液分離することで、水中のフッ素またはリンを効果的に除去することができる。特に、フッ素やリンを低濃度(例えば、フッ素8mg/L以下)にするには、通常行われているカルシウム剤による処理ではその添加量が大量になり、汚泥発生量が多くなってしまうが、本発明によりこのような欠点を解消できる。
【0095】
また、分離された固形物の一部について、固液分離手段よりも上流へ返送し、フッ素および/またはリン含有水と混合する。そのようにすることで固形物を反応処理系内を循環させ、固形物をより高密度にすることができ、固形物の体積量を減少させることができる。
【0096】
さらに、分離された固形物の一部について、酸またはアルカリを添加してフッ素またはリンを溶出させた後、前記金属塩添加手段へ返送することで、添加した金属化合物を回収利用することができ、金属化合物の使用量を減少でき、また使用量を維持した場合にはフッ素またはリンの除去率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の装置の構成を示す図である。
【図2】第2実施形態の装置の構成を示す図である。
【図3】第3実施形態の装置の構成を示す図である。
【図4】第4実施形態の装置の構成を示す図である。
【図5】第5実施形態の装置の構成を示す図である。
【図6】第6実施形態の装置の構成を示す図である。
【図7】第7実施形態の装置の構成を示す図である。
【図8】第8実施形態の装置の構成を示す図である。
【図9】硫酸ジルコニルのpHと固形物生成率の関係を示す図である。
【図10】pHと処理水フッ素濃度の関係を示す図である。
【図11】硫酸ジルコニルの添加量と処理水フッ素濃度の関係を示す図である。
【図12】pHと処理水リン濃度の関係を示す図である。
【図13】硫酸ジルコニルの添加量と処理水リン濃度の関係を示す図である。
【符号の説明】
10 金属反応槽、12 凝集槽、14 沈殿槽、16 汚泥反応槽、18 カルシウム反応槽。

Claims (7)

  1. フッ素またはリン含有水からフッ素またはリンを除去するフッ素またはリン含有水処理装置であって、
    フッ素またはリン含有水にジルコニル塩を添加し、フッ素またはリンの不溶化物を生成するジルコニル塩添加手段と、
    このジルコニル塩添加手段により生成された前記不溶化物を固形物として分離除去する固液分離手段と、
    を有し、
    前記固液分離手段からフッ素またはリンが除去されて処理水を得るフッ素またはリン含有水処理装置。
  2. フッ素またはリン含有水からフッ素またはリンを除去するフッ素またはリン含有水処理装置であって、
    フッ素またはリン含有水にTi、Zr、Hf、V、Nb、Ta、希土類金属のうち少なくとも1つの元素を含む水溶性金属化合物を添加し、フッ素またはリンの不溶化物を生成する金属塩添加手段と、
    この金属塩添加手段により生成された前記不溶化物を固形物として分離除去する固液分離手段と、
    前記固液分離手段により分離された固形物の一部について、前記固液分離手段よりも上流へ返送する返送手段と、
    を有するフッ素またはリン含有水処理装置。
  3. 請求項2に記載の装置において、
    さらに、
    前記返送手段は、前記固液分離手段により分離された固形物の一部について、
    前記フッ素またはリン含有水へ返送する前に酸またはアルカリを添加してフッ素またはリンを溶出させるフッ素またはリン含有水処理装置。
  4. 請求項3に記載の装置において、
    前記固形物に酸またはアルカリを添加する際、または添加した後に、カルシウム化合物を添加し、溶出したフッ素またはリンを不溶化するフッ素またはリン含有水処理装置。
  5. 請求項2から4のいずれか1つに記載の装置において、
    前記返送手段は、固形物の一部を前記金属塩添加手段に返送するフッ素またはリン含有水処理装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか1つに記載の装置において、
    前記金属塩添加手段と、固液分離手段の間に、金属塩添加手段の処理水に対し高分子凝集剤を添加しフッ素またはリンの不溶化物を凝集処理する高分子凝集槽をさらに有するフッ素またはリン含有水処理装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか1つに記載の装置において、
    さらに、
    前記金属塩添加手段において、無機凝集剤を水溶性金属化合物と併用するフッ素またはリン含有水処理装置。
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